(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956858
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 43/46 20060101AFI20160714BHJP
B65B 43/30 20060101ALI20160714BHJP
B65B 51/14 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
B65B43/46 A
B65B43/30 A
B65B51/14
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-152892(P2012-152892)
(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公開番号】特開2014-15229(P2014-15229A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木下 文人
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−069101(JP,U)
【文献】
特表2006−509663(JP,A)
【文献】
特開昭56−131126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00−43/62
B65B 51/10−51/32
B65B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を備えた平面状の袋(5)を多数積重した袋ストッカ(10)と、前後方向へ移動できるとともに袋ストッカ(10)の前記袋(5)を1枚吸着する取出手段(20)と、この取出手段(20)を水平方向に往復移動可能な往復移動手段(30)と、水平方向に搬送した前記袋(5)の上部を狭持して袋(5)の両面を吸着する2つの狭持部材(41,42)および通電することで発熱する熱線(43)をそれぞれ備えた開口手段(40)とを備える包装機において、
前記狭持部材(41,42)の側方にガイド板(51,52)を配し、これらガイド板(51,52)に傾斜面(51a,52a)を形成して、吸着した前記袋(5)を前記狭持部材(41,42)へ案内する構造を備え、
前記袋(5)の搬送経路に沿って延びる固定板(60)を拡開した状態の前記狭持部材(41,42)の間に配するとともにこれら狭持部材(41,42)および前記取出手段(20)の下方に配してなることを特徴とする包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂からなる袋を1枚ずつ取出して、この袋内に所謂部品を投入した後、前記袋を熱溶着する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の包装機は、特許文献1に示すものが公知となっており、樹脂材からなる袋を多数重ねて貯留できる貯留部と、前記袋の中央付近を吸着可能な吸着手段と、この吸着手段を搭載した移載手段と、前記袋の上部を開口する開口手段とを備えてなる。前記袋は、透明の材質からなる薄いシートを折りたたみ長方形に形取られ、その一辺のみが開口するように底部と側部とがすでに熱溶着されて構成される。この袋は、多数重ねられており、その開口部分が全て上方を向くように前記貯留部に貯留されている。前記貯留部は、コ字型に成形されており、コ字の開口部が上方を向くように配される一方、コ字の底部には、前記袋の長方形よりも若干小さな面積からなる抜き穴が形成されている。前記吸着手段は、前記袋を吸着する吸盤を備えており、前後および左右方向に移動可能な移載手段に装着されている。前記移載手段は、前記吸着手段を左右方向に往復移動可能な第1移載手段と、前記吸着手段を前後方向に往復移動可能な第2移載手段とから構成されており、前記吸着手段を所定の位置へ移動できる。前記開口手段は、拡開・縮閉可能な対向する2つの狭持部材を具備しており、これら狭持部材には、前記袋を吸着する真空パッドおよび一瞬の通電により高熱を発する熱線がそれぞれ配され、前記袋の開口部を狭持して熱溶着可能に構成されている。
【0003】
