(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドーパントは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオビウム(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも一つの元素を含むことを特徴とする請求項4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
前記ドーパントは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオビウム(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)からなる郡から選択された少なくとも一つの元素を含むことを特徴とする請求項11に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態をより詳細に説明する。
【0022】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る表示基板の平面図である。
【0023】
図1を参照すると、本実施形態に係る表示基板101は、表示領域DAに形成された画素部と、前記表示領域DAを囲む周辺領域PAに形成されたゲート駆動部GD、及びデータ駆動部DDを含む。
【0024】
前記画素部は、画素トランジスタPSW及び前記画素トランジスタPSWと電気的に接続された画素電極PEを含む。前記画素部は、前記表示領域DAに形成されたゲートラインGL及びデータラインDLによって囲まれることができる。前記ゲート駆動部GDは、前記画素部にゲート駆動信号を伝達し、複数の第1回路トランジスタTR1を含む。前記データ駆動部DDは、前記画素部にデータ駆動信号を伝達し、複数の第2回路トランジスタTR2を含む。前記画素トランジスタPSWは薄膜トランジスタ(thin film transistor;TFT)であり、前記第1回路トランジスタTR1及び第2回路トランジスタTR2の各々も薄膜トランジスタである。
【0025】
以下、
図2及び
図3を参照して、前記画素トランジスタPSW及び前記トランジスタTRについて具体的に説明する。なお、前記第2回路トランジスタTR2は、接続された信号ラインを除いてはその構成が前記第1回路トランジスタTR1と実質的に同一であるため、前記第2回路トランジスタTR2に対する説明は省略し、前記第1回路トランジスタTR1についての説明を行う。
【0026】
図2は
図1に示した第1回路トランジスタTR1及び画素トランジスタPSWの平面図であり、
図3は
図2のI−I’ラインに沿って切断した断面図である。
【0027】
図2及び
図3を参照すると、前記画素トランジスタPSWは、前記ゲートラインGLと接続された第1ゲート電極G1、前記データラインDLと接続された第1ソース電極S1、前記第1ソース電極S1と離隔された第1ドレイン電極D1、及び第1半導体パターンAP1を含む。
【0028】
前記第1半導体パターンAP1は前記第1ゲート電極G1上に形成されて前記第1ゲート電極G1と重なる。前記第1半導体パターンAP1は非結晶質(amorphous)の多元系化合物(multi−elements compound)を含む第1半導体層130aを含む。前記非結晶質の多元系化合物は、互いに異なる2つ以上の元素が化学的に結合された化合物であってその相(phase)が非結晶であると定義する。前記多元系化合物は、互いに異なる2つの元素を含む二元系化合物、互いに異なる3つの元素を含む三元系化合物、または互いに異なる4つの元素を含む四元系化合物等であることができる。
【0029】
一例として、前記多元系化合物は、第12族元素と第16族元素を含むかまたは、第13族元素と第15族元素を含む二元系化合物を含むことができる。なお、前記二元系化合物に酸素が含まれる場合、絶縁層の水素によって前記二元系化合物が還元されて前記第1半導体パターンAP1の固有特性を変質させることがあるため、前記第16族元素のうち酸素は除く。前記二元系化合物の具体的な例としては、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムアンチモン(GaSb)、ガリウムビスマス(GaBi)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、インジウムヒ素(InAs)、インジウムアンチモン(InSb)、インジウムビスマス(InBi)、硫化カドミウム(CdS)、カドミウムセレン(CdSe)、カドミウムテルル(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、亜鉛セレン(ZnSe)、亜鉛テルル(ZnTe)、硫化水銀(HgS)、水銀セレン(HgSe)、水銀テルル(HgTe)、リン化アルミニウム(AlP)、アルミニウムヒ素(AlAs)、アルミニウムアンチモン(AlSb)またはアルミニウムビスマス(AlBi)等を挙げることができる。
【0030】
前記二元系化合物中で、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムアンチモン(GaSb)、リン化インジウム(InP)、インジウムヒ素(InAs)、インジウムアンチモン(InSb)、硫化カドミウム(CdS)、カドミウムセレン(CdSe)、カドミウムテルル(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、亜鉛セレン(ZnSe)、及び亜鉛テルル(ZnTe)が単結晶の時の電子移動度、有効質量、イオン化度、及び非結晶質である時の電子移動度は下記の表1のようである。
【0032】
前記表1を参照すると、前記二元系化合物は非結晶質でも約0.8cm
2/Vs以上の電子移動度を有することが分かる。前記二元系化合物の電子移動度は約0.8cm
2/Vs以上3500cm
2/Vs以下であり、ドーピング元素の追加可否により変わることができる。また、非結晶質と結晶質が混合された混合相の二元系化合物の場合、電子移動度はより一層向上されることができる。前記電子移動度は高いほど前記第1半導体パターンAP1を通じて前記第1ソース電極S1から前記第1ドレイン電極D1に電子が移動する速度が速いことを示す。これによって、前記画素トランジスタPSWに非結晶質を含む前記二元系化合物を利用することによって、前記画素トランジスタPSWのRC遅延を最小化させることができる。
なお、非結晶質と結晶質が混合された混合相の二元系化合物とは、非結晶質及び結晶質が共に第12族元素及び第16族元素の組み合わせまたは第13族元素及び第15族元素の組み合わせからなっており、これらが混合されたものを言う。
【0033】
また、表1に示した前記二元系化合物は、シリコン化合物またはゲルマニウム化合物に比べて相対的にイオン化度が高いことが分かる。元素同士の共有結合のみで連結される共有結合性化合物は前記イオン化度が0であり、前記共有結合性化合物は、非結晶質状態で元素が不規則に配列されることによって互いに隣接する元素間の化学的結合が弱い。具体的に、前記共有結合性化合物の場合には各元素の軌道形態が四面体構造を有することになり、非結晶質状態では各元素が結晶質状態を基準として位置が少しでも変化しても元素間の連結が崩れる。これによって、電子の移動経路が無秩序になり電子が前記共有結合性化合物内部での移動が難しくなることによって、前記共有結合性化合物の非結晶質状態では電子移動度が低くなる。反面、これに比べて相対的に高イオン化度を有する前記二元化化合物は、各元素の軌道形態が球形を有することによって非結晶質状態で各元素が結晶質状態を基準として位置が変化しても互いに隣接した元素の軌道が互いに重なる領域があるので、前記電子移動度の減少が前記共有結合性化合物に比べて顕著に少ないことが分かる。
【0034】
