特許第5957169号(P5957169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957169
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20160714BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   F25D23/06 W
   F25D25/00 G
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-16640(P2010-16640)
(22)【出願日】2010年1月28日
(65)【公開番号】特開2011-153787(P2011-153787A)
(43)【公開日】2011年8月11日
【審査請求日】2012年7月10日
【審判番号】不服2014-24993(P2014-24993/J1)
【審判請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 浩二
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 田村 嘉章
【審判官】 窪田 治彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−269779(JP,A)
【文献】 特開2008−138935(JP,A)
【文献】 特開2001−91148(JP,A)
【文献】 特開平11−142050(JP,A)
【文献】 特開平6−213559(JP,A)
【文献】 特開平11−201625(JP,A)
【文献】 特開2006−343051(JP,A)
【文献】 特開2009−228948(JP,A)
【文献】 特開平11−132648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
F25D 25/00 - 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と内箱を組み合わせて構成され内部に貯蔵室を形成する本体と、
前記内箱にあって前記貯蔵室に臨む内面に取り付けられるレール部材と、
を備え、
前記レール部材は前記内箱の内面に接触する状態で宛がわれその内箱に沿って平行に延びる垂直壁部を有し、
前記内箱には、前記貯蔵室とは反対側の反貯蔵室側に凹部を有しかつ前記貯蔵室側へ突出する取付部を設け、
前記レール部材には、前記取付部に前記貯蔵室側から嵌合する凹部を設け、
前記取付部には前記内箱の内面に前記レール部材を固定する固定部材を設け、前記固定部材は、これの先端部が前記貯蔵室側に向けられて当該固定部材の前記反貯蔵室側の端部の頭部が前記取付部の凹部に収容される構成とし、
前記外箱と前記内箱との間に、前記取付部の凹部の開口部を塞ぐように真空断熱材を配置し、
前記固定部材の前記頭部は、反貯蔵室側に端面を有し、
この頭部を収容する前記取付部の凹部は当該頭部の全体を収容する形状であり、前記取付部の凹部に収容された前記頭部の反貯蔵室側の端面、前記内箱のうち前記取付部の凹部の周囲を構成する平面と面一の状態であり、前記固定部材の前記頭部の反貯蔵室側の端面と前記真空断熱材の貯蔵室側の面との間に隙間がない構成とすることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記真空断熱材は偏平な直方体であることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記固定部材はねじ部材またはピンで、その頭部が前記凹部に収容されていることを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
貯蔵容器を有し前記レール部材と協働して前記貯蔵室に対し前後方向にスライド可能に設けられる引出し手段を備え、
前記引出し手段は、前記貯蔵容器を支える容器支えと、前記レール部材に沿って移動する滑車とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記固定部材はねじ部材であり、
前記レール部材にあって前記取付部に対応する部位には、前記ねじ部材をねじ込むためのボス部が設けられていて、
前記ボス部と前記滑車とは上下方向でラップするように配置されていることを特徴とする請求項4記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記レール部材には前記ボス部が前後方向に複数個配置され、それらボス部はリブによって接続されていて、前記リブの先端部が、前記容器支えの左右方向の位置規制手段を構成することを特徴とする請求項5記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記貯蔵容器は上方に向けて幅広となる形状であり、
