(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957105
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】統合電力出力サービス切断
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20160714BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20160714BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20160714BHJP
H01R 13/658 20110101ALI20160714BHJP
B60K 1/04 20060101ALI20160714BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/631
H01R13/52 301E
H01R13/52 301H
H01R13/658
B60K1/04 Z
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-23349(P2015-23349)
(22)【出願日】2015年2月9日
(65)【公開番号】特開2015-159110(P2015-159110A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2015年2月9日
(31)【優先権主張番号】61/937,658
(32)【優先日】2014年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/600,965
(32)【優先日】2015年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514286893
【氏名又は名称】ヤザキ・ノース・アメリカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Yazaki North America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン アール.デゲン
【審査官】
山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−132076(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0233784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 13/631
H01R 13/52
H01R 13/658
B60K 1/04
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞を規定する第一本体を有し、蓄電装置に連結されている第二筐体と係合するように構成されている第一筐体と、
前記空洞の内部に設けられた一対の第一端子であって、前記第二筐体内部に設けられた一対の第二端子と係合して、前記蓄電装置と前記第一端子との間に電流を流すように構成されている一対の第一端子と、
前記空洞の内部に設けられた一対の第三端子であって、前記第二筐体内部に設けられた一対の第四端子と係合して、前記蓄電装置と前記第三端子との間に電流を流すように構成されている一対の第三端子と、
前記第一筐体の内部に設けられた第一分流器であって、一対の第五端子を短絡させて、インターロック回路を完成するように構成されている第一分流器と、
前記第一筐体の内部に設けられた第二分流器であって、一対の第六端子を短絡させて、サービス切断回路を完成するように構成されている第二分流器と、を備え、
前記第五端子は、前記第二筐体内部に設けられ、前記インターロック回路に接続しており、
前記インターロック回路は、前記第一分流器が前記第五端子から切断された場合、前記第一端子および前記第二端子間、並びに、前記第三端子および前記第四端子間に電流が流れないようにする一方、前記第一分流器が前記第五端子と係合している場合、電流が流れるようにし、
前記第六端子は、前記第二筐体の内部に設けられ、前記サービス切断回路に接続しており、
前記サービス切断回路は、前記第二分流器が前記第六端子から切断された場合、前記蓄電装置を電気的に絶縁する、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記第一分流器は、前記一対の第一端子および前記一対の第三端子が前記一対の第二端子および前記一対の第四端子と係合した後に、前記第五端子と結合するように配置され、
前記第一分流器は、前記一対の第一端子および前記一対の第三端子が前記一対の第二端子および前記一対の第四端子との結合が解除される前に、前記第五端子との結合が解除される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第二分流器は、前記第一分流器が前記第五端子と結合する前に、前記第六端子と結合するように配置され、
前記第二分流器は、前記第一分流器が前記第五端子との結合を解除した後に、前記第六端子との結合を解除する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第一筐体と回転可能に連結するレバー本体と、前記レバー本体に連結するアームと、を有するレバーをさらに備え、
前記レバー本体は、前記第二筐体上の従動部材と結合するように構成されたカム面を含み、
前記アームは、前記カム面と関節で接続し、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かすように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記レバーは、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かして、第一位置、第二位置または第三位置のいずれかに動かし、
前記第一位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子は係合するが、前記第一分流器および前記第二分流器はいずれも係合せず、
前記第二位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第二分流器は係合するが、前記第一分流器は係合せず、
前記第三位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第一分流器および前記第二分流器の両方が係合する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記第一筐体は第一固定部材を含み、
