【文献】
ダイワフィッシングタックルカタログ2012,日本,グローブライド株式会社,2012年 2月 1日,p.28-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明に係る魚釣用リールについて説明する。
図1から
図3は、本発明に係る魚釣用リールの一実施形態を示す図であり、
図1は、釣糸案内体部分を露出させた平面図、
図2は、クラッチ機構の動力伝達部分の構成を示す側面図(クラッチON状態)、そして、
図3は、クラッチ機構の動力伝達部分の構成を示す側面図(クラッチOFF状態)である。なお、以下において、前後方向、左右方向、及び上下方向は、
図1および
図2で示す方向で定義する。
【0013】
本実施形態に係る魚釣用リールは、左右のフレーム2a,2bを左右カバー3a,3bで覆った左右側板1A,1Bを備えたリール本体1を有している。前記リール本体には、左右側板間に位置し、図示しない釣竿に装着されるリール脚1Cが一体形成されている。また、前記左右のフレーム2a,2b間には、スプール軸5が軸受を介して回転可能に支持されており、スプール軸5には、釣糸が巻回されるスプール5Aが一体的に固定されている。さらに、前記左右側板間には、スプール5Aに対して上方側に、指を載置可能なサムレスト1Dが設けられている。
【0014】
本実施形態では、前記スプール5Aを回転駆動するハンドル8を右側板1B側に設置しており、右フレーム2bと右カバー3bとの間の空間には、ハンドル8の回転駆動力をスプール軸5に伝達する公知の動力伝達機構10が配設されている。また、右フレーム2bと右カバー3bとの間には、スプール軸5を動力伝達状態と動力遮断状態に切り換える公知のクラッチ機構20が配設されており、このクラッチ機構20は、スプール5Aの後方側の左右側板間に配設されたクラッチ切り換え操作部材(以下、操作部材と称する)21を押し下げ操作することで、クラッチON状態(動力伝達状態であり釣糸巻き取り状態)からOFF状態(動力遮断状態であり、釣糸放出状態)に切り換えるようになっている。なお、クラッチOFF状態からクラッチON状態への復帰は、後述する自動復帰機構30によってハンドル8を回転操作することで行うことが可能となっている。
【0015】
また、左右の側板1A,1B間には、スプール5Aの釣糸繰出し方向側に、レベルワインド装置50が配設されている。このレベルワインド装置50は、前記ハンドル8を回転操作することで、釣糸を挿通する釣糸案内体60が左右に往復移動するよう構成されており、釣糸の巻き取り操作に伴って、スプール5Aに対して釣糸を均等に巻回する機能を有する。
【0016】
前記駆動力伝達機構10は、ハンドル8が固定されたハンドル軸8aにドラグ機構と関連して回転可能に装着された駆動歯車11と、この駆動歯車11に噛合するピニオン12とを備えている。前記ピニオン12は、スプール軸5と同軸上に設置されており、スプール軸5(別体のスプール軸であっても良い)に沿って軸方向に移動可能となっている。また、ピニオン12の外周には、円周溝12aが形成されており、この円周溝12aに、後述するクラッチ機構20のヨーク22が係合して、ピニオン12を軸方向に移動させるようになっている。すなわち、ピニオン12が軸方向に移動することで、スプール軸5との間で継脱がなされ、動力伝達状態(クラッチON)/動力遮断状態(クラッチOFF)に切り換えられるようになっている。
【0017】
前記クラッチ機構20は、右フレーム2bに対して回動可能に支持され、振り分けバネ23によって、
図2に示す動力伝達状態(クラッチON状態)と、
図3に示す動力遮断状態(クラッチOFF状態)に振り分け保持されるクラッチプレート25を備えている。このクラッチプレート25は、右フレーム2bに上下方向に形成された連結孔2dを介して前記操作部材21と連結されており、クラッチプレート25に形成された長孔25aに、右フレーム2bに突出するように設けられたピン2eが挿入されて、その回動駆動が案内されるようになっている。
【0018】
前記クラッチプレート25の表面には、前記ピニオン12の円周溝12aに係合したヨーク22と係合可能な一対のカム面26が形成されている。前記ヨーク22の先端側は、右フレーム2bに突設された支持ピン27によって保持されており、ヨーク22は、各支持ピンに配設されたバネ部材(図示せず)によって常時、クラッチプレート25側に付勢された状態となっている。なお、
