(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置が、前記応力センサ装置から連続的に得られる応力特徴情報に基づいて前記温度調節要素の動作を独立して調節することによって、前記ガラスリボンの連続的な熱応力補償のために構成されていることを特徴とする請求項1記載の製造装置。
前記製造装置に関連するパラメータの条件を検出するように構成されたパラメータセンサをさらに備え、該パラメータセンサによって所定の条件が検出された場合、前記制御装置が熱応力補償を防ぐように構成されていることを特徴とする請求項1記載の製造装置。
前記応力センサ装置が、前記ガラスリボンの幅に沿って延在するように構成された少なくとも1つの応力検出軸に沿ったそれぞれの位置に配置された複数のセンサ要素を含むことを特徴とする請求項1記載の製造装置。
前記複数のセンサ要素の各々は、前記複数の温度調節要素の対応する温度調節要素の横位置に対応する前記応力検出軸に沿ったそれぞれの位置で、前記ガラスリボンの応力特徴を測定するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の製造装置。
前記データベースは、前記電力調節と、前記温度調節要素の動作を調節した後に前記応力センサ装置から得られた前記応力特徴情報に基づく前記ガラス板の応力特徴への前記対応する影響との間の前記関係を、適合させるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本開示の例示の実施の形態が示されている添付の図面を参照して、以下に方法をより詳しく説明する。できる限り、同じまたは同様の部品を称するために、図面に亘り、同じ参照番号が使用されている。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で実施してもよく、ここに述べられた実施の形態に制限されるものと解釈すべきではない。
【0009】
後でガラス板に加工されるガラスリボンを製造する装置を提供できる。
図1は、フュージョンドロー装置101を示しているが、さらに別の実施例における開示の態様に、アップドロー、スロットドローまたは他のガラス成形技法を使用してもよい。そのようなフュージョンドロープロセス技法により、本開示は、複数の温度調節要素の動作を独立して調節することによって、ガラスリボンの、連続的などの少なくとも周期的な熱応力補償を提供する。例えば、複数の温度調節要素への電力(power)の調節は、以下により詳しく論じるように、ガラスリボンが弾性区域に入るときに、応力プロファイルがリボンに固定される前の、ガラスリボン内の応力の制御に役立ち得る。それゆえ、本開示の加工技法によって、横断応力プロファイルの微調節を行って、応力の集中および/または結果として生じる光学的不連続性を避けることができる。
【0010】
図示したように、フュージョンドロー装置101は、貯蔵槽109からバッチ材料107を受け取るように構成された溶融槽105を備えることができる。バッチ材料107は、モータ113により作動されるバッチ送達装置111によって導入できる。随意的な制御装置115は、矢印117により示されるように、所望の量のバッチ材料107を溶融槽105に導入するためにモータ113を駆動するように構成することができる。金属プローブ119を使用して、直立管123内の溶融ガラス121のレベルを測定し、測定された情報を通信回線125により制御装置115に通信することができる。
【0011】
フュージョンドロー装置101は、溶融槽105の下流に配置され、第1の接続管129により溶融槽105に連結された、清澄管などの清澄槽127を備えても差し支えない。撹拌槽などの混合槽131が清澄槽127の下流に配置されても差し支えなく、送達槽133が混合槽131の下流に配置されていてもよい。図示したように、第2の接続管135が清澄槽127を混合槽131に連結し、第3の接続管137が混合槽131を送達槽133に接続して差し支えない。さらに説明するように、下降管139が、溶融ガラス121を送達槽133から延伸装置に送達するために配置されても差し支えない。フュージョンドロー設備140を含むフュージョンドロー装置101は、以下により詳しく論じるように、溶融ガラスをガラスリボンに延伸するように構成されている。一例において、フュージョンドロー設備140は、溶融ガラスを下降管139から受け取るための入口141が設けられた成形槽143を含んで差し支えない。
【0012】
