特許第5956993号(P5956993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956993
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】リニアモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   H02K41/03 A
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-526997(P2013-526997)
(86)(22)【出願日】2011年8月4日
(65)【公表番号】特表2014-504129(P2014-504129A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】KR2011005725
(87)【国際公開番号】WO2012026685
(87)【国際公開日】20120301
【審査請求日】2014年6月12日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0081522
(32)【優先日】2010年8月23日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】313016417
【氏名又は名称】コベリ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】514056908
【氏名又は名称】キム ホンチュン
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】キム ホンチュン
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−172284(JP,U)
【文献】 特開平11−308850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子側と界磁側を有するリニアモータにおいて、
前記電機子側は複数の電機子モジュールを有するとともに、前記界磁側はそれぞれ複数の永久磁石を備える一つ以上の永久磁石モジュールを有し、
前記各電機子モジュールは電機子鉄心、当該電機子鉄心から突出し前記永久磁石モジュールの数よりも一つ多い数の複数の磁極と、前記複数の磁極の数と同数のコイルを有し、前記各磁極に電流が流れる前記コイルが巻かれ、前記コイルは、隣接する前記電機子モジュールの前記磁極に個に巻かれ
前記永久磁石モジュールは、前記電機子鉄心に向かって突出して前記複数の極間に置かれ、前記複数の磁極の間には一列前記複数の永久磁石が配置され、前記リニアモータの進行方向に前記複数の永久磁石が反対磁極になるように配置され、
進行磁界による推力が生成される所定の位相差を持つ電圧が前記各電機子モジュールの前記コイルに印加され、前記電機子側又は前記界磁側のいずれかが可動子に、残りは固定子となり、前記の生成された推力によって互いに相対的に移動することを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
電機子側と界磁側を有するリニアモータにおいて、
前記電機子側は複数の電機子モジュールを有するとともに、前記界磁側はそれぞれ複数の永久磁石を備える複数の永久磁石モジュールを有し、
前記各電機子モジュールは電機子鉄心、当該電機子鉄心から突出し前記複数の永久磁石モジュールの数よりも一つ多い数の複数の磁極と、前記複数の磁極の数と同数のコイルを有し、前記各磁極に電流が流れる前記コイルが巻かれ
前記複数の永久磁石モジュールは、前記電機子鉄心に向かって突出して前記複数の極間に置かれ、前記複数の磁極の間には一列前記複数の永久磁石が配置され、前記リニアモータの進行方向に前記複数の永久磁石が反対磁極になるように配置され、
進行磁界による推力が生成される所定の位相差を持つ電圧が前記各電機子モジュールの前記コイルに印加され、前記電機子側又は前記界磁側のいずれかが可動子に、残りは固定子となり、前記可動子と前記固定子が互いに相対的に移動し、前記界磁側が、前記複数の永久磁石モジュールを接続する接続部を有していることを特徴とするリニアモータ。
【請求項3】
電機子側と界磁側を有するリニアモータにおいて、
前記電機子側は複数の電機子モジュールを有するとともに、前記界磁側はそれぞれ複数の永久磁石を備える一つ以上の永久磁石モジュールを有し、
前記各電機子モジュールは電機子鉄心、当該電機子鉄心から突出し前記永久磁石モジュールの数よりも一つ多い数の複数の磁極と、前記複数の磁極の数と同数のコイルを有し、前記各磁極に電流が流れる前記コイルが巻かれ
前記永久磁石モジュールは、前記電機子鉄心に向かって突出して前記複数の極間に置かれ、前記複数の磁極の間には一列に前記複数の永久磁石が配置され、前記リニアモータの進行方向に前記複数の永久磁石が反対磁極になるように配置され、
進行磁界による推力が生成される所定の位相差を持つ電圧が前記各電機子モジュールの前記コイルに印加され、前記電機子側又は前記界磁側のいずれかが可動子に、残りは固定子となり、前記可動子と前記固定子は互いに相対的に移動し、前記複数の磁極が前記電機子鉄心から同じ方向に突出していることを特徴とするリニアモータ。
【請求項4】
請求項3において、
前記界磁側は、複数の前記永久磁石モジュールを接続する接続部を有し、
前記複数の永久磁石モジュールが、前記電機子鉄心に向かって前記接続部から突出することを特徴とするリニアモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線運動を発生させるリニアモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に線形電動機、すなわちリニアモータは、直線状に対向する可動子と固定子の間に推力が発生する構造になっている。永久磁石形リニアモータは、可動子と固定子のいずれか一方に固定磁石を置いて、もう一方に多相電力を送り、両者間に電磁力が作用して一定方向に推力が発生するようにする。
【0003】
従来のリニアモータは、回転モータを展開して直線上に広げて配置した構造であるため、電機子鉄心の磁極と永久磁石の間には強力な磁気吸引力が発生する。そのためシステムの機械的な組み立て精度が下がり、一定の空隙を維持する案内機構での負担が大きくなるという問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解決するために考案されたものである。本発明の目的は、平板形リニアモータの磁気吸引力の問題を解消し、推力を発生させる電機子側の磁極とこれに対向する永久磁石の間の空隙の有効面積を広げることで、高効率のリニアモータを提供することと、界磁側である永久磁石自体の荷重によるたわみを解決し、長距離輸送が可能なリニアモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような目的を達成するための本リニアモータは、電機子側と界磁側を有するように構成され、上記の電機子側は、複数の電機子モジュールを有し、各電機子モジュールは、電機子鉄心、上記の電機子鉄心から突出する複数の磁極とコイルを有し、一部またはすべての磁極及び磁極の間の電機子鉄心に同じ位相の電流が流れるコイルが巻いてある。