図2は、ヨーク22がバネ部材によってクラッチプレート25側に付勢された状態を示しており、このとき、ピニオン12はスプール軸の端部に形成されている係合部に嵌合してクラッチON状態となっている。
【0019】
前記クラッチプレート25は、操作部材21が、
図2の矢印に示すように押下げ操作されると反時計回り方向に回動され、前記カム面26、及びヨーク22を介して、ピニオン12をスプール軸の端部に形成されている係合部から離脱させ、
図3に示すように、クラッチOFF状態に切り換える。なお、この状態は、前記振り分けバネ23によって保持される。
【0020】
また、前記クラッチプレート25には、クラッチをOFF状態からON状態にする自動復帰機構30が設けられている。この自動復帰機構30は、クラッチプレートに一体的に設けられるキック部材31と、前記ハンドル軸8aに回り止め固定されるラチェット32とを備えており、前記キック部材31は、クラッチONからクラッチOFFに切り換えると、
図3に示すように、ラチェット32の回転軌跡内に侵入するように配置、構成されている。このため、クラッチOFF状態において、前記ハンドル8を巻き取り操作すると、ラチェット32の回転により、キック部材31はキックされ、自動的にクラッチプレート25をクラッチON状態の位置に復帰させて、振り分けバネ23のバネ力で保持する。なお、クラッチの復帰は、前記操作部材21を押し上げ操作しても行うことが可能である。
【0021】
前記スプール5Aの前方側の左右側板間には、前記レベルワインド装置50が配置されている。以下、レベルワインド装置50の構成について、
図4から
図10を併せて参照しながら説明する。なお、これらの図において、
図4は、クラッチプレートと釣糸案内体を回動させる回動プレートとの連結部分の構造を示す断面図、
図5は、
図1に示す魚釣用リールのA−A線に沿った断面図であり、釣糸案内体が釣糸巻き取り状態(クラッチON状態)にあるときを示す図、
図6は、釣糸案内体が釣糸放出状態(クラッチOFF状態)にあるときを示す図、
図7は、釣糸案内体を拡大して示す斜視図(クラッチON状態)、
図8は、
図7に示す釣糸案内体の正面図、
図9は、釣糸案内体を拡大して示す斜視図(クラッチOFF状態)、そして、
図10は、
図9に示す釣糸案内体の正面図である。
【0022】
前記レベルワインド装置50は、スプール5Aに巻回された釣糸Sを挿通させる釣糸案内体60を備えており、この釣糸案内体60は、軸受52(
図4参照)を介して左右側板間に回転可能に支持され、前記駆動力伝達機構10を介して回転可能に駆動される螺軸(ウォームシャフト)51によって、左右往復駆動されるよう構成されている。すなわち、前記螺軸51の右フレーム側には、前記ハンドル軸8aに装着された駆動歯車11と隣接して配設されてハンドル軸8aと一体的に回転する連結ギア(図示せず)と噛合する入力ギア53が設けられており、前記螺軸51は、連結ギア及び入力ギア53を介してハンドル8の回転駆動と同期して回転駆動されるようになっている。
【0023】
前記螺軸51は、左右側板間に回動可能に保持される管状体(筒体)55内に収容された状態となっており、前記管状体55の外面には、軸方向に延出する長孔55aが形成され、前記螺軸51の表面に形成された螺旋溝51aを軸方向に沿って部分的に露出させている。また、前記釣糸Sを挿通させる釣糸案内体60は、釣糸挿通部60Aと保持部60Bを一体的に備えており、前記保持部60Bが前記管状体55を囲繞するように、配置、形成されている。
【0024】
前記保持部60Bは、その内部に、前記長孔55aを介して螺旋溝51aと係合する摺動子61を保持している。この摺動子61は、袋ナット62によって、前記保持部60Bに対して固定される。また、前記釣糸案内体60は、螺軸51の回転によって、螺旋溝51aと摺動子61との係合関係によって、軸方向に沿って移動しつつ、管状体55の回りを回転しないように、回り止めされている。本実施形態の構成では、前記管状体55の外周に、軸方向に沿って延出する回り止め部55bを形成しており、回り止め部55bに対して、保持部60Bの係合部64を係合させることで、回り止めを果たしている。具体的には、回り止め部55bは、管状体55の外周に、軸方向に延出する突起(
