特許第5957093号(P5957093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957093
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】太陽光発電パネルの洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/38 20060101AFI20160714BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20160714BHJP
   H02S 40/10 20140101ALI20160714BHJP
【FI】
   A47L11/38
   B08B1/04
   H02S40/10
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-551348(P2014-551348)
(86)(22)【出願日】2014年3月4日
(86)【国際出願番号】JP2014001186
(87)【国際公開番号】WO2015132815
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2014年10月17日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 博覧会 「PV EXPO 2014」 第7回国際太陽電池展 開催場所 東京ビックサイト(東京都江東区有明3−11−1) 主催者 リード エグジビジョン ジャパン株式会社 開催日 2014年2月26日〜2014年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】515027772
【氏名又は名称】株式会社 スカイロボット
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】上瀧 良平
(72)【発明者】
【氏名】貝應 大介
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0206173(US,A1)
【文献】 特開2004−186632(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02437001(EP,A1)
【文献】 特開2014−022524(JP,A)
【文献】 特開2011−001800(JP,A)
【文献】 特開2001−186998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00−1/04
5/00−13/00
H01L 31/02
31/0216−31/0224
31/0236
31/0248−31/0256
31/0352−31/036
31/0392−31/078
31/18
51/42−51/48
H02S 10/00−10/40
30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネルの上端および下端の間に渡設されるガイドレールからなる移動フレームと、該移動フレームのガイドレールに沿って移動自在に設置される太陽光発電パネルを洗浄する清掃体と、からなる太陽光発電パネルの洗浄装置において、
前記移動フレームと前記ガイドレールに装備する前記清掃体を載架した洗浄装置が水平方向に移動しながら太陽光発電パネルの表面を全面に渡って洗浄清掃するように、
前記移動フレームは、前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に太陽光発電パネルに沿って移動自在に設置されているとともに、
前記清掃体は、前記ガイドレールと平行して回転自在に設置される筒状からなる複数の回転洗浄ブラシと、太陽光発電パネルに接する位置に設けられ前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に軸回転する複数の移動用車輪と、該移動用車輪および前記回転洗浄ブラシに回転動力を供給する駆動装置と、前記駆動装置の回転動力を前記回転洗浄ブラシおよび前記移動用車輪に伝達する動力伝達手段と、からなることを特徴とする太陽光発電パネルの洗浄装置。
【請求項2】
前記移動フレームは、前記洗浄装置が前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に移動自在となるように、太陽光発電パネルを上下から挟持する上下一対の固定部材を装備するとともに、前記固定部材の太陽光発電パネルとの接触部に一または複数からなる補助車輪を設けたことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電パネルの洗浄装置。