前記レバーは、第二固定部材を含み、
前記第一固定部材および前記第二固定部材は、互いに係合して、前記レバーが前記第一筐体を前記第三位置から前記第二位置へ動かすことを防止するように構成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記空洞の内部に設けられたシール部材をさらに備え、
前記シール部材は、前記第一筐体と前記第二筐体との間を密封するように形成され、その内部に前記端子および分流器を密封するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
少なくとも1本の電線と前記第一筐体との間を密封するように形成された電線シールをさらに備え、
前記少なくとも一本の電線は、前記一対の第一端子および前記一対の第三端子のうちの少なくとも1つの端子と接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記第一筐体に連結し、少なくとも1つのオリフィスを規定するリアホルダをさらに備え、
前記少なくとも1つのオリフィスは、前記リアホルダと前記第一筐体との間に前記電線シールを維持している間、前記少なくとも1本の電線が前記リアホルダを通して伸長可能なように構成されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記空洞の内部に電磁シールドをさらに備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
空洞を規定する第一本体を有し、蓄電装置に連結されている第二筐体と係合するように構成されている第一筐体と、
前記空洞の内部に設けられた一対の第一端子であって、前記第二筐体内部に設けられた一対の第二端子と係合して、前記蓄電装置と前記第一端子との間に電流を流すように構成されている一対の第一端子と、
前記空洞の内部に設けられた一対の第三端子であって、前記第二筐体内部に設けられた一対の第四端子と係合して、前記蓄電装置と前記第三端子との間に電流を流すように構成されている一対の第三端子と、
前記空洞の内部に設けられた第一分流器であって、一対の第五端子を短絡させて、インターロック回路を完成するように構成されている第一分流器と、
前記空洞の内部に設けられた第二分流器であって、一対の第六端子を短絡させて、サービス切断回路を完成するように構成されている第二分流器と、
前記第一筐体と回転可能に連結するレバー本体と、前記レバー本体に連結するアームと、を有するレバーと、を備え、
前記第五端子は、前記第二筐体内部に設けられ、前記インターロック回路に接続しており、
前記インターロック回路は、前記第一分流器が前記第五端子から切断された場合、前記第一端子および前記第二端子間、並びに、前記第三端子および前記第四端子間に電流が流れないようにする一方、前記第一分流器が前記第五端子と係合している場合、電流が流れるようにし、
前記第六端子は、前記第二筐体の内部に設けられ、前記サービス切断回路に接続しており、
前記サービス切断回路は、前記第二分流器が前記第六端子から切断された場合、前記蓄電装置を電気的に絶縁し、
前記レバー本体は、前記第二筐体上の従動部材と結合するように構成されたカム面を含み、
前記アームは、前記カム面と関節で接続し、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かすように構成されており、
前記レバーは、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かして、第一位置、第二位置または第三位置のいずれかに動かし、
前記第一位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子は係合するが、前記第一分流器および前記第二分流器はいずれも係合せず、
前記第二位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第二分流器は係合するが、前記第一分流器は係合せず、
前記第三位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第一分流器および前記第二分流器の両方が係合する、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項12】
前記第一筐体は第一固定部材を含み、
前記レバーは、第二固定部材を含み、
前記第一固定部材および前記第二固定部材は、互いに係合して、前記レバーが前記第一筐体を前記第三位置から前記第二位置へ動かすことを防止するように構成されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の電気コネクタ。
【請求項13】
前記第一分流器は、前記一対の第一端子および前記一対の第三端子が前記一対の第二端子および前記一対の第四端子と係合した後に、前記第五端子と結合するように配置され、
前記第一分流器は、前記一対の第一端子および前記一対の第三端子が前記一対の第二端子および前記一対の第四端子との結合が解除される前に、前記第五端子との結合が解除される、
ことを特徴とする請求項11に記載の電気コネクタ。
【請求項14】
前記第二分流器は、前記第一分流器が前記第五端子と結合する前に、前記第六端子と結合するように配置され、
前記第二分流器は、前記第一分流器が前記第五端子との結合を解除した後に、前記第六端子との結合を解除する、
ことを特徴とする請求項13に記載の電気コネクタ。
【請求項15】
前記空洞の内部に設けられたシール部材をさらに備え、
前記シール部材は、前記第一筐体と前記第二筐体との間を密封するように形成され、その内部に前記端子および分流器を密封するように構成されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の電気コネクタ。
【請求項16】
少なくとも1本の電線と前記第一筐体との間を密封するように形成された電線シールをさらに備え、
前記少なくとも一本の電線は、前記一対の第一端子および前記一対の第三端子のうちの少なくとも1つの端子と接続されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の電気コネクタ。
【請求項17】
前記第一筐体に連結し、少なくとも1つのオリフィスを規定するリアホルダをさらに備え、
前記少なくとも1つのオリフィスは、前記リアホルダと前記第一筐体との間に前記電線シールを維持している間、前記少なくとも1本の電線が前記リアホルダを通して伸長可能なように構成されている、
ことを特徴とする請求項16に記載の電気コネクタ。
【請求項18】
