(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956990
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】渦抑制を有する緩熱器
(51)【国際特許分類】
F22G 5/12 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
F22G5/12 D
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-520713(P2013-520713)
(86)(22)【出願日】2011年6月17日
(65)【公表番号】特表2014-504352(P2014-504352A)
(43)【公表日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】US2011040902
(87)【国際公開番号】WO2012012062
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】12/840,036
(32)【優先日】2010年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591055436
【氏名又は名称】フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ジールハート, テオドア, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブレット, ジョン, グラハム
(72)【発明者】
【氏名】グッドウィン, ジャスティン, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ドイル, ジェシー, クレイトン
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−291907(JP,A)
【文献】
特開昭59−66602(JP,A)
【文献】
特開2004−218985(JP,A)
【文献】
特開2003−21319(JP,A)
【文献】
特開平5−312188(JP,A)
【文献】
特開平5−141045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22G 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩熱器において、
パイプライン内の流体流路に冷却水を提供するための通路を有する本体であって、該本体が第1の端と第2の端との間にて延びる一方、前記本体の前記第1の端がフランジを含み、該フランジが前記本体を前記パイプライン内に延びさせるように前記パイプラインと結合すべく構成されている、本体と、
前記本体の前記第2の端に配置された前記本体の凹部と、
前記パイプラインに前記本体内を通じて開口する少なくとも1つの開口部であって、前記第2の端に隣接した前記凹部に配置されている、少なくとも1つの開口部と、
前記本体の前記第2の端に隣接する渦抑制装置であって、前記流体流路内の流体によって前記緩熱器に伝わる渦の離脱又は流動励起振動を減弱させる又は抑制するために前記流体流路内に配置されるべき渦抑制装置と、
を備え、
前記渦抑制装置は、前記緩熱器の前記本体を横切って流れる流体によって前記緩熱器の前記本体に伝わる渦の離脱及び流動励起振動を減衰させる又は抑制すべく前記本体の外面の周りに延び、
前記渦抑制装置は前記本体の前記外面の周りを不連続構成で延びるべく、前記凹部によって中断されている、緩熱器。
【請求項2】
前記本体が前記フランジを介して前記パイプラインに結合されている、請求項1に記載の緩熱器。
【請求項3】
前記本体が前記フランジと前記本体の前記第2の端との間にテーパしていない外形を含む、前記請求項2に記載の緩熱器。
【請求項4】
前記本体が前記流体流路に対して実質的に垂直に吊り下げられている、前記請求項1〜3の何れかに記載の緩熱器。
【請求項5】
前記渦抑制装置が前記本体の前記第2の端に隣接する螺旋状側板を備える、前記請求項1〜4の何れかに記載の緩熱器。
【請求項6】
前記螺旋状側板が前記本体と一体である、前記請求項5に記載の緩熱器。
【請求項7】
前記渦抑制装置がスプラインの表面を備える、前記請求項1〜4の何れかに記載の緩熱器。
