特許第5957171号(P5957171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957171
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20160714BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20160714BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   H01L29/78 652N
   H01L29/78 652P
   H01L29/78 652Q
   H01L29/78 655F
   H01L29/06 301F
   H01L29/06 301V
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2010-149510(P2010-149510)
(22)【出願日】2010年6月30日
(65)【公開番号】特開2012-15279(P2012-15279A)
(43)【公開日】2012年1月19日
【審査請求日】2013年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】村川 浩一
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−193043(JP,A)
【文献】 特開平07−249765(JP,A)
【文献】 特開2009−016482(JP,A)
【文献】 特開2005−136116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L29/06
H01L29/739
H01L29/78−29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形の外形を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された半導体素子を有するアクティブ領域と、
前記アクティブ領域の周りを囲む外周領域と、
前記アクティブ領域に形成された前記半導体素子の第1ゲート電極と、
前記アクティブ領域及び前記外周領域を含む前記半導体基板上に形成され、且つ、前記第1ゲート電極を覆うように形成された絶縁膜と、を有し、
前記第1ゲート電極は前記外周領域にまで延在しており、
前記外周領域に形成された前記第1ゲート電極上の前記絶縁膜には第1開口部が設けられており、
前記外周領域には、前記絶縁膜上および前記第1開口部内に形成され、前記第1ゲート電極と接続し、且つ、平面視において前記アクティブ領域を囲む第2ゲート電極が形成されており、
前記外周領域には、平面視において前記アクティブ領域を囲み、平面視において前記第2ゲート電極と前記半導体基板の端との間に位置し、前記絶縁膜に覆われ、前記半導体基板と電気的に接続し、且つ、前記第1ゲート電極と同層の第1導体膜からなるEQR電極が形成されており、
前記外周領域において、前記第2ゲート電極と前記半導体基板の端との間には、前記第2ゲート電極と同層の第2導体膜が形成されていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記外周領域の前記絶縁膜には第2開口部が形成されており、
前記第2開口部内には、前記EQR電極及び前記半導体基板と接触し、且つ、第3導体膜からなるコンタクトが形成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記コンタクトの上面は、前記絶縁膜の上面よりも低くなるように形成されていることを特徴とする、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記アクティブ領域には前記半導体素子のソース領域が形成されており、
前記アクティブ領域の前記絶縁膜には第3開口部が形成されており、
前記第3開口部内には前記ソース領域と接続し、且つ、前記第3導体膜からなるソースコンタクトが形成されており、
前記アクティブ領域の前記絶縁膜上には、前記ソースコンタクトと接続し、且つ、前記第2導体膜からなるソース電極が形成されていることを特徴とする、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2開口部は、前記第3開口部よりも開口面積が大きく、
前記第2開口部と前記第3開口部とは同一の絶縁膜に形成されることを特徴とする、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記コンタクトは、前記多角形のコーナーに形成されていることを特徴とする、
請求項2乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記コンタクトは、前記多角形のコーナーのそれぞれに複数形成されることを特徴とする、