前記空洞の内部に電磁シールドをさらに備えている、
ことを特徴とする請求項11に記載の電気コネクタ。
【請求項19】
空洞を規定する第一本体を有する第一筐体と、
従動部材を規定する第二本体を有する第二筐体であって、前記第一筐体と係合し、蓄電装置と連結するように構成された第二筐体と、
前記空洞の内部に設けられた一対の第一端子および一対の第二端子と、
前記第二筐体の内部に設けられた第三端子および一対の第四端子と、
前記第二筐体の内部に設けられ、インターロック回路に接続している一対の第五端子と、
前記空洞の内部に設けられた第一分流器であって、前記第五端子を短絡させて、前記インターロック回路を完成するように構成されている第一分流器と、
前記第二筐体の内部に設けられ、サービス切断回路に接続している一対の第六端子と、
前記空洞の内部に設けられた第二分流器であって、前記第六端子を短絡させて、前記サービス切断回路を完成するように構成されている第二分流器と、
前記第一筐体と回転可能に連結するレバー本体と、前記レバー本体に連結するアームと、を有するレバーと、を備え、
前記第三端子は、前記第一端子と係合して、前記蓄電装置と前記第一端子との間に電流を流すように構成されており、
前記第四端子は、前記第二端子と係合して、前記蓄電装置と前記第二端子との間に電流を流すように構成されており、
前記インターロック回路は、前記第一分流器が前記第五端子から切断された場合、前記第一端子および前記第二端子間、並びに、前記第三端子および前記第四端子間に電流が流れないようにする一方、前記第一分流器が前記第五端子と係合している場合、電流が流れるようにし、
前記サービス切断回路は、前記第二分流器が前記第六端子から切断された場合、前記蓄電装置を電気的に絶縁し、
前記レバー本体は、前記第二筐体上の前記従動部材と結合するように構成されたカム面を含み、
前記アームは、前記カム面と関節で接続し、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かすように構成されており、
前記レバーは、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かして、第一位置、第二位置または第三位置のいずれかに動かし、
前記第一位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子は係合するが、前記第一分流器および前記第二分流器はいずれも係合せず、
前記第二位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第二分流器は係合するが、前記第一分流器は係合せず、
前記第三位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第一分流器および前記第二分流器の両方が係合する、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項20】
前記空洞の内部に設けられたシール部材をさらに備え、
前記シール部材は、前記第一筐体と前記第二筐体との間を密封するように形成され、前記レバーが前記第三位置である場合、その内部に前記端子および分流器を密封するように構成されている、
ことを特徴とする請求項19に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連件との相互参照〕
本出願は、2014年2月10日提出の米国仮特許出願第61/937,658号の利益を主張する。上記出願のすべてが全体として本明細書によって参照することにより組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は統合電力出力サービス切断に関する。
【0003】
〔背景技術〕
本発明は必ずしも従来技術ではない。以下に本発明に関する背景技術について説明する。
【0004】
ハイブリッド電気自動車(HEV)または電気自動車(EV)に搭載されるバッテリーパックは、従来、それぞれ独立して密封された複数のインターフェースを含む。当該インターフェースは、バッテリーパックの外表面にボルトで固定されており、バッテリーパックとの密封された電気的接続を与える。これらのインターフェースは、通常、(1)A/C又はD/C電源を供給する高電圧(HV)接続、(2)低電圧(LV)接続、(3)自動車を修理できるようにするために、バッテリーパックを自動車の他の部分から絶縁するサービス切断接続を含む。LV接続は、通常、HV接続への電力供給を遮断する高電圧インターロックループ(HVIL)回路を含む。複数利用するために、それぞれ独立して格納され密封されたHV接続およびサービス切断接続は、収納スペース、部材および物理的接続に関して、相当量必要である。また、独立したHVコネクタの各々は、従来では、HVコネクタの結合を解除する前に、LVHVIL回路を遮断するための方法も必要である。結果として、スペース、部材および接続がさらに必要である。
【0005】
〔発明の要約〕
以下に本発明の概要を記す。ただし以下の記載は本発明の特徴の全てを網羅するものではない。
【0006】
本教示は、第一筐体、1組の第一端子、1組の第三端子、第一分流器および第二分流器を含む電気コネクタを与える。前記第一筐体は、空洞を規定する第一本体を有する。前記第一筐体は、蓄電装置に連結されている第二筐体と係合するように構成されている。前記第一端子は、前記空洞の内部に設けられ、前記第二筐体内部に設けられた一対の第二端子と係合して、前記蓄電装置と前記第一端子との間に電流を流すように構成されている。前記第三端子は、前記空洞の内部に設けられ、前記第二筐体内部に設けられた一対の第四端子と係合して、前記蓄電装置と前記第三端子との間に電流を流すように構成されている。前記第一分流器は、前記第一筐体の内部に設けられ、前記第二筐体内部に設けられた一対の第五端子を短絡させて、インターロック回路を完成するように構成されている。前記インターロック回路は、前記第一分流器が前記第五端子から切断された場合、前記第一端子および前記第二端子間、並びに、前記第三端子および前記第四端子間に電流が流れないようにする一方、前記第一分流器が前記第五端子と係合している場合、電流が流れるようにする。前記第二分流器は、前記第一筐体の内部に設けられ、前記第二筐体の内部に設けられた一対の第六端子を短絡させて、サービス切断回路を完成するように構成されている。前記サービス切断回路は、前記第二分流器が前記第六分流器から切断された場合、前記蓄電装置を実質的に電気的に絶縁する。
【0007】
