特許第5956881号(P5956881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956881
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】避難支援システム及び避難支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20160714BHJP
   G01N 15/06 20060101ALI20160714BHJP
   G08B 31/00 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   G08B27/00 B
   G01N15/06 D
   G08B31/00 B
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-196597(P2012-196597)
(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-52829(P2014-52829A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 静一郎
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−170112(JP,A)
【文献】 特開2002−260186(JP,A)
【文献】 特開2000−113357(JP,A)
【文献】 特開2009−277125(JP,A)
【文献】 特開2008−215864(JP,A)
【文献】 特開2008−158879(JP,A)
【文献】 特開2006−201961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N15/00−15/14
G08B19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体に含まれる物質を検出する第1及び第2の物質検出装置と、
前記気体の風速を検出する風速センサと、
前記第1の物質検出装置が前記物質を検出してから前記第2の物質検出装置が前記物質を検出するまでの第1の時間を計測するタイマと、
前記物質の発生源の複数の候補位置、及び前記物質による汚染に対して安全な場所のマップを保存するマップ記憶装置と、
前記風速センサで検出された前記気体の風速に前記タイマで計測された第1の時間を乗じて第1の距離を算出する物質移動距離算出部と、
前記マップ上で、前記第1の物質検出装置の位置を中心とする第1の半径を有する第1の円と、前記第2の物質検出装置の位置を中心とし、前記第1の半径に前記第1の距離を足した第2の半径を有する第2の円と、を作成し、前記第1の半径の値を変化させて前記第1の円と前記第2の円との交点を移動させ、前記複数の候補位置のうち、前記交点が最も近接した候補位置を前記物質の発生源と特定する発生源特定部と、
前記物質の発生源から前記安全な場所までの前記物質の飛散距離を算出する飛散距離算出部と、
を備える、避難支援システム。
【請求項2】
前記物質の飛散距離を前記風速で割った避難猶予時間を算出する猶予時間算出部を更に備える、請求項1に記載の避難支援システム。
【請求項3】
前記風速センサが前記第2の物質検出装置が受ける風の風速を検出する、請求項1又は2に記載の避難支援システム。
【請求項4】
前記風速センサが前記第2の物質検出装置が受ける風の風向きを検出し、
前記発生源特定部が、前記交点が最も近接し、前記風の吹いてくる方向にある候補位置を、前記物質の発生源と特定する、請求項3に記載の避難支援システム。
【請求項5】
前記タイマが、前記第2の物質検出装置が前記物質を検出してから前記第1の物質検出装置が前記物質を検出するまでの第2の時間を計測し、
前記物質移動距離算出部が、前記風速センサで検出された前記気体の風速に前記タイマで計測された第2の時間を乗じて第2の距離を算出し、
前記発生源特定部が、前記マップ上で、前記第2の物質検出装置の位置を中心とする第3の半径を有する第3の円と、前記第1の物質検出装置の位置を中心とし、前記第3の半径に前記第2の距離を足した第4の半径を有する第4の円と、を作成し、前記第3の半径の値を変化させて前記第3の円と前記第4の円との交点を移動させ、前記複数の候補位置のうち、前記交点が最も近接した候補位置を前記物質の発生源と特定する、
請求項1又は2に記載の避難支援システム。
【請求項6】
前記風速センサが前記第1の物質検出装置が受ける風の風速を検出する、請求項5に記載の避難支援システム。
【請求項7】
前記風速センサが前記第1の物質検出装置が受ける風の風向きを検出し、
前記発生源特定部が、前記交点が最も近接し、前記風の吹いてくる方向にある候補位置を、前記物質の発生源と特定する、請求項6に記載の避難支援システム。
【請求項8】
第1及び第2の物質検出装置で気体に含まれる物質を検出することと、
前記気体の風速を検出することと、
前記第1の物質検出装置が前記物質を検出してから前記第2の物質検出装置が前記物質を検出するまでの第1の時間を計測することと、
前記物質の発生源の複数の候補位置、及び前記物質による汚染に対して安全な場所のマップを用意することと、
前記検出された気体の風速に前記計測された第1の時間を乗じて第1の距離を算出することと、
