(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956934
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】回転架台
(51)【国際特許分類】
G01C 1/00 20060101AFI20160714BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20160714BHJP
G02B 23/00 20060101ALI20160714BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20160714BHJP
G03B 17/00 20060101ALI20160714BHJP
G03B 17/56 20060101ALI20160714BHJP
G02B 23/16 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
G01C1/00 B
G01C15/00 105R
G02B23/00
G03B15/00 P
G03B17/00 B
G03B17/56 B
G02B23/16
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-6671(P2013-6671)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-137308(P2014-137308A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】513013805
【氏名又は名称】株式会社ゼロ
(73)【特許権者】
【識別番号】513013300
【氏名又は名称】東興電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】南部 元洋
(72)【発明者】
【氏名】片桐 高浩
【審査官】
居島 一仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−312566(JP,A)
【文献】
特開2013−003259(JP,A)
【文献】
特開平02−302613(JP,A)
【文献】
米国特許第07079317(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00−1/14
G01C 5/00−15/14
F16M 1/00−13/08
G03B17/56−17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学機器を回転可能に支持する極軸シャフトと、
前記極軸シャフトの方位角を検出する方位センサと、
前記極軸シャフトの仰角を検出する仰角センサと、
前記極軸シャフトが位置する緯度を検出するGPSセンサと、
前記方位角と真北との差、及び、前記仰角と前記極軸シャフトが位置する緯度との差を求める演算部と、
を備え、
さらに、前記極軸シャフトの方位角を前記方位センサが検出した後の、前記極軸シャフトの方位角の変化を検出するジャイロセンサを備え、
前記演算部は、方位角変化前に前記方位センサが検出した前記極軸シャフトの方位角と、前記ジャイロセンサが検出した方位角の変化分とに基づいて、前記方位角変化後の前記極軸シャフトの方位角を求める、
ことを特徴とする、回転架台。
【請求項2】
請求項1に記載の回転架台であって、
前記極軸シャフトを回転可能に支持する軸受を備え、
前記軸受及び前記方位センサはケーシング内に収容され、
前記方位センサは、前記軸受から10mm以上離間されて配置されていることを特徴とする、回転架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機器を回転可能に支持する、回転架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像器や望遠鏡などの光学機器を回転可能に支持する支持手段として、回転架台が知られている。例えば、天体観測や天体写真の撮影の際には、赤道儀と呼ばれる回転架台が用いられる。
【0003】
望遠鏡や撮像器などの視野内に、一旦、目標となる星を捉えることができても、地球の自転に伴う星の日周運動のため、数分経過すると、その星は視野から外れてしまう。そこで、移動する星を自動追尾するために、赤道儀と呼ばれる回転架台が用いられる。例えば、
