(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(B)が、(B1)平均粒子径10〜100μm、アスペクト比41〜100の合成金雲母及び/又は合成金雲母鉄、並びに(B2)平均粒子径5〜15μm、アスペクト比15〜40の合成金雲母及び/又は合成金雲母鉄であり、(B1)及び(B2)の質量割合が、(B1)/(B2)=0.2〜100である請求項1〜5のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)は、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);
【0012】
(式中、R
1は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、tは2又は3を示す)
で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンであって、
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が500〜4000であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が80/20〜98/2であり、
隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が10000〜40000であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が50000〜150000であるオルガノポリシロキサンであり、当該成分を用いることにより、より優れた安定性を得ることができる。
【0013】
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントは、上記オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して少なくとも2つ結合している。さらに、上記オルガノポリシロキサンセグメントの両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることがより好ましい。即ち、成分(A)のオルガノポリシロキサンは、側鎖として、少なくとも2つ以上の前記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを有する、グラフトポリマーである。
【0014】
ヘテロ原子を含むアルキレン基は、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの連結基として機能する。かかるアルキレン基としては、例えば、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が例示され、中でも下記式(i)〜(vii)のいずれかで表される基が好ましく、下記式(i)又は(ii)で表される基がより好ましく、更に下記式(i)で表される基が好ましい。なお、式中、An
-は4級アンモニウム塩の対イオンを示し、例えば、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンが例示される。
【0016】
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを構成するN−アシルアルキレンイミン単位において、一般式(1)中、R
1における炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基、又は炭素数3の分岐状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0017】
一般式(1)においてtは2又は3の数を示し、オルガノポリシロキサン製造時の原料入手の観点から、2であることが好ましい。
【0018】
質量比(a/b)は、80/20〜98/2の範囲であり、肌への付着性及び乳化性に優れる点から、好ましくは83/17〜96/4、更に好ましくは85/15〜94/6である。
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、成分(A)のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(
1H-NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0019】
成分(A)のオルガノポリシロキサンにおいて、隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、単に「MWg」ともいう)は10000〜40000の範囲であり、化粧料の皮膜の柔軟性と油水界面への配向性の点から、15000〜35000が好ましく、18000〜32000がより好ましい。
【0020】
本明細書において、「隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式(2)に示すように、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR
2SiO単位と、1つのR
3と、y+1個の(R
2)
2SiO単位とから構成されるセグメントをいう。また、「ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、上記R
3に結合する−Z−R
4をいう。
【0022】
上記一般式(2)中、R
2はそれぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基又はフェニル基を示し、R
3はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、−Z−R
4はポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R
4は重合開始剤の残基を示し、yは正の数を示す。
【0023】
MWgは、上記一般式(2)において破線で囲まれた部分の分子量であるが、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができる。なお、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N−アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