前記マップ上で、前記第1の物質検出装置の位置を中心とする第1の半径を有する第1の円と、前記第2の物質検出装置の位置を中心とし、前記第1の半径に前記第1の距離を足した第2の半径を有する第2の円と、を作成し、前記第1の半径の値を変化させて前記第1の円と前記第2の円との交点を移動させ、前記複数の候補位置のうち、前記交点が最も近接した候補位置を前記物質の発生源と特定することと、
前記物質の発生源から前記安全な場所までの前記物質の飛散距離を算出することと、
を含む、避難支援方法。
【請求項9】
前記物質の飛散距離を前記風速で割った避難猶予時間を算出することを更に含む、請求項に記載の避難支援方法。
【請求項10】
前記風速を検出することにおいて、前記第2の物質検出装置が受ける風の風速を検出する、請求項又はに記載の避難支援方法。
【請求項11】
前記風速を検出することにおいて、前記第2の物質検出装置が受ける風の風向きを検出し、
前記特定することにおいて、前記交点が最も近接し、前記風の吹いてくる方向にある候補位置を、前記物質の発生源と特定する、請求項10に記載の避難支援方法。
【請求項12】
前記第2の物質検出装置が前記物質を検出してから前記第1の物質検出装置が前記物質を検出するまでの第2の時間を計測することと、
前記検出された前記気体の風速に前記第2の時間を乗じて第2の距離を算出することと、
前記マップ上で、前記第2の物質検出装置の位置を中心とする第3の半径を有する第3の円と、前記第1の物質検出装置の位置を中心とし、前記第3の半径に前記第2の距離を足した第4の半径を有する第4の円と、を作成し、前記第3の半径の値を変化させて前記第3の円と前記第4の円との交点を移動させ、前記複数の候補位置のうち、前記交点が最も近接した候補位置を前記物質の発生源と特定することと、
を更に含む、請求項又はに記載の避難支援方法。
【請求項13】
前記風速を検出することにおいて、前記第1の物質検出装置が受ける風の風速を検出する、請求項12に記載の避難支援方法。
【請求項14】
前記風速を検出することにおいて、前記第1の物質検出装置が受ける風の風向きを検出し、
前記特定することにおいて、前記交点が最も近接し、前記風の吹いてくる方向にある候補位置を、前記物質の発生源と特定する、請求項13に記載の避難支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は避難支援システム及び避難支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオクリーンルーム等のクリーンルームにおいては、粒子検出装置を用いて、飛散している微生物等の粒子が検出され、記録される(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。粒子の検出結果から、クリーンルームの空調機器の劣化具合を把握可能である。また、クリーンルームで製造された製品に、参考資料として、クリーンルーム内の粒子の検出記録が添付されることもある。光学式の粒子検出装置は、例えば、クリーンルーム中の気体を吸引し、吸引した気体に光を照射する。気体に粒子が含まれていると、粒子によって光が散乱されるため、気体に含まれる粒子の数や大きさ等を検出することが可能となる。クリーンルーム内において粒子が検出された場合、粒子の発生源を特定することが望まれる。また、クリーンルームに限らず、あらゆるところにおいて、何らかの物質が検出され場合にも、物質の発生源を特定することが望まれる。さらに、物質が有害である場合、物質の発生源の近隣から人が効率的に避難することを支援することが望まれる(例えば、特許文献2乃至4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−83214号公報
【特許文献2】特開2003−173486号公報
【特許文献3】特開2005−316533号公報
【特許文献4】特開2008−158879号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】長谷川倫男他,「気中微生物リアルタイム検出技術とその応用」,株式会社山武,azbil Technical Review 2009年12月号,p.2-7,2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、物質の発生源の近隣からの避難を支援する避難支援システム及び避難支援方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、(a)気体に含まれる物質を検出する第1及び第2の物質検出装置と、(b)気体の風速を検出する風速センサと、(c)第1の物質検出装置が物質を検出してから第2の物質検出装置が物質を検出するまでの第1の時間を計測するタイマと、(d)物質の発生源の複数の候補位置、及び物質による汚染に対して安全な場所のマップを保存するマップ記憶装置と、(e)風速センサで検出された気体の風速にタイマで計測された第1の時間を乗じて第1の距離を算出する物質移動距離算出部と、(f)マップ上で、第1の物質検出装置の位置を中心とする第1の半径を有する第1の円と、第2の物質検出装置の位置を中心とし、第1の半径に第1の距離を足した第2の半径を有する第2の円と、を作成し、第1の半径の値を変化させて第1の円と第2の円との交点を移動させ、複数の候補位置のうち、交点が最も近接した候補位置を物質の発生源と特定する発生源特定部と、(g)物質の発生源から安全な場所までの物質の飛散距離を算出する飛散距離算出部と、を備える、避難支援システムが提供される。