図7に示すように、光学機器100を回転架台102に取り付けるとともに、回転架台102に内蔵されたモータにより、地球の自転運動とは逆方向に光学機器100を回転させて、目標とする星を追尾する。
【0004】
上記追尾の事前作業として、回転架台102に対して極軸合わせと呼ばれる作業が行われる。極軸合わせでは、光学機器100の回転軸となる、回転架台102の極軸シャフト104を、地軸Aと平行に揃える。
【0005】
極軸合わせの方法として、天の北極や南極付近の星を利用して、極軸シャフト104の回転軸を天の北極や南極に向ける方法が知られている。例えば、北半球であれば、極軸望遠鏡と呼ばれる望遠鏡を用いて、その視野内に北極星を捉えることで、極軸合わせを行う。
【0006】
また、例えば、北半球にて、南向きのベランダ等で極軸合わせを行う場合、北極星を基準に取ることは困難となる。そこで、特許文献1では、磁気センサ(方位センサ)を用いて方位角を求めるとともに、GPS受信機により緯度を求めている。
【0007】
特許文献1では、磁気センサの出力信号に応じてサーボ系が作動して、極軸シャフトの方位角を定める。また、GPS受信機により得た緯度情報をもとに、極軸シャフトの仰角(高度)を設定する。例えば、極軸シャフトの仰角を変更する回転軸廻りには仰角目盛りが設けられており、この目盛りを緯度に一致させるように、ユーザが極軸シャフトを回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−72718号公報
【特許文献2】特開2004−23749号公報
【特許文献3】特開2009−168678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の仰角設定では、ユーザが緯度を取得するとともに、仰角目盛りをその緯度に合わせる作業を行っている。言い換えると、現在仰角と目標仰角との差をユーザが計算して調整しなければならない。このように、従来の極軸合わせには、煩雑な作業が含まれており、極軸合わせをより容易に行うことのできる、回転架台の提供が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、回転架台に関するものである。当該回転架台は、光学機器を回転可能に支持する極軸シャフトと、前記極軸シャフトの方位角を検出する方位センサと、前記極軸シャフトの仰角を検出する仰角センサと、前記方位角と真北との差、及び、前記仰角と前記極軸シャフトが位置する緯度との差を求める演算部と、を備える。
【0011】
また、上記発明において、前記極軸シャフトの向きの変化を検出するジャイロセンサを備え、前記演算部は、前記方位センサが検出した基準方位角と、前記極軸シャフトの向きの変化とを用いて、真北に対する極軸シャフトの方位角を求めることが好適である。
【0012】
また、上記発明において、前記極軸シャフトを回転可能に支持する軸受を備え、前記軸受及び前記方位センサはケーシング内に収容され、前記方位センサは、前記軸受から10mm以上離間されて配置されていることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来よりも容易に極軸合わせを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る回転架台を例示する斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る回転架台を例示する、分解斜視図である。
【
図4】GPSセンサの配置について説明する断面図である。
【
図5】本実施形態に係る回転架台を例示するものであって、その構成部品を一部省略した、分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、本実施形態に係る回転架台10を例示する。回転架台10は、ユーザによる持ち運びが可能となるよう、小型、軽量であることが好適である。
【0016】
回転架台10は、例えば赤道儀として用いてよい。その場合、回転架台10は、極軸合わせが可能な機構を備えているか、または、極軸合わせが可能な機構に組み付け可能な構造であることが好適である。
【0017】
極軸合わせは、
図2に示すように、回転架台10の極軸シャフト12の回転軸Cの方位角α及び仰角βを調整して、当該回転軸Cを天の北極に向ける作業である。また、回転架台10が回転中にバランスを崩して転倒することを防止するためや、星の追尾精度を維持するため、方位角α及び仰角βに加えて、水平角γを調整するようにしてもよい。
