特許第5956912号(P5956912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956912
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】噴射計測装置及び体積弾性係数計測装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 65/00 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   F02M65/00 302
   F02M65/00 303
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-246255(P2012-246255)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-95312(P2014-95312A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】渡部 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐野 元洋
(72)【発明者】
【氏名】石川 智士
(72)【発明者】
【氏名】福島 晋
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 剛生
(72)【発明者】
【氏名】鎌子 隆史
(72)【発明者】
【氏名】作田 聡
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−063649(JP,A)
【文献】 特開2006−116392(JP,A)
【文献】 特開2010−244729(JP,A)
【文献】 特開2011−098259(JP,A)
【文献】 実開昭56−109663(JP,U)
【文献】 特許第4130823(JP,B2)
【文献】 特開2000−081361(JP,A)
【文献】 特開2001−123917(JP,A)
【文献】 特許第4784592(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を充填した密閉容器内の温度を測定し、測定した温度に応じて燃料の体積弾性係数を算出すると共に、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、測定した圧力変化と前記体積弾性係数より、燃料の噴射量と噴射率との少なくとも一方を計測する噴射計測装置であって、
前記密閉容器の前記燃料が充填される内部空間は球形状を有し、
前記密閉容器は、前記燃料の前記内部空間への通路となる導入路を有し、
当該導入路は、前記燃料が、前記内部空間の球形状の壁面に沿って当該内部空間内に噴射されるように設けられていることを特徴とする噴射計測装置。
【請求項2】
密閉容器内に充填された燃料の体積弾性係数を計測する体積弾性係数計測装置であって、
前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、前記密閉容器内の燃料の圧力が所定の圧力となるように前記密閉容器から燃料を排出して当該排出した燃料量を計測し、計測した燃料量と測定した圧力変化とに基づいて当該密閉容器内の燃料の体積弾性係数を算定する体積弾性係数算定手段を有し、
前記密閉容器の前記燃料が充填される内部空間は球形状を有し、
前記密閉容器は、前記燃料の前記内部空間への通路となる導入路を有し、
当該導入路は、前記燃料が、前記内部空間の球形状の壁面に沿って当該内部空間内に噴射されるように設けられていること特徴とする体積弾性係数計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の噴射量や噴射率を計測する噴射計測装置や、燃料の体積弾性係数を計測する体積弾性係数計測装置において、計測精度を向上する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