【0007】
また、本発明の態様によれば、(a)第1及び第2の物質検出装置で気体に含まれる物質を検出することと、(b)気体の風速を検出することと、(c)第1の物質検出装置が物質を検出してから第2の物質検出装置が物質を検出するまでの第1の時間を計測することと、(d)物質の発生源の複数の候補位置、及び物質による汚染に対して安全な場所のマップを用意することと、(e)検出された気体の風速に計測された第1の時間を乗じて第1の距離を算出することと、(f)マップ上で、第1の物質検出装置の位置を中心とする第1の半径を有する第1の円と、第2の物質検出装置の位置を中心とし、第1の半径に第1の距離を足した第2の半径を有する第2の円と、を作成し、第1の半径の値を変化させて第1の円と第2の円との交点を移動させ、複数の候補位置のうち、交点が最も近接した候補位置を物質の発生源と特定することと、(g)物質の発生源から安全な場所までの物質の飛散距離を算出することと、を含む、避難支援方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物質の発生源の近隣からの避難を支援する避難支援システム及び避難支援方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る避難支援システムの模式図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る避難支援システムの第1及び第2の物質検出装置が配置されるクリーンルームの模式図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る第1の物質検出装置としての光学式粒子検出装置の模式図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る光源素子の断面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るマップの模式図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るマップ上に描かれた第1及び第2の円の模式図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係るマップ上に描かれた第1及び第2の円の模式図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係るマップ上に描かれた第1及び第2の円の模式図である。
図9】本発明の第1の実施の形態に係るマップ上に描かれた第1及び第2の円の模式図である。
図10】本発明の第1の実施の形態に係るマップ上に描かれた第3及び第4の円の模式図である。
図11】本発明の第1の実施の形態に係るマップ上に描かれた第3及び第4の円の模式図である。
図12】本発明の第1の実施の形態に係るマップ上に描かれた第3及び第4の円の模式図である。
図13】本発明の第1の実施の形態に係るマップ上に描かれた第3及び第4の円の模式図である。
図14】本発明の第2の実施の形態に係る避難支援システムの模式図である。
図15】本発明の第2の実施の形態に係るマップの模式図である。
図16】本発明の第2の実施の形態に係るマップ上に描かれた第1及び第2の円の模式図である。
図17】本発明の第2の実施の形態に係るマップ上に描かれた第1及び第2の円の模式図である。
図18】本発明の第2の実施の形態に係るマップ上に描かれた第3及び第4の円の模式図である。
図19】本発明の第2の実施の形態に係るマップ上に描かれた第3及び第4の円の模式図である。
図20】本発明の第3の実施の形態に係る避難支援システムの模式図である。
図21】本発明の第3の実施の形態に係る時刻認証方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る避難支援システムは、図1に示すように、気体に含まれる物質を検出する第1及び第2の物質検出装置1、2と、気体の風速vを検出する風速センサ3と、中央演算処理装置(CPU)300と、を備える。CPU300は、第1及び第2の物質検出装置1、2、並びに風速センサ3と電気的に接続されている。CPU300は、タイマ301と、物質移動距離算出部302と、発生源特定部303と、飛散距離算出部304と、を含む。また、CPU300には、マップ記憶装置353が接続されている。
【0012】
タイマ301は、第1の物質検出装置1が物質を検出してから第2の物質検出装置2が物質を検出するまでの第1の時間t1を計測する。マップ記憶装置353は、物質の発生源の複数の候補位置、及び物質による汚染に対して安全な場所のマップを保存する。物質移動距離算出部302は、風速センサ3で検出された気体の風速vにタイマ301で計測された第1の時間t1を乗じて第1の距離d1を算出する。
【0013】
発生源特定部303は、マップ上で、第1の物質検出装置1の位置を中心とする第1の半径r1を有する第1の円61と、第2の物質検出装置2の位置を中心とし、第1の半径r1に第1の距離d1を足した第2の半径r2を有する第2の円62と、を作成し、第1の半径r1の値を変化させて第1の円61と第2の円62との交点65を移動させ、複数の候補位置のうち、交点が最も近接した候補位置を物質の発生源と特定する。飛散距離算出部304は、物質の発生源から安全な場所までの物質の飛散距離を算出する。