前記レール部材は、前記貯蔵容器の側方でかつ下部に配置されていることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記引出し手段における前記容器支えは、前端に上方へ延出する延出部を有していて、前記延出部に、前記貯蔵室の開口部を開閉する扉が連結されていることを特徴とする請求項4記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記レール部材の下方に位置させて前記引出し手段を下方から受ける第2の滑車を備え、前記第2の滑車は、前記貯蔵室内の底部に配置されて補強板に固定されていることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫においては、貯蔵室のうち例えば野菜室に、貯蔵容器を備えた引出し手段が前後方向にスライド可能に設けられている構成のものがある。その引出し手段のスライド構造としては、例えば特許文献1に開示されている。このものでは、冷蔵庫の本体が、外箱と内箱との間に発泡断熱材を充填して構成される。前記内箱の左右両側面の内面側(貯蔵室側)には、前後方向に延びるレール部材(スライド手段)を設ける。貯蔵容器を備えた引出しユニット(引出し手段)側には、貯蔵容器を支える容器支えと、この容器支えの後部の左右両側に設けられ前記レール部材に沿って移動する第1の滑車と、容器支えの前端部に設けられた扉とを備えた構成とする。また、貯蔵室の底部の左右両側には、容器支えを下方から支える第2の滑車を回転自在に設けた構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−201625号公報
【特許文献2】特開平8−82475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、冷蔵庫の本体を構成する外箱と内箱との間に設ける断熱材として、現場発泡させる発泡ウレタンからなる発泡断熱材に代えて、断熱性能に優れた真空断熱材を用いるようにすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
ここで、上記した特許文献1のものでは、内箱にレール部材を取り付ける構造としては、内箱に、これの内面側(貯蔵室側)が窪む凹部を形成し、この凹部にレール部材を貯蔵室側から嵌合させた状態で取り付ける構成としている。このような構造とした場合、内箱の前記凹部が、貯蔵室とは反対側である反貯蔵室側(断熱材側)へ突出する構造となっているが、断熱材が発泡断熱材の場合には特には問題とはならなかった。
【0006】
ところが、断熱材としてパネル状の真空断熱材を用いる場合には、真空断熱材に、部分的に凹んだ凹部を形成することが困難であるため、上記したような構造を採ることができない。また、レール部材を内箱に固定する際に、貯蔵室側からねじ部材をねじ込んで取り付けようとすると、そのねじ部材の先端部が内箱を貫通して断熱材側へ突出する構造となるが、断熱材として真空断熱材を用いた場合には、ねじ部材の先端部で真空断熱材を傷付けてしまうおそれがある。真空断熱材は、傷がつくと真空状態が破れ、断熱性能が著しく低下してしまうことになる。
【0007】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内箱の内面側にレール部材を取り付ける構造を採りながらも、内箱と外箱との間の断熱材に真空断熱材を用いることができる冷蔵庫を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、外箱と内箱を組み合わせて構成され内部に貯蔵室を形成する本体と、前記内箱にあって前記貯蔵室に臨む内面に取り付けられるレール部材と、を備え、前記レール部材は前記内箱の内面に接触する状態で宛がわれその内箱に沿って平行に延びる垂直壁部を有し、前記内箱には、前記貯蔵室とは反対側の反貯蔵室側に凹部を有しかつ前記貯蔵室側へ突出する取付部を設け、前記レール部材には、前記取付部に前記貯蔵室側から嵌合する凹部を設け、前記取付部には前記内箱の内面に前記レール部材を固定する固定部材を設け、前記固定部材は、これの先端部が前記貯蔵室側に向けられて当該固定部材の前記反貯蔵室側の端部の頭部が前記取付部の凹部に収容される構成とし、前記外箱と前記内箱との間に、前記取付部の凹部の開口部を塞ぐように真空断熱材を配置し、前記固定部材の前記頭部は、反貯蔵室側に端面を有し、この頭部を収容する前記取付部の凹部は当該頭部の全体を収容する形状であり、前記取付部の凹部に収容された前記頭部の反貯蔵室側の端面、前記内箱のうち前記取付部の凹部の周囲を構成する平面と面一の状態であり、前記固定部材の前記頭部の反貯蔵室側の端面と前記真空断熱材の貯蔵室側の面との間に隙間がない構成とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記した本発明によれば、レール部材は、内箱の内面側に固定部材によって取付固定される。このとき、固定部材は、内箱に設けた取付部に設けられ、その固定部材の反貯蔵室側の端部が、前記取付部における反貯蔵室側の凹部に収容されているため、内箱において前記取付部付近には反貯蔵室側へ突出している部分をなくすことができる。このため、内箱と外箱との間に、前記凹部の開口部を塞ぐように真空断熱材を配置することができる。よって、内箱の内面側にレール部材を取り付ける構造を採りながらも、内箱と外箱との間の断熱材に真空断熱材を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】要部の縦断正面図