請求項2乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第3導体膜は、アルミニウム又はタングステンにより形成されることを特徴とする、
請求項2乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体基板は、
第1導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に前記第1導電型の第2の半導体層と、を備え、
前記コンタクトは、前記第2の半導体層を介して前記半導体基板の端面と電気的に接続されることを特徴とする、
請求項2乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体基板は、
前記第2の半導体層の一部に形成された第2導電型の第3の半導体層をさらに備え、
前記コンタクトは、前記第3の半導体層を介して前記半導体基板の端面と電気的に接続されることを特徴とする、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体基板は、
前記第3の半導体層上に形成された前記第1導電型の第4の半導体層をさらに備え、
前記コンタクトは、さらに前記第4の半導体層を介して前記半導体基板の端面と電気的に接続されることを特徴とする、
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第3の半導体層は、前記コンタクトの底面と接し、
前記第4の半導体層は、前記コンタクトの側面と接することを特徴とする、
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第4の半導体層は、前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層よりも高い不純物濃度を有することを特徴とする、
請求項11又は12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体基板は、
前記第3の半導体層と前記コンタクトとの間に形成され、前記第3の半導体層よりも高い不純物濃度を有する前記第2導電型の第5の半導体層を備えることを特徴とする、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1導体膜は、ポリシリコンからなることを特徴とする、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第2導体膜は、アルミニウムからなることを特徴とする、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造方法に関し、特に逆方向特性に優れる半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高耐圧半導体素子の利用が進んでいる。一般に、高耐圧半導体素子では、セルが配置されるアクティブ領域を囲むリング状のEQR(EQui-potential Ring:等電位ポテンシャルリング)電極が形成されている。このEQR電極がドレイン電位に保たれることによって、セル領域外への空乏の層拡がりが抑制される。EQR電極により空乏層の拡がりを抑制する機構は、一般にチャネルストッパ構造と呼ばれる。チャネルストッパ構造は、良好な逆方向特性を得る上で必要不可欠である。
【0003】
従来の高耐圧半導体素子では、EQR電極は、層間絶縁膜上に形成された部分と、層間絶縁膜中に埋め込まれた部分と、の2つの部分により構成される。これら2つの部分は、電気的に接続されている(特許文献1及び2)。また、上述の2つのEQR電極が一体化された構成を有する半導体素子も存在する(特許文献3)。この半導体素子においても、EQR電極の一部は、層間絶縁膜上に露出する。
【0004】
以下、一般的な高耐圧の半導体装置について説明する。図13は、一般的な高耐圧の半導体装置500の構成を示す平面図である。半導体装置500は、四角形状の外形を有しており、中央部にアクティブ領域51が配置される。アクティブ領域51には、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field- Effect-Transistor)などのセルが配置される。アクティブ領域51は、それぞれのセルと電気的に接続されたソース電極(図示せず)に覆われている。
【0005】
アクティブ領域51の外周には、リング状の第2のゲート電極76がアクティブ領域51と離間されて形成されている。第2のゲート電極76は、後述する第1のゲート電極66と電気的に接続されている。第2のゲート電極76の外周には、リング状の第2のEQR電極73が第2のゲート電極76と離間されて形成されている。
【0006】
