【文献】
Raymond DiEsposti,“GPS PRN Code Signal Processing and Receiver Design for Simultaneous All-in-View Coherent Signal Ac,Proceedings of the 2007 National Technical Meeting of The Institute of Navigation (ION NTM 2007),2007年 1月22日,p.91-103
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
数十年間にわたって、移動体プラットフォームおよび/または個人の実時間の位置及び位置情報を得る能力は
強く求められている技術である。米国空軍によって導入された世界無線ナビゲーションシステムである全地球測位システム(GPS)が実施されて以来、当該技術は実用化されている。GPSは分散した複数の衛星、地上局または基地局、少なくとも1つのGPSユーザ受信機を含んでいる。
【0003】
衛星の位置はGPSユーザ受信機の位置を計算するための基準点として使用され、
このように計算された位置は通常数メートル以内、時には数センチメートル以内の精度を有する。衛星、地上局、GPSユーザ受信機はそれぞれ正確な時間で開始するようにプログラムされた時間信号を有する。衛星により放送される信号をロックして自動追尾するため、地上局とGPSユーザ受信機はそれらのそれぞれの内部クロックにより予測される時間に関してそれらのそれぞれの内部で発生された信号をスリューする。信号がロックされると、GPSユーザ受信機は「擬似距離」と呼ばれる各衛星に対する距離測定を行う。これらの擬似距離測定は衛星までの実際の距離と、GPS時間に対する受信機クロック時間オフセットに関連する誤差
、他のより小さい誤差を含んでいる。GPS制御セグメントネットワークに含まれる地上局は、衛星クロックと軌道の予測を行うために使用される距離測定を行う。これらの予測は
周期的に衛星へアップロードされ、衛星はこのデータをユーザ受信機位置決め機能を支援するためにユーザ受信機へ放送する。
【0004】
各衛星は特有の擬似ランダム雑音(PRN)コードとナビゲーション(Nav)メッセージを含んだGPS信号を2つの搬送波周波数L1とL2で送信する。L1搬送波は1575.42MHzであり、タイミングのためにNavメッセージと擬似ランダム雑音コードの両者を伝送する。L2搬送波は1227.60MHzである。L2信号は通常軍事目的で使用される。粗捕捉(C/A)コードと精密(P)コードと呼ばれる2つのタイプのPRNコードが存在する。民間使用を目的とするC/Aコードは1.023MHz
でL1搬送波を変調し、1023ビット毎に反復し、したがってC/Aコードの長さは1ミリ秒である。軍事使用を目的とするPコードは7日間のサイクルで反復し、L1とL2搬送波の両者を10.23MHz
で変調する。Pコードが暗号化される
と、これは「Y」コードと呼ばれる。さらに、Navメッセージは衛星の軌道、それらのクロック補正、その他のシステム状態についての情報を与えるL1とL2におけるコードに付加される低周波数信号である。理想的には、GPS衛星の距離信号が地球に放送される
と、GPS衛星の距離信号は慣性基準システムで真空を通る光伝播速度
による距離遅延と共にGPSユーザ受信機に直接到達する。しかしながら、GPSユーザ受信機へのルートに沿って、GPS衛星距離信号はGPS衛星信号を遅延させる幾つかの原因に遭遇する。これらの信号は、距離予測モデル
と光伝播速度によるパス遅延に加えてさらに遅延を生じ、したがって誤差の原因になる。このような遅延と誤差の潜在的な原因は衛星の暦とクロック誤差、選択的な
利用性(SA)、電離層および大気効果、マルチパス、受信機クロック誤差を含んでいる。
【0005】
GPS衛星の距離信号の遅延及び誤差を減少または除去するために、ディファレンシャルGPS地上局と呼ばれる他の地上局がしばしば使用される。各ディファレンシャル地上局は静止しており、全ての衛星信号測定をローカル基準へ結びつける。さらに、GPSユーザ受信機に最も近いディファレンシャル地上局は、同じエポック時間
において、GPSユーザ受信機により捕捉され追跡されたGPS衛星信号
が含むのと同じ遅延と誤差を含むGPS衛星信号を受信する。ディファレンシャル地上局は典型的には、GPSユーザ受信機の数十キロメートル内にある。ディファレンシャル地上局は距離遅延またはタイミング誤差を測定し
、無線周波数(RF)無線通信リンク
でこの補正情報をGPSユーザ受信機
に提供する。GPSユーザ受信機は
その間静止していてもよいし、移動していてもよい。GPSユーザ受信機は前述の誤差を減少するためにこれらの補正をその距離測定に適用する。ディファレンシャル地上局はその固定
された位置を知っており、各GPS衛星信号の予測される伝播時間を計算する。この計算は、各衛星が宇宙空間で位置付けられるべき場所
を表す天体位置表に基づいている。ディファレンシャル地上局は、各衛星の信号に関する誤差補正情報を決定するために、全ての衛星について、衛星距離信号の計算された伝播時間を信号に対して測定された実際の伝播時間と比較する。ディファレンシャル地上局は、その後、各衛星の誤差補正情報をGPSユーザ受信機へ送信する。
【0006】
通常の信号処理では、GPSユーザ受信機は、最初にオンに切り換えられるか、GPS信号の処理を開始するよう起動される
と、視野中の多数の衛星からのGPS衛星距離信号をサーチし、捕捉し、ロックして自動追尾する。GPSユーザ受信機はまたGPSユーザ受信機の視野内の各衛星のPRNコード信号について(擬似距離と呼ばれる)距離測定も行う。GPS受信機はPRNコード信号に重ね合わされたNavメッセージデータを復調し、ディファレンシャルGPSモードで動作され
ていれば、地上局から送信された誤差補正を適用し、GPSユーザ受信機の位置と、GPS時間に
対するユーザ受信機クロックオフセットを
求めるためにこの情報を使用する。付加的に、視野内の任意の衛星とGPSユーザ受信機との間の距離を決定するためにGPSユーザ受信機は信号伝播遅延の実際の伝播時間を決定し、補正された伝播時間を計算するために基地局から受信された誤差補正情報を適用する。補正された伝播時間はその後信号送信衛星までの距離を決定するために光速度により乗算される。少なくとも4つの衛星のGPS衛星の距離信号を捕捉した後、GPSユーザ受信機はその位置とGPS時間に関する時間誤差を解く。
【0007】
GPS衛星距離信号を捕捉する通常の方法
では、GPSユーザ受信機が一度に1つのGPS衛星信号を捕捉する。信号の捕捉は通常、GPSユーザ受信機
の最も脆弱なフェイズである。その1つの理由は、C/Aコードが弱く
、小さい干渉レベル
、断続的な減衰、または衛星からGPSユーザ受信機までの視線(LOS)の障害が、1以上の距離信号で捕捉プロセスを失敗させる可能性があるためである。
【0008】
それ故、距離信号の迅速で信頼性があり強固な捕捉がGPSユーザ受信機により行われること
をより確実にする方法によって、信号捕捉プロセスをさらに改良することが望ましい。これらの動作が例えば室内、木の葉の下、または妨害状態下のような信号電力の減衰または干渉
を伴う困難な環境でGPSユーザ受信機により行われることができるならば特に望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は詳細な説明と添付図面からさらに十分に理解されよう。
種々の実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その応用、または使用を限定することを意図するものではない。ここで使用されているように、用語「モジュール」は特定用途用集積回路(ASIC)、電気回路、1以上のソフトウェアまたはファームウェアプログラムを実行するプロセッサ(共有、専用またはグループ)およびメモリ、従属相関器ネットワークのバンク、組合せのサーチ論理回路および/または説明した機能を行う他の適切なコンポーネントを指している。
【0017】
図1を参照すると、本発明の説明は全地球測位システム(GPS)ユーザ受信機の視野にある複数の衛星からの入力を使用するための方法10を示している。複数の衛星は
少なくとも3つの衛星からユーザ受信機の視野内の全ての衛星までを含んでいる。この方法は動作12において初期化データ及び基地局位置データのセットを基地局からユーザ受信機へ送信するための無線補助リンクの使用を含んでいる。初期化データのセットは