噴射計測装置に関する技術としては、燃料を充填した密閉容器内に燃料を噴射すると共に、当該噴射による密閉容器内の圧力変化を計測し、計測した圧力変化と燃料の体積弾性係数とに基づいて、燃料の噴射量や噴射率を計測する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、燃料の体積弾性係数の計測に関わる技術としては、上述した噴射計測装置において密閉容器内の燃料の温度を測定すると共に測定した温度に応じた燃料の体積弾性係数を補正する技術や(特許文献1)、密閉容器に既知の体積変化を与えると共に当該体積変化に伴う圧力変化から燃料の体積弾性係数を算出する技術も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-123917号公報
【特許文献2】特開昭64-63649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような噴射計測装置によれば、密閉容器に充填された燃料と密閉容器内に噴射される燃料に温度差があるため、密閉容器内の燃料に温度の不均一が生じ易い。
そして、このために、上述のように単純に密閉容器内の燃料の温度を測定すると共に測定した温度に応じた燃料の体積弾性係数を補正するのみでは、必ずしも正しく燃料の体積弾性係数を補正することができず、結果、精度の良い計測が行えない。
また、上述の密閉容器に既知の体積変化を与えると共に当該体積変化に伴う圧力変化から燃料の体積弾性係数を算出する技術によれば、同様に、密閉容器内の燃料の温度の不均一さが存在すると、各温度における体積弾性係数を精度良く算出することができない。
そこで、本発明は、密閉容器内の燃料の温度の不均一さに起因する、燃料の噴射量や噴射率の計測誤差や、体積弾性係数の算出誤差の発生を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、燃料を充填した密閉容器内の温度を測定し、測定した温度に応じて燃料の体積弾性係数を算出すると共に、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、測定した圧力変化と前記体積弾性係数より、燃料の噴射量と噴射率との少なくとも一方を計測する噴射計測装置に、前記燃料が充填される前記密閉容器の内部空間内に配置された攪拌部材と、当該攪拌部材を運動させ、前記内部空間に充填された燃料を攪拌する駆動部とを設けたものである。
【0007】
ここで、このような噴射計測装置は、より具体的には、前記攪拌部材を回転翼とし、前記駆動部を、前記回転翼を回転駆動する、前記内部空間の外側に配置された、前記回転翼とマグネットカップリングを介して連結したモータとしてもよい。
このような噴射計測装置によれば、密閉容器に充填された燃料を攪拌して、当該燃料の温度を空間的に均一化し、燃料の噴射量や噴射率の計測誤差の発生を抑制することができるようになる。
また、前記課題達成のために、本発明は、燃料を充填した密閉容器内の温度を測定し、測定した温度に応じて燃料の体積弾性係数を算出すると共に、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、測定した圧力変化と前記体積弾性係数より、燃料の噴射量と噴射率との少なくとも一方を計測する噴射計測装置であって、前記密閉容器の前記燃料が充填される内部空間の上部から前記燃料は当該内部空間に向かって噴射され、前記内部空間の下部には、当該密閉容器から前記燃料を排出するための排出路が連結されているものを提供する。ただし、当該噴射計測装置は、前記排出路に連結された排出弁と、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定する度に、前記排出弁を開いて燃料を、前記密閉容器内の燃料の圧力が所定の圧力となるように排出する背圧制御手段を備えているものである。
このような噴射計測装置によれば、排出弁を開いて密閉容器から燃料を排出する度に、密閉容器内の燃料を全体的に攪拌する流れが生じ、密閉容器内の燃料の温度を空間的に均一化することができ、燃料の噴射量や噴射率の計測誤差の発生を抑制することができるようになる。
【0008】
また、前記課題達成のために、本発明は、燃料を充填した密閉容器内の温度を測定し、測定した温度に応じて燃料の体積弾性係数を算出すると共に、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、測定した圧力変化と前記体積弾性係数より、燃料の噴射量と噴射率との少なくとも一方を計測する噴射計測装置において、前記密閉容器の前記燃料が充填される内部空間の形状を球形状とし、前記密閉容器に、前記燃料の前記内部空間への通路となる導入路を、前記燃料が、前記内部空間の球形状の壁面に沿って当該内部空間内に噴射されるように設けたものである。
