【文献】
Biological and Pharmaceutical Bulletin,2007年,Vol.30, No.8,p1450-1455
【文献】
Archives of Pharmacal Research,2011年,Vol.34, No.3,p437-442
【文献】
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2009年,Vol.19,p1650-1653
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メトキシカルコンが、4’−ヒドロキシ−3,4,2’,6’−テトラメトキシカルコン、又は4’,6’−ジヒドロキシ−3,4,2’−トリメトキシカルコンである請求項1に記載の抗炎症剤。
メトキシカルコンが、4’−ヒドロキシ−3,4,2’,6’−テトラメトキシカルコン、又は4’,6’−ジヒドロキシ−3,4,2’−トリメトキシカルコンである請求項3に記載の炎症性サイトカイン発現抑制剤。
メトキシカルコンが、4’−ヒドロキシ−3,4,2’,6’−テトラメトキシカルコン、又は4’,6’−ジヒドロキシ−3,4,2’−トリメトキシカルコンである請求項5に記載のプロスタグランジン産生抑制剤。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「非治療的」とは、医療行為を含まない、すなわちヒトを手術、治療又は診断する方法を含まない概念である。
【0014】
本発明の抗炎症剤、炎症性サイトカイン発現抑制剤又はプロスタグランジン産生抑制剤の有効成分は、上記一般式(1)で表されるメトキシカルコン(以下、単に「メトキシカルコン」とも称する)である。一般式(1)中のR
1、R
2は各々水素原子又はメチル基を表し、好ましくは下記に示すように、R
1、R
2がメチル基である4’−ヒドロキシ−3,4,2’,6’−テトラメトキシカルコン(式(2)、R
1がメチル基、R
2が水素原子である4’,6’−ジヒドロキシ−3,4,2’−トリメトキシカルコン(式(3)、R
1、R
2が水素原子である2’,4’,6’−トリヒドロキシ−3,4−ジメトキシカルコン式(4)が挙げられる。好ましくは、4’−ヒドロキシ−3,4,2’,6’’−テトラメトキシカルコン、及び4’,6’−ジヒドロキシ−3,4,2’−トリメトキシカルコンである。これらの化合物は1種単独又は2種以上の化合物を用いてもよい。
【0018】
本発明で用いられる上記メトキシカルコンは、特に限定されないが、例えば食品添加物等で知られるメチルヘスペリジンの糖部を酸加水分解したものを精製、又はアセトフェノン類とベンズアルデヒド類のアルドール縮合反応等の製法で得ることができる(崎浴、日本化學雑誌、1958、79(6)、736−740参照)。
【0019】
後記実施例に示す通りメトキシカルコンは、in vitro評価系において、IL−1β誘導PGE
2産生抑制作用、及びTNFαなどの炎症性サイトカイン発現抑制作用を有する。特に4’−ヒドロキシ−3,4,2’,6’−テトラメトキシカルコン、及び4’,6’−ジヒドロキシ−3,4,2’−トリメトキシカルコンは、強いIL−1β誘導PGE
2産生抑制作用、及び炎症性サイトカイン発現作用を有する。
【0020】
ここでプロスタグランジンE
2(PGE
2)は、その産生を介して、ブラジキニンの発痛作用や血管透過性亢進作用、及びブラジキニンやヒスタミンによる炎症性滲出を増強する。よって、プロスタグランジンE
2の産生の抑制や、TNFαなどの炎症性サイトカインの作用を抑えることで、炎症反応を抑制することができる。
【0021】
従って、上記メトキシカルコンは、各種炎症の抑制、例えば紫外線暴露によって誘発される皮膚の炎症を抑制するための医薬品、医薬部外品、化粧品、サプリメント、食品又は飼料として、或いはこれらへ配合するための素材又は製剤として有用である。当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。
【0022】
すなわち、上記メトキシカルコンは、抗炎症剤、プロスタグランジン産生抑制剤、又は炎症性サイトカイン産生抑制剤として使用することができ、更にこれらの剤を製造するために使用することができる。
【0023】
上記医薬品(医薬部外品又はサプリメントも含む)の剤型は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、静脈内注射剤、筋肉注射剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、点眼剤、点鼻剤、湿布剤、バップ剤、軟膏、ローション、クリーム、チンキ剤、リニメント剤、懸濁液、ローション、バップ、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル又はオイル剤、口腔用製剤(歯磨剤、液状歯磨剤、洗口液、歯肉マッサージクリーム、口腔用軟膏、うがい用錠剤、トローチ、のど飴等)等のいずれかでもよい。医薬品、医薬部外品、或いはサプリメントとして用いる場合の投与形態としては、例えば経口投与非経口投与、又は局所投与などいずれの経路によっても使用することができる。炎症標的部位は皮膚、大腸、関節、口腔、その他各種臓器いずれであってもよい。
【0024】