【請求項8】
前記スプラインの表面が前記本体に沿って軸線方向に延びる複数のスプラインによって形成されている、前記請求項7に記載の緩熱器。
【請求項9】
前記渦抑制装置が前記本体の前記第2の端に隣接する複数の突き出る面を含む、前記請求項1〜4の何れかに記載の緩熱器。
【請求項10】
前記複数の突き出る面が球状の形状にされた突起を備える、前記請求項9に記載の緩熱器。
【請求項11】
前記流体が過熱蒸気を含む、前記請求項1〜10のいずれかに記載の緩熱器。
【請求項12】
パイプラインに結合されるべき緩熱器において、
本体であって、該本体の第1の端のフランジとその凹部に位置付けられた少なくとも1つの開口部との間に延びる通路を有し、前記凹部が前記本体の第2の端に隣接していて、前記本体が前記パイプライン内の流体の流れに実質的に垂直で且つ前記少なくとも1つの開口部が流体の流れに実質的に平行となるように、前記緩熱器が前記本体の前記フランジを介して前記パイプラインに結合されたときに前記本体が前記流体の流れ内に吊り下げられる、本体と、
前記第2の端及び前記凹部に隣接して前記本体に一体に形成されているともに前記本体の外面に沿って配置され、前記緩熱器の前記本体を横切って流れる流体によって前記緩熱器の前記本体に伝わる渦の離脱及び渦励起振動を減弱させる又は抑制するための渦抑制装置であって、前記本体の前記外面の周りを不連続構成で延びるべく前記凹部によって中断された渦抑制装置と、
を備える緩熱器。
【請求項13】
前記通路が前記流体流路に冷却水を提供するためのものである、請求項12に記載の緩熱器。
【請求項14】
前記渦抑制装置が溶接部を備えて前記本体に結合されている、前記請求項12〜13のいずれかに記載の緩熱器。
【請求項15】
前記渦抑制装置が螺旋状側板を備える、前記請求項12〜14のいずれかに記載の緩熱器。
【請求項16】
前記渦抑制装置が軸線方向又は螺旋状の複数のスプラインを備える、前記請求項12〜14のいずれかに記載の緩熱器。
【請求項17】
前記渦抑制装置が前記本体の前記第2の端に隣接する複数の突き出る面を含む、前記請求項12〜14のいずれかに記載の緩熱器。
【請求項18】
前記複数の突き出る面が球状の形状にされた突起を備える、前記請求項17に記載の緩熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に緩熱器に関し、より詳細には渦抑制を有する緩熱器に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気供給システムは、典型的に、下流の機器の最高許容使用温度を上回る比較的高い温度(例えば、飽和温度を上回る温度)を有する過熱蒸気を生じる又は発生させる。幾つかの状況では、下流の機器の最高許容使用温度を上回る温度を有する過熱蒸気は、下流の機器を損傷させる可能性がある。
【0003】
したがって、蒸気供給システムは、典型的に、緩熱器から下流の流体又は蒸気の温度を低下させる又は制御するために緩熱器を採用する。幾つかの公知の緩熱器(例えば、挿入式緩熱器)は、通路(例えば、パイプライン)内を流れる蒸気の流体流路に対して実質的に垂直に吊下げられる又は配置される本体部を含む。緩熱器は、緩熱器から下流に流れる蒸気の温度を低下させるために、蒸気の流れの中に冷却水を注入する又は噴霧する通路を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、幾つかの用途では、過熱蒸気は、流体流路を通して比較的高い速度で流れ、流体流路内に置かれた緩熱器の本体を横切る非定常流を経験する可能性がある。こうした高い速度又は非定常流は、渦の離脱を引き起こして、結果的に緩熱器の本体に伝わる渦励起振動及び/又は揚力をもたらす可能性があり、これは本体を振動させる可能性がある。特に、幾つかの状況では、緩熱器の本体の固有振動数と実質的に同様の又は同一の振動数で共振する渦励起振動は、緩熱器を破損させ又はそうでなかったら損傷させて、それにより緩熱器の動作寿命を減らす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの例では、例となる緩熱器は、
パイプライン内の流体流路に冷却水を提供するための通路を有する本
体であって、
該本体が第1の端と第2の端との間
にて延びる
一方、前記本体の前記第1の端がフランジを含み、該フランジが前記本体を前記パイプライン内に延び
させるよう
に前記パイプライン