図示したように、溶融槽105、清澄槽127、混合槽131、送達槽133、および成形槽143は、フュージョンドロー装置101に沿って直列に配置してよい溶融ガラスステーションの例である。
【0013】
溶融槽105は、典型的に、耐火性(例えば、セラミック)レンガなどの耐火性材料から製造される。フュージョンドロー装置101は、白金ロジウム、白金イリジウムおよびそれらの組合せなどの白金または白金含有金属から典型的に製造されるが、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、およびそれらの合金などの耐火性金属および/または二酸化ジルコニウムを含んでもよい構成部材をさらに含んでもよい。白金含有構成部材は、第1の接続管129、清澄槽127(例えば、清澄管)、第2の接続管135、直立管123、混合槽131(例えば、撹拌槽)、第3の接続管137、送達槽133(例えば、ボウル)、下降管139および入口141の1つ以上を含んでも差し支えない。成形槽143も、耐火性材料から製造されており、ガラスリボン103を形成するように設計されている。
【0014】
図2は、
図1の線2−2に沿ったフュージョンドロー装置101の断面斜視図である。図示されるように、成形槽143は成形楔201を備え、この成形楔201は、成形楔201の対向端部の間に延在する一対の下方に傾斜した成形表面部分203,205を含む。一対の下方に傾斜した成形表面部分203,205は、延伸方向207に沿って収束して、基部209を形成する。延伸面211は基部209を通って延在し、ガラスリボン103は、この延伸面211に沿って延伸方向207に延伸される。図示したように、延伸面211は基部209を二等分し得るが、延伸面211は、基部209に対して他の方向に延在してもよい。
【0015】
ガラスリボンをフュージョンドローするためのフュージョンドロー装置101は、ガラスリボン103が成形楔201の基部209を離れて延伸されるときに、このリボンの対応する縁103a,103bに係合するように構成された一対のエッジローラを含む少なくとも1つのエッジローラ・アセンブリを備えても差し支えない。この一対のエッジローラは、ガラスリボンの縁の適切な仕上げを容易にする。エッジローラ仕上げにより、一対の下方に傾斜した成形表面部分203,205に結合したエッジディレクタ212の反対の表面から離れて引っ張られている溶融ガラスの縁部分の適切な融合および所望の縁特徴が与えられる。
図2に示されるように、第1のエッジローラ・アセンブリ213aは第1の縁103aに関連付けられている。
図3は、ガラスリボン103の第2の縁103bに関連付けられた第2のエッジローラ・アセンブリ213bを示している。各エッジローラ・アセンブリ213a,213bは、互いに実質的に同一であって差し支えないが、エッジローラの対は、さらに別の例において異なる特徴を有してもよい。
図1に示したように、ガラスリボン103の縁103a,103bが一度形成されたら、ガラスリボン103の幅「W」が、延伸方向207に対して実質的に垂直な方向に縁103a,103bの間に画成される。
【0016】
図3に示されるように、フュージョンドロー装置101は、延伸面211の延伸方向207においてガラスリボン103を引っ張りやすくするために、それぞれの縁103a,103bについて第1と第2のプルロール301a,301bをさらに備えても差し支えない。
【0017】
フュージョンドロー装置101は、ガラスリボン103を別個のガラス板305に切断できる切断装置303をさらに備えても差し支えない。ガラス板305は、液晶ディスプレイ(LCD)などの様々なディスプレイ装置に組み込むための個々のガラス板に再分割されてもよい。切断装置は、レーザ装置、機械式刻み装置、移動式アンビル装置および/またはガラスリボン103を個別のガラス板305に切断するように構成された他の装置を含んでもよい。
【0018】
図2を参照すると、一例において、溶融ガラス121が成形槽143の凹部215中に流入し得る。次いで、溶融ガラス121は、対応する堰217a,217bを越えて、この対応する堰217a,217bの外面219a,219b上を下方へと、同時に流れることができる。次いで、それぞれの溶融ガラス流は、下方に傾斜した成形表面部分203,205に沿って、成形槽143の基部209まで流れ、そこで、流れが収束して、ガラスリボン103に融合する。次いで、ガラスリボン103が、延伸方向207に沿って延伸面211で基部209から離れて延伸される。
【0019】