【0024】
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量は、N−アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度から算出するか、又はゲルパーミエションクロマトグラフィ(以下、単に「GPC」ともいう)測定法により測定することができる。なお、本発明においては、後記の測定条件で行なったGPC測定により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(以下、単に「MNox」とも言う)をいうものとする。MNoxは、化粧料の皮膜の柔軟性と溶媒への溶解性を高める点から、500〜4000の範囲が好ましく、800〜3500がより好ましく、1000〜3000がさらに好ましい。
【0025】
また、上記MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(質量%)(以下、単に「Csi」ともいう)を用いて、下記式(I)により求めることができる。
MWg=Csi×MNox/(100−Csi) (I)
【0026】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、単に「MWsi」とも言う)は50000〜170000であり、化粧料の柔軟性と皮膚への付着性の点から、好ましくは70000〜160000、より好ましくは80000〜150000である。また、成分(A)のオルガノポリシロキサンは、水などの極性溶媒に溶解することにより、種々の製品に容易に配合することができる。主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、後記の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0027】
成分(A)のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量(以下、単に「MWt」ともいう)は、皮膚への付着性と乳化安定性を両立する観点から、好ましくは50000〜170000、より好ましくは70000〜160000、更に好ましくは80000〜150000である。MWtは、後記の測定条件によるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算した値である。
【0028】
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、高い弾性率と大きな変形可能量に加え、50〜220℃といった温度領域に加熱すると、著しく塑性性が向上して柔らかくなり、加熱をやめて室温に戻る過程で直ぐに弾力性を取り戻すという特徴的な熱可塑性を有する。
【0029】
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、例えば、下記一般式(3)
【0031】
(式中、R
2は前記と同じ意味を示し、R
5及びR
6はそれぞれR
2と同一の基を示すか、又は下記式(viii)〜(xiii)
【0033】
のいずれかで表される1価の基を示し、R
7は上記式(viii)〜(xiii)で表される1価の基を示し、dは91.5〜1255.0の数を示し、eは2.0〜62.5の数を示す〕
で表される変性オルガノポリシロキサンと、下記一般式(4)
【0035】
(式中、R
1及びtは前記と同じ意味を示す)
で表される環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造される。
【0036】
一般式(4)で表される環状イミノエーテル(以下、単に「環状イミノエーテル(4)」ともいう)の開環重合には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、求電子反応性の強い化合物、例えば、ベンゼンスルホン酸アルキルエステル、p-トルエンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロ酢酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル等の強酸のアルキルエステルを使用することができ、中でも硫酸ジアルキルエステルが好適に使用される。
【0037】
重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒を使用することができ、中でも酢酸エステル類が好適に使用される。溶媒の使用量は、通常、環状イミノエーテル(4)の100質量部に対して20〜2000質量部である。
【0038】
重合温度は通常30〜170℃、好ましくは40〜150℃であり、重合時間は重合温度等により一様ではないが、通常1〜60時間である。
【0039】
環状イミノエーテル(4)として、例えば、2−置換−2−オキサゾリンを用いれば、前記一般式(1)において、t=2のポリ(N−アシルエチレンイミン)が得られ、2−置換−ジヒドロ−2−オキサジンを用いれば、上記一般式(1)において、t=3のポリ(N−アシルプロピレンイミン)が得られる。
【0040】
環状イミノエーテル(4)をリビング重合して得られるポリ(N−アシルアルキレンイミン)は、末端に反応性の基を有している。よって、このポリ(N−アシルアルキレンイミン)の末端の反応性基と、一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンが有する前記(viii)〜(xiii)で示される反応性基とを反応させることで、成分(A)のオルガノポリシロキサンを得ることができる。
【0041】
前記のリビング重合による製造方法は、下記に示す理論式(II)のように、環状イミノエーテル(4)と重合開始剤の使用量で重合度を容易に制御でき、しかも通常のラジカル重合よりも分子量分布の狭い略単分散のポリ(N−アシルアルキレンイミン)が得られる点で有効である。
【0043】
環状イミノエーテル(4)の使用量及び重合開始剤の使用量は、式(II)におけるMNiが500〜4000になる量とするのが好ましく、800〜3500になる量とするのがより好ましく、1000〜3000になる量とするのが更に好ましい。