図5,
図6に示すように、180°間隔で一対設けられている)として構成されており、係合部64は、そのような突起に入り込む凹部として構成されている。
【0025】
上記のように、螺軸51を収容する管状体55に回り止め部55bを一体形成することで、従来のように、釣糸案内体60を回り止めするガイド軸を配設する必要がなくなり、レベルワインド装置の構造を簡素化することが可能となる。
【0026】
また、釣糸案内体60は、前記螺軸51が回転駆動されると、摺動子61を介して左右側板間で往復駆動されると共に、本実施形態では、上述したクラッチ機構20のON/OFFに連動して釣糸巻き取り状態と釣糸放出状態との間で切り換えられるように、スプール5Aの前方で前後方向に回動可能に構成されている。この場合、釣糸案内体60の回動駆動については、前記管状体55を回動駆動することで成されるようになっている。
【0027】
ここで、クラッチ機構20から管状体55への動力伝達経路に具体的に説明する。
前記クラッチプレート25には、リール本体の前方側に向けて突出する突片25bが形成されており、その先端には、右フレーム側に向けて突出する係合突起25cが一体形成されている。一方、右フレーム2bには、前記螺軸51が支持される部分に回動プレート59が保持されており、前記管状体55は、右フレーム2bの内面側において、回動プレート59と回り止め固定されている。すなわち、回動プレート59には、径方向に突出する凸部59aが形成されており、この凸部59aに、管状体55の端部に形成された凹部55cが嵌合することで、両者は、右フレーム2bの内面側で固定された状態(一体回動可能な状態)となっている。
【0028】
前記回動プレート59は、前記螺軸51を回転可能に支持する軸受52の外輪と右フレーム2bとの間で回動可能に支持されており、右フレーム2bの外面側に沿って、前記クラッチプレート25の突片25bと係合する連結片59bが形成されている。そして、連結片59bには、長孔59cが形成されており、この長孔59cに、前記クラッチプレート25の突片25bの係合突起25cが遊挿されることで、回動プレート59は、
図2及び
図3に示すように、クラッチプレート25の回動に伴って螺軸51の軸芯を中心に回動されるようになっている。したがって、回動プレート59は、振り分けバネ23によって、釣糸巻き取り状態と釣糸放出状態との間で振り分け保持されるクラッチプレート25と共に、2つの位置で切り換えられるようになっている。
【0029】
前記釣糸案内体60は、回動プレート59を介して、管状体55が回動駆動されることで、スプールの前方において、前後方向に回動駆動される。ここで、釣糸案内体60の釣糸挿通部60Aの構成について、具体的に説明する。
【0030】
釣糸挿通部60Aは、スプール5Aからの釣糸Sを挿通させる部分であり、SUS、チタン等の釣糸抵抗が少ない材料によるフレーム体60Fとして構成されており、
図7から
図10に示すように、前記保持部60Bと共に一体形成されている。具体的に、本実施形態の釣糸挿通部60Aは、左右方向に幅狭(細溝状)となった釣糸案内部67と、その釣糸案内部67の上方側で、略対称となるように左右方向に拡がる幅広の開口部68とを備えており、釣糸案内部67は、開口部68の下部中央位置から下方に向けて延出した形状となっている。この場合、開口部68は、
図10に示すように、釣糸放出状態となったときの正面視(挿通される釣糸Sに沿って前方から見た正面視)で、左右方向に拡がる略楕円形状となるように形成されており、その両サイド壁は、開口部68の略中央の下部に形成される釣糸案内部67に向けて傾斜して釣糸Sを案内する傾斜案内面68aとなっている。
【0031】
前記開口部68を有するフレーム体60Fは、釣糸放出状態で側面視した際、前後方向に対して傾斜した状態(後方側に向けて次第に立ち上がる形状)となっており、開口部68を形成する上壁68bは、釣糸放出状態では、前後方向に沿った状態となって(
図6及び
図9参照)、可能な限り広い開口を確保できるようになっている。したがって、開口部68を形成する前後方向に沿った上壁68bの後端縁69は、釣糸放出状態から釣糸巻き取り状態に回動した際、開口部68内に挿通されている釣糸Sに対して、上側から当接できる位置関係となっており、釣糸Sを規制する規制部としての機能を有する(以下、後端縁を規制部69と称する)。