図2】野菜室における引出しユニットの分解斜視図
図3】扉を除いた状態で示す要部の正面図
図4】第2の滑車部分を破断して示す縦断正面図
図5】レール部材及び第2の滑車部分の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。まず、図2において、冷蔵庫の本体1のキャビネットは、鋼板製の外箱2と合成樹脂製の内箱3を組み合わせるとともに、これら外箱2と内箱3との間に断熱材として真空断熱材4(図1参照)を配置して構成され、内部に複数の貯蔵室が形成されている。図2においては、貯蔵室として、野菜室5と、この野菜室5の下方に仕切壁6を介して形成された冷凍室7と、野菜室5の上方に仕切壁8を介して形成される製氷室9と、設定温度の切り替えが可能な切替室10とが示されている。なお、製氷室9と切替室10との間は、図示しない仕切壁により左右に仕切られる。
【0012】
前記真空断熱材4は、例えばパーライトやシリカ等の断熱性を有する微粉末から成る充填材を、通気性を有する内袋の内部に入れて封をし、さらにそれを通気性のない外装体の内部に入れ、この状態で、その外装体の口部を熱圧着等の手段により封止することによって気密に構成したものである。真空断熱材4は偏平な直方体状に形成されている。
【0013】
さて、前記野菜室5には、引出し手段として引出しユニット11が前後方向へスライド可能に設けられている。以下、この引出しユニット11のスライド構造について図1図3図5も参照して説明する。野菜室5内の左右両側面(内箱3において野菜室5に臨む左右両側部の内面)の下部には、スライド手段としてのレール部材12(図1図3図5には、左側のレール部材12のみが示されている)が取り付けられている。レール部材12は、図5に示すように前後方向に長く延びていて、図1に示すように、内箱3の内面に宛がわれる垂直壁部13と、この垂直壁部13の上部に野菜室5の内方側へ突出するように設けられた庇状のレール部14と、垂直壁部13の下部に、レール部14と対向するように野菜室5の内方側へ突出するように設けられた下部張出し部15と、垂直壁部13の前後方向の複数箇所(この場合、3箇所)に設けられたボス部16とを一体に有している。レール部14と下部張出し部15とは、後部において繋がっている。
【0014】
各ボス部16は、野菜室5の内方側へ突出しかつ先端部が閉塞された段付き状の有底筒状をなし、野菜室5側とは反対側(真空断熱材4側)に段付き形状の凹部19が形成されている。図5に示すように、前後に隣り合ったボス部16同士は、前後方向に延びるリブ20によって接続されている。そのリブ20にあって野菜室5の内方側の先端部20aは、図1に示すように、前記レール部14の側面14a及び下部張出し部15の側面15aよりも野菜室5の内方側へ少し突出している。
【0015】
レール部材12が取り付けられる内箱3には、前記ボス部16に対応する部位に位置させて取付部22が一体に設けられている。この取付部22は、図1に示すように、野菜室5側とは反対の反野菜室5側(真空断熱材4側)に凹部23を有しかつ野菜室5側へ突出した構成となっていて、凹部23の底部にはねじ挿通孔24が形成されている。
【0016】
ここで、レール部材12は、内箱3に真空断熱材4や外箱2を組み付ける前の状態で、内箱3に取り付けられる。具体的には、まず、レール部材12の各ボス部16の凹部19を、内箱3の取付部22に野菜室5側から嵌合させるようにして、レール部材12を内箱3の内面(野菜室5側の面)に宛がう。次に、固定部材であるこの場合、皿ねじからなるねじ部材25の軸部を、ねじ挿通孔24に、反野菜室5側(真空断熱材4側)から挿入して、軸部の外周部に形成された雄ねじ部をボス部16の筒部内にねじ込む。このとき、ねじ部材25の反野菜室5側の端部の頭部25aを、取付部22の凹部23内に収容するようにする。頭部25aを凹部23内に収容した状態では、頭部25aの反野菜室5側の端面は、内箱3における反野菜室5側の周囲の面とほぼ面一の状態となる。このようにして、各取付部22のねじ挿通孔24に挿通したねじ部材25をボス部16にねじ込むことによって、レール部材12を内箱3の内面(野菜室5側の面)に取付固定する。
【0017】