【0018】
なお、以下では、極軸シャフト12の回転軸Cの方位角α等を、単に、極軸シャフト12の方位角α等と呼ぶものとする。
【0019】
上記を踏まえて、回転架台10は、極軸シャフト12の方位角α、仰角β、及び水平角γが調整可能な手段に接続されることが好適である。または、回転架台10に方位角α、仰角β、及び水平角γの調整手段を持たせてもよい。前者の場合、回転架台10は、雲台に固定されてよい。雲台は、三脚の台座にボールジョイントで接続された自由雲台であってもよく、また、方位角α、仰角β、及び水平角γをそれぞれ独立に操作する回転軸をそれぞれ備えた、スリーウェイ型雲台であってもよい。また、雲台の代わりに、回転架台10は、XY微動ステージやXYZ微動ステージに搭載されていてもよい。
【0020】
図3に、本実施形態に係る回転架台10の分解斜視図を例示する。回転架台10は、極軸シャフト12、軸受14、モータ16、GPSセンサ18、方位センサ20、仰角センサ22、ジャイロセンサ24、演算部26、表示器27、及びケーシング28を備えている。
【0021】
ケーシング28は、極軸シャフト12、軸受14、モータ16、GPSセンサ18、方位センサ20、仰角センサ22、ジャイロセンサ24、演算部26、及び表示器27を収容する。
【0022】
ケーシング28は、上蓋体28A及び下蓋体28Bからなる分割体から構成されてよい。上蓋体28Aには、極軸シャフト12用の開口31Aや表示器27用の開口31Bが設けられていてもよい。また、図示は省略するが、ユーザが表示器27の表示内容を変更するための操作キー等が設けられていてもよい。下蓋体28Bの側面35には、雲台や微動ステージの固定ねじがねじ込まれる、ねじ穴35Aが設けられていてもよい。
【0023】
また、ケーシング28は、外部の磁気源から方位センサ20を保護(防磁)するために、非磁性体から構成することが好適である。例えば、ケーシング28は、アルミ板から構成されてよい。
【0024】
極軸シャフト12は、望遠鏡や撮像器等の光学機器(図示せず)を回転可能に支持する。極軸シャフト12は、上蓋体28Aの開口31Aからケーシング28外部に露出する、端面12Aを備えている。端面12Aは、光学機器の固定面として機能するようにしてもよい。その場合、端面12Aには、光学機器の固定ステージに設けられた固定ねじがねじ込まれる、ねじ穴等の固定手段が設けられていてよい。
【0025】
また、極軸シャフト12は、光学機器の搭載物の重量により撓まない様、十分な剛性を備えていることが好適である。例えば、極軸シャフト12は、金属円筒から構成されてよい。さらに、方位センサ20に対する磁気ノイズ源とならないように、真鍮、ステンレス、又はアルミ等の、非磁性体や低磁性体から、極軸シャフト12を構成することが好適である。
【0026】
また、極軸シャフト12は、ギアアセンブリ32のねじ歯車と噛み合うウォームホイール12Bを備えていてもよい。さらに、極軸シャフト12は、ウォームホイール12Bを挟んで、ケーシング28の上蓋体28A側の大径シャフト12Cと、下蓋体28B側の小径シャフト12Dとを備えていてもよい。
【0027】
軸受14は、極軸シャフト12を回転可能に支持する。例えば、軸受14は、極軸シャフト12の大径シャフト12Cを支持する大径軸受14Aと、小径シャフト12Dを支持する小径軸受14Bとを備えていてもよい。2つの軸受14A,14Bを用いて極軸シャフト12を上下で支えることで、極軸シャフト12を安定して支持することが可能となる。
【0028】
大径軸受14Aは、その内輪が大径シャフト12Cに嵌着固定され、またその外輪が保持リング30A及び保持プレート30Bに挟まれて固定される。保持プレート30Bは下蓋体28Bに固定される。また、小径軸受14Bは、その内輪が小径シャフト12Dに嵌着固定され、またその外輪が下蓋体28Bの保持開口に嵌着固定される。
【0029】
なお、極軸合わせの結果、極軸シャフト12が、鉛直方向に対して傾いた状態で保持される場合がある。これを考慮すると、軸受14は、周廻りの重力荷重の偏り(偏荷重)に耐え得る転動体を用いることが好適である。例えば、軸受14は、偏荷重への耐久性が高く、また安価な鋼球を転動体として用いた、玉軸受であることが好適である。
【0030】
モータ16は、極軸シャフト12を回転させる駆動源である。モータ16は、ギアアセンブリ32を介して極軸シャフト12に回転力を伝達させるようにしてもよい。また、モータ16は、観測対象となる星に応じて追尾速度を変えられるように、速度可変型のモータであることが好適である。例えば、モータ16は、パルスモータから構成されてよい。
