(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956984
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】容器から液体残りなく吸い上げるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
G01N35/10 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-512778(P2013-512778)
(86)(22)【出願日】2011年5月14日
(65)【公表番号】特表2013-527460(P2013-527460A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】EP2011002396
(87)【国際公開番号】WO2011151014
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年3月20日
(31)【優先権主張番号】102010022552.5
(32)【優先日】2010年6月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512146085
【氏名又は名称】パーキンエルマー ヒェマーゲン テヒノロギー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】アー ブラッサード,ロタール
(72)【発明者】
【氏名】イェントゲス,ウーヴェ
【審査官】
長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−120960(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/054870(WO,A1)
【文献】
特開2004−325398(JP,A)
【文献】
特開平11−271322(JP,A)
【文献】
特開昭63−223561(JP,A)
【文献】
特開昭62−265570(JP,A)
【文献】
特開2002−001092(JP,A)
【文献】
特開2002−228670(JP,A)
【文献】
国際公開第97/005492(WO,A1)
【文献】
特開平08−297125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンネルが壁によって取り囲まれるように形成され、かかる取り囲みの壁によって規定される端面をその端部に有する除去チップを有する除去ユニットによって、容器から、液体を吸い上げるための装置であって、
前記端面が平面であり、前記容器が下に凸の湾曲した容器の底を有し、前記除去チップまたは前記容器の底が、互いに、前記除去チップが容器に挿入された場合に、前記除去チップが接触する前記容器の底の表面領域および前記除去チップの前記平面端面が、少なくとも二つの表面領域の一部内で互いに傾斜するように、すなわちそこで平行するものでないように配置され、前記除去チップは、前記除去チップが前記容器の底に接触する際に常に、前記底の対応する領域および前記除去チップの端面間に隙間をもたらすように前記湾曲の頂点に対して偏心した位置に配置されたものであり、その結果、前記除去チップが前記底を吸引することが防止され、前記液体が前記除去ユニット内に前記隙間を介して流れるようにさせたもの、または、
前記除去チップが接触する前記容器の底を前記除去チップの前記端面に対して傾斜させたもの、または、
前記除去チップの端面が、クラウンの形状で切り込まれたものもしくはスロットが平らな端面に組み込まれたものであることを特徴とし、
前記容器および/または前記除去チップは、前記除去チップが前記容器の底に接触する際に、前記除去チップおよび前記容器の動きの相対方向の方向に回避的な動きができることを確実にするのに適する、補償要素が提供され、
前記補償要素は、アクティブ要素およびパッシブ要素の組み合わせを含み、
前記アクティブ要素は、前記除去チップと前記容器の底との間の接触圧力を測定するセンサーが提供され、
前記パッシブ要素は、スプリング、発泡プラスチックまたはゴム、または他の弾性材を含む群から選択される要素を含むことをさらに特徴とする、前記装置。
【請求項2】
少なくとも1つの補償要素が、ガイドユニットに配置され、該ガイドユニットは、補償要素、容器または除去ユニットを直線路に沿って導くガイド要素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ガイドユニットが、それ自体の壁がガイド要素を形成するスリーブであり、スリーブの長さが、補償要素を受けることができる長さか、または、補償要素を容器または除去ユニットの少なくとも一部と共に受けることができる長さであることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