【0014】
図2に示すように、第1の物質検出装置1、第2の物質検出装置2、及び風速センサ3は、例えばクリーンルーム70内に配置される。クリーンルーム70には、ダクト71及び噴き出し口72を介して、清浄な空気が送り込まれる。クリーンルーム70内の空気は清浄で粒子等の物質が飛散していないことが望まれる。しかし、粒子等の物質が飛散した場合は、第1の物質検出装置1及び第2の物質検出装置2によって検出される。ここで、粒子とは、微生物等を含む生体物質、化学物質、ごみ、ちり、及び埃等のダスト等を含む。微生物の例としては細菌が含まれる。細菌の例としては、グラム陰性菌、グラム陽性菌、及びカビ胞子を含む真菌が挙げられる。グラム陰性菌の例としては、大腸菌が挙げられる。グラム陽性菌の例としては、表皮ブドウ球菌、枯草菌芽胞、マイクロコッカス、及びコリネバクテリウムが挙げられる。カビ胞子を含む真菌の例としては、アスペルギルスが挙げられる。
【0015】
クリーンルーム70内には、生産ライン81、82が配置されている。生産ライン81、82は、例えば精密機器、電子部品、又は半導体装置の生産ラインである。あるいは生産ライン81、82は、食品、飲料、又は医薬品の生産ラインである。生産ライン81、82は、通常、粒子等の物質をクリーンルーム70内に飛散させないよう管理されている。しかし、生産ライン81、82は、何らかの事情で、クリーンルーム70内に飛散する物質の発生源になる。
【0016】
クリーンルーム70には、ドア77が設けられている。ドア77の外が、物質による汚染に対して安全な場所である。物質による汚染に対して安全な場所は、クリーンルーム70内に配置されたシェルターでもよい。あるいは物質による汚染に対して安全な場所は、クリーンルーム70内に設けられた防除マスク置き場であってもよい。
【0017】
第1の物質検出装置1は、例えば光学式粒子検出装置であり、図3に示すように、光を発する光源素子51と、光源素子51が装着される台座52と、光源素子51から放射された光を平行光にする照射側平行光レンズ11と、平行光を集光する照射側集光レンズ12と、照射側集光レンズ12で集光された光にクリーンルーム70内から吸い込んだ空気の気流を横切らせる噴射機構53と、を備える。噴射機構53は、例えば気流の流速を変化させるためのエアバルブを備えていてもよい。
【0018】
台座52に装着された光源素子51は、例えば図4に示すように、基板101と、基板101の表面に沿って設けられたアノード電極102と、カソード電極103と、基板101上に配置された発光ダイオード(LED)チップ104と、を備える。アノード電極102と、LEDチップ104と、は、ワイヤボンディング105で電気的に接続される。また、カソード電極103と、LEDチップ104と、は、ワイヤボンディング106で電気的に接続される。基板101上には、LEDチップ104を取り囲むように、リフレクタ107が配置される。また、LEDチップ104は、透明樹脂108で封止される。
【0019】
光源素子51が発する光は、可視光であっても、紫外光であってもよい。光が可視光である場合、光の波長は、例えば400乃至410nmの範囲内であり、例えば405nmである。光が紫外光である場合、光の波長は、例えば310乃至380nmの範囲内であり、例えば355nmである。ただし、光源素子51が発する光の波長は、検出対象の粒子の種類によって決定され、これらの数値に限定されない。図3に示す光源素子51を保持する台座52は、第1の物質検出装置1の筐体31に固定されている。
【0020】
噴射機構53は、ファン等によって筐体31の外部から気体を吸引し、ノズル等を介して、吸引した気体を照射側集光レンズ12の焦点に向けて噴射する。照射側集光レンズ12で集光された光の進行方向に対して、噴射機構53から噴射される気流の進行方向は、例えば、略垂直に設定される。ここで、気流に粒子が含まれていると、粒子に当たった光がミー散乱により散乱し、散乱光が生じる。また、粒子が微生物である場合、光を照射された微生物に含まれるトリプトファン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、及びリボフラビン等が、蛍光を発する。
【0021】
第1の物質検出装置1は、噴射機構53が噴射した気流を横切った光を平行光にする検出側平行光レンズ13と、検出側平行光レンズ13で平行光にされた光を集光する検出側集光レンズ14と、をさらに備える。気流に含まれる粒子によって散乱光が生じた場合、散乱光も、検出側平行光レンズによって平行光にされ、その後、検出側集光レンズ14で集光される。
【0022】
検出側集光レンズ14の焦点には、粒子によって散乱した光を検出する散乱光検出部16が配置されている。散乱光検出部16としては、フォトダイオード及び光電子増倍管等が使用可能である。散乱光検出部16が散乱光を検出した回数から、粒子の数を計測することが可能である。また、粒子による散乱光の強度は、粒子の粒径と相関する。したがって、散乱光検出部16で散乱光の強度を検出することにより、第1の物質検出装置1が配置された環境を飛散する粒子の粒径を求めることが可能である。
【0023】