【0031】
また、モータ16から生じる磁界が、方位センサ20に対する磁気ノイズ源となることを防ぐために、モータ16は、磁気シールド29により覆われていることが好適である。
【0032】
加えて、ギアアセンブリ32は、真鍮、ステンレス、又はアルミ等の、非磁性体や低磁性体から構成することが好適である。
【0033】
表示器27は、極軸シャフト12に関する緯度情報、方位角情報、仰角情報、及び水平角情報等の、極軸合わせに必要な情報を、ユーザに表示する表示手段である。表示器27は、例えば、基板37に実装された、液晶ディスプレイであってよい。
【0034】
GPSセンサ18は、極軸シャフト12が置かれた場所の緯度を設定するための手段である。GPSセンサ18のアンテナがケーシング28から露出していると破損のおそれがあるので、ケーシング28内にGPSアンテナを設けることが好適である。例えば
図4に示すように、GPSアンテナ33は、ケーシング28の貫通孔34内に設けられてよい。その場合、GPSアンテナ33は、アクリルカバー等のカバー部材36に被覆されていてよい。また、十分な受信感度を確保するために、GPSアンテナ33の受信角度θが45°以上となるように、貫通孔34の孔径を定めておくことが好適である。
【0035】
また、GPSセンサ18に代えて、またはこれに加えて、ユーザが緯度を入力するための、緯度入力手段を備えていてもよい。これによれば、天体写真の撮影場所においてGPSセンサ18の受信感度が悪い場合であっても、外部の機器等から取得するなどの方法でユーザが緯度情報を把握できていれば、ユーザの入力によって緯度を設定することが可能となる。
【0036】
図3に戻り、仰角センサ22は、極軸シャフト12の仰角βを検出する検出手段である。仰角センサ22は、加速度センサであってよい。加速度センサが検出した重力加速度に基づけば、当該センサの検出面の、鉛直方向に対する傾き角を求めることができる。さらに加速度センサを複数、例えば3個設けると、これらのセンサを含む平面(基準面)の、鉛直方向に対する3次元的な傾きを求めることができる。この傾きを仰角β成分と水平角γ成分とに分解することで、極軸シャフト12の仰角β及び水平角γを求めることができる。
【0037】
方位センサ20は、真北等の基準方位角と、当該基準方位角に対する、極軸シャフト12の方位角αを検出する、検出手段である。方位センサ20は、例えば、地磁気を検出して方位角αを求める、電子コンパスであってよい。
【0038】
方位センサ20は、ケーシング28内において、軸受14から離間した箇所に配置されていることが好適である。上述したように、軸受14の転動体として鋼球を用いる場合、鋼球の製造過程で、強度を高める等の目的で、強磁性体のマルテンサイト系のステンレス等が含まれる場合がある。そうなると、軸受14が、方位センサ20に対する磁気ノイズ源となり得る。
【0039】
軸受14は、その内輪と外輪とが相対回転可能でなければならないことを考慮すると、軸受14全体をシールド材で隙間なく覆うことは困難となる。そこで、
図5に示すように、ケーシング28内において、方位センサ20を、軸受14から離間させ、軸受14の磁場の影響を低減させることが好適である。本願発明者らの解析によれば、軸受14の中心と方位センサ20の中心との離間距離dを10mmにすると、軸受14の磁場による影響が1/10程度に低減され、さらに、離間距離dを30mmにすると、軸受14の磁場による影響が1/100程度に低減されることが明らかとなった。このことから、方位センサ20は、軸受14との離間距離dが10mm以上となるように、ケーシング28内に配置されることが好適である。
【0040】
図3に戻り、ジャイロセンサ24は、極軸シャフト12の向きの変化を検出する検出手段である。ジャイロセンサ24は、例えば、圧電振動子やシリコン振動子などを備えた、角速度センサであってよい。ジャイロセンサ24は、方位角α周りの角速度を求めることが可能である。例えば、極軸シャフト12の向きによっては、ジャイロセンサ24が検出する角速度が、方位角α周りの成分、仰角β周りの成分、及び水平角γ周りの成分の合成成分となる場合がある。その場合、仰角センサ22により検知された基準面の傾きをもとにして、方位角α周りの角速度成分を求めることができる。
【0041】