アルマナックまたは衛星エフェメリス及びクロックデータ、寸法または境界データ、衛星距離信号測定データを含む衛星距離信号データを含んでいる。境界データはユーザ受信機が位置付けられるサーチ領域の大きさを限定するため予め定められた地理的空間を含んでいる。動作14において、基地局はユーザ受信機がその内部クロックを同期することを可能にするGPS時間同期関数と、エポック時間に基地局で測定された衛星距離データをユーザ受信機へ送信し、これはユーザ受信機の視野中の衛星コードの受信を同期するために使用される。
【0018】
GPS時間同期関数と他の送信されたデータがユーザ受信機により受信された後、ユーザ受信機はサーチ空間領域グリッド点内でサーチを開始する。そのサーチは基地局に提供された初期化データのセットに基づくことができる。ユーザ受信機は動作16で示されているように、ユーザ受信機の視野内の複数の各衛星から衛星コードを同時に捕捉する。ユーザ受信機はその代わりにユーザ受信機の視野中の全ての衛星から
の複数の衛星PRNコード
をすべて同時に捕捉してもよい。動作18で、ユーザ受信機
はサーチ空間領域のグリッド点をサーチ
する一方で、ユーザ受信機の
推定位置を決定するために各受信された衛星PRNコードの電力出力を組み合わせる。
より具体的には、ユーザ受信機はサーチ空間領域をサーチし、サーチ空間領域内の複数のグリッド点位置
について受信された
各衛星コード
の電力出力を組合せ、受信された衛星コードの
組み合わせ電力出力の最大値を提供するグリッド点を決定する。ユーザ位置に対応するグリッド点
では、処理される全ての衛星コードの電力は
位相差のない状態で組み合わされ、最大の電力出力を示す。最大の組み合わせられた電力出力
は特定のグリッド点位置で最高の値を示すことでユーザ受信機の推定位置を指示する。
【0019】
図2を参照すると、前述の動作を実行するための本発明の全地球測位システム(GPS)50が示されている。GPS50は複数のGPS衛星52、基地局54、GPSユーザ受信機56を
備えている。衛星52はそれぞれユーザ受信機56と基地局54と無線で通信している。さらに基地局54はユーザ受信機56と無線で通信している。
【0020】
衛星52の位置はユーザ受信機56の位置を決定するための信号処理
における基準点として使用される。衛星52はユーザ受信機56の視野にある地球軌道中の“M”個の衛星のコンステレーションを構成している。各衛星52の1つは1以上の正確に同期されたGPS衛星距離信号を地球方向へ発信する。GPS距離衛星信号はL1および/またはL2搬送波周波数のような搬送波周波数で伝播される擬似ランダム雑音(PRN)コードとナビゲーション(Nav)メッセージを含んでいる。L1搬送波周波数は1575.42MHzであり、タイミングのためにNavメッセージとPRNコードの両者を伝送する。L2搬送波周波数は1227.60MHzである。
【0021】
粗捕捉(C/A)コードと精密(P)コードと呼ばれる2つのタイプのPRNコードが存在する。民間使用を目的とするC/Aコードは1.023MHzの速度でL1搬送波を変調し、1023ビット毎に反復する。軍事使用を目的とするPコードは7日のサイクルで反復し、L1とL2搬送波の両者を10.23MHz
で変調する。Pコードが暗号化される
と、これは「Y」コードと呼ばれる。さらに、Navメッセージは衛星の軌道、それらのクロック補正、その他のシステム状態についての情報を与えるPRNコードに付加される低周波数信号である。
【0022】
技術の進歩につれて、衛星52はL1とL2搬送波およびL5と呼ばれる
追加の搬送波周波数により多くの民間および軍事コードを含むことができる。例えば衛星52は、L1搬送波上に2つの軍事コードと2つの民間信号コード、L2搬送波上に2つの軍事コードと1つの民間信号コード、L5搬送波上に2つの民間コードを含むことができる。さらに、GPSナビゲーションシステム衛星52の代わりに、衛星52は例えば米国連邦航空局(FAA)と運輸省(DOT)により開発された広域拡大システム(WAAS)または欧州連合と欧州宇宙機構の主導で発射されたガリレオ衛星無線ナビゲーションシステム衛星のような他の既存の衛星ナビゲーションシステム衛星を含むことができる。普遍性を失わずに、システム50はGPSコード、または他の衛星ナビゲーションシステム信号のコード、利用可能であるならば、例えば集積されたGPS−ガリレオユーザ受信機を一体化することができる。
【0023】
基地局54は正確に調査された地点に位置
する静止受信機を含む地上局を備えている。基地局54は、各衛星52からGPS衛星距離信号を受信する。各GPS衛星距離信号が基地局54とユーザ受信機56により受信され
た衛星信号は、電離層または大気状態、GPS放送暦およびクロック誤差と、マルチパス状態、または基地局54或いはユーザ受信機56に到達する距離信号に誤差を発生しうる他の要因によって悪影響を受けている可能性がある。基地局54は、初期化データ、基地局位置データ及び寸法または境界データの特有のセットのような付加的な補助データを送信する。初期化データのセットは、GPSアルマナックまたは衛星
エフェメリス及びクロックデータ、エポック時間に基地局54で受信されたときの基地局距離測定を含むPRN距離データを含んでいる。境界データは、ユーザ受信機56が位置
するサーチ空間領域を限定するために予め定められた地理
的範囲を含んでいる。
【0024】
ユーザ受信機56は、基地局位置データに基づいてサーチ空間領域内をサーチし、ユーザ受信機56の視野内の衛星52から衛星コードの1以上を同時に捕捉する。さらにユーザ受信機56
は、ユーザ受信機56の視野内の全ての衛星から全ての衛星距離コードを同時に捕捉
し、受信された衛星コードを合計する等コヒーレントに組合せ、そこからユーザ受信機56の推定位置を検出することができる。ユーザ受信機56は
、予め定められた地理領域内の複数のグリッド点位置のそれぞれで受信され
るべきGPS距離信号の電力出力を組合せまたは合計
して、最大の電力出力値を決定する。ユーザ受信機56は
、最大の電力出力値を外挿してユーザ受信機56の推定位置を得る。最大の電力出力値は、
全てのグリッド点のうちで、PRNコード
が最もコヒーレントに組み合わ
されたグリッド点位置の電力出力を示しており、最大の電力に
対応するサーチ空間領域内の位置はユーザ受信機56の
推定位置である。以下の段落はユーザ受信機56の機能をより具体的に説明している。
【0025】
無線補助リンクを通して、ユーザ受信機56は基地局位置データと共に捕捉を補助するための初期化データのセットと捕捉サーチの補助のためのサーチ領域境界データとを受信する。さらに無線リンクによって、ユーザ受信機56には未知のユーザクロック誤差に
対応するサーチ空間を
縮小するためにGPS時間同期機能が与えられる。ユーザ受信機56は、基地局54からサーチで使用するための時間同期の正確性についてのデータも受信する。しかしながら時間同期の正確性はサーチ領域境界データに基づいてユーザ受信機56により推測することができる。さらに、ユーザ受信機56は、サーチ空間を
縮小するためにユーザ受信機クロックと発振器の誤差を減少するよう基地局からの時間補助関数と周波数補助関数を使用することができる。
【0026】
時間補助関数は、GPS時間転送または時間サンプリング制御方法のような幾つかの形態を取ることができる。時間転送方法は基地
局からの外部RF補助信号を使用して、GPS時間同期関数をユーザ受信機56へ提供する。他方で、時間サンプリング制御方法は、GPS衛星距離信号を測定するために基地局54により使用される時間エポックに近い時間エポックで、GPS衛星距離信号をサンプルするコマンドを基地局54がユーザ受信機56に提供することを含
む。
【0027】
周波数補助は、安定な基地局無線周波数(RF)搬送波信号への信号位相または周波数のロック(例えば位相ロックループ(PLL))を実行することにより、ユーザ受信機56に
導入することができる。基地局信号が高品質のオーブン結晶発振器(OCXO)またはGPS衛星信号の追跡により周波数較正された発振器を使用して発生され
ている場合、ユーザ受信機PLLは周波数サーチを減少または除去するのに十分正確で安定な周波数基準を提供する。ユーザ受信機PLL周波数基準は、また、
ユーザ受信機56に対する各衛星52のドップラと運動の補償
につづく1秒までのコヒーレントな積分時間を支援する。
【0028】
アルマナックまたはエフェメリスデータを使用して、ユーザ受信機56は、サーチ空間グリッド内のその位置を決定するために使用される視野内のGPS衛星距離コード信号の数を決定することができる。サーチ空間は、グリッド点の2次元領域
から成る。
あるいは、サーチ空間はサーチグリッド点の3次元領域から成っていてもよい。例えば2次元の場合の位置を決定するために
は、ユーザ受信機56の視野内に少なくとも3つの衛星54が必要とされる。他方で、3次元の場合のユーザ受信機56の位置を決定するためには、少なくとも4つの衛星54が必要とされる。さらに、ユーザ受信機56は次式またはその変形により与えられる予測可能なオフセット