図3に移ると、ガラスリボン103は、延伸面211の延伸方向207に基部209より、粘性区域307から固化区域309へと延伸される。固化区域309において、ガラスリボン103は粘性状態から、所望の断面プロファイルを有する弾性状態へと固化する。次いで、ガラスリボンは固化区域309から弾性区域311に延伸される。弾性区域311において、粘性区域307からのガラスリボンのプロファイルが、ガラスリボンの特徴として固定される。固化したリボンはこのプロファイルから離れるように曲げられるが、内部応力により、ガラスリボンが元の固定されたプロファイルに戻ることができる。
【0020】
図2〜3に示されるように、ガラスリボン103を製造するための装置のいずれも、温度調節装置221を備えても差し支えない。例えば、
図2に示されるように、温度調節装置221は、延伸方向207に対して、垂直などの横に延在する少なくとも1つの温度調節軸に沿って、それぞれの横位置225に配置できる複数の温度調節要素223を含んで差し支えない。
【0021】
図示したように、温度調節装置221は、第1の温度調節軸227aおよび第2の温度調節軸227bとして少なくとも1つの軸を提供できるが、さらに別の例において、1つまたは3以上の温度調節軸を設けてもよい。図示したように、第1と第2の温度調節軸227a,227bの各々は、実質的に真っ直ぐな軸を含むが、さらに別の例において、湾曲したまたは他の軸形状を設けてもよい。さらにまた、第1と第2の軸227a,227bは、互いに対して実質的に平行であるが、さらに別の例において、軸は互いに対して角度が付けられていてもよい。
【0022】
温度調節軸が、ガラスリボンに対して様々な高さで配置されてよい。例えば、
図2および3に示されるように、第1と第2の温度調節軸227a,227bは、固化区域309内に配置されている。さらに別の例において、その上、または代わりに、各または少なくとも1つの温度調節軸は、粘性区域307内および/または弾性区域311内に配置されてもよい。
【0023】
上述したように、
図2に示されるように、複数の温度調節要素223をそれぞれの横位置225に配置することができ、これらの温度調節要素は、ガラスリボン103の幅「W」に沿ってガラスリボン103の横温度プロファイルを調節するように構成されている。
図2に示されるように、各温度調節軸上の複数の温度調節要素223の各々は、それぞれの温度調節軸に沿って直列に互いから間隔が置かれていてよい。例えば、
図2に示されるように、温度調節要素223の1つは、ガラスリボン103の縁103aから極「L
1」である横位置225に配置されていてよく、一方で、隣接する温度調節要素223は、距離「L
1」より大きい、縁103aからの距離「L
2」に配置されて差し支えない。いくつかの例において、温度調節要素223は、ガラスリボンの幅「W」に沿って互いから等しく間隔が置かれていて差し支えないが、温度調節要素は、ガラスリボンの縁103a,103bに対して異なる距離で配置されてもよい。例えば、温度調節要素223は、ガラスリボンの中央部分よりも縁での熱伝達を大きくできるように、ガラスリボン103の中央領域と比べたときに、縁103a,103bの近くで互いに近くに配置されてもよい。
【0024】
図示したように、温度調節要素223は、一列に沿って互いから間隔が置かれていて差し支えないが、さらに別の例において、温度調節要素の行列を設けてもよい。図示したように、温度調節要素223は、互いに実質的に同一であって差し支えないが、さらに別の例において、異なるサイズまたはタイプの要素を使用してもよい。例えば、一例において、温度調節要素のサイズおよび/またはタイプは、ガラスリボンの中央部分と比べたときに、縁への熱伝達を多くできるように設計されてもよい。一例において、温度調節要素223は加熱コイルを備えて差し支えなく、その熱は、加熱コイルを通る電流からの電気抵抗によって生じる。
【0025】
図3にさらに示されるように、装置101は、ガラスリボン103の幅「W」に沿ったそれぞれの位置315でガラスリボン103の応力特徴を測定するように構成された応力センサ装置313をさらに備えても差し支えない。応力センサ装置は、例えば、少なくとも1つのセンサ要素を備えて差し支えない。例えば、ガラスリボンの応力特徴を測定するためにガラスリボン103の幅に沿って移動する1つのセンサ要素を設けてもよい。
【0026】
