特許第5956827号(P5956827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956827
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   B62D1/04
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-108902(P2012-108902)
(22)【出願日】2012年5月10日
(65)【公開番号】特開2013-233905(P2013-233905A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】306009581
【氏名又は名称】タカタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104503
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 博文
(72)【発明者】
【氏名】松尾 政利
(72)【発明者】
【氏名】内山 敦勧
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−023685(JP,U)
【文献】 実開昭63−150873(JP,U)
【文献】 特開平09−267751(JP,A)
【文献】 実開昭59−117574(JP,U)
【文献】 実開昭56−170069(JP,U)
【文献】 実開平04−132869(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04 − 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のリム部芯金と、前記リム部芯金の中心軸上に配されるボス部芯金と、
前記リム部芯金と前記ボス部芯金とをつなぐスポーク部芯金と、を備えたステアリング芯金を有するステアリングホイールにおいて、
前記リム部芯金は、
外観形状が円環状であり且つ断面L字型となっており、
前記リム部芯金と前記スポーク部芯金との接続部に、これら前記リム部芯金及び前記スポーク部芯金と互いに重なり合った断面3層構造部分を有し、かつ横断面形状が前記リム部芯金と相似な断面L字型となっているとともに、前記リム部芯金外観形状が前記リム部芯金の曲率半径と同じ円弧状である剛性強化部材を設けたことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
請求項1記載のステアリングホイールにおいて、
前記剛性強化部材は、
前記接続部に重ね合わせるように組み付けられる
ことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項3】
請求項1記載のステアリングホイールにおいて、
前記剛性強化部材は、
他の部位よりも広い幅を備えるように前記スポーク部芯金に備えられ、前記スポーク部芯金を前記リム部芯金に接続する広幅リム側接続端である
ことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項4】
請求項3記載のステアリングホイールにおいて、
前記広幅リム側接続端の幅は、前記スポーク部芯金の前記他の部位の幅の2倍以上4倍以下である
ことを特徴とするステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに操舵用として装備されるステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
操舵用のステアリングホイールは、自動車などの操舵機構におけるステアリングシャフトに連結され、運転者による操舵力を操舵機構に伝えるのに用いられる。このステアリングホイールは、運転者が把持して回転操舵を行うための環状のリム部と、リム部の中心軸上に配置されてステアリングシャフトへの連結部となるボス部と、これらリム部とボス部をつなぐスポーク部とを備えている。またステアリングホイールは、これらリム部、ボス部、スポーク部のそれぞれに対応するリム部芯金、ボス部芯金、スポーク部芯金からなるステアリング芯金を有する。そして、このステアリング芯金を、加飾や手触り性などのための被覆体で覆った構造であるのが一般的である。
【0003】
