特許第5957145号(P5957145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957145
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】シリコン単結晶成長装置
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20160714BHJP
   C30B 15/22 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   C30B29/06 502E
   C30B15/22
   C30B29/06 502C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-528422(P2015-528422)
(86)(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公表番号】特表2015-526380(P2015-526380A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】KR2014005003
(87)【国際公開番号】WO2014204119
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2015年2月24日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0071494
(32)【優先日】2013年6月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511028928
【氏名又は名称】エルジー シルトロン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ス−イン
【審査官】 伊藤 光貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−204332(JP,A)
【文献】 特開平01−153589(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/095680(WO,A1)
【文献】 特開平09−235175(JP,A)
【文献】 特開2005−053722(JP,A)
【文献】 特開平05−294782(JP,A)
【文献】 実開昭61−183971(JP,U)
【文献】 米国特許第05087321(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン融液が収容されたルツボを含むチャンバーと、
前記ルツボを支持しながら、前記ルツボを回転及び昇降させる支持軸と、
前記ルツボの側方向に設けられ、前記ルツボ側に熱を加えるメインヒーター部と、
前記ルツボの上側に位置する上部熱遮蔽材と、
前記上部熱遮蔽材の下端部に位置する上部ヒーター部と、
前記上部ヒーター部に設けられ、隣接するヒーター間の熱伝達を遮断するヒーターシールドと、
を含み、
前記ヒーターシールドは、前記上部ヒーター部に設けられたそれぞれのヒーターの側面を遮断する側面遮断膜とそれぞれのヒーターの下面を遮断する下面遮断膜からなり、
前記上部ヒーター部は、前記ルツボの中心を基準に相互異なる直径を有し、所定間隔で離隔された複数のリング状のヒーターから構成されることを特徴とする単結晶成長装置。
【請求項2】
前記チャンバーの上部に位置し、シリコン単結晶固液界面の温度を把握する複数のパイロメーターをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の単結晶成長装置。
【請求項3】
前記チャンバーの外部に位置し、シリコン単結晶固液界面の映像を撮影してシリコン単結晶固液界面の温度を把握するカメラをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の単結晶成長装置。
【請求項4】
前記上部ヒーター部と連結される制御部をさらに含み、上部ヒーター部のそれぞれは、
前記制御部に伝送された固液界面の温度情報に応じて使用者の選択によって個別的に動作可能なことを特徴とする請求項1に記載の単結晶成長装置。