あるいは、図示するように、さらに別の例において、応力センサ装置313は、ガラスリボン103の幅「W」に沿ったそれぞれの位置315でガラスリボン103の応力特徴を測定するように構成された複数のセンサ要素317を備えても差し支えない。一例において、センサ要素317は、少なくとも1つの応力検出軸に沿って直列に、それぞれの位置315に配置することができる。例えば、複数のセンサ要素317は、第1の応力検出軸319に沿ったそれぞれの位置315に配置し、弾性区域311内でガラスリボン103の幅「W」に沿って延在するように構成することができる。その上、または代わりに、センサ要素317は、ガラスリボン103の上流部分から切断された個別のガラス板305を形成するガラスリボンの幅「W」に亘り延在しながら、切断区域312で第2の応力検出軸321に沿って一列に並べても差し支えない。
【0027】
1つの第1の応力検出軸319を弾性区域311内に設けても差し支えないおよび/または1つの第2の応力検出軸321を切断区域312内に設けても差し支えない。さらに別の例において、複数の検出軸を弾性区域311内および/または切断区域312内に設けてもよい。そのような例において、複数の検出軸を互いに実質的に平行であってよいが、さらに別の例において、それらの軸を互いに角度をつけてもよい。さらにまた、図示したように、各応力検出軸319,321は実質的に直線であってもよいが、さらに別の例において、検出軸は湾曲していても、または異なるプロファイルを有していてもよい。図示したように、検出軸319,321の両方とも延伸方向207に対して実質的に垂直に延在する。図示していないが、検出軸の一方または両方は、延伸方向207を横切る他の方向に配置されてもよい。
【0028】
図3に示された例において、最も外側のセンサ要素317は、ガラスリボン103の縁103aから距離「L
1」である横位置315に配置されていてよく、一方で、隣接するセンサ要素317は、距離「L
1」より大きい、縁103aからの距離「L
2」に配置されていて差し支えない。いくつかの例において、センサ要素317は、ガラスリボンの幅「W」に沿って互いから等しく間隔が置かれていて差し支えないが、センサ要素は、ガラスリボンの縁103a,103bに対して異なる距離に配置されていてもよい。例えば、センサ要素317は、対応する間隔の置かれた温度調節要素223の位置に適合する検出を可能にするために、ガラスリボン103の中央領域と比べたときに、縁103a,103bの近くで互いに近くに配置されていてもよい。それゆえ、複数のセンサ要素317は、複数の温度調節要素223の対応する温度調節要素223の横位置225に対応する応力検出軸319,321に沿ったそれぞれの位置315でガラスリボン103の応力特徴を測定するように構成されていてよい。
【0029】
センサ要素317は、ガラスリボンの切断の前および/または後にガラスリボン103の特定の位置で応力を検出するように適合された様々な構成を備えることができる。一例において、センサ要素317は、特定の位置で応力を決定するために偏光を使用するように構成された素子を備えても差し支えない。そのような例により、偏光を使用して、ガラスリボンを破壊せずに、応力特徴を決定することができる。それゆえ、応力センサ装置313は、ガラスリボンの切断の前および/または後にガラスリボンの特定の横位置での応力条件の連続的などの周期的なモニタを容易にすることができる。
【0030】
図3に示されるように、装置101は、応力センサ装置313から、連続的などの少なくとも周期的に得られた応力特徴情報に基づいて、温度調節要素223の動作を独立して調節することによって、ガラスリボン103の連続的などの少なくとも周期的な熱応力補償のために構成された制御装置323をさらに備えても差し支えない。一例において、制御装置323は、複数の温度調節要素223およびセンサ要素317と通信する制御器325を備えても差し支えない。例えば、図示されたように、応力検出軸319,321に関連した複数のセンサ要素317は、通信ライン327,329によって制御器325と通信する状態に配置できる。同様に、温度調節軸227a,227bに関連した複数の温度調節要素223は、それぞれの通信ライン331,333によって制御器325と通信する状態に配置できる。
【0031】
一例において、制御装置323は、電力調節とガラス板の応力特徴への対応する影響との間の関係を列挙するデータベースを備えても差し支えない。例えば、データベースは、以前の電力調節と応力特徴への対応して観察された影響との固定リストに基づいても差し支えない。一例において、データベースは固定されており、ガラスリボン内の応力を補償するために、将来の電力調節に同じデータベースを使用してもよい。さらに別の例において、データベースは動態的であってよく、そのデータベースは、新たなデータを含むように時間の経過と共に更新されてもよい。例えば、データベースは、電力調節と、温度調節要素の動作を調節した後に応力センサ装置から得られた応力特徴情報に基づいてガラス板の応力特徴への対応する影響との間の関係を適合させるように構成されてもよい。