このようなステアリングホイールのステアリング芯金に関する技術として、例えば特許文献1が既に知られている。この従来技術では、ステアリング芯金におけるリム部芯金と、ボス部芯金と、スポーク部芯金とが、一体的に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−62272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、製造組み立て上の便宜やコストダウンの観点から、上記従来技術のような一体構造に代え、リム部芯金とそれ以外の部分(スポーク部芯金及びボス部芯金)とを別体とする構造が考えられつつある。しかしながらこの場合、リム部芯金とスポーク部芯金との接続部の剛性が弱くなる結果、ステアリング芯金の全体的な剛性が低下し、それによってステアリング芯金の固有周波数が車体振動との共振周波数に近づき易くなる。この結果、車体振動がステアリングホイールに伝わり易くなり、乗員の快適性を低下させるという問題があった。これを回避するために、リム部芯金の肉厚を増大させ強度を向上することも考えられるが、その場合は、ステアリングホイール全体の重量増大を招く。
【0006】
本発明の目的は、重量軽量化を図りつつ、固有周波数が車体振動との共振周波数に近づくのを抑制することを可能とするステアリングホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願第1発明は、環状のリム部芯金と、前記リム部芯金の中心軸上に配されるボス部芯金と、前記リム部芯金と前記ボス部芯金とをつなぐスポーク部芯金と、を備えたステアリング芯金を有するステアリングホイールにおいて、前記リム部芯金は、外観形状が円環状であり且つ断面L字型となっており、前記リム部芯金と前記スポーク部芯金との接続部に、これら前記リム部芯金及び前記スポーク部芯金と互いに重なり合った断面3層構造部分を有し、かつ横断面形状が前記リム部芯金と相似な断面L字型となっているとともに、前記リム部芯金外観形状が前記リム部芯金の曲率半径と同じ円弧状である剛性強化部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
本願第1の発明では、リム部芯金とスポーク部芯金の接続部に剛性強化部材を設け、その剛性強化手段部材により接続部に対し局所的に剛性強化を行う。剛性強化を行うことで、ステアリング芯金の固有周波数が車体振動との共振周波数に近づいてしまうのを抑制することができるとともに、その際の剛性強化を部分的にとどめることで、ステアリング芯金の軽量化を図ることができる。
【0009】
第2発明は、上記第1発明において、前記剛性強化部材は、前記接続部に重ね合わせるように組み付けられことを特徴とする。
【0010】
第2の発明によれば、必要な剛性強化部材をより簡易に実現できる。すなわち、例えば接続部の幅の数倍程度の長さで接続部を覆うのに足りるサイズの剛性強化部材を付加するだけで、ステアリング芯金の固有周波数の適切な調整を可能とする剛性強化実現できる。
【0011】
第3発明は、上記第1発明において、前記剛性強化部材は、他の部位よりも広い幅を備えるように前記スポーク部芯金に備えられ、前記スポーク部芯金を前記リム部芯金に接続する広幅リム側接続端であることを特徴とする。
【0012】
第3の発明によれば、スポーク部芯金の既存のリム側接続端を広幅リム側接続端に形状変更するだけ済み、部品点数の増加を招くことなく、ステアリング芯金の固有周波数の適切な調整を可能とする剛性強化手段を実現できる。
【0013】
第4発明は、上記第3発明において、広幅リム側接続端の幅は、前記スポーク部芯金の前記他の部位の幅の2倍以上4倍以下であることを特徴とする。
【0016】
これにより、リム部芯金へのスポーク部芯金の強固な接続をより容易に行え、また剛性強化部材や広幅リム側接続端による剛性強化をより効率的に行える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、重量軽量化を図りつつ、固有周波数が車体振動との共振周波数に近づくのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態におけるステアリング芯金の構成を表す分解斜視図である。
図2図1のステアリング芯金の構成を表す平面図である。
図3図1のステアリング芯金の要部構造を表す断面図である。
図4】本発明の第2実施形態におけるステアリング芯金の構成を表す分解斜視図である。
図5図4のステアリング芯金の構成を表す平面図である。
図6図4のステアリング芯金の要部構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1実施形態を図1図3により説明する。図1図3において、ステアリングホイールは、その強度部材であるステアリング芯金1を骨格とし、加飾や手触り性などのための被覆体(図示を省略)でステアリング芯金1を覆った構造として形成され、またステアリング芯金1における後述のボス部芯金4にはエアバッグ装置2が取り付けられる。
