(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判別領域内は複数の小領域に分けられ、前記判別部では、さらに前記基点が位置する第1の小領域から前記特定領域を平行に横切る側に隣接する第2の小領域内に前記指示体が移動したことを前記条件の一つとする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の入力装置。
前記判別部では、さらに、前記指示体が前記判別領域を抜けるまでの期間、前記指示体が前記判別領域を抜けてからの移動距離、前記指示体の前記移動点までの加速度、前記指示体の前記入力操作面上での接触面積の大きさ、前記接触面積の変化のうち1つ以上を前記条件として加える請求項14記載の入力装置。
前記領域作成部では、前記基点を中心として半径r1からなる円形状の前記判別領域を作成し、前記判別部では、前記指示体の移動距離が前記半径r1以上であることを条件とする請求項14又は15に記載の入力装置。
前記領域作成部では、少なくとも前記基点を中心にした第1の小領域と、前記第1の小領域に隣接し前記基点から前記特定領域を平行に横切る方向に位置する第2の小領域とを有するように前記判別領域を、複数の小領域に分割して作成し、
前記判別部では、前記指示体の前記基点から判別ポイントとなる移動点が前記第2の小領域に位置すること、前記基点から前記移動点までの移動期間を、前記条件とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の入力装置。
前記領域作成部では、各小領域の前記特定領域を平行方向に横切る方向への幅寸法をT1、前記横切る方向と直交する方向の長さ寸法をL1としたとき、前記指示体が第1の小領域内の前記基点から前記第2の小領域へ移動したときの前記平行方向からの最大角度が所定の角度θ以下となるように、前記幅寸法T1及び前記長さ寸法L1を調整する請求項17記載の入力装置。
前記判別部では、さらに、前記指示体の前記基点から前記移動点までの加速度、前記移動点からさらに指示体が移動したときの移動距離、あるいは、前記指示体の前記入力操作面上での接触面積、または前記接触面積の変化のうち1つ以上を前記条件として加える請求項17又は18に記載の入力装置。
前記判別部では、前記条件を、仮確定条件とし、前記指示体が前記入力操作面から離れたことを確定条件として、前記仮確定条件を満たした後、前記確定条件が成立したときに前記実行信号が出力される請求項1ないし21のいずれか1項に記載の入力装置。
前記所定機能の実行をキャンセルさせるためのキャンセル条件が設定されており、前記仮確定条件を満たした後、前記キャンセル条件が成立する前に、前記確定条件が成立したとき前記実行信号が出力される請求項22記載の入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、表示画面上に特定機能を実行させるための操作性を従来よりも向上させた入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における入力装置は、1以上の特定領域を有し、指示体により操作可能とされ、表示画面とは別に設けられた入力操作面と、
前記指示体の操作位置を検知する検知部と、
前記指示体の操作位置が前記特定領域内にあることを検知したとき、前記操作位置を基点として前記特定領域とは異なる判別領域を作成する領域作成部と、
前記指示体が前記判別領域内を通って移動した際の前記基点からの移動方向が、少なくとも前記特定領域を略平行にあるいは斜めに横切る方向線上にあることを前記表示画面上で所定機能を実行させるための条件として判別する判別部と、を有し、
前記判別領域は、前記基点の周囲を取り囲む形状に画定されており、
前記判別部にて前記条件を満たしていると判別したときに、信号生成部から前記所定機能を実行させるための実行信号が出力されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明ではまず特定領域が入力操作面内に設定されており、この特定領域内に指示体があることを検知したときに、指示体の操作位置を基点として判別領域を作成するものである。
【0011】
例えば特許文献1では、予め、隣接する複数の特定領域を入力操作面の四隅に設けており、隣接する特定領域内を移動する指示体の操作状態に応じて所定機能を実行させていた。これに対し本発明では、特定領域内に入った指示体の操作位置を基点として新たに領域(判別領域)を作り、この判別領域を指示体が移動した方向が、特定領域を横切る方向である場合に所定機能を実行させている。
【0012】
本発明では指示体が最初、特定領域のどこを操作しても、その操作位置を基点として判別領域を作成して所定機能を実行させることが可能であるから簡易な操作性を実現できる。また容易に判別領域の大きさを調整するなどでき、所定機能を実行させるための操作感度を自由に且つ簡単に調整することが可能になる。また本発明では指示体を判別領域内のどの方向に移動させても所定機能が実行されるわけでなく、特定領域を平行にあるいは斜めに横切る方向に指示体が移動したことを表示画面上で所定機能を実行させるための条件とした。これにより誤作動を抑制でき、また操作者にとって特定領域を横切る方向への操作は直感的に行いやすい。したがって本発明によれば従来に比べて表示画面上に所定機能を実行させるための操作性を向上させることが可能になる。
【0013】
本発明では、前記入力操作面は、互いに平行な左端部及び右端部と、前記左端部及び右端部に直交し互いに平行な前端部及び後端部とに囲まれており、
前記特定領域は、前記左端部、前記右端部、前記前端部、及び前記後端部の少なくともいずれか1つに隣接して設けられており、
前記左端部に隣接して設けられた前記特定領域を略平行に横切る方向は右方向であり、前記右端部に隣接して設けられた前記特定領域を略平行に横切る方向は左方向であり、前記前端部に隣接して設けられた前記特定領域を略平行に横切る方向は後方向であり、前記後端部に隣接して設けられた前記特定領域を略平行に横切る方向は前方向であることが好ましい。このように入力操作面の端部に沿って特定領域を設けることで、特定領域の長さ寸法を長く形成でき、また特定領域を平行に横切る方向を操作者は直感的に認識しやすい。したがって効果的に操作性を向上させることができる。
【0014】
また本発明では、前記判別領域の形状は、前記特定領域の形状及び面積に依存しないことが好ましい。これにより基点の位置に関わらず、判別領域を任意の、あるいは所定の面積(大きさ)で形成でき、安定した判別精度を得ることができる。
【0016】
また本発明では、前記基点は、前記判別領域の中点に位置する構成にできる。判別領域の作成を容易化できる。
【0017】
また本発明では、前記判別領域は、円形状で作成されることが好ましい。これにより判別領域の作成を容易化できる。また、判別部にて、所定機能を実行させるか否かの判別条件を簡単に得やすい。あるいは、前記判別領域を、矩形状で形成してもよい。
【0018】
また本発明では、前記判別部では、前記指示体が前記基点から所定距離以上移動したことを前記条件の一つにできる。
【0019】