【請求項5】
前記遮断膜は、隣接するヒーター間の熱を遮断するための反射膜がコーティングされることを特徴とする請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項6】
前記ヒーターシールドは、黒鉛又はタングステンであることを特徴とする請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項7】
前記上部ヒーター部と連結される制御部をさらに含み、
前記制御部は、固液界面の温度情報に応じて、前記上部ヒーター部に設けられたそれぞれのヒーターパワーを異なるように調節又は任意のヒーターのみをターンオンさせることを特徴とする請求項1に記載の単結晶成長装置。
【請求項8】
前記支持軸を取り囲みながらルツボ支持台の下側に設けられ、前記制御部と連結されるリング状の下部ヒーターをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項9】
前記制御部は、シリコン単結晶の溶融状態に応じて、前記下部ヒーターをターンオン又はターンオフさせることを特徴とする請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項10】
前記上部ヒーター部、メインヒーター部及び下部ヒーターのそれぞれは、使用者の選択によって個別的に動作可能なことを特徴とする請求項に記載の単結晶成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶成長装置及びシリコン単結晶の成長方法に関し、より詳しくは、ルツボに収容されているシリコン融液を、ルツボ内部で早く溶融させることができる熱的環境を提供する単結晶成長装置及び成長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体デバイス製造用基板として利用されるシリコン単結晶は、チョクラルスキー法(Czochralski method;以下Cz法という)により製造される。前記Cz法は、石英ルツボに多結晶シリコンを入れ、ルツボを加熱して溶融したシリコン融液に種子単結晶を接触させた後、徐々に引き上げながら単結晶に成長させる方法である。
【0003】
ほとんどの結晶製造装置は、鋼鉄材質からなり円形をなし、内部は熱を遮断するための断熱材とシリコンを溶融させるための発熱体、石英ルツボ、これを支持する支持軸などから構成され、内部構造物をホットゾーン(Hot zone)という。
【0004】
高品質のシリコン単結晶を成長させるためには、界面周囲の熱環境を一定に形成及び維持し、単結晶が成長して長さが増加しても単結晶の品質と引き上げ速度を維持させ、引き上げ速度の制御が容易である必要がある。より詳しくは、シリコン融液は、ヒーターから継続的に熱を伝達され、熱遮蔽構造によって熱損失が遮断されて一定の温度勾配を維持しなければならない。
【0005】
しかし、シリコンインゴットの大口径化に伴い、単結晶成長装置の規格が大きくなることになり、特に、ルツボが大きくなることになれば、前記ルツボで溶融されるポリシリコンが短時間に液化されず、単結晶成長工程の時間が長くなる実情である。また、シリコン融液自体が均一な温度を維持できず局部的にシリコン融液の凝固が発生すると、成長されるべきシリコン単結晶にロス(loss)が発生し、成長した単結晶の品質にも影響を及ぼす問題点がある。また、結晶成長工程において、融液表面及び内部の温度分布の不均一が発生して、シリコン単結晶にロス(loss)が発生する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した問題点を解決するための本発明の目的は、ルツボに収容されているシリコン融液に均一な熱的環境を提供できるヒーター及びこれを含むシリコン単結晶成長装置及び成長方法を提供することにある。
【0007】
また、投入されるポリシリコンがルツボ内で早く液化し、シリコン単結晶の結晶品質と全体工程の速度を向上させることができるシリコン単結晶成長装置及び成長方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による単結晶成長装置は、シリコン融液が収容されたルツボを含むチャンバーと、前記ルツボを支持しながら、前記ルツボを回転及び昇降させる支持軸と、前記ルツボの側方向に設けられ、前記ルツボ側に熱を加えるためのメインヒーター部と、前記ルツボの上側に位置する上部熱遮蔽材と、前記上部熱遮蔽材の下端部に位置する上部ヒーター部と、を含み、前記上部ヒーター部は、前記ルツボの中心を基準に相互異なる直径を有し、所定間隔で離隔された複数のリング状のヒーターから構成される。
