特許第5956978号(P5956978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5956978薬物リザーバの屈曲可能ロッキングエレメントを備えたコード化された連結エレメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956978
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】薬物リザーバの屈曲可能ロッキングエレメントを備えたコード化された連結エレメント
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   A61M5/24
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-503109(P2013-503109)
(86)(22)【出願日】2011年4月7日
(65)【公表番号】特表2013-523292(P2013-523292A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011055394
(87)【国際公開番号】WO2011124631
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2014年3月31日
(31)【優先権主張番号】10171159.6
(32)【優先日】2010年7月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/322,702
(32)【優先日】2010年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ジェームズ・ヴィンセント・エイヴァリー
(72)【発明者】
【氏名】アレッド・メレディッド・ジェームズ
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−511157(JP,A)
【文献】 特表平6−500939(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/008694(WO,A2)
【文献】 特表2010−509956(JP,A)
【文献】 特開2008−168119(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/071804(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1930038(EP,A2)
【文献】 特表2005−516696(JP,A)
【文献】 特表2004−538118(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0004466(US,A1)
【文献】 特表2002−509469(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1034772(EP,A1)
【文献】 米国特許第4614267(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達システムのためのカートリッジシステムであって、以下:
外径(210)及び中心に位置する開口部(204)を有する円筒形状本体(202);
本体(202)の近位端(206)から遠位端(208)に伸びる開口部(204);
遠位端(130)から近位端(132)に伸びる略チューブ状のバレル(122)を含むカートリッジ(120)であって、遠位端(130)は、内側に細まるショルダ(131)、遠位端(130)に位置するスリーブ又はフェルール(124)、バレル(122)のショルダ(131)から遠位に突き出る小さな直径のネック(126)、及びネック(126)によって画成される開いた遠位端をわたってしっかり取り付けられ、スリーブ又はフェルール(124)によって所定の位置に保持される穿孔可能なシール又はセプタム(127)によって画成される;及び
上記本体(202)上に備えられた少なくとも1つの曲げ可能機能(230、930);
を含んでなり:
曲げ可能機能(230、930)は第1のセクション(232、932)、第2のセクション(234、934)、及び第3のセクション(236、936)を含み、第1のセクション(232、932)及び第3のセクション(236、936)はそれぞれ本体(202)に取り付けられており、
該曲げ可能機能(230、930)は、その曲げ可能機能(230、930)の第2のセクション(234、934)の少なくとも一部が、本体(202)の外径(210)を越えて伸びている第1の位置(810)から第2の位置(820)に可動であり、その部分は曲げ可能機能(230、930)が第2の位置(820)にはめ込むまで開口部(204)に向かって動き
該第2の位置(820)では、曲げ可能機能(230、930)の少なくとも一部が、開口部(204)がスリーブ又はフェルール(124)の上に置かれたときに、該カートリッジ(120、500、750)を該本体(202)内に保持するために提供され、そして
第1の位置(810)が曲げ可能機能(230)の初期位置であり、第1の位置(81
0)から第2の位置(820)への遷移が、開口部(204)の方向に向かって圧力を加え、曲げ可能機能(230)の外面(238)を押圧又はプッシュすることによって行われ、そして第2の位置(820)が最終位置である
ことを特徴とする、
上記カートリッジシステム。
【請求項2】
前記本体(202)が、該本体(202)の周囲の少なくとも一部に沿って伸びるフランジ(214)又はフランジ環(710)を含む、請求項1に記載のカートリッジシステム。
【請求項3】
さらにねじ式のニードルハブを受けるように構成されたねじ山(121)を含む、請求項1又は2に記載のカートリッジシステム。
【請求項4】
