(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシン1の要部の構成を示す模式図である。
【0017】
ダイカストマシン1は、例えば、固定金型101及び移動金型103の型締めを行う不図示の型締装置と、型締された固定金型101及び移動金型103により形成されたキャビティ105内に溶湯を射出する射出装置3と、キャビティ105内の溶湯を局部加圧する局部加圧装置5と、キャビティ105内の溶湯が凝固して形成されたダイカスト品を移動金型103若しくは固定金型101から押し出す不図示の押出装置とを有している。
【0018】
また、ダイカストマシン1は、キャビティ105内のガス圧を検出するガス圧センサ7と、上記の各装置を制御するための制御装置9とを有している。
【0019】
射出装置3は、例えば、キャビティに通じるスリーブ11と、スリーブ11内に挿入されたプランジャ13と、プランジャ13を駆動可能な液圧式の射出シリンダ15と、射出シリンダ15に作動液を供給する液圧回路17とを有している。
【0020】
スリーブ11に形成された給湯口11aからスリーブ11内に溶湯が注がれた後、プランジャ13がスリーブ11内をキャビティ105へ向かって前進することにより、スリーブ11内の溶湯がキャビティ105に射出される。
【0021】
また、射出装置3は、例えば、プランジャ13(射出シリンダ15のピストン)の位置を検出する位置センサ19と、射出シリンダ15のヘッド側の圧力を検出する液圧センサ21とを有している。これらセンサの検出値は、制御装置9へ出力され、射出装置3の制御に供される。
【0022】
局部加圧装置5は、例えば、キャビティ105内へ移動可能な加圧ピン23と、加圧ピンを駆動可能な液圧式の加圧シリンダ25とを有している。
【0023】
加圧シリンダ25へは、例えば、液圧回路17から作動液が供給される。射出装置3によりキャビティ105に溶湯が充填された後、加圧シリンダ25の生じた駆動力により加圧ピン23がキャビティ105内へ前進(突出)することにより、キャビティ105内の溶湯は局部的に加圧される。
【0024】
ガス圧センサ7は、例えば、静電容量式、ピエゾ抵抗式若しくは振動式の圧力センサであり、キャビティ105内の圧力に応じた信号レベルの電気信号を制御装置9へ出力する。
【0025】
図2(a)は、ガス圧センサ7周辺の詳細を示す断面図であり、
図1の一部拡大図に相当する。
図2(b)は、
図2(a)に示す範囲において、固定金型101を移動金型103側から見た図である。
【0026】
固定金型101及び移動金型103には、キャビティ105内の排気を行うためのエアーベント107が構成されている。エアーベント107は、例えば、固定金型101と移動金型103との間に形成されたギザギザの隙間(チルベント107c)と、固定金型101に形成され、チルベント107cと金型外部とを連通する排気流路107aとにより構成されている。
【0027】
排気流路107aの金型外部側の端部には、配管109が接続されており、配管109は、分岐路109aと分岐路109bとに分岐している。分岐路109aの終端は閉塞されており、分岐路109bの終端は、大気に開放されている。
【0028】
ガス圧センサ7は、分岐路109aに接続されている。従って、ガス圧センサ7は、直接的には分岐路109a内のガス圧を検出し、これにより、キャビティ105内のガス圧を間接的に検出する。
【0029】
分岐路109bには、チェック弁29が設けられている。チェック弁29は、キャビティ105側から大気への流れを許容するとともに、その反対方向の流れを禁止する。
【0030】
制御装置9は、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含むコンピュータにより構成されている。制御装置9は、予め設定されたプログラム、各種の設定値及び各種のセンサ(7、19、21等)に基づいて、各種の装置(不図示の型締装置、射出装置3の液圧回路17等)へ制御信号を出力する。
【0031】
図3は、ダイカストマシン1における射出動作の概要を示す図であり、
図4は、
