(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記顧客情報は、第一の顧客情報と第二の顧客情報とを有し、上記第一の顧客情報は、顧客の氏名、性別、年齢、住所、電話番号、来店履歴、顧客紹介履歴、購買金額に関するデータを有し、上記第二の顧客情報は、顧客の家族構成、所得、職業、当該美容業に対する支出金額、その他の顧客分類情報に関するデータを有していることを特徴とする請求項1記載の経営情報統合システム。
上記経営情報管理手段及び営業情報管理手段は、上記個別経営情報管理ファイル及び個別営業情報管理ファイル内に格納されたデータを分析、加工、統合して、使用目的に対する情報の最適化を図るBI機能を備えていることを特徴とする請求項1記載の経営情報統合システム。
【背景技術】
【0002】
業界全体における経営情報の統合の問題に関し、美容業を例にとり説明する。
美容業は、サービス業の中でも最も労働集約型で初期投資コストが低いために分散傾向が強い。歴史的には、幕末までは理容室、美容室の区別はなく髪結所または髪結床が利用され、本邦初の理容室は明治2年に、横浜の松本常吉らが欧米人からハサミを使う洋式調髪を学んで開業したものと認識されている。
【0003】
美容室、理容室の業務は、厚生労働省がそれぞれ美容法、理容法に基づき定められている。平成20年の総務省のデータでは、美容室は221、394件、理容室は135,615件であった。
これは2番目に多いクリーニング業の137,097件の約2倍近い数字であるが、廃業届がなく営業している店舗は実際には7割程度であるとされている。またこの業界で働く美容師は443,944人(理容士の数は244,677人)であり、美容師は2000年以降、小学生のなりたい職業ランキングで10位以内に入るなど人気高い職業として認知されている。
【0004】
日本の美容業は他のサービス業に比して強い体質の業界である。その強さの原因は以下と考えられている。
第一に、景気に大きくは左右されない。第二に、業態の発生時から徒弟制度によって技術と接客のイロハを継承してきた歴史がある。第三に、いわゆるモノ作りとは異なり、伝統の中に欧米の新しい要素を取り入れて日本独自に進化している点が挙げられる。
【0005】
1986年に、ロンドンの世界的な美容師ヴィダル・サスーン氏のカット技術を日本が取り入れて以来、日本のカット技術は飛躍的な進歩を遂げ、昨今では日本人の美容師が世界で活躍するシーンも見かける。また美容機器、美容薬剤の発達によってさらにデザイン性が向上し、1990年代後半の「ヘアカラーブーム」は業界全体を活性化させている。
【0006】
図11に示すように、このような美容業界には、代理店制度があり、美容業界で使用する商品の各製造メーカーと美容室との間の流通を代理店が担っている。
1990年代以降、代理店も各製造メーカーと契約を行い、いわゆる代理店としての機能は果たしていない。各製造メーカーと代理店間にはWebによる共通発注システムが存在するが、現状はFAXや電話注文での発注もあり、また各社共に固有の物流システムを所有しているので、業界全体としては効率は良くない状態である。
【0007】
また商圏内における顧客のデータ管理に関しては、未だに、紙媒体が用いられ、美容師自身の手書きによる「顧客カルテ」が使用されている。従って、顧客特性に関する情報は、美容室における利用にとどまっており、顧客特性情報が製造メーカーに反映されてはいない。
【0008】
美容業界は、景気に左右されず着々と市場成長を果たしてきたが2005年以降その成長に陰りがみえており、美容業界市場は成長期から成熟期に移行してきているといえる。
【0009】
その原因としては以下のものが考えられる。
第一に、市場を牽引してきたヘアカラーブームの落ち着きがある。2009年の富士経済のデータによるとヘアカラー製造メーカーの上位10社のトータル市場出荷量は昨年を下回り、さらに全理美容製造協会が行ったインターネット調査ではヘアカラー使用者の減少とヘアカラーの明るさが下がり、ヘアカラーサイクルの周期が伸びている事実が判明している。
【0010】
第二には、美容室数の増加があげられる。平成18年の総務省の統計局のデータでは175、603の美容件数のうち常用雇用者形態が3人以下の規模の美容室が84%(147、500件)の割合を占めていた。
3人以下の規模の美容室が増加する原因としては、美容師の労働環境の悪化がある。例えば、ほぼ9割の美容室は厚生年金に未加入であり保障制度が整っていない。将来の保障がない労働環境で不安をもつ従業員が「独立」の選択肢をとることとなる。
また、上記のように、顧客データに関しては電子的方法による管理がされておらず、使用されている「顧客カルテ」が持ち出されるケースも見られる。さらに、約1、000万程度の初期投資コストで開業できることも、美容室数を増大させている原因の一つである。
【0011】