また本発明では、前記判別部では、前記所定距離に至る期間を前記条件の一つにできる。
【0020】
また本発明では、前記判別部では、前記指示体の移動速度を前記条件の一つにできる。
また本発明では、前記判別部では、前記指示体の移動方向が前記特定領域を平行に横切る方向から所定角度θ内にあることを条件の一つにできる。
【0021】
また本発明では、前記判別部では、前記指示体が前記判別領域を抜けてからの移動距離を前記条件の一つにできる。
【0022】
また本発明では、前記判別領域内は複数の小領域に分けられ、前記判別部では、さらに前記基点が位置する第1の小領域から前記特定領域を平行に横切る側に隣接する第2の小領域内に前記指示体が移動したことを前記条件の一つにできる。
また本発明では、前記判別部では、前記指示体の加速度を前記条件の一つにできる。
【0023】
このように所定機能を実行させるための条件を複数用いることで誤作動を抑制できる。また条件の組み合わせにより、所定機能の実行条件を厳しくしたり、あるいは緩やかにでき、自由な調整が可能になり、操作者にあった操作性を実現できる。
【0024】
また本発明では、前記領域作成部では、前記判別領域を円形状で作成し、
前記判別部では、前記指示体の前記基点から判別ポイントとなる移動点までの移動ベクトルを、前記特定領域を平行に横切る平行ベクトル成分と平行方向と直交する垂直ベクトル成分とに分けたとき、前記平行ベクトル成分が前記垂直ベクトル成分よりも大きいこと、前記指示体の移動距離が所定値以上であること、前記移動ベクトルの前記平行方向からの角度θ1が所定角度θ以内であることを、全て前記条件とすることができる。
【0025】
このとき、前記判別部では、さらに、前記指示体が前記判別領域を抜けるまでの期間、前記指示体が前記判別領域を抜けてからの移動距離、前記指示体の前記移動点までの加速度、前記指示体の前記入力操作面上での接触面積、前記接触面積の変化のうち1つ以上を前記条件として加えることができる。
【0026】
また本発明では、前記領域作成部では、前記基点を中心として半径r1からなる円形状の前記判別領域を作成し、前記判別部では、前記指示体の移動距離が前記半径r1以上であることを条件とすることができる。
【0027】
あるいは本発明では、前記領域作成部では、少なくとも前記基点を中心にした第1の小領域と、前記第1の小領域に隣接し前記基点から前記特定領域を平行に横切る方向に位置する第2の小領域とを有するように前記判別領域を、複数の小領域に分割して作成し、
前記判別部では、前記指示体の前記基点から判別ポイントとなる移動点が前記第2の小領域に位置すること、前記基点から前記移動点までの移動期間を、前記条件とすることができる。
【0028】
上記において、前記領域作成部では、各小領域の前記特定領域を平行方向に横切る方向への幅寸法をT1、前記横切る方向と直交する方向の長さ寸法をL1としたとき、前記指示体が第1の小領域内の前記基点から前記第2の小領域へ移動したときの前記平行方向からの最大角度が所定の角度θ以下となるように、前記幅寸法T1及び前記長さ寸法L1を調整することができる。
【0029】
また前記判別部では、さらに、前記指示体の前記基点から前記移動点までの加速度、前記移動点からさらに指示体が移動したときの移動距離、あるいは、前記指示体の前記入力操作面上での接触面積、または前記接触面積の変化のうち1つ以上を前記条件として加えることができる。
【0030】
また本発明では、前記領域作成部では、各小領域を同一の矩形状で作成し、複数の前記小領域をマトリクス状に配置することが可能である。
【0031】
あるいは、前記領域作成部では、少なくともいずれか1つの前記小領域を、残りの前記小領域と異なる大きさ、あるいは異なる形状で形成することも可能である。
【0032】
また本発明では、前記判別部では、前記条件を、仮確定条件とし、前記指示体が前記入力操作面から離れたことを確定条件として、前記仮確定条件を満たした後、前記確定条件が成立したときに前記実行信号が出力される構成にできる。このように、指示体が操作面から離れたことを最終的な確定条件とすることで、指示体を操作面上から離さずに操作する別の機能の実行と、本発明における所定機能の実行とを明確に区別することができ、機能実行の制御性を向上させることができる。
【0033】
また上記において、前記所定機能の実行をキャンセルさせるためのキャンセル条件が設定されており、前記仮確定条件を満たした後、前記キャンセル条件が成立する前に、前記確定条件が成立したとき前記実行信号が出力される構成にできる。仮に、仮確定条件を満たした後、指示体を操作面上から離したとしても、その間にキャンセル条件が満たされることで、所定機能の実行をキャンセルすることができる。これにより誤作動を抑制でき、または所定機能以外の別の機能の実行を妨げないように制御できる。
【0034】
また本発明では、前記キャンセル条件は複数あり、少なくともいずれか1つの前記キャンセル条件が成立したときに前記所定機能の実行をキャンセルすることができる。これにより不用意に所定機能が実行されてしまうなどの不具合を抑制できる。
【0035】
本発明では、少なくとも前記入力操作面の前記特定領域以外の非特定領域上での操作は、前記表示画面上に表示されるカーソルと関連付けられている構成に好ましく適用できる。
【0036】
また本発明では、前記実行信号は、前記指示体の操作位置を検知した前記特定領域と対応する前記表示画面の位置にて前記所定機能を実行させるものであることが好ましい。これにより所定機能を立ち上げるための操作を直感的に認識しやすい。
【0037】
また本発明では、前記所定機能が実行された後、前記指示体が前記特定領域上に位置していることを検出することで別機能が実現される構成にできる。
【0038】
また本発明では、前記所定機能が実行された後、前記指示体の所定の移動状態を検知することで、別機能が実現される構成にできる。
【0039】
また本発明では、前記所定機能とは表示画面にメニュー画面、アプリケーション、あるいはウィンドウを表示または起動させる構成にできる。
【0040】
また本発明における電子機器は、上記に記載された入力装置と、前記入力装置からの実行信号を受け取る機器本体と、前記表示画面を備える表示装置とを有することを特徴とするものである。これにより所定機能を実行させるための操作性に優れた電子機器にできる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の入力装置によれば、指示体が最初、特定領域のどこを操作しても、その操作位置を基点として判別領域を作成して所定機能を実行させることが可能であるから簡易な操作性を実現できる。また容易に判別領域の大きさを調整するなどでき、所定機能を実行させるための操作感度を自由に且つ簡単に調整することが可能になる。したがって本発明によれば従来に比べて所定機能を実行させるための操作性を向上させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は本発明の入力装置を搭載したノートブック型のパーソナルコンピュータ(PC)を示す斜視図である。
【0044】