によってPRNコーダを調節し、
視野内の“M”個の衛星52のそれぞれから受信されたGPS衛星PRNコード信号を同時に関係づけて、複数の推定グリッド点位置の全ての信号を同時に算出する。
【0029】
図3を参照すると、サーチ空間領域58は約1/4乃至1/2PRNコードチップ離れて隔てることができるサーチ空間グリッド点(x、y)のセットを含んでいる(L1 C/AコードチップはC/Aコードの約300メートルに相当し、PコードチップはP(Y)コードの約30メートルに相当する)。2次元のサーチ空間領域の大きさが約10km×10kmであるならば、サーチ点の数はC/Aコードチップに対して約5,000乃至20,000であることができる。さらに、初期サーチスペース域の減少は大幅な計算的節約を可能にする。例えば1km×1kmの領域は100の節約係数またはC/Aコードチップで50乃至200のみのグリッド点を可能にする。
【0030】
再度
図3を参照すると、基地局54からベクトル→r
Uによりオフセットされるユーザ受信機56の位置における受信されたコード位相は、大きさ^Li・→r
Uの基地局54に関する距離オフセットを含んでおり、ここで^Liは衛星“i”までの視線(LOS)単位ベクトルである。したがって、エポック時間t
0における基地局54に対するユーザ受信機56により受信された“N”衛星PRNコード擬似距離(PR)測定のセットは次式により与えられる。
(式1)
【0031】
ここで“b”はGPS時間に対するユーザ受信機クロックの未知のオフセットを表す未知のパラメータである。“N”は視野内の“M個”までの衛星52から合計された処理で使用される全てのPRNコード信号からなる。エポック時間t
0における2つのGPS PRNコード信号“i”と“j”間の相対的なコード位相は次式のように規定される。
Φij(to)=PRi(to)−PRj(to) (式2)
ここでPRNコード距離測定iとjは、同じ衛星52iに関する2つの異なるPRNコード信号、または2つの異なる衛星52i、52jから得る2つの異なるPRNコード信号から得
ることができる。同じ衛星52からの2つのPRNコード信号間の相対的なコード位相はほぼ同じである。PRNコード信号が同じ衛星52iからの2つの異なる周波数から得られるならば、相対的なコード位相は衛星送信機と電離層遅延に関連する周波数間バイアスを含むことができる。
【0032】
ユーザ受信機56と基地局54により観察されるときの相対的なコード位相間の差は次式により得られる。
ΔΦij(to)=(Φij)
U−(Φij)
BS (式3)
結果を簡単にするために式2を式3に代入し、式1を使用すると、次式が得られる。
(式4)
【0033】
未知のユーザクロックオフセットパラメータ“b”は式4により与えられる差分相対コード位相式から
脱落する。ユーザ受信機56が“M個の”衛星52の視野内の“N”GPS PRNコード信号からの電力を同時にサーチし、捕捉し、組み合わせるとき、前述の式またはその変形がユーザ受信機56内の相対コード位相を予測するために使用される。これはユーザ受信機56がそのユーザ受信機56の視野内の衛星の全てのPRNコードまでの“N”PRNコードを同時に捕捉することを可能にする。これはユーザ受信機56のN個の相関器を使用し、対応するN個のPRNコード発生器出力チップシーケンスをエポック時間にグリッド点で予測される相対コード位相により与えられるような位相オフセットへ同期することにより実現される。例えば、グリッド点においてユーザ受信機により受信されるときのPRを予測するための式(1)の使用を考え、ここでは基地局PRコード測定データ、ユーザ位置→r
Uのサーチを限定するためのサーチ域境界データ、“b”の不確定さを限定するための時間同期関数は基地局によりユーザ受信機に与えられると考えられる。
【0034】
LOS単位ベクトル^Liは基地局54により与えられるような各衛星52の
アルマナックまたはエフェメリスデータ、基地局位置、GPS時間情報を使用してユーザ受信機56内で計
算できる。LOS単位ベクトルは典型的に基地局54とユーザ受信機56との両者で同じであると仮定される。したがって実際の応用では、基地局54とユーザ受信機56との間のタイミング誤差は約1ミリ秒を超えてはならない。しかしながら、さらに小さい時間同期誤差は受信機クロック誤差に関連されるサーチ空間を減少するのに有益である。理想的には、基地局54により与えられる時間同期関数は1
マイクロ秒以下まで正確である。しかしながらこの誤差はサーチ空間領域58の寸法によっても限定される。
【0035】
補助データがユーザ受信機56へ送信されると、ユーザ受信機56は2次元サーチ空間の2次元の解→r
U=(X,Y)に対して基地局54に関するユーザ受信機位置の未知のパラメータを解くために前述の式またはその変形を使用する。代わりにサーチ空間領域58は3次元地球基準グリッドを有すなら、3次元の解→r
U=(X,Y,Z)が与えられる。
【0036】
代わりに、前述の式の変形はサーチ空間領域58内の絶対ユーザ受信機位置(例えば基地局54の代わりに地球基準中心座標系に関するユーザ受信機56の位置)の決定を可能にする。この絶対位置はユーザ受信機56の処理方法内で、衛星暦及びクロックデータから予測されるような各グリッド点の相対コード位相と、基地局54から供給されるGPS時間同期情報を使用することによりN個の相関器を調節することで
得ることができる。しかしながら方法はさらにコードチップの寸法調整が可能な部分である可能性がある電離層遅延の補償を必要とする可能性がある。
【0037】
小さい時間間隔にわたる静止状態または周波数及び慣性測定装置(IMU)補助により、ユーザ受信機56は延長された時間間隔にわたって多数の測定をコヒーレントに処理することもできる。このような公式では、
性能を改良するために他のパラメータを付加することができる。GPS処理はGPSエポック時間t
0に関して時間間隔にわたって衛星の運動の任意の変化に対してPRNコーダと信号位相を調節する。この調節は衛星の暦とクロックデータを使用して決定することができる。
【0038】
ユーザ受信機位置で全てのPRNコード信号をコヒーレントに組み合わせるため、ユーザ受信機56は初期測定エポック時間における各PRNコードに関連
する全ての信号搬送波位相角度の可能性にわたって組合せサーチを行う。組合せサーチは処理される“N個の”PRNコードに関連
する全ての搬送波位相の組合せにわたって延在する。雑音レベルに関する組合されたPRNコード信号電力出力で最も強い「スパイク」を
発するその1つの搬送波位相角度の組合せとグリッド点とユーザ受信機クロックの組合せ、例えば前述したように従属の相対的なコード位相同期サーチを行う“N個の”PRNコード相関器からの合計された出力は、最も見込のあるユーザ受信機位置を示す。このサーチはまたユーザクロック誤差にわたるサーチと、各グリッド点における全てのPRNコード信号の全ての搬送波位相の組合せにわたる組合せサーチも含んでいる。公称上のコード受信電力レベルの知識、各周波数帯域の
推定雑音レベル、姿勢基準に関するユーザ受信機56のアンテナ利得パターンによる衛星LOS減衰、既知のLOS障害のような付加的な情報は信号を
除外し、組合せ数を減少し、或いは解の速度または性能を改良するために電力出力を加重するのに有用である可能性がある。この情報はまた、ユーザ受信機56により行われる計算された解の演算の
確実さを予測するための適切なしきい値の計算を可能にする。
【0039】
ユーザ受信機56は、相関の前に各PRNコード信号についてのエポック時間t
0におけるサンプルされた信号位相のデジタル回転を適用することにより、組合せ搬送波位相サーチを行うことができる。例えば5のPRNコード信号で45度の位相インクリメントを使用する徹底的なサーチは、8
5=32,768の可能な組合せに対応する。サーチは特別に設計された電子回路(例えば特定用途用集積回路または“ASIC”)を使用して効率的に合成されることができる。このような回路はサーチ空間全体にわたって最大の組合された電力を迅速にサーチするための多数の相関器を構成することができる。さらに、より小さい搬送波位相インクリメント
を使用することで信号処理損失が減少するが、計算的な負担または電子ハードウェアの複雑性の増加も生じる。搬送波位相組合せサーチ空間の減少は、各衛
星52に対する
既知の信号位相関係を使用して、または基地局に、測定され
た各衛星52のPRNコード間の相対的な搬送波位相角度情報をユーザ受信機
56へ送信させることにより可能である。
【0040】
サーチ空間領域内の各グリッド点で、ユーザ受信機56はこの特定のグリッドサーチ点がユーザ受信機56の