さらに本体(202)の戻り止め機能(840)、第1の位置(810)から戻り止め機能(840)を過ぎて第2の位置(820)に動きそして戻り止め機能(840)によって第2の位置(820)に保持される曲げ可能機能(230、930)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカートリッジシステム。
【請求項5】
投与量設定部材(102)を含んでなる薬物送達デバイス(100);
該投与量設定部材(102)に固定されるカートリッジホルダ(104、740);及び
該カートリッジホルダ(104、740)内に含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカートリッジシステム;
を含んでなる、薬物送達システム。
【請求項6】
本体(202)が軸方向に伸びる壁(212)を含み、そして本体(202)の軸方向に伸びる壁(212)の外面(218)には外側ねじ山(220)が備わっている、請求項5に記載の薬物送達システム。
【請求項7】
前記カートリッジホルダ(104、740)が前記投与量設定部材(102)に取り外し可能に固定される、請求項5又は6に記載の薬物送達システム。
【請求項8】
前記カートリッジ(120、500、750)が前記カートリッジホルダ(104、740)内に取り外し可能に含まれる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項9】
前記薬物送達デバイス(100)が再使用可能な薬物送達デバイス(100)を含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項10】
前記投与量設定部材(102)が、設定投与量を前記カートリッジ(500、750)から排出するための回転ピストンロッド(109)を含む、請求項5〜9のいずれか1項に記載の薬物送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、一般に、リザーバ、特に薬剤が入ったリザーバを対象とする。より具体的には、本出願は、リザーバの望ましくない不正操作を防止するため、リザーバ及びリザーバホルダと共に使用するロッキング機構を対象とする。ほんの一例として、その様な薬剤リザーバは、アンプル、カートリッジ、バイアル、又はポーチを含んでもよく、そして医療送達デバイスと共に使用されてもよい。例示的な医療送達デバイスとしては、シリンジ、ペン型注射シリンジ、ポンプ、吸入器又は少なくとも1つの薬剤を含む少なくとも1つのリザーバを必要とする他の類似の注射又は注入デバイスが挙げられるが、それらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
アンプル、カートリッジ又はバイアルのような薬剤リザーバは、一般に知られている。そのようなリザーバは、特に患者によって自己投与されてもよい薬剤に使用される。例えば、インスリンに関して、糖尿病の患者は、ペン型注射シリンジを介して注射されるか、又はポンプを介して注入される一定量のインスリンを必要としてもよい。或る既知の再使用可能なペン型薬物送達デバイスに関して、患者は、インスリンの入ったカートリッジをカートリッジホルダの近位端に装填する(load)。カートリッジが正確に装填された後、ユーザーは薬剤の投与量の選択が要求されてもよい。複数用量がカートリッジから投与されてもよい。薬物送達デバイスが再使用可能デバイスを含む場合、一旦カートリッジが空になると、カートリッジホルダは薬物送達デバイスから分離され、そして空のカートリッジは取り除かれ、新しいカートリッジで置き換えられる。そのようなカートリッジの供給業者の多くは、ユーザーが空のカートリッジを適切に廃棄することを推奨する。薬物送達デバイスが使い捨てデバイスを含む場合、一旦カートリッジが空になったら、ユーザーはデバイス全体を廃棄することが推奨される。
【0003】
そのような、空のカートリッジの取り外し及び再装填を必要とする既知の自己投与システムは、いくつかの制限を有する。例えば、或る一般に知られたシステムでは、ユーザーは、取り外し及び次の誤ったカートリッジの交叉使用を防止する何らかの機構を有する薬物送達デバイス又はカートリッジ無しに、送達システムに新しいカートリッジを単純に装填する。或いは、いくつかの既知の薬物送達デバイスは、カートリッジ内の薬剤の正確な種類がその特定の薬物送達システムで使用されるかどうかを判定するための機構を提示しない。この潜在的な問題は、糖尿病を患うような或る高齢の患者が手先の器用さに制限を有する可能性があることを考慮すると、悪化させることもあり得る。間違った薬剤の識別は、例えば長期作用型インスリンの代わりに短期作用型インスリンを投与するような、可能性のある不正確な投与量の薬剤の投与は、危害又はさらに死をもたらすかも知れないので、極めて重要である。
【0004】
いくつかの薬物送達デバイス又はシステムは、薬物送達デバイスで使用する正確なカートリッジの選択においてユーザー又は介護者を支援するためにカラーコーディングスキームを使用してもよい。しかし、その様なカラーコーディングスキームは、或るユーザーに、特に弱視又は色盲:糖尿病の患者に極めて一般的な状態、のユーザーに難題をもたらす。
【0005】
そのような使い捨てカートリッジに生じうる別の懸念は、それらのカートリッジは、基本的に標準サイズに製造され、一定の公認された地方及び国際標準に適合しなければならない。従って、そのようなカートリッジは、一般に標準サイズのカートリッジ(例えば、3mLカートリッジ)で供給される。それ故、多数の異なる業者によって供給され、異なる薬剤が入った様々なカートリッジがあってもよいが、それらは、単一の薬物送達デバイスに適合し得る。ほんの1例として、第1の業者かの第1薬剤が入った第1カートリッジは、第2の業者によって提供される医療送達デバイスに適合してもよい。そのように、ユーザーは、医療送達デバイスが多分そのようなカートリッジが使われるように設計も意図もされないことを意識せずに、間違った薬剤(インスリンの急速又は定常型など)を薬物送達デバイスに装填し分注できるかもしれない。
【0006】