【0032】
なお、規制部69は、フレーム体60Fとして一体形成される部分であり、釣糸案内体60が前記クラッチ機構20に連動して、釣糸放出状態から釣糸巻き取り状態に回動した状態で正面視した際(
図8に示すように、釣糸Sに沿って前方から見た際)、前記釣糸案内部67の上下長さLの範囲内となるような配置関係となっていれば良い。すなわち、このような配置関係となっていれば、釣糸案内体60が、釣糸放出状態から釣糸巻き取り状態に回動すると、開口部68のいずれかの部分に位置する釣糸Sは、規制部69によって押し付けられ、傾斜案内面68aに沿って確実に釣糸案内部67に案内することが可能となる。また、このような位置関係となっていれば、釣糸巻き取り状態で、釣糸Sを確実に釣糸案内部67から離脱しないようにすることができる。
【0033】
そして、前記釣糸案内体60(開口部68)は、スプール5Aとの関係、具体的には、スプール5Aに巻回される釣糸の巻回量、及び釣糸放出時の左右の振れを考慮して、以下のような大きさに設定されている。ここで、
図11及び
図12を参照して、釣糸案内体60とスプールとの関係について説明する。なお、
図11は、スプールと釣糸案内体の幅方向の関係を模式的に示す平面図、
図12は、スプールと釣糸案内体の上下方向の関係を模式的に示す正面図である。
【0034】
開口部68は、クラッチ機構をONからOFF(操作部材21を押し下げ操作)にしてキャスティング操作する際、放出される釣糸が挿通する部分である。上記したように、開口部68は、左右方向に幅広に形成されて、挿通する釣糸の接触抵抗を軽減するように構成されているが、開口部68の左右幅Wについては、スプール5Aの釣糸巻回幅WSの50%〜200%に設定しておくのが好ましい。すなわち、スプール5Aに対しては、釣糸は、釣糸案内体60の左右の往復動によって、釣糸巻回幅WSに亘って均等となるように巻回された状態となっており、この状態から釣糸を放出すると、釣糸は、釣糸巻回幅WSに亘って大きく左右に振れるようになる。このため、開口部68の左右幅Wを、少なくとも、スプール5Aの釣糸巻回幅WSの50%以上(スプールの釣糸巻回幅WSの半分以上)に設定しておくことで、左右に振れる釣糸の接触抵抗を効果的に減らすことができ、仕掛けの飛距離が低下することを抑制することが可能となる(50%よりも小さくすると、釣糸が左右に振れた際に、開口部68の両内面に接触する傾向が高くなる)。
【0035】
前記開口部68の左右幅Wについては、広くする程、放出抵抗の軽減が図れるようになって好ましいが、本実施形態のように、釣糸案内部67を、開口部68の下部中央位置から下方に向けて延出して形成した構成では、スプール5Aに釣糸を巻回案内する釣糸案内部67が、
図14及び
図15で示すように、スプール5Aの左右の端の位置(このとき、釣糸案内体60は最も左右の端に移動した位置となる)にあったとき、開口部68がスプール5Aの全体幅をカバーできていれば良い。すなわち、開口部68の左右幅Wが、スプール5Aの釣糸巻回幅WSの200%になっていれば、論理的には、釣糸放出状態で開口部68の開口領域を、確実にスプール前方に位置させることが可能となり(
図13から
図15参照)、釣糸の放出抵抗を軽減することが可能となる。
【0036】
ただし、開口部68の左右幅Wについては、100%を超えると、釣糸案内体60の左右摺動時に左右の側板と干渉するため、左右側板の各対向内面に、釣糸案内体60が幅方向に移動した際に入り込む凹所を形成しておけば良い。すなわち、開口部68の左右幅Wが、スプール5Aの釣糸巻回幅WSの200%に設定されていても、左右側板の各対向内面に凹所を形成しておくことで、そのような大きさの釣糸案内体を左右方向に移動可能に保持することが可能である。
【0037】
なお、上記したスプールの釣糸巻回幅WSについては、
図11に示すように、スプール5Aに対して最大限釣糸が巻回される幅(スプールの左右フランジ5Fの釣糸巻回上端位置PFの幅)によって定義され、開口部68の左右幅Wについては、開口部に挿通する釣糸が両サイドで接触可能となる左右の内面端位置PGの幅によって定義される。
【0038】
