(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記酸化膜形成工程において、前記チャンバー内の相対圧力が0.01MPa以上0.3MPa以下である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体発光素子の製造方法。
前記半導体層は、少なくとも、アルミニウム、ガリウム、窒素、およびインジウムからなる群より選択される元素を含むIII−V族化合物半導体層である請求項6から請求項14のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された技術に代表される従来技術では、以下の点でなお改善の余地を有していた。
従来技術のように、フォトリソグラフィ工程や有機物の相分離を利用して被加工面にマスクを形成し、マスクを利用してエッチング工程を実施する方法によれば、所望の凹凸パターンを基板表面に形成することができる。しかしながら、マスクを用いて凹凸パターンを形成する方法は、マスクの形成工程に多段階の工程が必要となるため量産性が悪く、また製造コストが増大する。
【0006】
また、特許文献1のようにドライエッチングで凹凸構造を形成する技術では、被加工面の表面のみならず、内部の半導体層にエッチングダメージを与えてしまうため、半導体発光素子の光出力を劣化させる恐れがある。さらに、特許文献2に開示された基板の半導体層を成長させる側の表面(基板と半導体層との界面)に光取り出し効果のある光学的な凹凸構造のパターンを設ける技術では、凹凸構造の基板表面上に半導体層を形成しなければならないため、半導体層結晶性が劣化し、光出力が低下する恐れがある。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、量産性が良く、半導体発光素子における半導体層へのエッチングダメージや半導体層の結晶性の劣化を抑制しつつ、半導体発光素子の光取り出し効率を向上することが可能な半導体発光素子の製造方法、および半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の半導体発光素子の製造方法または下記の半導体発光素子により、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明の一態様に係る半導体発光素子の製造方法は、第一の主面に半導体層が形成された窒化アルミニウム基板をチャンバー内に設置する設置工程と、前記チャンバー内に水分子を導入した状態で該チャンバー内を加熱し、前記窒化アルミニウム基板の前記第一の主面の反対側に位置する第二の主面上に、アモルファス酸化膜および/または結晶性酸化膜を含む酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記の半導体発光素子の製造方法では、前記酸化膜形成工程において、表面が凹凸構造の前記酸化膜を形成することを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子の製造方法では、前記酸化膜形成工程において、前記チャンバー内の相対湿度が50%以上100%以下であることを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子の製造方法では、前記酸化膜形成工程において、前記チャンバー内の温度が100℃以上140℃以下であることを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子の製造方法では、前記酸化膜形成工程において、前記チャンバー内の相対圧力が0.01MPa以上0.3MPa以下であることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る半導体発光素子は、窒化アルミニウム基板の第一の主面上に形成された半導体層と、前記窒化アルミニウム基板の前記第一の主面の反対側に位置する第二の主面上に形成された、前記窒化アルミニウム基板よりも屈折率の小さい酸化膜と、を備え、前記酸化膜が、アモルファス酸化膜および/または結晶性酸化膜を含むことを特徴とする。
また、上記の半導体発光素子において、前記酸化膜と前記窒化アルミニウム基板との界面に凹凸構造を有することを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子において、前記酸化膜の表面に凹凸構造を有することを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子において、前記酸化膜が前記アモルファス酸化膜および前記結晶性酸化膜を含む複数の酸化膜からなる積層構造であり、かつ、前記酸化膜は前記アモルファス酸化膜と前記結晶性酸化膜との界面に凹凸構造を有することを特徴としてもよい。
