(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フレームに取り付けられたツールをさらに備え、前記ツールが、渦電流センサ、超音波センサ、カメラ、塗装ツール、レーザマーキングシステム、及びロボットアームマニピュレータからなる群より選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の移動プラットフォーム。
前記フレームが、第3及び第4の開口、並びに第3及び第4の吸引ゾーンをそれぞれ部分的に画定する第3及び第4の底面をさらに含み、前記第1から第4の吸引ゾーンは正方形又は長方形のアレイに配置され、前記移動プラットフォームは、前記第3及び第4の開口にそれぞれ隣接して取り付けられて、前記ホイールがすべて表面と接触しているとき、前記第3及び第4の吸引ゾーンにそれぞれの吸引力を生成する第3及び第4の吸引装置をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の移動プラットフォーム。
前記フレームに取り付けられたツールをさらに備え、前記ツールが、渦電流センサ、超音波センサ、カメラ、塗装ツール、レーザマーキングシステム、及びロボットアームマニピュレータからなる群より選択される、請求項7または8に記載のシステム。
前記フレームが、第3及び第4の開口、並びに第3及び第4の吸引ゾーンをそれぞれ部分的に画定する第3及び第4の底面をさらに含み、前記第1から第4の吸引ゾーンは正方形又は長方形のアレイに配置され、前記プラットフォームは、前記第3及び第4の開口にそれぞれ隣接して取り付けられて、前記ホイールがすべて表面と接触しているとき、前記第3及び第4の吸引ゾーンにそれぞれの吸引力を生成する第3及び第4の吸引装置をさらに備える、請求項7または8に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
本開示内容は、概して、表面上でツールを運搬するためのシステムに関し、このようなツールには、(限定されないが)非破壊評価(NDE)に使用されるセンサが含まれる。具体的には、本開示内容は、水平でない表面上で動作できるツール運搬履帯自動車に関する。
【0003】
航空機の胴体の表面のような非水平表面を検査するための従来技術によるシステムは、トラックベースのシステム、ツールを位置決めするための大規模なロボットマニピュレータアーム、手持ち式スキャナ、及び差動駆動履帯自動車を含んでいる。「差動駆動」という用語は、ビークルの両側の車輪をそれぞれ独立して駆動することにより旋回を行う一種のビークル運動制御を意味する。四つ以上の車輪を有するビークルでは、この種の運動制御はスキッドステアと呼ばれることもある。このようなビークルは、運動が制限され(すなわち、並行移動と回転運動を同時に行うことができない)、非ホロノミック運動システムと考えられる。
【0004】
航空機の胴体上において、NDE(非破壊評価)走査機器を位置決めする及び移動させるために、非ホロノミック運動履帯自動車を使用することが既知である。この走査プロセスは、所望の走査経路を達成するために、精密な位置及び配向の制御を必要とする。標準的な差動駆動ビークルは、進行方向に垂直に外力が印加されるとき、わずかに横方向にスリップする傾向がある。航空機の胴体の表面を走査する場合、通常は何らかの種類の吸引又は真空引きシステムを用いて、ビークルを表面に引き付ける必要がある。ビークルが胴体の側面上を胴体の側面に沿って水平方向に移動する際、重力という外力がビークルにかかり、ビークルを横方向にスリップさせる。差動ステアビークルは横方向の運動を直接制御することができないため、この種のビークル(すなわち、非ホロノミックなプラットフォーム)によって行われるNDEスキャンは誤差を生じうる。
【0005】
代わりにホロノミックビークルが使用される場合、所望でない運動はすべて直接修正されうる。最も一般的な種類のホロノミックビークルの構成には、メカナム(Mecanum)ホイールと呼ばれる種類の車輪が使用される。メカナムホイールは、複数の個別ローラを有する種類の車輪であり、これらのローラは、ペアで使用されると、いずれの方向のビークル運動(すなわち、ホロノミック運動)も可能にする、これらの車輪は水平表面上ではうまく機能するが、斜面では所望の運動を生成するのに課題を有する。この問題は、所望の移動を行うために必要な力をサポートするためには、すべての車輪が各車輪に十分な牽引力を有さねばならないという要件に起因している。これは特に横向きの運動に当てはまる。
【0006】
非水平表面上でツール運搬ビークルのホロノミックな運動を精密に制御することができるシステムが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態による、二つの吸引ゾーンを有するホロノミック運動履帯自動車の部品の等角図である。図示のコンポーネント及び他のコンポーネントの動作を制御するための信号を供給する電気接続は示されていない。
【
図2】
図1に示すアセンブリのメカナムホイールフレームに関する入力パラメータを示す図である。
【
図3】
図1に示す実施形態による、二つの吸引ゾーンを有する履帯自動車の底面図である。
【
図4】代替え的な一実施形態による、二つの吸引ゾーンを有する履帯自動車の底面図である。
【
図5】複数の動作吸引ゾーンを有する履帯自動車の一部の正面図であり、水平表面により履帯自動車のメカナムホイールにかかる力を示している。