このような噴射計測装置によれば、噴射された燃料が密閉容器の内部空間の球形状の壁面に沿って内部空間内を巡ることによって、内部空間内の燃料が攪拌され、密閉容器内の燃料の温度が空間的に均一化されるようになり、燃料の噴射量や噴射率の計測誤差の発生を抑制することができるようになる。
【0009】
また、前記課題達成のために、本発明は、燃料を充填した密閉容器内の温度を測定し、測定した温度に応じて燃料の体積弾性係数を算出すると共に、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、測定した圧力変化と前記体積弾性係数より、燃料の噴射量と噴射率との少なくとも一方を計測する噴射計測装置において、前記密閉容器に、前記燃料が充填される当該密閉容器の内部空間の周囲を通過する温調用流路を形成すると共に、当該噴射計測装置に、温調した液体を前記温調用流路に通す温調用ポンプを設けたものである。
このような噴射計測装置によれば、密閉容器内に噴射される燃料の温度と、密閉容器内の燃料の温度との温度差が大きく、密閉容器内の燃料の温度に強度の温度ムラが発生してしまうことを防止して、密閉容器内の燃料に発生する温度の不均一の程度を抑制することができ、結果、燃料の噴射量や噴射率の計測誤差の発生を抑制することができるようになる。
【0010】
ここで、本発明は、前記課題達成のために、密閉容器内に充填された燃料の体積弾性係数を計測する体積弾性係数計測装置に、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、前記密閉容器内の燃料の圧力が所定の圧力となるように前記密閉容器から燃料を排出して当該排出した燃料量を計測し、計測した燃料量と測定した圧力変化とに基づいて当該密閉容器内の燃料の体積弾性係数を算定する体積弾性係数算定手段と、前記燃料が充填される前記密閉容器の内部空間内に配置された攪拌部材と、当該攪拌部材を運動させ、前記内部空間に充填された燃料を攪拌する駆動部とを設けたものである。
【0011】
ここで、このような体積弾性係数計測装置は、より具体的には、前記攪拌部材を回転翼とし、前記駆動部を、前記回転翼を回転駆動する、前記内部空間の外側に配置された、前記回転翼とマグネットカップリングを介して連結したモータとしてもよい。
このような体積弾性係数計測装置によれば、密閉容器に充填された燃料を攪拌して、当該燃料の温度を空間的に均一化し、燃料の体積弾性係数の算出誤差の発生を抑制することができるようになる。
【0012】
また、前記課題達成のために、本発明は、密閉容器内に充填された燃料の体積弾性係数を計測する体積弾性係数計測装置に、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、前記密閉容器内の燃料の圧力が所定の圧力となるように前記密閉容器から燃料を排出して当該排出した燃料量を計測し、計測した燃料量と測定した圧力変化とに基づいて当該密閉容器内の燃料の体積弾性係数を算定する体積弾性係数算定手段を設けると共に、前記密閉容器の前記燃料が充填される内部空間の上部から前記燃料を当該内部空間に向かって噴射し、前記内部空間の下部に、当該密閉容器からの前記燃料の前記排出を行うための排出路を連結したものである。
このような体積弾性係数計測装置によれば、排出弁を開いて密閉容器から燃料を排出する度に、密閉容器内の燃料を全体的に攪拌する流れが生じ、密閉容器内の燃料の温度を空間的に均一化することができ、燃料の体積弾性係数の算出誤差の発生を抑制することができるようになる。
【0013】
また、前記課題達成のために、本発明は、密閉容器内に充填された燃料の体積弾性係数を計測する体積弾性係数計測装置に、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、前記密閉容器内の燃料の圧力が所定の圧力となるように前記密閉容器から燃料を排出して当該排出した燃料量を計測し、計測した燃料量と測定した圧力変化とに基づいて当該密閉容器内の燃料の体積弾性係数を算定する体積弾性係数算定手段を備えると共に、前記密閉容器の前記燃料が充填される内部空間の形状を球形状とし、前記密閉容器に、前記燃料の前記内部空間への通路となる導入路を、前記燃料が、前記内部空間の球形状の壁面に沿って当該内部空間内に噴射されるように設けたものである。