【0006】
上記の界磁側は、複数の永久磁石を含む一つ以上の永久磁石モジュールを有し、上記の永久磁石モジュールは、上記の電機子鉄心に向かって突出して両磁極の間に置かれ、リニアモータの進行方向に隣接する永久磁石が互いに反対磁極になるように配置され、S個の電機子モジュールとP個の永久磁石を一単位とする。進行磁界による推力が生成されるよう、所定の位相差を持つ電源が各電機子モジュールのコイルに印加され、上記の電機子側または上記の界磁側のいずれかが可動子と固定子になって、生成された推力によって相対的に移動することを特徴とする。
【0007】
一実施例では、各電機子モジュール内に隣接する磁極の磁極性が互いに反対磁極になるようにコイルが巻かれ、永久磁石モジュール内の各永久磁石は、進行方向と垂直な方向に隣接する、他の永久磁石モジュールに含まれる永久磁石と磁極性が反対になっている。
【0008】
一実施例では、上記の永久磁石モジュールでの永久磁石の磁化方向は、対応する二つの磁極に向いている。
【0009】
一実施例では、上記の永久磁石モジュールで磁束が通過する永久磁石の断面は、長方形または平行四辺形であることができる。
【0010】
一実施例では、少なくとも一つの永久磁石モジュールの永久磁石の進行方向への位置オフセットが、他の永久磁石モジュールの位置オフセットと違うが、上記の永久磁石の進行方向における幅よりも小さい範囲で異なる場合がある。
【0011】
一実施例では、上記の界磁側は、複数の永久磁石モジュールを接続する接続部を含み、上記の接続部には、永久磁石モジュールを固定するための溝部が進行方向に長く配置され、上記の永久磁石モジュールには接続の溝部に取り付けのための突起部が進行方向に長く配置され、上記の永久磁石モジュールの突起部と、上記の連結部の溝部がスライディング方式で結合する。
【0012】
一実施例では、上記の永久磁石モジュールの数は、上記の磁極の数と同じか小さい場合もある。
【0013】
一実施例では、上記の電機子鉄心は、円形のリングまたは多角形のリング形状であり、4つ以上の偶数の磁極が点対象または線対称に上記の電機子鉄心から突出して、上記の永久磁石モジュールの数は、上記の磁極の数と同じにする。
【0014】
一実施例では、上記の電機子鉄心は、上記の界磁側を包み込む形の弧形状で線対称であり、上記の磁極が線対称に上記の電機子鉄心から突出して、上記の永久磁石モジュールの数は、上記の磁極の数より一つ小さい場合もある。
【0015】
一実施例では、上記の磁極とそれに対応する永久磁石間の間隔が、磁極と永久磁石が対面する面全体で一定になるように、磁極の端部で進行方向と垂直な断面が二つの放射状方向の直線を含むことあるが、上記のコイルは、上記の磁極の端部と電機子鉄心の間に巻かれることがある。
【0016】
一実施例では、複数の磁極が上記の電機子鉄心から同じ方向に突出して、上記の永久磁石モジュールの数は、上記の磁極の数より一つ小さい場合もある。
【0017】
上記の界磁側は、上記の複数の永久磁石モジュールを接続する接続部を有し、永久磁石モジュールは、上記の電機子鉄心に向かって上記の接続部から突出する。
【0018】
一実施例では、上記の電機子側または上記の界磁側の長さは上記のS個の電機子モジュールとP個の永久磁石のセットで構成される長さよりも長い。
【0019】
一実施例では、上記の電機子モジュールの磁性体は、積層される形である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施例によるリニアモータは、片面式リニアモータで一般的に発生する磁気吸引力により支持機構が摩耗されるという問題を解決することができ、小さなサイズで大容量の推力や早送り速度を得ることができる。また、各要素がモジュール化されているので、組み立てが容易で、様々な形態に変形が可能になる利点がある。
【0021】
また、本発明の実施例によるリニアモータは、界磁側の荷重によるたわみの問題を解決し、長距離輸送にも使用可能になる利点がある。
【0022】
また、本発明の実施例によるリニアモータは、界磁側の重量を減らし、組み立て効率を高められる利点がある。
【0023】
また、本発明の実施例によるリニアモータは、推力のリップルを低減できる利点がある。
【0024】
また、本発明の実施例によるリニアモータは、製造精度を上げることができ、金型のコストも削減できるようにする利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、界磁側にある永久磁石が内部にあり、電機子側にある電機子が外にある内部磁石形リニアモータの電機子モジュールの例を示したものである。
図2図2は、内部磁石形リニアモータの永久磁石モジュールの例を示したものである。
図3図3は、図1図2の電機子モジュールと永久磁石モジュールの組み合わせにより、直線方向の推力が発生する原理を示したものである。
図4図4は、外部磁石形リニアモータを示したものである。
図5図5は、開放形の断面を示したものである。
図6図6は、電機子モジュールに印加される電源の接続方法の例を示したものである。
図7図7は、本発明の実施例による密閉形リニアモータの断面と永久磁石を含む界磁側を示したものである。
図8図8は、磁束が通過する永久磁石の断面が長方形である例と平行四辺形である例を示したものである。
図9図9は、各永久磁石モジュールで永久磁石の位置オフセットが異なる例を示したものである。
図10図10は、本発明の一実施例による開放形のリニアモータ示したものである。
図11図11は、本発明による開放形のリニアモータで磁極と永久磁石モジュールの数の例を示したものである。
図12図12は、スペーサーを利用して電機子モジュール間の間隔を一定に維持させた例を示したものである。
図13図13は、スペーサーを利用して電機子モジュール間の間隔を一定に維持させた例を示したものである。
図14図14は、永久磁石モジュールを安定に固定するための端部固定子を示したものである。
図15図15は、本発明の他の実施例による開放形リニアモータを示したものである。
図16図16は、本発明の他の実施例による開放形リニアモータを示したものである。
図17図17は、本発明によるリニアモータを駆動するサーボシステムの簡略な構成を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明によるリニアモータの実施例を添付した図面に基づいて詳しく説明する。
本発明によるリニアモータは、駆動原理が韓国特許出願番号10-2009-0090806(韓国特許登録番号10-0964538)に記載されたリニアモータの駆動原理とほぼ同じなので、まず
韓国特許出願番号10-2009-0090806に記載された円筒形リニアモータの構造と駆動原理について説明する。
【0027】