【0032】
さらに別の例において、制御装置323は、ガラスリボン103の応力特徴を最小にするために電力調節を論理的に行うことができる。例えば、温度調節要素の電力の変動と、ガラスリボン内に結果として生じた応力との間の関係の数学モデルを使用して、電力調節を行うことができる。巻取力(winding power)を応力に関係付ける非線形動態的表現の例は、以下の方程式(1)により表すことができる:
【数1】
【0033】
式中、sは応力点のベクトルであり、pは巻取力のベクトルであり、関数fおよびgは、適切なサイズのベクトル場であり、s
0は出力応力ベクトルである。巻取力を応力に関係付ける非線形動態的表現の例は、以下の方程式(2)により表すことができる:
【数2】
【0034】
式中、Kは、力を応力に対してマッピングする適切なサイズのマトリクスである。方程式(2)は、静的条件中に先の方程式(1)から導かれるであろう。
【0035】
さらに別の例において、制御装置323はファジー理論制御器を必要に応じて含んでも差し支えないが、さらに別の例において、他の制御装置を使用してもよい。
【0036】
さらに別の例において、装置101は、装置101に関連付けられるパラメータの条件を検出するように構成されたパラメータセンサ335を含んでも差し支えない。例えば、パラメータセンサ335は、機械的に誘発された応力がガラスリボンにおいて優勢であることを示す条件を検出する。そのような状況において、機械関連の応力が緩和されるまで、熱関連応力を減少させる試みを避けることが有益であろう。一例において、パラメータセンサ335は、ガラスリボンの動きを決定するためのモーションセンサであって差し支えない。別の例において、パラメータセンサ335は、ガラスリボンの幅を横断した温度差を決定するための温度センサを含んでもよい。さらに別の例において、パラメータセンサ335は、ガラスリボンの形状を測定するように構成された近接センサを備えてもよい。さらに別の例において、パラメータセンサ335は、ガラスリボンの物理的条件を決定するように構成されたレーザまたは他の装置を備えても差し支えない。パラメータセンサを含むそのような例により、装置101に関連するパラメータの条件が検出され、その後、制御装置323は、パラメータセンサ335によって所定の条件が検出された場合、熱応力補償を防ぐように構成されている。
【0037】
ここで、ガラスリボン103を製造する方法を、
図1〜4を参照して説明する。上述したように、溶融ガラス121は、延伸方向207に延在する対向する縁103a,103bを含むガラスリボン103を形成するために、延伸方向207に延伸することができる。先に述べ、
図1に示されるように、対向する縁103a,103bは、延伸方向207を横切るガラスリボン103の幅「W」に沿って間隔が置かれている。
【0038】
この方法はさらに、溶融ガラス121を粘性区域307から、粘性区域307の下流の固化区域309に延伸する工程であって、ガラスリボン103は粘性状態から弾性状態に固化する工程を含む。この方法はさらにまた、ガラスリボン103を、固化区域309の下流の弾性区域311に延伸する工程を含む。
【0039】
図4を参照すると、一例において、次いで、この方法は、ガラスリボン103の幅「W」に沿ったそれぞれの横位置でガラスリボン103の応力特徴を検出する工程401を続行することができる。例えば、
図3に示されるように、複数のセンサ要素317は、ガラスリボン103のそれぞれの横位置(例えば、L
1、L
2、など)に関連する応力特徴を少なくとも周期的に検出することができる。さらに別の例において、センサは、ガラスリボンのそれぞれの横位置に関連する応力特徴を連続的に測定してもよい。
【0040】
図3に示されるように、センサは、ガラスリボンを別個のガラス板305に切断する前に、弾性区域311内のガラスリボンのそれぞれの横位置に関連する応力特徴を、連続的などの少なくとも周期的に測定するために、第1の応力検出軸319に沿って配列されてもよい。
【0041】
その上、または代わりに、