図1に示すパーソナルコンピュータ(電子機器)1は、機器本体2と蓋体部3とが折り畳み可能に連結されている。機器本体2の表面の操作盤には、キーボード装置4と、平面型の入力装置5等が設けられている。前記蓋体部3の手前側の面には、表示画面6を備える表示装置38が設けられている。
【0045】
平面型の入力装置5は、平面状の入力パッド18と、その右下に位置している右ボタン8と、左下に位置する左ボタン9を有している。なお、右ボタン8および左ボタン9は、本実施形態の入力装置5を構成する上において必須の部材ではない。
【0046】
図13に示すように、入力パッド18は、入力操作面7と検知部10を備えており、入力操作面7上を指(指示体)で操作したときに操作位置を検知可能な検知部10を備える。検知部10は例えば静電容量式センサであり、指を入力操作面7上で操作したときに変化する容量変化に基づいて操作位置の平面座標を知ることができる。
【0047】
このため指で入力操作面7上を操作すると、その操作信号が機器本体2に送られ、表示装置の表示画面6では、カーソル(マウスポインタ)15を、指の操作と連動して動かすことができる。
【0048】
図2に示すように、本実施形態の入力操作面7内には単数あるいは複数の特定領域20〜23が設定されている。
【0049】
図2に示すように入力操作面7は、前後方向(Y1−Y2)に沿って延出し、左右方向(X1−X2)に間隔を空けて配置された左端部7a及び右端部7bと、左右方向(X1−X2)に沿って延出し、前後方向(Y1−Y2)に間隔を空けて配置された前端部7c及び後端部7dで囲まれている。
【0050】
そして特定領域20は左端部7aに沿って前後方向(Y1−Y2)に向けて所定幅の細長い形状で作成されている。また、特定領域21は右端部7bに沿って前後方向(Y1−Y2)に向けて所定幅の細長い形状で作成されている。また、特定領域22は前端部7cに沿って左右方向(X1−X2)に向けて所定幅の細長い形状で作成されている。また、特定領域23は後端部7dに沿って左右方向(X1−X2)に向けて所定幅の細長い形状で作成されている。
【0051】
図2では、入力操作面7内に4つの特定領域20〜23が示されているが、1つ〜3つでもよいし、4つより多くてもよい。例えば
図2に示す入力操作面7の左後端側の角部7eの位置から2つの端部(左端部7a及び後端部7d)方向に沿って特定領域が形成されていてもよい。また
図2に示す各特定領域20〜23が複数に分離されていてもよい。ただし本実施形態に示すように、左端部7a,右端部7b,前端部7c及び後端部7dのいずれか一つの辺に沿って細長い特定領域を作成することが好ましい。
【0052】
図3(a)では、入力操作面7内には、その右端部7bに隣接した特定領域21が設けられている。特定領域21の範囲は、対角線上にある2つの頂点(角)の座標(a1,b1)、(A1,B1)で決定される。本実施形態では、例えば、特定領域21の幅寸法t及び長さ寸法lを任意に決定することができる。ここで幅寸法tとは
図2,
図3(a)で示すように特定領域が細長い形状であれば寸法の短い側の辺の大きさを指す。なお特定領域の形状や大きさ等にかかわらず、
図2のように左端部7aや右端部7bに隣接、あるいは左端部7aや右端部7bに近接(各端部7a,7bとの間に隙間が空いている)した特定領域20,21の幅方向は左右方向(X1−X2)である。また前端部7cや後端部7dに隣接、あるいは前端部7cや後端部7dに近接(各端部7c,7dとの間に隙間が空いている)した特定領域22,23の幅方向は前後方向(Y1−Y2)である。
【0053】
本実施形態では、特定領域の形状を限定するものではないが、
図2や
図3等で示すように細長い矩形状とすることが望ましい。また入力操作面7内における特定領域の作成場所も限定するものでないが、
図2や
図3等に示すように、入力操作面7の各辺(各端部)に隣接あるいは近接させることが好ましい。これにより操作性の向上を図ることができる。
【0054】
図2のように特定領域20〜23を配置することで、入力操作面7の中央領域7fは非特定領域となり、中央領域7f(非特定領域)上を指で操作したときに
図1に示すカーソル15を移動させることが可能である。
【0055】
続いて特定領域を平行に横切る方向について説明する。平行に横切るとは、各特定領域と非特定領域との境界ライン20a〜23aに直交し、入力操作面7の内側に向う方向を指す。なお特定領域を矩形状以外の多角形状や外周が曲面状などとして前記境界ラインが左右方向(X1−X2)あるいは前後方向(Y1−Y2)と平行でない場合には、特定領域の中心(重心)から左右方向(X1−X2)あるいは前後方向(Y1−Y2)と平行で且つ、その方向が入力操作面7の内側に向う方向である。
【0056】
図2に示す特定領域20に対する「略平行に横切る方向」は右方向(X2)であり、特定領域21に対する「略平行に横切る方向」は左方向(X1)であり、特定領域22に対する「略平行に横切る方向」は後方向(Y2)であり、特定領域23に対する「略平行に横切る方向」は前方向(Y1)である。「略」とは誤差を含む微小なずれを許容する概念である。例えば上記した境界ラインが若干、左右方向(X1−X2)あるいは前後方向(Y1−Y2)からずれているような場合であっても、「平行に横切る方向」を、左右方向(X1−X2)あるいは前後方向(Y1−Y2)にて規定することができる。
【0057】
各特定領域20〜22を
図13に示す制御部11内の領域作成部(領域作成手段)12で作成できる。このとき各特定領域20〜22は製造段階で予め決められていてもよいし、入力パッド18の操作者が任意に特定領域の形状、大きさ、及び作成場所を選択できるようにしてもよい。
【0058】
今、
図3(a)に示すように指F(指示体)が特定領域21内に存在したとする。このとき、
図13に示す検知部10にて指Fの操作位置F1を知ることができる。
【0059】
本実施形態では、
図3(b)に示すように、指Fの操作位置F1を基点(以下、基点F1と称することがある)として、
図13の領域作成部12にて判別領域25が作成される。
【0060】
図3(b)では判別領域25が円形状で作成される。判別領域25の中心に基点F1が存在する。よって判別領域25は中心(基点F1)から半径r1で形成される(
図4も参照)。
【0061】
半径r1の大きさを操作者が任意に選択できるようにしてもよい。半径r1の大きさは後述する所定機能を実行させるための感度に関わり、操作者の使いやすいように自由に感度変更を可能とする。
【0062】
図3(b)では、操作者が指Fを特定領域21を略平行に横切る方向の左方向(X1)あるいは左方向から斜めに傾いた方向に操作したとする。
【0063】
図4は
図3(b)に示す判別領域25の拡大図である。
図4に示すように、操作者は指を最初の操作位置(基点F1)から判別ポイントとなる点(移動点)F2まで移動させている。
【0064】
このとき
図4では、基点F1から移動点F2までの移動方向mが、特定領域21を横切る方向(左方向X1)と平行な方向から角度θ1だけ斜めに傾いた線上にある。すなわち移動方向mは、特定領域21を斜めに横切る線上である。
【0065】
本実施形態では、このように、指(指示体)Fが判別領域25内を通って移動した際の基点F1からの移動方向mが、特定領域21を略平行にあるいは斜めに横切る方向線上にあることを、表示画面6上で所定機能を実行させるための条件とする。