そのように、ユーザー、医療提供者、介護者、規制当局、及び医療機器供給業者から、ユーザーが間違った薬物種類を薬物送達デバイスに装填する潜在的なリスクを軽減させる要望が増大している。また、従って、間違った薬剤(又は誤った濃度の薬剤)をそのような薬物送達デバイスから分注するリスクを低減させる要望もある。
【0007】
従って、カートリッジを物理的にその薬物種類の専用にし、望ましくないカートリッジの交叉使用を防止するために、ロッキング機構に除去不能に保持される注射デバイスを設計する一般的な必要性がある。
【0008】
また、カートリッジが許可されない薬物又は薬物送達デバイスで使用できることにカートリッジが損なわれないように、不正に変更することが困難な専用のカートリッジを提供する一般的な必要性もある。そのようなカートリッジは改ざんするのが困難なため、それらは偽造のリスクを低減する可能性がある:即ち、偽造者が、規制されない偽造薬剤の入った製品を供給するのをより困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、薬物送達デバイスに対する薬物リザーバの正しい適用を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、それぞれ、請求項1に記載の薬物送達システムのためのカートリッジシステム及び請求項に記載の薬物送達システムによって達成される。
【0011】
以下において、用語の「遠位端」は、薬物送達デバイスの一部に配置され、そこから薬物を分注させることを意図したカートリッジアッセンブリ又は本体若しくはハウジングの一部分を指す。用語の「近位端」は、遠位端から離れたカートリッジアッセンブリ又は本体若しくはハウジングの一部分を指す。用語の「遠位方向」は、近位端から遠位端に向かう動きと同じ方向の動きを指し、出発点も終点も特定しないので動きは遠位端を越えてもよい。用語の「近位方向」は、遠位方向と反対の方向の動きを指す。
【0012】
1つの態様では、リザーバホルダにリザーバを取り付けるためのロッキング機構は、外径を有する円筒状の本体及び中心に位置する開口部を含む。少なくとも1つの曲げ可能機能(bendable feature)が本体に備えられる。曲げ可能機能は、少なくとも曲げ可能機能の一部分が本体の外径を越えて伸びている第1の位置から第2の位置に可動であり、その部分は曲げ可能機能が第2の位置にはめ込むまで開口部に向けて動く。第2の位置では、リザーバをロッキング機構内に保持するために、少なくとも曲げ可能機能の一部が提供される。
【0013】
例示的な配置によると、リザーバをリザーバホルダ内に取り付けるためのロッキング機構は、リザーバと連結した本体を含む。第1の曲げ可能機能は本体に備えられる。曲げ可能機能は、第1の位置から第2の位置に移動されてもよい。曲げ可能機能を第1の位置から第2の位置に動かすために、曲げ可能機能はリザーバに向けて押圧される。第2の位置では、曲げ可能機能の少なくとも一部分はリザーバをロッキング機構内に保持する。
【0014】
別の態様では、薬物送達システムは、投与量設定部材を備えた薬物送達デバイス、投与量設定部材に固定されたカートリッジホルダ、カートリッジホルダ内に包含されたカートリッジ、及びカートリッジに付けられたロッキング機構を含む。ロッキング機構は、外径を有する円筒状の本体及び中心に位置する開口部並びに本体上に備えられた少なくとも1つの曲げ可能機能を含む。曲げ可能機能は、曲げ可能機能の少なくとも一部が本体の外径を越えて伸びている第1の位置から第2の位置に可動であり、その部分は曲げ可能機能が第2の位置にはめ込むまで開口部に向けて動く。第2の位置では、リザーバをロッキング機構内に保持するために、曲げ可能機能の少なくとも一部が提供される。
【0015】
薬物送達デバイスを含む薬物送達システムでは、カートリッジホルダは、投与量設定機構を含んでもよい投与量設定部材に固定される。
【0016】
さらに別の代わりの配置では、薬物送達システムは、投与量設定機構を含む薬物送達デバイスを含む。カートリッジホルダは、投与量設定機構に固定される。カートリッジは、カートリッジホルダ内に含まれ、そしてロッキング機構はカートリッジに貼り付けられる。ロッキング機構は、第1の位置から第2の位置にはめ込む第1の曲げ可能機能を含んでもよく、第2の位置は、曲げ可能機能の第1の位置への戻りを防止する前述の第1の曲げ可能機能の少なくとも部分を含む。
【0017】
ロッキング機構の1つの実施態様では、リザーバが本体と連結しそして曲げ可能機能が第1の位置にある場合、曲げ可能機能は基本的にリザーバに対して凹面をしている。
【0018】
ロッキング機構のさらなる実施態様では、曲げ可能機能が第1の位置にある場合、曲げ可能機能はリザーバに接触しない。
【0019】
ロッキング機構のさらなる実施態様では、曲げ可能機能は第1のセクション、第2のセクション、及び第3のセクションを含む。
【0020】
ロッキング機構のさらなる実施態様では、第1のセクション及び第3のセクションはそれぞれ本体に貼り付けられる。
【0021】
ロッキング機構のさらなる実施態様では、第1のセクション、第2のセクション、及び第3のセクションは、上記第1の位置で本体から放射状に伸びて略丸い弧の形を形成するように構成される。
【0022】
ロッキング機構のさらなる実施態様では、本体は、本体の周囲の少なくとも一部に沿って伸びるフランジを含む。
【0023】
ロッキング機構のさらなる実施態様では、本体はリザーバに装填され、そしてリザーバは、ネック分を有し、それはネック分の開いた遠位端にまたがる穿刺可能なシールを含む。
【0024】
ロッキング機構のさらなる実施態様は、ねじ式のニードルハブを受け入れるように構成されたねじ山を含む。
【0025】
ロッキング機構のさらなる実施態様は、組み立て工程中に前記の第1の位置から前記の第2の位置に手動で押される。
【0026】
ロッキング機構のさらなる実施態様は、さらに保持機能を含む。
【0027】
ロッキング機構のさらなる実施態様では、保持機能は本体から伸びるフランジを含み、それはリザーバホルダの溝と嵌め合う。
【0028】