【0044】
一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、得られるオルガノポリシロキサンの水等の極性溶媒への溶解性と溶解後の取り扱いやすさの観点から、50000〜170000が好ましく、より好ましくは70000〜160000、更に好ましくは80000〜150000である。
【0045】
また、一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンの官能基当量には、成分(A)のオルガノポリシロキサンの質量比(a/b)及びMWgを満たすために、上限が存在する。この観点及び主鎖に適度な疎水性を持たせる観点から、官能基当量は、10000〜40000であることが好ましく、15000〜35000であることがより好ましく、18000〜32000であることが更に好ましい。ここで、一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンの官能基当量とは、一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量を、該変性オルガノポリシロキサンが一分子あたりに有するR
7の数の平均値で除した値を言う。
【0046】
一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンと、前記末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)の使用量は、その質量比(変性オルガノポリシロキサン/末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン))が80/20〜98/2の範囲の値とすることが、得られるオルガノポリシロキサンの弾性率及び変形可能量の観点から好ましく、同観点から、83/17〜96/4がより好ましく、85/15〜94/6が更に好ましい。
【0047】
なお、本発明において、各オルガノポリシロキサンの合成では、以下の測定条件に従って各種分子量を測定した。
【0048】
<変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量の測定条件>
カラム:Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0049】
<MNox及びMWtの測定条件>
カラム:K‐804L(東ソー社製)2つを直列につないで使用。
溶離液:1mMジメチルドデシルアミン/クロロホルム
流量 :1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル:50μL
【0050】
また、質量比(a/b)算出のための
1H−NMR測定は、下記の条件で行なった。
<
1H−NMR測定条件>
得られたポリマーの組成は
1H−NMR(400MHz Varian製)により確認した。
サンプル量0.5gを測定溶剤(重クロロホルム)2gで溶解させたものを測定した。
PULSE SEQUENCE
・Relax.delay: 30秒 ・Pulse: 45degrees ・積算回数: 8回
確認ピーク 0ppm付近: ポリジメチルシロキサンのメチル基、
3.4ppm付近: エチレンイミンのメチレン部分。
各積分値よりシリコーンとポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)の比率を算出した。
【0051】
成分(A)のオルガノポリシロキサンとしては、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン等が挙げられる。
【0052】
成分(A)は、1種以上を用いることができ、乳化性に優れ、長時間経過後も肌へのつきが良く、くすみとムラのない仕上がりを持続させる点から、化粧料全体に対し、下限は、0.01質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。また、上限は、10質量%以下であり、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。これらの観点を総合すると、0.01〜10質量%含有され、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜4質量%含有される。
【0053】
本発明で用いる成分(B)は、合成金雲母及び/又は鉄含有合成金雲母である。合成金雲母としては、例えば、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイフッ化カリウムを混合・溶融後、結晶を晶出させ、粉砕、熱処理して得られるものが挙げられ、鉄含有合成金雲母としては、例えば、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイフッ化カリウム、酸化鉄を混合・溶融後、結晶を晶出させ、粉砕、熱処理して得られるものが挙げられる。
鉄含有合成金雲母は、透明感の高い仕上がりを与える点から、鉄の含有量が酸化鉄換算で0.5〜10質量%であるのが好ましい。
【0054】
形状は薄片状が好ましく、平均粒子径5〜100μm、アスペクト比15〜100のものが好ましく、平均粒子径5〜40μm、アスペクト比20〜80のものがより好ましい。
本発明において、粒子径は、電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定される。具体的には、レーザー回折/散乱法の場合、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所製、LA−920)で測定し、50%メジアン径を平均粒子径とする。厚さは、原子間力顕微鏡により基準面との差を測定し、相加平均したものを平均厚さとする。
また、アスペクト比は、平均粒子径と平均厚さとの比により計算されるものであり、アスペクト比=(平均粒子径/平均厚さ)で定義される。
【0055】