アクティブ要素が、圧電要素、筋肉線およびモーターを含む群から選択される要素を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
装置が、容器の底と除去ユニットのチップとの間の距離を校正する、キャリブレーション要素を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
チャンネルが壁によって取り囲まれるように形成され、かかる取り囲みの壁によって特徴付けられる端面をその端部に有する除去チップを有する除去ユニットによって、液体で満たされた容器から液体を吸い上げるための方法であって、
前記端面が平面であり、前記容器が、下に凸の湾曲した容器の底を有するものであり、前記除去チップは、前記底の湾曲の頂点に対して偏心した位置に配置され、前記除去チップが前記容器に挿入された場合に前記除去チップが接触する前記容器の底の表面領域および前記除去チップの端面が、少なくとも二つの表面領域の一部内で互いに傾斜するように、すなわちそこで平行するものでないように配置され、その結果、前記除去チップが前記容器の底に接触する際に常に、前記底の対応する領域および前記除去チップの端面間に隙間をもたらし、その結果、前記除去チップが前記底を吸引することが防止され、前記液体が前記除去ユニット内に前記隙間を介して流れるようにさせた、または、
前記除去チップが接触する前記容器の底を前記除去チップの端面に対して傾斜させた、または、
前記除去チップの端面が、クラウンの形状で切り込まれたもしくはスロットが平らな端面に組み込まれたことを特徴とし、
前記容器および/または前記除去チップは、前記除去チップが前記容器の底に接触する際に、前記除去チップおよび前記容器の動きの相対方向の方向に回避的な動きができることを確実にするのに適する、補償要素が提供され、
前記補償要素は、アクティブ要素およびパッシブ要素の組み合わせを含み、
前記アクティブ要素は、前記除去チップと前記容器の底との間の接触圧力を測定するセンサーが提供され、
前記パッシブ要素は、スプリング、発泡プラスチックまたはゴム、または他の弾性材を含む群から選択される要素を含むことをさらに特徴とする、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器から液体を完全に吸い上げるための装置および方法、さらに詳細には、反応容器からピペットを用いて試薬を除去するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に実験室分析の分野の適用においては、異なる方法がしばしば組み合わされる。このような場合、とりわけ、液体を受けるための特別の容器が用いられ、これらの液体が、適用の途中で再び除去される。
進行する自動化のために、ロボットシステム(たとえば、液体ハンドリング自動装置)が、たとえば、最初のプロセスの一つの容器から2番目のプロセスの対応する容器へサンプル抽出物を移動させるために急速に用いられている。
【0003】
液体の移動のためのこれらのシステムは、ほとんどが上から容器内に下げられた除去ユニット(たとえばピペット)を含み、一般に、縦型であって容器から液体を吸い上げる。
除去ユニットは、液体を除去するために液体に浸漬された除去チップを含む。このチップは、液体が流れることができるチャンネルが壁によって取り囲まれているよう成形されている。チャンネルは、除去チップから始まり、除去ユニットを通じて伸びている。
【0004】
チャンネル内に負圧があるときは、液体が容器から吸い上げられる。この方法では、液体は除去される。
除去チップは、その端に、隔壁によって規定された端面を有する。
液体移動のためのこれらの既存のシステムの欠点は、液体が、全く、または少なくともほぼ全くそこに残らないように容器から除去することができないことにある。このために、現在では、とくに容器から少量の液体を除去することができず、または多大な困難性をもってのみ達成することができる。
【0005】
その理由は、定量的に液体を移動させようとする場合、除去ユニットの低すぎる配置のために、除去ユニットの除去チップと容器の底との間に、空気−および液体−密閉シールを形成する危険があるために、常に容器にいくらかの残留量が残存しなければならない。たとえば、一般に、液体を吸い込む際、容器の底に対して、ピペッティングチップを吸引する負圧が形成され、ピペッティングチップに液体が入ることができず、液体の吸い上げが、最初に不可能となるため、ピペッティングチップは、容器の底に接触してはならない。