【
図6】複数の動作吸引ゾーンを有する履帯自動車の一部の正面図であり、傾斜表面により履帯自動車のメカナムホイールにかかる力を示している。
【
図7】二つの吸引ゾーンを有するメカナムホイール履帯自動車の試作品の上面図である。
【
図8】A表面の走査がいずれの方向にも行われるアッカーマン操舵ビークルの経路を、Bは表面の走査が一方向にのみ行われるアッカーマン操舵ビークルの経路を、それぞれ示している。Cは、各走査経路の終端において追加的な横方向への運転を行う必要なく表面の走査を実行することができるホロノミック運動ビークルの経路を示している。
【
図9】一端に固定のNDE被走査ヘッドが取り付けられた履帯自動車のメカナムホイールフレームの上面図である。
【
図10】一端にNDE被走査ヘッドが取り付けられた往復運動式履帯自動車のメカナムホイールフレームの上面図である。
【
図11】四つの吸引ゾーンを有する履帯自動車の底面図である。
【
図12】ホロノミック運動履帯自動車を牽引するのに適した画像ベース又はレーザベースのシステムの概略図である。
【
図13】ホロノミック運動履帯自動車を牽引するのに適したモーションキャプチャシステムの概略図である。
【
図14】非破壊検査センサ又はセンサアレイを運搬するホロノミック運動ビークルを用いる航空機の胴体の検査システムを示している。
【
図15】さらなる実施形態による、非水平表面上においてホロノミック運動履帯自動車の運動を制御するためのシステムを示すブロック図である。
【0015】
以下に図面について説明する。複数の異なる図面において、類似の要素は同じ参照番号を有している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
非水平表面上を走行できる履帯自動車の様々な実施形態を以下に開示する。開示されるビークルは、それぞれが、四つのメカナムホイールを有するプラットフォームと、表面に対する十分な牽引力をもってプラットフォームを保持するための吸引力又は真空生成システムとを備える。しかしながら、プラットフォームは、4のいずれかの倍数(例えば、4、8、12など)のメカナムホイールを有してもよい。開示される特定の実施形態は、ビークルが走行する表面を検査するための一又は複数の非破壊検査センサを運搬するが、本明細書に開示される実施形態は、別の構成として他の種類のツール(例えば、整備又は塗装作業に必要なツール)を運搬することができる。
【0017】
メカナムホイールビークルはホロノミックなシステムであり、これは、回転すると同時にいずれの方向にも移動可能であることを意味する。これは、車輪の形状により可能である。メカナムホイール式ビークルの標準的な構成は、四つのメカナムホイール(二つの種類「A」と二つの種類「B」)を有する。メカナムホイールは、一方の対角線上に種類「A」のペアを有し、他方の対角線上に種類「B」のペアを有するように配置され、各ホイールはビークルの中心を通る線に直交する車軸を有する。種類「A」のメカナムホイール上のローラの軸は、種類「B」のメカナムホイール上のローラの軸に直角である。
【0018】
このようなメカナムホイールを有するビークルは、各ホイールの速度及び回転方向を変化させることにより、いかなる方向にも移動させることができ、且つ旋回させることができる。例えば、四つのホイールすべてを同じ速度で同じ方向に回転させることにより前後運動が生じ、片側のホイールを同じ速度で回転させ、反対側のホイールを反対方向に回転させることによりビークルが回転し、さらには種類「A」のホイールを同じ速度で、種類「B」のホイールとは反対方向に回転させることにより横方向への移動が生じる。
【0019】
図1は、一実施形態による、四つのメカナムホイールと二つの吸引ゾーンとを有するホロノミック運動履帯自動車の部品を示す。図示のコンポーネントの動作を制御するための信号を供給する電気接続は示されていない。このホロノミック運動プラットフォームは、それぞれの車軸6によりフレームに取り付けられた四つのメカナムホイール4(二つの種類「A」及び二つの種類「B」)を有するフレーム2を備え、さらに独立して制御される四つのステッパモータ8(ホイール毎に一つ)を備える。メカナムホイール4は、一方の対角線上に種類「A」のペアを有し、他方の対角線上に種類「B」のペアを有するように配置され、それぞれが、ビークルの中心を通る線に直交する車軸6を有する。各ステッパモータ8は、対応するホイール4の回転を制御する。
【0020】
図1に示す実施形態は、さらに、フレーム2の中央部の、前輪と後輪との中間に、横並びに配置された二つの吸引装置10を有する。この特定の実施形態では、各吸引装置はそれぞれ、フレームに形成されたそれぞれの開口(
図1には示さない)に取り付けられる電気ダクテッドファンである。各電気ダクテッドファン10は、軸を中心に回転可能なファン、ファンを取り囲むダクト、及びフレーム下部のそれぞれのチャネル又は空間(以後「吸引ゾーン」と呼ぶ)からファンダクトに空気を押し上げることで、対応する吸引ゾーンに吸引力を生じさせるようにファンを一方向に回転駆動する電気モータを備える。開示される実施形態は垂直なファンの軸を有しているが、垂直に取り付けることはこの設計に重要ではない。例えばビークルの下からファンへの空気入力を導くために湾曲したダクトが用いられるなど、ファンが他の方法で取り付けられている場合も、吸引力を生成することができる。ファンの軸がフレームに垂直である現行の構成は、主にファンの取り付けに便利であるという理由で選択された。この構成のファンは、ビークルを表面に接触した状態に維持することを助けるいくらかの推進推力を供給するが、ファン及び吸引ゾーンがビークルの下で生成する吸引力に比べるとこの推力の量は小さい。