このような体積弾性係数計測装置によれば、噴射された燃料が密閉容器の内部空間の球形状の壁面に沿って内部空間内を巡ることによって、内部空間内の燃料が攪拌され、密閉容器内の燃料の温度が空間的に均一化されるようになり、燃料の体積弾性係数の算出誤差の発生を抑制することができるようになる。
【0014】
また、前記課題達成のために、本発明は、密閉容器内に充填された燃料の体積弾性係数を計測する体積弾性係数計測装置において、前記密閉容器に、前記燃料が充填される当該密閉容器の内部空間の周囲を通過する温調用流路を形成すると共に、当該噴射計測装置に、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、前記密閉容器内の燃料の圧力が所定の圧力となるように前記密閉容器から燃料を排出して当該排出した燃料量を計測し、計測した燃料量と測定した圧力変化とに基づいて当該密閉容器内の燃料の体積弾性係数を算定する体積弾性係数算定手段と、温調した液体を前記温調用流路に通す温調用ポンプとを設けたものである。
このような体積弾性係数計測装置によれば、密閉容器内に噴射される燃料の温度と、密閉容器内の燃料の温度との温度差が大きく、密閉容器内の燃料の温度に強度の温度ムラが発生してしまうことを防止して、密閉容器内の燃料に発生する温度の不均一の程度を抑制することができ、結果、燃料の体積弾性係数の算出誤差の発生を抑制することができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、閉容器内の燃料の温度の不均一さに起因する、燃料の噴射量や噴射率の計測誤差や、体積弾性係数の算出誤差の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る噴射計測装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る密閉容器の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る密閉容器の他の構成例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る密閉容器の他の構成例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る密閉容器の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1aに本実施形態に係る噴射計測装置の構成を示す。
図示するように、噴射計測装置は、燃料で満たされた密閉容器1、密閉容器1内に燃料を噴射するインジェクションノズル2、インジェクションノズル2に噴射する燃料を供給するインジェクションポンプ3、密閉容器1内の燃料の温度を検出する1つまたは複数の温度センサ4、密閉容器1内の燃料の圧力を検出する1つまたは複数の圧力センサ5、密閉容器1から外部への燃料排出路を開閉する排出バルブ6、排出バルブ6に連結され排出バルブ6が開状態にある期間中、密閉容器1内の燃料の圧力が規定背圧Pとなるまで密閉容器1内の燃料を排出するリリーフバルブ7、リリーフバルブ7によって密閉容器1から外部に排出された燃料量を計測する流量計8、測定制御装置9とを備えている。なお、複数の圧力センサ5を使用する場合は、測定レンジの異なる圧力センサを使用することが好ましい。
【0018】
また、測定制御装置9は、測定シーケンスの制御を行うシーケンス制御部91と、測定シーケンスに従って燃料の噴射量や噴射率の測定をおこなう測定部92とを備えている。
ここで、このような噴射計測装置の、燃料の噴射量と噴射率の測定原理について、図1bを用いて示す。
噴射計測装置の測定原理は、Zeuchの方法と呼ばれるものであり、燃料を満たした密閉容器1中に燃料を噴射したときに、その噴射量に比例して容器内圧力が上昇することを利用して噴射量や噴射率を求めるものである。
すなわち、今、図1bのように、容積V0 の容器内に燃料を容積Vだけ噴射したときの密閉容器1内の液体の圧力上昇Pzは、kを液体の体積弾性係数とすると式(i)で表される。
Pz =(kV)/V0 …(i)
よって、噴射量Vは、式(ii)で表わされる。
V=(Pz×V0 )/k …(ii)
また、時間をtとすると、式(ii)を時間微分することにより、燃料噴射率dV/dtが式(iii)で求められる。
dV/dt=(V0 /k)dPz /dt …(iii)
よって、以上の式(ii)、(iii)から、燃料の噴射量と噴射率の両方が求められることになる。
以下、このような噴射計測装置の計測動作について説明する。