【請求項3】
前記動力伝達手段は、
前記駆動装置から前記移動用車輪に動力を伝達する車輪用チェーンと、前記回転洗浄ブラシ毎に設置されるブラシ回転ユニットと、からなり、
前記ブラシ回転ユニットは、前記移動用車輪の回転を前記回転洗浄ブラシに伝達する第一チェーンと第二チェーンと、該第一チェーンと該第二チェーンとの間に設置される前記移動用車輪と前記回転洗浄ブラシの回転比を変更するためのプーリーと、からなることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電パネルの洗浄装置。
【請求項4】
前記回転洗浄ブラシは、太陽光発電パネルの上下左右の端縁まで清掃できるように、駆動装置の上下幅より長い全長からなるとともに、駆動装置の両側にそれぞれ第一ブラシと第二ブラシが、駆動装置の上下左右の移動幅より広い範囲にブラシの先が到達する位置に配設されていることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電パネルの洗浄装置。
【請求項5】
太陽光発電パネルの上端および下端の間に渡設されるガイドレールからなる移動フレームと、該移動フレームのガイドレールに沿って移動自在に設置される太陽光発電パネルを洗浄する清掃体と、からなる太陽光発電パネルの洗浄装置において、
前記移動フレームと前記ガイドレールに装備する前記清掃体を載架した洗浄装置が水平方向に移動しながら太陽光発電パネルの表面を全面に渡って洗浄清掃するように、
前記移動フレームは、前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に太陽光発電パネルに沿って移動自在に設置されているとともに、
前記清掃体は、前記ガイドレールと平行して回転自在に設置される複数の回転洗浄ブラシと、太陽光発電パネルに接する位置に設けられ前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に軸回転する複数の移動用車輪と、該移動用車輪および前記回転洗浄ブラシに回転動力を供給する駆動装置と、前記駆動装置の回転動力を前記回転洗浄ブラシおよび前記移動用車輪に伝達する動力伝達手段と、からなることを特徴とする太陽光発電パネルの洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光のエネルギーを利用して発電を行う太陽光発電パネルを洗浄するための洗浄装置に関し、特に、太陽光パネルの全面を隅(端縁)まで効率よく自動洗浄するとともにメンテナンス容易とした消費電力の少ない太陽光発電パネル洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽光発電パネルによる発電が広く行われており、発電効率を上げた大容量の太陽光発電パネルが開発されて使用されている。太陽光発電パネルには、個人用途等を目的とした小型のパネルから、大規模発電を行うための業務用の大型太陽光発電パネルまで様々な規模、形状、仕様、規格のものが存在している。
【0003】
太陽光発電パネルの基本原理は、光子を用いた光起電力効果によって発電を行うものであり、パネル面に太陽光が照射されることにより起電力が生じるため、発電効率が高くても、汚れやゴミの付着などによって光が遮られると発電効率が低下または不能となる事態に陥る事となる。
【0004】
また、特に大規模発電を行うための太陽光発電施設は、太陽光を受ける面積を充分に確保する必要があるため、屋根等が設置されていない屋外へ配置される場合が多い。しかし、風雨によるパネル面の汚染、積雪、鳥の糞害、砂泥の付着のほか、噴火による降灰などの自然災害によりパネル面が汚れて直射日光が遮られることにより、高い発電効率を持続することが困難になるので、太陽光発電パネルの定期的な洗浄は必須となっている。
【0005】
このような問題点を解消するための技術として、特開2010−186819号が存在している。ここでは、ソーラーパネル上に置かれる4足歩行手段を装備したソーラーパネル清掃装置が、自動でソーラーパネルの大きさ、形状を認識しながら移動を繰り返しソーラーパネルの全域を清掃する技術が開示されている。しかしながら、この技術によると、清掃装置が4足歩行による移動を行う構成であるため、回転ブラシの軸が一定にならない可能性があり、均一な清掃を行うことが困難という問題点や、構成が複雑になりコストが掛かる上にパネル表面に負荷が掛かるという問題点があった。