【0021】
二つの吸引ゾーンの両側は、長手方向に延びる表面摩擦の小さい柔軟なスカート部14を境界としている。このスカート部14はフレーム2に取り付けられており、中央のスカート部は二つの吸引ゾーンを分離する共通の境界壁を形成している。スカート部は、それらの底縁が、自動車の走行する表面に接するように、下方に向かって延びていてよい。
【0022】
図1に示さないが、履帯自動車は、ビークル上のステッパモータ8及び電気ダクテッドファン10に電力を供給するケーブルにより、サポートシステムにつなぐことができる。ケーブルは、ステッパモータ及び電気ダクテッドファンの動作を制御するコントローラ(例えば、コンピュータ)からの制御信号も提供する。履帯自動車は、さらに、フレーム2に取り付けられた変換装置(図示しない)を備える。変換装置は、コントローラ(図示しない)からのUSB信号を、パルス幅変調(PWM)信号に変換して、電気ダクテッドファンモータを制御する。
【0023】
代替え的な実施形態によれば、つなぎケーブルを介して電力を受け取るのではなく、履帯自動車はバッテリにより給電される。また、モータコントローラは、つなぎケーブルにより運搬される制御信号によりビークルを管理するための陸上ベースのコンピュータを使用するのではなく、履帯自動車の車上マイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータでもよい。代替え的に、履帯自動車の車上モータは、非車上コントローラへの無線接続を介して制御することができる。
【0024】
図1に示す履帯自動車は四つのメカナムホイールを利用する。各メカナムホイール4は、ホイールの外周に回転可能に取り付けられた複数のテーパ付きローラ16を有し、各ローラはその軸を中心にして自由に回転することができる。これらのローラはホイールの平面に対して45度の角度に置かれた回転軸を有する。種類「A」のメカナムホイールは左回りのローラを有し、種類「B」のメカナムホイールは右回りのローラを有する。ビークルは、各ホイールの速度及び回転方向をを変化させることにより、いかなる方向にも移動させることができ、且つ旋回させることができる。
【0025】
図2に示すように、(コンピュータ制御又は人間による遠隔操作制御のいずれかによる)ナビゲーション制御の観点から、システムへの入力は運動方向ベクトル
(成分V
ty及びV
tx)と、回転速度ωである。等式(1)〜(6)(下記参照)は、必要とされるホイール回転速度を生成するための入力として
とωの変数を使用する。ここで、V
wnは個々のホイールのベロシティ(nは1から4の整数であり、四つのホイールのうちのn番目であることを示す)であり、D及びLは、ビークル上におけるホイールの中心のロケーションを規定するビークルの寸法である。変数a及びbは、回転中心CRを特定するために実行時に修正することが可能なユーザ制御される独立変数である。(
図2において、回転中心はビークルの中心に示されているが、ユーザは回転中心をいずれに特定することもできることに注意されたい。)
V
w1=V
ty−V
tx+ω(a+b) (1)
V
w2=V
ty−V
tx−ω(a’+b) (2)
V
w3=V
ty−V
tx−ω(a’+b’) (3)
V
w4=V
ty+V
tx+ω(a+b’) (4)
a’=D−a (5)
b’=L−b (6)
【0026】
ビークルのフレーム2は、ホイールのすべてをスリップすることなく表面に接触した状態に保つために、何らかの量の弾性コンプライアンスを必要とする。四つのホイールのうちの三つしか表面に接触して牽引力を生成性していない場合、ビークルは運動入力に適切に応答しない。ホイールの接触問題に対処する一つの方法は、捩れ剛性の小さなフレームをつくることである。別の方法は、ホイールの一又は複数のためのサスペンションを設けることである。メカナムホイールビークルが傾斜した表面、垂直表面、又は逆さまの表面の上で適切に機能するために対処が必要な別の問題が存在し、特に適切なビークル運動を生成するために、ホイールにかかる力が、必要とされる牽引力を生成するために十分であることが必要である。ホイールのうちの一又は複数がスリップ又は失速を始めると、ビークルのその一角に必要とされる力が生成されず、その結果ビークル全体の運動が望ましくないものになる。
【0027】
この問題を解決するために、本明細書に開示される履帯自動車には複数の吸引力又は真空生成装置が設けられ、それらはフレームの対応する開口に取り付けられて、独立して制御することが可能な吸引ゾーンを生成する。これらの独立して制御される吸引ゾーンにより、システムは、接触表面によりホイールにかかる力の量を制御することができる。
【0028】
図3は、
図1に示した履帯自動車の底面図である。フレーム2の下部は、二つの低圧領域12(本明細書では「吸引ゾーンと呼ぶ)を提供するような形状を有し、非水平表面に適合する、表面摩擦の小さなスカート部(前述。
図3には示さない)を有している。各電気ダクテッドファン10は、フレーム内の対応する開口内に設置されており、フレーム底面とスカート部とにより画定される対応の吸引ゾーン12と流体連通する。ファン10がオンにされると、各ファンにより空気が上方へ押し上げられることにより、成型された吸引ゾーン12から空気が吸引される。電気ダクテッドファン10は、対応の吸引ゾーン12の下部の表面に様々な吸引力を印加するために、独立して制御することができる。