本教示は、また、第一筐体、1組の第一端子、1組の第三端子、第一分流器、第二分流器およびレバーを含む電気コネクタを与える。前記第一筐体は、空洞を規定する第一本体を有する。前記第一筐体は、蓄電装置に連結されている第二筐体と係合するように構成されている。前記第一端子は、前記空洞の内部に設けられ、前記第二筐体内部に設けられた一対の第二端子と係合して、前記蓄電装置と前記第一端子との間に電流を流すように構成されている。前記第三端子は、前記空洞の内部に設けられ、前記第二筐体内部に設けられた一対の第四端子と係合して、前記蓄電装置と前記第三端子との間に電流を流すように構成されている。前記第一分流器は、前記第一筐体の内部に設けられ、前記第二筐体内部に設けられた一対の第五端子を短絡させて、インターロック回路を完成するように構成されている。前記インターロック回路は、前記第一分流器が前記第五端子から切断された場合、前記第一端子および前記第二端子間、並びに、前記第三端子および前記第四端子間に電流が流れないようにする一方、前記第一分流器が前記第五端子と係合している場合、電流が流れるようにする。前記第二分流器は、前記第一筐体の内部に設けられ、前記第二筐体の内部に設けられた一対の第六端子を短絡させて、サービス切断回路を完成するように構成されている。前記サービス切断回路は、前記第二分流器が前記第六分流器から切断された場合、前記蓄電装置を実質的に電気的に絶縁する。前記レバーは、前記第一筐体と回転可能に連結するレバー本体と、前記レバー本体に連結するアームと、を有する。前記レバー本体は、前記第二筐体上の従動部材と結合するように構成されたカム面を含む。前記アームは、前記カム面と関節で接続し、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かすように構成されている。前記レバーは、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かして、第一位置、第二位置または第三位置のいずれかに動かす。前記第一位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子は係合するが、前記第一分流器および前記第二分流器はいずれも係合しない。前記第二位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第二分流器は係合するが、前記第一分流器は係合しない。前記第三位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第一分流器および前記第二分流器の両方が係合する。
【0008】
本教示は、また、第一筐体、第二筐体、第一〜第六端子、第一分流器、第二分流器およびレバーを含む電気コネクタを与える。前記第一筐体は、空洞を規定する第一本体を有する。前記第二筐体は、従動部材を規定する第二本体を有する。前記第二筐体は、前記第一筐体と係合し、蓄電装置と連結するように構成されている。前記第一および第二端子は前記空洞の内部に設けられている。前記第三および第四端子は前記第二筐体の内部に設けられている。前記第三端子は、前記第一端子と係合して、前記蓄電装置と前記第一端子との間に電流を流すように構成されている。前記第四端子は、前記第二端子と係合して、前記蓄電装置と前記第二端子との間に電流を流すように構成されている。前記第五端子は、前記第二筐体の内部に設けられ、インターロック回路に接続している。前記第一分流器は、前記空洞の内部に設けられ、前記第五端子を短絡させて、前記インターロック回路を完成するように構成されている。前記インターロック回路は、前記第一分流器が前記第五端子から切断された場合、前記第一端子および前記第二端子間、並びに、前記第三端子および前記第四端子間に電流が流れないようにする一方、前記第一分流器が前記第五端子と係合している場合、電流が流れるようにする。前記第六端子は、前記第二筐体の内部に設けられ、サービス切断回路に接続している。前記第二分流器は、前記空洞の内部に設けられ、前記第六端子を短絡させて、前記サービス切断回路を完成するように構成されている。前記サービス切断回路は、前記第二分流器が前記第六分流器から切断された場合、前記蓄電装置を電気的に絶縁する。前記レバーは、前記第一筐体と回転可能に連結するレバー本体と、前記レバー本体に連結するアームと、を有する。前記レバー本体は、前記第二筐体上の前記従動部材と結合するように構成されたカム面を含む。前記アームは、前記カム面と関節で接続し、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かすように構成されている。前記レバーは、前記第一筐体を前記第二筐体に対して動かして、第一位置、第二位置または第三位置のいずれかに動かす。前記第一位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子は係合するが、前記第一分流器および前記第二分流器はいずれも係合しない。前記第二位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第二分流器は係合するが、前記第一分流器は係合しない。前記第三位置では、前記一対の第一端子および前記一対の第二端子、並びに、前記第一分流器および前記第二分流器の両方が係合する。
【0009】
他に本件の発明が適応され得る分野は、以下に記す記載によって明らかになるであろう。実施形態および本要約における特定の例は、あくまでも本発明の内容を分かりやすく説明することを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
以下に説明する図面はあくまでも本発明の実施形態の一例を説明することを目的としたものであり、考えうる全ての実施形態を網羅するものではない。したがって以下に説明する図面は本発明の範囲を限定するものではない。
【0011】
図1は、第一筐体および第二筐体を完全に係合した状態である、本発明に係るコネクタの斜視図である。
【0012】
図2は、
図1のコネクタの分解斜視図である。
【0013】
図3は、第一筐体の後方斜視図である。
【0016】
図6は、
図5の切断線6−6における前記コネクタの断面図である。第一筐体は、部分的に第二筐体との係合が解除された状態で描かれている。
【0017】
図7は、
図5の切断線7−7における前記コネクタの断面図である。第一筐体は部分的に第二筐体との係合が解除された状態で描かれている。
【0018】
複数の図面において、同一の符号は同一の部材を指す。
【0019】
〔発明を実施するための形態〕