このような種々の剤型の医薬製剤を調製するには、上記メトキシカルコンを単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤、浸透圧調整剤、流動性促進剤、吸収助剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定化剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、湿潤剤、増粘剤、光沢剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、矯味剤、矯臭剤、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、固着剤、香料、被膜剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
また、当該製剤には既知の薬効成分を適宜配合することもできる。斯かる成分としては、例えば、ビタミンC、Eなどビタミン類、アミノ酸やペプチド及びその誘導体、核酸及びその誘導体、糖類及びその誘導体、その他、カロチノイド、大豆イソフラボン、カテキン類、クロロゲン酸等の抗酸化剤等が挙げられる。
【0025】
上記製剤における、メトキシカルコンの含有量は、製剤全質量において、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。好ましくは0.001〜90質量%、より好ましくは0.01〜60質量%である。
【0026】
上記メトキシカルコンを医薬品として、或いは医薬品に配合して使用する場合の投与量は、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与の場合の成人1人当たりの1日の投与量は、通常、メトキシカルコンとして好ましくは0.001g以上、特に好ましくは0.01g以上である。そして好ましくは10g以下、特に好ましくは3g以下である。好ましくは0.001〜10g、特に好ましくは0.001〜100gである。また、上記製剤は、任意の投与計画に従って投与され得るが、1日1回〜数回に分け、数週間〜数ヶ月間継続して投与することが好ましい。
【0027】
上記メトキシカルコンを医薬部外品や化粧品として用いる場合は、皮膚外用剤、洗浄剤、メイクアップ化粧料等の態様とすることができ、使用方法に応じて、ローション、乳液、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末、顆粒等の種々の剤型で提供することができる。このような種々の剤型の医薬部外品や化粧料は、上記メトキシカルコンを単独で、又は、その効果に影響を与えない範囲で、医薬部外品、皮膚化粧料、洗浄料等に配合されうる各種成分、薬効成分等を配合して調整することができる。例えば各種油剤、樹脂、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、アルコール、水、キレート剤、増粘剤、紫外線吸収剤、乳化安定剤、pH調整剤、色素、粉体、香料、可溶化剤、洗浄剤、植物抽出物、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿成分、皮膚老化防止剤、美白剤等を適宜組み合わせることにより調製することができる。
【0028】
上記製剤における、全量中のメトキシカルコンの含有量は、通常好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上である。そして好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。また好ましくは0.0001〜20質量%、より好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%である。
【0029】
上記メトキシカルコンを含む各種食品には、一般飲食品のほか、例えば、紫外線によって生じる、皮膚の紅斑や浮腫、しわやたるみの形成、しみやそばかすの形成、皮膚の弾力性の低下、等の皮膚のダメージを軽減又は抑制するといった抗炎症に伴う効果をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した美容食品、病者用食品、栄養機能食品又は特定保健用食品等の機能性食品が包含される。
【0030】
食品の形態は、固形、半固形又は液状であり得る。食品の例としては、パン類、麺類、クッキー等の菓子類、ゼリー類、乳製品、冷凍食品、インスタント食品、でんぷん加工製品、加工肉製品、その他加工食品、コーヒー飲料等の飲料、スープ類、調味料、栄養補助食品等、及びそれらの原料が挙げられる。また、上記の経口投与製剤と同様、錠剤形態、丸剤形態、カプセル形態、液剤形態、シロップ形態、粉末形態、顆粒形態等であってもよい。
【0031】
斯かる食品は、メトキシカルコンの他、他の飲食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、固着剤、分散剤、湿潤剤等を適宜組み合わせて配合し、調製することができる。
【0032】
また、各種ビタミン類、アミノ酸やペプチド及びその誘導体、核酸及びその誘導体、糖類及びその誘導体、その他、カロチノイド、大豆イソフラボン、カテキン類、クロロゲン酸等の抗酸化成分等も適宜配合することができる。
飲食品中におけるメトキシカルコンの含有量は、その使用形態により異なるが、通常好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上である。そして好ましくは50質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。また好ましくは0.0001〜50質量%であり、より好ましくは0.001〜10質量%である。