次いで、半導体装置500の断面構造について説明する。図14は、図13のXIV−XIV線における一般的な高耐圧の半導体装置500の断面図である。半導体装置500は、アクティブ領域51と、チャネルストッパ領域52と、に区分される。半導体装置500では、N+型の半導体基板61上に、N−型のエピタキシャル層62が形成されている。半導体基板61の下面側には、ドレイン電極69が形成される。
【0007】
アクティブ領域51においては、エピタキシャル層62の上部に、P型のベース拡散領域63が形成されている。ベース拡散領域63の上面側の一部には、N+型のソース拡散領域64が形成されている。また、ゲート酸化膜65を介してベース拡散領域63に電圧を印加する第1のゲート電極66が形成されている。第1のゲート電極66上には、層間絶縁膜67が形成されている。そして、アクティブ領域51を覆うソース電極68が、ソース拡散領域64と電気的に接続されて形成されている。
【0008】
チャネルストッパ領域52においては、エピタキシャル層62の上部にベース拡散領域63が形成されている。ベース拡散領域63の上面側の一部には、N+型のチャネルストッパ層71が形成されている。このチャネルストッパ層71は、ソース拡散領域64と同一の層である。チャネルストッパ層71が形成されていない部分の、ベース拡散領域63及びエピタキシャル層62の上には、ゲート酸化膜65が形成されている。ゲート酸化膜65上には、第1のEQR電極72が形成されている。第1のEQR電極72は、層間絶縁膜67で覆われる。但し、層間絶縁膜67の一部には開口部が設けられ、第1のEQR電極72の上面が露出している。層間絶縁膜67及びチャネルストッパ層71の上には、露出した第1のEQR電極72と電気的に接続された第2のEQR電極73が形成されている。
【0009】
なお、アクティブ領域51とチャネルストッパ領域52との間の領域では、エピタキシャル層62の上にフィールド酸化膜74が形成されている。フィールド酸化膜74は、層間絶縁膜67で覆われている。アクティブ領域51から延在する第1のゲート電極66上の層間絶縁膜67には開口部が設けられている。そして、この開口部を介して第1のゲート電極66と電気的に接続される第2のゲート電極76が形成されている。
【0010】
この半導体装置500では、ソース電極68とドレイン電極69との間に逆バイアスを印加すると、アクティブ領域51からチャネルストッパ領域52に向けて、破線L1に示す空乏層が広がる。
【0011】
一方、チャネルストッパ領域52では、チャネルストッパ層71、第1のEQR電極72及び第2のEQR電極73が電気的に接続されている。また、図14の端面75は、ダイシングによって形成された欠陥が多い面である。そのため、端面75は導電性を有する。これにより、チャネルストッパ層71とドレイン電極69とは、端面75を介して電気的に接続される。その結果、第1のEQR電極72は、ドレイン電極69と等電位となる。
【0012】
第1のEQR電極72がドレイン電位に保持されると、第1のEQR電極72の下のゲート酸化膜65を介して、破線L2で示す反転層がエピタキシャル層62に形成される。これにより、チャネルストッパ構造が形成され、アクティブ領域51から延びてくる電気力線を止める。その結果、電圧−電流波形において、ハードブレークダウン形状(良好な逆方向特性)が得られる。
【0013】
また、他の高耐圧半導体素子の重要な特性として、オン抵抗及びブレークダウン耐圧がある。オン抵抗は、主にエピタキシャル層の抵抗率に依存し、エピタキシャル層中の不純物濃度を高くすることにより低減できる。しかし、不純物濃度を高くすると、ブレークダウン耐圧は低下する。つまり、オン抵抗とブレークダウン耐圧とは、トレードオフの関係にある。このトレードオフ関係の影響を回避するため、セルシュリンクを適用して単位面積あたりのオン電流を大きくすることにより、オン抵抗の低減が実現されている。
【0014】
一方、同一チップサイズのままでオン抵抗を低減するという要請も存在する。この要請に応えるため、セル面積(トランジスタ等の素子が形成されている領域)を拡大する試みが為されている。その試みの一つとして、チャネルストッパ領域の削減方法が提案されている(特許文献4)。
【0015】
また、半導体素子のデッドスペースを利用して、耐圧領域(チャネルストッパ領域に相当)を小さくする手法も提案されている(特許文献5)。この手法では、活性領域(アクティブ領域に相当)の周囲の半導体基板上に、リング状のガードリングが複数形成されている。これらのガードリング上には、導電性を有するリング状の第1のフィールドプレートが形成されている。そして、ガードリング上には、金属膜からなる第2のフィールドプレートが形成されている。この第2のフィールドプレートは、層間絶縁膜上に露出している。この第2のフィールドプレートは、半導体素子のコーナー部の、ガードリング及び第1のフィールドプレートが曲線となっている部分に配置される。半導体素子のコーナー部は元々デッドスペースであるので、この部分に第2のフィールドプレートを配置することにより、耐圧領域の幅を狭くし、活性領域の面積を大きくすることができるとしている。なお、特許文献6及び7については、後述する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許3376209号公報