本件の発明の実施形態として、例えば電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)に使用される、電気コネクタの一タイプが挙げられる。特に、前記コネクタは、例えば、自動車に電力を供給する、および/または、蓄電ユニットを再充電するバッテリーパック、または、コンデンサ/スーパーコンデンサパックのような、蓄電ユニットに接続されてもよい。電気コネクタは、複数の接続が1つのコネクタ内に作られることを許容する。前記複数の接続は、(1)1以上の電源接続、(2)自動車の修理を可能にするために、蓄電ユニットを自動車のその他の部材から絶縁するためのサービス切断、(3)単一高電圧インターロックループ(HVIL)接続を含む。単一のコネクタ内の複数の接続を協同させることにより、各々の電源接続のための個々のHVIL接続が必要なくなるため、物理的な接続の数が低減される。更に、自動車を修理する場合、蓄電ユニットを絶縁するために必要な物理的な作業、および、各種接続の切断の数も低減される。
【0020】
図1において、本発明に係る、組み立てられたコネクタ10が描かれている。コネクタ10は、(1)第一筐体14、(2)第一筐体14と係合可能な第二筐体18、(3)第一筐体14から伸長する一対の第一電線22、(4)第二筐体18から伸長する一対の第二電線26を備えてよい。第一筐体14および第二筐体18は、完全に係合された状態で描かれている。コネクタ10は、第一筐体14、第二筐体18のいずれかあるいは両方から伸長する追加の電線(例えば接地電線など)を備えていてもよい。図示の例では、コネクタ10は、第一筐体14から伸長する一対の第三電線30と、第二筐体18から伸びる一対の第四電線34、第五電線38および第六電線42とを含む。
【0021】
複数の取付け穴50は、第二筐体18に形成されていてもよく、自身を通る留め具(図示せず)を受容して、第二筐体18を蓄電ユニット46にしっかりと固定してもよい。蓄電ユニット46は、DC電力を蓄電するための任意の手段(例えば、バッテリー、コンデンサ、および/または、スーパーコンデンサ)を含んでもよい。また、蓄電ユニット46は、蓄電ユニット46を稼働させるための追加の部材(例えば、複数の異なるタイプの電力を出力可能な変圧器またはインバータなど)を含んでもよい。第一筐体14および第二筐体18が完全に係合している場合、第二電線26は、蓄電ユニット46上で相対する端子46aおよび端子46bと電気的に連結し、蓄電ユニット46と第一電線26との間に電流を流すために用いられてもよい。第一筐体14および第二筐体18が完全に係合している場合、第四電線34は、蓄電ユニット46上で相対する端子46aおよび端子46bと連結し、蓄電ユニット46と第三電線30との間に電流を流すために用いられてもよい。例えば蓄電ユニット46を充電するために、第一電線22、第二電線26、第三電線30、および/または、第四電線34は、交流発電機もしくは回生制動装置のような他の車両システムと、蓄電ユニット46との間に電流を流すために用いられてもよい。第五回線38がHVIL回路54の一部を形成してもよい。第六電線42がサービス切断回路58の一部を形成してもよい。
【0022】
HVIL回路54には、例えば変圧器Tのような低電圧電源から、低電圧の電流が流れこむように構成されている。HVIL回路54はコントローラ62に対して、HVIL入力を行うことができる。HVIL回路54が中断されたり、未完成であったり、開いていたりした場合は、前記HVIL入力が、相対的に高電圧信号のような第一信号であってよい。HVIL回路54が完成していたり閉じていたりした場合は、前記HVIL回入力が相対的に低電圧信号のような第二信号であってよい。コントローラ62は前記蓄電ユニットに電気的に連結され、前記HVIL入力(例えば,HVIL回路54が開いているか、もしくは、閉じているか)に基づいて、第二電線26内および第四電線34内の電流を制御するように構成されても良い。HVIL回路54からのHVIL入力が上記第一信号に相当する場合、コントローラ62は、蓄電ユニット46と第二電線26との間、および、蓄電ユニット46と第四電線34との間に電流が流れるように、蓄電装置46を制御する。HVIL回路54からのHVIL入力が上記第二信号に相当する場合、コントローラ62は、蓄電ユニット46と第二電線26との間、および、蓄電ユニット46と第四電線34との間に電流が流れないようにする。
【0023】
サービス切断回路58は、低電圧電源Tまたは第二低電圧電源(図示せず)から低電圧の電流が流れこむように構成されている。サービス切断回路58は、コントローラ62に電気的に連結されていてもよい。図面の例では同一のコントローラになっているが、HVIL回路54およびサービス切断回路58は、別々のコントローラまたはコントローラユニットによって稼働されてもよい。コントローラ62は、蓄電ユニット46から他の電気的な負荷またはシステム(図示せず)に流れる電流を制御する構成であってもよい。所定の電圧の電流がサービス切断回路58内に流れているのをコントローラ62が検出した場合、コントローラ62は他の電気的な負荷に電流が流れるようにする。サービス切断回路58内に所定の電圧の電流が流れていないことをコントローラ62が検出した場合、コントローラ62は蓄電ユニット46と他の電気的な負荷との間に流れる電流を制限してもよい。以上のように蓄電ユニット46は他の電気的な負荷から電気的に絶縁されてもよい。
【0024】
更に
図2によれば、コネクタ10は上記に加えてレバー66を備えうる。レバー66は、アーム70、第一レバー本体74および第二レバー本体76を備えうる。第一レバー本体74および第二レバー本体76は、別々に配置されアーム70で連結された構成であってもよく、その場合は第一レバー本体74および第二レバー本体76は、第一本体122において互いに反対側に位置する。第一レバー本体74および第二レバー本体76の少なくとも1つによって、カム溝78ならびに回転式構造82が規定されてもよい。回転式構造82は、第一筐体14に接続された回転部材86の回りに回転自在に構成されてもよい。この図面の例では、回転式構造82は開口部であり、回転部材86は第一筐体14から前記開口部(回転式構造82)に向かって伸長する突出部である。しかしながら、レバー66を回転させるための他の構成も考えられる。例えば、回転式構造82が、第一筐体14内に形成された開口部に向かって突き出している構成などである。アーム70はレバー本体74から伸びており、レバー66を回転部材86の回りに回転させるために用いられてもよい。カム溝78は、第二筐体18に接続され、カム溝78内に収容されうる従動部材94とスライド可能に篏合されたカム面90を備えてもよい。このカム面90と従動部材94の協同により、レバー66が回転され、第一筐体14と第二筐体18が少なくとも部分的に接合された場合に第一筐体14と第二筐体18が互いに連動して篏合軸98に沿って動くことができる。レバー66は、予め定められた状態に/から、第一筐体14および第二筐体18の組み立て/解体を可能にするように構成された第一位置と、第一筐体14および第二筐体18を完全に係合した状態とする第二位置との間で回転可能である。第一筐体14および第二筐体18が予め定められた状態で、レバー66を第一位置から第二位置に回転させた場合、レバー66により、第二筐体18に対して第一筐体14が移動し、第一筐体14および第二筐体18が完全に係合した状態となる。同様に、第一筐体14および第二筐体18が完全に係合した状態で、レバー66を第二位置から第一位置に回転させた場合、レバー66により、第二筐体18に対して第一筐体14が移動し、第一筐体14および第二筐体18が予め定められた状態となる。レバー66が第一位置にあるとき、第一筐体14は第二筐体18から分離可能である。レバー66はカム溝78の第一端部106にスロット(溝)102を備え、スロット102において、従動部材94がカム溝78から脱着するようにしてもよい。またレバー66は固定部材110を有し、レバー66を第二位置にしっかりと固定することで、第一筐体14および第二筐体18を完全に係合した状態で固定することができる。