【0029】
図4に示す代替え的な実施形態によれば、吸引ゾーン12は、フレームの下に横並びで配置される代わりに、前後に配置されている。このような設計により、履帯自動車は垂直方向の走査に最適となり、一方
図3に示す吸引ゾーンの構成は、水平方向の走査に最適な履帯自動車を提供する。
【0030】
ビークルの下の種々のゾーンの吸引を制御できることにより、ホイールに対し、制御対象表面に垂直な方向に荷重をかけることができ、これは等式F=μN(Fは横方向の力、μは摩擦係数、Nは垂直力)用いてホイールにかかる横方向の力を増大させることを可能にする。
【0031】
単一の真空生成要素(例えば、電気ダクテッドファン)により動力供給される吸引ゾーンを一つしか有さない履帯自動車を構成しようとしても、結果として傾斜表面によりビークルにかかる力は、下方のホイールにかかる垂直力及び横方向の力が、上方のホイールにかかる対応の力よりずっと大きいために、その表面上での運動を精密に制御することには貢献しない。このようなシステムに結果として生じる問題は、システムが、傾斜表面又は垂直表面上において適切に動かないということである。ファンは、ビークルを傾斜表面上に保持するために十分な吸引力を生成するが、システムが吸引ゾーンを一つしか有さないことにより、ビークルの左側及び右側にそれぞれ位置するホイールに不均等な摩擦力及び不均等な垂直力が生成される。傾斜表面の低い位置に配置されるホイールは、常に、高い位置に配置されるホイールより大きな垂直牽引力を有する。
【0032】
重要なのは、不均等なホイール力により先述の運動制御問題が生じるということがである。この問題を解決するためには、力を均衡させる方法を見つけることが必要である。力は、
図3及び4に示すように少なくとも二つの吸引ゾーン12を含むように履帯自動車を設計することにより均衡される。
【0033】
図5は、
図3に示す履帯自動車のメカナムホイール4に対して、水平表面によってかかる力を示す図である。それぞれの電気ダクテッドファン10により生成される吸引力が均等であるとき、ビークルの左側と右側のメカナムホイール4にかかる垂直力は等しく、すなわちN1=N2である。
【0034】
図6は、
図3に示す履帯自動車のメカナムホイール4に対して、傾斜表面によってかかる力を示す図である。電気ダクテッドファン10の速度を制御して、それぞれの吸引ゾーン12に異なる吸引力をつくり出すことができる。高い位置に配置された電気ダクテッドファンにより生成される吸引力が、低い位置に配置された電気ダクテッドファンにより生成される吸引力より大きいとき、傾斜面によってビークルの左側と右側のメカナムホイール4にかかる摩擦力及び垂直力が均等に、すなわちF
1’=F
2’、且つN
1’=N
2’となる。このように、上側のゾーン内の吸引力を下側のゾーン内の吸引力に対して増大させることができ、それにより上方のホイールにかかる垂直力が増大する。それぞれの電気ダクテッドファンは、ビークルの位置する非水平表面の傾斜角の関数として制御される。ゾーン12間の均衡は、フレーム2に取り付けられてフレームと重力ベクトルmgとの間の相対的角度を測定する、電子傾斜計センサのようなセンサ(図示しない)を使用することにより制御することができる。電子傾斜計センサはコントローラに傾斜角データを返し、コントローラはこのデータを使用して電気ダクテッドファンを制御する。
【0035】
図1及び3に示す実施形態は、独立して制御される二つの吸引ゾーン12を有し、このゾーン内の吸引力は電気ダクテッドファン10により提供される。他の吸引力生成装置を使用してもよい。さらに、ビークルには左右の吸引ゾーンの複数のペアを設けることができる。例えば、必要に応じて、四つの吸引ゾーン12からなる正方形又は長方形のアレイを実施してもよい。このような構成は
図11に示される。
【0036】
図7は、共通のスカート部14によって分離される二つの吸引ゾーン12を有するメカナムホイール式履帯自動車の試作品の底面図であり、共通スカート部14は、長手軸に沿ってフレームの底面を二つに分けている。この特定の構成では、上のスカート部14と中央のスカート部14との間にある底面の上側半分で構成される平坦な中央表面36に開口があり、この開口の中に電気ダクテッドファンが取り付けられる。平坦な中央表面36は、前方及び後方の凸状表面38及び40により側面を保護される。各凸状表面38及び40は、ビークルが移動する表面の対向部分と共に対応するのど部を形成する空力的流線形表面である。このように、フレームの曲線的底面と、スカート部と、ビークルの移動する表面とは、対応する電気ダクテッドファンにより所望の吸引力を生成するために十分な空気を吸引することができるそれぞれのチャネルを画定する。各チャネルの、凸状表面38の最下点と凸状表面40の最下点との間に位置する部分は、それぞれの吸引ゾーン12を形成する。
図7に示す特定の実施形態では、吸引ゾーンは中央のスカート部により分離されており、ダクテッドファンが取り付けられている対応の開口と流体を連通させる。これらの開口は、吸引ゾーンから空気が流れ易くなるように、その最下部に向かって概ね円錐形を有することができる。
【0037】
図7に示す本体下部の表面形状は例示的実装態様であることを理解されたい。本体下部表面は、ビークルの正面及び後部からビークル下部の空間を通って電気ダクテッドファンのダクトを上昇する気流の形成に貢献するような、様々な形状を有することができる。