図3の一部拡大図である。これらの図において横軸は、時間tを示している。縦軸は、射出速度V、射出位置D(プランジャ13の位置)、溶湯圧Pm、及び、キャビティ105内のガス圧Pgを示している。なお、これらの図において詳細は適宜に省略されている。また、溶湯圧Pmは、キャビティ105内の溶湯の圧力であり、射出圧力(プランジャ13が溶湯に付与する圧力)とは若干相違する。
【0032】
時点t0は、射出開始時に対応する。すなわち、時点t0においては、スリーブ11に溶湯が供給されるなど、所定の射出開始条件が満たされ、制御装置9は、射出シリンダ15を駆動して、プランジャ13の前進を開始する。
【0033】
時点t0〜t1においては、射出速度Vに示されているように、低速射出が行われる。すなわち、制御装置9は、プランジャ13を比較的低速で前進させるように射出シリンダ15を制御する。低速で射出が行われることにより、溶湯による空気の巻き込みが抑制される。
【0034】
低速射出(t0〜t1)の間、射出位置Dは徐々に増加する。不図示の射出圧力は比較的低圧である。溶湯圧Pm及びガス圧Pgは、大気圧と概ね同等である。
【0035】
時点t1〜t2においては、高速射出が行われる。すなわち、制御装置9は、位置センサ19の検出するプランジャ13の位置が所定の高速切換位置に到達するなど、所定の高速切換条件が満たされると(時点t1)、プランジャ13の速度を高速に切り換えるように射出シリンダ15を制御する。これにより、溶湯の凝固に遅れずに迅速に溶湯がキャビティ105に充填される。
【0036】
高速射出(t1〜t2)の間、射出位置Dは低速射出時よりも急激に増加する。不図示の射出圧力は低速射出時よりも大きくなる。その一方、溶湯圧Pmはあまり変化しない。ガス圧Pgは、エアーベント107からの排気よりもキャビティ105への溶湯の充填が速いことから、キャビティ105に溶湯が充填されるに従って上昇していく。
【0037】
時点t2においては、キャビティ105に溶湯が概ね充填される。従って、プランジャ13は、溶湯から反力を受け、射出速度Vは急激に低下する。なお、制御装置9は、適宜な減速制御を行ってもよい。そして、時点t4においては、射出速度Vは0となる。
【0038】
この間、射出位置Dも増加量が低下し、時点t4においては増加量は0となる。溶湯圧Pmは、キャビティ105に溶湯が充填されることによって急激に上昇する。すなわち、増圧が行われる。そして、時点4においては溶湯圧Pmは、終圧(鋳造圧力)に到達する。
【0039】
ガス圧Pgは、この減速開始から増圧終了までの間(t2〜t4の間)の時点t3において、ピーク(極大)となる。時点t3は、より詳細には、キャビティ105に溶湯が概ね充填される時点(プランジャ13の減速が概ね終了する時点)である。
【0040】
時点t4以降、制御装置9は、増圧完了時の射出圧力を維持する(保圧を行う)ように射出シリンダ15を制御する。ただし、溶湯の凝固収縮に伴って、溶湯圧Pmは低下していく(t4〜t5)。なお、この間、射出速度及び射出位置は変化しない。ガス圧Pgは、キャビティ105からの排気が進むことによって徐々に低下して大気圧と同等となる。
【0041】
制御装置9は、ガス圧Pgが所定の条件を満たした時点を基準として、局部加圧を開始するタイミングを決定する。例えば、
図3の例では、ガス圧Pgがピークとなった時点t3を基準として、所定の設定時間tdが経過した時点t5を局部加圧の開始タイミングとしている。
【0042】
なお、設定時間tdは、例えば、作業者が所定の入力装置を介して制御装置9に対して設定する。ただし、設定時間tdは、ダイカストマシン1の製造者が設定してもよいし、試運転等において得られた各種の計測値に基づいて制御装置9が自動的に設定してもよいし、金型温度等の溶湯の凝固状態に影響を及ぼすパラメータの計測値に基づいて制御装置9により成形サイクル毎に補正されてもよい。
【0043】
そして、制御装置9は、決定した開始タイミングが到来すると、加圧シリンダ25を駆動して加圧ピン23の前進を開始する。これにより、溶湯圧Pmは上昇を開始する。
【0044】
図5は、局部加圧の制御に係る処理の手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、制御装置9により成形サイクル毎に実行される。なお、当該処理の開始時点は、成形サイクル中の適宜な時点(例えば射出開始時点)とされてよい。