韓国特許出願番号10-2009-0090806に記載された円筒状のリニアモータは、電機子側、界磁側と支持機構を含めて構成することができる。図1図2は、界磁側にある永久磁石が内部にあり、電機子側にある電機子が外にある内部磁石形リニアモータの電機子と永久磁石をそれぞれ示したものである。
【0028】
電機子側は、図1に示したように、進行方向に所定の間隔で配置される多数の電機子モジュール(10)で構成され、各電機子モジュール(10)は、リング形状の電機子鉄心(11)に半径方向に突出した4つ以上の磁極(12)にコイル(13)が巻かれた形になる。ここで、リング形状は、円形のリングに限定されず、閉回路をなす長方形、八角形の形などの正方形リング、八角リングなどでの使用が可能である。
【0029】
界磁側は、図2に示したように、進行方向に所定の間隔で配置された多数の永久磁石モジュール(20)で構成され、各永久磁石モジュール(20)は、コイル(13)が巻かれた磁極(12)と同じ磁極数の永久磁石(21)を円周方向に配置している。
【0030】
各電機子モジュール(10)からコイル(13)が巻かれた各磁極(12)に進行磁界が配置されるようにコイル(13)に電流が供給されるが、コイル(13)が巻かれた磁極(12)に配置される電磁極とこれに対応する永久磁石(21)の間に吸引力と反発力によって推力が発生するように、少なくとも一つの電機子モジュール(10)のコイル(13)と他の電機子モジュール(10)のコイルには位相差を持つ電流が供給されている。
【0031】
電機子側と界磁側のいずれかは、固定子として固定され、残りは可動子になるが、電機子モジュール(10)の磁極(12)と永久磁石(21)の間に一定の空隙が維持されながら、可動子が固定子と相対的に進行する。
【0032】
各電機子モジュール(10)内で隣接する磁極(12)の磁極性が異なるようにし、電機子モジュールの磁極(12)と、これに対応する永久磁石(21)の間に高い密度の磁束が円滑に流れるようにする。例えば、4つの磁極(12)が配置された場合、コイル(13)に同位相の電流を流した時、所定の基準位置から時計回りに、1番目の磁極と3番目磁極の磁極性が同じで、2番目磁極と4番目磁極の磁極性が同じになるよう、各磁極(12)をコイル(13)で巻くことができる。
【0033】
例えば、図1に示したように、1番目の磁極または3番目の磁極で出てきた磁束は対応している1番目の永久磁石または3番目の永久磁石を通り、永久磁石継鉄を介し2番目の永久磁石と4番目の永久磁石を通って、 2番目の磁極と4番目の磁極に入る。その後に、電機子鉄心を通って、再び1番目の磁極と3番目の磁極に再び入って来て、磁束閉ループが配置される。また、各電機子モジュール(10)には、各磁極(12)に対して巻線方向を変えながら同じ位相の電流が流れるようにコイル(13)を巻いて電機子モジュール(10)の組立効率を向上させることができる。
【0034】
リニアモータが可動子の進行速度が速くないところに適用される場合には、コイル(13)に印加される電源の周波数が高くないので、電機子鉄心(11)が積層されていない形態で製造することができ、これにより生産コストが削減され、より耐久性の高い構造で量産が可能になる。その一方で、リニアモータの早送り速度が要求される場合には、印加される電源の周波数が高いため、積層された形態で製造された電機子鉄心(11)が使用され、電機子鉄心(11)で発生する渦電流損失とヒステリシス損失を削減できるようになる。
【0035】
各永久磁石モジュール(20)は、図2に示したように、電機子モジュール(10)の磁極(12)と同じ数、つまり4つ以上の偶数個の永久磁石(21)が、円周方向に配置されて強磁性体である継鉄(22)に固定されるが、隣接する永久磁石(21)は、互いに異磁極になるように配置される。この時、各永久磁石(21)は、コイル(13)が巻かれた磁極(12)から出てきた磁束が対応しているその永久磁石(21)を通って、継鉄(22)に入り、永久磁石(21)から出てきた磁束が対応する磁極(12)に入るように、中心方向、すなわち放射状方向に磁化される。永久磁石磁界の方向が円周中心方向に配置されて推力が発生する方向(可動子の進行方向)と直角になるので、磁気回路の利用率が高くなる。
【0036】
隣接する永久磁石モジュール(20A、20B)は、一定の間隔で配置され非磁性体のスペーサ(23)が間に設置され、円周方向に対応する位置に置かれた2個の永久磁石(21)の間に反対磁極になるように配置される。例えば、図2に示したように、永久磁石モジュールA(20A)は、円周方向の基準位置からN-S-N-S順に永久磁石(21)が配置され、永久磁石モジュールA(20A)に隣接する永久磁石モジュールB(20B)には反対であるS-N-S-N順序で永久磁石(21)が配置される。 界磁側の両端には、端部固定子(24)を配置することができる。
【0037】
図3は、図1図2で説明した、二つ以上の電機子モジュール(10)と二つ以上の永久磁石モジュール(20)の組み合わせにより、直線方向の推力が発生する原理を示しているが、これは図1でA-A 'に切った断面の一部である。
【0038】
図3で、U、V、Wは、円周方向を基準に図1の電機子モジュール10U、10V、10Wを同じ場所に置かれた磁極(12)を進行方向に並べたものであり、S / Nは上記の磁極U、V、Wに対向する位置に置かれた永久磁石(21)を並べたものである。
【0039】
図1について説明したように、各電機子モジュール(10)のコイルに単相の電流を供給するが、三つの電機子モジュール(10U、10V、10W)を一つのセットにして三相電流を印加することができる。つまり、三相の場合、隣接するモジュールとは120度の位相差のある電流を各電機子モジュール(10U、10V、10W)のコイルに供給する。または、隣接するモジュールと60度の位相差を持つ電流を各電機子モジュールのコイルに印加することもできるが、たとえば三つの連続した電機子モジュールに順番に60度の位相差を持つ電流X相、Y相、Z相を流すが、Y相電流が流れるコイルの結線方向をX相電流とZ相電流が流れるコイルと180度変える方法も可能である。
【0040】
また、図3に示したように、進行方向に交互に配置された永久磁石、SまたはNの磁極間隔をτ(1/2周期180度)とするとき、三つの電機子モジュール(10U、10V、10W)が2/3τ(120度)に相当する間隔で配置されている。
【0041】
永久磁石S磁極とN磁極の間に位置する磁極Vのコイルに(+)方向にピーク値(P)の交流電流が流れて磁極VがN磁極になると、磁極UとWを巻いたコイルには、( - )方向にピーク値(P)/平方根(2)サイズの交流電流が流れて磁極UとWがS磁極になるので、N磁極である磁極Vは永久磁石S磁極には吸引力を、永久磁石N磁極には反発力を作用して永久磁石を右に移動させる。磁極VのN磁極より小さい磁力でS磁極になった磁極UとWには、それぞれ永久磁石S磁極と永久磁石N磁極に反発力と吸引力が作用するが、これらは互いに相殺され進行方向に影響を及ぼさないようになる。
【0042】