【0066】
図13に示す制御部11内に含まれる判別部(判別手段)13にて、指の移動方向mが特定領域21を略平行にあるいは斜めに横切る方向線上であるか否かを判別する。移動点F2のXY座標は検知部10より知ることができるため、基点F1及び移動点F2のXY座標から移動方向mを知ることができる。
【0067】
判別部13にて条件を満たすことがわかったら、所定機能を実行させるための実行信号を制御部11の信号生成部14にて生成し、実行信号を機器本体2へ送信する。
【0068】
実行信号は例えば
図16に示した経路により送受信される。例えば
図17に示すように機器本体2では、インターフェイスとしてI
2Cバス及びPS/2バスがサポートされるが、
図17(a)では入力装置5にはI
2Cコネクタが内蔵され、I
2Cバスを介して信号の送受信を行うことができる。また
図17(b)では、入力装置5にはPS/2コネクタが内蔵され、PS/2バスを介して信号の送受信を行うことができる。また
図17(c)では、入力装置5にはI
2Cコネクタ及びPS/2コネクタの双方が用いられ、図ではI
2Cバスを介して信号が送受信されている。信号によってI
2CかPS/2またはいずれもが選択される。なお
図16,
図17に示す入力装置5と機器本体2間での信号の経路は一例である。
【0069】
図13に示すように、機器本体2に内蔵されたオペレーティングシステム(OS)26により表示ドライバー27が制御されて、表示装置38の表示画面6に各種情報が表示される。
【0070】
本実施形態では例えば、入力操作面7内の右端部7bに隣接して作成された特定領域21を指Fで操作し、
図3(b)、
図4で説明したように指の操作位置を基点F1とした判別領域25を
図13の領域作成部12にて作成し、この判別領域25内を指が通る移動方向mが特定領域21を横切る右方向(X1)あるいは斜めに横切る方向であると判別部13で判別したとき、信号生成部14で実行信号が生成される。
【0071】
そしてこの実行信号に基づいて
図10に示すように表示画面6の右端部6bに例えばメニュー画面30を表示させる(開く)所定機能が実行される。メニュー画面30としてはスタートメニューなどがある。メニュー画面とは、表示画面6に各種機能を実現するための画面に切り替えるためのアイコン画像やウィンドウ等が表示された画面である。あるいは、アプリケーション、ウィンドウを表示させたり、あるいは各種表示体を起動させることができる。
【0072】
図10に示すように表示画面6に表示されたカーソル15の位置にかかわらず、本実施形態では、特定領域21での指の操作に基づいてメニュー画面30を表示させることができる。例えばメニュー画面30が表示されたら、カーソル15が自動的にメニュー画面30内に移動するように制御してもよい。
【0073】
さて上記では、所定機能を実行させる条件として、指(指示体)が判別領域25内を通って移動した際の基点F1からの移動方向mが、特定領域21を略平行にあるいは斜めに横切る方向線上にあることとしたが、ほかに条件を加えることで、所定機能の実行条件を厳しくしたり、あるいは緩やかにでき、自由な感度調整が可能になり、操作者にあった操作性を実現できる。また下記に説明する複数の条件を用いることで誤作動を抑制できる。
【0074】
例えば
図3,
図4に示す第1の実施形態では、判別条件として以下の条件を設定することができる。
【0075】
条件1:基点F1から移動点F2までの移動ベクトルを、特定領域21を略平行に横切る方向(X1)への平行ベクトル成分v1と、前記横切る方向(X1)に対して垂直の垂直ベクトル成分v2とに分けたとき、平行ベクトル成分v1が垂直ベクトル成分v2よりも大きいこと。
【0076】
この条件1は、移動方向mが、特定領域21を略平行にあるいは斜めに横切る方向線上にあることを意味する。
【0077】
条件2:指の移動距離が設定した閾値以上であること。
ここでは閾値を半径r1と設定できる。すなわち移動点f2が判別領域25の外にとび出していることを条件とする。
【0078】
条件3:平行ベクトル成分v1(横切る方向(X1)と平行方向)と移動方向mとの成す角度θ1が所定角度θ内であること。
【0079】
条件1で、移動方向mが特定領域21を略平行にあるいは斜めに横切る方向線上にあることを条件としたが、斜め方向への移動角度の上限値を規定することで、誤作動を小さくできる。
【0080】
条件4:指が判別領域25を抜けるまでの移動時間が所定時間T(msec)以上であること。
【0081】
すなわち、指を相当に速く動かす動作は、所定機能を実行させる動作でなく、操作者の誤操作または所定機能を実行させる意図での動作ではないと規定する。
【0082】
ただし、上記では移動時間を所定時間T以上と規定したが、例えば移動時間を所定時間以下、あるいは移動時間を下限値と上限値を有する所定時間の範囲内と規定することもできる。すなわち指示体をある程度の速さで動かすことで所定機能を実行させるように規定する。
【0083】
なお、時間に変えて、指が判別領域25を抜けるまでのフローのポーリング回数が所定数以上、あるいは所定数以下、または所定範囲内であると規定することができる。本明細書における「期間」とは、「時間」や「ポーリング回数」を含む概念である。
【0084】
条件5:指が判別領域25を抜けてからの距離がZ(count)以上であること。ここでいう距離Zは、移動方向mと判別領域25の外周との交点から判別ポイントとなる移動点F2までの距離m1で規定してもよいし、あるいは移動点F2よりもさらに指が移動している場合には、さらに移動した位置で測定してもよい。
【0085】
条件6:基点F1から移動点F2までの指の加速度がA(V/m)以内であること。この加速度についても、上記した条件4と同様に、加速度の下限値を規定することもできるし、加速度の下限値及び上限値(範囲)を規定することもできる。なお加速度は基点F1からでなく一定距離移動してから測定されてもよい。
【0086】
条件7:指(指示体)の入力操作面7での接触面積がB(count)以上であること。すなわち指の先端での接触ではなく、例えば指を寝かせた状態で接触させる、または指を強く押し付けるなどして接触面積を高めた状態でのみ、所定機能を実行させるように規定する。
なお接触面積については下限値のみならず上限値も設定することができる。
【0087】
条件8:指(指示体)の入力操作面7での接触面積の変化率が所定値以下であること。すなわち、本実施形態では、
図3に示すように指Fを入力操作面7上でスライド操作させる際の指の接触面積は大きく変化しない。したがって、指の接触面積の変化率が小さいことを条件とする。
【0088】
図5のフローチャートで示すように、初期条件は、まず指(指示体)が特定領域21内にあるか否かを判断する。もし指が特定領域21内にないと判断されれば、ポインティング機能が発揮され、指の動きに連動して表示画面6上のカーソル15を移動させることができる。
【0089】