と結合すべく構成されている、本
体と、
該本
体の前記第2の端に配置された
前記本体の凹部と、
前記パイプラインに前記本
体内を通じて開口する少なくとも1つの開口部であって、前記第2の端に隣接した前記凹部に配置されている、少なくとも1つの開口部と、
前記本体の前記第2の端に隣接する渦抑制装置とを含む。
該渦抑制装置は、流体流路内の流体によって緩熱器に伝わる渦の離脱又は流動励起振動を減弱させる又は抑制するために流体流路内に配置され、そして、渦抑制装置は
前記緩熱器の前記本体を横切って流れる流体によって前記緩熱器の前記本体に伝わる渦の離脱及び流動励起振動を減衰又は抑制すべく前記本
体の周りに延び、前記本体の周りに不連続構成で延びるべく、前記凹部によって中断されている。
【0006】
別の例では、パイプラインに結合されるべき緩熱器は、
本体であって、該本体の第1の端のフランジと前記本体の凹部に位置付けられた少なくとも1つの開口部との間に延びる通路を有し、前記凹部が前記本体の第2の端に隣接していて、前記本体がパイプライン内の流体の流れに実質的に垂直で且つ前記少なくとも1つの開口部が流体の流れに実質的に平行となるように、緩熱器が前記本体の前記フランジを介して前記パイプラインに結合されたときに前記本体が流体の流れ内に吊り下げられる、本体と、
前記第2の端及び前記凹部に隣接して前記本体に一体に形成されているとともに前記本体の外面に沿って配置され、前記本体を横切って流れる流体によって緩熱器の前記本体に伝わる渦の離脱
及び渦励起振動を減弱させる又は抑制するための渦抑制装置であって、前記本体の前記外面の
周りに不連続構成で延びるべく、前記凹部によって中断された渦抑制装置とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】公知の緩熱器と共に実装される流体システムを例証する図である。
【
図2A】本明細書で説明される渦抑制を有する例となる緩熱器と共に実装される流体システムを例証する図である。
【
図3】本明細書で説明される別の例となる緩熱器を例証する図である。
【
図4】本明細書で説明されるまた別の例となる緩熱器を例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で説明される例となる緩熱器は、渦の離脱によって生じる渦励起振動を著しく減らす又はなくすために渦抑制を提供し、これにより、緩熱器の動作寿命を増加させる。本明細書で説明される例となる緩熱器は、比較的高い速度(例えば、300フィート/秒)で緩熱器を横切って流れる過熱蒸気によって引き起こされる場合がある渦励起振動を著しく減らすために、蒸気供給システムと共に使用されてもよい。
【0009】
特に、本明細書で説明される例となる緩熱器は、緩熱器の本体の端に隣接する渦抑制器を含む。渦抑制器は、渦の離脱を抑制し又は著しく減らして、共振渦励起振動及び関連する定常抗力の大きさを変え又は減弱させ、及び/又は渦列(例えば、二次元渦列又は後流(wake))の生成を途絶させる又は防ぐ。
【0010】
幾つかの例では、渦抑制器は、緩熱器の本体と一体に形成される。これらの例では、渦抑制器は、流体が緩熱器の本体を横切って流れる際にそうでなければ発現する可能性がある渦の離脱を抑制する又は著しく減らすために、螺旋状側板(helical strake)、複数のリブ、スプライン、複数の突き出る面(例えば、曲面)、複数の孔、及び/又は任意の他の適切な幾何学的形状又は形状を含んでもよい。緩熱器及び/又は渦抑制器は、金属(例えば、ステンレス鋼)で作製されてもよく、渦抑制器は、例えば、機械加工、溶接、鋳造、及び/又は任意の他の適切な製造プロセス(単数又は複数)により緩熱器の本体と共に形成され又はこれに結合されてもよい。
【0011】
図1は、公知の緩熱器102と共に実装される例となる流体供給システム100(例えば、蒸気供給システム)を例証する。図のように、緩熱器102は、パイプライン104の第1の側部又は入口110と第2の側部又は出口112との間でフランジ106及び108を介してパイプライン104に結合される。過熱流体(例えば、蒸気、アンモニアなど)は、緩熱器102の本体114を横切って入口110と出口112との間に比較的高い速度で流れる。
【0012】