推定位置であると仮定する。処理期間中、ユーザ受信機56は前述の式により予測されるように各内部PRNコード位相を関連される相対コード位相へ調節する。さらにユーザ受信機56は前述の関連されるPRNコーダの出力データをユーザ受信機56のGPSアンテナから受信された下方変換され周波数補正されたデータと相関する。予測されたコード位相及びサーチ空間グリッド点に関連
するユーザクロック時間オフセットと距離オフセットが実際のユーザ受信機距離に対応するならば、信号の存在に対応する電力出力が存在する。推測される予測が正しくないならば、電力出力は雑音にのみ対応する。難しい環境(例えば室内または干渉状態下)では、1つの相関器からの電力出力はPRNコード信号を確実に検出するには不十分である可能性がある。“N個の”PRNコード信号からの電力出力がコヒーレントに組み合わせられるとき、PRNコード信号の検出の
確実性は
大幅に改良される。各受信されたGPS衛星距離信号からの相関器出力をコヒーレントに組み合わせることにより、PRNコード信号は
推定ユーザ受信機位置で
全て同時に捕捉されることができる。
【0041】
PRNコード信号の初期サーチ、PRNコード信号の検出と、ユーザ受信機56の
推定位置の決定に続いて、その後のユーザ受信機位置の精巧なサーチ
を行うことができる。このような精巧なサーチは電力がさらに最大
化されるまで、またはコード位相誤差処理を実行するために小さいコード位相調節を使用することによって、初期グリッド点の解
と比較してより小さいグリッドステップ(例えば1/10コードチップ間隔)で減少されたサーチ空間領域58を調節することを含むことができる。
【0042】
基地局54とユーザ受信機56の多数の周波数帯域に関するデータの処理では、基地局54とユーザ受信機56に対する周波数間バイアスはコードチップに対して小さく維持される(C/Aコードチップは約1
マイクロ秒であり、P(Y)コードチップは約0.1
マイクロ秒である)。その代わりに、全ての周波数帯域からの全ての信号のコヒーレントな組合せが望まれるならば、このバイアスに関
する付加的な小さいサーチ層が必要である可能性がある。しかしながら、1つの周波数帯域からのPRNコード信号を処理することのみによっ
て大きな処理利得
を実現することができる。例えば、各衛星52は地球カバー範囲L1周波数で2つの民間及び2つの軍事用信号を有することができ、そのため
同程度の受信された電力レベルの衛星PRNコード信号を仮定すると、視野内の10個の衛星52は、1つの信号
のみの捕捉
に対して40(16dB)
倍の有効性をもたらすことができる。
【0043】
前述したように高品質で正確で安定なユーザ受信機56の発振器または基地局周波数補助がないと、ユーザ受信機の発振器周波数オフセットにわたる付加的なサーチもまた必要とされ、コヒーレントな積分時間の期間が制限される。この場合、付加的な周波数サーチ空間の程度は発振器の周波数誤差にしたがい、コヒーレントな積分時間の期間は発振器の安定性にしたがう。
【0044】
各PRNコードのコヒーレントな積分時間を拡張するために、処理はユーザ受信機56に関する衛星52のドップラの周波数補正と、エポック時間に関するドップラの変化の段階的補正を含んでいる。例えば長い積分時間では、相関間隔にわたって位相
干渉性を維持するため、捕捉されたGPS信号サンプルデータまたは内部で発生されたコード及び搬送波位相データはまた相関間隔にわたって任意の衛星52または重要なユーザ受信機56の運動について位相補正される。他方で、徒歩のオペレータは放送GPS信号データが捕捉される間にユーザ受信機56に関連付けられたボタンを押した後数秒間、単にユーザ受信機56を静止して保持することによりユーザ受信機の運動の低下を
回避することができる。
また、ユーザ受信機56の地球の差動回転効果の修正は10km×10km内のサーチ域領域では必要とされない。
【0045】
ユーザ受信機56の別の実施形態では、ユーザ受信機56は、弱い信号の回復のための方法を使用することができる。ユーザ受信機56は、弱い信号環
境および/または1乃至2のみの強い衛星距離信号が検出および捕捉できるときのような妨害状態で弱い信号の回復方法を使用する。ユーザ受信機56または基地局54は、受信された衛星距離信号を強い信号または弱い信号として識別する。ユーザ受信機56は、強い信号の数が
予め定められた強い信号の数よりも少ないか否かを決定する。強い信号の予め定められた数は測定された擬似距離の処理に基づいて、ユーザ受信機56によりその推定位置を決定するために必要とされる強い信号の数を表している。搬送波位相角度の組合せは、強い信号に関連付
られた測定された量に制約される。ユーザ受信機56は強い信号に関連するデータに基づいて、制約されたサーチ空間領域を使用して弱い信号をサーチする。弱い信号の搬送波角度オフセットのみをサーチして、ユーザ受信機56はその推定位置を決定するためにサーチ空間領域をサーチする。
【0046】
ユーザ受信機56の別の実施形態では、ユーザ受信機56は、より正確に
推定位置を決定するために画像幾何学的表面処理技術を使用することができる。画像処理技術を使用して、ユーザ受信機56はサーチグリッド点にわたって組合された電力出力の幾何学的表面パターンを解析する。幾何学的表面は各グリッド点位置において組み合わされた電力値を有するサーチグリッドにわたる表面を含
んでもよい。画像処理技術は最大のピークまたは最大の組合された電力出力の位置をさらに正確にするために、未調整の幾何学的表面電力データに対する平滑化された幾何学的表面モデル適合を計算し、さらにピークが実際に誤った検出と正確な検出のいずれに対応するかを決定するために、幾何学的表面を解析するために適用されることができる。幾何学的表面モデル適合は弁別パラメータを抽出し解析することによって解析されることができる。正確なユーザ受信機位置で、幾何学的表面は最大の電力ピークの特性を示す。平滑にされた表面モデル適合と平滑にされた表面モデル適合に関する残留する雑音ジッターから抽出される弁別パラメータは、
推定解の確信を強め、または誤った解を識別し除外するために解析されることができる。
【0047】
具体的には、ユーザ受信機56は、各グリッド点位置に対応する各組合された電力出力を最大にするためにユーザクロック時間オフセットを調節する。次に、幾何学的表面モデルは予測される
受信された各衛星距離信号の幾何学的特性および信号特性に基づいて結果的なサーチ空間領域にわたって予測される。さらに幾何学的表面モデルの予測についての説明を以下行う。最後に、この幾何学的表面モデルのパラメータは(例えば最小二乗法の意味で)グリッド点に関
する雑音の多い組み合わせられた電力値と適合する。解析技術は、
推定ユーザ位置の解の
確実性を判断するために、最大電力出力の増強検出と電力表面の特性評価を可能にし、幾何学的表面モデルと獲得された弁別パラメータへ適用される。
【0048】
画像処理技術の適用において、ユーザ受信機56は幾つかの時間間隔にわたって幾何学的表面の多数のスナップショットを処理することもできる。次に従属相関器のネットワークまたは平滑にされた幾何学的表面モデルの組合された電力出力は、時間平滑な組合された出力を発生
させるために
経時的に濾波される。したがって処理方法は2次元(又は3次元)空間と時間にわたって組み合わせられた電力データの濾波または平滑化を適用する。平滑化された幾何学的表面モデルは、
推定位置に対応する特定のグリッド点位置の最大の電力出力をより良好に位置決定するために補間される。次に、幾何学的表面の勾配、ピーク、隆起部は弁別パラメータを発生
させるために使用される。弁別パラメータは
推定位置が、その
推定位置に
対して三角測量する隆起部を有する最大ピークに対応することを確実にするために解析される。スマートアルゴリズムがこの応用で適用されることができる。最大のピークが位置決めされると、幾何学的表面とピークは、幾何学的表面のダイナミックモデルを含んでいるカルマンフィルタタイプの処理と基地局54からの多数の時間エポックにおける測定の処理で時間内に発展し追跡されることができる。
【0049】
幾何学的表面は、ユーザ受信機56がサーチ空間領域の
推定位置に位置されており、有効なユーザ受信機運動モデルには、信号特性とユーザ受信機56に関する衛星の既知の幾何学的配置が与えられているという仮定に基づいて予測可能な方法で発展する。時間の経過につれて、この幾何学的表面は、ユーザ受信機運動に
対する衛星の運動により僅かに変化するが、この効果は予測可能である。さらに、新しい衛星が処理に付加され、他の衛星が削除される
と、幾何学的表面の変化は予測可能
となる。これは時間
と共に発展する予測的な幾何学的表面画像モデルの使用を示唆しているだけでなく、フェーディング及び他のランダムな効果に適合するために幾つかのランダムな時間発展コンポーネント
も含む。このようなランダムな発展コンポーネントは雑音を空間的及び時間的に取り除き、したがって最大のピーク電力の追跡に関するナビゲーション解の正確性を強化するためにランダム