【0038】
本明細書に開示されるシステムは、メカナムホイール式プラットフォームの方向制御の利点と、傾斜表面、垂直表面、又は逆さまの表面上で作業できる能力とを組み合わせている。検査表面に付着する検査システム、又は大規模なロボット式マニピュレータアームを使用するシステムと比較して、履帯自動車は、検査できる領域の種類に大きな柔軟性を有し、オペレータ及び検査対象オブジェクトにとって高い安全性を有する。他のシステムを凌駕する本明細書に開示されるシステムの主な利点は、(制御された吸引システムにより)どのような表面上においても、滑ることなくビークルの位置を保持する能力と、(ホロノミック運動プラットフォームにより)いずれの方向にも移動できる能力とを組み合わせていることである。
【0039】
水平表面、傾斜表面、及び垂直表面(さらには可能であれば逆さまの表面)上で移動できるホロノミック運動システムにより、検査及び他の種類の用途のための多目的運動制御が可能になる。想定される検査用途の種類の場合、ホロノミック運動制御により、システムオペレータは、アッカーマン操舵装置を有する標準的な非ホロノミックビークルと比較して、経路計画の効率を上げることができる。アッカーマン操舵装置は、車両のようなビークルに見られる旋回を制御するための操舵システムの一種であり、この装置では、各ホイールの車軸から延びるベクトルが同じ点で交差する。この種のビークルは非ホロノミック運動を行う。
【0040】
図8Aは、双方向に表面走査20を行うことができる(すなわち、ビークルは前後いずれにも移動することができる)アッカーマン操舵式ビークルの経路を示し、
図8Bは、同じビークルが一方向にのみ走査可能な(すなわち、ビークルは前方に移動できるが後方に移動できない)場合を示している。上記のいずれの場合も、走査経路の末端において、ビークルを次の通行のために適切に位置合わせするために追加的な操作を必要とする(
図8A及び8Bの点線22及び24によってそれぞれ示される)。これとは異なり、前方又は後方に向かって走査を行うことができる状況について、ホロノミックシステムは、
図8Cに示すように、横方向に並行移動することにより、経路26を介して一の走査セグメント20から次のセグメントの始点に直接移動することができる。ホロノミックビークルは、方向を変えるときも、取り付けられたNDI(非破壊検査)センサの、検査表面に対する配向を維持することができる。このような能力は、構造的端部近傍でも検査データが収集され続け、ビークルが次の通行のために方向を変えるときに検査時間が無駄にならないために、有利である。非ホロノミックビークルは、経路を修正するために横方向に並行移動することができない。このことは、経路の形状の制御に重要である。
【0041】
前方への走査方向のみが可能である状況では、本明細書に開示される種類のメカナムホイール式ビークルは、
図8Cに示すように、(経路26に沿って)下方へと並行移動すると同時に180度回転するようにビークルを制御することにより、それぞれ180度旋回することができる。ホロノミックビークルの場合、外的な基準フレームを用いて運動方向(例えば、「下方へ」)が規定可能であり、このフレームは次いで、ビークルの位置及び配向が追跡されるとき、ビークルを中心とする座標に変換可能であることに注意されたい。
【0042】
傾斜表面、垂直表面、又は逆さまの表面上で上記のような回転操作を行う間、メカナムホイール式ビークルの下の複数のゾーン内の吸引力は、垂直方向のホイール荷重が変化するにつれて、制御ソフトウェア又はハードウェアにより自動的に変更される。吸引力の変更は、ホイールにかかる荷重を均衡させるために実行される。また、種々のゾーンの吸引力は、ビークルが湾曲表面上を移動するにつれて変化する。いくつかの実施形態では、傾斜計のような重力ベクトル感知装置からのデータを使用することにより、各ゾーンの吸引力の相対量が制御される。他の実施形態では、各ホイールに荷重センサを使用して、必要とされる吸引の量を決定してもよい。
【0043】
本明細書に開示される履帯自動車は、複数の用途を有する。一応用例では、履帯自動車は、渦電流センサを運搬するが、超音波センサといった他の種類のセンサを運搬してもよい。センサは単一の感知要素でも、感知要素のアレイでもよい。カメラ、ツール、塗装装備、レーザマーキングシステム、ロボットアームマニピュレータ、又は他のデバイスもプラットフォームによって運搬されてよい。
図9は、フレームの一端に取り付けられた固定の超音波センサユニット28を有する履帯自動車の一バージョンである。超音波センサユニット28は、ビークルが進む方向に向かってその下の表面を走査することができる。超音波センサは単一の超音波感知要素でも、超音波感知要素のアレイでもよい。
図10は、フレームの一端に固定されたトラック32上に取り付けられた走査超音波センサユニット30を有する履帯自動車の別のバージョンである。超音波センサユニット30は、トラック32に沿って前後しながら、ビークルが静止している間にその下の表面の一横断エリアを走査することができる。この場合も、超音波センサは、単一の感知要素でも、感知要素のアレイでもよい。ビークルが、前方に向かって段階的に移動し、一段階移動するごとに一時停止することにより、超音波センサユニット30は、横断ラインに沿って走査することができる。別の構成では、履帯自動車及び走査ヘッドの移動を制御することにより一表面エリアを他のパターンで走査するようにコントローラをプログラムすることができる。