初期条件を満たしたと判断すると、続いて、制御部11の領域作成部12にて、指の位置を基点F1として円形状の判別領域25を作成する。指が判別領域25内を通り、判別ポイントとなる移動点F2まで移動したときに、制御部11に設けられた判別部13では、上記した条件1〜8を順に満たしているか否か判別する。条件1〜8を全て満たしていると判別した場合に、制御部11の信号生成部14では表示画面6上で所定機能を実行させるための実行信号を生成し、機器本体2側に送る。機器本体2側では実行信号に基づいて、例えば
図10に示したように、表示画面6上にメニュー画面30を表示する(開く)、所定機能を実行する。
【0090】
図5に示したように、条件1〜条件8のいずれか一つでも満たしていない場合にはポインティング機能を実行する。
【0091】
さて、
図5の条件1〜8の順番は一例である。重要度等に応じて製造者側で設定変更でき、あるいは操作者側で適宜変更できるようにしてもよい。また順番は特に規定されずランダムな順番で各条件を判断してもよい。
【0092】
また条件1〜条件8全てを満たすことを、所定機能の実行条件としなくてもよい。例えば条件1〜3は必須条件とし、条件5,6,7,8は選択条件とすることができる。かかる場合、少なくとも条件1〜3を満たせば、所定機能を実行させることができる。もちろん、条件1〜8のうちいずれか1つのみを必須条件とすることも可能であるが、少なくとも条件1,2,3で規定した距離と角度に関する条件を含めることが好ましい。
【0093】
また、操作は指一本でなく複数本とすることもできる。例えば、特定領域20と特定領域21の双方に対して指で操作した場合に所定機能が実行されたり、あるいは同じ特定領域内にて複数本の指の操作により、所定機能が実行されるように制御することができる。なお、複数本の指での操作は次に説明する
図6やそれ以外の構成においても同様に可能である。
【0094】
あるいは、指での操作は一本に限定し、複数本での操作を無効とすることも可能である。
【0095】
図6は、第2実施形態の入力装置における入力操作面の平面図であり、
図6(a)は、操作者の指が入力操作面の特定領域内を入った状態を示す平面図、
図6(b)は、特定領域内に指の存在が検知されたことを受けて、判別領域が作成された状態を示す平面図である。
【0096】
図6(a)では、入力操作面7内の左端部7aに隣接した特定領域20が設けられている。特定領域20の範囲は、対角線上にある2つの頂点(角)の座標(a2,b2)、(A2,B2)で決定される。
【0097】
図6(a)では、指(指示体)が特定領域20内に位置している。
図6(a)に示すF3は指の操作位置であり、操作位置F3のXY座標を
図13に示す検知部10で知ることができる。
【0098】
指が特定領域20内にあることを検知したら、
図13に示す領域作成部12で操作位置F3を基点(以下、基点F3と称する場合がある)として判別領域40を作成する。
【0099】
図6(b)に示すように判別領域40は矩形状である。
図6(b)に示すように判別領域40は複数の小領域41〜49に分割されている。各小領域41〜49は同一の矩形状である。
【0100】
各小領域41〜49の左右方向(X1−X2)の幅寸法はT1で、前後方向(Y1−Y2)の長さ寸法はL1である。
【0101】
図6に示すように判別領域40は9つの小領域41〜49に分割されている。
図6(a)(b)に示すように、各小領域41〜49は行方向に3行、列方向に3列としたマトリクス状に配置される。
【0102】
図6(b)に示すように、各小領域41〜49の真ん中に配置された第1の小領域45の中心が基点F3である。基点F3から右方向(X2)が特定領域20を略平行に横切る方向であり、第1の小領域45の右側に隣接する小領域を第2の小領域46とする。
【0103】
図6に示す第2の実施形態において、表示画面6上に所定機能を実行させる条件を例えば以下のように設定する。
【0104】
条件1:移動点F4が第2の領域46内にあること。
この条件1を満たすには、基点F3から移動点F4までの移動ベクトルを、特定領域20を略平行に横切る方向(X2)への平行ベクトル成分v3と、前記横切る方向(X1)に対して垂直の垂直ベクトル成分v4とに分けたとき、平行ベクトル成分v3(指(指示体)の移動距離)がT1/2以上であること。
【0105】
また、各小領域の長さ寸法L1を調整する。すなわち長さL1を大きくすれば、第1の小領域45から第2の小領域46へ進入可能な最大進入角度θが大きくなり、長さL1を小さくすれば、最大進入角度θが小さくなる。したがって長さ寸法L1を調整することで、最大進入角度θを調整することができる。
【0106】
条件2:基点F3から判別ポイントである移動点F4を検出するまでの移動時間が所定時間W(msec)以上であること。
【0107】
すなわち、指を相当に速く動かす動作は、所定機能を実行させる動作でなく、操作者の誤操作と規定する。
【0108】
ただし、上記では移動時間を所定時間W以上と規定したが、例えば所定時間以下、あるいは所定時間の下限値及び上限値(範囲)を規定することもできる。すなわち指(指示体)をある程度の速さで動かすことで所定機能を実行させるように規定する。
【0109】
なお時間に変えて、基点F3から判別ポイントである移動点F4を検出するまでのフローのポーリング回数が所定数以上、あるいは所定数以下、または所定範囲内であると規定することができる。
なお条件1と条件2との組み合わせは、移動速度を条件としたのと同じである。
【0110】
条件3:移動点F4からさらに指の移動距離がZ(count)以上であること。
【0111】
条件4:基点F3から移動点F4までの指の加速度がA(V/m)以内であること。この加速度についても、上記した条件2と同じように、加速度の下限値を規定することもできるし、加速度の下限値及び上限値(範囲)を規定することもできる。なお加速度は基点F3からでなく一定距離移動してから測定されなくてもよい。
【0112】
条件5:指の接触面積がB(count)以上であること。すなわち指の先端での接触ではなく、例えば指を寝かせた状態で接触させる、または指を強く押し付けるなどして接触面積を高めた状態でのみ、所定機能を実行させるように規定する。
なお接触面積については下限値のみならず上限値も設定することができる。
【0113】
条件6:指(指示体)の入力操作面7での接触面積の変化率が所定値以下であること。すなわち、本実施形態では、
図6(b)に示すように指Fを入力操作面7上でスライド操作させるだけであるため、指の接触面積は大きく変化しない。したがって、指の接触面積の変化率が小さいことを条件とする。
【0114】
図7のフローチャートで示すように、初期条件は、まず指(指示体)が特定領域20内にあるか否かを判断する。もし指が特定領域20にないと判断されれば、ポインティング機能が発揮され、指の動きに連動して表示画面6上のカーソル15を移動させることができる。
【0115】
初期条件を満たしたと判断すると、続いて、制御部11の領域作成部12にて、指の位置を基点F3として複数の小領域に分割した矩形状の判別領域40を作成する。指が判別領域40内を通り、判別ポイントとなる移動点F4まで移動したときに、制御部11に設けられた判別部13では、上記した条件1〜6を順に満たしているか否か判別する。条件1〜6を全て満たしていると判別した場合に、制御部11の信号生成部14では表示画面6上で所定機能を実行させるための実行信号を生成し、機器本体2側に送る。機器本体2側では実行信号に基づいて、例えば