【0010】
また、上記の半導体発光素子において、前記酸化膜が前記アモルファス酸化膜および前記結晶性酸化膜を含む複数の酸化膜からなる積層構造であり、かつ、前記酸化膜は前記アモルファス酸化膜の上に前記結晶性酸化膜を有する構造であることを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子において、前記酸化膜が、Alを含む酸化膜であることを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子において、前記酸化膜の厚さが、10nm以上5μm以下あることを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子において、前記酸化膜が少なくともアモルファス酸化膜を含み、前記アモルファス酸化膜の厚さが、10nm以上3μm以下であることを特徴としてもよい。
【0011】
また、上記の半導体発光素子において、前記酸化膜が少なくとも結晶性酸化膜を含み、前記結晶性酸化膜の厚さが、10nm以上2μm以下であることを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子において、前記半導体層は、少なくとも、アルミニウム、ガリウム、窒素、およびインジウムからなる群より選択される元素を含むIII−V族化合物半導体層であることを特徴としてもよい。
また、上記の半導体発光素子において、前記窒化アルミニウム基板の第二の主面が六方晶におけるC面で、かつN面であることを特徴としてもよい。
本発明の別の態様に係る半導体発光素子は、第一の主面に半導体層が形成された窒化アルミニウム基板をチャンバー内に設置する設置工程と、前記チャンバー内に水分子を導入した状態で前記窒化アルミニウム基板の第二の主面を熱処理して、該第二の主面上に、アモルファス酸化膜を含む酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、を実行することにより得られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、窒化アルミニウム基板が配置されたチャンバー内に水分子を導入した状態で該チャンバー内を加熱する。これにより、窒化アルミニウム基板の第二の主面上に、窒化アルミニウム基板よりも屈折率の小さい、アモルファス酸化膜および/または結晶性酸化膜を含む酸化膜を形成することができる。その結果、窒化アルミニウム基板の第二の主面からの光取り出し効率を格段に向上させることが可能となる。
また、上記の酸化膜を形成する工程(即ち、酸化膜形成工程)では、フォトリソ技術を用いてマスクを形成する必要はなく、さらに、酸化膜の表面や窒化アルミニウム基板の第二の主面にドライエッチング処理を実施する必要がない。このため、量産性が良く、窒化アルミニウム基板や半導体層へのエッチングダメージを抑制することができる。
さらに、上記の酸化膜形成工程は半導体層を形成した後に第二の主面上に酸化膜を形成をする。基板の半導体層を成長させる側の表面(基板と半導体層との界面)に光取り出し効果のある光学的なパターンを設けるのではなく、第二の主面上に凹凸構造を形成するため、酸化膜形成工程が半導体層成長時の結晶欠陥発生に影響を与えることはなく、半導体層の結晶性の劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態と称する)について、詳細に説明する。
<半導体発光素子の製造方法>
本実施形態の半導体発光素子の製造方法は、第一の主面に半導体層が形成された窒化アルミニウム(AlN)基板をチャンバー内に設置する設置工程と、前記チャンバー内に水(H
2O)分子を導入した状態で該チャンバー内を加熱し、前記窒化アルミニウム基板の第二の主面上にアモルファス酸化膜および/または結晶性酸化膜を含む酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、を備える。
[設置工程]
本実施形態の半導体発光素子の製造方法における設置工程は、第一の主面に半導体層が形成された窒化アルミニウム基板をチャンバー内に設置する工程である。
前記チャンバーは、内部に窒化アルミニウム基板を設置することが可能であり、内部空間に水分子を導入することが可能なものであれば特に制限されない。酸化膜形成工程において、相対湿度・温度・相対圧力を所望の範囲に制御する場合は、チャンバーがこれら相対湿度・温度・相対圧力をモニタしながら制御する機構を備えていることが好ましい。
【0015】
[酸化膜形成工程]
本実施形態の半導体発光素子の製造方法における酸化膜形成工程は、前記チャンバー内に水分子を導入した状態で前記チャンバー内を加熱し、前記窒化アルミニウム基板の第二の主面上にアモルファス酸化膜および/または結晶性酸化膜を含む酸化膜を形成する。