前記開口部68を形成する上壁68bの内側上部位置、及び、下壁の内側下部位置(本実施形態では、左右の傾斜案内面68aの下端位置となる)については、スプール5Aに巻回される釣糸の巻回量(釣糸を放出する際、初期段階では、釣糸はスプール5Aに対して略一杯に巻回された状態にあり、かつ、釣糸が放出された終期段階では、スプール5Aに対する巻回量が減少する)を考慮して以下のように設定される。
【0039】
図12に示すように、スプール軸5の軸芯Xからフランジ5Fの上端位置PHまでの高さで定義されるスプール5Aの半径をDとした場合、開口部68を形成する上壁68bの内側上部位置P(開口部68を形成するフレームの内面の最も上部の位置)については、前記半径Dの70%〜100%に設定しておくことが好ましい。すなわち、スプール軸5の軸芯Xから上壁68bの内側上部位置Pまでの高さHを、半径Dの100%以下に設定しておくことで、スプール5Aに釣糸が一杯に巻回されたことを考慮しても、放出時に開口部68の上壁68bの内面に釣糸が接触することを抑制することが可能となり、かつ、リール本体のロープロファイル化が図り易くなる。また、スプール5Aからの釣糸放出時では、釣糸は直ちに巻回量が減少して行き、上壁68bからの抵抗が減少することから、軸芯Xから上壁68bの位置Pまでの高さHについては、前記半径Dの70%以上に設定されていれば良い。この場合、上壁68bの内側上部位置Pまでの高さHを70%よりも低く設定しておくと、キャスティング初期時に、上壁68bの内面からの接触抵抗が大きくなる傾向となり、好ましくはない。
【0040】
また、
図12に示すように、スプール5の底径(スプール軸5の軸芯Xから釣糸が巻回される巻回胴部5Sまでの表面距離)をD1とした場合、開口部68を形成する内側下部位置P1(本実施形態では、開口部68を形成する左右の傾斜案内面68aの下端位置で定義される)を、スプールの底径D1の100%〜120%に設定しておくことが好ましい。すなわち、スプール軸5の軸芯Xから左右の傾斜案内面68aの下端位置P1までの高さH1を、底径D1の100%に設定しておくことで、スプール5Aから釣糸が殆ど放出された状態を考慮しても、開口部68の下壁の内面(内側下部位置P1)に釣糸が接触することを抑制することが可能となり、かつ、リール本体のロープロファイル化が図り易くなる。この場合、スプール5Aからの釣糸放出時では、釣糸が全て放出された状態になることはないため、前記H1は、100%以上に設定しておけば良いが、開口部68を形成する内側下部位置P1は、スプールの底径D1の120%以下に設定しておくことが好ましい。すなわち、内側下部位置P1を120%よりも高く設定すると、キャスティング終期に傾斜案内面68aからの接触抵抗が大きくなるため好ましくはない。また、前記H1を100%未満に設定すると、開口部が上下方向に大きくなり過ぎてしまい、リール本体のロープロファイル化を図る上では好ましくはない。
【0041】
なお、前記スプールの底径D1については、巻回胴部5SがV字状やU字状に形成されていれば、最もスプール軸5と近い部分によって定義される。また、開口部68の内側下部位置P1については、上記したような釣糸案内部67を形成した構成では、釣糸案内部67へ向けて屈曲(湾曲)移行する位置によって定義される。
【0042】
開口部68の下側中央に形成される左右方向に幅狭となった釣糸案内部67は、上下方向に延出しており、そこに入り込んだ釣糸Sの左右方向のブレを防止して、スプール5Aに対して、安定して釣糸を平行巻きする機能(糸巻状態を向上する機能)を有する。
【0043】
この場合、釣糸案内部67を規定する両壁67aについては、
図5及び
図6に示すように、前記摺動子61を固定する袋ナット62の上方を覆うように伸びていることが好ましく、このような構成により、釣糸案内部67に入り込んでいる釣糸が、前記袋ナット62の部分で絡むことを効果的に防止することが可能となる。また、釣糸案内部67の底面67cは、
図5に示す釣糸巻き取り状態において、前方に向けて次第に下方向に傾斜する傾斜面となっていることが好ましい。すなわち、このような底面形状にすることにより、スプールから傾斜した状態で繰り出される釣糸との摩擦抵抗の低減が図れるようになる。
【0044】
次に、上述したように構成される魚釣用リールの作用、及び効果について説明する。
図2及び