【0044】
本明細書に開示されるビークルがターゲットとする一の用途は、航空機の胴体の上を移動する履帯自動車を利用する航空機の非破壊検査(NDI)システムである。このシステムの要件は、ビークルが胴体の長さに沿って前方から後方へ移動する際に直線上で一定の速度を維持することである。(このようなシステムの一例は、米国特許出願第13/160238号に詳しく記載されている。)追跡システムは、有向ビーム制御システム、画像ベースの追跡システム、又はモーションキャプチャシステムといった非機上システムとすることができる。
【0045】
有向ビーム制御システムの場合、コンピュータ制御される機器がビームレシーバのターゲット表面上にビーム(レーザ)スポットを方向付けることにより、ビークルの位置及び配向が制御される。適切な有向ビーム制御システムは、米国特許出願第13/206269号に記載されているものである。
【0046】
別の実施形態によれば、追跡システムは、
図12に示す種類の局所位置決めシステムを用いる米国特許出願公開第2010/0085437号に記載されているような、画像ベースの追跡システムである。
【0047】
図12に示される局所位置決めシステムは、自動(遠隔制御)ズーム能を有しうるビデオカメラ44を備える。ビデオカメラ44は、さらに、ビデオカメラの光学画像フィールドディスプレイ内部の一点の精密な位置確認を容易にする一体型の十字カーソル生成器を含むことができる。ビデオカメラ44は、コンピュータ48により制御されるパンチルト機構46上に支持される。パンチルト機構46は、垂直なアジマス(パン)軸と水平な仰角(チルト)軸とを中心とする選択された角度にビデオカメラ44の位置を調節するように制御される。三脚45(又はパンチルト機構を取り付ける他のプラットフォーム)の固定の座標系を基準としてカメラの配向を説明する方向ベクトルは、アジマス角及び仰角と、カメラが対象点に焦点を当てたときの光学場の十字マーカの中心の位置とに基づいて決定される。この方向ベクトルは、カメラのレンズから延びてターゲットオブジェクト42上の一のロケーションと交差するライン43と考えることができる。
図12の局所位置決めシステムは、米国特許第7859655号に記載されている。
【0048】
ビデオカメラ44及びパンチルト機構46はコンピュータ48によって操作される。コンピュータ48は、ビデオ/制御ケーブル47を介してビデオカメラ44及びパンチルト機構46と通信する。別の構成として、コンピュータ48は、無線通信経路(図示しない)によりビデオカメラ44及びパンチルト機構46と通信してもよい。
【0049】
コンピュータ48に、三次元(3−D)ローカライゼーションソフトウェアをローディングすることができる。3−Dローカライゼーションソフトウェアは、ターゲットオブジェクト42(例えば、履帯自動車)上に離れて位置する複数の較正点を使用して、ターゲットオブジェクト42に対するビデオカメラ44のロケーション(位置及び配向)を規定することができる。較正点は、ターゲットオブジェクト42に対するカメラの位置及び配向の値を求めるため、パンチルト機構46のアジマス角及び仰角と併せて使用することができる。
【0050】
レーザ距離計(図示しない)をカメラ44に取り付けて、方向ベクトル43と位置合わせすることができる。レーザ距離系は、ターゲットオブジェクト42(例えば、検査ビークル)までの距離を測定するように構成される。レーザ距離計は、ターゲットオブジェクトによって反射されたレーザビームに応答して検出されるレーザ光に基づいて距離を演算するように構成されたレーザ及びユニットを有することができる。
【0051】
ターゲットオブジェクト42に対するビデオカメラ44の位置及び配向が決定されて、カメラ姿勢変換行列が生成されたら、カメラパンデータ(アジマス軸を中心としたビデオカメラ44の回転角度)とチルトデータ(仰角を中心としたビデオカメラ44の回転角度)とを、ビデオカメラ44の算出された位置及び配向と併せて使用することで、ターゲットオブジェクトの座標系内において、ターゲットオブジェクト42上の任意の対称点のX、Y、及びZ座標を決定することができる。
【0052】
さらなる代替例によれば、追跡システムは
図13に示す米国特許第7643893号に記載の種類のモーションキャプチャシステムでもよい。このようなモーションキャプチャシステムを使用することにより、NDIセンサ52、照明、及び逆反射マーカ(図示しない)を運搬するホロノミック運動履帯自動車50は、検査対象表面(例えば、航空機の翼51の表面)上を走行する際に、複数の非車上カメラ54を用いて追跡可能である。
図13に示す実施形態のモーションキャプチャプロセッサ56は、モーションキャプチャカメラ54のすべてのインスタンスからリアルタイム画像情報を収集し、データを処理し、専用又はネットワーク接続に沿って履帯ナビゲーション及び制御コンピュータ58に処理済みのデータを送る。履帯自動車50の位置及び配向は、有線又は無線の制御リンク(点線の矢印で示す)を介して履帯ナビゲーション及び制御コンピュータ58によって制御される。このような制御はモーションキャプチャプロセッサ56から受け取られた処理済みデータに基づいて行われる。
【0053】
図14は、非破壊検査システム62がホロノミック運動検査ビークル64を使用して航空機の胴体78を検査する検査環境60を示している。ビークル64は、非破壊検査センサ又はセンサアレイ65を運搬する。ビークルが胴体78の表面上を移動するとき、センサ又はセンサアレイ65が、従来の方式により異常又は欠陥を探して胴体表面全体をスキャンする。