永久磁石が2/3磁極の間隔だけ移動した位置で、今度は磁極Wが永久磁石S磁極とN磁極の間に配置され、この瞬間には、各磁極のコイルに位相が120度進行した電流を流して、磁極Wのコイルには(+)方向にピーク値(P)の交流電流が流れて磁極WがN磁極になり、磁極UとVを巻いたコイルには、( - )方向にピーク値(P)/平方根(2)サイズの交流電流が流れて磁極UとVは、S磁極となる。 N磁極になった磁極Wは、永久磁石S磁極には吸引力を、永久磁石N磁極に反発力を作用して永久磁石を右に移動させる。同じように磁極WのN磁極より小さい磁力でS磁極になった磁極UとVは、それぞれ永久磁石N磁極と永久磁石S磁極に吸引力と反発力を作用させるがこれらは互いに相殺される。
【0043】
このような過程を繰り返して永久磁石は右に移動することになる。つまり、各電機子モジュールに印加される三相電流が磁極U、V、Wに移動磁界を発生させ、これによって移動磁石に右に移動する推力が発生する。
【0044】
磁極U、V、Wにはコイルが同じ方向に巻かれたものと仮定しているが、隣接する電機子モジュールと対応する位置に置かれた磁極に反対方向にコイルが巻かれることもある。つまり、UとWは同じ方向にコイルが巻かれ、VはU、Wと反対方向にコイルが巻かれるが、この場合にも永久磁石を同じ方向に移動させる推力を発生するように位相差を持つ電源を供給することができる。
【0045】
理想的なモデルである場合は、永久磁石を移動させる推力は、磁極と永久磁石が接する表面積の合計に比例して、また進行方向に配置される電機子モジュール(10)の数にも比例して大きくなり、コイルに印加される電流の大きさ、磁極を巻くコイルの巻線数、永久磁石の起磁力の大きさなどにも比例関係を持つ。
【0046】
図3の1番目の例は、電機子モジュール三相と永久磁石2磁極の基本的な組み合わせの例である。図3の2番目の例は、最初の組み合わせの拡張である電機子モジュール三相と永久磁石4磁極の組み合わせの例であるが、推力が発生する原理は同じであり、三相8磁極などの組み合わせも可能である。
【0047】
一般化すると、モータの相数の倍数となる電機子モジュールの数Sと永久磁石モジュールの数Pの組み合わせによる磁気回路を推力を発生させるモータの基本単位とするが、ここでモータの相数は、三相電源で電機子を駆動する場合は3、5相電源で駆動する場合は5として、3以上の奇数とするのが一般的であり、モータの相数によって各電機子モジュールのコイルに印加される電流の位相差が決定される。
【0048】
この時、SとPの最小公倍数が大きくなるほど推力のリップル(ripple)が減ることになる。また、SとPの比は巻き線係数に相当する係数で、1に近いほど磁気回路の利用率が高く、推力発生の観点からは有利である。表1に三相モータの場合の電機子モジュールと永久磁石モジュールの組み合わせの関係が記載されているが、9個の電機子モジュールと8個または10個の永久磁石モジュールの組み合わせが推力発生とリップルの両観点から有利である。
【0049】
【表1】
【0050】
S個の電機子モジュールとP個の永久磁石モジュールが空隙を介して対向する部分の長さ(移動方向への長さ)をモータの単位長さとする時、複数の電機子モジュールで構成される電機子側または永久磁石のモジュールで構成される界磁側のうち、どちらかを単位長より長く設定することで可動子を移動させる推力を発生させることが可能な有効距離を確保することができるようになる。また、電機子側と界磁側が重なる長さを単位長さの定数倍に構成して、モータの基本単位を繰り返し接続して重複する長さに比例して推力を増加させることができる。
【0051】
磁気回路の基本単位を繰り返して接続するとき、基本単位を構成する永久磁石の数であるPが奇数である場合は、最初の基本的な単位の永久磁石がN磁極(またはS磁極)で開始した場合はN磁極(またはS磁極)で終了し、2番目の基本的な単位の永久磁石はS磁極(またはN磁極)で開始するので、二つ目の基本単位の電機子モジュールには、最初の基本的な単位の対応する電機子モジュールとは反対の位相の電流を供給する必要がある。
【0052】
たとえば、デフォルトの単位が(S、P)=(6、5)であるモータを2個接続したとき、最初の基本的な単位の6つの電機子モジュールにuUVvwWの順に三相電流を印加すると、2番目の基本単位の6つの電機子モジュールには、UuvVWwの順に三相電流を印加する必要があるが、ここで、U、V、W(またはu、v、w)は、互いに120度位相差を持つことを意味しており、小文字(u、v、w)は大文字(U、V、W)と反対位相の電流が供給されることを意味する。
【0053】
また、2相の電源でモータを駆動させることも可能であるが、この場合、各電機子モジュールを永久磁石の磁極間隔の半分(τ/ 2)だけ離した状態で90度の位相差を持つ2相の電流を二つの電機子モジュールに流すことで、永久磁石を片側に移動させる推力を発生させることができる。
【0054】
図1図2に示されたリニアモータの断面は、各要素が対称的に配置されているため、各電機子と永久磁石によって生じる磁気吸引力が相殺され、可動子の直線運動を案内するリニアガイドに外力を発生させないため、リニアガイドの寿命を延長することができるようになる。
【0055】
図1において電機子モジュール(10)の鉄心(11)は円形だが、点対称または線対称形状の多角形(例えば、6角形、8角形、10角形)などが可能で、安全な姿勢のために鉄心(11)の外郭形状を正方形の形にすることや、隣接する電機子モジュール(10)との結合を容易にするために長方形の鉄心(11)の片隅に穴を設けることも可能である。
【0056】
また、図1または図3の実施例では、円周方向に4つの磁極が配置された4スロット形モータであるが、大容量、高速など多くの磁束が必要であり、電動機の断面積を拡大しなければならない場合、8つの磁極を配置して8スロット形電動機に変形が可能である。電機子モジュールに流れる磁束の量を増やすために磁極の断面積を大きくすると、これに比例して磁束が流れる鉄心も半径方向に大きくなるため、モータの断面積が大きくなる。この場合、磁極の断面積を増やす代わりに、磁極の数を増やすと、鉄心の厚さをそのまま維持しながら、磁束の量を増やすことができ、モータの小形化や推力の向上に有利である。
【0057】
図1から図3は、電機子モジュールの電機子側が外部に永久磁石モジュールの界磁側が内部に位置する内部磁石形の実施例を提示したが、図4は、電機子モジュールが内部に永久磁石モジュールが外部に位置する外部磁石形リニアモータの実施例を示したものである。
磁極が鉄心から外周に向けて半径(放射)方向に突出して配置されることと磁極に対向する永久磁石がリング状の継鉄の内側に固定される点を除いては、内部磁石形と動作原理は同じである。
【0058】
図1図4には、電機子側の各電機子モジュール(10)に進行方向にUVW、UVW、UVW順に三相電流が印加される実施例を示しているが、代わりにUuU、VvV、WwW順(ここで小文字は大文字と逆位相の電流が供給されることを意味する)に三相電流を印加することも可能である。
【0059】
電機子側は相互に接続されず、独立した電機子モジュールで構成されるため、同じ大きさの電源が各電機子モジュールに提供する場合、各電機子モジュールには、独立して同じサイズの磁束が流れて、各電機子モジュールを介して生成される推進力にばらつきが少なく、推力リップルが少なくなる。