前記三元系化合物は、互いに異なる2つの元素を含む前記二元系化合物に更に他の1つの元素を含む化合物である。前記他の1つの元素は、前記二元系化合物に含まれる2つの元素と異なる元素として第13族元素または第15族元素を含むことができる。前記三元系化合物の具体的な例としては、インジウムガリウムリン(InGaP)、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)、インジウムガリウムアンチモン(InGaSb)、インジウムアルミニウムリン(InAlP)、インジウムアルミニウムヒ素(InAlAs)、インジウムアルミニウムアンチモン(InAlSb)、アルミニウムガリウムリン(AlGaP)、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、アルミニウムガリウムアンチモン(AlGaSb)、リン化ガリウムヒ素(GaAsP)、ガリウムヒ素アンチモン(GaAsSb)、ガリウムヒ素ビスマス(GaAsBi)、リン化ガリウムアンチモン(GaSbP)、ガリウムアンチモンビスマス(GaSbBi)、リン化ガリウムアンチモン(GaSbP)、リン化ガリウムビスマス(GaBiP)、アルミニウムヒ素リン(AlAsP)、アルミニウムヒ素アンチモン(AlAsSb)、アルミニウムヒ素ビスマス(AlAsBi)、アルミニウムアンチモンリン(AlSbP)、アルミニウムアンチモンビスマス(AlSbBi)、アルミニウムアンチモンリン(AlSbP)、アルミニウムビスマスリン(AlBiP)、インジウムヒ素リン(InAsP)、インジウムヒ素アンチモン(InAsSb)、インジウムヒ素ビスマス(InAsBi)、インジウムアンチモンリン(InSbP)、インジウムアンチモンビスマス(InSbBi)、インジウムアンチモンリン(InSbP)、及びインジウムビスマスリン(InBiP)等を挙げることができる。
【0035】
前記四元系化合物は、互いに異なる3つの元素を含む前記三元系化合物に、更に他の1つの元素を含む化合物である。前記他の1つの元素は、前記三元系化合物に含まれる3つの元素と異なる元素として第13族元素または第15族元素を含むことができる。前記四元系化合物の具体的な例としては、インジウムガリウムヒ素リン(InGaAsP)、アルミニウムガリウムヒ素リン(AlGaAsP)、またはアルミニウムインジウムガリウムヒ素リン(AlInAsP)等を挙げることができる。
【0036】
これとは異なって、前記多元系化合物は互いに異なる5つ以上の元素を含むこともできる。
【0037】
一方、前記二元系化合物または前記三元系化合物は、各化合物を構成する元素と他のドーパントをさらに含むことができる。前記ドーパントは、第2族元素、第3族元素、第4族元素、第5族元素、第6族元素、第7族元素、第8族元素、第9族元素、第10族元素、第11族元素、または第14族元素を含むことができる。前記ドーパントの具体的な例としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオビウム(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、または白金(Pt)等を挙げることができる。
【0038】
再び、
図2及び
図3を参照すると、前記第1ソース電極S1は、前記第1半導体パターンAP1上に形成され、前記第1半導体パターンAP1の第1端部と重なる。前記第1ドレイン電極D1は前記第1半導体パターンAP1上に形成されて、前記第1半導体パターンAP1の第2端部と重なる。前記第1ソース電極S1及び第1ドレイン電極D1が前記第1半導体パターンAP1と直接的に接触するので、前記第1ソース電極S1及び第1ドレイン電極D1の各々と前記第1半導体層130aの接触抵抗を低くするために、前記第1半導体パターンAP1は、前記第1半導体層130aと前記第1ソース電極S1との間及び前記第1半導体層130aと前記第1ドレイン電極D1との間に配置された第1オーミックコンタクト層130bをさらに含むことができる。
【0039】
前記第1オーミックコンタクト層130bは、不純物を前記第1半導体層130aの表面に高濃度でドーピングして形成することができる。前記不純物の具体的な例としては、第2族元素、第3族元素、第4族元素、第5族元素、第6族元素、第7族元素、第11族元素、第14族元素、第8族元素、第9族元素、または第10族元素などを挙げることができる。これとは異なって、前記第1オーミックコンタクト層130bは、前記第1半導体層130aと独立的に別途層を前記第1半導体層130a上に蒸着することによって形成することができる。前記独立的な別途層は例えば、テルル(Te)、セレン(Se)等の第16族元素を含むことができる。
【0040】
一方、前記第1回路トランジスタTR1は、制御信号ラインL1と接続された第2ゲート電極G2、入力信号ラインL2と接続された第2ソース電極S2、出力信号ラインL3と接続された第2ドレイン電極D2、及び第2半導体パターンAP2を含む。前記第2半導体パターンAP2は前記第1半導体パターンAP1と実質的に同一物質で形成される。前記第2半導体パターンAP2は前記第1半導体パターンAP1が形成される工程において同時に形成されることができる。前記第1回路トランジスタTR1は、接続された信号ラインと形成された領域が前記表示基板101の前記周辺領域PAであることを除いては、前記画素トランジスタPSWと同一である。従って、重複する説明は省略する。本発明に係る前記第1回路トランジスタTR1及び第2回路トランジスタTR2に、電子移動度の比較的高い前記非結晶質の多元系化合物を半導体パターンとして利用することによって、前記第1回路トランジスタTR1及び第2回路トランジスタTR2の駆動速度を向上させることができる。
【0041】
第1絶縁層120は前記第1ゲート電極G1及び前記第2ゲート電極G2を含むベース基板110上に形成される。前記第1絶縁層120は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムのうち少なくとも一つを含む酸化物または窒化シリコンを含む窒化物で形成されることができる。または、前記第1絶縁層120は、酸化物と窒化物が積層された構造を有することができる。前記第1絶縁層120は、その上に形成される前記第1半導体パターンAP1及び第2半導体パターンAP2と直接的に接触するが、前記酸化物または窒化物は前記第1半導体パターンAP1及び第2半導体パターンAP2と化学反応しないので前記第1半導体パターンAP1及び第2半導体パターンAP2の特性が変質することを防止することができる。尚、従来においては、チャネル物質として酸化物半導体を用いた場合に、チャネル層と絶縁層との間の還元反応により半導体パターンの特性が変質するといった問題が生じていた。
【0042】
第2絶縁層140は、前記第1ソース電極S1及び第2ソース電極S2並びに前記第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2を含む前記ベース基板110上に形成される。前記第2絶縁層140も前記第1絶縁層120のように酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化タンタル、及び酸化ジルコニウムのうち少なくとも一つを含む酸化物または窒化シリコンを含む窒化物で形成されることができる。または、前記第2絶縁層140は酸化物と窒化物が積層される構造を有することができる。
【0043】
前記画素電極PEは前記第2絶縁層140上に形成される。前記画素電極PEは前記第1絶縁層120及び第2絶縁層140を貫通するコンタクトホールを通じて前記第1ドレイン電極D1と直接的にコンタクトする。これによって、前記画素トランジスタPSWは前記画素電極PEと電気的に連結される。前記第1半導体パターンAP1の電気伝導度が向上することによって前記第1ソース電極S1を通じて前記第1ドレイン電極D1に移動する電子の速度が向上し、これによって、前記RC遅延が減少する。前記RC遅延の最小化によって、前記画素電極PEに充電しようとする目標電荷量を前記画素電極PEに電荷を充電することができる。