【特許文献2】特許3440987号公報
【特許文献3】特許4059566号公報
【特許文献4】特開2008−270440号公報
【特許文献5】特開2008−193043号公報
【特許文献6】特開平5−19010号公報
【特許文献7】特許3417336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述の半導体装置では、アクティブ領域がソース電極で覆われて、その周囲に一定の間隔を空けて、リング状のゲート電極及びEQR電極が形成されている。これらのゲート電極及びEQR電極は、通常、カバー膜と呼ばれる絶縁膜で覆われる。さらに、後工程でのパッケージングの際には、カバー膜上には樹脂が堆積される。一般に、カバー膜の厚みは、ソース電極、ゲート電極及びEQR電極のそれぞれの間の距離に比べると薄い。そのため、各電極間の間には、樹脂が入り込むこととなる。
【0018】
このような状況下において温度サイクル試験などを行うと、半導体装置自体と樹脂との間の熱膨張係数の違いにより、半導体装置の表面側にストレスが掛かる。そのため、各電極が押し延ばされ、電極のずれや剥離が生じてしまう。電極がアルミにより形成される場合には、アルミスライド(電極のずれ)、隣接する電極同士の短絡、又は断線の発生など、熱ストレスによる電極の電気的性能に対する影響が知られている(特許文献6)。樹脂による熱ストレスの影響は、特に半導体装置のコーナー部で大きいことが知られている。この問題を解決するため、例えばコーナー部以外の領域に電極を形成する手法(特許文献7)が提案されている。
【0019】
すなわち、例えば特許文献5に開示されているように半導体装置のコーナー部に電極等を形成すると、熱ストレスによる影響に対して脆弱となってしまう。従って、これまでは、良好な逆方向特性を保持しつつ、デッドスペースを利用した半導体装置の小型化は不可能であった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様である半導体装置は、多角形の外形を有する半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたアクティブ領域と、前記アクティブ領域及び前記半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜中に前記アクティブ領域を囲んで埋設され、前記多角形のコーナー部に沿って形成された曲線部を有するEQR電極と、前記EQR電極の前記曲線部と、前記EQR電極の前記曲線部の外側の半導体基板と、に接して形成され、少なくとも側壁が前記絶縁膜に覆われたコンタクトと、を備えるものである。
【0021】
この半導体装置では、前記コンタクトの側壁が、前記絶縁膜に覆われている。よって、後工程で当該半導体装置が樹脂によって覆われても、樹脂の熱膨張によるストレスの影響を低減できる。また、前記コンタクトは、デッドスペースである前記EQR電極の前記曲線部の外側に形成される。従って、前記コンタクトを形成するための領域を、新たに確保する必要がない。
【0022】
また、本発明の一態様である半導体装置の製造方法は、多角形の外形を有する半導体基板上のアクティブ領域を覆うとともに前記アクティブ領域を囲むEQR電極が埋設された絶縁膜を形成し、前記絶縁膜の一部を除去することにより、前記アクティブ領域においてソース電極と電気的に接続される部分の半導体基板と、前記多角形のそれぞれのコーナー部において当該コーナー部に沿って形成された前記EQR電極の曲線部及び前記曲線部の外側の半導体基板と、を露出させ、導電性材料を、前記絶縁膜と、前記絶縁膜が除去されたことにより露出した前記半導体基板及び前記曲線部と、の上に堆積させ、前記導電性材料が前記アクティブ領域の前記絶縁膜の上面と同じ高さになるまでエッチングし、前記アクティブ領域の少なくとも前記ソースコンタクト上に前記ソース電極を形成し、前記コーナー部おいて前記絶縁膜が除去された部分のそれぞれは、前記前記アクティブ領域において前記絶縁膜が除去された部分のそれぞれよりも大きな開口を有するものである。
【0023】
この半導体装置の製造方法では、前記コンタクトの側壁が、前記絶縁膜に覆われる。よって、後工程で当該半導体装置が樹脂によって覆われても、樹脂の熱膨張によるストレスの影響を低減できる。また、前記コンタクトは、デッドスペースである前記EQR電極の前記曲線部の外側に形成される。従って、前記コンタクトを形成するための領域を、新たに確保する必要がない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、良好な逆方向特性を有する小型の半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態1にかかる半導体装置100の構造を示す平面図である。