続くピペッティングチップの上向きの動きによって、負圧は持続されるが、容器の底との接触が解除され、液体が制御されない方法でチップ内へ上昇する。このプロセスでは、液体は、ほとんどの場合において、フィルターにまで吸い上げられ、これはその後の制御された分注を不可能とする。
【0006】
プラスチック材料(ピペッティングチップ、容器)の寸法および形状に関する相違がさらに既存の問題を悪化する。PCRベース分析分野における高感度での用途のために、これまでのあらゆる測定では、感度の損失または全損失をもたらすために、少量の液体の自動化された定量移動が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上記欠点を克服し、容器からの液体の完全な吸い上げに適する装置および方法を提供することにあった。
【0008】
この目的は、請求項に記載の装置および方法によって達成される。
請求項によれば、液体の完全な吸い上げのための装置は、除去チップを備えた除去ユニット、および除去すべき液体を含有する容器を含み、除去チップまたは容器の底が、互いに、該除去チップが容器に挿入された場合に、除去チップが接触する容器の底の表面領域および除去チップの端面が、少なくとも二つの表面領域の一部内で互いに傾斜するように、すなわちそこで平行するものでないように構成または配置されたものである。
この方法では、たとえ、除去チップが容器の底に接触しても、対応する底の領域と除去チップの端面との間で隙間が常に生じ、その結果、除去チップが、底を吸い上げることを防止する。この場合、液体は、除去ユニットへ隙間を介して流れることができる。
【0009】
好ましい、配置または形状は、単独または他と組み合わせて:
−容器の底が、除去チップの端面に対して傾斜するように位置している;
−容器の底が湾曲し、該除去チップは湾曲の頂点に偏心して配置されたものであり;
−除去チップの端面が、除去チップの縦軸に対して斜めであるか、または平面から外れたほかの形状、たとえば、クラウンの形状などである、もしくはスロットが他の平らな端面に組み込まれている。
【0010】
容器が、その底部で湾曲している場合、たとえば、容器を除去ユニットの下に、除去ユニットのチップが湾曲の頂点から、容器の底に短い距離で、すなわち、容器直径の1/5〜1/100で接触するように位置させることが有利である。
【0011】
好ましい一つの態様は、さらに装置が、除去チップが容器に挿入された際に除去チップが容器の底に接触すると、容器または除去チップが、除去チップおよび容器の動きの相対方向の方向に回避的な(evasive)動きをすることができることを確実にするのに適する、少なくとも一つの補償要素を含む。
これは、たとえば、容器および/または除去チップが、弾性的に支持された場合にあてはまる。
好ましい、補償要素は、アクティブまたはパッシブ要素またはアクティブおよびパッシブ要素の組み合わせである。 好ましいパッシブ要素は、スプリングまたは他の弾性材、たとえば弾性プラスチック、たとえば発泡プラスチックまたはゴムである。使用に適したスプリングは、特にらせん状またはリーフスプリングである。
【0012】
パッシブ要素は、容器の底および除去チップに働く圧力の補償を容易におよびさらに制御することなく達成させる点で有利である。除去チップが、容器の底に接触するとき、後者は自動的に弾性補償要素の作用によって回避的な下向きの動きをなし、除去チップは、回避的な上向きの動きをなす。
好ましい、アクティブ要素は、圧電要素、筋肉線(muscle wires)またはモーターであり、好ましくは、それぞれは、力学によって適合されたものであり、除去チップが容器の底に接触した際に、圧力の補償をもたらす。
【0013】
好ましい一つの態様では、これらのアクティブ要素は、接触圧力を測定するセンサーおよび補償要素のふれ(deflection)を制御する制御電子機器を備える。
除去チップと容器の底との間の圧力のアクティブ制御は、傾斜などの不具合を補償することができる点で有利である。
一つの好ましい態様では、補償要素は、市場で入手可能な弾性材から作成される。補償要素は、特に弾性プラスチックまたはスプリングを含む。
【0014】
一つの好ましい態様では、容器は、補償要素上に配置され、好ましくは、垂直またはわずかに傾斜した位置であり、容器は好ましくは、補償要素上に適合された保持装置によって保持されている。
容器は、補償要素または取り外し可能または取り外し可能でない保持装置に結合していてもよい。取り外し可能な結合は、容器を容易に置き換えることができ、たとえば、使い捨て容器を用いることができる利点を有する。
好ましくは、補償要素または保持装置上の容器は、単にそれらの上に置く。
【0015】
