特許第5957074号(P5957074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5957074-創傷の真空治療用デバイス 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957074
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】創傷の真空治療用デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20160714BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   A61M27/00
   A61M1/00 100
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-513165(P2014-513165)
(86)(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公表番号】特表2014-516719(P2014-516719A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】EP2012060101
(87)【国際公開番号】WO2012163943
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2014年10月30日
(31)【優先権主張番号】102011110705.7
(32)【優先日】2011年6月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515073573
【氏名又は名称】ベーエスエン メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイ、アレクサンダー
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−504833(JP,A)
【文献】 特開2004−049704(JP,A)
【文献】 特表2009−504246(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3034369(JP,U)
【文献】 米国特許第6174306(US,B1)
【文献】 米国特許第6261276(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷の真空治療において創傷滲出液を受容するための使い捨てキャニスタ(8)であって、該キャニスタは、真空ポンプ(10)を挿入するための凹部を有し、前記キャニスタと前記真空ポンプは、ポンプが挿入方向にのみ可動であるように互いに固定されることができ、
固定状態において、前記キャニスタは、前記真空ポンプが前記キャニスタへ挿入される側を除いて全ての側面から真空ポンプを取り囲み、前記キャニスタは、前記真空ポンプに取付けられた操作パネル(11)を操作するための凹部と、前記真空ポンプの操作パネルから離れて面した反対側の必要な箇所に、それを通して親指によって前記真空ポンプを掴むための追加の凹部(15)とを含み、
前記キャニスタ及び前記ポンプに取り付けられたクロージャは、前記キャニスタ中の前記ポンプを、前記挿入方向への移動に対して固定でき、
前記真空ポンプに取り付けられる照明(13、14)は、少なくともこの領域において透明な前記キャニスタ(8)の反対の外側に取り付けられる充填レベル目盛(9、12)を直接照らすようにされている
前記使い捨てキャニスタ。
【請求項2】
請求項1に記載の創傷滲出液を受容するための使い捨てキャニスタ(8)中に挿入されるように設計される、創傷の真空治療における創傷滲出液を吸い出すための真空ポンプ(10)であって、該真空ポンプ(10)は、前記使い捨てキャニスタ(8)中に前記ポンプ(10)が挿入されるとき、少なくともこの領域において透明な前記使い捨てキャニスタ(8)の充填レベル目盛(9、12)を照らすための点灯照明(13、14)を有する、前記真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷の真空治療用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
その原理は、例えば、特許文献1の特許明細書において述べられている。そこでは(Here)、真空ポンプによって部分的に空にされた容器は、連続気泡のポリウレタン泡のような創傷泡(wound foam)によって満たされた、そして気密のためフィルムによってシールされた創傷から膿漿を、排水ポートを介して取り除く。その結果、膿漿は、にじみ出る創傷から排出され、そして今日では通常、使い捨てキャニスタとして作られる容器中に集められる。次いで、創傷は、近代的創傷ケアアプローチの意味で湿った状態に留まる。創傷の肉芽形成は創傷の真空治療によって加速される。平均して、それはそのようにして約28日後に既に閉じる。非常に大きな領域の創傷は、それに応じてより長い期間、処置されなければならない。創傷の真空治療は、深くそしてまた平らな(表面の)創傷に対して使用される。この目的のために、異なる創傷充填物がそれに応じて提供される。ポンプによって生み出される吸引真空は創傷のタイプに適合されなければならない。通常の場合、創傷は80〜120mmHg(110〜160hPa)の減圧によって処置される。なかでも、連続的又は間歇的な吸引が、可能な一次的な吸引圧力パターンの中で使用される。連続的な吸引は、患者の痛みの経験に対して有利であることが分かる。ここで組織は、組織の望ましくない解放(undesired relief)を排除するように、連続的に治療される。創傷滲出液を受け取るためのキャニスタは通常、それがポンプハウジングの側部に取り付けられるように、又はそれによって少なくとも部分的に取り囲まれるように、ポンプハウジング上に取り付けられる。そのような創傷の真空治療デバイスは、例えば、固定的使用(stationary use)に対する特許文献2、及び携帯使用に対する特許文献3の特許明細書から公知である。創傷の真空治療の更なる適用が特許文献4の特許明細書において述べられている。