【0006】
本発明の発明者である出願人は、特開2014−22524号の出願人でもある。改良前の発明では、上下一対の固定ガイドレールと、左右一対の移動ガイドレールからなる移動フレームと、該移動フレームに装着される清掃体とからなり、清掃体は、磁気部材からなる非接触動力伝達機構によって上下左右に移動可能に構成される技術が開示されている。
【0007】
これによると、太陽光発電パネルの洗浄作業中の振動や動作音を抑えることが可能となり、配線等の複雑な構成も簡素化することが可能であるが、大きな外枠体が必要となる他に、清掃体の移動距離を制御する構成が複雑となり、制御が不十分であると拭き漏れが生ずるという問題点があった。また、清掃体に設置されるブラシが一本のみとなっているため、パネルの隅部(端縁部)まで洗浄することができないという問題点もあった。
【0008】
太陽光発電パネルの洗浄装置を駆動させること自体にも電気を使用する必要があり、洗浄自体に電力を多く消費するようでは本末転倒となる。したがって、上記問題を解消しつつ、消費電力を抑えた太陽光発電パネルの洗浄装置の開発が求められていた。
【特許文献1】特開2010−186819号公報
【特許文献2】特開2014−22524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題を解決するために、太陽光のエネルギーを利用して発電を行う太陽光発電パネルを洗浄するための洗浄装置であって、特に、太陽光パネルの全面を隅々まで効率よく自動洗浄するとともにメンテナンス容易とした消費電力の少ない太陽光発電パネル洗浄装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明に係る太陽光発電パネル洗浄装置は、太陽光発電パネルの上端および下端の間に渡設されるガイドレールからなる移動フレームと、該移動フレームのガイドレールに沿って移動自在に設置される太陽光発電パネルを洗浄する清掃体と、からなる太陽光発電パネルの洗浄装置であって、前記移動フレームと前記ガイドレールに装備する前記清掃体を載架した洗浄装置が水平方向に移動しながら太陽光発電パネルの表面を全面に渡って洗浄清掃するように、前記移動フレームは、前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に太陽光発電パネルに沿って移動自在に設置されているとともに、前記清掃体は、前記ガイドレールと平行して回転自在に設置される筒状からなる複数の回転洗浄ブラシと、太陽光発電パネルに接する位置に設けられ前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に軸回転する複数の移動用車輪と、該移動用車輪および前記回転洗浄ブラシに回転動力を供給する駆動装置と、前記駆動装置の回転動力を前記回転洗浄ブラシおよび前記移動用車輪に伝達する動力伝達手段と、からなる構成である。
【0011】
また、前記移動フレームは、前記洗浄装置が前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に移動自在となるように、太陽光発電パネルを上下から挟持する上下一対の固定部材を装備するとともに、前記固定部材の太陽光発電パネルとの接触部に一または複数からなる補助車輪を設けた構成である。
【0012】
また、前記動力伝達手段は、前記駆動装置から前記移動用車輪に動力を伝達する車輪用チェーンと、前記回転洗浄ブラシ毎に設置されるブラシ回転ユニットと、からなり、前記ブラシ回転ユニットは、前記移動用車輪の回転を前記回転洗浄ブラシに伝達する第一チェーンと第二チェーンと、該第一チェーンと該第二チェーンとの間に設置される前記移動用車輪と前記回転洗浄ブラシの回転比を変更するためのプーリーと、からなる構成である。
【0013】
更に、前記回転洗浄ブラシは、太陽光発電パネルの上下左右の端縁まで清掃できるように、駆動装置の上下幅より長い全長からなるとともに、駆動装置の両側にそれぞれ第一ブラシと第二ブラシが、駆動装置の上下左右の移動幅より広い範囲にブラシの先が到達する位置に配設されている構成である。