第1の好ましい態様では、補償要素は、好ましくは、要素を安全に立たせることを確実にするためにベースプレート上に取り付ける。
さらに好ましい態様では、補償要素は、除去ユニット内または除去ユニット上に直接配置され、全部の除去ユニットが弾性的に取り付けられ、または除去ユニットの壁の一部が弾性材から作られ、もしくは蛇腹(bellows)として構成され、その結果少なくとも除去チップは、弾性的に取り付けられる。
他の好ましい態様では、補償要素は、容器および除去ユニットの両方の上に配置される。
【0016】
傾斜を避けるために、補償要素は、好ましくは、ガイドユニット、たとえば、その上側に少なくとも一つの開口部を有するスリーブ内に配置される。このガイドユニットは、補償要素、保持装置、容器または除去ユニットを直線路に沿って誘導するガイド要素を有する。好ましくは、上記スリーブの壁は、ガイド要素を形成する。
ガイドユニットの長さは、補償要素を受けることができ、好ましくは、保持装置に沿って、特に好ましくは、容器または除去ユニットの少なくとも一部もまた受けることができる。
除去ユニットは、好ましくは、ベースプレートに固定して取り付けられ、とくに、ガイドユニットは、ベースプレートにねじ山でねじで取り付けられる。
【0017】
さらに他の好ましい態様では、補償要素は、除去ユニットによって容器から液体が吸い上げられる際に、容器内の液体量に応じて、除去される液体の量が増加するに従って、容器の底と除去ユニットのチップとの間の距離が減少されるように、容器の底と除去ユニットのチップとの間の相対垂直距離を変化させるのに適する、距離調整要素として構成される。
除去ユニットのチップは、空気を吸い上げるのを防ぐために、常に除去の間、液位の下側に維持すべきである。
除去ユニットが挿入される、液体で満たされた容器を用いる除去プロセスは、この場合以下のようなものである。:
容器の満たされた状態では、容器の底と除去ユニットのチップとの間の距離は、距離調整要素により、その最大となるように調整される。
除去ユニットは、容器から液体を除去する。液体のこの除去のために、除去ユニットは、液体量に応じて、重くなり、容器は軽くなる。さらに液位は、除去ユニット内で上がり、容器内では下がる。
【0018】
除去ユニットが、液体を除去し続けると、この距離は、吸い上げられた液体量に応じて、距離調整要素によって連続的に減少する。このプロセスの間、除去ユニットのチップは、常に、容器の液位の下側に位置しなければならない。
一方では、除去した液体の一つの目安として、吸い上げたまたは容器に維持された液体の重力を用いることができ、他方では、容器内または除去ユニットの液位が用いられる。
除去ユニットのチップは、容器の底に接触すべきでなく、または少なくとも液体がほぼ完全に吸い上げられる前は接触すべきでない。
好ましい距離調整要素は、アクティブまたはパッシブ要素、またはアクティブおよびパッシブ要素の組み合わせである。
【0019】
適するパッシブ要素は、好ましくは、容器内に含まれる液体量の重力によって、容器の底と除去ユニットのチップとの間の距離を、好ましくは容器内に入れられた液体の量の重力を介して調整する。
距離調整要素が容器または除去ユニットの下に配置された場合、パッシブ距離調整要素を用いて、容器の底と除去ユニットのチップとの間の距離の調整は、移動された液体量の重力が常に異なることにより、自動的に達成される。要素容器が軽くなり、自動的に、弾性の距離調整要素によって上向きに押されるか、または除去ユニットが重くなり、自動的に下向きに進む。
【0020】
適するアクティブ要素は好ましくは、容器に含まれるもしくは除去ユニットによって吸い上げられる液体量の重力によってまたはそれらの液位によって容器の底と除去ユニットのチップとの間の距離を制御する。
好ましい態様では、これらの要素は、液体量を測定するセンサーおよび距離調整要素のふれを制御する制御電子機器が取り付けられる。
アクティブな距離調整は、傾斜などの不具合を補償することができる。容器内の液位の高さがセンサーによって測定される場合、このことは、同時に除去ユニットのチップが実際に常に液位の下側にあるか否かを監視することができる、さらなる利点を有する。
【0021】
好ましくは、不均一に形成された(たとえば端部が湾曲した)容器のためのパッシブな距離調整要素は、液量が下がると、除去された液体単位あたりの距離の変化が連続的に小さくなるように、容器が持ち上げられよう構成される。
とくに弾性の態様では、プロセス終わりに効果的なスプリングの力をより弱くすると有利である。これは、異なる強度のスプリングまたは重力あたりの不均一なふれを有する一つのスプリングを提供することによって達成される。
【0022】