【0045】
ステップS1では、制御装置9は、ガス圧センサ7からガス圧Pgの検出値を取得する。
【0046】
ステップS2では、制御装置9は、取得したガス圧Pgが所定の設定圧力に到達したか否か判定する。設定圧力は、試運転若しくは以前の成形サイクルにおいて得られたガス圧Pgのピーク値若しくはこれより若干低い値とされている。これにより、実質的にガス圧Pgがピークとなる時点(t3)を特定することができる。なお、設定圧力は、作業者により手動で設定されてもよいし、制御装置9により自動的に設定されてもよい。
【0047】
そして、制御装置9は、ガス圧Pgが設定圧力に到達したと判定すると、ステップS3に進み、到達していないと判定した場合は、ステップS5へ進む。
【0048】
ステップS3では、制御装置9は、ステップS2において設定圧力に到達したと判定された時点(t3)から所定の設定時間tdが経過したか否か判定し、経過したと判定されるまで待機する。そして、設定時間tdが経過したと判定されると、ステップS4へ進む。
【0049】
ステップS4では、制御装置9は、加圧シリンダ25を駆動して、加圧ピン23の前進を開始する。これにより、局部加圧が行われる。
【0050】
ステップS5では、制御装置9は、射出工程の進行に関連する適宜なパラメータに基づいて、設定圧力に到達したガス圧Pgが検出されるべき期間を過ぎているか否かを判定する。
【0051】
例えば、制御装置9は、位置センサ19の検出するプランジャ13の速度が0となっているか否か判定する。また、例えば、制御装置9は、射出を開始してから所定の時間が経過しているか否かを判定する。また、例えば、制御装置9は、液圧センサ21の検出する圧力が終圧に到達しているか否か判定する。
【0052】
そして、制御装置9は、検出されるべき期間が過ぎていないと判定したときは、ステップS1に戻る。これにより、ステップS2の設定圧力に到達したか否かの判定が繰り返し行われる。
【0053】
一方、制御装置9は、検出されるべき期間が過ぎていると判定したときは、ステップS6に進む。ステップS6では、制御装置9は、成形されたダイカスト品は不良品であると判断し、当該判断に応じた適宜な処理を実行する。
【0054】
例えば、制御装置9は、不良品が生じたことを表示装置若しくは音響装置を介して作業者へ伝達するための報知処理を行う。また、例えば、取り出されたダイカスト品を良品とは異なる搬送先へ搬送するための処理を行う。
【0055】
図6は、局部加圧の制御に係る処理の手順の他の例を示すフローチャートである。この処理は、
図5の処理と同様に、制御装置9により成形サイクル毎に実行される。処理の開始時期が適宜な時期とされてよいことも
図5と同様である。
【0056】
ステップS11では、
図5のステップS1と同様に、制御装置9は、ガス圧センサ7からガス圧Pgの検出値を取得する。
【0057】
ステップS12では、制御装置9は、取得したガス圧Pgがピークに到達したか否か判定し、到達したと判定するまで待機する。当該判定は、例えば、現時点までの時系列データに基づいて、ガス圧Pgが、ある程度上昇した後にある程度下降したか否かに基づいて行われる。そして、制御装置9は、ガス圧Pgがピークに到達していると判定した場合は、その時点(t3)を特定し、ステップS13へ進む。
【0058】
ステップS13では、制御装置9は、ステップS12において特定したピークの時点(t3)から所定の設定時間tdが経過したか否か判定し、経過したと判定されるまで待機する。そして、設定時間tdが経過したと判定されると、ステップS14へ進む。
【0059】
ステップS14では、制御装置9は、射出工程の進行に関連するガス圧Pg以外のパラメータが所定の条件を満たしたか否か判定する。例えば、制御装置9は、射出位置D、射出圧力若しくは溶湯圧が所定の値(若しくは範囲)に到達したか否かを判定する。
【0060】
このステップS14の条件は、好ましくは、ステップS12の条件が満たされる時点を基準として設定された期間に満たされることを要求する。例えば、ガス圧Pgがピークに到達する前まで若しくはピークに到達した前後の所定の期間内に、上記のガス圧Pg以外のパラメータが所定の値に到達したか否かが判定される。