フィールドモデルとカルマンフィルタタイプのダイナミックモデルを含むことができる。
【0050】
ユーザ受信機56の別の実施形態では、ユーザ受信機56はさらに処理を強化するための便宜性を付加するために、演繹的または受信された情報を信号処理論理で
組み込むことができる。例えば、演繹的情報はGPS PRNコードの受信された電力に関するデータ、各周波数帯域における干渉に関するデータ、既知のLOS妨害、アンテナ利得パターン及び姿勢基準データを含むことができる。GPS PRNコードの信号強度は、より強い信号を
選択的に処理するために使用することができる。干渉は、最低の干渉を有する周波数帯域から選択的にPRNコードを処理するために使用
することができる。姿勢基準データは、低いユーザ受信機アンテナ利得に関
する信号のような、
より弱い信号を除外するために使用
することができる。IMU情報または運動検出器は、各信号に対して、適切なコヒーレント
積分区間を設定するために使用
することができる。論理制御の処理は、スマートアルゴリズムを使用して実行
することができる。
【0051】
ユーザ受信機56の別の実施形態は、超密着結合(UTC)技術を使用するユーザ受信機56を含
む。UTC技術は、未調整のGPS測定を未調整の慣性測定装置(IMU)測定と一体化することにより対妨信状態を改良する効率的な方法である。UTC技術により、スムーザ(図示せず)は従属相関器のネットワークの電力出力を距離及び距離レート残留誤差または位置−時間ドメイン及び対応するレート残留誤差へ変換し平滑化する。スムーザはカルマンフィルタで構成することができる。
【0052】
例えば、伝統的なUTC技術は、
初期捕捉を仮定し、位置−時間ドメインの視線内の全てのGPS信号の追跡前に良性の環境のGPS信号へロッ
クする。ユーザ受信機56は、高い妨害環境における位置−時間ドメイン追跡でUTC技術を初期化することができる。この1例は、精密誘導兵器(PGM)が
発射され、GPS信号捕捉を獲得しストレスのある環境で固定または「追跡」しなければならないときを含
む。UTC技術では、全ての衛星のPRNコード測定がカルマンフィルタを通して閉ループ追跡されるので、個々のPRNコードに関連する正の追跡状態または搬送波追跡ループ誤差ジッターの通常のインジケータはもはや適用されることができない。幾何学的表面処理では、集束されたUTC技術の位置−時間ドメイン解はUTC技術の解が実際に最大の電力ピークに対応することを証明するために摂動されることができる。画像処理解析技術は最大の電力ピーク出力の存在または不在を設定するために、収束されたUTC技術解の付近で適用されることができる。UTC技術解の完全性または信頼性はGPS測定がINS解に統合されるべきか否かを決定することを助ける。GPS信号追跡状態が正であるならば、GPS測定はINS解へ統合される
べきである。他方で、GPS信号追跡状態が決定されずまたは否定的であるならば、GPS測定は廃棄されるべきである。この場合、ユーザ受信機56はINS解だけを使用する。
【0053】
図4を参照すると、ユーザ受信機56の1実施形態が示されている。ユーザ受信機56は、ユーザインターフェースモジュール59、制御処理モジュール(CPM60)60、基地局受信部62、無線周波数(RF)フロントエンド部64、ナビゲーションシステム66を含
むことができる。ユーザインターフェースモジュール58は、ユーザがユーザ受信機56の
推定位置を決定するためのリクエスト信号をCPM60へ送信することを可能にする。CPM60は、データ転送および電力管理を制御し、
推定位置を予測するためにナビゲーションシステム66により送信される電力出力を解析する。基地局受信部62は、基地局54からデータ情報を受信し、それをCPM60へ送信する。RFフロントエンド部64は、ユーザ受信機56の視野内の衛星からGPS信号を受信する。ナビゲーションシステム66は、ユーザ受信機56の
推定位置を決定するために、ここで説明したように基地局受信部62から受信されたデータに基づいて、RFフロントエンド部64を介してGPS衛星信号を処理する。
【0054】
ユーザインターフェースモジュール59は、制御インターフェース59aとディスプレイ59bを含むことができる。制御インターフェース59aを使用して、オペレータはユーザ受信機56の
推定位置を決定するために、リクエスト信号をCPM60へ送信してGPS信号処理をスタートさせる
ことができる。制御インターフェース59aはさらに、実行される動作の複数のモードのうちの1つについてのリクエストをCPM60へ送信できる。動作モードについてはさらに以下後述する。推定位置が決定されると、ディスプレイ59bは
推定位置を示す信号を受信し、それをオペレータに通知できる。
具体的には、ディスプレイは、例えば通常のLCDディスプレイパネルを介して
推定位置を表示
することができる。
【0055】
CPM60は、ユーザインターフェースモジュール59からリクエスト信号、基地局受信部62から基地局データ、ナビゲーションシステム66から電力出力を受信する。CPM60は、バッテリおよび電力調整システム68、マイクロプロセッサ70、メモリ72を含むことができる。バッテリおよび電力調整システム68は、それぞれRFフロントエンド部64、CPM60、ナビゲーションシステム及びユーザインターフェースモジュール58をオンに切換えるために調整された電力を提供する。
【0056】
マイクロプロセッサ70は、メモリ72中にRFフロントエンド部64により送信された基地局データを記憶できる。マイクロプロセッサ70は、各ユーザ受信機処理エレメントとモデム間のデータ情報の転送を処理する。マイクロプロセッサ70はまた、RFフロントエンド部64とナビゲーションシステム66を
稼働させ、それによってリクエスト信号が受信されると、ユーザ受信機56の
推定位置が決定される。さらにマイクロプロセッサ70は、
推定位置を決定するためにナビゲーションシステム66の電力出力を処理し、これはその後メモリ72へ記憶されることができる。マイクロプロセッサ70はさらに、幾何学的表面画像化処理技術
やUTC技術のようなここで説明した他の機能を行うことができる。さらに、電力
を節約
するため、マイクロプロセッサ70は、擬似距離および/または他のGPS計算が行われていないとき
は、大部分または全てのユーザ受信機のハードウェアを
、一般的に「待機」モードまたは電力ダウン/オフ状態と呼ばれる低電力状態に設定することができる。メモリ72は、前述したようにマイクロプロセッサ70により送信されたデータを記憶するために使用される。同様に、メモリ72はナビゲーションシステム66および/または関連するGPS信号データにより予測されるデータを記憶することもできる。
【0057】
基地局受信部62は、第1のアンテナ72とモデム74を具備することができる。第1のアンテナ72は、基地局54により送信される補助データ
や、初期化データと基地局位置データのセット
などの基地局データを受信する。このデータはモデム74により受信され、CPM60へ送信される。
【0058】
RFフロントエンド部64は、GPSアンテナ76と低雑音増幅器(LNA)78を具備することができる。GPSアンテナ76は、ユーザ受信機56の視野内の各衛星からGPS信号を受信する。LNA78は、
従来のRFフィルタ(図示せず)と、従来の低雑音増幅器段(図示せず)と、
従来のバッファ増幅器段(図示せず)とを含むことができる。RFフィルタは同じ位置に位置
するセル無線、MSATおよびインマルサット送信機に関する信号を排除し、画像および低調波周波数信号を拒否する。各低雑音増幅器段とバッファ増幅器段は
確実性を最大にするために増幅され受信された信号を使用する。
【0059】
ナビゲーションシステム66は、弱い信号のロックシステム、対妨信システムまたはその組合せであってもよい。ナビゲーションシステム66は、下方変換器80、アナログデジタル(A/D)変換器82、基準発振器84、クロック86、デジタルスナップショットメモリ88、ナビゲーションモジュール90を含
む。ナビゲーションシステム66が
稼働すると、下方変換器80、A/D変換器82、デジタルスナップショットメモリ88、およびナビゲーションモジュール90は、CPM60のバッテリ及び電力調整システム68を介して十分に
駆動されることができる。これは各GPS衛星からの各信号がGPSアンテナ76を介して受信され、デジタルスナップショットメモリ88に記憶されるように予め処理されることを可能にする。受信された信号はLNA78により濾波され増幅され、基準発振器84を使用して下方変換器80によりIF周波数へ下方変換される。基準発振器84は、A/D変換器82によりデジタル化され、デジタルスナップショットメモリ88に記憶される内部周波数基準を提供する。ナビゲーションモジュール90は、スナップショットメモリ88からデータを検索し、ユーザ受信機56の