【0033】
飼料としては、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、犬、猫、小鳥、リス等に用いるペットフード等の飼料等が挙げられ、上記食品と同様の形態に調製できる。
【0034】
当該食品又は飼料中における上記メトキシカルコンの含有量は、一般的に好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上である。そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。好ましくは0.0001〜10質量%、より好ましくは0.001〜質量%である。
【0035】
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1>上記一般式(1)で示されるメトキシカルコンを有効成分とする抗炎症剤。
<2>上記一般式(1)で示されるメトキシカルコンを有効成分とする炎症性サイトカイン産生抑制剤。
<3>上記一般式(1)で示されるメトキシカルコンを有効成分とするプロスタグランジン産生抑制剤。
<4>紫外線暴露により誘発される炎症を軽減又は抑制する<1>〜<3>のいずれかに記載の剤。
<5>抗炎症剤を製造するための、上記一般式(1)で示されるメトキシカルコンの使用。
<6>炎症性サイトカイン産生抑制剤を製造するための、上記一般式(1)で示されるメトキシカルコンの使用。
<7>プロスタグランジン産生抑制剤を製造するための、上記一般式(1)で示されるメトキシカルコンの使用。
<8>抗炎症に使用するための、上記一般式(1)で示されるメトキシカルコン。
<9>炎症性サイトカイン産生抑制に使用するための、上記一般式(1)で示されるメトキシカルコン。
<10>プロスタグランジン産生抑制に使用するための、上記一般式(1)で示されるメトキシカルコン。
<11>非治療的使用である、<8>〜<10>のいずれかに記載の使用。
<12>上記一般式(1)で示されるメトキシカルコンを、ヒト若しくは動物に投与する抗炎症方法。
<13>上記一般式(1)で示されるメトキシカルコンを、ヒト若しくは動物に投与する炎症性サイトカイン産生抑制方法。
<14>上記一般式(1)で示されるメトキシカルコンを、ヒト若しくは動物に投与するプロスタグランジン産生抑制方法。
<15>紫外線暴露により誘発される炎症を軽減又は抑制する<12>〜<14>のいずれかに記載の方法。
<16>非治療的方法である、<12>〜<15>のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0036】
実施例1
〔メトキシカルコンの調製〕
上記製法(崎浴、日本化學雑誌、1958、79(6)、736−740参照)を用いて、各メトキシカルコンを作成した。
【0037】
(i)4’−ヒドロキシ−3,4,2’,6’−テトラメトキシカルコン及び4’,6’−ジヒドロキシ−3,4,2’−トリメトキシカルコンの調製
メチルヘスペリジン(食品添加物グレード)(商品名等アルプス薬品工業社製)5.0gを50%EtOH250mLに溶解させ、濃塩酸15mLを加え、16時間、加熱還流した。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。エバポレーターでエタノールを留去後、酢酸エチルで抽出し、洗浄、乾燥、ろ過、濃縮を経て、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル−メタノール)で分画した。更に、目的の画分を再結晶し、4’−ヒドロキシ−3,4,2’,6’−テトラメトキシカルコン(メトキシカルコン1)156mg、及び4’,6’−ジヒドロキシ−3,4,2’−トリメトキシカルコン(メトキシカルコン2)112mgを単離した。
【0038】
(ii)2’,4’,6’−トリヒドロキシ−3,4−ジメトキシカルコンの調製
2’,4’,6’−トリヒドロキシアセトフェノン・一水和物2.0gをTHF50mLに溶解させ、0℃に冷却した。そこにジイソプロピルエチルアミン19mL及びクロロメチルメチルエーテル3.3mLを加え、室温で9.5時間攪拌した。再び冷却後、水を加え、有機層を酢酸エチルで抽出し、洗浄、ろ過、濃縮を経て、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、2’−ヒドロキシ−4’,6’−ビスメトキシメトキシアセトフェノン1.7gを得た。
上記で得た2’−ヒドロキシ−4’,6’−ビスメトキシメトキシアセトフェノン1.1gをメタノール20mLで溶解させ、それにベラトルアルデヒド728mg及び水酸化カリウム2.9gを2mLの水に溶かしたものを加え、室温で55時間攪拌した。その後塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出、洗浄、乾燥し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、6’−ヒドロキシ−3,4−ジメトキシ−2’,4’−ビスメトキシメトキシカルコン1.1gを得た。
この6’−ヒドロキシ−3,4−ジメトキシ−2’,4’−ビスメトキシメトキシカルコン1.1gをメタノール60mLに溶解させ、1M塩酸30mLを加え、50分間、加熱還流した。冷却後、水を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を洗浄、乾燥させ、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、2’,4’,6’−トリヒドロキシ−3,4−ジメトキシカルコン(メトキシカルコン3)585mgを得た。