図10に示したように、表示画面6上にメニュー画面30を表示する(開く)、所定機能を実行する。
【0116】
図7に示したように、条件1〜条件6のいずれか一つでも満たしていない場合にはポインティング機能を実行する。
【0117】
さて、
図7の条件1〜6の順番は一例である。重要度等に応じて製造者側で設定変更でき、あるいは操作者側で適宜変更できるようにしてもよい。
【0118】
また条件1〜条件6全てを満たすことを、所定機能の実行条件としなくてもよい。例えば条件1,2は必須条件とし、条件3,4,5,6は選択条件とすることができる。かかる場合、少なくとも条件1〜2を満たせば、所定機能を実行させることができる。もちろん、条件1〜6のうちいずれか1つのみを必須条件とすることも可能であるが、少なくとも条件1で規定した距離と角度に関する条件を含めることが好ましい。
【0119】
以上のように本実施形態では、まず特定領域が入力操作面7内に設定されており、この特定領域内に指(指示体)があることを検知したときに、指(指示体)の操作位置を基点として判別領域を作成するものである。
【0120】
このように本実施形態では、特定領域内に入った指(指示体)の操作位置を基点として新たに領域(判別領域)を作り、この判別領域を指(指示体)が移動した方向が、特定領域を略平行あるいは斜めに横切る方向である場合に所定機能を実行させている。
【0121】
本実施形態では指(指示体)が最初、特定領域のどこを操作しても、その操作位置を基点として新たに判別領域を作成して所定機能を実行させることが可能であるから簡易な操作性を実現できる。また容易に判別領域の大きさを調整するなどでき、所定機能を実行させるための操作感度を自由に且つ簡単に調整することが可能になる。また本実施形態では指示体を判別領域内のどの方向に移動させても所定機能が実行されるわけでなく、特定領域を略平行にあるいは斜めに横切る方向に指示体が移動したことを表示画面上で所定機能を実行させるための条件とした。これにより誤作動を抑制でき、また操作者にとって特定領域を横切る方向への操作は直感的に行いやすい。したがって本実施形態によれば従来に比べて所定機能を実行させるための操作性を向上させることが可能になる。
【0122】
以上の実施形態は、いずれも、
図5や
図7に示す条件を満たしたら、即座に、所定機能を実行させるものであったが、
図5や
図7に示す条件を満たしても、所定機能の実行をキャンセルするためのキャンセル条件を満たすことなく、指が入力操作面7上から離れたことを検知したときに、所定機能が実行されるように制御することもできる。
【0123】
図8は、所定機能を実行させるための仮確定条件、確定条件、及び所定機能の実行をキャンセルするためのキャンセル条件を備えたフローチャートであり、
図9は、
図8に連続するフローチャートである。すなわち
図8に示す(1),(2),(3),(4)は夫々、
図9に示す(1),(2),(3),(4)に連続している。
【0124】
図8に示すように、まずステップST1で割り込みデータを取得後、ステップST2で指(指示体)が入力操作面上にあるか否かを検出する。指が入力操作面上に接触していると判断した場合、ステップST3でキャンセルフラグがクリアされているか、ステップST4で仮確定フラグがクリアされているか否かを判断する。「キャンセルフラグ」、「仮確定フラグ」については、後述する。ここでは、ステップST3でキャンセルフラグがクリアにされ、ステップST4で仮確定フラグがクリアにされているとして次のステップST5に移行する。
図8、
図9に示すステップST5からステップST19までは、
図5に示したフローと同じである。
【0125】
なおステップST5では、指のファーストタッチが特定領域内であるか否かを判断している。すなわち、指のファーストタッチが特定領域の外で、その位置から指をスライドさせて特定領域内に侵入させたような操作は、ステップST5の初期条件を満足しない。なお、フローチャートには記述していないが、ファーストタッチ領域が特定領域内にあるか否かの判断結果は、指Fが入力操作面から離れるまで保持し、判定に用いる。
【0126】
図8,
図9に示す条件1〜条件8は、
図5に示す各条件と一致している。ここで
図8,
図9では、条件1〜3を必須条件とし、条件4〜条件8を選択条件とした。よって、ステップST10,12,14,16, 18に示すように、各条件を含むか否かをまず判断し、各条件を含む場合には、ステップST11,13,15,17,19で各条件を満たすか否かを判断している。
【0127】
さて、
図8,
図9に示す条件1〜8は、所定機能を実行させるための仮確定条件であり、指定された仮確定条件を満たすと、ステップST20に示すように仮確定フラグがセットされる。指定された仮確定条件を満たさない場合、ステップST36でキャンセル原因を確定し所定の条件を満たすとき、ステップST37でキャンセルフラグをセットする。
所定の条件を満たさない例は、例えば、
図4に示す指の移動点F2が基点F1からr1以上動いていない状態などであり、所定の条件を満たす例は、移動方向との成す角θ1が所定の角度以上である場合である。
【0128】
図9に示すステップST21では、所定機能を実行(発動)させるための確定条件が、仮確定時に即実行か否かを判断する。即座に実行の場合、ステップST20の仮確定フラグがセットされたら、ステップST22で実行イベントが通知され、
図13の信号生成部14で所定機能を実行させるための実行信号が生成される。
【0129】
図9に示すステップST21で、指が入力操作面上から離されたことを所定機能を実行させるための確定条件とした場合には、ステップST23で仮確定イベントが通知される。
【0130】
再び、
図8のステップST2に戻り、指が入力操作面上にあるか否かを判断する。ここではまだ指が入力操作面上に接触した状態であるとする。よってステップST3に移行する。キャンセルフラグはセットされていないので、ステップST4に移行する。ステップST20で仮確定フラグがセットされているので、ステップST4からステップST24に移行する。ステップST24では、指を入力操作面上から離して操作不能となったときに所定機能を実行(発動)させるか否かを判断する。ステップST24はステップST21と同じ判断であり、ステップST21で指を入力操作面から離したときに実行と判断した場合、このステップST24でも同様に、指を入力操作面から離したときに実行と判断してステップST25に移行する。
【0131】
ステップST25では、所定機能の実行のキャンセル条件を確認する。
例えばキャンセル条件は以下の通りである。
【0132】
条件A:特定方向に一定量以上の指(指示体)の移動を検出したこと。例えば指が特定領域を横切った後に、再び特定領域内に戻るような移動をした場合には、所定機能を実行させるための操作ではないと判断する。
【0133】
条件B:キーボードやボタンの操作を検出したこと。指による入力操作面上での操作だけでなくキーボードやボタンの操作といった入力操作面以外での操作を検出した場合には、所定機能を実行させるための操作ではないと判断する。