推定位置を決定するためにこのデータを基地局受信部62から受信された情報と組み合わせる。基地局情報を受信するとき、ナビゲーションモジュール90は、クロック86を更新し同期することができ、前述したように発振器84の周波数を補正する。発振器84はここで説明するようにユーザ受信機発振器84として機能する。さらに、クロック86はここで説明するようにユーザ受信機発振器クロック84として機能する。
【0060】
図4および5を参照すると、ナビゲーションモジュール90は、外部ループサーチルーチン92
および内部ループサーチルーチン94と、従属相関器のネットワークバンク96とを含んでいる。外部ループサーチルーチン92は、ユーザクロック誤差を制限する間隔の時間インクリメントで、
推定位置を制限するグリッド点のサーチ空間領域セットにわたってサーチを行う。各グリッド点及びユーザ受信機時間オフセットで、内部ループサーチ機能94は全ての初期搬送波位相角度の組合せにわたってサーチを行い、組み合わされ受信されたPRNコード信号に関
する電力量を従属相関器のネットワーク96に計算させる。各グリッド点およびエポック時間で受信されたコード位相は基地局供給距離測定に関して予測可能であるので、複数の相関器は組合せサーチを行うために共に従属される。従属相関器のネットワーク96は、エポック時間t
0における全ての可能な初期搬送波位相角度の組み合わせにわたって組合せサーチを行うことにより、各グリッド点と時間オフセット点
において全てのPRNコード信号をコヒーレントに組み合わせようとする。
あるいは、従属相関器のネットワーク96は高速フーリエ変換(FFT)の実行により置換されることができる。
【0061】
各グリッド点で、内部ループサーチ機能94は、処理されるN個の独立した信号に対する全ての可能な初期搬送波位相角度の組合せにわたってサーチする。幾つかのPRNコード信号に対しては、同じ衛星からの多数の信号間の位相角度関係は基地局54により予
測または提供されることができる。この情報は2つのコード、例えばL1 C/AコードとP(Y)コードが公称上位相の1象限にあるときに、組合せサーチ空間を減少するために使用されることができる。ユーザ受信機クロックオフセットは別のサーチパラメータを表す。正確なグリッド点位置、ユーザ時間および搬送波位相角度の組合せで、全ての相関器信号の電力出力はコヒーレントに同位相で組合せられ、雑音レベルに関してネットワーク96からの組合された電力出力の強力なスパイクが存在する。
【0062】
さらに、従属相関器のネットワークバンク96は好ましくはASICを具備している。例えば、従属相関器のネットワークバンク96は100MHzのASICで構成されることができる。さらに、従属相関器のネットワークバンク96の好ましくは多数の並列レプリカが、サーチ空間領域の全てのグリッド点位置と位相角度の組合せを通して迅速にサーチするために構成されることができる。例えば、ASICは10,000以上のグリッド点または搬送波位相角度の組合せを並列に同時にサーチするために10,000以上の従属相関器のネットワークバンク96を構成することができる。従属相関器のネットワークバンク96は45度のインクリメントで各搬送波位相角度をサーチできる(小さいインクリメントは組合せの損失を減少させるが、処理負荷を増加する)。したがって、各信号搬送波位相角度は360度の範囲にわたって8のインクリメントでサーチされることができる。N個の独立した信号の特有の搬送波位相角度の組合せの総数は、したがって8
Nである。
【0063】
図6に関連する以下の
記述は、従属相関器のネットワークバンク96の機能についてさらに詳細に説明している。通常のPRNコードの除去は各相関器により行われ、データ除去機能(図示せず)はPRNコードおよび応用可能ならばNavメッセージデータビット転移に関連する任意の変調を除去する。PRNコード信号が第1のミキサ98で受信される
と、ユーザ受信機発振器周波数の補正が基地局54により送信される補助データにより得られるように行われ、適用される。第2のミキサ100で、
図5の内部ループ94のサーチの
特定のインクリメントに関連
するPRN搬送波位相角度が除去される。第3のミキサ102で、予測可能な衛星軌道とエポック時間のクロックドップラが混合される。相関間隔にわたる衛星軌道とクロック運動によるコード位相と搬送波位相に対する予測可能な調節
も、それぞれPRNコーダと第2のミキサ100で適用されることができる。同様に、エポック時間のユーザ受信機ドップラに対する付加的なコード及び搬送波位相補正と相関間隔にわたる運動は、IMUから利用可能であるならば適用されることができる。そうでなければ、ユーザ受信機の運動が無視できる程度であるならば、オペレータまたは運動検出センサによる静的補助が使用されることができる。基地局54で受信されるようなPRNコード位相データが与えられると、エポック時間の特定のグリッド点位置における相対的なコード位相が予測される。これは特定の相関器に供給する特定の相関器106に関する各PRNコーダ104が予測可能なコード位相オフセットに回転されることを可能にする。さらに、相関間隔にわたる予測可能な「ユーザ衛星ダイナミック調節」信号は、PRNコーダ104を操縦し、相関間隔にわたって衛星軌道及びクロック運動(およびIMUから利用可能であるならばユーザ運動)を補償するために入力される。これはコヒーレントな積分時間間隔全体にわたるコードと搬送波の両者の
コヒーレンスを維持するために、時間の変化
と共にスルーイングを継続するために、エポック時間に関する搬送波位相ミキサ100の調節と、PRNコーダ104でのエポック時間に関する
コード位相の調節を可能にする。
【0064】
距離ドメインにおけるこの補償の式は以下のようになる。
【0065】
ここで擬似距離の変化率は、衛星の暦データとクロックデータおよびIMUから利用可能であるならばユーザ
受信機運動の知識により与えられる。理論的に
は、全ての補助プロセスが適切に機能している
と、処理は1秒程度のコヒーレントな積分時間と、1PRNコード信号の処理に関する10×log(N)に近い処理利得を可能にすることができる。
【0066】
多数の衛星からの全ての距離信号をコヒーレントに組み合わせるために、全ての信号は同位相で処理されなければならない。ナビゲーションモジュール90は全ての可能な搬送波位相角度の組合せをサーチし、処理期間中に信号位相を調節する
。グリッド点、ユーザ受信機クロック86のオフセット、および搬送波位相角度の組合せ
が正しければ、全ての信号の電力はコヒーレントに結合される。例えば
図7に示されているように受信されたGPS信号位相を仮定すると、ΔΦ0=0、ΔΦ1=Δψ1,...,ΔΦN=ΔψNに最も近
い位相角度サーチの組合せは、コヒーレントに組合せられる
と全ての信号を同位相にさせる。全ての相関器出力のコヒーレントな組合せは、各相関器106からの出力が結合器(例えば加算器)110で組み合わされられるときに生じる。
【0067】
方法10とシステム50のSNR比と処理利得を説明する。Yを組合された相関器出力110とし、この場合組合せ関数がN個の相関器出力の単純な和に対応すると仮定し、siとniをそれぞれ各相関器106からの信号および雑音出力とする。雑音出力はゼロ平均であり独立し完全に同様に分布する(IID)と仮定する。
【数4】
【0068】
正確なグリッド点、ユーザ受信機クロックオフセット、および搬送波位相角度の組合せ
の場合の、Yの変化は次式により与えられる。
【数5】
【0069】
先に示されている微分の最後の行を考慮すると、(全ての信号は正しいグリッド点、ユーザクロックオフセット、搬送波位相角度の組合せ
の場合に同位相で合計され、全ての信号は同じ振幅または電力を有すると仮定するので)第1の項はNの2乗×各信号に関係される電力に等しい。中間の項は雑音ゼロ平均特性のためにゼロに等しい。第3の項はIID
が相関を有しないのでi=jのケースだけが二重和を存続するのでN×各雑音項の変化に等しい。
【0070】
単一の相関器に関する処理利得は第1の項対最後の項の比、即ちN2/N×単一の相関器のSNRまたは単一のPRNコード信号を処理する単一の相関器106の利得に関するN利得の係数により与えられる。それ故、N=10のPRNコード信号では、処理利得は10dBであり、N=100のPRNコード信号では、処理利得は20dBである。これ
には従属相関器のネットワークバンク96の電力出力の組合せ期間中に損失がないことを仮定
している。幾つかの環境下での実際の実施では、1以上の信号が全体的にブロックされ、対応する相関器電力出力は組合された出力に対して雑音を付加するだけである。
【0071】
衛星信号を組
合わすプロセスは、簡単な合計よりも一般的な形態、例えば次式により与えられるような各相関器出力の加重された和を取る。