【0044】
図4は
図2のA部分を拡大した拡大断面図である。
【0045】
図4を参照すると、前記第1半導体パターンAP1においては、前記多元系化合物は非結晶質であるため、前記多元系化合物が格子を成して定義するグレーン(grain、つまりは結晶粒)を前記第1半導体パターンAP1は含まない。言い換えれば、前記第1半導体パターンAP1は元素が無秩序に配列されている前記多元系化合物を含むので、前記第1半導体パターンAP1はグレーンサイズ(grain size)がほとんど0nmに近いと言える。前記多元系化合物が非結晶質にもかかわらず、前記多元系化合物が本質的にイオン結合と類似な性質を有しているので、共有結合性化合物の非結晶質状態に比べて電子移動度の減少が少なく、従って前記画素トランジスタPSW並びに前記第1回路トランジスタTR1及び第2回路トランジスタTR2の駆動速度を向上させることができる。
【0046】
以下、
図5、
図6及び
図3を参照して本実施形態に係る表示基板の製造方法に対して説明する。
【0047】
図5及び
図6は
図3に示した表示基板の製造方法を説明するための断面図である。
【0048】
図5を参照すると、前記ベース基板110上に前記第1ゲート電極G1及び第2ゲート電極G2を形成する。前記第1ゲート電極G1及び第2ゲート電極G2を含む前記ベース基板110上に前記第1絶縁層120を形成する。
【0049】
続いて、前記第1絶縁層120を含む前記ベース基板110を、薄膜を形成するためのチャンバ内部に配置させる。前記チャンバ内部に配置された前記ベース基板110に前記多元系化合物のソース(source)を提供する。前記ソースは前記多元系化合物を形成するための元素を含む化合物を含む。つまり、本実施形態に係るソースは、第12族元素及び第16族元素の組み合わせ、または第13族元素及び第15族元素の組み合わせからなる化合物で構成されている。
一例として、「XY」という二元系化合物を製造するためにはX元素を含む第1化合物ATS1と、Y元素を含む第2化合物ATS2を前記ベース基板110に提供することができる。前記ソースの種類によって二元系化合物、三元系化合物、四元系化合物などを製造することができる。前記第1化合物ATS1及び第2化合物ATS2の相(phase)により液状ソース、固相ソース、及び気相ソースで分類することができる。前記チャンバ内部の温度は約100℃〜約500℃であることができる。前記チャンバ内部の温度により前記多元系化合物の状態が非結晶質か、結晶質か、または結晶質と非結晶質が混合された混合相かに決まる。
【0050】
具体的に、前記液状ソースを利用する場合、前記液状ソースが前記ベース基板110の表面について流れることによって前記液状ソースと前記ベース基板110とを接触させることができる。これとは異なって、前記液状ソースを受け入れる容器に前記ベース基板110を漬けることによって前記液状ソースと前記ベース基板110とを接触させることもできる。前記ベース基板110が前記液状ソースと接触するようにした後、前記ベース基板110の温度を徐々に低くすることによって非結晶質の前記多元系化合物を含む前記第1半導体層130aを形成することができる。前記固相ソースを利用する場合、パルスレーザー蒸着法(pulse laser deposition;PLD)、熱蒸着法(thermal evaporation)、分子ビームエピタキシー(molecular beam epitaxy;MBE)、またはスパッタ法等によって前記ベース基板110に前記固相ソースを提供して前記第1半導体層130aを形成する。前記気相ソースを利用する場合、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition;CVD)、金属有機物化学気相蒸着法(metal−organic chemical vapour deposition;MOCVD)、または原子層蒸着法(atomic layer deposition;ALD)を通じて前記気相ソースを前記ベース基板110に提供して前記第1半導体層130aを形成することができる。これとは異なって、前記第1半導体層130aはプラズマを利用するプラズマ化学気相蒸着法(plasma enhanced chemical vapor deposition;PECVD)またはプラズマ金属有機物化学気相蒸着法(plasma enhanced metal−organic chemical vapour deposition;PEMOCVD)を利用して形成することができる。前記プラズマを利用する場合には、プラズマを利用しない蒸着方法に比べて相対的に低い温度で前記第1半導体層130aを形成することができる。
【0051】
このように、本発明によると、前記チャンバの温度を調節することによって前記非結晶質の前記多元系化合物を容易に前記ベース基板110上に形成することができる。上述の蒸着法は一般的に大型基板に薄膜を形成する時に利用する装備を用いるので本発明によると大型基板に前記第1半導体層130aを容易に形成することができる。
【0052】
図6を参照すると、前記第1半導体層130aを含む前記ベース基板110上に前記第1オーミックコンタクト層130bを形成する。前記第1オーミックコンタクト層130bは前記第1半導体層130aと独立的な別途の層であることができる。これとは異なって、前記第1オーミックコンタクト層130bは前記第1半導体層130aの表面に不純物を高濃度でドーピングすることで形成することもできる。
【0053】
前記第1半導体層130a及び前記第1オーミックコンタクト層130bをパターニングして前記第1半導体パターンAP1及び第2半導体パターンAP2を形成する。前記第1半導体パターンAP1は前記第1ゲート電極G1と重複して形成され、前記第2半導体パターンAP2は前記第2ゲート電極G2と重複して形成される。
【0054】
前記第1半導体パターンAP1及び第2半導体パターンAP2を含む前記ベース基板110上に前記第1ソース電極S1及び第2ソース電極S2並びに前記第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2を形成する。前記第1ソース電極S1及び第2ソース電極S2並びに前記第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2は、前記第1半導体パターンAP1及び第2半導体パターンAP2を含む前記ベース基板110上にデータ金属層を形成して前記データ金属層をパターニングすることによって形成できる。前記第1ソース電極S1及び前記第1ドレイン電極D1は、前記第1半導体パターンAP1と重なって形成され、前記第2ソース電極S2及び前記第2ドレイン電極D2は、前記第2半導体パターンAP2と重なって形成される。前記データ金属層は金属を含むことができる。前記金属の具体的な例として、クロム(CR)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、銅(Cu)等を挙げることができる。これらは各々単独または混合して使うことができる。前記データ金属層は電気伝導性を有する有機物または無機物を含むことができる。前記有機物の具体的な例としては、ポーリ(硫黄ニトリル)[Poly(sulfurnitrile)]、ポリピロール(Polypyrrole)、ポリ(p−フェニレン)[Poly(p−phenylene)]、ポリ(フェニレンサルファイド)[Poly(phenylene sulfide)]、ポリアニリン(Polyaniline)、ポリ(p−フェニレンビニレン)[Poly(p−phenylene vinylene)]などを含む伝導性ポリマーを挙げることができる。前記無機物の具体的な例としては炭素ナノチューブ(Carbon nano tube;CNT)を挙げることができる。