なお、真空断熱材4は、内箱3の反野菜室5側の面に接着剤26aによって接着固定され、また、外箱2の内面にも接着剤26bによって接着固定される。このとき、内箱3と外箱2との間に配置された真空断熱材4は、内箱3の各凹部23の開口部を反野菜室5側から塞ぐ状態となる。
【0018】
野菜室5の底部を構成する仕切壁6の上面における左右両側の前部には、第2の滑車28が配置されている。第2の滑車28を取り付ける部分には、図4に示すように、仕切壁6に設けられた滑車取付部29が設けられていて、この滑車取付部29に設けた金属製の補強板30に、第2の滑車28の軸部28aが固定されている。第2の滑車28は、軸部28aに対して回転自在となっている。補強板30は、正面からみて、断面がコ字形をなしている。
【0019】
前記引出しユニット11は、貯蔵容器32と、この貯蔵容器32を下方から支える左右一対の容器支え33(図1図4には、左側の容器支え33のみ示す)と、これら一対の容器支え33の前端部に連結された扉34(図2参照)と、左右一対の容器支え33の後部の外面側に取着された滑車35(これも、図1図3図4に左側の滑車35のみ示す)とを備えている。左右の容器支え33の後端部は連結部材(図示せず)によって連結されている。
【0020】
各容器支え33は、図1に示すように、縦片部33aと横片部33bとを一体に有し、前方から見た断面がL字形をなしていて、横片部33bが前記第2の滑車28に受け支持される。滑車35は、これの軸部35aが縦片部33aの後部の上部に取り付けられていて、当該滑車35の上面が前記レール部材12におけるレール部14の下面に沿って移動するようになっている。この場合、滑車35はボス部16の上方に配置されていて、滑車35とボス部16は、上下方向でそれらの軸方向がラップするように配置されている。
【0021】
前記貯蔵容器32は、底部が前記容器支え33の横片部33bに受け支持されていて、容器支え33に対して着脱可能となっている。この貯蔵容器32は、上方に向けて幅広となる形状であり、側面32aが上方に向けて外側に広がるように傾斜している。容器支え33の前端には、上方へ延出する延出部36(図2図3参照)が一体に設けられていて、この延出部36の前面に前記扉34を上下の複数箇所でねじ止めにより取付固定している。扉34の前面上部には、手掛け部37が設けられている。扉34は、野菜室5の前面開口部を開閉するものである。
【0022】
上記構成において、使用者が、引出しユニット11における扉34の手掛け部37に手指を掛けて前方へ引っ張ると、第2の滑車28の回転を伴いながら、容器支え33が前方へ移動するとともに、容器支え33の後部に設けられた滑車35がレール部材12におけるレール部14に沿って回転しながら前方へ移動し、これに伴って貯蔵容器32を備えた引出しユニット11が前方へ引き出される。また、扉34の前面を後方へ向けて押すと、前記第2の滑車28及び滑車35の回転を伴いながら、引出しユニット11がレール部14に沿って後方へ押し込まれる。このように、引出しユニット11は、レール部材12と、滑車35と、第2の滑車28とが協働して貯蔵室である野菜室5に対して前後方向にスライド可能に設けられている。
【0023】
上記した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
内箱3にレール部材12を取り付けるについて、次のような構造とした。すなわち、内箱3には、貯蔵室である野菜室5とは反対側の反野菜室5側に凹部23を有しかつ野菜室5側へ突出する取付部22を設け、その取付部22には、内箱3の内面にレール部材12を固定する固定部材としてねじ部材25を設け、そのねじ部材25における反野菜室5側の端部の頭部25aを前記凹部23に収容される構成とした。この構成によれば、内箱3において前記取付部22付近には反野菜室5側へ突出している部分をなくすことができるため、内箱3と外箱2との間に、前記凹部23の開口部を塞ぐように偏平な直方体状の真空断熱材4を配置することができる。よって、内箱3の内面側にスライド手段を構成するレール部材12を取り付ける構造を採りながらも、内箱3と外箱2との間の断熱材に真空断熱材4を用いることができる。
【0024】
真空断熱材4としては、偏平な直方体状のものを用いることができる。真空断熱材4は、その構造上、部分的な凹部や凸部を設けることが困難であるが、上記構造を採用することにより、製造が容易な偏平な直方体状の真空断熱材4を用いることができる。
【0025】
レール部材12を内箱3に固定する固定部材としてはねじ部材25を用い、そのねじ部材25の頭部25aを取付部22の凹部23に収容する構成としたので、頭部25aの端面を内箱3の周囲の面と極力面一にすることが可能となり、頭部25aの端面と真空断熱材4との間に隙間を発生し難くできる。なお、固定部材としては、レール部材12を内箱3に固定することができれば、ピンを用いてもよく、また、ボルト及びナットを用いてもよい。