【0009】
また、本発明による単結晶成長方法は、工程チャンバー内部に設けられたルツボにポリシリコンを充填し、前記ルツボの側面に形成されたメインヒーター部及び前記ポリシリコンの上部に形成された上部ヒーター部の発熱によって前記ポリシリコンを溶融させるステップと、前記ルツボに種結晶を浸漬した後、ショルダー工程、ボディー工程、テール工程を行ってシリコン単結晶インゴットを成長させるステップと、を含み、前記ルツボに充填されたポリシリコンを溶融させるステップ、ショルダー工程、ボディー工程、テール工程を行うステップで、前記メインヒーター部を発熱させると同時に、ポリシリコン融液の固液界面の温度情報に応じて、前記上部ヒーター部に設けられた一部のヒーターのみを発熱させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ルツボに収容されているシリコン融液に均一な熱的環境を提供することができ、シリコン融液の局部的な凝固現象を防止してシリコン単結晶の品質とインゴットの引き上げ速度の制御を容易にすることができる。
【0011】
また、本発明によれば、シリコン単結晶の界面周囲の熱的環境を制御でき、ポリシリコンがルツボに早く溶融して、単結晶成長に必要な工程時間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施例に係る単結晶成長装置を示した断面図である。
図2】本発明の第2実施例に係る単結晶成長装置を示した断面図である。
図3】本発明の実施例に係る単結晶成長装置に設けられる上部ヒーター部を示した斜視図である。
図4】本発明の第3実施例に係る単結晶成長装置を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施例を基に添付した図面を参照しながら、詳しく説明する。なお、本発明は、その特定の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る単結晶成長装置を示した断面図である。
【0015】
図1に示すように、単結晶成長装置は、シリコン融液が収容されたルツボ110を含むチャンバー100と、前記ルツボ110を支持しながら、前記ルツボ110を回転及び昇降させる支持軸160と、前記ルツボ110の側方向に設けられ、前記ルツボ110側に熱を加えるためのメインヒーター部140と、前記メインヒーター部140の側方向に設置される側面熱遮蔽材130と、前記側面熱遮蔽材130の上側に位置する上側熱遮蔽材130、シリコン融液の上部で熱を発生させるための複数のヒーター部170と、前記ヒーター部170で発生する熱を遮断するための上部熱遮蔽材175とを含む。
【0016】
前記単結晶製造装置を利用してシリコン単結晶を製造する際には、ルツボ110内部にポリシリコンを収容し、前記メインヒーター部140から熱を加えることで、シリコン融液となるように融融させる。以後、前記シリコン融液を単結晶インゴットに成長させる。ここで、Cz法により多結晶シリコンを溶融させた後、シリコン単結晶に成長させるステップで、前記ルツボ110の大口径化に伴い、ポリシリコンがルツボ110内部で溶融される時間が長くなり、これによって単結晶インゴットの収率が低下することになる。また、メインヒーター部140から発生する熱は、シリコン融液の対流に伴う固液界面での温度制御が難しく、高品質のシリコン単結晶の製造に困難がある。
【0017】
このような損失を解決するために、本発明ではルツボに熱を加えるメインヒーター部140だけでなく、シリコン融液表面と所定距離離隔して形成されるヒーターからなる上部ヒーター部170を有することで、シリコン融液に対する熱履歴を容易に制御する単結晶成長装置を提供する。
【0018】