また、処理条件(相対湿度、温度、相対圧力、処理時間)を制御することにより、前記酸化膜を形成するのが好ましい。前記酸化膜は、アモルファス酸化膜または結晶性酸化膜の単層でも、アモルファス酸化膜と結晶性酸化膜との積層でも良い。
なお、大気中に窒化アルミニウム基板を曝すことにより窒化アルミニウム基板の表面に自然酸化膜が形成されることは知られている。しかしながら、この自然酸化膜では光取り出し効率の向上は生じず、チャンバー内に水分子を導入した状態で意図的に前記チャンバー内を加熱することで得られる窒化アルミニウム基板の第二の主面上のアモルファス酸化膜および/または結晶性酸化膜を含む酸化膜によって、第二の主面からの光取り出し効率の向上の効果を奏することが後述の実施例において確認されている。
【0016】
光取り出し効率をより高める酸化膜を形成する観点から、酸化膜形成工程におけるチャンバー内の相対湿度は、50%以上100%以下が好ましく、65%以上100%以下がより好ましい。
また、光取り出し効率をより高める酸化膜を形成する観点から、酸化膜形成工程におけるチャンバー内の温度は、100℃以上140℃以下が好ましく、105℃以上121℃以下がより好ましい。
また、光取り出し効率をより高める酸化膜を形成する観点から、酸化膜形成工程におけるチャンバー内の相対圧力(ゲージ圧)は、0.01MPa以上0.3MPa以下が好ましく、0.01MPa以上0.1MPa以下がより好ましい。
【0017】
以下、酸化膜形成工程における酸化膜形成のメカニズムについて説明する。本実施形態における酸化膜形成工程は、チャンバー内に水分子が存在する状態で前記チャンバー内を加熱することで窒化アルミニウム基板の第二の主面上にアモルファス酸化膜および/または結晶性酸化膜を含む酸化膜を形成する。このため、自然酸化膜が形成されるときの条件と比較して、水蒸気が窒化アルミニウム基板の第二の主面と反応しやすく、光取り出し向上効果のあるアモルファス酸化膜および/または結晶性酸化膜を含む酸化膜を形成するものと推察される。本実施形態における、光取り出し向上効果のあるアモルファス酸化膜は、温度が100℃以上、相対湿度が50%以上、大気圧よりも高い圧力で窒化アルミニウム基板の第二の主面を処理したときに顕著に形成される。
【0018】
また、チャンバー内の温度が高い場合(例えば105℃より高い場合)、表面が凹凸構造の結晶性酸化膜が形成される傾向にあることが後述の実施例によって確認されている。この結晶性酸化膜は水熱合成によって形成されるものと推察される。
アルミニウム(Al)を含む酸化膜とは酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムあるいはこれらと窒化アルミニウムが混在した膜などが挙げられるが、これに限定されない。酸化膜形成工程において、温度、相対湿度、相対圧力の少なくとも一つまたはそれらの組み合わせを制御することによって窒化アルミニウム基板の第二の主面と水蒸気の反応を制御し酸化膜や表面の凹凸の形態を制御することができる。
【0019】
本実施形態の酸化膜形成工程では、ドライエッチングで用いられるプラズマ等を使用しない。これにより、半導体層へのエッチングダメージを招来することがないため、エッチングダメージによる発光効率低減が抑制される。
また、本実施形態の酸化膜形成工程は、半導体層を形成した後に、窒化アルミニウム基板の第二の主面上に凹凸構造を有する酸化膜を形成する。基板の半導体層を成長させる側の表面(基板と半導体層との界面)に光取り出し効果のある光学的なパターンを設けるのではなく、第二の主面上に凹凸構造を形成する。したがって、半導体層成長時の結晶欠陥発生に影響を与えないため、結晶欠陥由来の発光効率低減が生じない。
【0020】
[窒化アルミニウム基板]
本実施形態の半導体発光素子の製造方法で用いられる窒化アルミニウム基板は、アルミニウム(Al)と窒素(N)を主たる構成元素である物質からなるものであればよい。
また、該窒化アルミニウム基板は、半導体層を形成するための第一の主面と、酸化膜形成工程において酸化膜を形成するための第二の主面を有するものであれば、形状も特に制限されず、ウェハ状であってもよいし、個片化されたチップ状であってもよい。第一の主面と第二の主面は略平行な関係で対向していることが好ましい。
【0021】
また、該窒化アルミニウム基板は、必要に応じ種々のドーパントや不純物を含んでいてもよい。該窒化アルミニウム基板は多結晶でも単結晶でもよい。結晶性の良い半導体層を形成する観点から単結晶であることが好ましい。
また、該窒化アルミニウム基板を製造する方法は特に制限されず、例えば昇華法やHVPE(Hydride vapor phase epitaxy;ハイドライド気相成長)法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属気相成長) 法、MBE(Molecular beam epitaxy;分子線エピタキシー)法などにより得られる窒化アルミニウムを用いることができる。