【0055】
前記第1ソース電極S1及び第2ソース電極S2並びに前記第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2を含む前記ベース基板110上に前記第2絶縁層140を形成する。前記第1ドレイン電極D1上の前記第1絶縁層120及び第2絶縁層140を除去して前記コンタクトホールを形成する。前記コンタクトホールが形成された前記第1絶縁層120及び第2絶縁層140を含む前記ベース基板110上に前記画素電極PEを形成する。これによって、本実施形態に係る前記表示基板101を製造することができる。
【0056】
本実施形態によると、前記非結晶質の多元系化合物含む前記半導体層130aは対面性を有する前記表示基板101に均一に形成され、非結晶質の共有結合性半導体に比べて相対的に前記画素トランジスタPSW並びに前記第1回路トランジスタTR1及び第2回路トランジスタTR2の駆動速度を向上させることができる。また、酸化物半導体の場合、前記第1絶縁層120と反応して前記第1半導体パターンAP1及び第2半導体パターンAP2が変質する問題を根本的に防止することができる。従って、前記画素トランジスタPSW並びに前記第1回路トランジスタTR1及び第2回路トランジスタTR2の駆動信頼性を向上させ、前記表示基板101の生産性を向上させることができる。
【0057】
<第2の実施形態>
本実施形態に係る表示基板102は、第3半導体パターンAP3を除いては
図1〜
図3に示した表示基板101と実質的に同一である。従って、本実施形態では、
図1〜
図3と、前記第3半導体パターンAP3を示した
図7を参照して表示基板102について説明し、
図1〜
図3で説明したことと重複する説明は省略する。
【0058】
図7は本発明の第2の実施形態に係る表示基板の拡大断面図である。
【0059】
図1、
図2及び
図7を参照すると、本実施形態に係る表示基板102は、表示領域DAに形成された画素トランジスタPSWを含む。前記画素トランジスタPSWは第3半導体パターンAP3を含む。前記第3半導体パターンAP3は第2半導体層130c及び第1オーミックコンタクト層130bを含む。
【0060】
前記第2半導体層130cは結晶質及び非結晶質の多元系化合物を含む。即ち、前記第2半導体層130cにおける前記多元系化合物は、結晶質と非結晶質が混合された混合相を有する。前記第2半導体層130cにおいては、前記結晶質と前記非結晶質の含有量比は約1:99〜約99:1であることができる。前記結晶質は複数のグレーン(grains、つまりは結晶粒)を含む多結晶で定義する。説明の便宜のために
図7で前記グレーンを「CR」と示し、非結晶質は「AM」と示す。なお、非結晶質と結晶質が混合された混合相の二元系化合物とは、非結晶質及び結晶質が共に第12族元素及び第16族元素の組み合わせまたは第13族元素及び第15族元素の組み合わせからなっており、これらが混合されたものを言う。
【0061】
図7に示した通り、前記第2半導体層130cは前記グレーンCRと前記非結晶質AMが混合されている。前記グレーンCRは前記多元系化合物を構成する元素が規則的に配列されたものであり、互いに隣接したグレーンCR間の配列方向性が異なると、互いに隣接したグレーンCR間にはグレーン境界(grain boundary、つまりは結晶粒界)が形成される。また、互いに隣接したグレーンCRの間に非結晶質の前記多元系化合物が配置された場合には、グレーンCRと前記非結晶質の前記多元系化合物との間でも前記グレーン境界が形成される。前記グレーンCRのそれぞれのグレーンサイズ(つまりは、結晶粒径)は数〜数十マイクロメーターまたはナノメートルであることができる。望ましく、前記グレーンサイズは約0.1nm以上約1um未満であることができる。
【0062】
前記第2半導体層130cは、前記第1半導体層130aと比較すると、結晶質の多元系化合物をさらに含むことによって前記第1半導体層130aに比べて相対的により高い電子移動度を有することができる。即ち、電子は、非結晶質状態の前記多元系化合物内を移動するのに比べて前記混合相の前記多元系化合物内を移動する方が、速度がより大きい場合がある。
【0063】
本実施形態に係る表示基板102の製造方法は、
図5及び
図6で説明した表示基板101の製造方法と前記第2半導体層130cを形成するためのチャンバ内部の温度を除いては実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。前記第2半導体層130cを形成するためのチャンバ内部の温度は、
図5での前記非結晶質の前記多元系化合物を形成する第1温度より高い第2温度であることができる。前記第2温度は約100℃〜約500℃であることができる。
【0064】
これとは異なって、前記第2半導体層130cは、
図5で説明した第1半導体層130aを予備層で形成した後、前記予備層にレーザーを照射して形成することができる。具体的に、前記非結晶質の多元系化合物を含む予備層を前記ベース基板110上に形成し、前記予備層に前記レーザーを照射することによって前記非結晶質の一部を結晶質にすることができる(即ち、非結晶質の多元系化合物の決定化)。前記レーザーを加える時間が長いほど、前記結晶質を成すグレーンのグレーンサイズが大きくなることができる。これによって、非結晶質及び結晶質の混合相を有する前記多元系化合物を含む前記第2半導体層130cを形成することができる。
【0065】
本実施形態によれば、前記多元系化合物の別途の結晶質化工程無しでも容易に結晶質と非結晶質が混合された混合相の前記多元系化合物を形成することができる。前記画素トランジスタPSWと周辺領域PAに形成される第1回路トランジスタTR1及び第2回路トランジスタTR2の駆動信頼性を向上させ、前記表示基板102の生産性を向上させることができる。
【0066】
<第3の実施形態>
本実施形態に係る表示基板103は、第4半導体パターンAP4を除いては
図1〜
図3に示した表示基板101と実質的に同一である。従って、本実施形態では、
図1〜
図3と、前記第4半導体パターンAP4を示した
図8を参照して表示基板103について説明し、
図1〜
図3で説明したのと重複する説明は省略する。
【0067】
図8は本発明の第3の実施形態に係る表示基板の拡大断面図である。
【0068】
図1、
図2及び
図8を参照すると、本実施形態に係る表示基板103は表示領域DAに形成された画素トランジスタPSWを含む。前記画素トランジスタPSWは第4半導体パターンAP4を含む。前記第4半導体パターンAP4は第3半導体層130d及び第1オーミックコンタクト層130bを含む。
【0069】
前記第3半導体層130dは結晶質の多元系化合物を含む。前記結晶質は複数のグレーン(grains、つまりは結晶粒)を含む多結晶で定義する。説明の便宜のために
図8で前記グレーンを「CR」と示す。前記グレーンCRそれぞれのグレーンサイズ(つまりは、結晶粒径)は約0.1nm以上約1um未満である。前記第3半導体層130dは、前記第2半導体層130cと比較すると、結晶質の多元系化合物の含有量が多いことによって前記第2半導体層130cに比べて相対的により高い電子移動度を有することができる。前記第3半導体層130dの電子移動度は約0.8cm
2/Vs以上であることが望ましい。一例として、前記第3半導体層130dが結晶質のガリウムヒ素を含む時、前記ガリウムヒ素の電子移動度は約1cm
2/Vs以上である。
なお、結晶質の二元系化合物とは、第12族元素及び第16族元素の組み合わせ、または第13族元素及び第15族元素の組み合わせからなる結晶質の化合物を言う。
【0070】
また、前記ガリウムヒ素は微量の炭素元素、酸素元素、及び水素元素をさらに含むことができる。前記炭素元素、酸素元素、及び水素元素の各々は、前記ガリウムヒ素を製造する工程上の特性によって、ガリウムヒ素約1cm
3に対して約1×10
13個/cm