また、本発明に係る太陽光発電パネル洗浄装置は、太陽光発電パネルの上端および下端の間に渡設されるガイドレールからなる移動フレームと、該移動フレームのガイドレールに沿って移動自在に設置される太陽光発電パネルを洗浄する清掃体と、からなる太陽光発電パネルの洗浄装置において、前記移動フレームと前記ガイドレールに装備する前記清掃体を載架した洗浄装置が水平方向に移動しながら太陽光発電パネルの表面を全面に渡って洗浄清掃するように、前記移動フレームは、前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に太陽光発電パネルに沿って移動自在に設置されているとともに、前記清掃体は、前記ガイドレールと平行して回転自在に設置される複数の回転洗浄ブラシと、太陽光発電パネルに接する位置に設けられ前記ガイドレールの長手方向に対して垂直方向(水平方向)に軸回転する複数の移動用車輪と、該移動用車輪および前記回転洗浄ブラシに回転動力を供給する駆動装置と、前記駆動装置の回転動力を前記回転洗浄ブラシおよび前記移動用車輪に伝達する動力伝達手段と、からなる構成でもある。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果を奏する。
1.清掃体を設置するガイドレールからなる移動フレームを太陽光発電パネルの上端および下端の間に渡設する構造としたため、太陽光発電パネルに直接洗浄装置を設置することが出来る。また、清掃体をガイドレールに沿って上下移動自在に設置したため、太陽光発電パネルを左右に移動しながら任意の高さ部分の清掃を行うことが可能となる。また、筒状からなる回転洗浄ブラシを複数設けたためパネルの端まで清掃可能となる。また、駆動装置の回転動力を回転洗浄ブラシと移動用車輪に伝達する動力伝達手段を設けたため、洗浄装置本体が移動しながら回転ブラシによる清掃を同時に行うことが可能となる。
2.移動フレームに上下一対の固定部材を装備し、太陽光発電パネルとの接触部に一または複数からなる補助車輪を設けたため、パネルの表面に大きな負荷を掛けることなく移動用車輪の回転力によって移動フレームを横移動させることが容易となる。
【0015】
3.動力伝達手段に回転洗浄ブラシ毎に設置されるブラシ回転ユニットを設置したため、駆動装置の回転動力を容易に回転洗浄ブラシに伝達することが可能となる。また、ブラシ回転ユニットを、第一チェーンと第二チェーンによって構成し、両チェーンの間にプーリーを設けたため、移動用車輪と回転洗浄ブラシの回転比が変更可能となる。
4.駆動装置が上下左右に移動する幅より広い範囲にブラシの先が到達する構成としたため、太陽光発電パネルの上下左右の端縁まで清掃できる。
5.清掃体がガイドレールに上下動自在に装備されるため、太陽光発電パネルの任意の箇所を清掃することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る太陽光発電パネル洗浄装置を、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る太陽光発電パネル洗浄装置の清掃体の斜視図であり、図2は、太陽光発電パネル洗浄装置の分解斜視図である。図3は、太陽光発電パネル洗浄装置の使用状態を示す斜視図であり、図4は、固定部材の太陽光発電パネルとの接触部の拡大図である。
【0017】
本発明に係る太陽光発電パネルの洗浄装置10は、太陽光発電パネル1を洗浄するための可動式洗浄装置であって、図2および図3に示すように、移動フレーム100と、清掃体200とからなるものであり、清掃体200が水平方向に移動しながら太陽光発電パネル1を洗浄することに用いられ、適宜に清掃体200の位置を上下に移動させることにより異なる高さ部分の洗浄が可能となる。
【0018】
移動フレーム100は、後述の清掃体200を上下動自在に保持する枠状部材であり、図2に示すように、ガイドレール110と、固定部材120とからなる。ガイドレール110は、太陽光発電パネル1の上端および下端の間に渡設される部材である。ガイドレール110は、本実施例では、2本の棒状部材によって構成されるが、これに限定されるものではなく、1本で構成したり、強度を保つために3本以上とする構成とする事も可能であり、更には板状部材とする事も可能である。
【0019】
固定部材120は、図2に示すように、太陽光発電パネル1を上下から挟持するための部材であり、上下一対で構成されている。固定部材120は、本実施例では、ガイドレール110に対して滑動自在に貫設する構成であり、固定部材120がガイドレール110と一体的に設置されている。これにより、上下に設置された固定部材120間の距離が変更自在となり、あらゆる大きさの太陽光発電パネル1に設置することが可能となる。
【0020】