【0022】
半導体層の平坦性と結晶性向上の観点から窒化アルミニウム基板の第一の主面はAl面であることが好ましく、六方晶におけるC面であり、かつAl面であることがより好ましい。また、効率的に本実施形態における酸化膜を形成する観点から、窒化アルミニウム基板の第二の主面は六方晶におけるC面で、かつ、N面であることが好ましい。
また、本実施形態の半導体発光素子の製造方法においては、光取り出し効率向上効果をより高める観点から、該窒化アルミニウム基板の第二の主面はCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理されていないものであることが好ましい。
【0023】
[半導体層]
本実施形態の半導体発光装置の製造方法で用いられる窒化アルミニウム基板の第一の主面上に形成される半導体層は、該半導体層に電力を供給すると光を発光するものであれば特に制限されない。
該半導体層は、単層であってもよいし、構成元素や構成元素の比率が異なる複数の半導体層が積層された積層構造であってもよい。発光効率向上の観点から、該半導体層は積層構造であることが好ましく、n型半導体層、発光層、電子ブロック層、p型半導体層を有する積層構造であることがより好ましく、電力を供給するための電極と接する領域に電極との接触抵抗を小さくするコンタクト層をさらに有する積層構造であることがよりさらに好ましい。
【0024】
発光効率向上の観点から、前記発光層は多重量子井戸構造(MQW;Multi Quantum Well)であることが好ましい。
発光波長を制御する観点から、半導体層は化合物半導体であることが好ましく、III−V族化合物半導体であることがより好ましく、アルミニウム、ガリウム、窒素、およびインジウムからなる群より選択される元素を含むIII−V族化合物半導体層であることがさらに好ましく、窒化物化合物半導体であることがよりさらに好ましい。半導体層の構成元素や組成比は、どの波長の光を発光させるかにより種々選択することが可能であり、窒化物化合物半導体を用いる場合、例えば、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム、窒化ホウ素、あるいはこれらの混晶を用いることが出来るがこれに限定されない。
また、窒化アルミニウム基板の第二の主面から効率的に光を取り出す観点から、前記窒化アルミニウム基板の第二の主面に電極を形成するのではなく、前記窒化アルミニウム基板の第一の主面の半導体層にメサ構造とn電極、およびp電極を形成することが好ましい。
【0025】
[酸化膜]
本実施形態の半導体発光素子の製造方法により形成される酸化膜は、アモルファス酸化膜および/または結晶性酸化膜を含む酸化膜であれば特に制限されない(即ち、アモルファス酸化膜のみでもよいし、結晶性酸化膜のみでもよいし、アモルファス酸化膜と結晶性酸化膜の両方を含んでいてもよい。)。
発光効率向上の観点から、該アモルファス酸化膜はAlを含んだ酸化膜であることが好ましい。また、発光効率向上の観点から、凹凸構造を有する酸化膜であることが好ましい。即ち、酸化膜と窒化アルミニウム基板との界面が凹凸構造でもよいし、酸化膜の表面(即ち、酸化膜の窒化アルミニウム基板と接する面の反対側の面)が凹凸構造でもよい。また、酸化膜がアモルファス酸化膜および結晶性酸化膜を含む複数の酸化膜からなる積層構造であり、かつ、該酸化膜はアモルファス酸化膜と結晶性酸化膜との界面に凹凸構造を有していてもよい。該結晶性酸化膜は、Alを含んだ多結晶体であることが好ましい。また、酸化膜がアモルファス酸化膜および結晶性酸化膜を含む複数の酸化膜からなる積層構造であり、かつ、該酸化膜はアモルファス酸化膜の上に結晶性酸化膜を有する構造であってもよい。
【0026】
酸化膜と窒化アルミニウム基板との界面の凹凸構造は、後述の凹凸構造の高さが10nm未満であれば平坦(凹凸構造はない)と評価し、10nm以上であれば凹凸構造を有すると評価する。取り出し効率向上の観点から、凹凸構造の高さが10nm以上2μm以下であることが好ましく、50nm以上1μm以下であることがより好ましく、100nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。
【0027】