図1を参照して、本発明による上部ヒーター部170を詳しく説明する。図1は、上部ヒーター部170の第1実施例であり、前記上部ヒーター部170に設けられるそれぞれのヒーター170a、170b、170c、170d、170eは、複数のリング状に提供される。即ち、複数のリング状のヒーター170a、170b、170c、170d、170eのそれぞれは、シリコン単結晶インゴットを取り囲む円形のリング状であり、シリコンインゴットを中心にそれぞれ異なる直径で形成され、それぞれのヒーター170a、170b、170c、170d、170eは、所定距離離隔されて形成される。
【0019】
本発明の図面では、上部ヒーター部170のヒーターの個数は、シリコン単結晶インゴットの成長の制御に好ましい実施例として5個が図示されているが、これに限定されるものではなく、少なくとも2個以上のヒーターで形成される実施例に全部適用することができる。
【0020】
また、図示されてはいないが、本発明の上部ヒーター部170に設けられたヒーター170a、170b、170c、170d、170eのそれぞれは、制御部に連結され、前記制御部の制御により前記ヒーター170a、170b、170c、170d、170eのそれぞれの個別動作が可能である。即ち、前記上部ヒーター部170に設けられたヒーターの個別動作によって、シリコン単結晶インゴットを中心に直径方向への温度勾配を一定に制御できるので、高品質のシリコン単結晶インゴットを成長させることができる。
【0021】
また、チャンバーの上部には、シリコン単結晶インゴットの直径方向にシリコン融液の温度を測定するためのパイロメーター195を複数個設けることができる。前記パイロメーターは、シリコン融液の温度を測定し、温度が不安定な地点或いは周辺より高い又は低い地点を把握して、即ち直径方向の温度勾配に関する情報を制御部に伝送する。
【0022】
また、前記チャンバーの外部には、カメラ190を設けることができる。前記カメラ190は、チャンバーの外部で固液界面の映像情報を撮影し、固液界面の形状又は色情報から温度を把握することができる。前記カメラ190も制御部に連結され、固液界面の温度状態をリアルタイムで把握して前記制御部に伝送することで、固液界面の温度状態を弾力的に制御することができる。
【0023】
そして、制御部は、シリコン融液の温度が特定地点で高く或いは低く現れる場合、前記特定地点の上部に位置した上部ヒーター部170の特定ヒーターのみを、使用者の選択によりターンオン又はターンオフさせたり、パワーを異なるように設定することで、シリコン融液の温度勾配を一定に維持することができる。また、前記制御部は、温度が低く測定された地点の上部に位置する上部ヒーター部170の特定ヒーターのパワーを大きくして、シリコン融液が凝固しているかまたは液化していない領域に熱を加えて、シリコン融液の直径方向の温度偏差を減少させ、単結晶インゴットの収率を増加させることができる。
【0024】
即ち、前記それぞれの上部ヒーター部170のヒーター170a、170b、170c、170d、170eは、一体的に製作されており、シリコン融液と所定距離離隔されて前記シリコン融液の全表面に対して温度を制御することが可能である。ターンオンされた上部ヒーター部170は、下部のシリコン融液表面を集中的に加熱するので、融液の表面近所で垂直方向の強制対流と水平方向の自然対流を活性化させる。ここで、強制対流はルツボ110の回転によって形成され、自然対流は融液の温度偏差によって形成される。強制対流と自然対流が活性化されると、融液表面の温度勾配が増加し、融液表面の水平方向での温度勾配の偏差が減少する。
【0025】
大口径のシリコン単結晶を成長させるためには、高温で長時間の間シリコンを成長させることになるが、前記上部ヒーター部170はシリコン融液の表面上部に位置して、融液近くの熱が抜けないようにする断熱材の役割もすることになるので、大口径のシリコン単結晶を安定的に成長させることができる。
【0026】
図2は、本発明の第2実施例に係る単結晶成長装置を示す。
【0027】
図2に示すように、第2実施例は、第1実施例の単結晶成長装置に設けられた上部ヒーター部170の複数のヒーター170a、170b、170c、170d、170eのそれぞれを区分するヒーターシールド172を設けたことを特徴とする。前記ヒーターシールドは、前記ヒーター部170に設けられたそれぞれのヒーターの側面を遮断する側面遮断膜と、それぞれのヒーターの下面を遮断する下面遮断膜からなることができる。
【0028】