上下一対からなる固定部材120の太陽光発電パネル1との接触部には、図2および図4に示すように一または複数からなる補助車輪130が設置されている。本実施例では、補助車輪130は、太陽光発電パネル1の上下端面に接する箇所と太陽光発電パネル1の背面に接する箇所に夫々2輪ずつ設置されており、太陽光発電パネル1の上下端面および背面に沿って回転する方向に設置されている。この構成とする事により、移動フレーム100がガイドレール110の長手方向に対して垂直方向(すなわち水平方向)に移動自在となり、洗浄装置10が太陽光発電パネル1上を水平方向に移動しながら洗浄を行うことが可能となるとともに、補助車輪130の回転による太陽光発電パネル1上の水平移動中に補助車輪130が太陽光発電パネル1の上下端面から外れて洗浄装置10が太陽光発電パネル1から滑落する事を防いでいる。
【0021】
清掃体200は、太陽光発電パネル1の表面を洗浄するための装置であり、図3に示すように、移動フレーム100のガイドレール110に沿って移動自在に設置され、太陽光発電パネル1の表面の洗浄に用いられる。清掃体200は、本実施例では、図3に示すように、移動フレーム100のガイドレール110に活動自在に貫設載架することで上下移動が可能な構成となっている。
【0022】
清掃体200は、図2に示すように、回転洗浄ブラシ210と、移動用車輪220と、駆動装置230と、動力伝達手段240とから構成される。回転洗浄ブラシ210は、ガイドレール110と平行して回転自在に設置される筒状の洗浄用のブラシであり、該筒状のブラシが回転しながら太陽光発電パネル1上をブラッシングすることにより、パネルに付着した砂泥等の汚れを剥離する。本実施例では、回転洗浄ブラシ210は螺旋状の刷毛体からなりガイドレール110を挟む位置に2本(210a、210b)設置されているが、刷毛体の形状を含むこの構成に限定されるものではなく、汚れが付着する環境に応じて3本以上の回転洗浄ブラシ210を設置することも可能であり、刷毛の形態も適宜選択可能である。
【0023】
移動用車輪220は、図2に示すように、清掃体200と清掃体を載架する洗浄装置10がガイドレール110の長手方向に対して垂直方向(すなわち水平方向)に移動可能とするように設けられる車輪であり、水平方向に軸回転するように複数設けられる。移動用車輪220は、本実施例では、太陽光発電パネル1に接する位置に複数設けられており、移動用車輪220が回転する事により、移動フレーム100と清掃体200とからなる洗浄装置10が水平方向に移動可能となる。移動用車輪220は、本実施例では、回転洗浄ブラシ210が安定して太陽光発電パネル1に対して平行に接するように、2つの車輪が清掃体200の上下位置に同軸となるように設置されているが、この構成に限定されるものではない。
【0024】
駆動装置230は、移動用車輪220と回転洗浄ブラシ210とに回転動力を供給する装置である。駆動用装置は、本実施例では電気モータ(図示せず)によって構成しており、該電気モータがバッテリー(図示せず)から電力の供給を受けて回転する。
【0025】
動力伝達手段240は、駆動装置230の回転動力を回転洗浄ブラシ210と移動用車輪220に伝達する装置である。洗浄装置10の清掃体200には複数の移動用車輪220と複数の回転洗浄ブラシ210が設置されており、これらを同時に回転させて移動およびブラッシングに供する必要がある。動力伝達手段240が電気モータの回転を複数の移動用車輪220と複数の回転洗浄ブラシ210に効率よく伝達する事により、移動動作と清掃動作を同時に行うことが可能となる。
【0026】
清掃体200には、図1および図2に示すように、ワイパー260が設けられている。清掃体200には、本実施例では、外部からホース等を経由して供給される水を太陽光発電パネル1の表面に噴射するノズル(図示せず)が設けられている。この水が太陽光発電パネル1に付着した汚れを浮き上がらせ、回転洗浄ブラシ210がその浮き上がった汚れを螺旋状刷毛体によりブラッシングすることにより、清掃する仕組みとなっている。このとき、余分な水分や汚れが溶け込んだ水分が太陽光発電パネル1上に残留することになるが、ワイパー260がこの残留水分を拭き取ることにより太陽光発電パネル1の表面の汚れが完全に除去される構成である。ワイパー260は、本実施例では、2本からなる回転洗浄ブラシ210を挟む位置に2本設置されている。この構成とする事により、左右に水平移動する清掃体200が汚れを含んだ水分をどちらの方向に移動しても太陽光発電パネル1に残留させずに太陽光発電パネル1上を往復移動して洗浄することが可能となる。
【0027】