前記凹凸構造の高さは酸化膜断面をSTEM(走査透過型電子顕微鏡;scanning transmission electron microscope)(撮影倍率:40000倍)で撮影した画像から計測される。まず、窒化アルミニウム基板と半導体層との界面に対して平行な基準線を、凹凸構造部と重複しないように凹凸構造の下に設ける。次に、基準線から凹凸構造(酸化膜の表面および/または酸化膜と窒化アルミニウム基板との界面)までの距離を基準線の幅3μm分読み取り、距離が最も長い頂部から5番目に長い頂部までの距離(Yp)の平均と、距離が最も短い底部から5番目に短い底部までの距離(Yv)の平均と、の差である十点平均粗さRを算出する。頂部および底部は傾きが基準線と平行になる領域を意味する。なお、基準線の幅3μmの範囲に頂部および底部が一つも存在しない場合は、凹凸構造の高さはゼロとする。また、基準線の幅3μmの範囲内の、頂部と底部の合計が1個以上20個以下の場合は、撮影した箇所から隣接する視野に移動して、20個以上になるまで断面像を撮影する。
上述した十点平均粗さRの算出を、異なる5カ所の断面で行い、5カ所の断面の十点平均粗さRの平均値を凹凸構造の高さとする。
【0028】
前記酸化膜はアルミニウムを構成元素として含んでもよい。アルミニウムを含む酸化膜としては、前述のとおり、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムあるいはこれらと窒化アルミニウムが混在した膜が挙げられるが、これに限定されない。
この酸化膜の屈折率は、基板の材料である窒化アルミニウムの屈折率よりも低くなる。特に、上述の酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムの屈折率は、窒化アルミニウムの屈折率よりも低い。
前記酸化膜の厚みは特に限定されないが、自然酸化膜程度の厚さでは光の取り出し効率向上効果は期待されないため、前記酸化膜の厚みは10nm以上5μm以下あることが好ましく、100nm以上5μm以下であることがより好ましい。前記酸化膜がアモルファス酸化膜と結晶性酸化膜の積層構造である場合、光取り出し効率向上の観点からアモルファス酸化膜の厚みは10nm以上3μm以下が好ましく、50nm以上2.5μm以下がより好ましく、100nm以上2μm以下がさらに好ましい。結晶性酸化膜の厚みは10nm以上2μm以下が好ましく、50nm以上1.5μm以下がより好ましく、100nm以上1μm以下であることがさらに好ましい。
【0029】
酸化膜の厚さは、酸化膜断面をSTEMで撮影して計測される。厚さの計測方向(軸)は前記窒化アルミニウム基板と半導体層との界面に対して面直方向とする。例えば
図12(a)に示すように、酸化膜と窒化アルミニウム基板との界面が平坦な場合は、一か所で計測した値を酸化膜の厚さとする。また、酸化膜や窒化アルミニウム基板が凹凸構造を有する場合、凹部と凸部が繰り返し出現するため、計測箇所によって厚さが異なってしまう。例えば
図12(b)に示すように、酸化膜と窒化アルミニウム基板(下地)との界面が凹凸構造を有する場合は、下地の凹凸構造を基準とし、下地の全ての凹凸構造の凹部と凸部で計測した値の平均値を酸化膜の厚さとする。撮像する倍率は酸化膜の厚みが、10nm〜100nmの場合は300000倍、100nm〜3μmの場合は20000倍、3μm〜5μmの場合は5000倍とした。
【0030】
本実施形態の半導体発光素子の製造方法により形成される酸化膜によって、半導体発光素子の光取り出し効率が向上するメカニズムの全容は明らかではないが、窒化アルミニウム基板の第二の主面上に窒化アルミニウム基板より屈折率の小さい酸化膜が配置された構造となるため、窒化アルミニウム基板と酸化膜との界面において、スネルの法則で定義される臨界角を大きく設計でき、その分入射光の反射を抑制し、取り出し効率が増えるものと推察される。さらに本実施形態によって形成される酸化膜は、該酸化膜の密度や組成が連続的または非連続的に変化していることで、基板と酸化膜との界面での光の反射を抑制し、光取り出し効率を改善しているものと推察される。
特に、前記酸化膜が、アモルファス酸化膜と結晶性酸化膜の積層構造となる場合、上述のメカニズムによる光取り出し効率がより顕著に向上するものと推察される。さらに酸化膜の表面、酸化膜の界面(例えば、アモルファス酸化膜と結晶性酸化膜との界面)、酸化膜と窒化アルミニウム基板との界面の少なくともいずれかに凹凸構造を有する場合、光の散乱効果による光取り出し効率向上も生じ得る。また、酸化膜の上に光の散乱効果を考慮した凹凸構造を形成することで、さらに光取り出し効率を向上させた半導体発光素子となる。
【0031】
[プロセス・フローの一例]
次に、図面を参照しながら、本実施形態に係るプロセス・フローについて、一例を挙げて説明する。ここでは、窒化アルミニウム基板から、本実施形態に係る半導体発光素子を完成させるまでを工程順に説明する。また、本実施形態に用いて好適な、酸化膜形成装置について説明する。
図1は、本実施形態に用いて好適な酸化膜形成装置50の構成例を示す模式図である。また、
図2(a)〜(d)は、本実施形態に係る半導体発光素子100の製造方法を工程順に示す断面図である。