第三には、本来は、景気に左右されない業界であったが、日本経済全体のデフレが進む中で、カットのみの新たなビジネス「10分1000円」をコンセプトにした低価格の理容店(2010年458店舗)の出現や、上記ホームカラーの台頭により既存の美容室の収益は奪われているといえる(表1参照)。
【表1】
【0012】
第四に、未熟な経営者による杜撰な美容室経営がある。経営に関する知識やスキルが習得されていない状態で独立して新規の美容室を開設するため、従業員の厚生年金への加入も行わないこととなり、また、美容室経営の基本である、売上管理、顧客管理、仕入管理が行われず、日々のルーティーンである「サロンワーク」に追われてしまうことになりがちである。
【0013】
第五に、ITのインフラ整備の遅れがある。インターネットだけでなく、未だにPOSシステムやクレジットカードリーダーのない美容室が8割を占めるといわれている。その結果、経営資源運用効率の低下を招き、さらには顧客管理がデータベース化されていないことから、顧客に対する営業活動、販促活動も場当たり的になり、徐々に収益を圧迫し最終的には従業員への労働環境の悪化を引き起こすこととなる。
【0014】
以上の5つの原因が作り出した美容室経営の負のスパイラルは従業員の労働環境をますます悪化させ、将来の美容業界を担う世代の離職率は増大し、美容室経営の課題の最優先項目の一つは人材確保である(表2参照)。
【表2】
従って、上記観点から、美容室経営の抜本的な改善の必要性が従来より指摘されていた。
【0015】
ところで、近年、クラウドコンピューティングが提唱されてきている。
クラウド・コンピューティングとは、ユーザーによる、ネットワーク、特にインターネットをベースとしたコンピュータの利用形態のことであり、ユーザーは、コンピュータ処理をネットワーク経由でシステムとして利用するものである。
【0016】
クラウドコンピューティングにも複数の形態があり、インターネットを介して各種サービスを提供する「パブリック・クラウド」、イントラネットなど企業内ネットワークを使ってサービスを提供する「プライベート・クラウド」、パブリックとプライベートの混合型「ハイブリッド・クラウド」に分類される。
【0017】
これら複数の形態のクラウドコンピューティングに共通するメリットは、多数のユーザーが共同利用することでコストを抑えられることである。クラウド事業者が提供するシステムを利用する場合には、ビジネス・スピードを速めることも可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記のように、従来より、美容業界の活性化、経営の近代化が望まれてきたが、本件特許出願人は、上記要請は、パブリッククラウド・コンピューティングを利用して美容業界における経営情報の統合化を図ることにより達成することができることの知見を持つに至り、本件特許出願に至ったものである
。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題達成のため、請求項1記載の発明にあっては、クラウドコンピュータにより美容業の経営情報の集中管理を行う経営情報統合システムであって、上記クラウドコンピュータは、
全美容業者の経営情報を個別にデータベース化し、上記
全美容業者の経営情報を管理する経営情報管理手段と、上記
全美容業者の営業情報を個別にデータベース化し、上記
全美容業者の個別の営業情報を管理する営業情報管理手段
と、上記経営情報管理手段及び上記営業情報管理手段により作成された個別の経営情報データベースに基づき特定の美容業者のためのマーケティング手法を策定するマーケティング手法策定手段を有し、上記経営情報管理手段は、
上記全美容業者の個別の経営情報を記録する
個別経営情報管理ファイルを備えると共に、上記営業情報管理手段は、
上記全美容業者の個別の営業情報を記録する
個別営業情報管理ファイルを備え、
上記個別営業情報管理ファイルには、顧客情報及び商圏情報が格納され、上記商圏情報は、サービスメニュー価格、従業員数、取り扱い品、サービスメニュー品目、取引業者に関するデータを有し、上記特定の美容業者が使用する商品を上記特定の美容業者へ供給する代理店が、保有する端末機により上記クラウドコンピュータへアクセスして、上記特定の
美容業者に属する個別経営情報管理ファイル及び当該特定の
美容業者に属する個別営業情報管理ファイルを使用する
と共に、上記マーケティング手法策定手段を使用し、上記特定の美容業者に対する経営支援を行なうことができることを特徴とする。
【0020】
従って、請求項1記載の発明にあっては
、特定の美容業者が使用する商品を上記特定の美容業者へ供給する代理店は、保有する端末機により上記クラウドコンピュータへアクセスして、上記特定の
美容業者に属する個別経営情報管理ファイル及び当該特定のサービス業者に属する個別営業情報管理ファイル
に格納されている当該特定の美容業者の顧客情報、及び、サービスメニュー価格、従業員数、取り扱い品、サービスメニュー品目、取引業者に関する商圏情報を使用する
と共に、上記マーケティング手法策定手段を使用し、経営情報の分析を行い、上記特定の美容業者に対する経営支援を行なうことができる。