薬物送達システムは、投与量設定機構を含む薬物送達デバイス、カートリッジホルダが前記投与量設定機構に固定されるカートリッジホルダ、カートリッジホルダ内に含まれるカートリッジ、及びカートリッジに貼り付けられたロッキング機構を含む。ロッキング機構は、第1の位置から第2の位置にはめ込む第1曲げ可能機能を含む。第2の位置は、少なくとも第1曲げ可能機能の部分を含み、曲げ可能機能が第1の位置に戻るのを防止する。
【0029】
薬物送達システムの実施態様では、ロッキング機構はさらに、本体の中心を通って伸びる開口部を備えた本体を含む。
【0030】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、曲げ可能機能は、曲げ可能機能が第1の位置にある場合、基本的に開口部に対して凹面である。
【0031】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、曲げ可能機能は、第1のセクション、第2のセクション、及び第3のセクションを含む。
【0032】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、第1のセクション及び第3のセクションはそれぞれ本体に付けられる。
【0033】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、第1のセクション、第2のセクション、及び第3のセクションは、第1の位置で、本体から離れて放射状に伸びる略丸い弧の形を形成するように構成される。
【0034】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、本体は、本体の周囲の少なくとも一部に沿って伸びるフランジを含む。
【0035】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、本体はフランジを含み、そしてロッキング機構はさらにフランジから伸び、そしてロッキング機構を投与量設定部材と連結するためのコネクタを含む軸方向に伸びる壁を含む。
【0036】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、本体の軸方向に伸びる壁の外面には外側ねじ山が備えられる。
【0037】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、ロッキング機構は、戻り止め機能、第1の位置から戻り止め機能を過ぎて第2の位置に動き、そして戻り止め機能によって第2の位置に保持される曲げ可能機能を含む。
【0038】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、カートリッジホルダは、取り外し可能に投与量設定機構に固定される。
【0039】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、カートリッジは、取り外し可能にカートリッジホルダ内に含まれる。
【0040】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、薬物送達デバイスは、再使用可能な薬物送達デバイスを含む。
【0041】
薬物送達システムのさらなる実施態様では、投与量設定機構は、設定投与量をカートリッジから排出させるための回転ピストンロッドを含む。
【0042】
本明細書で使われる用語の「薬物」又は「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含有する医薬製剤を意味し、
ここで、1つの実施態様では、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有する、及び/又は、ペプチド、タンパク質、多糖、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体、ホルモン若しくはオリゴヌクレオチド、又は上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり;
ここで、さらなる実施態様では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病又は糖尿病性網膜症のような糖尿病に伴う合併症、深部静脈又は肺血栓性塞栓症などの血栓性塞栓性疾患、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化症及び/又は関節リウマチの処置及び/又は予防のために有用であり;
ここで、さらなる実施態様では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病又は糖尿病性網膜症のような糖尿病に伴う合併症の処置及び/又は予防のための少なくとも1つのペプチドを含み;
ここで、さらなる実施態様では、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3若しくはエキセンジン−4又はエキセンジン−3若しくはエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0043】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンが、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位におけるLysは、Proで代替されてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0044】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0045】
エキセンジン−4は、例えば、配列がH−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチド、エキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0046】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0047】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体;