本プロセス・フローでは、まず、窒化アルミニウム基板1の第二の主面1b上に酸化膜20を形成する(即ち、設置工程、酸化膜形成工程を実施する)ための、酸化膜形成装置50を予め用意しておく。
【0032】
図1に示すように、この酸化膜形成装置50は、内部を大気圧以上に維持できるように密閉可能なチャンバー51と、チャンバー51内に配置され、窒化アルミニウム基板(例えば、ウェハ)1を支持可能なステージ53と、チャンバー51内の上部中央に配置されたノズル55と、ノズル55を通してチャンバー51内に水(H
2O)分子を供給するH
2O供給源61と、チャンバー51の外周に設けられてチャンバー51内を加熱するヒーター81と、H
2O供給源61およびヒーター81をそれぞれ制御して、チャンバー51内の相対湿度、温度がそれぞれ予め設定した(即ち、所定の)範囲となるように制御する制御部90と、を備える。また、図示しないが、ステージ53にヒーターが内蔵されていてもよく、このステージ53に内蔵されたヒーターがチャンバー内を加熱してもよい。
【0033】
ここで、チャンバー51内部の相対圧力(ゲージ圧)は、チャンバー51内部の相対湿度、温度によって、その値が決まる。即ち、チャンバー51内部の相対圧力は、独立パラメータではない。チャンバー51内部の相対圧力は、制御部90によって制御される(または、酸化膜形成装置50を管理する装置管理者によって予め設定される)チャンバー51内部の温度および相対湿度を待機状態よりも高く設定することにより、大気圧よりも相対的に高くすることができる。また、図示はしないが、酸化膜形成装置50は、チャンバー51内部の相対圧力を意図的に制御することができる加圧ポンプを設けていてもよい。
【0034】
また、H
2O供給源61は、酸化膜形成装置50内に図示しない水槽と、水槽用ヒーター(チャンバー加熱用とは別のヒーター)とを有し、この水槽用ヒーターで水槽内の水を加熱し、気体となった水をノズル55を通してチャンバー51内に供給する構成でもよい。この場合、チャンバー51内の相対湿度は、水槽用ヒーターの出力とチャンバー内の雰囲気温度に依存する。水槽用ヒーターの出力は、制御部90が制御してもよいし、装置管理者によって予め設定される設定値としてもよい。
【0035】
次に、窒化アルミニウム基板1を用意する。
図2(a)に示すように、窒化アルミニウム基板1は、第一の主面1aと、第一の主面1aの反対側に位置する第二の主面1bとを有する。
図2(b)に示すように、窒化アルミニウム基板1の第一の主面1a上にn型半導体層11、発光層13、電子ブロック層15、p型半導体層17を順に積層して、これらを含む半導体層10を形成する。半導体層10の形成は、例えばMBE法やMOCVD法で行う。
次に、
図2(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、半導体層10をメサ形状にパターニングする。次に、窒化アルミニウム基板1の第一の主面1a上に絶縁膜31を堆積して、メサ形状にパターニングされた(即ち、メサ構造の)半導体層10を覆う。絶縁膜31は例えばシリコン酸化膜(SiO
2)であり、その形成は例えばCVD法で行う。
【0036】
そして、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、絶縁膜31を部分的に除去し、n型半導体層11とp型半導体層17をそれぞれ底面とするコンタクトホールを形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術およびリフトオフ技術を用いて、前記コンタクトホールを埋め込むように選択的に金属膜を堆積する。金属膜の堆積は、例えば蒸着法で行う。これにより、n型半導体層11と電気的に接続する電極部33と、p型半導体層17と電気的に接続する電極部35とを形成する。
【0037】
次に、電極部35を形成した窒化アルミニウム基板1を、
図1に示した酸化膜形成装置50のステージ53上に設置する。ここでは、
図1に示すように、窒化アルミニウム基板1の第二の主面1bを上方(即ち、ノズル55側)に向けた状態で、窒化アルミニウム基板1をステージ53上に設置する(設置工程)。
そして、チャンバー51内に水分子を導入した状態で、チャンバー51内を加熱する。これにより、
図2(d)に示すように、窒化アルミニウム基板1の第二の主面1bを熱処理して、第二の主面1b上にアモルファス酸化膜21を含む酸化膜20を形成する(酸化膜形成工程)。
【0038】
ここでは、
図1に示した制御部90が、例えばH
2O供給源61およびヒーター81を制御して、窒化アルミニウム基板1の熱処理条件(相対湿度、温度、相対圧力、処理時間)が所定の範囲となるように制御する。また、制御部90が、熱処理条件を制御することにより、第二の主面1bのアモルファス酸化膜21上に、表面が凹凸構造の結晶性酸化膜23をさらに形成するようにしてもよい。結晶性酸化膜23は、酸化膜形成工程においてアモルファス酸化膜21が形成されるのと同時に形成される。