図2】実施の形態1にかかる半導体装置100のコーナー部22を拡大表示した平面図である。
図3図1のIII−III線における実施の形態1にかかる半導体装置100の断面図である。
図4】実施の形態2にかかる半導体装置200の構造を示す平面図である。
図5】実施の形態2にかかる半導体装置200のコーナー部23を拡大表示した平面図である。
図6】実施の形態3にかかる半導体装置300の構造を示す平面図である。
図7】実施の形態3にかかる半導体装置300のコーナー部24を拡大表示した平面図である。
図8図6のVIII−VIII線における実施の形態3にかかる半導体装置300の断面図である。
図9】実施の形態3にかかる半導体装置300のアクティブ領域21の断面図である。
図10A】実施の形態3にかかる半導体装置300の製造工程を示す断面図である。
図10B】実施の形態3にかかる半導体装置300の製造工程を示す断面図である。
図10C】実施の形態3にかかる半導体装置300の製造工程を示す断面図である。
図10D】実施の形態3にかかる半導体装置300の製造工程を示す断面図である。
図10E】実施の形態3にかかる半導体装置300の製造工程を示す断面図である。
図11】実施の形態4にかかる半導体装置400の構造を示す平面図である。
図12】実施の形態4にかかる半導体装置400のコーナー部25を拡大表示した平面図である。
図13】一般的な高耐圧の半導体装置500の構成を示す平面図である。
図14図13のXIV−XIV線における一般的な高耐圧の半導体装置500の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。まず、実施の形態1にかかる半導体装置について説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体装置100の構造を示す平面図である。半導体装置100は、四角形状の外形を有しており、中央部にアクティブ領域21が配置される。アクティブ領域21は、例えばMOSFETやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのセルが配置される。アクティブ領域21は、それぞれのセルと接続されたソース電極(図示せず)に覆われる。
【0027】
第2のゲート電極6は、アクティブ領域21を囲むように形成される。第2のゲート電極6は、後述する第1のゲート電極9と電気的に接続される。EQR電極8は、第2のゲート電極6と離間して、アクティブ領域21及び第2のゲート電極6を囲むように形成される。
【0028】
上述のように、半導体装置100は四角形状の外形を有している。そのため、第2のゲート電極6及びEQR電極8は、半導体装置100の辺に沿う領域では直線状の形状を有している。一方、第2のゲート電極6及びEQR電極8は、半導体装置100のコーナー部22では、コーナー部22に沿う曲線状の形状を有している。すなわち、第2のゲート電極6及びEQR電極8は、直線部と曲線部が連結された環形形状を有する。図1に示すように、第2のゲート電極6は、第2のゲート電極の直線部6aと、第2のゲート電極の曲線部6bと、により構成される。EQR電極8は、EQR電極の直線部8aと、EQR電極の曲線部8bと、により構成される。
【0029】
図2は、実施の形態1にかかる半導体装置100のコーナー部22を拡大表示した平面図である。図1及び2に示すように、EQRコンタクト10aが、EQR電極の曲線部8bの外側に接して形成される。
【0030】
なお、図1及び2では、EQR電極8とEQRコンタクト10aは後述する層間絶縁膜7で覆われているが、EQR電極8とEQRコンタクト10aの位置を説明するため、層間絶縁膜7を省略している。
【0031】
次いで、半導体装置100の断面構造について説明する。図3は、図1のIII−III線における実施の形態1にかかる半導体装置100の断面図である。半導体装置100は、半導体層1上に、エピタキシャル層2が形成されている。半導体層1は、例えばn型シリコンにより構成される。エピタキシャル層2は、例えばn−型シリコンにより構成される。半導体層1の一部には、ベース拡散領域3が形成される。ベース拡散領域3は、例えばp型シリコンにより構成される。ベース拡散領域3の一部には、高濃度拡散領域12が形成される。高濃度拡散領域12は、例えばp+型シリコンにより構成される。半導体層1の下面側には、ドレイン電極5が形成される。
【0032】
エピタキシャル層2の上には、層間絶縁膜7が形成されている。そして、EQR電極の曲線部8b(すなわち、EQR電極8)及び第1のゲート電極9が、層間絶縁膜7に埋め込まれて形成されている。第1のゲート電極9は、アクティブ領域21に配置された各セルのゲートと接続されている。EQR電極8及び第1のゲート電極9は、例えばポリシリコンにより構成される。
【0033】