演算部26は、GPSセンサ18またはこれに代わる緯度入力手段、方位センサ20、仰角センサ22、及びジャイロセンサ24からの情報を受信するとともに、これらの情報に基づいて以下のような演算を行って、極軸シャフト12の極軸合わせに必要な情報を算出し、これを表示器27に表示させる。
【0042】
演算部26は、仰角センサ22の出力に基づき、極軸シャフト12の仰角β成分を算出する。また、GPSセンサ18またはこれに代わる緯度入力手段から、極軸シャフト12の置かれた位置の緯度を取得するとともに、取得した緯度を目標仰角として、当該目標仰角と現在の仰角βとの差を求める。ここで、演算部26は、目標仰角と現在の仰角βとの差を表示器27に出力させるようにしてもよい。このようにすることで、ユーザの操作性が向上する。すなわち、表示器27の仰角パラメータを0にするように、極軸シャフト12を操作するだけで、極軸シャフト12の仰角は目標仰角に一致するようになる。
【0043】
また、演算部26は、方位センサ20から真北の方角及び極軸シャフト12の方位角αを取得するとともに、真北と方位角αとの差を求める。演算部26は、方位角αと真北との角度差を、表示器27に表示させるようにしてもよい。
【0044】
なお、ケーシング28内の磁場に由来して、方位センサ20の検出値には多少のずれが含まれる場合がある。このずれを補正するため、演算部26は、方位センサ20の検出値に対してキャリブレーションを行うような機能を備えていてもよい。例えば、回転架台10の組み立て後であって工場出荷前に、既知の真北の方角と、方位センサ20が検出した真北の方角とのずれを求める。さらに、このずれ分を補正する補正データを、図示しない記憶部に記憶させておく。実際に極軸合わせを行うときには、方位センサ20が検知した真北の方角に補正データを加えた値を、基準方位角とすべき真北の方角とする。
【0045】
また、鉄骨の構造物の近傍など、外部磁場が強く働く場所では、方位センサ20の検出精度が低下する場合がある。本実施形態に係る回転架台10は、このような場合であっても、方位センサ20に加えてジャイロセンサ24を用いることで、真北に対する方位角αの検出を行うことが可能となっている。
【0046】
例えば、
図6に示すように、外部磁場の強い構造物40から離れたグラウンド等の、外部磁場の影響の小さい場所に回転架台10を移動させ、その場所で真北及び真北に対する極軸シャフト12の方位角αを求める。方位センサ20によって真北及び方位角αを求めた後、構造物40内の撮影ポイントに戻る際に、回転架台10の向きが、ユーザにより変化させられる。このとき、ジャイロセンサ24は、極軸シャフト12の方位角周りの向きの変化を検出する。
【0047】
演算部26は、方位センサ20によって求められた方位角の値に、ジャイロセンサ24が検知した方位角周りの向きの変化分を加算する。例えば、方位センサ20によって求めた極軸シャフト12の、真北に対する方位角がα1であり、方位角α1を取得した後であって構造物40の撮影ポイントに到着するまでの間、ジャイロセンサ24が検出した極軸シャフト12の方位角の変化分がα2であったとする。このとき、演算部26は、極軸シャフト12の、撮影ポイントにおける方位角をα1+α2とする。この方位角α1+α2を0とするように、極軸シャフト12の方位角を調整すると、極軸シャフト12は真北を向くようになる。
【0048】
このように、ジャイロセンサ24を用いることで、方位センサ20による真北と方位角αの取得後の、極軸シャフト12の方位角αの変化を求めることが可能となる。ジャイロセンサ24は基本的には磁場の影響を受けないため、強い外部磁場が働く環境であってもジャイロセンサ24は十分に機能する。外部磁場の弱い場所で方位センサ20による真北と方位角αの検出を行った後、強い外部磁場が働く環境に戻るまで、ジャイロセンサ24が方位角αの変化を検知することから、強い外部磁場が働くような場所においても、真北に対する極軸シャフト12の方位角αを求めることが可能となる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、回転架台10を赤道儀として説明したが、この形態に限らない。例えば、方位角α及び水平角γの検出機能を用いて、微速度撮影(タイムラプス撮影)用の、撮影器の架台として、本実施形態に係る回転架台10を用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 回転架台、12 極軸シャフト、14 軸受、16 モータ、18 GPSセンサ、20 方位センサ、22 仰角センサ、24 ジャイロセンサ、26 演算部、27 表示器、28 ケーシング、29 磁気シールド。