そして、窒化アルミニウム基板1の第二の主面1b上に酸化膜20を形成した後、窒化アルミニウム基板1を酸化膜形成装置50のチャンバー51内から搬出する。以上の工程を経て、本実施形態に係る半導体発光素子100が完成する。
【0039】
<実施形態の効果>
本発明の実施形態によれば、窒化アルミニウム基板1が配置されたチャンバー51内に水分子を導入した状態で、チャンバー51内を加熱する。これにより、窒化アルミニウム基板1の第二の主面1b上に、窒化アルミニウム基板1よりも屈折率の小さい、アモルファス酸化膜21をおよび/または結晶性酸化膜23を含む酸化膜20を形成することができる。その結果、窒化アルミニウム基板1の第二の主面1bからの光取り出し効率を格段に向上させることが可能となる。
また、上記の酸化膜20を形成する工程(即ち、酸化膜形成工程)では、酸化膜20の表面や窒化アルミニウム基板1の第二の主面1bにエッチング処理を実施する必要がない。このため、量産性が良く、窒化アルミニウム基板1や、半導体層10へのエッチングダメージを抑制することができる。
さらに、上記の酸化膜形成工程は半導体層10を形成した後に行う。これにより、基板の半導体層を成長させる側の表面(基板と半導体層との界面)に光取り出し効果のある光学的な凹凸構造のパターンを設けるのではなく、第二の主面上に酸化膜を形成する。したがって、酸化膜形成工程が半導体層10成長時の結晶欠陥発生に影響を与えることはないため、半導体層10の結晶性の劣化を抑制することができる。
【実施例】
【0040】
実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能なものである。
[実施例1]
窒化アルミニウム基板上にMOCVD(有機金属気相成長)装置を用いてアルミニウム、ガリウム、窒素を含むn型半導体層、MQW(多重量子井戸)発光層、電子ブロック層、p型半導体層を順に成膜したウェハに、公知のリソグラフィー技術とドライエッチング技術を用いてn型半導体層が露出するようなメサ構造を形成し、P,N型半導体層の両方に電極を蒸着し、窒化アルミニウム基板の第二の主面を研削して、紫外域の半導体発光素子を6個作製した。
【0041】
次に、各半導体発光素子に100mAの電流を印加し、各半導体発光素子の発光強度を測定し、初期値として記録した。
次に、各半導体発光素子をチャンバー内にセットし、温度121℃、相対湿度100%、相対圧力0.1MPaの条件で1000時間保持した(設置工程、酸化膜形成工程)。
この間、処理開始から、50時間、100時間、250時間、350時間、450時間、550時間、750時間、1000時間経過した際に、一度各半導体発光素子を取り出し、100mAの電流を印加し、各半導体発光素子の発光強度を測定し、記録した。
500時間処理後にチャンバーから取り出した後の半導体発光素子の窒化アルミニウム基板の第二の主面上のSEM(走査型電子顕微鏡;Scanning Electron Microscope)画像を
図3、4に示す。
図3、4から第二の主面上に表面が凹凸構造の膜が形成されていることがわかる。
【0042】
図5に、窒化アルミニウム基板の断面のSTEM画像(20000倍)を示す。
図5から、窒化アルミニウム基板の第二の主面上に厚さが550nmの第1層と、厚さが300nmで、表面が凹凸の第2層が形成されていることがわかった。5カ所の断面STEM画像(40000倍)から凹凸構造の高さを測定したところ、第2層の表面の凹凸構造の高さは160nmであり、第1層と窒化アルミニウム基板の第二の主面との界面の凹凸構造の高さは140nmであった。また、第1層と第2層の界面の凹凸構造の高さは10nm未満であり、平坦であった。EDX(エネルギー分散型X線分析;Energy Dispersive X−ray spectrometry)と電子線回折により各層の組成・性状を分析したところ、第1層はAl:O=1:3のアモルファス酸化膜であり、第2層はAl:O=1:3の結晶性酸化膜であることがわかった。
【0043】
また、
図6に、前記初期値を0時間として、処理時間に対する出力経時変化のグラフを示す。
図6の横軸は処理時間(hr)を示し、縦軸は光出力変化率(%)を示す。図中の(1)〜(6)は、上記した紫外域の半導体発光素子6個の各データである。処理前の初期値(0hr)に比べ処理後(50hr〜1000hr)は出力が30〜80%以上向上していることが理解される。即ち、窒化アルミニウム基板の第二の主面を水分子が存在する状態においてチャンバー内で処理することにより、光取り出し効率が劇的に向上したことが理解される。
【0044】
[実施例2]