図のように、本体114は、第1の端118と第2の端120との間の流体通路116を含む。この例では、本体114は、円筒形の形状にされた本体(例えば、ブラッフ(bluff)ボディ)である。第1の端118は、緩熱器102をパイプライン104に結合するためにフランジ106及び108の間に配置されるフランジ部122を含む。図のように、パイプライン104に結合されるときに、本体114は、流体流路124を通して流れる過熱流体の方向に対して実質的に垂直に流体流路124内に吊り下げられる。言い換えれば、本体114の第2の端120は、パイプライン104に固定されず又はそうでなければ結合されており、作動中に縦軸126に対して撓み、屈曲し、及び/又は動いてもよい。
【0013】
作動時に、過熱流体は、過熱温度(例えば、流体の飽和温度よりも高い温度)で入口110と出口112との間に比較的高い速度で緩熱器102の本体114を横切って流れる。緩熱器102は、出口112での過熱流体の温度を(例えば、過熱流体の飽和温度付近に)冷却する又は低下させるために、通路116及び開口部128を介して流体流路124の中に冷却水を注入する又は噴霧する。こうした冷却は、出口112から下流の機器の損傷を防ぐのに必要とされる場合がある。
【0014】
しかしながら、本体114が流体流路124内に配置されるので、過熱流体の速度及び/又は圧力が本体114の一部の上で変わる又は変動する可能性がある。こうした圧力及び/又は速度の変化又は変動は、過熱流体が緩熱器102の本体114を横切って流れる際に、乱流又は非定常流(例えば、比較的高いレイノルズ数を有する流体の流れ)を発現させる可能性がある。過熱流体が比較的高い速度を有する厳しい用途では、非定常流は、本体114の大部分の上で分離された又は剥離された流れを発生させることがあり、これは渦の離脱を引き起こすことがある。
【0015】
渦の離脱は、本体114から下流に渦列(例えば、二次元渦列又は後流)を有する流体の流れ場を生じる可能性があり、これは本体114に伝わることになる変動する圧力又は振動(例えば、乱流)を誘起する又は引き起こす。過熱流体の流れの速度が増加するのに伴い、流体の流れに実質的に垂直な本体114の各側部上で渦が交互に(例えば、非対称に)離脱される。加えて、非対称な渦の離脱は、作動中に本体114を揺動(oscillate)させ又は振動させることがある離散振動数又は離脱振動数を有する揺動する流れ特徴をしばしば発現させる又は生じる。
【0016】
これらの渦又は揺動する流体の流れは、緩熱器102の本体114に伝わる有害な周期的力又は振動を生じることがある。例えば、こうした力は、本体114に対して伝わる過度の振動及び/又は揚力を生じることがある。幾つかの状況では、緩熱器102の本体114の固有振動数と実質的に同様の又は同一の渦の離脱振動数は、本体114を乱暴な様態で振動させ又は揺動させる共振振動を生じて、本体114を破壊し、破損させ、及び/又はそうでなかったら損傷させる。
【0017】
図2Aは、本明細書で説明される例となる緩熱器202と共に実装される例となる流体の流れシステム200を例証する。
図2Bは、
図2Aの例となる緩熱器202を例証する。
図1の緩熱器102とは異なり、緩熱器202は、渦の離脱を抑制する又は著しく減らす、したがって、比較的高い速度(例えば、350フィート/秒)で緩熱器202を横切って流れる流体(例えば、過熱蒸気、過熱アンモニアなど)によって引き起こされる場合がある渦励起振動を減らすために、渦抑制器又は渦抑制装置204を含む。
【0018】
この例では、緩熱器202は、流体流路又は通路208を提供する流体パイプライン206に結合される。例えば、流体の流れシステム200は、熱回収システム発電機、ボイラ段間温度調整システム、又は任意の他の流体システムであってもよい。図のように、緩熱器202は、パイプライン206の入口又は第1の側部210aとパイプライン206の出口又は第2の側部210bとの間に配置される。入口210aは、第1の蒸気源(例えば、過熱器、蒸気タービンの出口)に流体的に結合されてもよく、出口210bは、例えば蒸気タービンのような下流の機器に流体的に結合されてもよい。例となる緩熱器202は、緩熱器202が高い熱サイクル及び応力、高い流体流速、及び/又は流動励起振動又は渦励起振動に曝される場合がある厳しいサービス用途で使用されてもよい。
【0019】
図2A及び