【0025】
またコネクタ10は任意で、電線シールド114および側板118を備えていてもよい(図中に示してある)。電線シールド114は第一電線22および第三電線30を包み、これらの電線22・30に流れる電流が、他の車両部材と干渉しないように構成されている。また、外部からの干渉によって電線22・30内を流れる電流が影響を受けるのを防ぐことができる。例えば、電線シールド14は電磁場適合性(EMC)シールドであってよく、電磁波輻射が電線シールド14を透過することを制限するようになっていてもよい。側板118は第一筐体の後方に設けられ、第一電線22および第三電線30のうち、第一筐体14に近い部分の電線、及び、そこから側板118と第一筐体14との間に伸びる電線をカプセル状に格納するようになっていてもよい。側板118は車両の制約に沿った方向に第一電線22および第三電線30を走らせるようにし、かつ/あるいは電線22、30を保護し確実に第一筐体14の中に納まるようにし、かつ/あるいは電線22、30に対する張力緩和器具となることができる。図の例では、側板118は電線22、30をおおよそ90度曲げる構成になっており、電線22、30は篏合軸に対しておおよそ垂直となるように走っている。
【0026】
図2、
図3において、第一筐体14は第一本体122を備えている。第一本体122によって、空洞126、開口部130、および、空洞126内の複数の湾部(当該の複数の湾部について詳細は後述する)が規定されうる。空洞126は第一本体122の第一側面138上に開口しており、第一本体122が第二筐体18の第二本体142と係合するようになっている。開口部130は第一本体122の第二側面146を貫通しており、第一電線22および第三電線30が第二側面146から空洞126に入り込むようになっている。第一本体122は更に、外壁154から隔てられた内壁150と、空洞126の周回りを規定し、第一本体122の第二側面146から空洞126内部に向かって伸びる前記外壁154とを規定する。前述の複数の湾部は、第二側面146から空洞126内部に向かって伸びる構成でもよく、また内壁150および空洞126の内部に設けられていてもよい。
【0027】
図2、
図6、
図7において、コネクタ10は更に、複数の第一端子158、複数の第二端子162、複数の第三端子166、複数の第四端子170、および、リアホルダ174を備えていてもよい。複数の第一端子158は、それぞれ、複数の第一電線22の対応する何れかと接続する。複数の第二端子162は、それぞれ、複数の第二電線26の対応する何れかと接続する。複数の第三端子166は、それぞれ、複数の第三電線30の対応する何れかと接続する。複数の第四端子170は、それぞれ、複数の第四電線34の対応する何れかと接続する。第一端末158のそれぞれは、対応する、第一筐体14により形成された第一湾部178および第二湾部182の組の中に位置するよう設けられてもよい(
図4に最も顕著に図示)。第三端末166のそれぞれは、対応する、第一筐体14により形成された第三湾部186および第四湾部190の組の中に位置するよう設けられてもよい(
図4に最も顕著に図示)。リアホルダ174は1対の第一開口部194および1対の第三開口部198を備えてもよい。各第一開口部194は、そこを通る複数の第一電線22のうち対応する何れかを受容する。各第三開口部198は、そこを通る複数の第三電線30のうち対応する何れかを受容する。リアホルダ174は第一本体122の背面に取り付けられ、第一端子158が確実に第一湾部178および第二湾部182の内部にあるよう、また第三端子166が第三湾部186および第四湾部190の内部にあるようにすることができる。電線シール202は、第一本体122および第一電線22を密封するように結合し、電線シール206は、第一本体122および第三電線30を密封するように結合してもよい。リアホルダ174は電線シール202および206を第一本体122の内部に確実に収まるように働いてもよい。例えば、各電線のための複数の開口部を伴う単一の電線シールを含んでいるような、後方ホルダ107、電線シール202、206の他の構成も考えられる。
【0028】
図2および
図6によれば、コネクタ10は更に電力分流器210およびHVIL分流器214を備えてもよい。電力分流器210は概してU字型に形成されてよく、第一脚222、第二脚226、および、これら脚222および226を電気的に接続するブリッジ230を有していてもよい。電力分流器210は第一筐体122により形成された第五湾部218の内部に受け入れられる形でよい(特に
図5参照)。第一脚222および第二脚226は第五湾部218から第一側面138に向かって伸びる構成でよい。電力分流器210は第一本体122に、任意の望みの方法で接続できる。例えば、ひとつ以上の固定タブ232がブリッジ230に接続されてよく、ひとつ以上の固定タブ232が湾部218の内表面に接し、接した箇所において、例えば圧定により固定されてもよい。電力分流器210は導電性の材料で形成されており、比較的電気抵抗の小さい状態で第一脚222と第二脚226との間に電流を流すことができる。HVIL分流器214は、第一本体122内部に形成された第六湾部234の内部に設けられていても良い(特に
図5参照)。HVIL分流器214は第三脚238と第四脚242、そしてその2つをつなぐ第二ブリッジ246を有してもよい。第三脚238、第四脚242は第六湾部234から第一側面138に向かって伸びる構成でよい。HVIL分流器214は第一本体122に、任意の望みの方法で接続できる。例えば、ひとつ以上の固定タブ248(特に
図7参照)が第二ブリッジ246に接続されていてよく、ひとつ以上の固定タブ248が湾部234の内表面に接し、接した箇所において例えば圧定により固定されてもよい。HVIL分流器214は導電性の材料で形成されており、比較的電気抵抗の小さい状態で第三脚238と第四脚242の間に電流を流すことができる。