図3にさらに示されるように、センサは、ガラス板305がガラスリボンから切断された後に、ガラスリボンのそれぞれの横位置に関連する応力特徴を、連続的などの少なくとも周期的に測定するために第2の応力検出軸321に沿って配列されてもよい。そのような例において、センサは、全てのガラス板305の長さに沿って応力特徴を測定してもよい。例えば、センサは、全てのガラス板305の長さに沿った特定の位置で第2の応力検出軸に沿った応力特徴の信号測定を行ってもよい。そのような例において、センサは一回に各ガラス板を周期的に測定する。さらに別の例において、センサは、全てのガラス板305の長さに沿った多数の位置で第2の応力検出軸321に沿った応力特徴の周期的測定を行ってもよい。さらに別の例において、センサは、全てのガラス板305の全長にまたは実質的に全長に沿って第2の応力検出軸に沿った応力特徴の連続測定を行ってもよい。
【0042】
さらに別の例において、センサは、ガラス板305の全てではない数のガラス板の応力特徴情報を周期的に測定するように設計されていてもよい。ガラス板305の全てではない数のガラス板の応力特徴情報を周期的に測定することは、例えば、測定プロセスがガラス板を損傷させたり、破壊したりするかもしれない場合に望ましいであろう。そのような例において、ガラス板の破壊試験による材料の廃棄を最少にしながら、応力特徴情報における変化を調整するために、十分な数の板を、上述したように、周期的に調査してもよい。一例において、少なくとも1枚のガラス板を、毎時、4時間毎、24時間毎に測定してもよい。さらに別の例において、240枚のガラス板から少なくとも1枚のガラス板、1440枚のガラス板から少なくとも1枚のガラス板などの、60枚のガラス板から少なくとも1枚のガラス板を測定してもよい。さらに別の例において、ガラス板の他の割合、またはガラス板の測定の間の時間は、特定の用途に基づいて選択してもよい。
【0043】
さらに別の例において、前記方法は、ガラスリボン103の幅「W」に沿った各横位置での平均応力特徴を得るために応力特徴を縦方向に平均する工程であって、平均応力特徴を、以下に記載するその後の工程403および405において使用できる工程を含んで差し支えない。例えば、各センサ要素317により観察される平均応力は、ある期間に亘る特定の横位置での平均応力特徴を決定するであろう。
【0044】
図4に戻ると、次いで、前記方法は、温度調節要素223の調節を決定する工程403および次いで、粘性区域307、固化区域309および弾性区域311の少なくとも1つにおいてガラスリボン103の幅「W」に沿って配置された複数の温度調節要素223の動作を独立して調節することによって、ガラスリボン103の横断温度プロファイルを変化させる工程405を含んで差し支えない。
図4に概略的に示されるように、その決定は、検出工程401の最中に得られる応力特徴情報に基づいて差し支えない。
【0045】
温度調節要素223の調節を決定する工程403は様々な技法によって行うことができる。例えば、
図4に概略的に示されているように、電力調節とガラス板の応力特徴への対応する影響のデータベース407を提供しても差し支えない。いくつかの例において、データベースは、特定の電力の変動に基づく応力特徴への実際に観察された影響によって作成しても差し支えない。さらに別の例において、データベース407は、ガラスリボンを製造するための装置のモデルを使用して得ても差し支えない。さらに別の例において、モデルを使用して、その後の電力の変動に基づく応力特徴への実際に観察された影響が更新される初期データベース407を作成してもよい。
【0046】
それゆえ、所望の応力の変動は、達成された応力の変動のデータベースにできるだけ近く適合させることができる。次いで、データベースにおける最も近い応力の変動に関連する対応する電力の変動を選択して差し支えない。あるいは、2つの最も近い電力の変動の間にその電力の変動を補間しても差し支えない。電力の変動が一度決定されたら、各温度調節要素223の電力の変動は、決定された電力の変動によって調節することができる。それゆえ、温度調節要素223の1つまたは全てが、電力調節およびガラス板の応力特徴への対応する以前に観察された影響のデータベースにより得られる応力特徴情報の比較によって独立して調節されるであろう。
【0047】
いくつかの例において、データベース407は、静的であってよく、それによって、ある期間に亘り、またはもしあるとしても、将来のいつかに更新されるまで、不変のままであってよい。例えば、
図4に示されるように、複数の温度調節要素223の動作を独立して調節することによって、ガラスリボン103の横断温度プロファイルを変化させる工程405の後、この方法は、矢印409により示されるように、検出の工程401に戻ってもよい。次に、この方法は、矢印411に示されるように、温度調節要素223の調節を決定する工程403を再度行ってもよい。