第1の物質検出装置1の筐体31内部には、例えば噴射機構53から噴射される気流と平行に、凹面ミラーである集光ミラー15がさらに配置されている。集光ミラー15は、気流に含まれる微生物が発した蛍光を集光する。集光ミラー15の焦点には、蛍光を検出する蛍光検出部17が配置されている。散乱光検出部16が散乱光を検出し、かつ蛍光検出部17が蛍光を検出しなかった場合、気流に含まれる粒子が非生物粒子であることが分かる。散乱光検出部16が散乱光を検出し、かつ蛍光検出部17が蛍光を検出した場合、気流に含まれる粒子が微生物等の生物粒子であることが分かる。また、蛍光検出部17が蛍光を検出した回数から、微生物の数を計測することが可能である。例えば、散乱光検出部16及び蛍光検出部17には、検出した光強度及び蛍光強度をリアルタイムに統計処理するコンピュータが接続される。
【0024】
図1及び図2に示す第2の物質検出装置2も、第1の物質検出装置1と同様の構成を備える。第1の物質検出装置1及び第2の物質検出装置2は、恒常的にクリーンルーム70内の空気を検査してもよいし、一定間隔毎にクリーンルーム70内の空気を検査してもよい。一定間隔毎にクリーンルーム70内の空気を検査する場合、第1の物質検出装置1及び第2の物質検出装置2は、クリーンルーム70内の空気を検査するタイミングを同期させる。
【0025】
図2に示す風速センサ3は、クリーンルーム70内の空気の風速vを検出する。
【0026】
図1に示す第1の物質検出装置1は粒子等の物質を検出すると、タイマ301に物質を検出したことを示す第1の検出信号を送信する。ここで、物質を検出するとは、物質の検出数又は検出濃度が所定の値以上になることをいう。あるいは物質を検出するとは、単位時間あたりの物質の検出数又は検出濃度が所定の値以上になることをいう。またあるいは、物質を検出するとは、物質の検出数又は検出濃度の上昇率が所定の値以上になることをいう。また、例えば検出回路のノイズや、クリーンルーム70内の人の移動による偶発的な物質の検出数の変動の影響を抑制するために、移動平均を用いてもよい。第1の物質検出装置1から第1の検出信号を受信したタイマ301は、時間の計測を開始する。
【0027】
その後、第2の物質検出装置2が粒子等の物質を検出すると、タイマ301に物質を検出したことを示す第2の検出信号を送信する。第2の物質検出装置2から第2の検出信号を受信したタイマ301は、時間の計測を終了し、第1の物質検出装置1が物質を検出してから第2の物質検出装置2が物質を検出するまでの第1の時間t1を得る。タイマ301は、第1の時間t1を、CPU300に接続されている時間記憶装置351に保存する。なお、第1の物質検出装置1が物質を検出したと判断する基準と、第2の物質検出装置2が物質を検出したと判断する基準とは、必ずしも同じでなくてもよい。
【0028】
物質移動距離算出部302は、風速センサ3から、風速センサ3が検出した風速vのデータを受信する。また、物質移動距離算出部302は、時間記憶装置351から第1の時間t1を読み出す。さらに物質移動距離算出部302は、風速vに第1の時間t1を乗じて第1の距離d1を算出する。物質移動距離算出部302は、第1の距離d1を、CPU300に接続されている距離記憶装置352に保存する。
【0029】
CPU300には、マップ記憶装置353がさらに接続されている。マップ記憶装置353は、図5に示すような、第1及び第2の物質検出装置1、2の位置と、物質の発生源の複数の候補位置と、物質による汚染に対して安全な場所への入り口としてのドア77の位置と、を含むマップを保存する。例えば、図2に示すクリーンルーム70においては、生産ライン81、82の位置が、物質の発生源の複数の候補位置となる。
【0030】
図1に示す発生源特定部303は、距離記憶装置352から第1の距離d1を読み出す。また、発生源特定部303は、マップ記憶装置353から図5に示すマップを読み出し、図6に示すように、マップ上で、第1の物質検出装置1の位置を中心とする第1の半径r1を有する第1の円61を作成する。さらに、発生源特定部303は、第2の物質検出装置2の位置を中心とし、第1の半径r1に第1の距離d1を足した第2の半径r2を有する第2の円62を作成する。ここで、第1の半径r1は変数である。
【0031】
発生源特定部303は、第1の半径r1の値を0から徐々に大きくしていく。これにより、第2の円62の第2の半径r2が第1の円61の第1の半径r1より第1の距離d1だけ長いという関係を保ちながら、第1の円61と第2の円62の両方が大きくなる。そして、図7に示すように、第1の円61と第2の円62は交点65A、65Bで交わるようになる。
【0032】
クリーンルーム70において風速センサ3が検出した風速vで物質が発生源から等方的に拡散し、第2の物質検出装置2が第1の物質検出装置1より第1の時間t1だけ遅く物質を検出した場合、第2の物質検出装置2から物質の発生源までの距離は、第1の物質検出装置1から物質の発生源までの距離より、風速vに第1の時間t1を乗じて得られる第1の距離d1だけ長い。したがって、第1の円61と第2の円62との交点65A、65Bの少なくとも一つに、物質の発生源がある可能性が高い。
【0033】
発生源特定部303は、第1の半径r1の値を変化させてマップ上で第1の円61と第2の円62との交点65A、65Bを移動させ、図8に示すように、複数の候補位置である生産ライン81、82のうち、交点65Aが最も近接した生産ライン81を、物質の発生源と特定する。発生源特定部303は、特定した物質の発生源の情報を、発生源記憶装置354に保存する。
【0034】