図5に示すクラッチON状態において、スプール5Aの後方側に位置する操作部材21を押し下げ操作すると、前記クラッチ機構20を構成するクラッチプレート25は、反時計回りに回動され、振り分けバネ23によって、
図3に示す状態に保持される。このとき、クラッチプレート25の表面に形成されたカム面26がヨーク22を軸方向にシフトさせ、ピニオン12をスプール軸5から離脱させる(クラッチOFF状態)。また、この操作によるクラッチプレート25の回動に伴って、前記回動プレート59は、螺軸51の軸芯を中心に回動され、これに回り止めされている管状体55は、
図2(
図5)に示す位置から、
図3(
図6)に示す位置に回動される。
【0045】
したがって、前記釣糸案内体60は、管状体55に保持されていることから、
図5(
図7,
図8)に示す状態から、
図6(
図9,
図10)に示すように回動される。そして、このように回動された釣糸案内体60は、スプール5Aがフリー回転可能な状態(釣糸放出状態)となっており、前記釣糸案内部67に入り込んでいる釣糸Sは、規制部69による規制が外れ、開口部68に移動する。通常、釣糸放出状態では、スプール5Aに対する釣糸の巻回量が多いため、規制部69の規制が外れることで、釣糸は、直ちに開口部68に移動することができる。
【0046】
この状態で、スプール5Aはフリー回転可能となっており、キャスティング操作等により、釣糸Sは放出される。この場合、釣糸案内体60は、スプール5Aの前方において、
図6、及び
図9、
図10に示す状態に回動されており、その開口部68は、左右方向に幅広状に形成されていることから、その内面から接触抵抗を受けることが少なくなり、仕掛けの飛距離を低下させるようなことはない。すなわち、釣糸を放出する際に、釣糸案内体60からの放出抵抗を軽減することが可能となる。
【0047】
特に開口部68の左右幅Wを、上記したように、スプール5Aの釣糸巻回幅WSの50%〜200%の範囲に設定することによって、キャスティング時において、釣糸が開口部68の左右内壁に接触することが軽減されて放出抵抗の軽減が図れるようになる。また、開口部68の内側上部位置Pをスプールの半径Dの70%〜100%の範囲に設定することによって、キャスティング初期では、釣糸が開口部68の上内壁に接触することが軽減されるようになり、さらに、開口部68の内側下部位置P1をスプールの底径D1の100%〜120%の範囲に設定することにより、キャスティング終期では、釣糸が開口部68の下内壁に接触することが軽減されて放出抵抗の軽減が図れるようになる。すなわち、キャスティング時では、スプール5Aから放出される釣糸は、左右方向および上下方向に大きく振れることとなるが、釣糸案内体60の開口部68のスプール5Aに対する位置を上記のように設定したことにより、可能な限り放出抵抗の軽減が図れ、仕掛けの飛距離を低下させることはない。
【0048】
そして、クラッチ機構20をON復帰させるべく、ハンドル8を巻き取り操作すると、前記自動復帰機構30によって、クラッチプレート25は、
図2に示す位置に自動復帰する。このクラッチプレート25のON状態の復帰に伴って、管状体55は、前記回動プレート59を介して、
図2及び
図5に示す状態に回動され、釣糸案内体60は、
図5、及び
図7,
図8に示す位置に切り換えられる。このとき、前記開口部68のいずれかの部分に位置している釣糸Sは、回動する規制部69が当て付いて押し付けられ、開口部68の傾斜案内面68aに沿って確実に中央に位置する釣糸案内部67に案内される。また、
図8に示すように、釣糸巻き取り状態では、釣糸Sは、規制部69によって釣糸案内部67から離脱することはない。
【0049】
その後、ハンドル8を巻き取り操作することで、上記したレベルワインド装置50の螺軸51は、ハンドル軸8aに設けられた連結ギア、及びこれに噛合する入力ギア53を介して回転駆動される。前記螺軸51が回転駆動されることで、釣糸案内体60は、螺軸51の外周面に形成された螺旋溝51aと係合する摺動子61を介して、管状体55に沿って左右往復動される。この場合、管状体55の外周には、軸方向に沿って延出する回り止め部55bが形成されているため、釣糸案内体60は、軸回りに回転することなく、左右に往復駆動される。これにより、釣糸Sは、左右方向に幅狭となった釣糸案内部67によって、スプール5Aに対して、安定して平行巻きされ、さらには、規制部69の位置によって、釣糸案内部67から離脱することもないため、常時、安定した平行巻き状態が確保される。