装置は、1または2以上の反応容器または除去ユニットのため、同時のまたは連続の除去用に設計することができる。有利な態様では、各サンプル容器または各除去ユニットは個別にいかなる相違をも補償するために支持される。装置は、好ましくは、装置の対応する数の格子状の配置による12−、24−または96−ウェルフォーマットの反応プレートに適用される。
装置は、好ましくは、市場で入手可能な自動装置(液体ハンドラー)またはピペットを用いるマニュアル操作で使用できるように寸法設計される。
装置は、除去ユニットと容器の底との間の距離を、好ましくは、装置の明らかに規定された状態で、校正するキャリブレーション要素を含む。
一つの好ましい態様では、補償要素は、容器の底、とくに、弾性材からなる容器の底に直接一体化され;容器の底は、たとえば発砲されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本願発明の装置の例を図に示す。
【
図1】
図1、AからDは、装置の構成および方法の流れの略図である。
【
図2A-2B】
図2Aおよび2Bは、スプリングに基づく装置の例を示す。
【
図3A-3B】
図3Aおよび3Bは、スプリングに基づくホルダーを有する装置の例を示す。
【
図4A-4B】
図4Aおよび4Bは、アクティブ補償要素を有する装置の例を示す。
【
図5】
図5は、除去ユニット上に補償要素を有する装置の例を示す。
【
図6】
図6は、除去ユニットに一体化された補償要素を有する装置の例を示す。
【
図7】
図7は、一体化された補償要素を有する装置の例を示す。
【0024】
図1(A)では、液体で満たされた容器(1)が上に配置された補償要素(3)が示される。ピペット(2)が液体を除去するために容器内に挿入されている。
例では、ピペットは、ピペットチップが底を吸引するのを防ぐために容器の底の頂点からわずかに偏心した位置に配置される。
図1Bおよび1Cでは、補償要素は、同時に距離調整要素としてはたらく。液体が、ピペット(B)によって容器から除去された場合、容器内の液位および距離調整要素上の液体によって与えられた重力が、下がる。従って、容器は軽くなり、距離調整要素によって上向きに押される。
容器は、容器の底にピペットの先端が接触するまで、押され(C)、または少なくとも、底に対し、非常に近接した距離に配置される(D)。
【0025】
図1Dでは、補償要素は、底に接触する際にピペットの先端によって容器の底に与えられた圧力が、わずかな回避的な下向きの動きをなす容器によって補償されるように働く。
図2Aでは、容器(1)は、補償要素(3)としてのスプリングまたは弾性プラスチック上に直接置かれ、補償要素は、スリーブ(6)の内側、取り付けユニット(8)の上に配置される。
図2Bでは、該スリーブ(6)が、十分な長さを有し、容器が、ガイド要素(7)によって、安全に直線路に沿って誘導されている。さらに、スリーブおよび取り付けユニットがベースプレート(9)上に配置されている。
【0026】
図3Aおよび3Bは、補償要素が、スリーブの底に直接置かれ、装置が保持装置(4)によって保持されていることを除き、
図2Aおよび2Bの構成に対応する。
図4Aおよび4Bでは、容器が、アクティブ補償要素に結合する保持装置(4)によって保持されている。補償要素は、コントロールユニット(5)を有するセンサーによって制御されている。この要素(5)は、
図4Aでは、容器の重力および、
図4Bでは、液位の高さを測定し、ここでは、同時にピペットの先端の浸漬深度を測定し、与えられたプログラムに従って、距離調整要素をふらせる(deflect)。
かかるプログラムは、各重力または各液位の高さに特定のふれを与える簡単な式であってよい。
【0027】
図5は、除去ユニット(ピペット)が下からの除去チップ上に働く圧力が、回避的な上向きの動きによって補償されるように装着された、補償要素(3)を示す。
図6は、その壁のある領域に一体化された補償要素(3)を有する除去ユニット(2)を示す。これは、2成分射出成形法を用いて弾性を有する壁の一部に適応することまたはここで示すように蛇腹として壁の一部に構成することによって達成することができる。
除去ユニット内の負圧を一定または少なくとも均一にしたとき、除去ユニットの下部が吸い上げられる液体量が増加するために連続的に重くなり、;それ故、チップもまた自動的に下がり、すなわち、補償要素が距離調整要素として働く。
【0028】
図7では、その底が、液体に対して十分な機密性を確実にするために内側に密閉された発泡材料から作られた、容器(1)が示される。この発泡材料は、補償要素(3)として働くことができるのに十分な弾力性を有しなければならない。かかる容器は、たとえば2成分射出成形法によって製造することができる。
そのような容器の利点は、使い捨て容器のすでに存在するホルダー内に挿入することができるといったことである。