図1に示す飛散距離算出部304は、図9に示すように、発生源特定部303が特定した物質の発生源としての生産ライン81から、安全な場所への入り口であるドア77までの物質の飛散距離fを算出する。CPU300は、猶予時間算出部305をさらに含む。猶予時間算出部305は、飛散距離算出部304が算出した物質の飛散距離fを、風速センサ3が検出した風速vで割って、避難猶予時間を算出する。猶予時間算出部305は、算出した避難猶予時間を、猶予時間記憶装置355に保存する。
【0035】
猶予時間算出部305が算出した避難猶予時間は、図2に示すように、クリーンルーム70内に配置された出力装置322から出力される。避難猶予時間は、文字で表示されてもよいし、音声で出力されてもよい。また、出力装置322は、第1及び第2の物質検出装置1、2が特定した物質の種類を出力してもよい。さらに出力装置322は、避難猶予時間が所定の時間未満となった場合に警告を発し、避難猶予時間がゼロになるまでのカウントダウンを出力してもよい。クリーンルーム70内にいる人は、避難猶予時間内にドア77から外に出れば、物質から汚染されない。
【0036】
次に、図1に示す第1の物質検出装置1より先に第2の物質検出装置2が物質を検出する場合を説明する。
【0037】
第2の物質検出装置2は物質を検出すると、タイマ301に物質を検出したことを示す第3の検出信号を送信する。第2の物質検出装置2から第3の検出信号を受信したタイマ301は、時間の計測を開始する。その後、第1の物質検出装置1が物質を検出すると、タイマ301に物質を検出したことを示す第4の検出信号を送信する。第1の物質検出装置1から第4の検出信号を受信したタイマ301は、時間の計測を終了し、第2の物質検出装置2が物質を検出してから第1の物質検出装置1が物質を検出するまでの第2の時間t2を得る。タイマ301は、第2の時間t2を、CPU300に接続されている時間記憶装置351に保存する。
【0038】
物質移動距離算出部302は、風速センサ3から、風速センサ3が検出した風速vのデータを受信する。また、物質移動距離算出部302は、時間記憶装置351から第2の時間t2を読み出す。さらに物質移動距離算出部302は、風速vに第2の時間t2を乗じて第2の距離d2を算出する。物質移動距離算出部302は、第2の距離d2を、CPU300に接続されている距離記憶装置352に保存する。
【0039】
発生源特定部303は、距離記憶装置352から第2の距離d2を読み出す。また、発生源特定部303は、マップ記憶装置353から図5に示すマップを読み出し、図10に示すように、マップ上で、第2の物質検出装置2の位置を中心とする第3の半径r3を有する第3の円63を作成する。さらに、発生源特定部303は、第1の物質検出装置1の位置を中心とし、第3の半径r3に第2の距離d2を足した第4の半径r4を有する第4の円64を作成する。ここで、第3の半径r3は変数である。
【0040】
発生源特定部303は、第3の半径r3の値を0から徐々に大きくしていく。これにより、第4の円64の第4の半径r4が第3の円63の第3の半径r3より第2の距離d2だけ長いという関係を保ちながら、第3の円63と第4の円64の両方が大きくなる。そして、図11に示すように、第3の円63と第4の円64は交点66A、66Bで交わるようになる。
【0041】
クリーンルーム70において風速センサ3が検出した風速vで物質が発生源から等方的に拡散し、第1の物質検出装置1が第2の物質検出装置2より第2の時間t2だけ遅く物質を検出した場合、第1の物質検出装置1から物質の発生源までの距離は、第2の物質検出装置2から物質の発生源までの距離より、風速vに第2の時間t2を乗じて得られる第2の距離d2だけ長い。したがって、第3の円63と第4の円64との交点66A、66Bの少なくとも一つに、物質の発生源がある可能性が高い。
【0042】
発生源特定部303は、第3の半径r3の値を変化させてマップ上で第3の円63と第4の円64との交点66A、66Bを移動させ、図12に示すように、複数の候補位置である生産ライン81、82のうち、交点66Bが最も近接した生産ライン82を、物質の発生源と特定する。発生源特定部303は、特定した物質の発生源の情報を、発生源記憶装置354に保存する。
【0043】
図1に示す飛散距離算出部304は、図13に示すように、発生源特定部303が特定した物質の発生源としての生産ライン82から、安全な場所への入り口であるドア77までの物質の飛散距離fを算出する。猶予時間算出部305は、飛散距離算出部304が算出した物質の飛散距離fを、風速センサ3が検出した風速vで割って、避難猶予時間を算出する。猶予時間算出部305が算出した避難猶予時間は、図2に示すように、クリーンルーム70内に配置された出力装置322から出力される。
【0044】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る避難支援システムによれば、例えばクリーンルーム70内において好ましくない物質が発生した場合に、物質の発生源の複数の候補位置である生産ライン81、82の位置のうちのどれが物質の発生源であるのかを、迅速に特定することが可能となる。さらに、クリーンルーム70内にいる人に、いつまでにドア77から外に出れば、物質から汚染されないかという情報を与えることが可能となる。例えば避難猶予時間に余裕がある場合は、クリーンルーム70内にいる人は、すぐにクリーンルーム70から避難することなく、生産ライン81、82を早期に復旧できるよう準備してから避難することが可能となる。なお、物質の発生源の複数の候補位置として二つの生産ライン81、82を説明したが、物質の発生源の複数の候補位置は三以上の複数であってもよい。また、物質による汚染に対して安全な場所が複数ある場合は、飛散距離算出部304は、物質の発生源から物質の発生源に最も近い安全な場所までの物質の飛散距離fを算出すればよい。