なお、スプール5Aに対する釣糸Sの巻回量が少ない場合、例えば、釣糸を多量に放出した状態では、釣糸案内部67に位置する釣糸Sは、規制部69に接触していなくても良い。
【0050】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
上記した実施形態では、釣糸案内部67を開口部68の中央下部に形成したが、釣糸案内部67が形成される位置については、開口部68と連続して形成されていなくても良いし、その形状についても適宜、変形することが可能である。例えば、
図16(釣糸巻回状態)及び
図17(釣糸放出状態)に示すように、釣糸案内部67Aは、開口部68を形成する上壁68bのスプール側中央に溝状に形成されていても良い(
図11の上壁68bの後縁の中央位置PCに溝状に窪むように形成される)。
【0051】
このような構成では、クラッチ機構がOFF状態からON状態に切り換えられて、釣糸案内体が
図17に示す状態から
図16に示す状態に回動した際、釣糸が溝状の釣糸案内部67Aに案内されて離脱できないようにすることが可能となり、釣糸巻回時に、安定して釣糸をスプールに案内することが可能となる。また、このような構成では、開口部68の上下寸法を可能な限り大きく形成することが可能となり、釣糸放出抵抗を極力、低減することが可能となる。
なお、前記釣糸案内部67Aの溝形状については、特に限定されることはないが、V字状やU字状に形成することにより、釣糸を案内し易くすることが可能となる。
【0052】
上記した実施形態では、釣糸案内体68は、クラッチ機構20のON/OFF動作に連動して前後方向に回動可能(切り換え移動可能)に支持されていたが、クラッチ機構に連動することなく、単に左右に往復動する構造であっても良い。この場合、リール本体1の左右側板1A,1B間に、クラッチ機構20のON/OFF動作に連動して、例えば、上下方向に移動する当接部材(側板間に横架されるピラー等)を設けておき、クラッチ機構20がOFF状態からON状態になった際、開口部68に位置する釣糸に当接して、釣糸を釣糸案内部67に押え付けて離脱させないように構成しておけば良い。
このような構成によれば、釣糸案内体の保持部分の構成を簡略化することができるとともに、上記した実施形態と同様な作用、効果を得ることが可能となる。
【0053】
或いは、リール本体1の上部に、クラッチ機構20のON/OFF動作に連動して、上下方向に開閉可能なカバー部材を配設しておいても良い。このようなカバー部材は、クラッチ機構20の操作部材21と一体的に形成することが可能であり、サムレストとしての機能を果たすとともに、操作部材21を押し下げ操作した際に、釣糸案内体側を上方に移動させて大きく開口し、スプールから放出される釣糸の接触抵抗を軽減させることが可能となる。このようなカバー部材に、上記した当接部材(側板間に横架されるピラー等)を設けておいても良い。
このように構成することで、釣糸の放出抵抗の低減を図りつつ、リール本体のロープロファイル化を実現することが可能となる。
【0054】
また、釣糸案内体60については、スプール5Aの前方で前後方向に回動駆動するのであれば、回動軸芯(螺軸51の中心)からの距離や管状体55の回動する角度に応じて下方にシフトさせる距離を適宜調整することができるため、規制部69については、平坦状になったフレーム体60Fの上壁68bの後端縁で形成しなくても良い。すなわち、規制部については、釣糸挿通部60Aを構成するフレーム体60Fのいずれかの部分を屈曲形成するなど、その形状については適宜変形することが可能である。
【0055】
また、釣糸案内体60は、釣糸と接触する部分に、耐摩耗性を有すると共に、摺動抵抗の少ない部材(釣糸接触部材)を取着しておいても良い。このような釣糸接触部材を取着しておくことで、釣糸放出時や釣糸巻き取り時に釣糸が接触しても、切れることを防止でき、かつ接触抵抗を更に軽減することが可能となる。
【0056】
さらに、釣糸案内体60を回動するに際しては、管状体55の外周に、軸方向に延出する突起を設けて回り止めしたが、管状体55に形成される長孔55aのエッジ55eによって回り止めするようにしても良い。