いま、予め、体積弾性係数kの関数として、燃料の温度Tと圧力pの所定の関数h(T,p)が既知であるものとする。また、実際の計測においては、校正係数をmとして、k=m×h(T,p)によって校正して体積弾性係数kを用いるものとする。
そして、測定制御装置9のシーケンス制御部91は計測時に各部の以下の動作を制御する。
1(初期化処理):測定部92は、校正係数m=1を設定する。
2(測定処理):
(1)、測定部92は温度センサ4が検出している密閉容器1内の燃料の温度Tと圧力センサ5が検出している密閉容器1内の燃料の圧力pを取得し、m×h(T,p)によって、現在の体積弾性係数kを設定する。
(2)、インジェクションポンプ3を駆動し、インジェクションノズル2から密閉容器1内に燃料を燃料を噴射しながら、測定部92で圧力センサ5が検出している密閉容器1内の燃料の圧力変化を取得する。
【0019】
(3)、測定部92は燃料噴射中に取得した圧力変化から、上記式(ii)、(iii)に従って、燃料の噴射量Vと、噴射率dV/dtを算出する。
(4)、排出バルブ6を所定期間開き、密閉容器1内の圧力を規定背圧Pに復帰すると共に、測定部92は密閉容器1内の燃料の温度Tと、流量計8により計測された密閉容器1から外部に排出された燃料量EVと流量計8内を流れる燃料の温度Tfを取得する。
(5)、(2)から(4)をn(nは1以上の整数)回繰り返す。
3(校正処理):2(測定処理)においてn回の(3)で算出した噴射量Vの総量TVと、2(測定処理)においてn回の(4)で算出された燃料量EVの燃料温度Tに換算した総量TEVの誤差が解消されるように体積弾性係数kの校正係数mを設定する。すなわち、例えば、m=TV/TEVによって、体積弾性係数kの校正係数mを設定する。
【0020】
4:2(測定処理)(2)から3(校正処理)をj(jは2以上の整数)回、繰り返す。
以上、噴射計測装置の計測動作について説明した。
次に、図2に本実施形態に係る密閉容器1の詳細について説明する
図2は、密閉容器1の断面を模式的に表した図であり、密閉容器1は、円筒の両底面を外向きの円錐形状に置き換えた形状を有する内部空間11の上部に、排出バルブ6に連結する排出流路12と、インジェクションノズル2から噴射された燃料が内部空間11に向かって通過する導入路13とを連結したものであり、内部空間11、排出流路12、導入路13には、燃料が満たされている。
【0021】
また先端の測定子部分が、密閉容器1の内部空間11に突出するように上述した温度センサ4や圧力センサ5が密閉容器1に対して固定されている。
また、密閉容器1の内部空間11内には、密閉容器1に回動可能に軸受けされた回転軸15と、回転軸15に固定された回転翼16が設けられている。また、回転軸15の下端にはディスク状の磁石17が固定されており、当該回転軸15の下端の磁石17は、密閉容器1の外部に設けられた磁石18とマグネットカップリングを形成している。そして、密閉容器1の外部に設けられたモータ19により密閉容器1の外部の磁石18が回転することにより、当該回転に伴って、回転軸15の下端の磁石17が、回転軸15および回転翼16を伴って回転するように構成されている。
【0022】
ここで、このような密閉容器1を用いる場合、測定制御装置9のシーケンス制御部91などにおいて、常時、もしくは、上述した2(測定処理)の(2)の燃料の噴射と圧力の取得を行っていない期間中、モータ19を駆動して、回転翼16を回転し、密閉容器1内の燃料を攪拌する。
【0023】
このようにすることにより、本実施形態によれば、密閉容器1内の燃料の温度を空間的に均一化することができるようになる。
次に、図3に、本実施形態に係る密閉容器1の他の例を示す。
図3a、bは、本例における密閉容器1の断面を模式的に表した図であり、この例では、密閉容器1は、円筒の両底面を外向きの円錐形状に置き換えた形状を有する内部空間11の上部にインジェクションノズル2から噴射された燃料が内部空間11に向かって通過する導入路13を設け、内部空間11の下部に排出バルブ6に連結する排出流路12を設けたものとなっている。
【0024】
ここで、図3aは、排出流路12の連結位置を密閉空間の底の中央としたものであり、図3bは、排出流路12の密閉空間の底の端のインジェクションノズル2と斜め対向する位置としたものである。