【0020】
ステアリング芯金1は、いずれも鋼板の加工により別体として得られるリム部芯金3、ボス部芯金4およびスポーク部芯金5を互いに接続して形成されており、さらに剛性強化部材6(剛性強化手段)が組み付けられている。
【0021】
リム部芯金3は、円環状に形成されており、その横断面形状が略L字型となっている。つまりリム部芯金3は、縦面部7と横面部8からなる略L字型芯金である。またリム部芯金3は、スポーク部芯金5がかしめ止めで接続される部位である接続受け部11を有するとともに、接続受け部11に重なりつつ接続受け部11の両側に広がるようにして設けられた組付け部12を剛性強化部材6のかしめ止め用による組付け用として有している。そしてこれら接続受け部11と組付け部12とには、かしめ止め用の嵌入孔13が設けられている。このリム部芯金3は、例えばシェル構造のリム部被覆体(図示を省略)が組み付けられ、そのリム部被覆体とともに円環状のリム部(図示を省略)を形成する。
【0022】
ボス部芯金4は、ステアリングホイールにおけるボス部(図示を省略)を形成する部位で、リム部芯金3の中心軸上に配置されており、図外のステアリングシャフトへの連結部となる。そのためボス部芯金4は、左右に平板状の第1機能面部14を有するとともに、第1機能面部14に対して落ち込んだ状態にされた平板状の第2機能面部15を左右の第1機能面部14の間に有した、概略長方形状に形成されている。第1機能面部14は、後述のサイドスポーク部芯金5aがかしめ止めで接続される部位であり、そのためにかしめ止め用の嵌入孔16が設けられている。一方、第2機能面部15は、ステアリングシャフト連結用のボスとなるボス用筒体17を組み付ける部位で、組付け孔18が設けられるとともに、組付け孔18の周囲にかしめ止め用の嵌入孔19が設けられている。組付け孔18にボス用筒体17を嵌着し、その状態で嵌入孔19を利用したかしめ止めを行うことで、ボス用筒体17の強固な組付けを行うことができる。
【0023】
またボス部芯金4は、運転席用のエアバッグ装置2が取り付けられる部位でもあり、そのための構造が設けられている。具体的には、ばね組付け部21と係止孔22が第1機能面部14に設けられ、ばね組付け部21に組み付けられるばね部材23の介在の下で、エアバッグ装置2のスナップフィット方式による取付けを行う。エアバッグ装置2は、図示しないエアバッグの収納筐体となるリテーナ24にモジュールカバー25を組み合わせ、さらにリテーナ24の底部に係合爪26を設けた構造である。そして、ばね組付け部21に組み付けられたばね部材23によるばね力で係合爪26を係止孔22に嵌入係止させることで、エアバッグ装置2のボス部芯金4への取付けが行われる。
【0024】
スポーク部芯金5は、車両直進状態でのステアリングホイールの操舵状態を基準にたし車体の左右方向に配されるサイドスポーク部芯金5aと、サイドスポーク部芯金5aに直交する方向に配されるロアスポーク部芯金5bとを含む。またサイドスポーク部芯金5aには、左向き用と右向き用として対称的に形成された2本がある。ただし図の例では左向き用と右向き用が一体化されている。
【0025】
サイドスポーク部芯金5aは、細長い長方形状の鋼板を素材として必要な折曲げ形状に曲折させた構造である。サイドスポーク部芯金5aは、一方の端部にリム側接続端31が設けられるとともに、他方の端部にボス側接続端32が設けられている。そして、この例では、上記ボス側接続端32が連結部33を介して連結され、左向き用と右向き用が一体化されている。リム側接続端31は、リム部芯金3に接続するための部位であり、他の部位を含むサイドスポーク部芯金5a全体の幅と同じ幅方向寸法で設けられている。このリム側接続端31によるリム部芯金3との接続は、かしめ止めで行う。そのためリム側接続端31には、ポンチングで突き出せるなどしてかしめ用突起34が形成されている。このかしめ用突起34をリム部芯金3の接続受け部11における嵌入孔13に嵌入させてかしめることで、かしめ止めによる接続が行われる。ここで、このかしめ用突起34によるサイドスポーク部芯金5aのかしめ止めは、上記剛性強化部材6の、リム部芯金3とサイドスポーク部芯金5aとの接続部に対する組付けのためのかしめ止めと同時に行われる(詳細は後述)。
【0026】
ボス側接続端32は、ボス部芯金4に接続するための部位であり、上記同様、サイドスポーク部芯金5a全体の幅と同じ幅方向寸法を備えている。このボス側接続端32によるボス部芯金4との接続も、かしめ止めで行う。そのためボス側接続端32にも、ポンチングで突き出せるなどしてかしめ用突起35(図1の状態で下向きに突出している)が形成されている。このかしめ用突起35をボス部芯金4の第1機能面部14における嵌入孔16に嵌入させてかしめることで、かしめ止めによる接続が行われる。なお、本実施形態では、サイドスポーク部芯金5aのボス部芯金4への接続について、以上のようなかしめ止めに加え、かしめ止め用のリベット36を用いたかしめ止めも行われる。このことは、後述するロアスポーク部芯金5bのボス部芯金4への接続についても同様である。