本発明において、成分(B)は、塗布時の使用感が軽く、やわらかく、カバー力に優れ、長時間経過後も肌へのつきが良く、くすみのない仕上がりを持続させる点から、(B1)平均粒子径10〜100μm、アスペクト比41〜100の合成金雲母及び/又は合成金雲母鉄、並びに(B2)平均粒子径5〜15μm、アスペクト比15〜40の合成金雲母及び/又は合成金雲母鉄であり、(B1)及び(B2)の質量割合が、(B1)/(B2)=0.2〜100であるのが好ましく、0.5〜50がより好ましく、0.8〜5がさらに好ましい。
(B1)及び(B2)の平均粒子径及びアスペクト比は、塗布時の使用感が軽く、やわらかく、カバー力に優れ、長時間経過後も肌へのつきが良く、くすみのない仕上がりを持続させる点から、(B1)平均粒子径12〜40μm、アスペクト比50〜80の合成金雲母及び/又は合成金雲母鉄、並びに(B2)平均粒子径6〜13μm、アスペクト比25〜40の合成金雲母及び/又は合成金雲母鉄が好ましい。
【0056】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、塗布時の使用感が軽く、やわらかく、長時間経過後も肌へのつきが良く、くすみのない仕上がりを持続させる点から、化粧料全体に対し、下限は0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2.5質量%以上がさらに好ましい。また、上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、0.5〜20質量%含有するのが好ましく、1〜15質量%含有されるのがより好ましく、2.5〜12質量%含有されるのがさらに好ましい。
【0057】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、塗布時の使用感が軽く、やわらかく、長時間経過後も肌へのつきが良く、くすみのない仕上がりを持続させる点から、下限は、0.001以上であり、0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましい。また、上限は、10であり、5以下が好ましく、1以下がより好ましい。これらの観点を総合すると、(A)/(B)=0.001〜10であり、0.01〜5が好ましく、0.05〜1がより好ましい。
【0058】
成分(C)の薄片状酸化亜鉛は、分散性が良好で、透明性及び紫外線吸収性の効果に優れる点から、平均粒子径0.1〜6μmであるのが好ましく、0.1〜1μmがより好ましく、0.2〜0.8μmがさらに好ましい。
【0059】
薄片状酸化亜鉛の平均厚さは、薄片状形態が維持し易く、本発明の油中水型乳化化粧料に配合した場合に使用感を良好になる点から、0.01〜0.3μmであるのが好ましく、0.015〜0.2μmがより好ましく、0.02〜0.1μmがさらに好ましい。
【0060】
また、薄片状酸化亜鉛は、良好な透明性が得られる点から、アスペクト比は3以上であるのが好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。アスペクト比の上限は特に無いが、通常50以下、更に30以下のものが好適に用いられる。
なお、成分(C)の薄片状酸化亜鉛の平均粒子径、平均厚さ、平均アスペクト比は、成分(B)と同様にして求められる。
【0061】
成分(C)の薄片状酸化亜鉛は、酸化亜鉛単独からなるものでも良いが、少量の他元素を含有する、すなわちドープされたものであっても良い。かかるドープ元素としては、鉄、ジルコニウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、イットリウム等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して用いることができる。ドープ元素は鉄が好ましい。ドープ量に特に制限はないが、平均アスペクト比が高く、透明感に優れた薄片状酸化亜鉛粒子を得る点から、亜鉛に対して0.005〜1モル%が好ましく、0.01〜0.5モル%がより好ましい。
【0062】
成分(C)の薄片状酸化亜鉛としては、例えば、特開平1−175921号公報に記載されたものを用いることができるが、例えば、次のような方法で製造することができる。すなわち、亜鉛の塩を含む水溶液から直接酸化亜鉛を製造するに際し、イ)亜鉛イオンを含有し、ロ)該亜鉛イオンに対し、総量として当量を超える量の1種又は2種以上の酸基を含有し、かつハ)pH11以上の母液から沈殿を生成される方法である。
【0063】
このような方法において、亜鉛イオンとアルカリ溶液とを反応させる際には、60℃以下の反応温度、好ましくは40℃以下の反応温度で、強撹拌下、短時間内に混合反応させるのが好ましい。反応温度を60℃以下とすることで、球状又は塊状結晶の生成を抑制し、薄片状結晶を主成分とすることができるため好ましい。
【0064】
また、共存させる酸基としては、例えば、NO
3-、SO
42-、CH
3COO
-、Cl
-、PO
43-、CO
32-、C
2O
42-等の1種又は2種以上が挙げられる。母液内には、これらの酸基が亜鉛イオンに対して当量を超える量存在し、かつpHが11以上であることが好ましく、更にpH12以上が好ましい。pHを11以上とすると、水酸化亜鉛の生成を抑制でき、かつ、形状が粒状〜米粒状形状となるのを抑制することができる。
【0065】
上記の方法において、亜鉛イオンに対する酸基の量を当量より多く用いることで、凝固した結晶を低減した薄片状酸化亜鉛が得られ易く、目的とする薄片状粒子を得るための制御がしやすいので好ましい。酸基イオンの量の上限は特にないが、実用性を考慮すると、酸基の量の上限を2当量以下にするのが好ましい。具体的には、酸基イオンは亜鉛イオンに対し、1.05〜2当量用いるのが好ましい。
【0066】
上記の方法において、亜鉛イオンに対して当量を超える酸基部分は、塩又は酸として亜鉛塩溶液中に入れても、アルカリ溶液中に入れても良い。塩としては、水溶性のものであれば良く、具体的には、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等を用いることができる。また、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等を使用することができる。亜鉛塩水溶液とアルカリとを加える方法としては、亜鉛塩中にアルカリを注入、又は滴下しても、又はその逆でも、あるいは両方を同時に水中あるいは塩溶液中に注入、滴下しても良い。