【0029】
またコネクタ10は、第一筐体14と第二筐体18の間にシール250を備え、二筐体間に密封構造を形成してもよい。シール250は、空洞126の内部に、第一本体122の外壁154と内壁150の間に位置するように構成された環状体254を有していてもよい。コネクタ10が接続状態にある時に壁258が第一本体122の内壁150と外壁154の間に挿入される場合は、シール250は第一本体122と第二本体142の壁258の間に密封構造を形成するように構成されてもよい(
図6、
図7参照)。シール250は、空洞126内の複数の湾部、また該当湾部内の端子や接続部を、外部の破片や流体から保護する働きをする。
【0030】
固定部材110は、レバー66のアーム70上に設けられた鉤体262を備えていてもよい。レバー66が第二位置にある時、鉤体262は、第一本体122から伸びるフィンガー266と連合して、レバー66を第一本体122に固定することができる。フィンガー266はショルダー270を備えていてもよく鉤体262は、結合ショルダー278を有する第一固定部材を備えていてもよい。ショルダー270と結合ショルダー278は連動して、レバー66が第二位置から第一位置の方へ動くのを防止するように構成されてもよい。フィンガー266の一部または鉤体262の一部、あるいはその両方は、固定箇所の方向に対して弾性的であったり湾曲したりしていてもよい(固定位置とは、ショルダー270、278がレバー66が第二位置から第一位置の方に動かないようにロックしている箇所のことである)。この弾性のため、弾性的部位は柔軟性があり、レバー66は第一位置から第二位置に動くことができる。第二位置において、この湾曲により、いったんレバー66が第二位置に達するとショルダー270、278が固定箇所にカチリとはまるようになっている。同様に、この弾性によりユーザーが手動で固定部材110を解除する手動連結式タイプにすることもできる。フィンガー266と第一固定部材274のうちいずれかまたは両方は、ランプ(傾斜路)282を備え、両者(フィンガー266と第一固定部材274)が連動してスライドし合い、フィンガー266または鉤体262の弾性部が可動しやすいようになっていてもよい。図示された例においては、更に第二フィンガー286、第三フィンガー290を第一本体122に備え、鉤体262上に第二固定部材294、第三固定部材298を固着するようになっている。
【0031】
第一筐体14は任意で、EMCシールドインサート302とクランプ306を備えていてもよい。インサート302は電磁波輻射の透過を制限する構成であってよい。インサート302は基板310、環状体314およびフランジ314を備えうる。フランジ314は、第一本体の外壁154と内壁150の間の開口部316を通り、第一筐体14の第一面146に開いた空洞126に入り込むように構成されればよい。開口部316は、シール250が第2本体142の内壁150と壁258の間に密封構造を形成している場所の外側であってもよい。クランプ306は環状体314上の環状面322に対してクリンプするように構成され、EMC電線114をインサート302に取り付けるようになっていてもよい。第二筐体18は更に任意で、外壁258の外面の一部に沿って伸び、接続状態ではインサート302と接触できるように構成されたEMCシールドインサート326を備えていてもよい。
【0032】
図6、
図7は、レバー66が第一位置にある時、第一筐体14と第二筐体18の接続時、非接続時における規定設定でのコネクタ10の断面図を示したものである。第二本体142により複数の湾部が決定される。この湾部は第一本体122によって形成される複数の湾部の反対側に位置する。第二端子162は、第二筐体142内に形成された第七湾部330、第八湾部334の内部に受け入れられてよく(特に
図5参照)、第一端子158と係合するように構成されてよい。第四端子170は、第二筐体142内に形成された第九湾部338、第十湾部342の内部に受け入れられてよく(特に
図5参照)、第三端子166と係合するように構成されてよい。コネクタ10は更に、一対の第五電線38とそれぞれ係合する一対の第五端子346、一対の第六電線42とそれぞれ係合する一対の第六端子350を備えてもよい。第五端子346は第二本体142内に形成された第十一湾部354の内部に受け入れられてよく(特に
図5参照)、HVIL分流器214の第三脚238、第四脚242と接続し、効果的に第五端子346を短絡させるようになっていてもよい。図示されている例においては、第五端子346はインサート366内部の下位湾部358、362の内部に位置し、当該インサート366は第十一湾部354内部に位置している。しかし、第五端子346を第二本体142の湾部それぞれの中に位置させる場合も考えられる。第六端子350は、第二筐体142内に形成された第十二湾部370、第十三湾部374の内部に設けられてよく(特に
図5参照)、電力分流器210の第一脚222、第二脚226と接続し、効果的に第六端子350を短絡するようになっていてもよい。
【0033】
レバー66が第一位置にあり、第一筐体14と第二筐体18が規定設定の状態であるとき、HVIL分流器214の第三脚238および第四脚242は、第五端子346と解離し、電力分流器210の第一脚222および第二脚226は、第六端子350と解離し、第一端子158および第二端子162は互いに接続し、第三端子166および第四端子170は互いに接続する。第一筐体14および第二筐体18が接続状態である間、接続状態にある各種端子の電気的接続は、以下の(a)〜(c)の項目を達成するように調節、タイミング調整がなされている。すなわち(a)第一電線22および第二電線26の電気的カップリングならびに第三電線30および第四電線34の電気的カップリング、それから(b)(電力分流器210を介した)第六電線42同士の電気的カップリング、それから(c)(HVIL分流器214を介した)第五電線38同士の電気的カップリング、である。コントローラ62は、HVIL回路54が完了しないうちに第二電線26、第四電線34から電流が外に流れることがないように、蓄電ユニット46を制御する。この構成によれば、サービス切断回路58が完了あるいは閉鎖してはじめてHVIL回路54が完了あるいは閉鎖する。(なお第一電線22および第二電線26、第三回線30および第四回線34がそれぞれ電気的にカップリングされてはじめて、サービス切断回路58は完了あるいは閉鎖される。)したがって、第一端末158および第二端末162、または第三端子166および第四端子170は、電気的に接続はしているが、第六端子350が電力分流器210の脚222、226に、第五端子346がHVIL分流器214の脚238、242に電気的に接続されている状態(後者すなわち第五端子とHVIL分流器の脚との電気的接続は、前者すなわち第六端子と電力分流器の脚との電気的接続のあとに起きるようタイミング調整がなされている)になってはじめて、端子間に電流が流れるようになっている。この構成によれば、第一筐体14および第二筐体18が接続状態中にアーチングが起きることはない。