3が含まれる。前記炭素元素が約1×10
19個/cm
3超過すると、ガリウムヒ素のキャリア量が相対的に多くなって半導体よりは導体に近くなる。前記水素元素または酸素元素が約1×10
19個/cm
3超過すると、逆にガリウムヒ素のキャリア量より不純物量が多くなり、前記キャリアの移動を邪魔して半導体特性が低下する。従って、前記ガリウムヒ素に含まれる前記炭素元素、酸素元素、及び水素元素の含有量は、各々ガリウムヒ素1cm
3に対し約1×10
13個/cm
3以上約1×10
19個/cm
3以下であることが望ましい。
【0071】
本実施形態に係る表示基板103の製造方法は、
図5及び
図6で説明した表示基板101の製造方法と前記第3半導体層130dを形成するためのチャンバ内部の温度を除いては実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。前記第3半導体層130dを形成するためのチャンバ内部の温度は、
図5での前記非結晶質の前記多元系化合物を形成する第1温度より高く、前記第2半導体層130cを形成する第2温度よりも高い第3温度であることができる。前記第3温度は約100℃〜約500℃であることができる。
【0072】
これとは異なって、前記第3半導体層130dは、
図5で説明した第1半導体層130aを予備層で形成した後、前記予備層にレーザーを照射して形成することができる。具体的に、前記非結晶質の多元系化合物を含む予備層を前記ベース基板110上に形成し、前記予備層に前記レーザーを照射することによって前記非結晶質を結晶質に変換させることができる。これによって、結晶質の前記多元系化合物を含む前記第3半導体層130dを形成することができる。前記非結晶質の多元系化合物は、前記レーザーの照射時間が長いほど結晶質に変化する比率がより高いこともある。
【0073】
本実施形態によると、前記多元系化合物の別途の結晶質化工程無しでも容易に結晶質の前記多元系化合物を形成することができる。前記画素トランジスタPSWと周辺領域PAに形成される前記第1回路トランジスタTR1及び第2回路トランジスタTR2の駆動信頼性を向上させ、前記表示基板103の生産性を向上させることができる。
【0074】
<第4の実施形態>
図9は本発明の第4の実施形態に係る表示基板の平面図である。
【0075】
図10は
図9のII−II’ライン及びIII−III’ラインに沿って切断した断面図である。
【0076】
図9及び
図10を参照すると、本実施形態に係る表示基板201はゲートラインGL、データラインDL、電源供給ラインVL、スイッチングトランジスタQs、駆動トランジスタQd、ストレージキャパシタCst、隔壁WA、及び電界発光素子260を含む。前記スイッチングトランジスタQs及び前記駆動トランジスタQdの各々は薄膜トランジスタである。
【0077】
前記スイッチングトランジスタQsは前記ゲートラインGL及び前記データラインDLと電気的に接続される。前記スイッチングトランジスタQsはスイッチングゲート電極GE1、スイッチングソース電極SE1、スイッチングドレイン電極DE1及び第5半導体パターンAP5を含む。前記第5半導体パターンAP5は前記スイッチングゲート電極GE1上の第3絶縁層220上に形成される。前記第5半導体パターンAP5は第4半導体層230a及び第2オーミックコンタクト層230bを含む。前記第4半導体層230aは、結晶質及び非結晶質の混合相の多元系化合物を含むことができる。前記第4半導体層230aは
図7で説明した第2半導体層130cと実質的に同一である。また、前記第2オーミックコンタクト層230bは
図4で説明した第1オーミックコンタクト層130bと実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。
【0078】
前記駆動トランジスタQdは前記スイッチングトランジスタQs及び前記電源供給ラインVLと電気的に接続される。前記駆動トランジスタQdは駆動ゲート電極GE2、駆動ソース電極SE2、駆動ドレイン電極DE2、及び第6半導体パターンAP6を含む。前記駆動ゲート電極GE2は前記スイッチングドレイン電極DE1と電気的に接続される。前記第6半導体パターンAP6は前記駆動ゲート電極GE2上の前記第3絶縁層220上に形成される。前記第6半導体パターンAP6は前記第5半導体パターンAP5と実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。
【0079】
前記駆動トランジスタQdは有機発光電界素子(organic light emitting diode;OLED)の特性上、前記スイッチングトランジスタQsに比べて相対的に多い量の電子を前記電界発光素子260に提供しなければならない。本発明によると、前記駆動トランジスタQdの第6半導体パターンAP6は前記多元系化合物を用いて形成されているため、前記駆動トランジスタQdは、電子移動度の速い前記第6半導体パターンAP6を通じて前記電界発光素子260に十分な電子を提供することができる。
【0080】
前記電界発光素子260は、前記駆動トランジスタQdと電気的に接続された画素電極PE、発光層OL、及びカソードCMEを含む。前記画素電極PEは、前記電界発光素子260のアノードとして、前記発光層OLに正孔(hole)を提供し、前記カソードCMEは前記発光層OLに電子を提供し、前記正孔及び前記電子は前記発光層OLで結合してエキシトン(exciton、つまりは励起子)を形成する。前記画素電極PEは反射電極、前記カソードCMEは透過電極であることができる。これとは異なって、前記画素電極PEが透過電極、前記カソードCMEが反射電極であることができる。
【0081】
前記スイッチングソース電極SE1及びドレイン電極DE1と前記駆動ソース電極SE2及びドレイン電極DE2を含むベース基板210上に第4絶縁層240が形成される。前記隔壁WAは前記ゲートラインGL、前記データラインDL、前記スイッチングトランジスタQs、及び前記駆動トランジスタQd上の前記第4絶縁層240上に形成され、前記画素電極PEの一部を露出させる。前記隔壁WAを通じて露出した前記画素電極PE上に前記発光層OLが形成され、前記カソードCMEは、前記隔壁WA及び前記発光層(OL)と接触して形成されることができる。
【0082】
図11及び
図12は
図10に示した表示基板の製造方法を説明するための断面図である。
【0083】
図11を参照すると、ベース基板210上に前記スイッチングゲート電極GE1及び前記駆動ゲート電極GE2を形成する。前記第3絶縁層220を前記スイッチングゲート電極GE1及び前記駆動ゲート電極GE2を含む前記ベース基板210上に形成する。
【0084】
前記第3絶縁層220上に前記第5半導体パターンAP5及び第6半導体パターンAP6を形成する。前記第5半導体パターンAP5及び第6半導体パターンAP6を形成する工程は、第2の実施形態で説明した第3半導体パターンAP3を形成する工程と実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。本実施形態によると、前記スイッチングトランジスタQsの前記第5半導体パターンAP5と前記駆動トランジスタQdの前記第6半導体パターンAP6を電子移動度が良く且つ大面的に形成できる前記多元系化合物を利用して単一な工程を通じて形成することができる。
【0085】
図12を参照すると、前記第5半導体パターンAP5及び第6半導体パターンAP6を含む前記ベース基板210上に前記スイッチングソース電極SE1及びドレイン電極DE1並びに前記駆動ソース電極SE2及びドレイン電極DE2を形成する。続いて、前記第4絶縁層240、前記画素電極PE及び前記隔壁WAを次々と形成し、前記隔壁WAのホールHに前記発光層OLを形成する。前記発光層OLが形成された前記ベース基板210上に前記カソードCMEを形成する。
【0086】