【0067】
沈殿生成後、60〜100℃、より好ましくは90〜100℃に加熱し、10分以上、より好ましくは30分以上の間、その温度に保つことが好ましい。こうすることで、より結晶性の良い薄片状酸化亜鉛を得ることができる。60℃以上に加熱処理することで、薄片の形状を保持しつつ結晶性を向上させることができる。
【0068】
その後、沈殿を濾過することにより、薄片状酸化亜鉛を粉末として単離することができる。この際、水溶性有機溶媒による洗浄を行うことにより、その後の乾燥、粉砕を容易にすることができる。特に、かさ比容を大きくしたい場合、濾過洗浄は有効である。
【0069】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、塗布時の使用感に優れ、長時間経過後も肌へのつきが良く、くすみのない仕上がりを持続させる点から、化粧料全体に対し、下限は0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。また、上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、0.1〜20質量%含有するのが好ましく、0.3〜10質量%含有されるのがより好ましく、0.5〜4質量%含有されるのがさらに好ましい。
【0070】
本発明において、成分(A)及び(C)の質量割合(A)/(C)は、塗布時の使用感に優れる点から、下限は、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましい。また、上限は、50以下が好ましく、25以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、(A)/(C)=0.01〜50が好ましく、0.03〜25がより好ましく、0.1〜2.5がさらに好ましい。
【0071】
本発明においては、さらに、上述の成分以外に、通常の化粧料に用いられる体質顔料、着色顔料を含有することができる。例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、前記成分(C)以外の酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びカーボンブラック、これらの複合体等の無機粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体等の有機粉体;さらに、上記無機粉体と有機粉体との複合粉体などが挙げられる。
【0072】
成分(B)、(C)及びその他の粉体は、いずれも、そのまま使用することができ、更に、これらの1種又は2種以上が疎水化処理されたものを用いることもできる。
疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、シリコーン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、レシチン処理、N−アシルアミノ酸処理、金属石鹸処理、フッ素化合物処理等が挙げられる。これらのうち、シリコーン処理、フッ素化合物処理が好ましい。
【0073】
成分(B)、(C)及びその他の粉体の含有量の合計は、塗布時のカバー力の点から、化粧料全体に対し、下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、上限は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましく、これらの観点を総合すると、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜35質量%含有されるのがさらに好ましい。
【0074】
さらに、成分(B)及び(成分(B)、(C)及びその他の粉体の含有量の合計量)の質量割合、(B)/粉体の全含有量は、塗布時の使用感に優れ、長時間経過後も肌へのつきが良く、くすみのない仕上がりを持続させる点から、下限は、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.14以上がさらに好ましい。また、上限は、0.6以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.38以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、(B)/粉体の全含有量=0.05〜0.6が好ましく、0.1〜0.4がより好ましく、0.14〜0.38がさらに好ましい。
【0075】
本発明に用いられる水の含有量は、使用感、保存安定性の点から、化粧料全体に対して、下限は、10質量%以上が好ましく、13質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、上限は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、い。これらの観点を総合すると、10〜70質量%が好ましく、13〜60質量%がより好ましく、15〜50質量%含有されるのがさらに好ましい。
【0076】
また、本発明に用いられる油剤は、20℃で液状のものが好ましく、固体状、ペースト状の油剤を用いる場合には、一度別の油剤や溶媒に溶解してから用いることが好ましい。
本発明で用いる油剤としては、20℃で液状のシリコーン油、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油(油脂を含む)、エーテル油、鉱油等が挙げられ、使用感の観点から、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、フッ素変性シリコーン油がより好ましく、シリコーン油、フッ素変性シリコーン油がさらに好ましい。なかでも、ジメチルポリシロキサン、シクロポリシロキサンがよりさらに好ましい。
これら油剤は、1種又は2種以上用いることができる。
また、本発明に用いられる油剤の含有量は、化粧料全体に対して、下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。これらの観点を総合すると、10〜50質量%が好ましく、使用感、保存安定性の点から、15〜40質量%含有されるのがより好ましい。
【0077】