次に、従来の包装機の作用について説明する。前記吸着手段は、前記移載手段により前方へ移載され、前記吸盤が前記貯留部に貯留された袋を前記抜き穴から1枚吸着する。この後、前記移載手段の駆動によって前記吸着手段が後退し、続いて前記袋を吸着したまま拡開状態の前記開口手段へ搬送する。搬送されると前記吸着手段が前進した後、前記開口手段は、前記狭持部材を縮閉して前記袋を狭持するとともに前記真空パッドによって前記袋の上部を両面から吸着する。この吸着が完了すると前記吸着手段が後退するとともに前記開口手段が前記狭持部材を拡開して前記袋の上端を開口する。その後、開口した袋内に所謂部品が投入されると、前記開口手段が狭持部材を縮閉して袋の上部を狭持するとともに、前記熱線により狭持した袋の上部を熱溶着して前記部品の袋詰めが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2012-33321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記袋を前記貯留部から取り出す場合、前記吸着手段は、前記袋の中央付近を吸着するため、吸着した袋を前記開口手段の狭持部材に搬送する際には、袋の四隅が大きくなびいてしまう。これにより、前記袋の吸着されない部位は、反るように変形したまま前記開口手段に搬送され、開口手段の入口である前記狭持部材の側面に変形した前記袋の上部が干渉する。さらに搬送が進むと、前記袋が沿った状態で前記開口手段へ搬送されるため、従来の包装機は、前記袋の上部を前記真空パッドによって吸着できず、前記開口手段の吸着異常が頻繁に発生する問題があった。また、前述のように前記袋の上部が前記狭持部材の側面に干渉したまま搬送されると、前記吸着手段は、前記開口手段の下方までスライドするため、場合によっては前記吸盤から吸着している前記袋が引き離され落下する問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて創成されたものであり、吸着した袋を水平方向へ移載しても、前記袋の開口部付近が大きく変形することなく確実に所定の位置へ搬送できる包装機の提供を目的とする。この目的を達成するために、本発明は、上面に開口部を備えた平面状の袋(5)を多数積重した袋ストッカ(10)と、前後方向へ移動できるとともに袋ストッカ(10)の前記袋(5)を1枚吸着する取出手段(20)と、この取出手段(20)を水平方向に往復移動可能な往復移動手段(30)と、水平方向に搬送した前記袋(5)の上部を狭持して袋(5)の両面を吸着する2つの狭持部材(41,42)および通電することで発熱する熱線(43)をそれぞれ備えた開口手段(40)とを備える包装機において、前記狭持部材(41,42)の側方にガイド板(51,52)を配し、これらガイド板(51,52)に傾斜面(51a,52a)を形成して、吸着した前記袋(5)を前記狭持部材(41,42)へ案内する構造を備え
、前記袋(5)の搬送経路に沿って延びる固定板(60)を拡開した状態の前記狭持部材(41,42)の間に配するとともにこれら狭持部材(41,42)および前記取出手段(20)の下方に配してなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の包装機1は、前記狭持部材41,42の側方に前記ガイド板51,52を配しているため、前記取出手段20によって吸着した前記袋5が反った場合であっても、前記ガイド板51,52で袋の反りが修正される。これにより、前記袋5は、その上部が異常に変形することなく、前記開口手段40に搬送されるため、開口手段40は、前記袋5の上部を吸着でき確実に袋5を開口できる。つまり、本発明の包装機1は、前記袋5の開口を従来に比べて確実に行えるため、前記開口手段40の吸着異常の発生が低減できる利点がある。しかも、本発明の包装機1は、前記ガイド板51,52により前記狭持部材41,42の側面を覆うように配しているため、従来のような吸盤22から袋5が引き離され落下するような不具合を低減できる利点もある。
【0008】
また、本発明の包装機1は、前記固定板60によって前記袋5の下部を沿うようにガイドしていため、前記袋5の下部に生じる反りを規制できる。この袋5は、その上部に反りが生じていても、前述のように下部の反りが減少することで上部の反りが小さくなる傾向にある。このため、袋5の上部に生じる反りは、前記固定板60を設置しない場合に比べて小さくなる。したがって、本発明の包装機1は、前記固定板60を設置しているため、袋5の上部に生じる反りの発生を従来に比べて抑制できる利点もある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1および