【0060】
磁束が特定の磁極に偏らず、各磁極を使って均一に分配されて流れるため、電機子モジュールの鉄心の断面積が小さくても、多くの磁束を流すことができる。また、各電機子モジュールの間には、互いに独立した磁気回路による磁束が流れるようになるので、可動子の進行方向と同じ方向に流れる磁束がなく、進行方向と垂直な方向にのみ磁束の流れが発生して推力とは無関係な漏れ磁束が少なく、モータの効率を向上させることができる。
【0061】
韓国特許出願番号 10-2009-0090806に記載されたリニアモータは、電機子モジュールがリング形状に永久磁石モジュールを取り巻いている密閉形構造であり、可動コイル形電動機で永久磁石の界磁側が両端でのみ固定されるので、短い区間で高い精度が要求される移送装置には、大きな問題はないが、界磁側の長さが長い長距離移送装置に適用される場合には、永久磁石自体の荷重でたわみが発生するため問題になる。
【0062】
韓国特許出願番号10-2009-0099828(韓国特許登録番号10-0964539)は、韓国特許出願番号10-2009-0090806に記載されたリニアモータの動作原理を利用しながら、界磁側を進行方向に完全に接地するか、または一定の間隔で床に支持することができるようにモータの断面(進行方向に垂直な平面を基準とする断面)、すなわち電機子モジュールと永久磁石モジュールの断面形状を変形する開放形のモータの実施例を提示する。
【0063】
図5は韓国特許出願番号10-2009-0099828に記載された開放形リニアモータの一実施例を図示したものである。
【0064】
図5のリニアモータも、図1または図3のリニアモータと同じように、進行方向に一列に配置される多数の電機子モジュールで構成される電機子側、進行方向に所定の間隔で配置された多数の永久磁石モジュールに構成される界磁側、および支持機構を有する構成とされることがあり、界磁側と支持機構は一体形に組み合わせることが可能である。
【0065】
図5に図示したように、本発明による電機子モジュールは、リング状に閉回路をなす図1の電機子モジュールとは異なり、図1の電機子モジュールで磁性体リングの一部の円周区間が抜けた弧形状またはC字形状の電機子鉄心に、線対称(左右対称)になるように複数の磁極が永久磁石モジュールに向かって突出して各磁極にコイルが巻かれた形となる。
【0066】
弧は、円の一部である円弧になる場合や、円以外の多角形状の閉ループ、例えば6角、8角、10角の各リングの一部になる場合もあり、多角形状の弧同士の結合または多角形状の弧と円弧が結合した形態も可能であるが、少なくとも線対称になるようにすることが有利である。
【0067】
可能であれば、複数の磁極が永久磁石モジュールの中心を基準に点対称に配置されることが磁極と永久磁石の間に発生する磁気吸引力を相殺するのに有利であり、点対称が困難な場合、左右方向の線対称と上下方向の線対称になるように複数の磁極を配置することが有利である。
【0068】
また、永久磁石モジュールは、電機子モジュールで磁極の数と同じ磁極数の永久磁石が、それぞれ対応する磁極に対面する位置に置かれた形状である。
【0069】
複数の永久磁石モジュールを有する界磁側は、進行方向に全区間にわたって支持機構(ベース)に固定されており、一定の間隔で支持機構に固定することができ、界磁側を固定する支持機構の役割をするベースは、界磁側を中心に左右に進行方向に整列された複数の固定ボルトを介して床に固定することができる。
【0070】
すべての磁極にコイルが巻かれた基本形のモデルでの電機子モジュールと永久磁石モジュールは、C形状の磁性体の中心から円周方向に最も遠いところに位置する磁極(P1 or P4)では、C形状磁性体の中心から近い隣接する磁極( P2 or P3)に向けてのみ流れる磁束が発生するようになる。つまり、磁極P1(またはP4)では、一方向のみに磁束の閉ループが配置されるので、大量の磁束が流れるようにすることができない。
【0071】
したがって、図5の右側の図のように、電機子モジュールでは、C形状の磁性体の両端にコイルを巻かれてない補助磁極(P0、P5)(14)を配置し、永久磁石モジュールでも補助磁極(14)に対応する位置に補助永久磁石(25)を配置して(補助磁極形モデル)、コイルが巻かれた磁極中C形状の磁性体の中心から円周方向に最も遠いところに位置する磁極(P1 or P4)にもどちらの方向に磁束の閉ループが配置されるようにすることができる。この時、永久磁石モジュールの補助永久磁石(25)は省略されることもある。
【0072】
一方、電機子側の磁極と界磁側の対応する永久磁石が一定の間隔を維持しながら電機子側が進行方向に移動できるように、電機子側にはローラ(Roller)(31)が、界磁側にはガイドレール(Guide Rail)(32)が配置されることがあるが、ローラ(31)とガイドレール(32)のペアが線対称形で複数配置することもある。ローラ(31)は、電機子モジュール内の磁極の間に配置され、同様にガイドレール(32)にも永久磁石モジュール内の永久磁石の間に配置される。
【0073】
図6は、電機子モジュールに印加される電源の接続方法の例を示したものである。U相電機子モジュールは、C形状の磁性体で構成され、界磁側に向けた方向に多数の磁極(図6では4つ)ができており、各磁極には、同じ位相の電流を流すためのコイルU1、U2、U3、U4が巻かれている。 V相電機子モジュールとW相電機子モジュールもU相電機子モジュールと同じ構造である。
【0074】
各電機子モジュールでコイルの結線方法では、設計仕様に応じて、シリアル接続、パラレル接続、直並列接続などが選択される。
【0075】
電機子モジュールの各磁極にコイルを巻く方法では、各電機子モジュールのコイルに同位相の電流を流したときに隣接する磁極が異磁極になるようにコイルを巻く。
【0076】
たとえば、コイルU1、U3を時計回りに巻いた場合、U2、U4は反時計方向に巻くことができる。もちろん、コイルU1、U2、U3、U4すべてを同じ方向に巻いて、後でリード(Lead)線を結線するときに隣接する磁極が異磁極になるように結線することもできる。
【0077】
本発明では、韓国特許出願番号10-2009-0090806と韓国特許出願番号 10-2009-0099828に記載されたリニアモータの動作原理を利用するが、永久磁石モジュールを含む界磁側の重量を減らし、組み立て効率を高める変形例を示す。
【0078】
図1から、コイル(13)が巻かれた磁極(12)から出てきた磁束は、対応する永久磁石(21)を通って、継鉄(22)に入った後に隣接する永久磁石(21)を通って隣接する磁極(12)に入るが、磁束の流れを円滑にするために永久磁石(21)を磁性体である継鉄(22)に付着させることや、継鉄(22)に埋め立てさせることができる。しかし、継鉄(22)が磁性体であるため、永久磁石モジュールの重量を減らすには限界がある。
【0079】