【0003】
創傷の真空治療のためのデバイスの公知の設計に加えて、主として定常モードにおいて、そして時にはモバイルモードにおいても使用できる、創傷の治療デバイスのための費用効果がある設計に対する要求がある。
【0004】
ポンプに関連するキャニスタの種類及び位置は、キャニスタ全体の交換における保全の利便性に、少なくとも部分的に透明なキャニスタの充填レベルの読み取り性に、及びそれがモバイルモードで使用されるときの、ポンプ及びキャニスタから成る創傷の真空処置装置の、患者の体上への装着の快適さ(wearing comfort)に影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,572,340号
【特許文献2】DE69505545T2
【特許文献3】DE69629507T2
【特許文献4】米国7,931,651B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、公知の従来技術よりも、時々携帯使用されることに関する前記要求に有利に適合するポンプ及び使い捨てキャニスタの設計を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の使い捨てキャニスタ、請求項2に記載の真空ポンプ、及び請求項3に記載の両者の組合せによって達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使い捨てキャニスタは、その中にポンプが少なくとも部分的に挿入できる凹部を有する。凹部の壁は、ポンプがこれにより二次元的に使い捨てキャニスタに固定され、そして挿入の方向にのみ可動である程度に、ポンプを取り囲む。ポンプは、追加のクロージャによってこの動きの方向に対してキャニスタに固定される。ポンプハウジングは、このように有利なことに、洗浄目的でのアクセスが困難であり、そしてキャニスタを受容するための鋭い内角を有する凹部を全く有さない。この設計においては洗浄するのが基本的により困難である、巻キャニスタ(winding canister)は、満たされてしまうと、洗浄されるよりもむしろ廃棄される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の有利な実施態様において、キャニスタ及び、その中に挿入されそしてキャニスタが通常の水平操作位置に配列されるとき、キャニスタの充填に無関係に、デバイスの重量分布によって両方のサスペンション点で引張力が常にほぼ等しくあるように、二点サスペンションを用いて患者の体に取り付けできるポンプから成るデバイスに釣り合うようにキャニスタが形成され、キャニスタ中の凹部が位置付けられる。これによって、二つのサスペンション点に取り付けられるベルトを用いてデバイスが装着される時の体上での装着の快適さが増す。
【0010】
本発明の有利な実施態様において、これは互いに二つのサスペンション点を鏡映する鏡面に対して、キャニスタを略対称的にすることによって達成され、ここで、ポンプに対する凹部は、鏡面によって更にほぼ半分に分けられる。
【0011】
本発明の有利な実施態様において、キャニスタは少なくとも外壁の領域において透明であり、そして、そこにその充填レベルが直接読み取ることができる充填レベル表示器が供される。
【0012】
本発明の有利な実施態様において、キャニスタはまた、キャニスタの凹部壁の少なくとも一つの領域においても透明であり、該領域はキャニスタの透明な外壁に対して反対側にあり、そしてその結果、ポンプがキャニスタ中に固定され、そして照明にスイッチが入れられるとき、ポンプ表面内への照明セットは充填レベル目盛を直接照らす。これによって、照明条件が悪い時に、コントラストを増すことで充填レベルの読み取り性が改善される
【0013】
本発明の有利な実施態様において、照明の色は、創傷滲出液によって吸収される可視スペクトル範囲で、可能な最良の方法で選択される。
【0014】
図1は創傷の真空治療の機能的原理を示す。創傷7は、気密であるようにフィルム1を用いてシールされる創傷充填物2で覆われ、そしてその結果、創傷滲出液は排水ホース3での吸引を介して容器4内に吸引され、該容器は真空ポンプ6を用いて、連結部5を介して制御された状態で部分的に空にされる。
【0015】
図2は、上述の本発明の好ましい例示的実施態様の装置の上面図を示す。図3は、タッチパネルの形態でポンプ10に取り付けられた操作パネル11を視野にいれた、装置の実施態様の正面図を示す。ポンプ10は、それを部分的に取り囲んでいる透明キャニスタ8による水平面への移動に抗して固定される。このために、キャニスタ8は、そこからポンプがキャニスタ中に挿入される頂部側を除いた全ての側から、タッチパネル11を操作するのに役立つ凹部を除いてポンプ10を取り囲む。キャニスタ8の傾斜した側面16、17に取り付けられる充填レベル目盛9、12により、創傷滲出液の充填レベルは、タッチパネルを視野に入れた前方からと側部からの両方から読み取ることができる。少なくとも一つの充填レベル目盛9、12は、必要ならば、ポンプハウジングの反対側上の直接照明13、14で照らされる。照明は好ましくは、LED又はOLEDセルとして作られる。例示的な好ましい実施態様において、充填レベル目盛9、12の領域におけるキャニスタ8の厚みはキャニスタ8の主要な他の厚みよりも薄い。これは光がキャニスタ8を通過するとき、吸われた創傷滲出液と結合するキャニスタ充填材料による過剰な吸収によって生じる、充填レベル目盛9、12の不充分な照明を避けるのに役立つ。ポンプを片手でキャニスタから容易に取り外すことができるようにするために、キャニスタ8は、ポンプの操作パネル11から離れて面した反対側上に追加の凹部15を有し、該凹部は親指によってポンプを掴むために役立つ。
【0016】
更に有利な例示的設計において、ポンプ10操作パネル11に対して反対側にあり、そして携帯操作中に体に対して隣接するキャニスタの側部は、患者の体にそって曲げられており、そしてそのために体との接触面が広げられ、装置は体により良く固定でき、装着の快適さが改善される。
図1
図2
図3