【0034】
同様に、レバー66を第二位置から第一位置へ移動するとき、第一筐体14および第二筐体18は非接続状態となり、HVIL回路54は(a)第一端子158と第二端子162との接続解除、(b)第三端子166と第四端子170との接続解除、(c)第六端子350と電流分流器210の脚222、226との接続解除に優先して切断あるいは中断される。この構成によれば、コントローラ62は、第一筐体14が第二筐体18と接続状態にないときにアーチングが起きないよう、第六端子350が電流分流器210の脚部222、226と接続解除する箇所、または第三端子166が第四端子170と接続解除する箇所、または第一端子158が第二端子162と接続解除する箇所に優先して、蓄電ユニットに流入する電流をせき止める。このように、サービス切断回路58とHVIL回路54は両方とも、コネクタ10との接続が解除された状態においては、レバー66による操作ひとつで切断あるいは中断されるが、第一筐体14および第二筐体18の接続解除よりは優先される。図示された例においては、HVIL分流器214および電流分流器210の位置関係に関して、第一位置と第二位置との間に、第三の位置あるいは中間の位置があってもよい。
図6、
図7に示すように、当該の中間の位置に置いては、端子158、162、166、170と電流分流器210は接続状態にあるが、HVIL分流器214は非接続状態にある。このように、コネクタ10が接続状態となるとき、HVIL回路214が最後に形成される接続で、コネクタ10が接続解除となるとき、HVIL回路214が最初に切断される接続である。
【0035】
前記の発明に関する記載は、発明の形態の例示、説明を意図したものである。発明を網羅したり限定したりすることを意図したものではない。特定の形態の個々の要素や特徴がその形態にのみあてはまると限定されることは一般的ではないが、特に記載が無い場合でも、特定の形態において別の要素や特徴と置き換えて適用される場合がある。“同様”と記載されるものも、様々な点で異なる場合がある。そのような相違点は発明の範疇を逸脱するものではなく、こうした応用例は全て発明の範囲に含まれるべきものである。
【0036】
発明の適用例は、当該技術を有する人間にとって本件の発明の範囲が全て完全に明らかとなるように用意されている。本発明の適用例を完全に理解してもらうべく、部材、装置、方法等が多数詳細に例示してある。当該技術を有する者にとって、例示された詳細な部分までその通りに適用する必要は必ずしもないこと、例示された適用例は各種異なる形態で実現されてもよいこと、そしてこれら2点は発明の範囲を限定すると解釈されるものではないこと、は明らかである。いくつかの適用例においては、従来よく知られている手順、装置構造、技術に関して詳細な説明を省いたものもある。
【0037】
ここに使用される用語は特定の発明の適用例の説明のみを目的とするものであって、限定的な解釈をされるべきではない。ここに使用される「a」「an」「the」のつく単数形の語は、文脈中に特に明らかでない限り複数形である場合も含み得るものとする。「含む」「備える」「持つ」などの語は包括的であり、それゆえ現状の特定の特徴・全体部・手順・操作・部材を指すものであるが、現状に加えて他のひとつまたは複数の特徴・全体部・手順・操作・部材・グループが発明に含まれてもよい。
【0038】
本件において記述される方法の手順、過程、操作は、順序通りに行うよう指定がない限り、記述、図示された実行の順序通りに必ずしも行なわなくともよいものである。また、代替あるいは追加の手順を適用する可能性もある。
【0039】
ある要素や層が別の要素や層と「接触して(〜上に)」「接続して」「連結して」「つながって」いる、ある等と記載があった場合、直接「接触して(〜上に)」「接続して」「連結して」「つながって」いる(ある)場合もあれば、中間に介在する要素や層があってもよい。反対に、ある要素について「直接接触して(直接上に)」「直接接続して」「直接連結して」「直接つながって」いる、ある等と表記されている場合は、介在する中間要素や中間層はないものと見なしてよい。要素間の関係を表す他の語についても同様に見なされるべきものである(例;「〜の間に」と「直接〜の間に」、「隣接する」と「直接隣接する」など)。本来使用される「かつ/また」という語は、記載されたひとつまたは複数の関連項目の任意かつ全ての組合せを含むものである。
【0040】
本件で用いられる「第一(の)」「第二(の)」「第三(の)」等の語は、各種要素、部材、範囲、層、部分等の説明に用いられるが、当該要素、部材、部位、層、部分はこれらの語によって限定されるものではない。これらの語はあくまである要素、部材、部位、層、部分を外の部位、層、部材と区別するために使用されうるものである。本件において「第一(の)」「第二(の)」をはじめ番号を表す語が用いられた場合は、文脈により明らかに規定されない限り、連続性や順番を示唆するもではない。したがって、以下に記載される、例えば「第一(の)」要素、部材、部位、層、部分が「第二(の)」要素、部材、部位、層、部分と名付けられていたとしても、本件に開示された発明の適用例の範囲から逸脱するものではない。
【0041】
本件において、ある要素や特徴の、他の要素や特徴との図表における位置関係を分かりやすく述べるため、「内部に」「外部に」「下に」「下部に」「より下に」「上に」「上方に」などの、空間における位置を表す語が使われる場合がある。これらの空間位置関係を表す語は、図示されている方向に加え、発明の適用の実例において別の方向をも含み得る。例えば、図中の装置を裏返しにした場合、それまで他の要素の「下に」あるいは「下部に」位置すると記されていた要素は、今度は他の要素の「上に」と記されることとなる。したがって、例えば「下に」という語は、上方向と下方向と両方の意義を含みうることとなる。本件の発明に関わる装置は、裏返しにする以外の方法で回転されてもよく(90度回転その他)、それに従い空間位置関係の用語も適宜変更されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】第一筐体および第二筐体を完全に係合した状態である、本発明に係るコネクタの斜視図である。
【
図6】
図5の切断線6−6における前記コネクタの断面図である。
【
図7】
図5の切断線7−7における前記コネクタの断面図である。