P=a1・P1+a2・P2+…+aN・PN
予測される信号強度の関数として性能を強化するための組合せ加重a1と、LOSに沿った運動の不確定性に基づいて処理された各PRNコード信号の最適なコヒーレントな積分時間の選択は、性能を強化するための付加的な自由度パラメータの制御を可能にする。組合せ加重a1は、ゼロ雑音に関連する予測幾何学的表面モデルをサーチ空間グリッド領域にわたる雑音を有する未調整の合計された電力出力データへ適合するのに使用されるパラメータとしての役目も有する。
【0072】
さらに、サーチを完了するための時間は数秒を超えることはない。処理負荷の評価は、したがって仮定されたユーザ受信機アーキテクチャ構造で行われる。しかしながら、開発中の技術、例えば国防総省国防高等研究事業局のマイクロ電気機械システム(DARPA MEMS)スケール原子時計プロジェクトは将来の処理を非常に容易にする
ものである。
【0073】
さらに別の実施形態では、ユーザ受信機56は92へ変更された処理を実行し、ここではPRNコード位相と搬送波位相角度オフセットの両者が予測される。3次元のサーチ空間領域でサーチするとき、サーチ空間領域はグリッド点位置の数を増加するためにより微細な解像度のグリッド間隔へ分割
することができる。これによりユーザ受信機56
は、より正確に
推定位置のその搬送波位相角度を予測することを可能にできる。例えば3次元のサーチ空間領域は約100立方メートルよりも小さい可能性がある。さらに微細な解像度は例えば搬送波波長の一部または約1−3センチメートルを有することができる。
【0074】
基地局の無線補助サービスがGPSエポック時間でその搬送波位相角度測定も提供するなら、ユーザ受信機56はより微細な解像度のグリッドを有するサーチ空間領域における各グリッド点
の搬送波位相測定を予測するためにこの情報を使用できる。ここで
は、ユーザ受信機56は搬送波位相角度の組合せにわたってサーチしない。代わり
に基地局距離と位相角度測定を使用して、
基地局54のコードに対する各グリッド点における位相測定値と搬送波位相測定値を予測する。さらに
、10以下の数の独立した衛星信号は全ての搬送波位相角度の組合せにわたるサーチを含む従来の方法を使用して各グリッド点
の処理が可能であるが、組合せサーチ空間はN乗に比例して増大するので、改良された処理がより多くの信号処理を可能にする。ユーザ受信機クロックオフセットはまた従属相関器のネットワークバンク96の組合された電力出力を最大にする
ように調節され、ここでも最大の電力出力が従属相関器96の
推定位置を示す。この
改良された搬送波位相予測処理の利点は、処理負荷が不確実な領域の
サイズに基づいて
いることであり、したがって、
潜在的には例えばガリレオおよび現代的なGPS衛星が最終的に配備されるときに実現される100までの視野内衛星距離信号へ拡張して、1つのPRNコード信号に関して20dBまでの処理利得が得られることである。
【0075】
別の実施形態では、方法10とシステム50は基地局54からの無線補助なしにユーザ受信機56の
推定位置を決定することができる。この実施形態では、ユーザ受信機56は「ホットスタート」、「後の固定」、「再取得」の動作モードのどの1つでも動作できる。記憶された補助データおよび/または衛星信号データを含んでいないユーザ受信機56は通常「コールド」受信機と呼ばれる。ホットスタートモードは第2のユーザ受信機(図示せず)から補助データを受信することによってユーザ受信機56がその
推定位置を決定することを可能にする。衛星距離信号を処理し、その
推定位置を決定するユーザ受信機は、しばしば「ホット」受信機と呼ばれる。第2のユーザ受信機は任意のGPS処理装置、セル電話局、または時間同期および地理位置情報サービスまたはナビゲーション機会信号、例えば同期されたRF信号をTVまたは無線局から提供する通信衛星を有することができる。第2のユーザ装置はGPS/無線装置のローカルネットワーク内の適切に設計された第2のGPS/無線装置からも得られることができる。
【0076】
後の固定または再取得モードでは、ユーザ受信機56はバッテリ寿命を節約するために自動的にRFフロントエンド部64、基地局受信部62、ナビゲーションシステム66、および/またはユーザインターフェースモジュール58をオフにすることができる。これによりユーザ受信機56に衛星距離信号の処理を停止させる。短い時間の経過後、前述のエレメントはユーザ受信機56の
推定位置をすばやく決定するために自動的にオンに切り換えられる。このユーザ受信機56の
推定位置を決定するためのオフとオンの切換えのシーケンスは時間期間に基づいて行われる。この方法の主な利点は、ユーザ受信機56が基地局補助情報をさらに使用せずに後の固定を得るために動作できるが、代わりに内部に保存されたデータ、その従来の固定からのPRNコード位相データ、その内部クロックにより維持されるような時間を使用して予測されるような初期データを利用することができることである。このシーケンスからの付加的な利点はブレッドクラムのトレールが生成され保存されることができることである。ブレッドクラムのトレールは時間期間にわたって決定された複数の保存された連続的
推定位置を含んでいる。ブレッドクラムのトレールは従来の
推定位置からの内部に保存されたデータに基づいてまたはそれを使用して決定される。各動作モードは他の信号強化または対妨信技術が失敗する可能性があるストレス状態下で動作するためのユーザ受信機56の能力を強化する。
【0077】
方法10とシステム50の別の実施形態では、GPS Navデータ除去は、例えばNAVメッセージデータビット転移境界を超えてコヒーレントな積分時間を延長するために適用されることができる。このデータ除去を
促進するため、ユーザ受信機56はデータビットが相関間隔にわたって予測されることができる適切な時間にサンプルすることが好ましい。基地局54は好ましくは補助及びコード位相情報をほぼ同時に提供する。
【0078】
さらに別の実施形態では、メッセージデータが予測されることができず、ユーザ受信機56による信号受信に先だってユーザ受信機56へ中継されることができないならば、ユーザ受信機56はデジタル化データをバッファできる。バッファはその後、処理する前に基地局54無線補助リンクからのNAVメッセージデータのフィードフォワードを待機できる。
【0079】
さらに別の実施形態では、ユーザ受信機56は、将来の新型のL2とL5の民間及び他の信号で有効であることが予想されるデータ
レスのチップまたはチャンネル上の情報をコヒーレントに一体化できる。
【0080】
処理の複雑性の軽減、1NAVデータ符合間隔に限定される短いコヒーレントな積分時間期間と共に、
性能の軽減が可能であることに注目すべきである。例えば同位相(I)と直角位相(Q)チャンネルからの出力を2乗し、全てのPRNコードチャンネルでI
2+Q
2を合計することによって、相関器の電力出力が非コヒーレントに組み合わせられるならば、
性能の軽減と複雑性の軽減も可能である。この構造では、搬送波位相角度の組合せ94におけるサーチを避けることができる。
【0081】
さらに別の実施形態では、困難な環境において、捕捉/位置固定の反復されたスナップショットタイプは、GPS PRNコード信号の連続的な追跡が失敗したときの状態での
強固な捕捉/再取得とその後の準連続時間ナビゲーション能力を可能にすることができる。それ程困難ではない環境において、
上述の通り得られた解のハンドオフは衛星PRNコードと搬送波信号追跡ループまたはベクトル遅延ロックループを初期化するために行われることができる。連続的に視野中の全てのGPS衛星距離信号を追跡し、解を確認し、Navメッセージデータを復調し、位置、時間、速度評価を精巧にするための超密着結合の実行へのハンドオフも行われることができる。特に、この実行は干渉を受けやすい環境における超密着GPS/INS(完成ナビゲーションシステム)結合の実行を初期化するための
強固な技術も提供する。
【0082】
以下の例は方法10とシステム50の性能を示している。さらに、提示されている各例はMATLABシミュレーションの結果を含んでいる。ユーザ受信機56のシミュレートされた「真」の位置は2次元(または3次元)の地球基準空間領域の随意選択的な位置で取られ、コード位相測定はエポック時間における基地局位置でシミュレートされた。ユーザ受信機56の機能がシミュレートされた。
図8を参照して、理想的な
相関関数が仮定された。
過度な処理負荷を必要とするため、図5と6に示されている搬送波位相角度処理はシミュレートされず、PRNコード信号は搬送波位相角度の損失なく組み合わせられると仮定された。しかしながら、有限のサーチグリッド間隔により、
相関関数ピークからのコード位相オフセットのコード相関損失が存在した。
【0083】