【0054】
ビークル64は、さらに、表面に光学的ターゲット(図示しない)が取り付けられる構造66と、フレキシブルケーブル82の端部を固定するコネクタ(図示しない)とを備える。光学的ターゲットは、ビークル64の位置及び配向の決定に使用されるデータを獲得するために、位置検出システム70及び72と共に使用することができる。各位置検出システム70、72は、カメラ、レーザ距離計及びパンチルトユニットを備えることができる。このような位置検出システムの機能性については、
図12を参照して上述した。位置検出システム70、72は、それぞれのケーブル及びネットワークスイッチ76を介して、獲得したデータをコントローラ74に送る。コントローラ74は、位置検出システムから受け取ったデータに基づいて検査ビークル64の位置及び配向を決定するようにプログラムされたコンピュータ又はプロセッサを含むことができる。
【0055】
ビークル64は、柔軟性のブーム80により支持されるケーブル82を含む支持システムに接続される。柔軟性のブーム80は、移動フレーム84に取り付けられる。ケーブル82は、選択的に、リール88からたぐり出す、又はリール88に巻きつけることができ、検査ビークル64が胴体表面から外れた場合にケーブルが検査ビークル64を支持するテザーとして機能するようなたるみの量が維持される。ケーブル82は、さらに、地上の電源(図示しない)から、検査ビークル64上のステッパモータ及び電気ダクテッドファンに電力を供給するための線と、センサデータをコントローラ74に(電気ケーブル86を介して)通信するための線とを含むことができる。
【0056】
図15は、さらなる実施形態による、非水平表面上においてホロノミック運動履帯自動車の移動を制御するためのシステムのコンポーネントを示す。ビークル位置コントローラ90は、位置検出システム92からビークルの位置及び配向を表すデータを、センサ(群)94からデータを、それぞれ受け取る。センサ(群)94は、例えば、ビークルの傾斜角を表すデータを提供する傾斜計又は各ホイールにかかる荷重を表すデータを提供する対応のセンサを含むことができる。コントローラ90は、上方を処理して:(1)位置/配向データの関数としてステッパモータ8を制御し、(2)センサデータの関数として電気ダクテッドファン(EDF)10を制御する。
【0057】
本明細書に開示される履帯自動車は、多くの潜在的な使途を有する多目的運動プラットフォームである。上述のNDI履帯自動車の用途の他に、この種のシステムを用いて検査、整備、及び塗装といった他のタスクを行うことができる。
【0058】
種々の実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変形例が可能であること、及びその要素を同等物に置換することが可能であることを理解するであろう。加えて、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に多数の修正を加えて特定の状況に適応させることが可能である。したがって、本発明は、本発明を実行するために考慮されるベストモードとして、開示される特定の実施形態に限定されることはない。
また、本発明は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
第1及び第2の開口、並びに第1及び第2の吸引ゾーンをそれぞれ部分的に画定する第1及び第2の底面を含むフレーム(2)と、
前記フレームに回転可能に取り付けられた複数のホイール(4)であって、各々が、前記ホイールの回転軸に非平行な回転軸を有する対応の複数のローラを含む複数のホイール(4)と、
ホイールと同数の複数のモータ(8)であって、各々が、前記ホイールのうちの対応の一つを回転駆動するように動作可能である複数のモータ(8)と、
前記第1及び第2の開口にそれぞれ隣接して取り付けられて、前記ホイールがすべて表面と接触しているとき、前記第1及び第2の吸引ゾーン(12)にそれぞれ吸引力を生成する第1及び第2の制御可能な吸引装置(10)と
を備える移動プラットフォーム。
(態様2)
前記複数のモータ(8)、並びに前記第1及び第2の吸引装置(10)を独立して制御するようにプログラムされたコントローラ(90)をさらに備える、態様1に記載のプラットフォーム。
(態様3)
前記フレームと重力ベクトルとの間の相対角を測定するために前記フレーム上に設置されたセンサをさらに備え、前記コントローラが、前記第1及び第2の吸引装置(10)を制御して、前記相対角の関数であるそれぞれの吸引力を生成させるようにプログラムされている、態様2に記載のプラットフォーム。
(態様4)
接触する表面により各ホイールにそれぞれかかる垂直力を検出する複数の荷重センサをさらに備え、前記コントローラが、前記第1及び第2の吸引装置を制御して、前記荷重センサからの出力の関数であるそれぞれの吸引力を生成させるようにプログラムされている、態様2に記載のプラットフォーム。
(態様5)
前記第1及び第2の吸引装置(10)がそれぞれ電気ダクテッドファンである、態様1に記載のプラットフォーム。
(態様6)
前記フレームに取り付けられたツールをさらに備え、前記ツールが、渦電流センサ、超音波センサ、カメラ、塗装ツール、レーザマーキングシステム、及びロボットアームマニピュレータからなる群より選択される、態様1に記載のプラットフォーム。