前記ヒーターシールド172は、タングステン又は黒鉛材質からなることができ、上部ヒーター部170の個別ヒーターが動作するとき、隣接するヒーター間の熱履歴の干渉を防止するために設けられる。即ち、シリコン融液の温度をより精密に制御するためには、それぞれのヒーターから発生する熱が、最大限変化なしにそれぞれのヒーターの垂直方向の下部に位置する固液表面に伝達されなければならない。
【0029】
即ち、前記ヒーターシールド172は、上部ヒーター部170の個別ヒーターがシリコン融液に熱を伝達する時、隣接するヒーターの影響を最小化するために設けられる。これのために、上部ヒーター部170の個別ヒーターの間に位置するヒーターシールド172には、反射膜を形成する材質をコーティングして熱履歴の干渉をより効果的に遮断することができる。また、上部ヒーター部170の下部に位置するヒーターシールド172は、上部ヒーター部170の個別ヒーターのターンオン又はターンオフ状態に応じて開閉可能であるので、ターンオンされる上部ヒーター部170の個別ヒーターの下部に位置するシリコン融液の温度状態をより精密に制御することができる。
【0030】
前記ヒーターシールド172は、断熱材175の下部に位置し、前記断熱材175の下部に溝を形成してそれぞれのヒーターシールド175を結合させることができる。前記溝は工程条件に応じて設けることができ、前記上部ヒーター部170の個数に合わせて、ヒーターシールド172を弾力的に結合して適用することができる。
【0031】
前記上部ヒーター部170にヒーターシールド172が加えられた単結晶成長装置は、ルツボに収容されているシリコン融液に均一な熱的環境を提供することができ、シリコン融液の局部的な凝固現象を防止して、シリコン単結晶の品質とインゴットの引き上げ速度の制御を容易にすることができる。
【0032】
また、シリコン単結晶の界面周囲の熱的環境を制御でき、ポリシリコンがルツボに早く溶融して、単結晶成長に必要な工程時間を減らすことができる。
【0033】
図3は、本発明の単結晶成長装置に設けられた上部ヒーター部170のみを詳しく図示した図面である。
【0034】
図3に示すように、リング状を有する上部ヒーター部170の個別ヒーター170a、170b、170c、170d、170eのそれぞれは、一体的に形成され、任意の一端および対向する一端には上部ヒーター部170を支持するための支持フレーム171を設けることができる。前記支持フレーム171は、それぞれの個別ヒーター170a、170b、170c、170d、170eが所定の距離を維持できるように支持する役割をし、図3の図示は一例示であり、他の形状に形成することも可能である。
【0035】
前記支持フレーム171は、上部に位置した断熱材175を貫通して単結晶成長装置内部のチャンバーに結合させることができる。また、それぞれのヒーター170a、170b、170c、170d、170eは、支持フレームなしに上部の断熱材175に形成された溝によって堅固に結合させることもできる。
【0036】
図4は、本発明の第3実施例に係る単結晶成長装置を示した図面である。
【0037】
図4に示すように、第3実施例は、第2実施例の単結晶成長装置に下部ヒーター部176をさらに有することができる。また、前記下部ヒーター部176、メインヒーター部140及び上部ヒーター部170を連結する制御部180を有し、例えばPLC(Programmable logic controller)からなることができる。
【0038】
前記下部ヒーター176は、ルツボ支持台の下部に位置し、上部ヒーター部170と同様にリング状を有することができる。前記下部ヒーター176は、シリコン融液の下部の温度を制御するために設けられ、制御部の制御によりターンオン及びターンオフされる。前記下部ヒーター176は、ポリシリコンのような固体原料をルツボに溶融させる工程時にターンオンされ、前記ポリシリコンがルツボの上部と下部とで均一に溶融されるようにすることができる。
【0039】
制御部であるPLC180を介して、使用者は前記下部ヒーター176、メインヒーター部140及び上部ヒーター部170の動作を制御してヒーターのパワーを調節することで、シリコン融液の温度を部分別に制御することができる。前記制御部180は、チャンバーの上部に設けられたパイロメーター195と連結されてシリコン融液の各地点の温度情報を記録し、周辺に比べて温度が低い又は高い部分を把握して、その地点の上部に位置する個別ヒーターのパワーを高く印加又は隣接するヒーターのパワーを低く印加することができる。また、カメラ190を介して固液界面を撮影し、固液界面の形状又は色情報から温度を把握して制御部180に伝送する。