【0048】
あるいは、この方法は、パワー調節および温度調節要素223の動作を調節した後に得られる応力特徴情報に基づくガラス板の応力特徴への対応する影響のデータベース407を適用させる工程をさらに含んで差し支えない。例えば、
図4を参照すると、複数の温度調節要素223の動作を独立して調節することによって、ガラスリボン103の横断温度プロファイルを変化させる工程405の後、この方法は、矢印409により示される検出の工程401に戻ってもよい。次に、矢印413に示されるように、データベース407は、工程403中に行われた決定にしたがって温度調節要素を調節した後に検出された応力特徴情報に基づいて、適合させても(例えば、更新しても)差し支えない。一例において、データベースは、各更新によってサイズが増加し得る。あるいは、データベース中の篩情報が、新しい情報により置き換えられても差し支えない。
【0049】
温度調節要素223の調節を決定する工程403は、代わりの方法によって行っても差し支えない。例えば、電力調節は、ボックス415により示され、先の方程式(1)と(2)により参照される式を使用して計算してもよい。さらに別の例において、電力調節は、ボックス417により示されるファジー理論によって決定してもよい。
【0050】
前記方法は、温度調節要素が、温度調節要素の故障を生じるかもしれない温度調節要素の仕様を越えた動作をしないように設計されていても差し支えない。調節されることが意図されている温度調節要素に提供される電力の調節により、温度調節要素に許される電力の最大量を超える調節電力がもたらされた場合、隣接する温度調節要素への電力を調節してもよい。隣接する要素は、1つの要素または意図した温度調節要素をまたぐ2つの要素であっても差し支えない。例えば、過剰の温度の動きを半分に割り、2つの隣接する温度調節要素に加えても差し支えない。
【0051】
前述したように、前記方法は、検出の工程401から始めることができる。あるいは、
図4に示されるように、この方法は、ガラスリボン103に機械的に誘発された応力に関連するパラメータを測定する工程419から始めるなどしてこの工程を含んでもよい。パラメータが一度測定されたら、ディシジョン・ブロック421を使用して、測定されたパラメータがそのパラメータに関連する動作範囲から外れている場合、熱応力補償を防ぐ。例えば、パラメータセンサ335(
図3参照)が、リボンが揺れている、または他の様式で許容範囲から外に移動しているか否かを決定するモーションセンサを含んでもよい。リボンが十分に大きい振幅で揺れている場合、揺れる動作からの機械的応力が、ガラスリボンに導入される応力を占めるであろう。このような場合、前記方法は、矢印423により示されるように、再度、パラメータを検査するようにループバックするであろう。図示されていないが、ループバックにより、機械的に誘発した応力の源に対処するのに役立つように音声、視覚または他のアラームおよび/または記録機構を始動させることができる。パラメータが許容範囲内にある場合、次いで、この方法は、矢印423により示されるように、検出の工程401に続くことができる。
【0052】
それゆえ、例示の方法は、ガラスリボン103に機械的に誘発された応力に関連するパラメータを測定する工程419を必要に応じて含んでもよい。いくつかの例において、前記方法は、測定されたパラメータがそのパラメータに関連する動作範囲内にある場合のみに、ガラスリボンの横断温度プロファイルを変化させる工程を含んで差し支えない。許容範囲内にある場合、横断温度プロファイルは、粘性区域307、固化区域309および弾性区域311の少なくとも1つにおけるガラスリボン103の幅「W」に沿って配置された複数の温度調節要素223の動作を独立して調節することによって、変化させることができる。前述したように、温度調節要素223は、ガラスリボン103の幅「W」に沿ったそれぞれの横位置(例えば、L
1、L
2、など)でガラスリボン103を検出する工程中にセンサ要素317により得られた応力特徴情報に基づいて独立して調節することができる。
【0053】
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本開示に様々な改変および変更を行えることが当業者には明白であろう。それゆえ、本発明は、本開示の改変および変更を、それらが添付の特許請求の範囲およびその同等物に含まれるという条件で包含することが意図されている。