清掃体200には、筐体270が設けられている。筐体270は、図1および図2に示すように、清掃体200を覆うカバー状部材であり、本実施例では、プラスチック等の樹脂によって構成されている。筐体270を設置する事により、回転洗浄ブラシ210の回転清掃動作に伴う汚れの飛散を防止する事が可能となり、他の太陽光発電パネル1を汚すことなく効率よく太陽光発電パネル1の洗浄を行う事が可能となる。
【0028】
洗浄装置10をこのような構成とすることにより、移動フレーム100とガイドレール110に装備する清掃体200を載架した洗浄装置10が、水平方向に移動しながら太陽光発電パネル1の表面を全面に渡って洗浄清掃することが可能となる。
【0029】
本発明の洗浄装置10の使用方法としては、太陽光発電パネル1の水平方向への洗浄は前記清掃体200の水平方向への自動洗浄動作により行われる。太陽光発電パネル1上の清掃体200の位置は、洗浄位置制御機構(図示せず)によって管理されており、太陽光発電パネル1の両端を往復するように洗浄位置制御機構が清掃体200の水平往復移動を制御する。清掃体200の上下移動に関しては、本実施例では手動により行う仕様としている。すなわち、太陽光発電パネル1上を清掃体200が水平方向に往復して洗浄を行った後、洗浄した縦幅分清掃体200を移動させる。その後、再度清掃体200による水平方向で往復洗浄動作を開始する。
【0030】
動力伝達手段240は、本実施例では、図2に示すように、車輪用チェーン242と、ブラシ回転ユニット250とから構成される。車輪用チェーン242は、駆動装置230から移動用車輪220に動力を伝達するチェーン状部材であり、駆動装置230のモータに設置されたギア(図示せず)の回転を受けて、同軸上に設けられた複数の移動用車輪220に対して、前記軸に設けられるギア(図示せず)に対して回転力を伝達する。これにより、移動用車輪220が回転し、洗浄装置10の安定した水平移動が可能となる。
【0031】
また、ブラシ回転ユニット250は、回転洗浄ブラシ210に駆動装置230のモータの回転を伝達するための装備であり、回転洗浄ブラシ210毎に設置される。ブラシ回転ユニット250は、第一チェーン252aと、第二チェーン252bと、プーリー254とで構成される。第一チェーン252aと第二チェーン252bは移動用車輪220の回転を回転洗浄ブラシ210に伝達するためのチェーン状部材である。また、プーリー254は、第一チェーン252aと第二チェーン252bとの間に設置され、移動用車輪220と回転洗浄ブラシ210の回転比を変更するための円形部材である。
【0032】
第一チェーン252aは、駆動装置230のモータに設置されたギア(図示せず)の回転を受けて、洗浄装置10本体に固定されるプーリー254に対して回転力を伝達する。プーリー254は、本実施例では外径の異なる円盤が2枚積層された構造となっており、一方の円盤に第一チェーン252aが係合して回転力が伝達される事となる。プーリー254の他方の円盤には第二チェーン252bが架設され、プーリー254の回転を受けて回転洗浄ブラシ210と同軸に設けられるギア(図示せず)に対して回転力を伝達する。この構成とすることにより、移動用車輪220と回転洗浄ブラシ210の回転比を変更する事が可能となり、例えば移動用車輪220が低速で回転しながら洗浄装置10が水平移動する間、回転洗浄ブラシ210を高速で回転させて確実な清掃を行う事が可能となる。
【0033】
回転洗浄ブラシ210は、本実施例では、図2に示すように、駆動装置230の上下幅より長い全長となっている。また、駆動装置230の両側に、それぞれ第一ブラシ210aおよび第二ブラシ210bとして配設した構成となっている。更に、駆動装置230が上下左右に移動する幅より広い範囲にブラシの先が到達する構成となっている。この構成とすることにより、太陽光発電パネルの上下左右の端縁まで清掃可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る太陽光発電パネル洗浄装置の清掃体の斜視図
図2】太陽光発電パネル洗浄装置の分解斜視図
図3】太陽光発電パネル洗浄装置の使用状態を示す斜視図
図4】固定部材の太陽光発電パネルとの接触部の拡大図
【符号の説明】
【0035】
1 太陽光発電パネル
10 洗浄装置
100 移動フレーム
110 ガイドレール
120 固定部材
130 補助車輪
200 清掃体
210 回転洗浄ブラシ
210a 第一ブラシ
210b 第二ブラシ
220 移動用車輪
230 駆動装置
240 動力伝達手段
242 車輪用チェーン
250 ブラシ回転ユニット
252a 第一チェーン
252b 第二チェーン
254 プーリー
260 ワイパー
270 筐体
図1
図3
図4
図2