半導体発光素子の第二の主面を研削した後に、さらにCMP研磨を行った以外は、実施例1と同様の方法で得られた半導体発光素子を温度121℃、相対湿度100%、相対圧力0.1MPaの条件で50時間保持した。
処理後の半導体発光素子の窒化アルミニウム基板の第二の主面のSEM画像を
図7に示す。
図7から、実施例1と同様に表面が凹凸構造の酸化膜が形成されていることがわかる。
図8に、窒化アルミニウム基板の断面のSTEM画像(20000倍)を示す。
図8から、窒化アルミニウム基板の第二の主面上に厚さが1400nmのアモルファス酸化膜(第1層)と、厚さが250nmで、表面が凹凸の結晶性酸化膜(第2層)が形成されていることがわかった。5カ所の断面STEM画像(40000倍)で凹凸構造の高さを計測すると、第2層の表面の凹凸構造の高さは100nmであった。また、第1層と窒化アルミニウム基板との界面、および第2層と第1層の界面の凹凸構造の高さは10nm未満であり、平坦であった。
【0045】
また、処理前後で発光強度を比較したところ、上記処理により発光強度が10%向上していた。実施例1と実施例2を比較すると、実施例1のように窒化アルミニウム基板と第1層との界面が凹凸構造となっていることが、発光効率向上の観点からより好ましいことが理解される。また、実施例1のような窒化アルミニウム基板と第1層との界面に凹凸構造を形成するためには、水分子を導入した状態でチャンバー内を加熱処理する前の窒化アルミニウム基板の第二の主面の状態が起因することもわかった。具体的には、研削を行った後の窒化アルミニウム基板と第1層との界面に凹凸構造が形成されやすい傾向があることが理解される。
【0046】
[実施例3]
半導体発光素子の第二の主面を研削した後に、さらにCMP研磨を行った以外は、実施例1と同様の方法で得られた半導体発光素子を温度121℃、相対湿度65%、相対圧力0.03MPaの条件で50時間保持した。
処理後の半導体発光素子の窒化アルミニウム基板の第二の主面のSEM画像を
図9に示す。
図9から、実施例3では実施例1と同様に表面が凹凸構造の酸化膜が形成されていることがわかる。
処理前後で発光強度を比較したところ、上記処理により発光強度が15%向上していた。このことから、光取り出し効率を向上させることが可能な酸化膜を形成するには、少なくとも65%以上の相対湿度が必要であることがわかる。
【0047】
[実施例4]
半導体発光素子の第二の主面を研削した後に、さらにCMP研磨を行った以外は、実施例1と同様の方法で得られた半導体発光素子を温度105℃、相対湿度100%、相対圧力0.02MPaの条件で50時間保持した。
処理後の半導体発光素子の窒化アルミニウム基板の第二の主面のSEM画像を
図10に示す。実施例4は、処理前の第二の主面の表面状態は実施例2、3と同じであるのに対して、処理後の表面状態は実施例2、3と大きく異なり、処理前の第二の主面に近い平坦な表面であった。このことから、表面の形状は温度に大きく依存するものと推察される。
図11に、窒化アルミニウム基板の断面のSTEM画像(500000倍)を示す。
図11から、窒化アルミニウム基板の第二の主面上に厚さが32.7nmの第1層が形成されていることがわかる。また、第1層と窒化アルミニウム基板との界面は平坦構造であることがわかる。
また、実施例4のサンプルは、上記処理により発光強度が15%向上していた。このことから、少なくとも32.7nm以上の酸化膜が形成されれば、光取り出し効率が向上するものと推察される。
【0048】
[比較例1]
半導体発光素子の第二の主面を研削した後に、さらにCMP研磨を行った以外は、実施例1と同様の方法で得られた半導体発光素子を温度25℃、相対湿度100%、相対圧力0MPaの条件で50時間保持した。
上記処理によって10nm以上の酸化膜は形成されず、発光強度は向上しなかった。即ち、チャンバー内を加熱しないと、窒化アルミニウム基板の第二の主面上に光取り出し効率を向上させることが可能な厚い酸化膜は形成されないことが理解される。
【0049】
[比較例2]
半導体発光素子の第二の主面を研削した後に、さらにCMP研磨を行った以外は、実施例1と同様の方法で得られた半導体発光素子を温度121℃、相対湿度0%、相対圧力0MPaの条件で50時間保持した。
上記処理によって10nm以上の酸化膜は形成されず、上記処理によって発光強度は向上しなかった。即ち、相対湿度が低すぎる(実質的に水分子が導入されていない)状態では、窒化アルミニウム基板の第二の主面上に光取り出し効率を向上させることが可能な厚い酸化膜は形成されないことが理解される。
表1に、実施例と比較例の処理条件と発光強度向上率をまとめて示す。
【0050】
【表1】
【0051】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。当業者の知識に基づいて実施形態に設計の変更等を加えてもよく、そのような変更が加えられた態様も本発明の範囲に含まれる。