第1のゲート電極9上の層間絶縁膜7には、開口部が設けられている。この開口部から層間絶縁膜7上に乗り上げて、第2のゲート電極の曲線部6b(すなわち、第2のゲート電極6)が形成されている。よって、第1のゲート電極9と第2のゲート電極6とは、電気的に接続される。第2のゲート電極6は、例えばアルミニウムにより構成される。
【0034】
そして、EQR電極8と高濃度拡散領域12とを電気的に接続するEQRコンタクト10aが、層間絶縁膜7に埋め込まれて形成されている。EQRコンタクト10aは、例えばタングステンにより構成される。EQRコンタクト10aから端面16に至る領域では、ベース拡散領域3と層間絶縁膜7との間に、チャネルストッパ層4が形成される。チャネルストッパ層4は、例えばn+型シリコンにより構成される。なお、図示しないが、半導体装置100のパッケージングの際には、層間絶縁膜7上には樹脂が堆積される。
【0035】
上述の半導体層1、エピタキシャル層2、ベース拡散領域3、チャネルストッパ層4及び高濃度拡散領域12は、いずれも半導体材料からなり、半導体基板30を構成している。
【0036】
ここで、EQR電極8は、EQRコンタクト10a、チャネルストッパ層4及び端面16を介して、ドレイン電極5と電気的に接続される。従って、EQR電極8は、ドレイン電極5と等電位に保たれる。これにより、チャネルストッパ構造が形成される。
【0037】
半導体装置100では、上述のように、EQR電極8が層間絶縁膜7に埋め込まれている。さらに、EQRコンタクト10aも、層間絶縁膜7に埋め込まれて形成されている。すなわち、半導体装置100では、チャネルストッパ構造が層間絶縁膜7に埋め込まれて形成されている。よって、EQR電極8及びEQRコンタクト10aと、層間絶縁膜7上に堆積される樹脂と、は接触しない。
【0038】
よって、層間絶縁膜7上に堆積される樹脂の熱膨張によるストレスを低減できる。従って、本構成によれば、電極間の短絡を防止するとともに、熱ストレスの影響によるEQRコンタクト10aのずれ及び剥離を防止することが可能となる。
【0039】
また、EQRコンタクト10aは、もともとデッドスペースである、EQR電極の曲線部8bの外側領域(半導体装置100のコーナー部22)に形成されている。よって、EQRコンタクト10aを形成するために、新たな領域を確保する必要がない。
【0040】
従って、本構成によれば、優れた熱ストレス耐性を有する、小型の半導体装置を提供することができる。
【0041】
実施の形態2
次に、実施の形態2にかかる半導体装置について説明する。図4は、実施の形態2にかかる半導体装置200の構造を示す平面図である。図5は、実施の形態2にかかる半導体装置200のコーナー部23を拡大表示した平面図である。図4及び5に示すように、半導体装置200は、半導体装置100のEQRコンタクト10aを、EQRコンタクト10bに置き換えたものである。半導体装置200のその他の構成は、半導体装置100と同様であるので、説明を省略する。また、半導体装置200の断面構造は、図3に示す半導体装置100の断面構造と同様であるので、説明を省略する。
【0042】
コーナー部23には、EQRコンタクト10bが、EQR電極8の外側の法線方向に延在して形成されている。EQR電極8は、四角形に形成されており、その長辺がEQR電極8の法線方向に沿っている。EQRコンタクト10bは、複数並列して形成される。
【0043】
なお、図4及び5では、EQR電極8とEQRコンタクト10bは層間絶縁膜7で覆われているが、EQR電極8とEQRコンタクト10bの位置を説明するため、層間絶縁膜7を省略している。
【0044】
本構成によれば、各コーナー部にEQRコンタクト10bが複数形成される。よって、EQRコンタクトを1つだけ形成する場合に比べて、EQRコンタクトの形成不良に対するマージンを確保できる。すなわち、複数のEQRコンタクトの一部に形成不良が発生しても、正常に形成されたものがEQRコンタクトとしての機能を発揮することができる。
【0045】
また、EQRコンタクト10bを構成する短冊電極の幅を狭小化することにより、アクティブ領域のトランジスタセルに形成するトレンチソースコンタクト15と同じ材料を用いてEQRコンタクト10bを形成できる。トランジスタセルの微細化に伴い、トレンチソースコンタクト15の幅が狭くなると(たとえば0.8μm)、アルミニウムを埋め込むことができなくなる。よって、例えばタングステンのような埋め込み性の良い材料が用いられる。EQRコンタクト10bの幅は、埋め込もうとする導電材料が十分満足に埋め込まれるような幅とすれば良い。
【0046】
埋め込み性の向上により、金属堆積後にエッチバックをしてEQRコンタクト10bを形成する際に、EQRコンタクト10bの厚みを十分に確保することができる。加えて、短冊電極の幅を狭小化することにより、後工程で層間絶縁膜7上に堆積される樹脂による熱ストレスを、さらに低減することができる。
【0047】
実施の形態3