また、本発明に用いられる界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。中でも、非イオン界面活性剤が好ましく、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましい。成分(A)、(B)、(C)を安定に乳化させる観点から、HLB値が1以上、7以下が好ましく、HLB値が2以上、6以下がより好ましい。
【0078】
ここで、HLB(親水性−親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
【0079】
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0080】
界面活性剤の含有量は、化粧料全体に対して、下限は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。上限は、6質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。これらの観点を総合すると、0.1〜6質量%以下が好ましく、0.2〜3質量%含有されるのがより好ましい。
【0081】
本発明の化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、水溶性及び油溶性ポリマー、エタノール、多価アルコール、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。
【0082】
本発明の化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、油中水型乳化化粧料とされる。さらに、剤型としては、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状が挙げられ、乳液状が好ましい。
【0083】
本発明の化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、化粧下地、液状ファンデーション、口紅、ほお紅、アイシャドー等のメークアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとすることができる。なかでも、化粧下地、液状ファンデーションが好ましく、さらに、液状ファンデーションが好ましい。
【実施例】
【0084】
合成例1
2−エチル−2−オキサゾリン12.9g(0.13モル)と酢酸エチル27.7gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(ゼオラムA−4、東ソー社製)2.0gで、28℃15時間脱水を行った。
また、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(KF−8015、信越シリコーン社製、重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gと酢酸エチル203gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ15.2gで、28℃15時間脱水を行った。
上記の脱水2−エチル−2−オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル0.77g(0.005モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は2700であった。
この末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)溶液を、上記の脱水した側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン溶液を一括して加え、10時間、80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を白色ゴム状固体(108g)として得た。最終生成物におけるオルガノポリシロキサンセグメントの質量比は0.87、最終生成物の重量平均分子量は115000であった。
【0085】
合成例2
2−エチル−2−オキサゾリン3.63g(0.036モル)と酢酸エチル8.46gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(ゼオラムA−4、東ソー社製)0.6gで、28℃15時間脱水を行った。
また、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(KF−8015、信越シリコーン社製、重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gと酢酸エチル203gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ15.2gで、28℃15時間脱水を行った。
上記の脱水2−エチル−2−オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル0.54g(0.0035モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は1200であった。
この末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)溶液を、上記の脱水した側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン溶液を一括して加え、10時間、80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を白色ゴム状固体(102g)として得た。最終生成物におけるオルガノポリシロキサンセグメントの質量比は0.96、最終生成物の重量平均分子量は104000であった。
【0086】
合成例3
2−エチル−2−オキサゾリン53.3g(0.54モル)と酢酸エチル127.46gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(ゼオラムA−4、東ソー社製)9.0gで15時間脱水を行った。