(態様7)
前記フレームに取り付けられて前記フレームから下方へと延びる、表面摩擦の小さな第1から第3の柔軟性のスカート部(14)をさらに備え、前記第1の吸引ゾーンの両側は前記第1と第2のスカート部とを境界としており、前記第2の吸引ゾーンの両側は前記第2と第3のスカート部とを境界としている、態様1に記載のプラットフォーム。
(態様8)
前記フレームが、第3及び第4の開口、並びに第3及び第4の吸引ゾーンをそれぞれ部分的に画定する第3及び第4の底面をさらに含み、前記第1から第4の吸引ゾーンは正方形又は長方形のアレイに配置され、前記プラットフォームは、前記第3及び第4の開口にそれぞれ隣接して取り付けられて、前記ホイールがすべて表面と接触しているとき、前記第3及び第4の吸引ゾーンにそれぞれの吸引力を生成する第3及び第4の吸引装置をさらに備える、態様1に記載のプラットフォーム。
(態様9)
非水平表面上でツール又はセンサを移動させるためのシステムであって、プラットフォームとコントローラとを備えており、
前記プラットフォームが、
第1及び第2の開口、並びに第1及び第2の吸引ゾーン(12)をそれぞれ部分的に画定する第1及び第2の底面を含むフレーム(2)と、
前記フレームに回転可能に取り付けられた複数のホイール(4)であって、各々が、前記ホイールの回転軸に非平行な回転軸を有する対応の複数のローラを含む複数のホイール(4)と、
ホイールと同数の複数のモータ(8)であって、各々が、前記ホイールのうちの対応の一つを回転駆動するように動作可能である複数のモータ(8)と、
前記第1及び第2の開口にそれぞれ隣接して取り付けられて、前記ホイールがすべて前記非水平表面と接触しているとき、前記第1及び第2の吸引ゾーン(12)にそれぞれの吸引力を生成する第1及び第2の制御可能な吸引装置(10)と
を含み、
前記コントローラ(90)が、前記複数のモータ、並びに前記第1及び第2の吸引装置(10)を独立して制御するようにプログラムされる、システム。
(態様10)
前記フレームと重力ベクトルとの間の相対角を測定するために前記フレーム上に設置されたセンサをさらに備え、前記コントローラが、前記第1及び第2の吸引装置を制御して、前記相対角の関数であるそれぞれの吸引力を生成させるようにプログラムされている、態様9に記載のシステム。
(態様11)
接触する表面により各ホイールにそれぞれかかる垂直力を検出する複数の荷重センサをさらに備え、前記コントローラが、前記第1及び第2の吸引装置を制御して、前記荷重センサからの出力の関数であるそれぞれの吸引力を生成させるようにプログラムされている、態様9に記載のシステム。
(態様12)
前記第1及び第2の吸引装置(10)がそれぞれ電気ダクテッドファンである、態様9に記載のシステム。
(態様13)
前記フレームに取り付けられたツールをさらに備え、前記ツールが、渦電流センサ、超音波センサ、カメラ、塗装ツール、レーザマーキングシステム、及びロボットアームマニピュレータからなる群より選択される、態様9に記載のシステム。
(態様14)
前記フレームが、第3及び第4の開口、並びに第3及び第4の吸引ゾーンをそれぞれ部分的に画定する第3及び第4の底面をさらに含み、前記第1から第4の吸引ゾーンは正方形又は長方形のアレイに配置され、前記プラットフォームは、前記第3及び第4の開口にそれぞれ隣接して取り付けられて、前記ホイールがすべて表面と接触しているとき、前記第3及び第4の吸引ゾーンにそれぞれの吸引力を生成する第3及び第4の吸引装置をさらに備える、態様9に記載のシステム。
(態様15)
前記プラットフォームに接続されるケーブルをさらに備え、前記モータ及び前記吸引装置は前記ケーブルを介して電力を受け取る、態様9に記載のシステム。
(態様16)
前記プラットフォームに接続されるケーブルをさらに備え、前記コントローラは前記モータに前記ケーブルを介して制御信号を送る、態様9に記載のシステム。
(態様17)
ツール又はセンサを用いて非水平表面を走査するための方法であって、
(a)ツール又はセンサ運搬ホロノミック運動ビークルを、走査対象の非水平表面に接触させて配置することと、
(b)前記ホロノミック運動ビークルのホイールを前記非水平表面に接触した状態で保持する吸引力を生成することと、
(c)ステップ(b)を実行する間に、前記ツール又はセンサを起動することと、
(d)ステップ(b)及び(c)を実行する間に、前記非水平表面に対し、経路に沿ってビークルを移動させるように前記ホイールの回転を制御することと
を含む方法。
(態様18)
前記ビークルのフレームと重力ベクトルとの間の相対角を測定することをさらに含み、ステップ(b)が、第1の吸引ゾーンに第1の吸引力を、第2の吸引ゾーンに第2の吸引力をそれぞれ生成することを含み、前記第1及び第2の吸引力が、前記相対角の測定値の関数である大きさの差を有している、態様17に記載の方法。
(態様19)
前記接触表面により前記ビークルの各ホイールにかかる垂直力を測定することをさらに含み、ステップ(b)が、第1の吸引ゾーンに第1の吸引力を、第2の吸引ゾーンに第2の吸引力をそれぞれ生成することを含み、前記第1及び第2の吸引力が、前記垂直力の測定値の関数である大きさの差を有している、態様17に記載の方法。
(態様20)
前記ホロノミック運動ビークルは、前記ホロノミック運動ビークルが移動するときに前記非水平表面を走査して、前記非水平表面の及び/又は前記非水平表面下の一体性を示す電気信号を生成するセンサ又はセンサアレイを運搬する、態様17に記載の方法。