このような密閉容器1によれば、上述のように排出バルブ6を開いて密閉容器1から排出流路12を通して燃料を排出する度に、密閉容器1内の燃料を全体的に攪拌する流れが生じ、密閉容器1内の燃料の温度を空間的に均一化することができるようになる。つまり、インジェクションノズル2から噴射された高温の燃料が、密閉容器1の上部に滞留し続ける一方で、密閉容器1の下部が低温のままとなって、密閉容器1内の燃料の温度に上下に大きな不均一が生じてしまうことを抑制することができる。
【0025】
次に、図4に、本実施形態に係る密閉容器1の他の例を示す。
図4は、本例における密閉容器1の断面を模式的に表した図であり、この例では、密閉容器1は、球形状の内部空間11を有する。
また、内部空間11の上部に、インジェクションノズル2からの燃料が内部空間11の球形状の壁面に沿って当該内部空間11に噴出されるように、内部空間11の球形状の壁面に滑らかにつながる形状を有する導入路13を設けたものである。
また、図示した例では、内部空間11の上部に排出バルブ6に連結する排出流路12を設けている。ただし、排出流路12の配置は、図示した配置以外の配置であってもよい。
このような密閉容器1によれば、インジェクションノズル2から噴射された燃料が密閉容器1の内部空間11の球形状の壁面に沿って内部空間11内を巡ることによって、内部空間11内の燃料が攪拌され、密閉容器1内の燃料の温度が空間的に均一化されるようになる。
【0026】
次に、図5に、本実施形態に係る密閉容器1のさらに他の例を示す。
図5aは、本例における密閉容器1の断面を模式的に表した図であり、図5bは、本例における密閉容器1の保温構造を示した図である。
図示するように、この例では、密閉容器1の内部空間11の隔壁内の内部空間11の近くの位置を通るように張り巡らした温調用流路51を設け、温調用流路51に液体(油など)を、温調機能つきポンプ52で、所定温度に温度調整した上で循環させることにより密閉容器1内の燃料を加温し、密閉容器1内の燃料の温度を、インジェクションノズル2から噴射される燃料の温度により近い温度に維持する。なお、図示した温調用流路51の形態は一例であり、温調用流路51は図示した以外の任意の形態で張り巡らすようにしてかまわない。
【0027】
このようにすることにより、インジェクションノズル2から噴射される燃料の温度と、密閉容器1内の燃料の温度との温度差が大きいために、密閉容器1内の燃料の温度に強度の温度ムラが発生してしまうことを防止して、密閉容器1内の燃料温度の不均一の程度を抑制することができるようになる。
【0028】
以上のように本実施形態によれば、密閉容器1内の燃料の温度の空間的な不均一の程度を軽減することができる。よって、密閉容器1内の燃料の体積弾性係数kをより均一化でき、温度センサ4による密閉容器1内の燃料温度の検出位置に関わらずに、当該検出した温度に基づいた体積弾性係数kを用い、精度良く燃料の噴射量や噴射率を算出することができる。
【0029】
ところで、以上の実施形態は、燃料の噴射量や噴射率を計測する噴射計測装置について説明してきたが、以上で示した噴射計測装置は、体積弾性係数kを計測する体積弾性係数計測装置としても用いることができる。
この場合には、上述した3(校正処理)で校正係数mを用いたm×h(T、p)を体積弾性係数kとして計測するようにしてもよいし、上述した式(ii)
V=(Pz×V0 )/k …(ii)
を用いて、以下のように体積弾性係数kを計測するようにしてもよい。
【0030】
すなわち、まず、測定部92において、温度センサ4が検出している密閉容器1内の燃料の温度Tと圧力センサ5が検出している密閉容器1内の燃料の圧力pを取得する。そして、インジェクションポンプ3を駆動し、インジェクションノズル2から密閉容器1内に燃料を噴射しながら、測定部92に圧力センサ5が検出している密閉容器1内の燃料の圧力の変化より圧力上昇Pzを取得する。次に、排出バルブ6を所定期間開き、密閉容器1内の圧力を規定背圧Pに復帰すると共に、測定部92に流量計8から密閉容器1の外部に排出された燃料量EVを取得し、k=Pz×V0/EVを、先に取得した温度T、圧力pにおける体積弾性係数kとして計測する。
【符号の説明】
【0031】
1…密閉容器、2…インジェクションノズル、3…インジェクションポンプ、4…温度センサ、5…圧力センサ、6…排出バルブ、7…リリーフバルブ、8…流量計、9…測定制御装置、11…内部空間、12…排出流路、13…導入路、15…回転軸、16…回転翼、51…温調用流路、52…ポンプ、91…シーケンス制御部、92…測定部。
図1
図2
図3
図4
図5