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジ
ン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のエキセンジン−4誘導体のいずれか1つの薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0048】
ホルモンは、例えば、Rote Liste,ed. 2008, Chapter 50に記載されているような、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、絨毛性ゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トレプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調整活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0049】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカンのヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン又は超低分子量ヘパリン若しくはそれらの誘導体、又は硫酸化された、例えば、上述の多糖類のポリ硫酸化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0050】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、又は場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容可能な塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17.ed., Alfonso R.Gennaro (Ed.), Mark Publishing Company, Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0051】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、例えば、水和物である。
【0052】
本発明の範囲は、請求項の内容によって定義される。本発明は、特定の実施態様に限定されず、異なる実施態様の要素の任意の組み合わせを含む。さらに、本発明は、請求項の任意の組み合わせ及び請求項によって開示される特性の任意の組み合わせを含む。
【0053】
これらの利点並びに本発明の他の様々な態様の利点は、添付の図面を適切に参照して以下の発明の詳細を読むことによって、当業者には明らかになるだろう。
【0054】
例示的な実施態様は、以下の明細書に図面を参照して説明される:
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】例示的なペン型薬物送達デバイスを図示する。
図2図1に図示されたペン型薬物送達デバイスのカートリッジホルダに装填されてもよいカートリッジを図示する。
図3図1に図示された薬物送達デバイスのようなペン型薬物送達デバイスに使用されてもよいカートリッジに使用するためのロッキング機構の第1の配置を図示する。
図4図3に図示されたロッキング機構のようなロッキング機構の底面図を図示する。
図5図3に図示されたロッキング機構に使用されてもよい遠位のカートリッジ部分の断面図を図示する。
図6】第2又は最終位置における図3に図示されたロッキング機構図示する。
図7図3に図示されたように、第2の位置のロッキング機構と同時に、遠位のカートリッジ部分に取り付けられたロッキング機構を図示する。
図8図3に図示されたロッキング機構上に存在してもよい曲げ可能機能の部分、及び曲げ可能機能の移動を示す図を図示する。
図9】ロッキング機構の代わりの配置を図示する。
図10】ロッキング機構の代わりの配置を図示する。
図11図10に図示されたロッキング機構とともに使用されてもよい遠位カートリッジ部分及び遠位カートリッジホルダ部分の断面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1を参照すると、ペン型シリンジの形態の薬物送達デバイス100が示される。この薬物送達デバイス100は、投与量設定機構を含んでもよい投与量設定部材102、カートリッジホルダ104、及び取り外し可能なキャップ106を含む。カートリッジホルダ104の近位端105及び投与量設定部材102の遠位端103は一緒に取り外し可能に固定される。ペン型シリンジは、再使用可能な又は使い捨てのペン型シリンジを含んでもよい。シリンジが再使用可能なデバイスを含む場合、カートリッジホルダ104及び投与量設定部材102は、取り外し可能に一緒に繋がれる。使い捨てデバイスでは、それらは恒久的に一緒に繋げられればよい。図1では、投与量設定部材102は、投与量が注射されるとき回転するねじ式のピストンのような、ピストンロッド109を含む。
【0057】
前もって設定した投与量を注射するために、両口のニードルアセンブリがカートリッジホルダ104の遠位端108に取り付けられてもよい。好ましくは、カートリッジホルダ104の遠位端108は、ニードルアセンブリがカートリッジホルダ104の遠位端108に取り外し可能に取り付けられてもよいように、ねじ山121(又は、スナップロック、スナップフィット、フォームフィト又はバヨネットロック機構などの他の好適な連結機構)を含む。薬物送達デバイス100が使用されない時は、取り外し可能なキャップ106は、カートリッジホルダ104上に保持できる。
【0058】
カートリッジホルダ104によって画成される内部カートリッジキャビティ111は、カートリッジ120を確実に受領し保持するように寸法取りされて構成される。図2は、図1に図示された薬物送達デバイス100で使用されてもよいカートリッジ120の透視図を図示する。カートリッジ120は、一般に、遠位端130から近位端132まで伸びたチューブ状のバレル122を含める。遠位端130は、内側に収束するショルダ131によって画成される。