【0061】
そして、制御装置9は、ガス圧Pg以外のパラメータに関する条件も満たされていると判定した場合は、ステップS15に進み、満たされていないと判定した場合は、ステップS16に進む。ステップS15及びステップS16は、
図5のステップS4及びS6と同様である。
【0062】
ステップS14において、ガス圧Pg以外のパラメータに関する条件も判定されることにより、ガス圧Pgに異常な変化が生じたときに、誤って開始タイミングが設定されることが抑制される。
【0063】
以上のとおり、本実施形態では、ダイカストマシン1は、キャビティ105内へ溶湯を射出する射出装置3と、キャビティ105内へ移動してキャビティ105内の成形材料を局部的に加圧する加圧ピン23と、加圧ピン23を駆動する加圧シリンダ25と、キャビティ105内のガス圧Pgを検出するガス圧センサ7と、射出中にガス圧センサ7の検出したガス圧が所定の条件を満たした時点(t3)を基準として、加圧ピン23のキャビティ105内への移動開始タイミング(t5)を決定し、加圧シリンダ25を制御する制御装置9と、を有する。
【0064】
従って、従来とは異なる方法により、適切に局部加圧を開始するタイミングを決定することができる。この方法は、例えば、以下のような有利な効果を奏する。ガス圧Pgは、キャビティ105への溶湯の充填が概ね完了したときにピークとなるから、溶湯の充填時を把握しやすい。その結果、加圧ピン23の移動開始タイミングを適切な時期とすることができる。また、ガス圧センサ7は、高温の溶湯に接触しないから、安価且つ長寿命である。また、ガス圧センサ7は、金型に対して外付けとすることができることから、金型は、取付用の雌ねじ部等を設ければよいだけであり、大きな設計変更は生じない。
【0065】
また、本実施形態では、制御装置9は、射出工程が所定の段階に至るまでにガス圧Pgが設定圧力に到達しないときは、形成されたダイカスト製品を不良と判定する(ステップS2、S5及びS6)。
【0066】
従って、局部加圧の開始タイミングを決定するための処理と、不良品判定の処理とが一部共通化されている。その結果、ダイカストマシン1の動作が簡素化され、その動作把握が容易である。また、作業者においては、設定すべきパラメータが減り、その負担が軽減される。
【0067】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係るダイカストマシン201の要部の構成を示す模式図である。
【0068】
ダイカストマシン201は、PF(無孔性)ダイカスト法を行うダイカストマシンとして構成されている点が第1の実施形態と相違する。具体的には、ダイカストマシン201は、キャビティ105に活性ガス(例えば酸素)を供給する活性ガス供給装置231を有している。
【0069】
活性ガス供給装置231は、例えば、圧縮された活性ガスを保持するボンベ233と、ボンベ233とスリーブ11とを連通する連通流路235と、連通流路235を開閉するバルブ237とを有している。制御装置9は、バルブ237を制御することにより、キャビティ105への活性ガスの供給を制御する。
【0070】
図8は、ダイカストマシン201における射出動作の概要を示す図であり、第1の実施形態の
図3に相当する図である。また、
図9は、
図8の一部拡大図であり、第1の実施形態の
図4に相当する図である。
【0071】
ダイカストマシン201においても、制御装置9は、第1の実施形態と同様に射出シリンダ15を駆動する。従って、第1の実施形態と同様に、低速射出(t10〜t11)、高速射出(t11〜t13)、減速射出及び増圧(t13〜t14)が行われる。
【0072】
ただし、射出開始前(時点t10前)に、キャビティ105の空気は活性ガスに置換される。具体的には、制御装置9は、給湯口11aがプランジャ13のプランジャチップ13aにより塞がれる位置までプランジャ13を移動させ、バルブ237を開き、活性ガスをスリーブ11に供給する。その後、所定の時間が経過すると、制御装置9は、バルブ237を閉じる。なお、キャビティ105内のガス圧は、例えば、チェック弁29の作用により、概ね大気圧に保たれる。