【0027】
ロアスポーク部芯金5bは、サイドスポーク部芯金5aと同様に、細長い長方形状の鋼板を素材として必要な折曲げ形状に曲折させた構造である。ロアスポーク部芯金5bの幅は、サイドスポーク部芯金5aの幅より狭くなっている。
【0028】
このロアスポーク部芯金5bにも、サイドスポーク部芯金5aと同様に、一方の端部にリム側接続端37が設けられるとともに、他方の端部にボス側接続端38が設けられている。リム側接続端37は、リム部芯金3に接続するための部位で、その接続はサイドスポーク部芯金5aの場合と同様なかしめ止めで行う。すなわち、リム側接続端37に形成してあるかしめ用突起39を、リム部芯金3の接続受け部における嵌入孔(ロアスポーク部芯金5bに対応する接続受け部と嵌入孔は図示省略)に嵌入させてかしめることで、かしめ止めによる接続が行われる。
【0029】
ボス側接続端38は、ボス部芯金4に接続するための部位で、その接続はサイドスポーク部芯金5aの場合と同様なかしめ止めで行う。すなわち、ボス側接続端38に形成してあるかしめ用突起41を、ボス部芯金4の第2機能面部15に設けてある嵌入孔42に嵌入させてかしめることで、かしめ止めによる接続が行われる。
【0030】
以上のようなスポーク部芯金5は、例えばシェル構造のスポーク部被覆体(図示を省略)が組み付けられ、そのスポーク部被覆体とともにステアリングホイールにおけるスポーク部を形成する。
【0031】
剛性強化部材6は、スポーク部芯金5(具体的にはサイドスポーク部芯金5a)とリム部芯金3の接続部とに重ね合わせるように組み付けられる。これにより、その接続部に剛性強化構造が形成されて、ステアリング芯金1の固有周波数を共振回避方向に調整するのに機能する。剛性強化部材6は、横断面形状がリム部芯金3と相似な、縦面部43と横面部44からなる略L字型となっている。また剛性強化部材6は、外観形状が円環状のリム部芯金3の半径と同じ程度の曲率半径による円弧状である。また剛性強化部材6は、その長さ(つまり円弧長)が、サイドスポーク部芯金5aのリム側接続端31の幅の数倍(この例では5〜6倍程度)となるように形成されている。このような形状とサイズにすることにより、剛性強化部材6は、上記剛性強化機能をより効率的にかつ効果的に発揮することができる。
【0032】
また、この剛性強化部材6は、横面部44を介してリム部芯金3とサイドスポーク部芯金5aとに接続することで、接続部への重ね合わせ状態の組付けが行われる。具体的には、リム部芯金3の接続受け部11及び組付け部12における嵌入孔13の配置に対応する配置で、剛性強化部材6の横面部44に、嵌入孔13と同数の嵌入孔45が設けられる。そして、サイドスポーク部芯金5aのリム部芯金3への接続に際し、接続受け部11の嵌入孔13に対応する嵌入孔45にもサイドスポーク部芯金5aのリム側接続端31におけるかしめ用突起34を嵌入させてから、かしめを行う。これにより、剛性強化部材6のサイドスポーク部芯金5aへの接続が、サイドスポーク部芯金5aのリム部芯金3への接続と同時に行われる。一方、剛性強化部材6のリム部芯金3の接続は、リム部芯金3の組付け部12における嵌入孔13とこれに対応する嵌入孔45に、かしめ止め用のリベットを嵌入させてかしめる、かしめ止めで行われる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のステアリングホイールでは、リム部芯金3とスポーク部芯金5の接続部に剛性強化部材6を設け、その剛性強化部材6により上記接続部に対し局所的に剛性強化を行う。剛性強化を行うことで、ステアリング芯金1の固有周波数が車体振動との共振周波数に近づいてしまうのを抑制することができるとともに、その際の剛性強化を部分的にとどめることで、ステアリング芯金1の軽量化を図ることができる。
【0034】
また、本実施形態では特に、上記接続部に重ね合わせるように組み付けられる剛性強化部材6を設けることで、剛性強化手段をより簡易に実現することができる。すなわち、上述したようにこの例では上記接続部の幅の数倍程度の長さで接続部を覆うのに足りるサイズの剛性強化部材6を付加するだけで、ステアリング芯金1の固有周波数を適切に調整することができる。
【0035】
また、本実施形態では特に、リム部芯金3は、略L字型の横断面形状を備えている。これにより、リム部芯金3へのスポーク部芯金5の強固な接続をより容易に行え、また剛性強化部材6による剛性強化をより効率的に行える。