図2Bを参照すると、緩熱器202は、本体212の第1の端216と凹部又は平坦部220に配置され本体212の第2の端222に隣接する少なくとも1つの開口部218aとの間のチャネル又は通路214を有する本体212を含む。図のように、本体212は、概して細長い円筒形本体であり、開口部218aと別の開口部218bとを含む。本体212と通路214は、軸226に実質的に平行(すなわち、流体の流れに実質的に垂直)であり、開口部218a、218bのそれぞれは、軸226に実質的に垂直(すなわち、流体の流れに実質的に平行)な軸228を有する。加えて、開口部218a、218bは、それぞれ、冷却される流体(例えば蒸気)の中に冷却液(例えば水)を噴霧するように構成されてもよいノズル(図示せず)を受け入れてもよい。加えて又は代替的に、図示されないが、本体212は、第1の端216と第2の端222との間のテーパした外形を含んでもよい。
【0020】
本体212の第1の端216は、緩熱器202をパイプライン206に結合するためにフランジ230を含む。フランジ230は、本体212に溶接されてもよく、又は、例えば、鋳造、機械加工、又は任意の他の適切な製造プロセス(単数又は複数)により本体212と一体に形成されてもよい。また、図のように、パイプライン206のフランジ234を介して緩熱器202をパイプライン206に結合するために、取付フランジ232がフランジ230及び/又は本体212と一体に形成される。ファスナ236が、取付フランジ232とパイプライン206のフランジ234を結合する。しかしながら、他の例では、取付フランジ232は別個の部品であってもよく、本体212のフランジ230がフランジ232とパイプライン206のフランジ234との間に配置され又は取り付けられてもよい。取付フランジ232は、本体212のフランジ230を受け入れるためにガスケット及び/又は凹部(図示せず)を含んでもよい。パイプライン206に結合されるときに、本体212は、流体流路208内に吊り下げられ、作動中に縦軸226に対して撓む又は動く(例えば、僅かに動く又は振動する)可能性がある。言い換えれば、本体212の第2の端222はパイプライン206に結合又は固定されない。緩熱器202は、流体の流れに実質的に垂直に流体流路208内に挿入される又は配置される挿入型緩熱器である。
【0021】
通路214への冷却液の流れを制御するために、本体212の通路214の入口240に制御弁238(例えば、スライド式ステムバルブ)が流体的に結合される。弁取付フランジ244が、例えば溶接により取付フランジ232に結合される。
【0022】
図2A及び
図2Bに示すように、渦抑制装置204が、第2の端222及び凹部220に隣接して(例えば、機械加工により)本体212と一体に形成される。例えば、渦抑制装置204は、金属(例えば、ステンレス鋼)の棒材又はブロックを機械加工することによって本体212と一体に形成されてもよい。他の例では、渦抑制装置204は、鋳造、溶接、又は任意の他の適切な製造プロセス(単数又は複数)により本体212と共に形成され又はこれに結合されてもよい。例えば、渦抑制装置204は、溶接又は任意の他の適切な締結機構(単数又は複数)により本体212に結合されてもよい。
【0023】
本体及び/又は渦抑制装置204は、炭素鋼(例えば、ASTM SA105、ASTM WCCなど)、合金鋼(例えば、ASTM F91、ASTM C12Aなど)、ステンレス鋼(例えば、ステンレス鋼316)、及び/又は任意の他の適切な材料(単数又は複数)からなってもよい。この例では、渦抑制装置204は本体212と同じ材料からなるが、他の例では、渦抑制装置204と本体212は異なる材料からなってもよい。
【0024】
図2A及び
図2Bの渦抑制装置204は、複数の螺旋状側板を含む。この例で示されるように、渦抑制装置204は、例えば炭素鋼又はステンレス鋼からなる螺旋状側板246a〜246c(又はコルクスクリュ構成)を含む。螺旋状側板246a〜246cは、第2の端222に隣接して本体212の一部に沿って配置され、本体212の外面248の周りに不連続構成で巻きつけられる(例えば、凹部220によって中断され又は切り離される)。しかしながら、他の例では、螺旋状側板246a〜246cは、本体212の外面248及び/又は凹部220の周りに連続する様態で巻きつけられてもよい。例えば、螺旋状側板は、本体212の外面248及び/又は開口部218a、218bの間の凹部220上に配置されてもよい。渦抑制装置204は、任意の厚さ又はサイズを有する任意の数の螺旋状側板を含んでもよく、非線形の又は実質的に平滑でない外面248を提供して渦の離脱を抑制し又は著しく減らし、したがって、作動中に流体が本体212を横切って流れる際の渦励起振動又は揺動の生成を途絶させ又は防ぐために、本体212の外面248から任意の距離だけ突き出してもよい。