【0073】
そして、制御装置9は、プランジャチップ13aを後退させて、給湯口11aからスリーブ11へ溶湯を供給し、射出を開始する。溶湯がキャビティ105に射出されると、キャビティ105内の活性ガスは溶湯と反応する。これにより、気孔(巣)の少ないダイカスト品が形成される。
【0074】
射出速度V、射出位置D及び溶湯圧Pmの変化は、第1の実施形態と概ね同様である。一方、ガス圧Pgは、キャビティ105内の活性ガスが溶湯と反応することによって減圧状態となり、大気圧よりも低下する。具体的には、ガス圧Pgは、概ね高速射出(t11〜t13)の間において大気圧よりも低くなる。また、その間において、ガス圧Pgは、ピーク(極小)となる(t12)。
【0075】
第2の実施形態においても、制御装置9は、第1の実施形態と同様に、ガス圧Pgが所定の条件を満たした時点を基準として、局部加圧を開始するタイミングを決定する。例えば、
図8の例では、ピークとなった時点t12に対して所定の設定時間tdが経過した時点t15を局部加圧の開始タイミングとしている。
【0076】
制御装置9が実行する処理は、
図4又は
図5に示した処理と同様でよい。ただし、ステップS2の設定圧力は負圧であり、また、ステップS12のピークは極小となる点である。
【0077】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0078】
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、第1の実施形態のように、キャビティ内が空気若しくは不活性ガスで満たされた状態で射出を行う成形機は、成形材料として樹脂を用いる射出成形機であってもよい。
【0079】
成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、横型締縦射出であってもよい。また、成形機は、コールドチャンバ式に限定されず、ホットチャンバ式であってもよい。型締装置は、トグル式であってもよいし、直圧式であってもよい。射出装置の駆動装置は、液圧シリンダに限定されず、例えば、電動機、又は、電動機と液圧シリンダとの複合装置であってもよい。
【0080】
加圧部材は、キャビティ側への移動によって溶湯を局部加圧できる限りにおいて、適宜な形状及び大きさのものとされてよく、キャビティ内に突出するピン状の部材に限定されない。また、加圧部材の駆動装置は、液圧シリンダに限定されず、例えば、電動式のものとされてもよい。
【0081】
ガス圧が設定圧力に到達した時点を局部加圧開始タイミングを決定するための基準とする場合において、設定圧力は、ガス圧のピーク値と同等の値に限らず、ピーク値の8割など、適宜な値とされてよい。換言すれば、基準となる時点は、ガス圧のピークの時点に限定されない。この場合において、基準となる時点は、ピークの前であってもよいし、後であってもよい。
【0082】
なお、本願において、設定圧力に到達したか否かの判定は、その具体的な処理方法としては、ガス圧が設定圧力と同等か否かの判定だけでなく、ガス圧が設定圧力に対して誤差等を考慮した所定範囲に含まれるか否かの判定、設定圧力よりも低い圧力から上昇しているガス圧が設定圧力を超えたか否かの判定、及び、設定圧力よりも高い圧力から下降しているガス圧が設定圧力を下回ったか否かの判定を含むものとする。
【0083】
局部加圧の開始タイミングは、基準となる時点から設定時間(td)が経過したときでなくてもよく、その基準となる時点自体であってもよい。換言すれば、設定時間は0であってもよい。この場合において、基準となる時点は、上述のように、ガス圧がピークとなる時点であってもよいし、それ以外の時点であってもよい。
【0084】
図5及び
図6に示した手順は、適宜に組み合わされるなどして変形されてよい。例えば、
図6において、検出したピーク値(ステップS12)が所定の設定圧力を超えているか否か(ステップS2)を判定してもよい。また、例えば、
図5において、ガス圧以外のパラメータに関する判定(ステップS14)が行われてもよい。この場合、ステップS14は、ステップS2の条件が満たされる時点を基準として設定された期間に満たされることを要求するものであることが好ましい。