本実施形態によると、前記多元系化合物の別途の結晶質化工程無しでも容易に混合相の前記多元系化合物を形成することができる。前記スイッチングトランジスタQs及び前記駆動トランジスタQdの駆動信頼性を向上させ、前記表示基板201の生産性を向上させることができる。特に、前記電界発光素子260と連結されて前記電界発光素子260を駆動する前記駆動トランジスタQdの電気的特性を向上させることができる。
【0087】
本実施形態では、前記第5半導体パターンAP5及び前記第6半導体パターンAP6が結晶質及び非結晶質の混合相の多元系化合物を含むことを一例として説明したが、前記第5半導体パターンAP5及び第6半導体パターンAP6の各々は結晶質の多元系化合物を含み、非結晶質の多元系化合物を含むことができる。
【0088】
以下、第5の実施形態〜第7の実施形態を通じて前記で説明した薄膜トランジスタと異なった構造を有する薄膜トランジスタを説明する。以下では、画素トランジスタの構造を一例として説明するが、前記画素トランジスタの構造は
図1及び
図2に示した第1回路トランジスタTR1及び第2回路トランジスタTR2、並びに
図9及び
図10に示したスイッチングトランジスタQs及び駆動トランジスタQdにも同一に適用することができる。
【0089】
<第5の実施形態>
図13は本発明の第5の実施形態に係る表示基板の断面図である。
【0090】
図13を参照すると、本実施形態に係る表示基板301は第3ソース電極S3、第3ドレイン電極D3、第7半導体パターンAP7、及び第3ゲート電極G3を含む画素トランジスタPSWと、画素電極PEとを含む。
【0091】
前記第3ソース電極S3及び第3ドレイン電極D3は、ベース基板310上に形成される。前記第7半導体パターンAP7は前記第3ソース電極S3及び第3ドレイン電極D3上に形成される。前記第7半導体パターンAP7は第5半導体層330b及び第3オーミックコンタクト層330aを含む。前記第3オーミックコンタクト層330aが前記第5半導体層330bの下部に形成される。前記第5半導体層330bは、結晶質及び非結晶質の混合相の多元系化合物を含むことができる。これとは異なって、前記第5半導体層330bは結晶質の多元系化合物を含み、非結晶質の多元系化合物を含むことができる。
【0092】
前記第7半導体パターンAP7上に第5絶縁層345が形成され、前記第5絶縁層345上に前記第3ゲート電極G3が形成される。前記第3ゲート電極G3上に第6絶縁層350が形成され、前記第6絶縁層350上に前記画素電極PEが形成される。
【0093】
図14及び
図15は
図13に示した表示基板の製造方法を説明するための断面図である。
【0094】
図14を参照すると、前記ベース基板310上に前記第3ソース電極S3及び前記第3ドレイン電極D3を形成する。前記第3ソース電極S3及び前記第3ドレイン電極D3を含む前記ベース基板310上に前記第3オーミックコンタクト層330aを形成する。前記第3オーミックコンタクト層330aはテルル(Te)または、セレン(Se)を含むことができる。前記第3オーミックコンタクト層330aが形成された前記ベース基板310上に前記第5半導体層330bを形成する。前記第5半導体層330bを形成する段階は、蒸着対象になる前記ベース基板310に前記第3オーミックコンタクト層330aが形成されたことを除いては第2の実施形態で説明した第2半導体層130cを形成する工程と実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。
【0095】
図15を参照すると、パターニングされた前記第5半導体層330bを含む前記第7半導体パターンAP7上に前記第5絶縁層345を形成する。前記第5絶縁層345が形成された前記ベース基板310上に前記第3ゲート電極G3を形成する。前記第3ゲート電極G3上に前記第6絶縁層350を形成し、前記画素電極PEを形成する。
【0096】
本実施形態では、前記第7半導体パターンAP7が結晶質及び非結晶質の混合相の多元系化合物を含むことを一例として説明したが前記第7半導体パターンAP7は結晶質の多元系化合物を含み、非結晶質の多元系化合物を含むことができる。
【0097】
<第6の実施形態>
図16は本発明の第6の実施形態に係る表示基板の断面図である。
【0098】
図16を参照すると、本実施形態に係る表示基板302は第4ソース電極S4、第4ドレイン電極D4、第8半導体パターンAP8及び第4ゲート電極G4を含む画素トランジスタPSWと、画素電極PEとを含む。
【0099】
前記第8半導体パターンAP8はベース基板310上に形成される。前記第8半導体パターンAP8は形成位置を除いては
図13で説明した第7半導体パターンAP7と実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。前記第8半導体パターンAP8は、
図13に示した第5半導体層330bのみを含み、第3オーミックコンタクト層330aは省略することができる。前記第8半導体パターンAP8上には第7絶縁層347が形成される。
【0100】
前記第4ゲート電極G4は前記第7絶縁層347上に形成される。前記第4ゲート電極G4上に第8絶縁層355が形成され、前記第8絶縁層355上に前記第4ソース電極S4及び前記第4ドレイン電極D4が形成される。前記第4ソース電極S4及び前記第4ドレイン電極D4は前記第7絶縁層347及び第8絶縁層355を貫通するホールを通じて前記第8半導体パターンAP8と直接的にコンタクトする。前記第4ソース電極S4及び前記第4ドレイン電極D4上に第9絶縁層360が形成され、前記第9絶縁層360のホールを通じて露出した前記第4ドレイン電極D4が前記画素電極PEとコンタクトする。
【0101】
図17及び
図18は、
図16に示した表示基板の製造方法を説明するための断面図である。
【0102】
図17を参照すると、前記ベース基板310上に前記第8半導体パターンAP8を形成する。前記第8半導体パターンAP8を形成する工程は、前記ベース基板310上に直接形成するのを除いては
図14で説明した第5半導体層330bを形成する工程と実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。
【0103】
前記第8半導体パターンAP8を含む前記ベース基板310上に前記第7絶縁層347を形成して、前記第7絶縁層347上に前記第4ゲート電極G4を形成する。続いて、前記第8絶縁層355を形成する。
【0104】
図18を参照すると、前記第7絶縁層347及び第8絶縁層355を貫通して前記第8半導体パターンAP8の一部を露出させるホールを形成した後、前記第8絶縁層355上に前記第4ソース電極S4及び第4ドレイン電極D4を形成する。続いて、前記第4ソース電極S4及び前記第4ドレイン電極D4上に第9絶縁層360を形成し、前記第9絶縁層360上に前記画素電極PEを形成する。
【0105】
本実施形態では、前記第8半導体パターンAP8が結晶質及び非結晶質の混合相の多元系化合物を含むことを一例として説明したが前記第8半導体パターンAP8は結晶質の多元系化合物を含み、非結晶質の多元系化合物を含むことができる。
【0106】
<第7の実施形態>
図19は本発明の第7の実施形態に係る表示基板の断面図である。
【0107】
図19を参照すると、本実施形態に係る表示基板303は第5ソース電極S5、第5ドレイン電極D5、第9半導体パターンAP9、及び第5ゲート電極G5を含む画素トランジスタPSWと、画素電極PEとを含む。
【0108】
前記第9半導体パターンAP9はベース基板310上に形成される。前記第9半導体パターンAP9は
図16で説明した前記第8半導体パターンAP8と実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。前記第9半導体パターンAP9は
図13に示した第5半導体層330bのみを含み、第3オーミックコンタクト層330aは省略されることができる。
【0109】