【0036】
本発明の第2実施形態を図4図6により説明する。図4図6において、本実施形態のステアリング芯金51は、基本的には上述のステアリング芯金1と同一で、ステアリング芯金51における剛性強化手段の形成方式、具体的にはサイドスポーク部芯金5cの構成に相違があるだけである。したがって以下では、ステアリング芯金51の特徴的な構成、つまりサイドスポーク部芯金5cの特徴的な構成について主に説明する。そして、上記第1実施形態のステアリング芯金1と同等の部分は、図1図3と同一の符号を付し、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0037】
図4図6において、本実施形態のステアリング芯金51では、サイドスポーク部芯金5aのリム側接続端31に対応した位置となるように、サイドスポーク部芯金5cが剛性強化手段としての広幅リム側接続端52を備えている。広幅リム側接続端52の幅Wは、サイドスポーク部芯金5cの他の部位の幅wより広くなっている。そして、広幅リム側接続端52は、その広い幅Wにわたるリム部芯金3への接続により、リム部芯金3との接続部において上記第1実施形態と同様の剛性強化構造を形成する。つまり、広幅リム側接続端52を介した接続によって接続部の幅広化を図ることで、サイドスポーク部芯金5cとリム部芯金3の接続部に対し、ステアリング芯金51の固有周波数の適切な調整を可能とする局所的な剛性強化を行うことができる。この結果、ステアリング芯金1の固有周波数を適切に調整することができる。なお、広幅リム側接続端52によるリム部芯金3への接続は、第1実施形態におけるサイドスポーク部芯金5aのリム側接続端31による接続と同様のかしめ止めで行うことができるが、スポット溶接などの他の適切な手法で接続を行うこともできる。かしめ止めによる接続とする場合は、広幅リム側接続端52に、上記リム側接続端31におけるかしめ用突起34と同様のかしめ用突起を形成し、またリム部芯金3に上記第1実施形態における接続受け部11と同様な接続受け部を設定し、そこにかしめ止め用の嵌入孔を設ければ足りる。
【0038】
本実施形態の広幅リム側接続端52による剛性強化構造では、広幅リム側接続端52の幅Wが特に重要である。すなわち、幅Wが狭すぎると固有周波数の適切化を実現できず、一方、幅Wを広くし過ぎるとステアリング芯金51の軽量化を損なうことになる。こうしたことから、例えば幅Wを幅wの2〜4倍程度とする範囲が適切であり、図示の例では3倍程度としている。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のステアリングホイールによっても、上記第1実施形態と同様の効果を得る。リム部芯金3とスポーク部芯金5の接続部に剛性強化手段としての広幅リム側接続端52を設け、上記接続部に対し局所的に剛性強化を行う。剛性強化を行うことで、ステアリング芯金1の固有周波数が車体振動との共振周波数に近づいてしまうのを抑制することができるとともに、その際の剛性強化を部分的にとどめることで、ステアリング芯金1の軽量化を図ることができる。
【0040】
また、本実施形態では特に、広幅リム側接続端52を用いることにより、スポーク部芯金5の既存のリム側接続端を広幅リム側接続端に形状変更するだけ済む。したがって、上記第1実施形態のような新規部品の追加による部品点数の増加を招くことなく、ステアリング芯金1の固有周波数の適切な調整を行うことができる。
【0041】
また、本実施形態においても、リム部芯金3は略L字型の横断面形状を備えている。これにより、リム部芯金3へのスポーク部芯金5の強固な接続をより容易に行え、また広幅リム側接続端52による剛性強化をより効率的に行える。
【0042】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、これは代表的な例に過ぎず、本発明はその趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。例えば上記の形態では、ステアリング芯金における各部芯金(リム部芯金、ボス部芯金、スポーク部芯金)の接続や剛性強化部材の組付けをかしめ止めで行うようにしていたが、これに替えて他の適切な手法を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1,51 ステアリング芯金
3 リム部芯金
4 ボス部芯金
5 スポーク部芯金
6 剛性強化部材(剛性強化手段)
31 リム側接続端
52 広幅リム側接続端(剛性強化手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6