【0025】
例えば、螺旋状側板の数は、本体212の外径のファクタ又は比率によって決定されてもよい。図のように、渦抑制装置204は、互いに対して概して平行な3つの螺旋状側板246a〜246cを含む。螺旋状側板246a〜246cのピッチは、例えば、本体212の外径の約3.5から5倍までの間であってもよく、高さは、例えば、本体212の外径のおよそ0.1倍であってもよい。他の例では、螺旋状側板246aは、螺旋状側板246b及び/又は246cとは異なるピッチ及び/又は高さを有してもよい。螺旋状側板246a〜246cは、機械加工により本体212と一体に形成されてもよく、又は螺旋状側板246a〜246cは、本体212に溶接される別個の部品であってもよい。他の例では、
図3及び
図4に示すように、渦抑制装置204は、渦の離脱、したがって、本体212に伝わる渦励起振動又は揺動を抑制する又は減らすために、任意の他の適切な形状又は表面を含んでもよい。
【0026】
作動時には、過熱流体(例えば、過熱蒸気、過熱アンモニアなど)が、パイプライン206の入口210aと出口210bとの間に比較的高い速度(例えば、350フィート/秒)及び比較的高い温度(例えば、華氏約1100度及び華氏約1300度の温度範囲)で緩熱器202を横切って流れる。過熱流体が入口210aと出口210bとの間に緩熱器202の本体212を横切って流れる際に、緩熱器202は、出口210bでの過熱流体の温度を、例えば、過熱流体のほぼ飽和温度に低下させる又は制御するために、緩熱器202を横切って流れる過熱流体の中に冷却液(例えば、水)を注入する又は噴霧する。特に、緩熱器202は、霧状にされた冷却液(例えば、冷却水)の液滴を通路214及び開口部218a、218bを介して流体流路208の中に注入する又は噴霧する。冷却液は、過熱流体からエネルギーを取り出しながら蒸発して、過熱流体の温度を、例えば、過熱流体の飽和温度(例えば、蒸気の飽和温度)の近くに低下させる。
【0027】
冷却速度は、液滴のサイズ、液滴の分布、及び/又は冷却液の速度によって制御されてもよく、流体流路208内の過熱流体の温度(例えば、蒸気)は、制御弁238を介して冷却液の流量を変えることによって制御されてもよい。さらに、制御弁238は、パイプライン206の出口210bで流れる過熱流体の温度を示す下流のセンサからの信号を受信するためにコントローラを含んでもよい。センサによって感知された温度に基づいて、制御弁238は、通路214及び開口部218a、218bを介して流体流路208の中に流れる冷却液の流量を調節し又は制御して出口210bでの過熱流体の温度を制御するために、制御弁のアクチュエータを動かす。上で述べたように、こうした過熱流体の冷却は、出口210bから下流の機器(例えば、蒸気タービン)の損傷を防ぐために必要とされる場合がある。
【0028】
流体が比較的高い速度で緩熱器202の本体212を横切って流れる際に、渦抑制装置204が、渦の離脱を抑制し又は著しく減らして、過熱流体が緩熱器202の本体212を横切って流れる際にそうでなければ発現する可能性がある非定常流を途絶させる。上で述べたように、非定常流(例えば、比較的高いレイノルズ数を有する流体の流れ)は、渦の離脱を引き起こして、結果的に本体212から下流に渦列を有する流体の流れ場を生成する可能性がある。こうした渦列は、揺動する流れ又は渦励起振動を生じる可能性があり、これは、緩熱器202の本体212に伝わる有害な周期的力を生じる可能性がある。
【0029】
しかしながら、渦抑制装置204は、渦の離脱を途絶させ又は減らして、緩熱器202の本体212から下流の渦列の生成を防ぐ又は減弱させる。結果として、渦抑制装置204は、そうでなければ緩熱器202の本体212に伝わる可能性がある渦励起振動又は揺動する流れを減らす。過熱流体が本体212を横切って流れる際に、渦抑制装置204は、渦が交互に又は非対称に離脱する若しくは流体流路に実質的に垂直な本体212のいずれかの側部上に生成するのを著しく減らす又は防ぐ。言い換えれば、渦抑制装置204は、過熱流体が本体212を横切って流れる際に本体212に対する境界層の剥離又は分離を促進する。
【0030】