前記第9半導体パターンAP9上には前記第5ソース電極S5及び前記第5ドレイン電極D5が形成される。前記第5ソース電極S5及び前記第5ドレイン電極D5上に第10絶縁層349が形成され、前記第10絶縁層349上に前記第5ゲート電極G5が形成される。前記第5ゲート電極G5上に第11絶縁層350が形成され、前記第11絶縁層350上に前記画素電極PEが形成される。
【0110】
図20及び
図21は、
図19に示した表示基板の製造方法を説明するための断面図である。
【0111】
図20を参照すると、前記ベース基板310上に前記第9半導体パターンAP9を形成する。前記第9半導体パターンAP9を形成する工程は、前記第8半導体パターンAP8を形成する工程と実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。
【0112】
前記第9半導体パターンAP9を含む前記ベース基板310上に前記第5ソース電極S5及び第5ドレイン電極D5を形成する。前記第5ソース電極S5及び第5ドレイン電極D5を含む前記ベース基板310上に前記第10絶縁層349を形成する。
【0113】
図21を参照すると、前記第10絶縁層349を含む前記ベース基板310上に前記第5ゲート電極G5及び前記第11絶縁層350を次々と形成する。前記第11絶縁層350及び前記第10絶縁層349を貫通して前記第5ドレイン電極D5の一部を露出させるホールを形成した後、前記第11絶縁層350上に前記画素電極を形成する。
【0114】
本実施形態では、前記第9半導体パターンAP9が結晶質及び非結晶質の混合相の多元系化合物を含むことを一例として説明したが、前記第9半導体パターンAP9は、結晶質の多元系化合物を含むかまたは非結晶質の多元系化合物を含むことができる。
【0115】
<第8の実施形態>
図22は本発明の第8の実施形態に係る表示基板の断面図である。
【0116】
図22を参照すると、本実施形態に係る表示基板304は第6ゲート電極G6、第10半導体パターンAP10、第6ソース電極S6及び第6ドレイン電極D6を含む画素トランジスタPSWと、画素電極PEとを含む。前記画素トランジスタPSWは前記第10半導体パターンAP10を除いては、
図3で説明した画素トランジスタPSWと実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。
【0117】
前記第10半導体パターンAP10はオーミックコンタクト層が省略されることによって前記第6ゲート電極G6をカバーする第1絶縁層320と直接的に接触して形成され、前記第6ソース電極S6及び第6ドレイン電極D6は前記第10半導体パターンAP10上に前記第10半導体パターンAP10と直接的に接触して形成された半導体層を含む。前記半導体層は非結晶質の多元系化合物を含む。前記画素トランジスタPSW上に第2絶縁層340が形成されて、前記画素電極PEは前記第2絶縁層340上に形成される。
【0118】
図22に示した表示基板304の製造方法は、
図6に示した第1オーミックコンタクト層130bを第1半導体層130a上に形成する段階を省略したことを除いては
図3に示した表示基板101の製造方法と実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。
【0119】
本実施形態では、前記第10半導体パターンAP10が非結晶質の多元系化合物を含むことを一例として説明したが、前記第10半導体パターンAP10は、結晶質の多元系化合物を含むかまたは、結晶質及び非結晶質の混合相を有する多元系化合物を含むことができる。
【0120】
一方、図示はしなかったが、
図7、
図8、
図10及び
図13に示した画素トランジスタPSWの各々もオーミックコンタクト層が省略されて半導体パターンが半導体層のみを含むことができる。
【0121】
<第9の実施形態>
図23は本発明の第9の実施形態に係る表示基板の断面図である。
【0122】
図23を参照すると、本実施形態に係る表示基板305は第7ゲート電極G7、第11半導体パターンAP11、エッチストッパES、第7ソース電極S7及び第7ドレイン電極D7を含む画素トランジスタPSWと、画素電極PEとを含む。前記画素トランジスタPSWは、前記エッチストッパESをさらに含むのを除いては
図3で説明した画素トランジスタPSWと実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。
【0123】
前記第11半導体パターンAP11は前記第7ゲート電極G7上に形成された第1絶縁層320上に形成された第6半導体層332a及び第4オーミックコンタクト層332bを含む。前記第6半導体層332aは非結晶質、結晶質、または前記非結晶質と前記結晶質との混合相の多元系化合物を含む。
【0124】
前記エッチストッパESは、前記第11半導体パターンAP11における前記第6半導体層332aと前記第4オーミックコンタクト層332bとの間に形成される。前記エッチストッパESは、前記第4オーミックコンタクト層332bとは異なる他の物質で形成され、前記第4オーミックコンタクト層332bをパターニングする工程において前記第6半導体層332aが除去されないよう、保護する役割を担う。前記エッチストッパESは前記第7ソース電極S7及び第7ドレイン電極D7が互いに離隔された領域に形成される。
【0125】
図24及び
図25は
図23に示した表示基板の製造方法を説明するための断面図である。
【0126】
図24を参照すると、ベース基板310上に前記第7ゲート電極G7を形成し、前記第7ゲート電極G7を含むベース基板310上に前記第1絶縁層320、前記第6半導体層332a、前記エッチストッパES及び前記第4オーミックコンタクト層332bを次々と形成する。具体的に、前記第1絶縁層320及び前記第6半導体層332aを次々と形成した後、窒化シリコンまたは酸化シリコンを含む保護膜を形成する。または、前記保護膜は酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、または酸化ジルコニウムを含むことができる。前記保護膜をパターニングして前記エッチストッパESを形成する。前記保護膜と前記第6半導体層332aの形成物質が互いに異なるので、前記エッチストッパESを形成する工程で前記第6半導体層332aは損傷しない。前記エッチストッパESを含む前記ベース基板310上に前記第4オーミックコンタクト層332bを形成する。前記第6半導体層332a及び前記第4オーミックコンタクト層332bを形成する工程は、
図5及び
図6で説明したのと実質的に同一である。従って、重複する説明は省略する。
【0127】
図25を参照すると、前記第4オーミックコンタクト層332b及び前記第6半導体層332aを一つのマスクを利用してパターニングすることによって前記第11半導体パターンAP11を形成することができる。前記第4オーミックコンタクト層332b及び前記第6半導体層332aをパターニングする工程において、前記エッチストッパESにより前記エッチストッパESの下部に配置された前記第6半導体層332aは除去されない。パターニングされた前記第4オーミックコンタクト層332bにより前記エッチストッパESが露出される。
【0128】
続いて、前記第11半導体パターンAP11を含む前記ベース基板310上に前記第7ソース電極S7及び第7ドレイン電極D7を形成し、第2絶縁層340を形成した後前記画素電極PEを形成する。前記第7ソース電極S7及び第7ドレイン電極D7の間を通じて前記エッチストッパESが露出される。
【0129】
本実施形態では、前記第11半導体パターンAP11が非結晶質の多元系化合物を含むことを一例として説明したが、前記第11半導体パターンAP11は結晶質の多元系化合物を含むか、または結晶質及び非結晶質の混合相を有する多元系化合物を含むことができる。
【0130】
以下では、三元系半導体化合物を含む半導体層の特性及びそれを含む薄膜トランジスタの電気的特性を実験を通じて具体的に説明する。