次に、実施の形態3にかかる半導体装置について説明する。図6は、実施の形態3にかかる半導体装置300の構造を示す平面図である。図7は、実施の形態3にかかる半導体装置300のコーナー部24を拡大表示した平面図である。図6及び7に示すように、半導体装置300は、半導体装置100のEQRコンタクト10aを、EQRコンタクト10cに置き換えたものである。半導体装置300のその他の構成は、半導体装置100と同様であるので、説明を省略する。なお、図6及び7では、EQR電極8は層間絶縁膜7で覆われているが、EQR電極8の位置を説明するため、層間絶縁膜7を省略している。
【0048】
次いで、半導体装置300のコーナー部24の断面構造について説明する。図8は、図6のVIII−VIII線における実施の形態3にかかる半導体装置300の断面図である。EQRコンタクト10cは、半導体装置100のEQRコンタクト10aと比べて、上部が層間絶縁膜7に覆われることなく、露出している。また、EQRコンタクト10cの側壁は、層間絶縁膜7及びEQR電極8に接している。その他の半導体装置300の断面構造は、半導体装置100と同様であるので、説明を省略する。
【0049】
次いで、半導体装置300のアクティブ領域21に設けられたセルの断面構造について説明する。図9は、実施の形態3にかかる半導体装置300のアクティブ領域21の断面図である。アクティブ領域21のセルは、トレンチゲート構造を有する。
【0050】
アクティブ領域21では、半導体層1上に、エピタキシャル層2が形成されている。半導体層1の下面側には、ドレイン電極5が形成される。エピタキシャル層2の上部には、ベース拡散領域3とソース拡散領域4aとが順に形成されている。ここで、ソース拡散領域4aは、チャネルストッパ層4と同一の層である。第1のゲート電極9は、ベース拡散領域3及びソース拡散領域4aを貫通し、かつエピタキシャル層2に達するように形成されている。ベース拡散領域3、ソース拡散領域4a及びエピタキシャル層2と、第1のゲート電極9と、の間にはゲート酸化膜14が形成されている。なお、図9では図示しないが、第1のゲート電極9は、アクティブ領域21の外側まで延在し、第2のゲート電極6と電気的に接続されている。そして、これらの構造を覆う層間絶縁膜7が形成されている。
【0051】
第1のゲート電極9に挟まれる領域のベース拡散領域3の上部には、高濃度拡散領域12が形成されている。そして、トレンチソースコンタクト15が、層間絶縁膜7及びチャネルストッパ層4を貫通し、かつ高濃度拡散領域12と電気的に接続して形成されている。層間絶縁膜7及びトレンチソースコンタクト15の上には、ソース電極13が形成されている。ソース電極13とトレンチソースコンタクト15とは、電気的に接続されている。
【0052】
次いで、半導体装置300の製造方法について説明する。図10A〜Eは、実施の形態3にかかる半導体装置300の製造工程を示す断面図である。図10A〜Eでは、アクティブ領域21に設けられているアクティブ領域及びコーナー部の断面構造を並べて表示している。
【0053】
まず、半導体層1上にエピタキシャル層2を形成する。続いて、エピタキシャル層2の上部に、ベース拡散領域3とチャネルストッパ層4及びソース拡散領域4aとを順に形成する。ベース拡散領域3、チャネルストッパ層4及びソース拡散領域4aは、例えばエピタキシャル層2上にレジストマスク(図示せず)を形成し、その後イオン注入を行うことにより形成することが可能である。そして、アクティブ領域21には、図9と同様に、第1のゲート電極9、ゲート酸化膜14及び層間絶縁膜7を形成する。コーナー部には、層間絶縁膜7に埋め込まれたEQR電極8を形成する(図10A)。
【0054】
続いて、層間絶縁膜7上にレジストマスク17を形成する。レジストマスク17は、例えばフォトリソグラフィにより形成される。レジストマスク17には、アクティブ領域21のトレンチソースコンタクト15を形成する領域と、コーナー部のEQRコンタクト10cを形成する領域と、に開口部が形成されている。そして、レジストマスク17を用いてエッチングを行い、開口部のチャネルストッパ層4及びソース拡散領域4aを除去する(図10B)。このとき、ベース拡散領域3を突き抜けないようにエッチングされる。
【0055】
続いて、ベース拡散領域上部に高濃度拡散領域12を形成する。高濃度拡散領域12は、例えばP型のドーパントをイオン注入することにより形成される。このイオン注入は、例えば、Dose量が3×1016ions/cm、注入エネルギーが50keVの条件で行う。そして、高濃度拡散領域12を形成した後、レジストマスク17を除去する(図10C)。
【0056】
続いて、開口部が充填されるように、タングステン18を堆積する(図10D)。そして、アクティブ領域21のタングステン18の上面と層間絶縁膜7の上面とが一致するまでタングステン18をエッチバックして、トレンチソースコンタクト15を形成する。この際、コーナー部に堆積されたタングステン18も同様にエッチバックされる。ところが、コーナー部の開口部は、アクティブ領域21の開口部に比べて面積が大きい。そのため、コーナー部の開口部のエッチングレートは、アクティブ領域21よりも速くなる。その結果、コーナー部におけるタングステン18の上面は、層間絶縁膜7の上面よりも低くなる(図10E)。これにより、EQRコンタクト10cは、側面がEQR電極8及び層間絶縁膜7に覆われて形成される。その後、ソース電極13を、トレンチソースコンタクト15と電気的に接続して形成する。その後、EQRコンタクトの上面を、カバー膜(図示せず)で覆う。