【0059】
遠位端130において、カートリッジ120は、より小さな直径のネック126を含み、そしてこのネック126はバレル122のショルダ131から遠位に突き出す。好ましくは、このより小さな直径のネック126は、大きな直径の環状ビーズ(bead)(示されていない)が備えられ、そしてこのビーズは、ネック126のおよそ最遠位端で環状に拡大する。穿孔可能なシール又はセプタム127は、ネック126で規定される開いた遠位端を横切ってしっかり取り付けられる。シール又はセプタム127は、金属スリーブ又はフェルール124によって保持される。この金属スリーブ又はフェルール124は、ネック126の遠位端の環状ビーズの周囲にクリンプ加工されればよい。金属スリーブ又はフェルール124の直径は、直径D2136として示される。薬剤125は、カートリッジ120内に前もって充填され、一部分、穿孔可能なシール又はセプタム127、金属スリーブ又はフェルール124、及びストッパ128によって、カートリッジ120内に保持される。ストッパ128は、バレル122の内部の管状の壁とスライド式の流体密封係合であればよい。投与量を注射又は投与量を投与する間にストッパ128に働く軸方向の力は、薬剤125を、カートリッジ120からカートリッジホルダ104の遠位端108に装填された両口針を通して注射部位に駆り立てる。そのような軸方向の力は、ピストンロッド109によってもたらされればよい。
【0060】
カートリッジキャビティ111を規定するカートリッジホルダ104の部分は、実質的に図1に直径D1134で示される均一直径からなる。この直径D1134は、好ましくは、カートリッジ120の直径D2’137よりも僅かに大きい。カートリッジホルダ104の内部は、カートリッジホルダ104内のカートリッジ120の動きを阻止するために寸法取りされた内側に伸びる環状部分又は止め具を含む。このように、カートリッジ120がカートリッジホルダ104のカートリッジキャビティ111に装填され、そしてカートリッジホルダ104が次に投与量設定部材102に連結されるとき、カートリッジ120はカートリッジキャビティ111内にしっかりと保持される。より具体的には、カートリッジ120のネック126及び金属スリーブ又はフェルール124がカートリッジホルダ104の開いている近位端に遠位方向に挿入され、最終的に金属スリーブ又はフェルール124は完全にカートリッジホルダ104に入る。投与量設定部材102と取り外し可能に連結したカートリッジホルダ104では、カートリッジ120の近位端132は、典型的に投与量設定部材102によって提供される留め具に隣接することになる。
【0061】
薬剤125の複数の投与量が、カートリッジ120から分注されてもよい。カートリッジ120は、例えば1日1回又はそれ以上のように、頻繁に投与しなければならない一種類の薬剤を含めばよい。1つのそのような薬剤は、インスリンである。ストッパ128は、カートリッジ120の第1末端すなわち近位端132に保持され、そして投与量設定部材102に備えられてもよい投与量設定機構のピストンロッド109によって生み出される軸方向の力を受ける。
【0062】
投与量設定部材102は、投与量設定部材102の近位端に投与量設定器117を含む。1つの好ましい配置では、投与量設定器117は投与量を設定するために回転される。この設定投与量を投与するために、ユーザーは、カートリッジホルダ104の遠位端108に両口針を含むニードルアセンブリを取り付ければよい。このようにして、ニードルアセンブリはカートリッジ120のシール又はセプタム127を穿刺し、従って薬剤125と液体伝達の状態になる。ユーザーは、設定した投与量を注射するために投与量設定器117を押す。同じ投与量設定及び投与量投与手順がカートリッジ120内の薬剤125が使い果たされるまで続けられればよく、その時点で新しいカートリッジ120がデバイスに装填されればよい。空のカートリッジ120を交換するために、ユーザーは投与量設定部材102からカートリッジホルダ104を取り外すことが求められる。
【0063】
図3は、図2に図示されたカートリッジ120のような、ペン型薬物送達デバイスに使われてもよいカートリッジに使用するためのロッキング機構200の第1配置を図示する。より具体的には、ロッキング機構200は、ロッキング機構200がカートリッジ120の金属スリーブ又はフェルール124の周りに嵌め合い又はスナップを形成するように、カートリッジ120の遠位端130にスナップできる可撓性素材を含んでもよい。このように、そして以下により詳細に説明するように、ロッキング機構200は、カートリッジ120にロッキング機構を提供することができる。或いは、ロッキング機構200は、それがカートリッジ120の遠位端130の上に位置するとき変形しないように非可撓性素材を含んでもよい。
【0064】
図3に示されるロッキング機構200は、中心に位置する開口部204を画成するシリンダー状の本体202を含む。この開口部204は、本体202の近位端206から遠位端208まで伸び、そして使用する場合、開口部204は、カートリッジ120の遠位端130に位置するフェルール124の真上に置かれる。好ましくは、この開口部204は、カートリッジ120の金属スリーブ又はフェルール124の直径D2136よりも僅かに大きい直径D3210を有する。ロッキング機構200はさらに、本体202の近位端206の近くに位置するフランジ214から伸びる軸方向に伸びる壁212を含む。この軸方向に伸びる壁212は、本体202の遠位端208に向かって伸びる。軸方向に伸びる壁212は、変動してもよく、カートリッジ120がロッキング機構200内に挿入されたとき、カートリッジ120と同じ又はそれよりも長くてもよい。また、軸方向に伸びる壁212は、カートリッジ120とともにロッキング機構200を投与量設定部材102と連結するためのコネクタを含んでもよい(即ち、ロッキング機構200はカートリッジホルダ104の一部になってもよい)。
【0065】