【0134】
条件C:指のXY移動速度、加速度、距離Zの変化速度や変化率が、仮確定フラグをセット可能か否かの判別中と比較して、閾値よりも大きく変化したこと。例えばステップST14,15の条件6は、加速度の条件であるが、条件6では、基点F1から移動点F2までの指の加速度がA(V/m)以内であるとしている。しかしステップST20で仮確定フラグがセットされた後、加速度がA(V/m)以上に大きくなった場合、所定機能を実行させるための操作ではないと判断する。
【0135】
条件D:入力操作面に入力操作対象外の指を検出したこと。例えば入力操作面に複数本の指を検出した場合、所定機能を実行させるための操作ではないと判断する。
【0136】
条件E:指の入力操作面上での接触形状(接触面積)が大きく変化したこと。所定機能を実行させるために指を入力操作面上でスライド移動させた際、指の接触形状(接触面積)は大きく変化しない。よって、閾値よりも接触形状(接触面積)が大きく変化した場合には、所定機能を実行させるための操作ではないと判断する。
【0137】
条件F:所定時間以上経過しても、指が入力操作面上から離れないこと。指が所定時間を経過しても、入力操作面から離れない場合は、所定機能を実行させるための操作ではないと判断する。
【0138】
条件G:入力操作面上での操作を無効としたこと。例えば、入力操作面上での操作の際、マウスをセットすることで入力操作面上での操作が無効とされた場合が該当する。
【0139】
キャンセル条件は、上記したように複数あり、少なくともいずれか1つのキャンセル条件を満たした場合、
図8に示すステップST26でのキャンセル条件は成立する。また上記した条件A〜G以外の条件をキャンセル条件として設定してもよいし、条件A〜Gのうち、いずれか1以上の条件をキャンセル条件から外すこともできる。条件A〜Gを全てキャンセル条件としない場合には、新たなキャンセル条件を設定することが必要である。
【0140】
ステップST26でキャンセル条件が成立した場合には、ステップST27でキャンセルフラグがセットされ、ステップST28でキャンセル用イベントが通知される。一方、ステップST26でキャンセル条件が成立しない場合には、再び、ステップST2に戻る。
【0141】
ステップST2で、入力操作面から指が離れたと判断されると、ステップST29に移行する。
【0142】
ステップST29では、前回、取得したデータは入力操作面上にて指を検出したものか否かを判断する。前回、取得したデータは、指が入力操作面上に接触していると判断されたものであるので、ステップST30に移行する。
【0143】
ステップST30では、所定機能を実行(発動)させるための確定条件が、指を入力操作面上から離したときであるか否かを判断する。ステップST30はステップST21やST24と同じ判断であり、ステップST21,ST24で指を入力操作面から離したときに実行と判断した場合、このステップST30でも同様に、指を入力操作面から離したときに実行と判断してステップST31に移行する。
【0144】
ステップST31では、仮確定フラグがセットされ且つキャンセルフラグがクリア状態であるか否かを判断する。仮確定フラグがセットされ且つキャンセルフラグがクリア状態であるので、ステップST32に移行し、実行用イベントが通知される。
【0145】
さらにステップST33では、仮確定フラグをクリアし、ステップST34では、キャンセルフラグをクリアする。なお、ステップST34では、キャンセルフラグがセットされた状態にてこのステップに到達した場合に、キャンセルフラグのクリアを実行する。そしてステップST35では、指が入力操作面から離れたことをイベント通知する。ステップST32、あるいはステップST35の通知を受けて、
図13の信号生成部14では所定機能を実行させるための実行信号が生成される。
【0146】
なお、
図9のステップ22の実行イベント通知後、
図8のステップST2で指が入力操作面上になければ、ステップST29に移行してステップST32の実行イベントが通知され、ステップST26のキャンセル条件を判断することなく、所定機能が実行されることがあり得る。
【0147】
図12は、
図8,
図9のフローチャートを通して変化するポインタや画面表示の一例である。
図12(a)は、通常時、
図12(b)は、確定時、
図12(c)はキャンセル時のポインタ形状の変化を示している。
図12(d)は、通常時やキャンセル時、
図12(e)は確定時、
図12(f)は、所定機能の実行(発動)時の画面表示変化を示している。ここでいう確定時とは、所定機能の実行(発動)時よりわずか前(例えば
図8のステップST32に示すイベント時)の状態を指すものであってもよいし、確定時と、所定機能の実行(発動)時とは同じことを意味して、
図12(e)の画面表示がなくてもよい。
【0148】
上記の実施形態では、仮確定条件を満たした後、指が入力操作面から離れて確定条件が成立したら、実行信号を出力するように制御した。このように、指(指示体)が入力操作面から離れたことを最終的な確定条件とすることで、指を入力操作面上から離さずに操作する別の機能の実行と、本実施形態における所定機能の実行とを明確に区別することができ、機能実行の制御性を向上させることができる。
【0149】
図8,
図9のフローチャートで説明したキャンセル条件の成立を判断するステップがないフロー構成にもできる。ただし、
図8,
図9に示すフローチャートで示すように、条件1〜条件8を所定機能を実行させるための仮確定条件とし(ただし
図8,
図9では条件4〜条件8は任意条件である)、仮確定条件を満たして仮確定フラグがセットされた後(ステップST20)、キャンセル条件を満たす前に(
図8のステップST27のキャンセルフラグがセットされてステップST28のキャンセル用イベントが通知される前に)、指が入力操作面から離れて確定条件が成立したときに(ステップST30)、所定機能を実行させるための実行信号が出力されるように制御することが好ましい。これによりきめ細かく安定した制御性を確保できる。すなわち誤作動をより効果的に防止でき、また、たまたま特定領域付近で別の入力操作をしている場合に、別の入力操作を妨げないようにでき、良好な入力操作性を確保できる。
【0150】
本実施形態では
図2に示すように、特定領域20〜23を、入力操作面7の左端部7a、右端部7b、前端部7c、及び後端部7dの少なくともいずれか1つに隣接して設けることが好ましい。このように入力操作面の各端部(辺)に隣接して特定領域20〜23を設けることで、特定領域20〜23の長さ寸法を端部(辺)に沿って長く形成できる。例えば特定領域を入力操作面7の角にのみ設定することも可能であるが、かかる場合であると、スムースな操作性を得にくい。
図2で示したように入力操作面7の端部に沿って特定領域を設定することで、細長い矩形状の特定領域を形成でき、これにより、操作しやすくなる。また特定領域20〜23を入力操作面7の端部に沿って形成することで、特定領域20〜23を略平行に横切る方向を操作者が直感的に認識しやすい。したがって効果的に操作性を向上させることができる。
【0151】