【0057】
すなわち、本構成及び本製造方法によれば、EQRコンタクト10cとトレンチソースコンタクト15とを、同時に形成することが可能である。よって、EQRコンタクト10cを形成するための工程を別途追加する必要が無い。従って、本構成及び本製造方法によれば、優れた熱ストレス耐性を有する、小型の半導体装置を、低コストで実現することが可能である。
【0058】
実施の形態4
次に、実施の形態4にかかる半導体装置について説明する。図11は、実施の形態4にかかる半導体装置400の構造を示す平面図である。図12は、実施の形態4にかかる半導体装置400のコーナー部25を拡大表示した平面図である。図11及び12に示すように、半導体装置400は、半導体装置100のEQRコンタクト10aを、EQRコンタクト10dに置き換えたものである。半導体装置400のその他の構成は、半導体装置100と同様であるので、説明を省略する。また、半導体装置400の断面構造は、図3に示す半導体装置100の断面構造と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
半導体装置400では、EQRコンタクト10dが四角形状に形成されている。EQRコンタクト10dは、1つのコーナー部に対し、2つ形成される。2つのEQRコンタクト10dは、EQR電極の曲線部8bの法線方向に対して、それぞれ異なる方向に傾いて形成されている。2つのEQRコンタクト10dの幅は、共に約0.6μmである。
【0060】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、EQRコンタクト10a〜dは、タングステンに限られない。EQRコンタクト10a〜dは、導電性を有する他の材料を用いることが可能である。よって、EQRコンタクト10a〜dには、例えばアルミニウムを用いることが可能である。
【0061】
上述のEQRコンタクト10b及び10dの上面は層間絶縁膜7で覆われているが、EQRコンタクト10bと同様に、上面が層間絶縁膜7に覆われずに形成することも可能である。従って、EQRコンタクト10b及び10dは、図10A〜10Eに示す製造工程により作成することが可能である。
【0062】
上述の実施の形態1〜4では、EQRコンタクト10a〜dが高濃度拡散領域12上に形成されている。しかし、EQRコンタクト10a〜dがドレイン電極5と等電位に保たれるのであれば、EQRコンタクト10a〜dと接する高濃度拡散領域12は必ずしも必要でなく、省略することが可能である。
【0063】
また、上述の実施の形態1〜4では、EQRコンタクト10a〜dと端面16との間には、チャネルストッパ層4が形成されている。このチャネルストッパ層4により、チップ端面からの電気力線をストップすることができる。従って、良好な逆方向特性を有する小型の半導体装置及びその製造方法を提供することができる。しかし、EQRコンタクト10a〜dが、例えばベース拡散領域3を介してドレイン電極5と等電位に保たれることのみを目的とするのであれば、チャネルストッパ層4は必ずしも必要でなく、省略することが可能である。
【0064】
上述の実施の形態1〜4にかかる半導体装置の外形は四角形に限られない。本発明にかかる半導体装置の外形は、任意の多角形とすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 半導体層
2 エピタキシャル層
3 ベース拡散領域
4 チャネルストッパ層
4a ソース拡散領域
5 ドレイン電極
6 第2のゲート電極
6a 第2のゲート電極の直線部
6b 第2のゲート電極の曲線部
7 層間絶縁膜
8 EQR電極
8a EQR電極の直線部
8b EQR電極の曲線部
9 第1のゲート電極
10a〜d EQRコンタクト
12 高濃度拡散領域
13 ソース電極
14 ゲート酸化膜
15 トレンチソースコンタクト
16 端面
17 レジストマスク
18 タングステン
21 アクティブ領域
22〜25 コーナー部
30 半導体基板
51 アクティブ領域
52 チャネルストッパ領域
61 半導体基板
62 エピタキシャル層
63 ベース拡散領域
64 ソース拡散領域
65 ゲート酸化膜
66 第1のゲート電極
67 層間絶縁膜
68 ソース電極
69 ドレイン電極
71 チャネルストッパ層
72 第1のEQR電極
73 第2のEQR電極
74 フィールド酸化膜
75 端面
76 第2のゲート電極
100、200、300、400、500 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14