図2に基づいて、本発明の一実施例を説明する。本発明の包装機1は、樹脂材からなる袋5を多数重ねて貯留できる袋ストッカ10と、前記袋5を吸着可能な取出手段20と、この取出手段20を搭載した往復移動手段30と、前記袋5の上部を開口する開口手段40と、開口した前記袋5の内部に所望部品(図示せず)を案内する投入シュート65と、前記袋5の開口した部位を溶着する熱線43とを備えてなる。
【0011】
前記袋5は、透明の材質からなる薄いシートを折りたたみ長方形に形取られ、その一辺のみが開口するように底部と側部とがすでに熱溶着されて構成される。この袋5は、多数重ねられており、その開口部分が全て上方を向くように前記袋ストッカ10に貯留されている。
【0012】
前記袋ストッカ10は、コ字型に成形されており、コ字の開口部が上を向くように配される一方、コ字の底部には、前記袋5の長方形よりも若干小さな面積からなる抜き穴11が形成されている。
【0013】
前記取出手段20は、後述する往復移動手段30に装着されており、前記袋5を吸着する吸着面を備えた吸盤22と、この吸盤22の上部後方に配された当てボルト24と、この当てボルト24を備えたステー23と、前記吸盤22および前記ステー23をそれぞれ固定した可動ブロック21と、この可動ブロック21を前後方向に往復移載可能な直進駆動源25とから構成される。また、前記吸盤22は、その全長に渡って通気穴(図示せず)が設けられており、この通気穴は、前記吸着面と前記可動ブロック21に設けられた接続穴(図示せず)とが連通するように配されている。さらに、これら前記通気穴および前記接続穴が図示しない真空源の一例である真空ポンプあるいはエジェクタに接続されている。
【0014】
前記往復移動手段30には、板状の可動部31を具備しており、この可動部31に前記取出手段20が積載されている。また、前記可動部31は、水平方向に往復移動可能に構成されており、この往復移動により前記取出手段20を前記袋ストッカ10の正面あるいは後述する開口手段40の下方へ移載する。
【0015】
前記開口手段40は、前記狭持部材である摺動ブロック41と固定ブロック42とを備えており、前記摺動ブロック41には、前記袋5の上部に吸着する摺動パッド41a,41aがそれぞれ所定の間隔で横並びに配されている一方、前記固定ブロック42には、前記摺動パッド41a,41aに対向するように固定パッド42a,42aが配されている。前記摺動ブロック41には、2本のシャフト44,44が取り付けられており、これらシャフト44,44は、前記摺動パッド41a,41aの上方に配されている。前記固定ブロック42には、2本の前記シャフト44,44をそれぞれ挿通したボールブッシュ45,45が固定されており、これらボールブッシュ45,45が若干傾斜しているため、前記摺動ブロック41は、その自重で後退している。つまり、常時は前記摺動バッド41a,41aが前記固定パッド42a,42aから所定の距離を保って離れているため、前記摺動パッド41a,41aおよび前記固定パッド42a,42aの間に前記吸盤22に吸引された袋5の上部の入り込む隙間がある。なお、前記摺動パッド41a,41aおよび前記固定パッド42a,42aは、前記吸盤22と同様に袋5を吸着可能な構造となっており、吸盤22に接続された前記真空ポンプに接続されている。
【0016】
前記固定ブロック42には、前記ガイド板52が固定されており、前記固定ブロック42から張り出すように配される。このガイド板52は、薄板を曲げて所定の角度傾斜した傾斜面52aが形成されており、この傾斜面52aは、前記摺動ブロック41に向かって前記袋5の搬送経路を狭めるように傾斜している。また、傾斜面52aの端部は、前記固定パッド42a,42aの吸着面よりも若干張り出すように位置しており、ガイド板52は、固定ブロック42の側面を一部覆うように固定ブロック42の裏面にねじ止めされている。このため、
図2に示すように前記取出手段20に吸着された袋5の上部が反っていても、この反りが前記ガイド板52の傾斜面52aに沿って修正され、所定の位置まで袋5が搬送できる。
【0017】
一方、前記摺動ブロック41には、前記ガイド板51が固定されており、前記摺動ブロック41から張り出すように配される。このガイド板51は、薄板を曲げて所定の角度傾斜した傾斜面51aが形成されており、この傾斜面51aは、前記固定ブロック42に向かって前記袋5の搬送経路を狭めるように傾斜している。また、前記傾斜面51aの端部は、前記摺動パッド41a,41aの吸着面よりも若干張り出すように位置しており、ガイド板51は、摺動ブロック41の側面を一部覆うように摺動ブロックの裏面にねじ止めされている。このため、