より詳細には、渦抑制装置204又は螺旋状側板246a〜246cは、流体の流れにおける渦離脱振動数を減らし又は変化させて、緩熱器202の本体212に対する流動励起振動又は渦励起振動の影響及び関連する揚力を緩和する。このように、渦抑制装置204又は螺旋状側板246a〜246cは、緩熱器202の本体212の固有振動数又は揺動と実質的に同様の又は同一の渦の離脱振動数又は揺動間の共振状態の発現を妨げる。結果として、緩熱器202は、本体212を破壊する、破損させる、クラックを生じる、及び/又はそうでなければ損傷させることがある渦の離脱振動数と本体の固有振動数との間の共振状態又は共振振動を防ぎ、これにより、緩熱器202の動作寿命を増加させる。
【0031】
図3は、
図2A及び
図2Bの例となるシステム200を実装するのに用いられてもよい別の例となる緩熱器300を例証する。緩熱器300は、渦の離脱及び/又は渦励起振動を減弱させる又は減らすために、別の例となる渦抑制器又は装置302を含む。
図2A及び
図2Bの上記で説明された例となる緩熱器202のコンポーネントと実質的に同様の又は同一の、且つそれらのコンポーネントの機能と実質的に同様の又は同一の機能を有する、
図3の例となる緩熱器300のコンポーネントは、
図2A及び
図2Bとの関連で説明されたコンポーネントと同じ参照番号で参照されることになり、以下で再び詳細に説明されないであろう。代わりに、関心ある読者は、
図2A及び
図2Bに関連した上記の対応する説明を参照されたい。
【0032】
渦抑制器又は装置302は、第2の端222及び凹部220に隣接して本体212に沿って配置される。この例では、渦抑制装置302は、本体212の第2の端222に隣接して配置された複数のリブ又はスプライン304を含む。例えば、複数のリブ又はスプライン304は、スプラインをもつ端を形成し又は画定してもよい。複数のリブ又はスプライン304は、等距離又は不規則な変化する距離のいずれかの間隔をおいて本体212の外面306の周りに連続的に配置されてもよい。他の例では、複数のリブ304は、本体212の軸226に対して角度をつけられ又は傾斜され、若しくは本体212の外面306の周りに巻きつけられ(例えば、螺旋に巻きつけられ)てもよい。複数のリブ又はスプライン304は、機械加工又は任意の他の適切な製造プロセス(単数又は複数)により形成されてもよい。
【0033】
図4は、
図2A及び
図2Bの例となるシステム200を実装するのに用いられてもよい別の例となる緩熱器400を例証する。緩熱器400は、渦の離脱及び/又は渦励起振動を減弱させる又は減らすために、別の例となる渦抑制器又は装置402を含む。
図2A及び
図2Bの上記で説明された例となる緩熱器202のコンポーネントと実質的に同様の又は同一の、且つそれらのコンポーネントの機能と実質的に同様の又は同一の機能を有する、
図4の例となる緩熱器400のコンポーネントは、
図2A及び
図2Bとの関連で説明されたコンポーネントと同じ参照番号で参照されることになり、以下で再び詳細に説明されないであろう。代わりに、関心ある読者は、
図2A及び
図2Bに関連した上記の対応する説明を参照されたい。
【0034】
この例では、渦抑制装置402は、本体212の第2の端222及び凹部220に隣接して配置された複数の突起又は凸面404を含む。例えば、複数の突起又は凸面404は、本体212の外面406から離れるように延びる球状の形状にされた又は円形の形状にされた突起であってもよい。隆起面404は、任意の半径及び/又は曲率半径(例えば、線形、一定、又は可変)を有してもよく、本体212の外面406の周りに等距離又は変化する距離をおいて配置されてもよい。複数の突起又は凸面404は、機械加工、鋳造、又は任意の他の適切な製造プロセス(単数又は複数)により形成されてもよい。他の例では、渦抑制器402は、流体流路(
図2Aの流体流路208)内の渦の離脱、したがって渦励起振動を抑制するために、複数の凹面又は開口部若しくは任意の他の適切な形状を含んでもよい。
【0035】
加えて、本明細書で説明される例となる緩熱器202、300、又は400は、工場で組み込まれるオプションとして提供されてもよく、又は代替的に、現地で既存の流体システム(例えば、
図2Aの流体システム200)に後付けすることができる。
【0036】
或る例となる方法及び装置が本明細書で説明されているが、この特許の適用範囲はそれに限定されない。これに対して、この特許は、文言どおりに又は均等論の下で付属の請求項の範囲内に公正に入るすべての方法、装置、及び製造品を包含する。