また本実施形態では、
図3(b)、
図6(a)に示すように、判別領域25,40の一部が、特定領域20,21から前記特定領域20,21を略平行に横切る方向に向けてはみ出すように形成できるが、これは前記特定領域20,21の形状に判別領域25,40の形状や面積が依存しないことを表しているものであり、前記特定領域20,21からはみ出さなければならないものではない。
【0152】
すなわち本実施形態では、ます初期条件として指(指示体)が特定領域内にあることを、表示画面6上で所定機能が実行される条件としているが、指の操作位置(基点)が特定領域の端付近に位置することもある。かかる場合、判別領域の形成範囲を特定領域内と規定してしまうと、判別領域が非常に狭くなり、所定機能の実行条件が満たされるか否かの判断がしづらくなる。したがって、本実施形態では、基点の位置に関わらず、特定領域の形状や面積に依存することなく判別領域を所定の面積(大きさ)で形成し、このとき、判別領域25,40の一部が特定領域からはみ出すことを許容することで、安定した判別精度を得ることができる。
【0153】
また
図3(b),
図4,
図6に示すように、判別領域25,40は、基点F1,F3の周囲を取り囲む形状に画定されていることが好ましい。これにより、操作者の操作ぶれ等があっても、いきなり指(指示体)が判別領域外にとび出してしまうことがなく、指示体が判別領域内を通って操作されるため、判別部13にて、適切に指の操作状態が所定機能を実行させるものか否か判別させることができ、操作性を向上させることができる。このとき、基点F1,F3は、判別領域25,40の中点に位置することが好ましい。基点を中点として判別領域25,40を描画することで、判別領域25,40の作成を容易化できる。
【0154】
ただし、
図14に示す判別領域50,52のように、基点F1,F3からみて特定領域20,21を略平行に横切る方向とは逆側の領域を削除してもよい。
図14(a)に示す判別領域50は、
図4の判別領域25の右側(X2)の領域を削除したものである。
図14(a)の実線で囲まれた判別領域50の内部に基点F1が位置しているが、直径上(点線I上)に基点F1を位置させた半円状の判別領域50とすることもできる。これは、判別ポイントとなる移動点F2が必ず、基点F1からみて左側(X1)に位置するためである。
【0155】
図14(b)は、
図6(b)に示す左列の小領域41,44,47を削除したものである。
【0156】
ただし、
図4や
図6(b)のように判別領域25,40の中心に基点F1,F3を置くことで、特定領域を略平行にあるいは斜めに横切ることを第1の所定機能の実行条件とし、それに加えて、第1の所定機能とは別の第2の所定機能の実行条件として、例えば、特定領域を略平行にあるいは斜めに横切る方向とは逆方向の領域を使用でき、判別領域を用いて複数機能の実行選択が可能になる。
【0157】
本実施形態では、判別領域を
図4に示す円形状や
図6に示す矩形状等に形成できる。円形状とした場合、半径r1を設定すれば容易に判別領域25を作成できる。本実施形態では矩形状とした場合、複数の小領域を設けて、基点F3がある第1の小領域45から特定領域20を横切る側に隣接する第2の小領域46に指(指示体)が移動したことを条件としたが、円の場合、円内を複数の小領域に分けずにすむ。例えば円の場合は、判別領域の外側に指(指示体)がとび出すことを条件とした場合、基点F1からの移動方向がどの方向でも半径R1以上の移動方向であればからず、円内から外部にとび出すことになり、安定した感度を得ることができる。一方、矩形状とした場合は、基点F3からの移動方向の傾きによって、矩形状の判別領域から外部にとび出すまでの距離が変ってしまうため感度差が生じやすい。したがって矩形状とする場合には、
図6や
図14(b)で示したように複数の小領域を分割し、各小領域間の移動状態を判断することで感度ばらつきを小さくできる。
【0158】
なお
図6(b)では、各小領域41〜49を同一の矩形状で作製したが、
図15のように、例えば真ん中の小領域45が、その周囲に位置する小領域41〜44,46〜49に比べて大きく作成されてもよい。すなわち各小領域41〜49を同じ形状とせず、異なる形状や異なる面積で作成することもできる。これにより操作感度を調整することができる。
【0159】
本実施形態では、表示画面6上に所定機能を実行させるには、指(指示体)が判別領域内を通って移動した際の移動方向が、少なくとも、特定領域を略平行あるいは斜めに横切る方向線上にあることを条件とする。
【0160】
本実施形態では、上記条件に加えて、指(指示体)が基点から所定距離以上移動したこと、前記所定距離に至る期間(時間やポーリング回数)、指(指示体)の移動速度、指(指示体)の移動方向が特定領域を略平行に横切る方向から所定角度θ内にあること、指(指示体)が判別領域を抜けてからの移動距離、あるいは指(指示体)の加速度等を条件の一つとして追加することができる。このように所定機能を実行させるための条件を複数用いることで誤作動を抑制できる。また条件の組み合わせにより、所定機能の実行条件を厳しくしたり、あるいは緩やかにでき、自由な調整が可能になり、操作者にあった操作性を実現できる。
【0161】
本実施形態において、指が特定領域内に位置し、それに基づいて作成された判別領域に対して諸条件を満たした場合に実行される表示画面6上での「所定機能」はどのような機能であるか限定されない。ただし、指(指示体)の操作位置を検知した前記特定領域と対応する前記表示画面の位置にて前記所定機能を実行させるものであることが好ましい。すなわち
図10に示すように、指Fで入力操作面7の右端部7bに位置する特定領域20を操作した場合には、表示画面6の右端部6b付近で所定機能が立ち上がることが操作を直感的に認識しやすく好適である。
【0162】
また所定機能を実行した後、指(指示体)が特定領域上に位置していることを検出することで別機能が実現されるようにできる。例えば、右端の特定領域で所定機能を実行した後、左端の特定領域まで指を移動させた場合に、更に別の機能を実行可能とすることができる。
【0163】
例えば、
図10では、メニュー画面30が表示された後、指Fが依然として特定領域21内にあることを前提として、カーソル15がメニュー画面30内に移動する機能を実行させることができる。
【0164】
あるいは上記した別機能の実行は、指を一定以上動かした場合、指が設定された角度で移動した場合、所定の速度で移動した場合(いずれも指(指示体)の移動状態を示す)、所定時間経過した場合、複数本の指が触れた場合等をトリガとすることができる。
【0165】
また、
図11(a)に示すように、入力操作面7上で指Fを矢印方向に操作したことで、表示画面6上にアプリケーションやウィンドウ等の表示体55を表示する所定機能が実行された後、指Fを入力操作面7上に触れている間中、左ボタン9を押圧したのと同様のダウン信号を出力し続けることで、
図11(b)のように表示体55を1本指でドラッグ操作することができるようにしてもよい。この際、表示体の選択方法としては、
図11(a)に示すようにカーソル15の下にある表示体56を選択してもよいし、事前に登録された表示体56としてもよい。