つまり、図1図4、及び図5では、磁極から出た磁束は永久磁石、継鉄、隣り合う永久磁石を経て、隣接する磁極に流れる構造で、磁極と隣接する磁極の間に二つの永久磁石と永久磁石を固定する磁性体継鉄が置かれる。
【0080】
本発明によるリニアモータでは、コイルを巻いた磁極をもっと突出させ、永久磁石を磁極と磁極の間に配置にすることで、磁極と磁極の間に一つの永久磁石だけがある構造で磁束の流れが続くことになる。
【0081】
本発明によるリニアモータは、磁束を発生させるコイルを含む電機子側と磁束を横切る永久磁石を有する界磁側を有する構成とされる。
【0082】
図7は、本発明の一実施例によるリニアモータの断面と永久磁石を有する界磁側を示した密閉形リニアモータの図である。
【0083】
電機子側は進行方向に一列に配置される多数の電機子モジュール(50)で構成される。各電機子モジュール(50)は、鉄心(51)、複数の磁極(52)とコイル(53)で構成され、電機子鉄心(51)は各磁極(52)を接続し、各磁極(52)または各磁極(52)との間の電機子鉄心(51)に同位相の電流が流れるコイル(53)が巻かれる。
【0084】
界磁側は、永久磁石(62)を有する複数の永久磁石モジュール(61)と、各永久磁石モジュール(61)が接続されている接続部(63)を有する構成とされる。各永久磁石モジュール(61)は、 上記の接続部(63)から上記の電機子モジュール(50)の鉄心(51)に向かって突出され、2個の磁極(52)の間に置かれ、電動機の進行方向に複数の永久磁石(62)が互いに異磁極になるように配置する。
【0085】
各電機子モジュール(50)から各磁極(52)に進行磁界が発生するようにコイル(53)に電流が供給されるが、磁極(52)に配置される電磁極とそれに対応する永久磁石(62)の間の吸引力と反発力によって進行推力が発生するように、少なくとも一つの電機子モジュール(50)のコイル(53)には、他の電機子モジュール(50)のコイル(53)とは位相差を持つ電流が供給される。
【0086】
電機子側と界磁側のいずれかは、固定子として支持機構に固定され残りは可動子になるが、どちらの場合も電機子モジュール(50)の磁極(52)と永久磁石モジュール(61)の永久磁石(62)の間に一定の空隙が維持されながら、可動子が固定子と相対的に進行する。各電機子モジュール(50)内で、隣接する磁極(52)の電磁石の磁極性を互いに反対の磁極になるようにし、隣接する二つの磁極(52)によって磁束の閉ループが配置されるようにすることで、電機子モジュール(50)の二つの磁極(52)と、これに対応する永久磁石(62)の間に高い密度の磁束が円滑に流れるようにする。図7では4つの磁極(53)と4つの永久磁石(62)によって4つの磁束の閉ループが配置されている。そのためには、各電機子モジュール(50)ごとに同位相の電流が流れるコイル(53)を各磁極(52)または各磁極(52)との間の鉄心(51)に巻く。各電機子モジュール(50)内で隣接する磁極(52)の電磁石の磁極性が異なるように巻線方向を変えながら巻くこともできる。
【0087】
韓国特許出願番号10-2009-0090806と韓国特許出願番号10-2009-0099828に記載されたリニアモータでは、界磁側は進行方向に所定の間隔で配置された多数の永久磁石のモジュールで構成される。また、各永久磁石モジュールでは複数の永久磁石が円周方向に配置され、それらは強磁性体である継鉄に固定され、電機子モジュールの磁極で出てきた磁束が永久磁石、継鉄、隣接する永久磁石を経由して流れることになる。
【0088】
つまり、電機子側だけでなく、界磁側も進行方向を基準にモジュール化されるが、これは可動子(またはリニアモータ)の進行方向に磁束が流れるのを防ぐためのもので、界磁側の永久磁石が強磁性体である継鉄に固定されるからである。
本発明は、磁極から出た磁束が一つの永久磁石のみを通って隣接する磁極に入る構造であり、強磁性体である継鉄がないため、界磁側を進行方向基準にモジュール化する必要はなく、電機子側のみをモジュール化することにより、進行方向と垂直な状態で磁束が流れる磁束閉回路を配置することができる。
【0089】
推力の発生原理は韓国特許出願番号10-2009-0090806と韓国特許出願番号10-2009-0099828に記載されたリニアモータと同一なので、界磁側で進行方向と同じ変位の(進行方向と垂直に切るときのような断面の)永久磁石は隣接する永久磁石と反対の磁極で配置され、(図2の永久磁石モジュールA(20A)から円周方向の基準位置からN-S-N-S順に永久磁石が配置される)、円周方向に同じ角度の永久磁石ら(進行方向に並べて配置される永久磁石)も隣接する永久磁石と反対磁極で配置する必要がある(図2の永久磁石モジュールA(20A)は、円周方向の基準位置からN-S-N-S順に永久磁石(4)が配置され、永久磁石モジュールA(20A)に隣接する永久磁石モジュールB(20B)には反対の磁極性であるSNSN順序で永久磁石(4)が配置される)。また、磁極で出てきた磁束が継鉄なく永久磁石を経て、隣接する磁極に直接入るので、永久磁石は磁束が流れる隣接する2個の磁極の間で突出しなければならず、永久磁石の磁化方向は、2個の磁極を向くようにする。
【0090】
図7の左側は電動機の断面を示す図で、磁化された永久磁石(62)が鉄心(51)に向かって(円周方向に)突出している。つまり、磁極(52)の間に向かって突出して(4個の永久磁石(62)が放射状に広がって)おり、円周方向を基準に45度から反時計回りに進行しながらS / N、N / S、S / N、N / Sの磁化方向を持つ4つの永久磁石(62)が順に配置されている。また、鉄心(51)に向かって放射状に突出した4つの永久磁石(62)は、断面が円の形である接続部(63)に接続されている。
【0091】
また、図7の右側の界磁側を示す図面で、円周方向に同じ角度にある永久磁石(62)は、進行方向に沿ってN磁極とS磁極が交互に並んでおり、円周方向に同じ角度である永久磁石(62)は、一つの永久磁石モジュール(61)に固定された状態で、断面が円の進行方向に長い棒の形の接続部(63)に接続されている。上記の接続部(63)の断面は円形に限定されない。
【0092】
円周方向に同じ角度にある永久磁石(62)は、個別に接続部(63)に固定することもあるが、図7の界磁側のように一つの永久磁石モジュール(61)に固定され、永久磁石モジュール(61)は、接続部(63)に接続することができる。
【0093】
図7のモータの断面は、円形リング状の鉄心(51)を持つ電機子モジュール(50)に4つの磁極(52)があり、各磁極(52)の間に4つの永久磁石(62)が突出している構造で、4つの永久磁石(62)はそれぞれ対応する4つの永久磁石モジュール(61)に固定される。図7のように密閉形の電気モータで、鉄心(51)の形状は円形リングに限定されず、閉回路をなす長方形、八角形の形などの正方形リング、八角リングなども可能である。また、円形ではなく点対称または線対称形の多角形も可能で、隣接する電機子モジュールとの結合を容易にするために、鉄心(51)の角や磁極(52)末端に穴(54)を配置することもできる。
【0094】