【0045】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る避難支援システムは、図14に示すように、第1の物質検出装置1に隣接して配置され、第1の物質検出装置1が受ける風の風速v1及び風向きw1を検出する第1の風速センサ33と、第2の物質検出装置2に隣接して配置され、第2の物質検出装置2が受ける風の風速v2及び風向きw2を検出する第2の風速センサ34と、を備える。
【0046】
図14に示す第1の物質検出装置1は粒子等の物質を検出すると、タイマ301に物質を検出したことを示す第1の検出信号を送信する。第1の物質検出装置1から第1の検出信号を受信したタイマ301は、時間の計測を開始する。その後、第2の物質検出装置2が物質を検出すると、タイマ301に物質を検出したことを示す第2の検出信号を送信する。第2の物質検出装置2から第2の検出信号を受信したタイマ301は、時間の計測を終了し、第1の物質検出装置1が物質を検出してから第2の物質検出装置2が物質を検出するまでの第1の時間t1を得る。タイマ301は、第1の時間t1を、CPU300に接続されている時間記憶装置351に保存する。
【0047】
また、第2の物質検出装置2が物質を検出すると、第2の風速センサ34は、第2の物質検出装置2が受ける風の風速v2のデータを物質移動距離算出部302に送信する。また、第2の風速センサ34は、第2の物質検出装置2が受ける風の風向きw2のデータを発生源特定部303に送信する。物質移動距離算出部302は、時間記憶装置351から第1の時間t1を読み出し、風速v2に第1の時間t1を乗じて第1の距離d1を算出する。物質移動距離算出部302は、第1の距離d1を、CPU300に接続されている距離記憶装置352に保存する。
【0048】
発生源特定部303は、距離記憶装置352から第1の距離d1を読み出す。また、発生源特定部303は、マップ記憶装置353から図15に示すマップを読み出し、図16に示すように、マップ上で、第1の物質検出装置1の位置を中心とする第1の半径r1を有する第1の円61を作成する。さらに、発生源特定部303は、第2の物質検出装置2の位置を中心とし、第1の半径r1に第1の距離d1を足した第2の半径r2を有する第2の円62を作成する。
【0049】
発生源特定部303は、第1の半径r1の値を変化させてマップ上で第1の円61と第2の円62との交点65A、65Bを移動させる。ここで、図17に示すように、複数の候補位置である生産ライン81、82の位置の両方に、交点65A、65Bが同様に近接する場合がある。この場合、発生源特定部303は、第2の風速センサ34から受信した風向きw2のデータに基づき、生産ライン81、82のうち、風が吹いてきた方向にある一つを、物質の発生源と特定する。
【0050】
次に、図14に示す第1の物質検出装置1より先に第2の物質検出装置2が物質を検出する場合を説明する。
【0051】
図14に示す第2の物質検出装置2は粒子等の物質を検出すると、タイマ301に物質を検出したことを示す第3の検出信号を送信する。第2の物質検出装置2から第3の検出信号を受信したタイマ301は、時間の計測を開始する。その後、第1の物質検出装置1が物質を検出すると、タイマ301に物質を検出したことを示す第4の検出信号を送信する。第1の物質検出装置1から第4の検出信号を受信したタイマ301は、時間の計測を終了し、第2の物質検出装置2が物質を検出してから第1の物質検出装置1が物質を検出するまでの第2の時間t2を得る。タイマ301は、第2の時間t2を、CPU300に接続されている時間記憶装置351に保存する。
【0052】
また、第1の物質検出装置1が物質を検出すると、第1の風速センサ33は、第1の物質検出装置1が受ける風の風速v1のデータを物質移動距離算出部302に送信する。また、第1の風速センサ33は、第1の物質検出装置1が受ける風の風向きw1のデータを発生源特定部303に送信する。物質移動距離算出部302は、時間記憶装置351から第2の時間t2を読み出し、風速v1に第2の時間t2を乗じて第2の距離d2を算出する。物質移動距離算出部302は、第2の距離d2を、CPU300に接続されている距離記憶装置352に保存する。
【0053】
発生源特定部303は、距離記憶装置352から第2の距離d2を読み出す。また、発生源特定部303は、マップ記憶装置353から図15に示すマップを読み出し、図18に示すように、マップ上で、第2の物質検出装置2の位置を中心とする第3の半径r3を有する第3の円63を作成する。さらに、発生源特定部303は、第1の物質検出装置1の位置を中心とし、第3の半径r3に第2の距離d2を足した第4の半径r4を有する第4の円64を作成する。
【0054】
発生源特定部303は、第3の半径r3の値を変化させてマップ上で第3の円63と第4の円64との交点66A、66Bを移動させる。ここで、図19に示すように、複数の候補位置である生産ライン83、84の両方に、交点66A、66Bが同様に近接する場合がある。この場合、発生源特定部303は、第1の風速センサ33から受信した風向きw1のデータに基づき、生産ライン83、84の位置のうち、風が吹いてきた方向にある一つを、物質の発生源と特定する。