遠位端208の近くに、ロッキング機構200は、通路又は開口部216を備える。1つの配置では、この通路又は開口部216は、ロッキング機構200がカートリッジ120の金属スリーブ又はフェルール124に折れ被せられたとき、通り抜け又は開口部216がカートリッジ120の金属スリーブ又はフェルール124の少なくとも一部を露出し、カートリッジ120の穿刺可能なシール又はセプタム127の少なくとも一部への入り口を提供するように設計又は構成される。
【0066】
1つの配置では、ロッキング機構200は、標準の両口針で使用するためのものであり、ここでこの針は雌ねじを有するハブを含む。そのように、本体202の軸方向に伸びる壁212の外面218は、そのような両口針のハブを受け取る外側ねじ山220を備える。そのような外側ねじ山220は、一本又は二本の開始外側ねじ山(a single and or a double start outer thread)を含んでもよい。また、そのような両口針がロッキング機構200に装填される場合、鋭い遠位の針が通路又は開口部216を通ってカートリッジ120の穿刺可能なシール又はセプタム127の中に突出する。或いは、ロッキング機構200は、外側ねじ山220無しで提供されてもよい。
【0067】
この好ましい配置では、ロッキング機構200は、少なくとも1つの曲げ可能機能230が備えられる。曲げ可能機能230は、外面238を含む。1つの好ましい配置では、曲げ可能機能230は、第1のセクション232、第2のセクション234、及び第3のセクション236を含んでもよい。第1のセクション232及び第3のセクション236はそれぞれ本体202に貼り付けられる。曲げ可能機能230のこれらのセクション232、234、236は、カートリッジ120がロッキング機構200に挿入されるときカートリッジ120に対して基本的に凹面であるように、第1の位置で本体から放射状に拡大して略丸い弧の形を形成するように構成される。第1の位置は、組み立て中のロッキング機構200の初期位置である。第1の位置では、曲げ可能機能230の第2のセクション234の少なくとも一部分は、本体202の外径D3210を超えて伸びる。第1のセクション232及び第3のセクション236の少なくとも一部分も同様に本体202の外径D3210を超えて伸びる。図4に示される例示的なロッキング機構の底面図は、本体202に関して3つの曲げ可能機能230の湾曲及び広がりを図示する。代りの配置では、曲げ可能機能230は、複数のセクションを含む梁(beam)よりもむしろ連続した梁を含む。
【0068】
ロッキング機構200は、図2に図示されるカートリッジ120のようなカートリッジで使用することを目的とする。図5に図示するように、ロッキング機構200は、カートリッジ500に取り付けられる。カートリッジ500は、フランジの付いたネックを有し、それに抗してフランジの下に押縁されたフェルール524によってゴム膜が固定される。コップ型のキャップの底は開口部を有し、それを通して膜の一部が突き出る。
【0069】
図5は、第1の位置における曲げ可能機能230を備えたロッキング機構200を示す。図5に示すように、この第1の位置では、曲げ可能機能230はカートリッジ500に対して凹面の形状である。
【0070】
曲げ可能機能230は、組み立て処置又はユーザー起動の処置の間のようなある種の機械的入力に応答して、カートリッジ500にロッキング機構200を取り付けるよう操作可能である。カートリッジ500に対するロッキング機構200のこの機械的入力工程の間に、曲げ可能機能230は第1の位置から第2又は最終の位置に移動される。第1の位置から第2の位置への遷移をもたらすためには、組み立て道具(又はおそらくユーザー)が、中心に位置する開口部204の方向に向かって圧力を加え、曲げ可能機能230の外面238を押圧又はプッシュすればよい。曲げ可能機能230は、リザーバ(カートリッジ500)の方向に押圧された場合、曲げ可能機能230は変形し、第2のセクション234が開口部204に向かって、曲げ可能機能230が逆転した位置にはめ込むまで動く。この反転した位置は第2の位置であり、それは図6に示される。
【0071】
図7は、曲げ可能機能230が第2の位置にある場合の、図3に示されるような遠位カートリッジ部分に取り付けられたロッキング機構200を図示する。より具体的には、ロッキング機構200は、それがカートリッジ500のフェルール524の周囲に嵌合するようにカートリッジ500の遠位端510にスナップされる。曲げ可能機能230が第2の位置にある場合、カートリッジ500は取り外し不能にロッキング機構200内に保持される。
【0072】
図8は、第1の位置810から第2の位置820への曲げ可能機能230の移動を図示する。曲げ可能機能230は、第1の位置810から矢印830の経路に沿って第2の位置820に動く。1つの実施態様では、曲げ可能機能230が矢印830の経路に沿って動くにつれて、曲げ可能機能230はロッキング機構200の戻り止め機能840を通過し、曲げ可能機能230の少なくとも一部がフェルール860の背後になって第2の位置820で静止する。第2の位置820では、曲げ可能機能230は、内面850及びフェルール860の表面によって縛られたように示されている。戻り止め機能840は、長さが変化してもよく、従って内面850の面積は変化する。戻り止め機能840は、例えば、図8に示されるよりも短い(又は大きい)。
【0073】
ロッキング機構200を使う1つの利点は、フェルール860及び内面850に接触する曲げ可能機能230の嵌合がロッキング機構200の無用の取り外しを阻止することである。即ち、両口針をロッキング機構の遠位端に取り付ける又は取り除く場合、曲げ可能機能230がカートリッジからロッキング機構200の無用な取り外しを阻止する。
【0074】