また、大容量、高速など多くの磁束が必要でモータの断面積を拡大しなければならない場合、磁極を6つまたは8つの2の倍数、また磁極と同じ数の永久磁石モジュールを持つ電動機に変形が可能である。
【0095】
磁極と永久磁石の間に磁束が流れる時、磁束漏れを減らすためには、磁極と永久磁石間の間隔が狭く、磁束が磁極と永久磁石の表面に直角に流れ、磁極と永久磁石間のギャップが磁極と永久磁石が接する面全体で一定にならないとならない。磁極と永久磁石の間の間隔は、リニアモータの精度、速度、荷重などを考慮して決定することができ、磁束が表面に直角に流れるように、永久磁石の磁化方向を決めることができる。
【0096】
また、磁極と永久磁石間の間隔が磁極と永久磁石が対面する面全体で一定するように、図7のように円形リング状の鉄心(51)から突出した磁極(52)で、鉄心(51)から近い部分にはコイル(53)が巻いて、鉄心(51)から遠い端部を扇形形状で、すなわち磁極(52)の端部から鉄心(51)に近い部分の(Arc)が鉄心(52)から遠い部分のより長くして永久磁石(62)と接する部分は二つのの先端を直線(二つの放射状方向の直線)に接続して永久磁石(62)と平行にさせるのが有利である。
【0097】
円周方向に同じ角度にある永久磁石(63)を固定する永久磁石モジュール(61)は、非磁性体で構成され、進行方向に永久磁石(62)を固定することができる複数の開口が配置される。永久磁石(62)を永久磁石モジュール(61)の開口に固定するのには、従来のどのような方法を使っても構わない。
【0098】
界磁側の接続部(63)には、永久磁石モジュール(61)を接続して固定するための複数の溝部が進行方向に長く配置される。永久磁石モジュール(61)にも接続部(63)の溝部に取り付けのための突起が進行方向に長く配置され、永久磁石モジュール(61)の突起部を接続部(63)の溝部に押し入れるスライディング方式で結合することができる。
【0099】
進行方向に推力が発生する原理は、図3に図示したものと同じである。例えば、3つの電機子モジュール(50U、50V、50W)に進行方向に配置される二つの永久磁石(62)を対応させる場合、図3の上部の図のような電機子モジュール三相と永久磁石2磁極の組み合わせとなる。電機子モジュールの数Sと進行方向の永久磁石の数Pの組み合わせが推力を発生させるモータの基本単位となって、これについては図3とそれに対する説明に十分に説明されている。
【0100】
図8は進行方向に磁極を変えながら複数の永久磁石(62)が装着された永久磁石モジュール(61)を示したものである。電機子モジュール(50)の磁極(52)から出てきた磁束または磁極(52)に入る磁束が通過する永久磁石(62)の断面が長方形である例と平行四辺形の例を図示している。
【0101】
磁極(52)と永久磁石(62)を通過する磁束の量は、磁極(52)から出てきたり磁極(52)に入る磁束の分布が一定であるとするとき、磁極(52)の表面と永久磁石(62)の表面が重なり合う部分の面積に比例することになる。推進力は磁束の変化によって発生するが、例えば、界磁側が可動子の進行方向に移動する場合は、永久磁石(62)が移動する間の磁極(52)と永久磁石(62)を通過する磁束の量は磁極(52)と永久磁石(63)の表面をたたみ込み積分(convolution)した結果となり、これは図8の右側に説明されている。
【0102】
永久磁石(63)に向けた磁極(52)の表面を長方形(横が進行方向であり、縦が図7の左側の断面で内外周方向)であると仮定すると、長方形の表面の永久磁石(62)が進行方向に移動しながら磁極(52)の長方形の表面と重なる部分の面積は、図8の右図のように台形になり、磁極と永久磁石の二つの表面が完全に重なり始まった支点と、完全に二つの表面が重なった支点、完全に重なった支点から外れていく支点、完全に重なりがない支点が存在し、磁束の変化量が滑らかではない支点(二つの直線が交わる点)が存在する。
【0103】
つまり、推進力は磁束の変化、すなわち磁極(52)と永久磁石(62)の表面が重なる面積の変化に比例して、磁極(52)と永久磁石(62)の表面が重なる面積を微分した値が推進力と関係があるので、図8の右図のように滑らかに接続されていない点がある場合は、その点で勢いに急激な変化が発生してリップル(ripple)が起きることになる。
【0104】
しかし、平行四辺形の表面の永久磁石(63)が進行方向に移動して磁極(52)の長方形の表面と重なる部分の面積は、図8の右下の図のように全体的には台形形状であるが線と線が滑らかに接続されてリップルの発生を減らすことができる。つまり、磁束が通る永久磁石にスキューを適用することにより、すなわち、永久磁石をリック配置することで、永久磁石と磁極の間に作用するディテント力が進行に応じて、少しずつ位相差を発生するようになって、少し推力の低下があるが推力にリップルを発生させるディテント力を減らすことができる。
【0105】
界磁側で、各永久磁石モジュール(61)に固定された永久磁石(62)は、隣接する永久磁石モジュール(61)の対応する永久磁石(62)と異磁極にしないとならないため、他の永久磁石モジュール(61)の対応する永久磁石(62)と進行方向に同じ位置に置かれることを仮定している。つまり、図9に永久磁石モジュールA(61A)から永久磁石の位置オフセット(OFF_A)と他の永久磁石モジュールB、C、D(61B、61C、61D)の位置オフセット(OFF _B、OFF _C、OFF _D)が同じ値になる。
【0106】
この場合、界磁側が進行方向に移動しながら磁極(52)と永久磁石(62)の表面が重なるときに滑らかに接続されていない点(図8の右図のようないくつかの点)が同じ時間に発生してリップルを増加させる可能性がある。
【0107】
これらの問題を緩和するために、永久磁石の位置オフセットを各永久磁石モジュール(61)ごとに調節できるが、この場合にも隣接する永久磁石モジュール(61)の対向する永久磁石(62)と反対磁極にするので、一つの永久磁石(61)の幅(進行方向の長さ)に比べて小さい値を永久磁石の位置オフセットとしなければならない。
【0108】
永久磁石(61)の幅をLとするとき、OFF _A、OFF _B、OFF _C、OFF _Dを例えば、その絶対値が0.1Lより小さい範囲内で少なくとも一つまたは複数が他の値を持つようにして、図8の右図のような滑らかに接続されていない点が同じ時間に重複して発生しないようにしてリップルが大きくなることを防ぐことができる。
【0109】
図10は本発明の一実施例による開放形の図面で、界磁側の長さが長い長距離移送装置に適用するために図7のリニアモータを変形した例である。図10において、64はベース、55はローラ、65は支持機構を床に固定するための固定ボルトである。
【0110】
図10の開放形では、図7の直線電動機とほぼ同じだが、長さが長い界磁側がベース(64)と同じ支持機構に接続できるように、電機子モジュール(50)の鉄心(51)の形状が閉回路をなすリング状のリングの円周区間の一部が抜けた形状またはC字形状に変わった点は、鉄心(51)に磁極(52)が点対称形で配置される代わりに、左右線対称になるように磁極(52)を配置することができる点が違う。したがって、図5及びこれに対する説明に記載された電機子モジュールの鉄心と磁極の説明は図10の実施例にもそのまま適用されることがある。