図2に示す袋5の反りがガイド板51側に生じていても、この反りがガイド板51の傾斜面51aに沿って修正され、所定の位置まで袋5が搬送できる。
【0018】
また、前記固定板60は、前記袋5の水平方向の搬送経路に沿って延びるように形成されており、前記取出手段20の下方に配されるとともに
図2に示すように拡開している前記摺動ブロック41および前記固定ブロック42の隙間に位置するように配される。これにより、前記取出手段20に取り出された袋5の下方が前記往復移動手段30側に大きく反らないように規制されるため、この袋5の上部の反りもより生じにくくなる。
【0019】
前記投入シュート65は、その全長に渡って前記部品の落下穴が形成されており、この落下穴は、その上部が大きく開口している一方、下部に向かって狭くなっている。また、前記落下穴の下部は、前記固定ブロック42に接する程度まで接近する位置に配されるとともに、水平搬送された前記袋5の上端に触れないように袋5の上端よりも若干高い位置に配されている。
【0020】
前記熱線43は、一瞬の通電により高熱を発するように構成されており、前記開口手段40の前記固定ブロック42に配されている。また、この熱線43の装着面は、前記固定パッド42a,42aの先端位置とほぼ同一面に設定されている。
【0021】
次に、作用について説明する。前記直進駆動源25の作動とともに前記真空ポンプの作動により、前記取出手段20の吸盤22が周囲の空気を引き込みながら前方へ移載する。これにより、前記吸盤22は、前記抜き穴11に進入して前記袋ストッカ10の底の袋5の中央付近に当接するため、前記袋5を吸着して前記直進駆動源25が後退して袋5の取出が完了する。この時の状態が
図2に示した状態であり、前記固定板60によって前記袋5の下部が取出手段20側に大きく反らない。また、前記固定板60が設置されていない場合であれば、前記袋5は、
図2に示すように前記袋ストッカ10側あるいは前記取出手段20側に反る可能性がある。しかし、前記袋5が水平方向に搬送される際、反った袋5は、前記ガイド板51,52の前記傾斜面51a,52aによって反りを修正されながら前記開口手段40に進入して、反った部位が前記摺動ブロック41および前記固定ブロック42の側面に引っ掛からない。つまり、前記吸盤22から前記袋5が引き離されることがないため、搬送中の袋5の落下が低減する。このように、前記開口手段40に前記袋5を搬送した取出手段20は、前記直進駆動源25の作動により前進し、前記当てボルト24が前記摺動ブロック41を押し付けるため、前記摺動ブロック41は、前記固定ブロック42側へ摺動し、前記袋5の上部が挟み込まれる。このとき、前記摺動パッド41a,41aおよび前記固定パッド42a,42aのそれぞれの吸着面には負圧が生じているため、前記摺動パッド41a,41aおよび前記固定パッド42a,42aに狭持された前記袋5の上部が吸着される。次に、前記直進駆動源25の作動を受けて、前記取出手段20が後退するとともに、前記摺動ブロック41がその自重で拡開する方向に移動する。これにより、袋5は、その上部が開口した状態となり、前記投入シュート65から投入される所謂部品を袋5内に留めることができる。なお、前記袋5の上部の吸着状態は、前記摺動パッド41a,41aおよび前記固定パッド42a,42aの吸着面に働く負圧によって判断できるため、この負圧を測定することで前記袋5の開口状態が分かる。仮に、前記負圧が所定の範囲内で無ければ、前記直進駆動源25が前進し、所定の負圧が得られるまで袋5の開口を行う。このように、前記袋5が正しく開口され、前記部品が袋5内に投入されると、前記直進駆動源25が前進し、再び袋5を開口手段40で狭持するとともに、前記熱線43によって、袋5の開口部の熱溶着が行われる。この熱溶着が完了すると、前記直進駆動源25が後退するとともに前記真空ポンプが停止して、袋5の狭持および吸着が解かれ、袋詰めされた製品が落下して図示しない取出箇所へ排出される。
【符号の説明】
【0022】
1 包装機
5 袋
10 袋ストッカ
11 抜き穴
20 取出手段
22 吸盤
24 当てボルト
25 直進駆動源
30 往復移動手段
40 開口手段
41 狭持部材(摺動ブロック)
41a 摺動パッド
42 狭持部材(固定ブロック)
42a 固定パッド
43 熱線
51 ガイド板
51a 傾斜面
52 ガイド板
52a 傾斜面
60 固定板