また、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(KF−8003、信越シリコーン社製、重量平均分子量40000、アミン当量2000)153.7gと酢酸エチル312.06gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ23.29gで、28℃15時間脱水を行った。
上記の脱水2−エチル−2−オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル9.48g(0.061モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は1300であった。
この末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)溶液を、上記の脱水した側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン溶液を一括して加え、10時間、80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(200g)として得た。最終生成物におけるオルガノポリシロキサンセグメントの質量比は0.71、最終生成物の重量平均分子量は56000であった。
【0087】
【表1】
【0088】
合成例4(薄片状酸化亜鉛の合成)
硫酸亜鉛1.6×10
-1 モル、硫酸ナトリウム3.8×10
-2 モル及び微量元素の塩として硫酸第一鉄1.6×10
-4モルを、5×10
-2 モル硫酸水溶液315mLに溶解した。次に、この溶液をホモミキサーにより6000r.p.m.で攪拌しながら、2N水酸化ナトリウム水溶液230mLを15秒間で投入し(pH=12.8)、沈殿を生成させたのち、10分間攪拌を継続した。その後、100℃で90分間熟成し、濾過、水洗し、230℃で約10時間乾燥して、薄片状酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子の平均粒子径は0.25μm、平均厚さは0.02μm、アスペクト比は13であった。
【0089】
実施例1〜8、比較例1〜3
表2に示す組成の油中水型乳化液状ファンデーションを製造し、塗布したときの「塗布時の使用感のやわらかさ」、「塗布直後のカバー力の高さ」、及び「塗布直後の粉っぽさのなさ」を評価した。次に、5時間経過後の「肌へのつきの良さ」及び「くすみのなさ」を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0090】
(製造方法)
実施例1〜8、比較例1〜3について、全量を100gのスケールで計量を行う。油相(活性剤含)について、ディスパー(500r/min、5分)を用いて予備分散を行う。次に、成分(B)及び(C)を含む粉体相を油相中に分散(1500r/min、10分)させ、粉体相が均一に分散したことを確認する。粉体相が均一になった油相に成分(A)を含むエタノール相を加えてディスパーで攪拌する(450r/min、10分)。次にディスパー(450r/min)で攪拌しながら徐々に水相を加えたあと乳化を行い、乳化保持した後、ホモミキサーで粘度調整(5000r/min)を行い、脱泡して、油中水型乳化液状ファンデーションを得た。
【0091】
(評価方法)
5名の専門パネラーが、各油中水型乳化液状ファンデーションをスポンジで肌に塗布したとき、「塗布時の使用感のやわらかさ」、「塗布直後のカバー力の高さ」、及び「塗布直後の粉っぽさのなさ」を以下の基準で評価し、さらに、5時間経過後の「肌へのつきの良さ」及び「くすみのなさ」を、以下の基準で評価した。結果を、5名の積算値で示す。
【0092】
5;非常にそう思う。
4;そう思う。
3;ややそう思う。
2;あまりそう思わない。
1;そう思わない。
【0093】
【表2】
【0094】
実施例9(油中水型乳化液状ファンデーション)
(組成)
(1)ポリ(N−アシルアルキレンイミン)変性シリコーン(合成例1)
0.9(質量%)
(2)エタノール 4.0
(3)シリコーン処理合成金雲母
(合成金雲母PDM-20L(トピー工業社製)をシリコーン処理として、ジメチル
ポリシロキサンで表面処理したもの;平均粒子径20μm、アスペクト比70)
4.0
(4)シリコーン処理合成金雲母鉄 *3
(平均粒子径6μm、アスペクト比40) 1.0
(5)シリコーン処理合成金雲母
(合成金雲母PDM-1000(トピー工業社製)をシリコーン処理として、
ジメチルポリシロキサンで表面処理したもの;平均粒子6μm、アスペクト比20)
2.0
(6)薄片状酸化亜鉛(合成例4)
(平均粒子径0.25μm、平均厚さ0.02μm、アスペクト比13)
3.0
(7)シリコーン処理酸化チタン 8.0
(8)シリコーン処理酸化鉄 2.0
(9)シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 2.0
(10)シリコーン処理雲母チタン 3.0
(11)ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)
シロキサン共重合体(特開平4−108795号、実施例11記載のもの)
1.0
(12)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
(KF−6015、信越化学工業社製) 2.0
(13)デカメチルシクロペンタシロキサン 7.0
(14)ジメチルポリシロキサン(2cs) 5.0
(15)ジメチルポリシロキサン(6cs) 8.0
(16)パラメトキシケイ皮酸オクチル 3.0
(17)香料 微量
(18)硫酸マグネシウム 0.7
(19)グリセリン 8.0
(20)防腐剤 適量
(21)精製水 残量
合計 100
【0095】
(製法)
粉体成分(3)〜(10)を粗混合した後、アトマイザー粉砕機(不二パウダル社製)を用いて混合粉砕する。油相成分(11)〜(16)を攪拌混合し、粉砕した粉体成分を添加し、ディスパーを用いて分散した。水相成分(17)〜(21)を混合し、油相成分に添加して乳化し、次に、成分(1)及び(2)を加えて乳化を行い、乳化保持をした後、ホモミキサーで粘度調整を行い、油中水型乳化液状ファンデーションを得た。
【0096】
実施例9の化粧料は、塗布時の使用感が軽く、やわらかく、塗布直後に粉っぽくならず、カバー力に優れ、長時間経過後も肌へのつきが良く、くすみのない仕上がりが持続する。