【0131】
<温度による表面状態評価>
N+タイプのシリコンウェハ上に約1000Åの酸化シリコン層を形成し、インジウム−ガリウム−ヒ素(In−Ga−As)を含む半導体層をMOCVD(metal organic chemical vapor deposition)方式で約450℃、約300℃、及び約250℃で約180Åの厚さで形成し、その表面状態を観察した。その結果を
図26、
図27、及び
図28に各々現わす。
【0132】
図26〜
図28はインジウム−ガリウム−ヒ素の半導体層の成膜温度による表面状態を示したSEM写真である。
【0133】
図26は半導体層を約450℃で成膜した場合の半導体層表面状態であり、
図27は半導体層を約300℃で成膜した場合の半導体層表面状態であり、
図28は半導体層を約250℃で成膜した場合の半導体層表面状態を現わす。
図26〜
図28を参照すると、成膜温度が低いほどグレーン(grain、つまりは結晶粒)の大きさがますます小さくなって、空き空間(void)もまた減少し、表面の粗度(roughness)も減少することが分かる。
【0134】
<半導体層の成膜温度によるトランジスタ特性評価>
約450℃、約300℃及び約250℃の各々で成膜された半導体層をパターニングして前記酸化シリコン層上に半導体パターンを形成し、前記半導体パターン上にチタン/金(Ti/Au)の金属層を含むソース電極及びドレイン電極を形成してトランジスタを製造した。前記ウェハに約0V、約10V、約20V、及び約30Vの電圧V
gを印加する時、前記ドレイン電極に印加される電圧V
dsにより前記ソース電極で出力される電流I
dsを測定した。その結果を
図29、
図30、及び
図31に現わす。
【0135】
図29〜
図31はインジウム−ガリウム−ヒ素の半導体層の成膜温度による電圧−電流特性を示したグラフである。
【0136】
図29は約450℃で成膜された半導体パターンを有するトランジスタのグラフであり、
図30は約300℃で成膜された半導体パターンを有するトランジスタのグラフであり、
図31は約250℃で成膜された半導体パターンを有するトランジスタのグラフである。
図29〜
図31を参照すると、半導体層を成膜する温度が低いほどV
gが0Vの場合の電圧−電流曲線に比べて、相対的にV
gが増加するほど電圧−電流曲線の傾きが大きくなることが分かる。即ち、前記半導体層を成膜する温度が約450℃の場合より約250℃の場合に変調特性(modulation characteristic)が向上したことが分かる。
【0137】
<半導体層の成膜の厚さによるトランジスタの特性評価>
N+タイプのシリコンウェハ上に約1000Åの酸化シリコン層を形成し、インジウム−ガリウム−ヒ素(In−Ga−As)を含む半導体層をMOCVD(metal organic chemical vapor deposition)方式で約250℃で約150Å、約120Å、約90Å、及び約60Åの厚さで形成し、前記半導体層の各々をパターニングして前記酸化シリコン層上に半導体パターンを形成し、前記半導体パターン上にチタン/金(Ti/Au)金属層を含むソース電極及びドレイン電極を形成してトランジスタを製造した。前記ウェハに約0V、約10V、約20V、及び約30Vの電圧V
gを印加する時、前記ドレイン電極に印加される電圧V
dsにより前記ソース電極で出力される電流I
dsを測定した。その結果を
図32、
図33、
図34、及び
図35に示す。
【0138】
図32〜
図35はインジウム−ガリウム−ヒ素半導体層の成膜の厚さによる電圧−電流特性を示したグラフである。
【0139】
図32は前記半導体層の厚さが約150Åのトランジスタのグラフであり、
図33は前記半導体層の厚さが約120Åのトランジスタのグラフであり、
図34は前記半導体層の厚さが約90Åのトランジスタのグラフであり、
図35は前記半導体層の厚さが約60Åのトランジスタのグラフである。
図32〜
図35を参照すると、前記半導体層の厚さが減少するほど抵抗が増加して電流の大きさは減少するが、ピンチオフ(pinch−off)特性によってV
gが0Vの場合の電圧−電流曲線に比べて、相対的にVgが増加するほど電圧−電流曲線の傾きが大きくなることが分かる。即ち、前記半導体層の厚さが約150Åの場合より約60Åの場合に変調特性(modulation characteristic)が向上することが分かる。
【0140】
<インジウム−ガリウム−ヒ素の結晶相分析>
約250℃でMOCVD方式でインジウム−ガリウム−ヒ素の薄膜を形成し、前記薄膜をX線分析した。その結果を
図36に示す。
【0141】
図36はインジウム−ガリウム−ヒ素の結晶相に対するX線分析グラフである。
【0142】
図36を参照すると、インジウム−ガリウム−ヒ素の薄膜は2シータ(2theta)値が約25、約42、及び約50付近でピークを現わし、これを通じてインジウム−ガリウム−ヒ素の結晶相は結晶化度の低い多結晶(polycrystalline)であることが分かる。
【0143】
<インジウム−ガリウム−ヒ素の薄膜造成分析>
約250℃でMOCVD方式でインジウム−ガリウム−ヒ素の薄膜を形成し、前記薄膜をXPSで分析した。その結果を
図37及び
図38に示す。
【0144】
図37はインジウム−ガリウム−ヒ素の半導体層のXPS分析グラフであり、
図38は
図37に示した分析ピークの拡大グラフである。
【0145】
図37及び
図38を参照すると、前記インジウム−ガリウム−ヒ素の薄膜に対するXPS分析グラフにおいて、約285eV、約4445eV、約41.5eV、及び約18.3eV付近でピークが現れる。これを通じて、炭素原子の1s軌道、インジウム原子の3d軌道、ヒ素原子の3d軌道、及びインジウム原子の4d軌道を確認することができる。また、ガリウム原子の2p軌道及び3d軌道を確認することができる。これによって、前記薄膜はガリウム対比インジウムの含量が高いインジウム−ガリウム−ヒ素、即ち、インジウム−ヒ素(In−As)に近い造成比を現わす。インジウム−ヒ素の原子含有量はインジウムが約53at%、ヒ素が約47at%であるので、インジウムとヒ素はほとんど1:1であることが分かる。
【0146】
<インジウム−ガリウム−ヒ素のトランジスタの熱処理特性評価>
N+型シリコンウェハ上にインジウム−ガリウム−ヒ素を含む半導体パターンを含む同一の3つのトランジスタを製造し、これらのうちいずれか一つは熱処理せず、他の約350℃の質素雰囲気の対流オーブン(convection oven)で約1時間の間熱処理し、また他の一つは2時間の間熱処理した。それぞれのトランジスタに対して前記ウェハに約0V、約10V、約20V、及び約30Vの電圧V
gを印加する時、ドレイン電極に印加される電圧V
dsによりソース電極で出力される電流I
dsを測定した。その結果を
図39、
図40、及び
図41に示す。
【0147】
図39〜
図41は熱処理時間によるインジウム−ガリウム−ヒ素の半導体層を有する電圧−電流特性を示したグラフである。
【0148】
図39は熱処理しなかったトランジスタのグラフであり、
図40は約1時間の間熱処理したトランジスタのグラフであり、
図41は約2時間の間熱処理したトランジスタのグラフである。
図39〜
図41を参照すると、熱処理時間が増加するほどV
gが0Vの場合の電圧−電流曲線に比べて、相対的にV
gが増加するほど電圧−電流曲線の傾きが大きくなることが分かる。即ち、約2時間の間熱処理をしたトランジスタが前記トランジスタを熱処理しなかった場合に比べて相対的に変調特性(modulation characteristic)が向上したことが分かる。
【0149】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特徴請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。