当業者は、この曲げ可能機能230の代りの構造が同様に使用されてもよいことを認識するだろう。例えば、第1のセクション232、第2のセクション234、又は第3のセクション236の何れの厚さ、奥行き又は長さは変更されてもよい。別の例として、曲げ可能機能230の曲率は、増やされても又は減らされてもよい。如何なるこれらの機構の変更も、曲げ可能機能230をカートリッジに向けてスナップするために必要な力を変える可能性がある。曲げ可能機能230の長さに沿ってくぼみが存在すればよい。くぼみは構造を弱め、曲げ可能機能230の変形を支援してもよい。外周に2個以上の曲げ可能機能230が備えられればよい。多数の曲げ可能機能230を有することの1つの利点は、カートリッジが複数の位置に保持されてもよいことである。また、多数のロッキング機構200は、種々のカートリッジ、カートリッジホルダ、カートリッジに含まれる薬剤の中でさらなる区別又はコード化を提供するために様々な色が与えられてもよい。
【0075】
代わりの例示的な実施態様は、図9に示される。この代わりの実施態様では、曲げ可能機能930は、第1のセクション932、第2のセクション934、及び第3のセクション936を含む。曲げ可能機能930の第1のセクション932及び第3のセクション936はそれぞれ、第1のセクション932及び第3のセクション936のそれぞれの材料を効果的に減少した角度の付いた縁940を有する。これらのセクションの材料の縮減は、曲げ可能機能930が第2の位置にある場合、もしロッキング機構がカートリッジから無理に取り外されると曲げ可能機能930は破壊されもはやロッキング機構を保持できなくなるほどに、セクションを弱体化させてもよい。これは、不正操作防止機構を提供する。他の不正操作防止機構は、ロッキング機構に貼り付けられてもよく、操作されると破ける又は剥ぎ取られるラベルなどが想定されてもよい。
【0076】
ロッキング機構は、カートリッジホルダに対する回転を阻止するための連結手段を組み込んでもよい。一例として、ロッキング機構は、遠位端の方向を指す三角形の切断面を持つ突起を含んでもよい。別の例として、回転は機構とホルダの間の摩擦によって阻止されてもよい。もう1つの代わりの保持機能は、容易な取り外しを可能にする一方、カートリッジをカートリッジホルダに留める。そのような保持機能は、締りフィット、スナップフィット、又はバイオネット様式機構を含む。
【0077】
例示的な保持機能は、図10及び11に示される代わりの配置に図示される。この代わりの配置では、ロッキング機構は完全なフランジ環を含んでもよい。この配置は、図10及び11に図示される。図10は、完全なフランジ環710を持つロッキング機構700を示す。完全なフランジ環710は、ロッキング機構700の近位端720の近くのロッキング機構700の全周囲に沿って連続している。図11は、カートリッジ750を保持するカートリッジホルダ740内の所定の位置のロッキング機構700を図示する。カートリッジホルダ740は、示されるような溝又はチャンネル742を含んでもよい。このチャンネル742は、ロッキング機構がカートリッジ750に装填され第2の位置に存在する場合、フランジ環710がチャンネル742内に嵌め合う又は嵌合するように、フランジ環710に対応すればよい。完全なフランジ環710は、ロッキング機構700の強度及び剛性を増大させてもよい。
【0078】
提案されたロッキング機構は、如何なるタイプのリザーバ又は一次包装、例えば吸入器、ポーチを使う、如何なる薬物送達デバイスに対して適用してもよい。提案されたロッキング機構はまた、間違ったホルダへのカートリッジの挿入を防止するためのカートリッジホルダに対するコード化方法を含んでもよい。ロッキング機構は、特定の薬物のために用いられるキャップを識別する色を含んでもよい。
【0079】
提案されたロッキング機構は、多くの利点をもたらす。例えば、提案されたロッキング機構は、送達デバイスがそのデバイスを対象とする薬剤にのみ使用し得ることを確実にするのに役立つ。ロッキング機構は、ユーザーがロッキング機構を取り外し、それを別のカートリッジに固定することを防止する。その機構はまた、不正操作を防止する;もし取り外しが試みられると、ロッキング機構は破損してしまう。
【0080】
ロッキング機構はまた、インターフェースが多数の部品を必要とせずそしてコスト効率の良い方法で製造できるため、低価格の機構をもたらす。
【0081】
本発明の例示的な実施態様が説明された。しかし、当業者は、請求項によって規定される本発明の真の範囲及び精神から逸脱することなく、これらの配置を変更及び修正することが出来ることを理解するだろう。
【0082】
参照番号一覧
100 薬物送達デバイス;
102 投与量設定部材;
103 投与量設定部材の遠位端;
104 カートリッジホルダ;
105 カートリッジホルダの近位端;
106 取り外し可能なキャップ;
108 カートリッジホルダの遠位端;
109 ピストンロッド;
111 カートリッジキャビティ;
117 投与量設定器;
120 カートリッジ;
121 ねじ山;
122 バレル;
124 金属スリーブ又はフェルール;
125 薬剤;
126 ネック;
127 シール又はセプタム;
128 ストッパ;
130 カートリッジ又はバレルの遠位端;
131 ショルダ;
132 カートリッジの近位端;
134 直径D1
136 直径D2
137 直径D2’;
200 ロッキング機構;
202 本体;
204 開口部;
206 本体の近位端;
208 本体の遠位端;
210 直径D3
212 軸方向に伸びる壁;
214 フランジ;
216 開口部;
218 外面;
220 外側ねじ山;
230 曲げ可能機能;
232 第1のセクション;
234 第2のセクション;
236 第3のセクション;
238 外面;
500 カートリッジ;
510 カートリッジの遠位端;
524 フェルール;
700 ロッキング機構;
710 フランジ環;
720 近位端;
740 カートリッジホルダ;
742 チャンネル;
750 カートリッジ;
810 第1の位置;
820 第2の位置;
830 矢印;
840 戻り止め機能;
850 内面;
860 フェルール;
930 曲げ可能機能;
932 第1のセクション;
934 第2のセクション;
936 第3のセクション;
940 角度の付いた縁;
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11