【0039】
試験例1:IL−1β誘導プロスタグランジン産生抑制効果
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(NHEK)(KURABO)を12wellプレートに播種し、サブコンフルエントになったところで増殖因子を含まない(−)培地に換え、翌日に実験を行った。当該培地を、サンプルの最終濃度が20μMになるように調製した(−)培地に交換し、16時間前処理を行った。その後、IL−1βを最終濃度が1ng/mLになるように添加し、24時間後に細胞上清を回収した。細胞上清中に含まれるPGE
2量をPGE
2 EIA Kit(Cayman)にて定量した。その結果を
図1に示す。コントロールとしては、DMSOを用いた。
【0040】
図1の結果より、IL−1β刺激によりPGE
2産生が誘導されるが、メトキシカルコン処理によりその抑制が認められた。特にメトキシカルコン1及びメトキシカルコン2がPGE
2産生抑制作用を強く示した。
【0041】
試験例2:IL−1β誘導炎症性サイトカイン発現抑制効果
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(NHEK)(KURABO)を12wellプレートに播種し、サブコンフルエントになったところで増殖因子を含まない(−)培地に換え、翌日に実験を行った。当該培地を、サンプルの最終濃度が20μMになるように調製した(−)培地に交換し、16時間前処理を行った。その後、IL−1βを最終濃度が1ng/mLになるように添加し、4時間後に細胞を回収した。その細胞からRNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてRNA抽出を行い、細胞抽出RNA500μgをHigh Capacity RNA−to−cDNA Kit(Applied Biosystems)によりcDNAを合成し、Total RNA 20ng相当量をreal time PCRに供し、IL−1β誘導炎症性サイトカイン発現抑制を測定した。その結果を
図2に示す。なお、目的の遺伝子を特異的に検出するTaqMan Gene Expression Assay(Applied Biosystems)プローブはIL1B (Hs01555410_m1)、TNF(Hs00174128_m1)を用いた。目的遺伝子発現量は内部標準遺伝子RPLP0(Hs99999902_m1)の発現量で補正した。解析には7500 Real Time PCR System(Applied Biosystems)を用いた。コントロールとしては、DMSOを用いた。
【0042】
図2の結果より、IL−1β刺激によりIL−1β、TNFαの発現亢進が認められ、メトキシカルコン1及びメトキシカルコン2の処理によってその発現が強く抑制された。
【0043】
試験例3:UVB誘導炎症性サイトカイン発現抑制効果
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(NHEK)(KURABO)を12wellプレートに播種し、サブコンフルエントになったところで増殖因子を含まない(−)培地に換え、翌日に実験を行った。当該培地を、サンプルの最終濃度が20μMになるように調製した(−)培地に交換し、16時間前処理を行った。培地をPBSに置き換え、UVB(20mJ;1mW/cm
2の線量で20秒間)を照射、再度検体を含む培地に交換し、8時間後に細胞を回収した。細胞からRNeasy Mini Kit (QIAGEN)を用いてRNA抽出を行い、細胞抽出RNA500μgをHigh Capacity RNA−to−cDNA Kit(Applied Biosystems)によりcDNA合成し、Total RNA 20ng相当量をreal time PCRに供し、UVB誘導炎症性サイトカイン発現抑制を測定した。その結果を
図3に示す。なお、目的の遺伝子を特異的に検出するTaqMan Gene Expression Assay(Applied Biosystems)プローブはIL1B(Hs01555410_m1)、TNF(Hs00174128_m1)を用いた。目的遺伝子発現量は内部標準遺伝子ACTB(Hs99999903_m1)の発現量で補正した。解析には7500 Real Time PCR System(Applied Biosystems)を用いた。コントロールとしては、DMSOを用いた。
【0044】
図3の結果より、UVB刺激によりIL−1β、TNFαの発現亢進が認められ、メトキシカルコン1及びメトキシカルコン2処理によってその発現が抑制された。このことからメトキシカルコン1及びメトキシカルコン2は特に強い抗炎症作用を有すると明らかとなった。
【0045】
実施例2
処方例1:錠剤の調製
下記成分を混合し、常法に従って直径9mm、重量200mgの錠剤を調製できる。
【0046】
【表1】
【0047】
処方例2:カプセル剤の調製
下記成分を混合し、常法に従ってカプセル剤を調製できる。
【0048】
【表2】
【0049】
処方例3:顆粒剤の調製
下記成分を混合し、常法に従って顆粒剤を調製できる。
【0050】
【表3】
【0051】
処方例4:クリームの調製
下記成分を混合し、常法に従ってクリームを調製できる。
【0052】
【表4】
【0053】
処方例5:軟膏の調製
下記成分を混合し、常法に従って軟膏を調製できる。
【0054】
【表5】