【0040】
これによって、シリコン融液の温度を、シリコンインゴットの中心を基準に直径方向の温度勾配を一定にすることができるだけでなく、メインヒーター部及び下部ヒーター部を制御して、シリコン単結晶インゴットの工程条件に適合した環境を提供することができる。
【0041】
以下、本発明のシリコン単結晶成長装置を利用してシリコン単結晶インゴットを製造する方法を説明する。
【0042】
Cz法を利用した単結晶成長方法として、まず準備ステップは、シリコン単結晶として成長することになるポリシリコンと単結晶種子を準備するステップである。ルツボの先端には単結晶種子を入れ、ポリシリコンと単結晶種子が入ったルツボを単結晶成長装置内部のヒートゾーンに装入させる。この時、ルツボの中心部分が複数のヒーターに囲まれる形態となるようにルツボを位置させる。
【0043】
次に、ルツボに充填されたポリシリコン及び単結晶種子に熱処理を実施するステップにおいて、メインヒーター部及び上部ヒーター部を動作させてシリコン融液となるように溶融させる。このステップでは、単結晶成長装置に電源を供給してルツボの周りに配置されているメインヒーター部及び複数の上部ヒーター部を発熱させ、制御部を介して発熱温度及び昇温速度を制御することができる。この時、下部ヒーター部を追加的に発熱させて、ルツボ内部のポリシリコンの溶融を制御することができる。
【0044】
最後は、溶融したポリシリコンと単結晶種子を凝固させて単結晶を作るステップである。シリコン単結晶のボディー工程において、個別制御可能な複数の上部ヒーター部に設けられたヒーターを制御する。即ち、成長するシリコン単結晶インゴットに最も近く配置されたヒーター170e側から石英ルツボの側壁に最も近づくように設けられたヒーター170aの方向にパワーを大きくして、即ち発熱温度が高くなるように制御することで、固液界面に加えられる熱を徐々に増加させることができ、これにより固液界面の安定化を図ることができる。
【0045】
また、シリコン単結晶のボディー工程において、パイロメーター及びカメラで測定された固液界面の温度勾配が、特定地点で高くまたは低く現れる場合、個別制御可能な上部ヒーター部のヒーターのうち、成長されるシリコン単結晶インゴットに最も近く配置されたヒーター170eと、石英ルツボの側壁に最も近く配置されたヒーター170aと、複数の上部ヒーター部の中央に位置したヒーター170cのいずれかのパワーを最も大きくして、シリコン融液に均一な熱的環境を提供でき、これによって高品質のシリコン単結晶インゴットを製造できるようになる。
【0046】
本発明の実施例は、上部ヒーター部に設けられる個別制御可能な複数のヒーターを適用して、ルツボに収容されているシリコン融液に均一な熱的環境を提供することができ、シリコン融液の局部的な凝固現象を防止して、シリコン単結晶の品質とインゴットの引き上げ速度の制御を容易にすることができる。
【0047】
また、メインヒーター部だけでなく下部ヒーター部を適用したので、ポリシリコンがルツボ内で早く溶融し、単結晶成長に必要な工程時間を減らすことができる。
【0048】
以上、本発明に対してその好ましい実施例を中心に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせたり、全構成要素からいくつかの構成要素を削除するなどにより種々の発明を形成してもよい。
[付記1]
シリコン融液が収容されたルツボを含むチャンバーと、
前記ルツボを支持しながら、前記ルツボを回転及び昇降させる支持軸と、
前記ルツボの側方向に設けられ、前記ルツボ側に熱を加えるメインヒーター部と、
前記ルツボの上側に位置する上部熱遮蔽材と、
前記上部熱遮蔽材の下端部に位置する上部ヒーター部と、
を含み、
前記上部ヒーター部は、前記ルツボの中心を基準に相互異なる直径を有し、所定間隔で離隔された複数のリング状のヒーターから構成されることを特徴とする単結晶成長装置。
[付記2]
前記チャンバーの上部に位置し、シリコン単結晶固液界面の温度を把握する複数のパイロメーターをさらに含むことを特徴とする付記1に記載の単結晶成長装置。
[付記3]