例1では、5つの衛星と、これらの5つの衛星からのL1 C/Aコード(コードチップ=300m)の処理と、初期的な2次元位置と、1kmの時間不確定領域と、1/4チップのインクリメントでのサーチを仮定する。仮定されるユーザ装置アーキテクチャは
図6で示されているように従属相関器のただ1つのネットワークバンクと、100MHzでクロックされる処理ステップからなる。
グリッド時間点の数=(1000m/75m)3=2370
搬送波位相角度の組合せ数=85=32,768
並列サーチセグメントの総数=(2370)*(32,768)=77.7M
100MHz ASICを仮定するサーチの総時間=77.7M/100MHz=0.78秒
1つのPRNコード信号に関する処理利得=5衛星(7.0dB)
図9および10に示されているように、MATLABシミュレーションの結果は1つの衛星が直接的に頭上90度の高度で選択されたN=5衛星の場合の組合された電力表面を示すために提示されている。残りの4つの衛星は45度の高度角度で選択され、+/−とおよび+/−y軸の上方の方位角で均等に隔てられた。使用されたサーチのインクリメントは1/4コードチップであった。各x−yグリッド点において、ユーザ受信機時間オフセットはまた1/4チップのインクリメントでサーチされ、各x−yグリッド点のプロッされた値はユーザ受信機クロック時間間隔サーチにおける最大の組合された電力出力に対応する。
図8に示されているように、各相関器の電力出力は1に正規化された。PRNコードは搬送波位相誤差のために損失なく組み合わされることが仮定された。しかしながらコード位相誤差による損失が存在するならば、幾何学的表面にわたる最大の組合された電力出力は処理されたN=5衛星信号よりもやや小さい。組合された電力の幾何学的表面はシミュレートされた真のユーザ受信機位置、この場合では原点において最大の高さを有する山頂(例えば電力ピーク)の特性を示す。
図9に示されているように、雑音は含まれず、
図10とは異なって、シミュレートされた通常の雑音電力は各PRNコード相関器の出力で12dB=20 log(S/σ)のSNRに等しく(Tc=1秒ではC/N=12dB Hzに等しく)示されている。
図10に示されているように、山頂と、真のユーザ受信機位置近くの最大の電力出力の方向の特性は雑音が存在していてもこのサンプルの実行(run?)で依然として認められる。
【0084】
図9に示されている幾何学的パターンは多数の隆起部を示し、これらは原点で真のユーザ受信機位置に対して三角測量することに注意する。隆起部は幾つかの信号PRNコードの位相が同調しているが全てのN個の信号コード位相と同調していない位置のセットに対応している。例えば選択された幾何学のために、3つの衛星PRNコード信号は依然としてxまたはy軸に沿ったコヒーレントな関係を維持する。しかしながら原点でのみ、全てのN=5のコード位相は一貫性を実現する。
【0085】
例2では、9つの衛星からのL1 C/Aコードの処理と、初期的な2次元位置と、1kmの時間不確定領域と、1/4チップのインクリメントでのサーチを仮定する。この場合、仮定されるユーザ装置アーキテクチャは
図6で示されているように従属相関器の10,000の並行ネットワークバンクからなる。
グリッド時間点の数=(1000m/100m)3=1000
搬送波位相角度の組合せ数=8
9=134.2M
並列サーチセグメントの総数=1000*134.2M/10,000=13.4M
100MHz ASICを仮定するサーチの総時間=13.4M/100MHz=0.13秒
1つのPRNコード信号に関する処理利得=9衛星(9.5dB)
例2によれば、仮定されるハードウェアアーキテクチャの実際上の限界は約N=9または10の独立した衛星信号である。しかしながらこの限界は
図3に示されているような変更された搬送波位相予測処理を使用することにより小さい不確定領域で克服されることができる。
【0086】
図11と12に示されているように、MATLABシミュレーションの結果は1つの衛星が直接頭上にあり、4つの衛星が45度の高度の方位角度で均等に隔てられており、4つの衛星が水平で方位角度が均等に隔てられているN=9衛星のシナリオについて示されている。この場合、シミュレートされた真のユーザ受信機位置はサーチ空間の後部コーナーで選択され、視覚化を改良するためにグリッド及びユーザ受信機の時間オフセットは例2の1/3チップインクリメントではなく1/10チップインクリメントでサーチされた。
図11から認められるように、幾何学的表面は
図12に示されているのとは異なって雑音を含んでいない。
図12は6dB=20log(S/σ)のSNRに対応する(Tc=1秒ではC/N=6dB Hzに等しい)各相関器の出力の幾何学的表面においてシミュレートされた雑音を示している。前述したように真のユーザ受信機位置の最大のピーク方向への傾向は高レベルの雑音が存在しても依然として認められる。ピーク近くの傾向の弁別に関連される改良された性能は1/3チップではなく高い解像度の1/10チップ間隔の使用により示唆される。
【0087】
例3では、基地局に関する搬送波位相角度が基地局からの搬送波位相速度を使用して各グリッド点位置で予測される変更された搬送波位相予測処理方法を仮定する。さらに、100メートルの3次元位置−時間不確定領域を仮定し、この仮定はホットスタート、後の固定、再取得のユーザ受信機モードで、さらに幾つかのネットワーク無線補助GPSモードでも非常に合理的であることに注意する。不確定領域が5cmのグリッド間隔を有する微細な解像度メッシュに分割されることを仮定する。全部で100の処理されるPRNコード信号において視野内の各10のGPS衛星と10のガリレオ衛星からの5のPRNコード距離信号の処理を仮定する。
グリッド時間点の数=(100m/0.05m)
4=1.6×10
13
並行サーチセグメントの総数=1.6×10
13/10,000=1.6B
100MHz ASICを仮定するサーチの総時間=1.6B/100MHz=16秒
1つのPRNコード信号に関する処理利得=(20衛星)*(5コード/衛星)=100(20dB)
例3によれば、仮定されるハードウェアアーキテクチャの実際の限界と、予測される搬送波位相角度を使用する変更された処理は約100メートルの位置−時間不確定領域にあると思われる。損失のない処理利得は単一のPRNコード信号の捕捉に関して20dBである。
【0088】
図13に示されているように、MATLABシミュレーションの結果は各20の衛星からの5つの信号の処理のシナリオについて与えられている。20の衛星はランダムなLOSで選択され、各PRNコード信号の受信された電力レベルは同じであると仮定された。各相関器の出力SNRは0dBとしてシミュレートされ、「真の」ユーザ受信機位置は原点で取られた。電力表面は真のユーザ受信機位置の近くで最大ピークを形成し、それは高い雑音レベルが存在しても迅速に認められる。
【0089】
図14乃至16を参照すると、MATLABシミュレーションの結果は雑音のないN=9衛星の場合について3次元のシミュレーションについて説明されている。この場合、「真の」ユーザ受信機位置は原点、例えば(x,y,z)=(0,0,0)であるように選択された。電力表面の断面が垂直軸zの一定値に対して示されている。示されているように、最大及びピークの予測される傾向はz=0表面(
図14)で示され、z=+500メートル(
図15)とz=+1000メートル(
図16)の表面はz=0でのピークよりも小さい電力を有する多数の局部的な最大のピークを示している。これらの結果は画像処理技術、平滑にされた電力表面から抽出された弁別パラメータを解析し見込解とその信頼性の識別に使用するためのスマートアルゴリズムの使用の効率を示している。
【0090】
説明されている方法10およびシステム50は民間の商用部門と軍事部門の応用の両者におけるストレス状態または弱い信号搬送波対雑音電力比(C/No)状態で動作するのに特に効率的である。この1つの理由は方法10およびシステム50が伝統的なGPS信号処理技術で行われるように任意の信号の2乗を避けることである。SNR<0dBでは、2乗は信号電力に関する雑音電力を増幅する傾向がある。さらに、ここで与えられている方法10およびシステム50は基地局54とユーザ受信機56の両者に共通の誤差の自動除去を可能にし、通常1または2、3の衛星距離信号に影響するマルチパスを免れる。基地局54による処理はユーザ受信機56へ送信される距離データへのマルチパス誤差の導入を最小にすることを助ける。
【0091】
種々の実施形態について説明したが、当業者は本発明の概念から逸脱せずに行われることができる変形または変更を認識するであろう。例はここでの開示を示しており、本発明を限定することを意図してはいない。それ故、説明と特許請求の範囲は自由に解釈されるべきであり、関係する従来技術を考慮して必要であるときにのみこのような限定を有する。