【0026】
引出しユニット11としては、貯蔵容器32を支える一対の容器支え33と、レール部材12のレール部14に沿って移動する滑車35とを備える構成としたことにより、引出しユニット11をレール部材12に沿って良好にスライドさせることができる。
【0027】
レール部材12にあって取付部22に対応する部位には、ねじ部材25をねじ込むためのボス部16を設けていて、そのボス部16と、容器支え33に取り付けた滑車35とは、上下方向でラップするように配置した。この構成によれば、ボス部と滑車が軸方向に並ぶように配置した場合に比べて、左右方向のスペースを有効に利用することができ、これにより、貯蔵容器32の左右方向の幅寸法を大きくできて、貯蔵容器32の容量を多く確保することができる。
【0028】
レール部材12にはボス部16が前後方向に複数個配置され、それらボス部16はリブ20によって接続されている構成としたので、そのリブ20によってレール部材12を補強できるとともに、レール部材12の変形を防止できる。また、そのリブ20の先端部20aを、レール部14の側面14a及び下部張出し部15の側面15aよりも野菜室5の内方側へ突出させているので、そのリブ20の先端部20aが、容器支え33の左右方向の位置規制手段を構成している。
【0029】
この場合、仮に、レール部14の側面14a及び下部張出し部15の側面15aが、容器支え33における縦片部33aの側面に当たって容器支え33の左右方向の位置規制手段を構成するようにした場合には、それらの接触が面接触となるため、引出しユニット11のスライドの際の抵抗が大きくなってしまうおそれがある。これに対して、本実施形態のように、リブ20の先端部20aが、容器支え33の左右方向の位置規制手段を構成するようにした場合には、容器支え33における縦片部33aの側面がリブ20の先端部20aに接触しても、その接触は点接触となるため、引出しユニット11のスライドの際の抵抗を小さくすることが可能となる利点がある。この場合、容器支え33の縦片部33aの側面と下部張出し部15の側面15aとの間の隙間Aを、3mm±1mmに設定することで、引出しユニット11の左右方向のがたつきを極力防止することができる。
【0030】
レール部材12には、上部にレール部14、下部に下部張出し部15を一体に設けたことにより、レール部材12を一層補強できるとともに、レール部材12の変形を一層防止することができる。
【0031】
貯蔵容器32は上方に向けて幅広となる形状であり、レール部材12は、その貯蔵容器32の側方でかつ下部に配置している。この構成によれば、貯蔵容器32は上方に向けて幅広となる形状であるため、貯蔵容器32の側方の下部には、貯蔵容器32の側面と内箱3の内面との間に比較的大きなスペースを確保することが可能となり、このスペースが確保しやすい場所にレール部材12を配置することで、貯蔵容器33の容量を小さくすることなく、スペースを有効に利用することができる。
【0032】
引出しユニット11における容器支え33は、前端に上方へ延出する延出部36を有していて、その延出部36に扉34を連結する構成とした。この構成によれば、容器支え33が下部に位置し、扉34の手掛け部37が前面上部に位置するような場合でも、引出しユニット11を出し入れする際に扉34が前後方向に傾くようなことを防止できる利点がある。
ちなみに、容器支え33の前端に上方へ延びる延出部を設けずに扉34を連結した場合、引出しユニット11の出し入れを繰り返すと、扉34が前後方向に傾きやすくなってしまうおそれがあるが、本実施形態によればそのような不具合の発生を防止できる。
【0033】
レール部材12の下方に位置させて、引出しユニット11を下方から受ける第2の滑車28を備えているので、引出しユニット11を良好に支持でき、前後方向のスライド操作を一層行い易くできる。また、その第2の滑車28は、野菜室5内の底部に配置されて補強板30に固定する構成としたので、第2の滑車28を良好に取り付けることができる。
【0034】
本発明は上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
引出しユニット11及びレール部材12の構成は、野菜室5に限られず、例えば冷凍室に適用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
図面中、1は本体、2は外箱、3は内箱、4は真空断熱材、5は野菜室(貯蔵室)、11は引出しユニット(引出し手段)、12はレール部材(スライド手段、部材)、13は垂直壁部、14はレール部、16はボス部、20はリブ、20aは先端部、22は取付部、23は凹部、25はねじ部材(固定部材)、25aは頭部(反貯蔵室側の端部)、28は第2の滑車、29は滑車取付部、30は補強板、32は貯蔵容器、33は容器支え、34は扉、35は滑車、36は延出部を示す。
図1
図2
図3
図4
図5