前記チャンバーの外部に位置し、シリコン単結晶固液界面の映像を撮影してシリコン単結晶固液界面の温度を把握するカメラをさらに含むことを特徴とする付記1に記載の単結晶成長装置。
[付記4]
前記上部ヒーター部と連結される制御部をさらに含み、上部ヒーター部のそれぞれは、前記制御部に伝送された固液界面の温度情報に応じて使用者の選択によって個別的に動作可能なことを特徴とする付記1に記載の単結晶成長装置。
[付記5]
前記上部ヒーター部に設けられ、隣接するヒーター間の熱伝達を遮断するヒーターシールドをさらに含むことを特徴とする付記1に記載の単結晶成長装置。
[付記6]
前記ヒーターシールドは、前記上部ヒーター部に設けられたそれぞれのヒーターの側面を遮断する側面遮断膜とそれぞれのヒーターの下面を遮断する下面遮断膜からなることを特徴とする付記5に記載の単結晶成長装置。
[付記7]
前記遮断膜は、隣接するヒーター間の熱を遮断するための反射膜がコーティングされることを特徴とする付記6に記載の単結晶成長装置。
[付記8]
前記ヒーターシールドは、黒鉛又はタングステンであることを特徴とする付記5に記載の単結晶成長装置。
[付記9]
前記上部ヒーター部と連結される制御部をさらに含み、
前記制御部は、固液界面の温度情報に応じて、前記上部ヒーター部に設けられたそれぞれのヒーターパワーを異なるように調節又は任意のヒーターのみをターンオンさせることを特徴とする付記1に記載の単結晶成長装置。
[付記10]
前記支持軸を取り囲みながらルツボ支持台の下側に設けられ、前記制御部と連結されるリング状の下部ヒーターをさらに含むことを特徴とする付記9に記載の単結晶成長装置。
[付記11]
前記制御部は、シリコン単結晶の溶融状態に応じて、前記下部ヒーターをターンオン又はターンオフさせることを特徴とする付記10に記載の単結晶成長装置。
[付記12]
前記上部ヒーター部、メインヒーター部及び下部ヒーターのそれぞれは、使用者の選択によって個別的に動作可能なことを特徴とする付記10に記載の単結晶成長装置。
[付記13]
チョクラルスキー法を利用した単結晶成長方法であって、
工程チャンバー内部に設けられたルツボにポリシリコンを充填し、前記ルツボの側面に形成されたメインヒーター部及び前記ポリシリコンの上部に形成された上部ヒーター部の発熱によって、前記ポリシリコンを溶融させるステップと、
前記ルツボに種結晶を浸漬した後、ショルダー工程、ボディー工程、テール工程を行ってシリコン単結晶インゴットを成長させるステップと、
を含み、
前記ルツボに充填されたポリシリコンを溶融させるステップ、ショルダー工程、ボディー工程、テール工程を行うステップで、前記メインヒーター部を発熱させると同時に、ポリシリコン融液の固液界面の温度情報に応じて、前記上部ヒーター部に設けられた一部のヒーターのみを発熱させることを特徴とする単結晶成長方法。
[付記14]
前記工程チャンバーの外部に設けられたパイロメーター及びカメラを介して溶融したポリシリコン固液界面情報を制御部に伝送して、前記上部ヒーター部の動作を制御するステップを含むことを特徴とする付記13に記載の単結晶成長方法。
[付記15]
前記ルツボに充填されたポリシリコンを溶融させるステップでは、前記ルツボに収容されたポリシリコンを溶融させるために、前記ルツボの下部に設けられた下部ヒーターを発熱させることを特徴とする付記13に記載の単結晶成長方法。
[付記16]
前記ボディー工程を実施する際に、上部ヒーター部に設けられたヒーターは、成長するシリコン単結晶インゴットと最も近いヒーターから前記ルツボの側壁と最も近いヒーターへ行くほどパワーを大きくして、シリコン融液固液界面の温度を制御することを特徴とする付記13に記載の単結晶成長方法。
[付記17]
前記ボディー工程を実施する際に、上部ヒーター部に設けられたヒーターは、成長するシリコン単結晶インゴットと最も近いヒーターと、前記ルツボの側壁と最も近いヒーターと、前記上部ヒーター部の中心に位置するヒーターのいずれか一つのパワーを最も大きくして、シリコン融液固液界面の温度を制御することを特徴とする付記13に記載の単結晶成長方法。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ウェハーを製作するための単結晶成長装置で実施可能であるので、その産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4