【0055】
発生源特定部303が物質の発生源を特定した後、図14に示す飛散距離算出部304が飛散距離を算出し、猶予時間算出部305が避難猶予時間を算出することは、第1の実施の形態と同様である。以上説明したように、風速センサを複数配置し、風向きを検出することによって、より高い精度で物質の発生源を特定することが可能となる。また、物質検出装置の数をさらに増やすことによっても、物質の発生源の特定精度を上げることが可能となる。
【0056】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る避難支援システムのCPU300は、図20に示すように、時刻認証部306をさらに備える。時刻認証部306は、猶予時間記憶装置355に保存されている猶予時間の情報を時刻認証する。以下、図21に示すフローチャートを用いて、時刻認証の方法について説明する。
【0057】
ステップS201で、図20に示す時刻認証部306は、猶予時間記憶装置355に保存されている猶予時間の情報のハッシュ値を計算する。ステップS202で、時刻認証部306は、計算したハッシュ値を時刻認証業務認定業者(TSA:Time Stamp Authority)501に送付する。ステップS203で、TSA501は、受信したハッシュ値に、時刻配信業務認定事業者(TA:Time Authority)から配信された正確な時刻情報を組合せ、トークンを生成する。さらに、TSA501は、トークンに公開鍵暗号方式を利用して電子署名を付与し、トークンを暗号化する。ステップS204で、TSA501は、暗号化したトークンを時刻認証部306に送信する。ステップS205で、時刻認証部306は、猶予時間の情報と共に、トークンを猶予時間記憶装置355に保存する。
【0058】
TSAの公開鍵を入手し、猶予時間記憶装置355に保存されているトークンを復号すると、トークンからハッシュ値を取り出すことができる。トークンから取り出したハッシュ値と、猶予時間記憶装置355に保存されている猶予時間の情報から計算されるハッシュ値と、が等しければ、猶予時間記憶装置355に保存されている猶予時間の情報は、トークン取得後、改ざんされていない。しかし、トークンから取り出したハッシュ値と、猶予時間記憶装置355に保存されている猶予時間の情報から計算されるハッシュ値と、が異なる場合、猶予時間記憶装置355に保存されている猶予時間の情報は、トークン取得後、改ざんされている。
【0059】
したがって、第3の実施の形態に係る避難支援システムを用いれば、猶予時間記憶装置355に保存されている猶予時間の情報の改ざんを防止することが可能となる。なお、図21においては、電子署名方式による時刻認証方法を説明したが、アーカイビング方式等の時刻認証方法も適用可能である。
【0060】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施の形態及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、実施の形態では、物質の例として粒子を挙げたが、物質の例はこれに限定されない。物質は、分子、及び放射性物質等であってもよい。この場合、第1及び第2の物質検出装置1、2としては、分子検出装置、及び放射性物質検出装置等が使用される。また、第1及び第2の物質検出装置1、2の配置も、クリーンルーム70内に限定されない。第1及び第2の物質検出装置1、2は、一般的な屋内に配置されてもよいし、屋外に配置されてもよい。さらに、物質の発生源の複数の候補のそれぞれも、生産ライン81、82に限定されない。第1及び第2の物質検出装置1、2が屋内に配置される場合は、物質の発生源の複数の候補のそれぞれは、例えば、薬品庫、コンテナ、タンク、及び配管等であってもよい。また、第1及び第2の物質検出装置1、2が屋外に配置される場合は、物質の発生源の複数の候補のそれぞれは、工場、ごみ処理施設、水処理施設、ガス貯蔵施設、及び発電所等であってもよい。この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0061】
1 第1の物質検出装置
2 第2の物質検出装置
3 風速センサ
11 照射側平行光レンズ
12 照射側集光レンズ
13 検出側平行光レンズ
14 検出側集光レンズ
15 集光ミラー
16 散乱光検出部
17 蛍光検出部
31 筐体
33 第1の風速センサ
34 第2の風速センサ
51 光源素子
52 台座
53 噴射機構
61 第1の円
62 第2の円
63 第3の円
64 第4の円
65、65A、66A、66B 交点
70 クリーンルーム
71 ダクト
72 噴き出し口
77 ドア
81、82、83、84 生産ライン
101 基板
102 アノード電極
103 カソード電極
104 チップ
105、106 ワイヤボンディング
107 リフレクタ
108 透明樹脂
301 タイマ
302 物質移動距離算出部
303 発生源特定部
304 飛散距離算出部
305 猶予時間算出部
306 時刻認証部
322 出力装置
351 時間記憶装置
352 距離記憶装置
353 マップ記憶装置
354 発生源記憶装置
355 猶予時間記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21