【0111】
図7の密閉形リニアモータでは、電機子モジュール(50)の磁極(52)が4以上の偶数で永久磁石モジュール(61)の数が磁極(52)の数と同じであるが、開放形では、電機子モジュール(50)の磁極(52)は、3以上の偶数奇数関係なく永久磁石モジュール(61)の数が磁極の数よりも小さくなる点が異なる。図10は5つの磁極(52)と4つの永久磁石モジュール(61)を持つ実施例であり、図11には、3つの磁極(52)と二つの永久磁石モジュール(61)、4つの磁極(52)と3つの永久磁石モジュール(61)の実施例が示されている。しかし、本発明は、これに限らず、二つの磁極(52)と一つの永久磁石モジュール(61)の実施例も可能である。
【0112】
奇数個の磁極を電機子モジュールに配置する場合は、一つの磁極を除いて、残りの偶数個の磁極は可能な範囲内で左右方向線対称になるように配置することができる。また、奇数個の磁極を電機子モジュールに配置する場合は、一つの磁極を除いた残りの偶数個の磁極を左右方向対称に配置して、自己吸引力の左右方向成分が互いに相殺されるものの(上記のいずれかの磁極は左右方向成分の自己吸引力が発生しない位置に配置する)、一つの磁極を除いた残りの偶数個の磁極によって発生する(正確には突極とそれに対応する永久磁石の間に発生する)自己吸引力の上下方向成分が上記のいずれかの磁極で発生する上下方向の成分だけがある自己吸引力を最大限に相殺することができるようにする場所に配置することもできる。また、各磁極とそれに対応する永久磁石の間に発生する磁気吸引力が相殺されるように、磁極の位置だけでなく、コイルの巻き数、各突極に対応する永久磁石の強さなどを調節することもできる。
【0113】
電機子側で、各電機子モジュールの間に一定の間隔を維持するために、図12に示すように、各電機子モジュールで一つ以上磁極(可能であれば、対称の位置の磁極)の末端に所定形状の溝を掘り、溝に対応される形の突起と電機子モジュール間の間隔に相当する幅を持つ他の突起を持つスペーサーを利用して、各電機子モジュールを結合することができる。また、図13のように、各電機子モジュールで鉄心および/または一つ以上の磁極(可能であれば、対称な位置の磁極)の末端に穴を開け、スペーサと貫通ボルトを利用して電機子モジュールを組み合わせることで、各電機子モジュールの間に一定の間隔を維持するようにすることができる。
【0114】
また、図14に示すように、進行方向に垂直に切った界磁側の断面に対応するように斜めに端部固定子やブラケットを界磁側の両端に配置して、永久磁石モジュール(61)が揺れないように固定することができる。
【0115】
図15図10の開放形を変形した実施例において、54は隣接する電機子モジュールの間隔を一定に維持するための組み立て穴である。図15で、図10のC字形状の電機子モジュール(50)鉄心(51)を広げて直線状にし、これにより磁極(52)も鉄心(51)から直角にまたは同じ方向に突出され、隣接する磁極(52)と並んで配置されている。また、界磁側の永久磁石(62)も並んで置かれた2個の磁極(52)の間に直線状の鉄心(51)に向かって突出する。進行方向に並んでいる複数の永久磁石(62)は、永久磁石モジュール(61)に固定されることがあるが、磁極(52)との間に永久磁石モジュール(62)が互いに並んで整理されるので、一種の支持機構であるベースが複数の永久磁石モジュール(62)を接続するための接続部(63)の役割をして、すなわち、ベースと接続(63)が一体化され、複数の永久磁石モジュール(62)をすぐにベースに固定することができる。
【0116】
コイル(53)は、図15に示すように、各磁極(52)で鉄心(51)に近い(鉄心(51)に向かって突出した永久磁石(63)が及ばない場所)に巻かれたり、図16のように2個の磁極(52)との間の鉄心(51)に巻かれることもある。
【0117】
図15に示すように磁極(52)にコイルを巻く実施例では、5つの磁極(52)の中で、最初と5番目磁極(52)、すなわち両端の磁極(52)にコイル(53)が巻いていないように、すべての磁極にコイルを巻かなければならないわけではなく、いくつかの磁極のみコイルを巻いて、他の磁極にはコイルを巻かないこともある。また、図15の実施例では、2番目の磁極と4番目の磁極に同じ方向にコイルを巻いて3番目の磁極にはコイルを巻かないこともある。
【0118】
図10のリニアモータの場合、電機子モジュール(60)で磁極(52)の突出角度が磁極(52)ごとに異なり、金型製作に費用がかかり、精度を上げるのには限界がある。しかし、図15図16のリニアモータは、各電機子モジュール(50)で鉄心(51)と磁極(52)が直角を成して、ベースと永久磁石モジュール(61)も直角を成しているので、製造精度を上げることができ、金型のコストも削減することができる。
【0119】
図17は、本発明によるリニアモータを駆動するサーボシステムの簡単な構成を示したものである。図17からリニアモータ(78)を除いて、他の要素は従来のリニアモータに適用されるそのまま使用可能である。
【0120】
サーボシステムは、外部から印加される電源(71)から物体(79)を移動させるリニアモータ(78)に印加する電流を生成する駆動アンプ(72)、駆動アンプ(72)からリニアモータ(78)に印加される電流を検出する電流センサ(76)、リニアモータ(78)可動子の位置や移動速度を検出するリニアセンサー(77)、電流センサ(76)および/またはリニアセンサー(77)から検出された位置/速度信号をもとに制御コマンドに応じて、駆動アンプ(72)を制御するコントローラ(75)を有する構成とすることができる。駆動アンプ(72)は、交流電源(71)を直流に変えるコンバータ(73)と、モータ駆動に必要な電流を生成するインバータ(74)を有する構成とすることができる。
【0121】
インバータ(74)は、本発明によるリニアモータ(78)の駆動方式に適した電源、例えば2相交流電流、三相交流電流、2相整流電流、三相整流電流などを作成してリニアモータの電機子モジュールに印加することができるが、コントローラ(75)のコマンドに応じて、電流の振幅、周波数などを変えて可動子の位置、速度、推力の大きさなどを調節することができる。
【0122】
以上、前述した本発明の好ましい実施例は、例示の目的のために開示されたもので、当業者であれば以下の添付された特許請求の範囲に開示された本発明の技術的思想とその技術的範囲内で、様々な他の実施例を改良、変更、代替または付加などが可能である。
図1
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図4
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図15
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図17