【0021】
請求項2記載の発明にあっては、上記個別経営情報管理ファイルには、各
美容業者の売上情報、コスト情報及び属性情報が格納されていることを特徴とする。
従って、請求項2記載の発明にあっては、各
美容業者の売上情報、コスト情報及び属性情報を元にして経営情報の分析を行うことができる。
【0022】
請求項3記載の発明にあっては、上記売上情報は、当該
美容業が保有する顧客数、当該
美容業が提供するサービスメニュー単価、当該
美容業の店舗における顧客の回転数、失客数、物販品数に関するデータを有し、上記コスト情報は、仕入れ材料、リース及び家賃に関するデータを有し、上記属性情報は、創業年数、従業員構成及び取引業者に関するデータを有していることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明にあっては、上記顧客情報は、第一の顧客情報と第二の顧客情報とを有し、上記第一の顧客情報は、顧客の氏名、性別、年齢、住所、電話番号、来店履歴、顧客紹介履歴、購買金額に関するデータを有し、上記第二の顧客情報は、顧客の家族構成、所得、職業、当該
美容業に対する支出金額、その他の顧客分類情報に関するデータを有していることを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明にあっては、上記商圏情報は
、さらに、商圏人口統計、昼夜間人口比総数、世帯数、産業就業者数、生徒学生総数、病院数及び飲食料品小売業数、美容室件数に関するデータを有することを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明にあっては、上記経営情報管理手段及び営業情報管理手段は、上記個別経営情報管理ファイル及び個別営業情報管理ファイル内に格納されたデータを分析、加工、統合して、使用目的に対する情報の最適化を図るBI機能を備えていることを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の発明にあっては、上記マーケティング手法策定手段は、当該
美容業者に所属する上記個別経営情報管理ファイルに格納された個別経営情報、及び個別営業情報管理ファイルに格納されている個別顧客情報に基づき、3C分析を行う3C分析ステップと、3C分析に基づきSWOT分析を行うSWOT分析ステップと、上記SWOT分析ステップに基づきマーケティングに関するSTP分析を行うSTP分析ステップと、マーケティングに関する4P分析を行う4P分析ステップとを介して、経営改善につながる最適なマーケティング手法を検討することを特徴とする。
【0027】
上記「SWOT分析」とは、自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)という内部要因、市場や顧客獲得の機会(Opportunity)、脅威(Threat)という外部要因をマトリックスにして客観的に分析する、事業戦略立案のためのフレームワークであり、環境分析のスタートとなる分析ツールである。
【0028】
上記「3C分析」とは、企業の事業環境分析や企画立案において使用される手法であり、自社(Company)、競合(Competitor)、市場、顧客(Customer)の3つの観点から分析する手法である。マーケティング戦略の最初の最も重要なプロセスである。
【0029】
上記「STP分析」とは、マーケティングに関する分析手法であって、「S」(セグメンテーション:市場の細分化すること)、「T」(ターゲティング:自社の最も力を発揮できる市場にフォーカスすること)、「P」(ポジショニング:競合企業との直接の競争を避けること)の3つの観点から行う分析である。
【0030】
上記「4P分析」とは、マーケティングミックスともいい、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの戦略をいう。
【0031】
請求項8記載の発明にあっては、上記クラウドコンピュータはパブリッククラウドコンピュータであることを特徴とする。
パブリッククラウドコンピュータとは、インターネット上に展開され、不特定多数の一般ユーザーを対象に提供されているクラウドコンピュータである。企業が自社内でクラウドコンピューティングシステムを構築し、企業内の部門やグループ会社等に対してクラウドサービスを提供するプライベートクラウドに対する概念である。
【発明の効果】
【0032】
請求項1〜
8記載の発明に係る経営情報統合システムにあっては
、特定の美容業者が使用する商品を上記特定の美容業者へ供給する代理店は、保有する端末機により上記クラウドコンピュータへアクセスして、上記特定の
美容業者に属する個別経営情報管理ファイル及び当該特定の
美容業者に属する個別営業情報管理ファイル
に格納されている当該特定の美容業者の顧客情報、及び、サービスメニュー価格、従業員数、取り扱い品、サービスメニュー品目、取引業者に関する商圏情報を使用する
と共に、上記マーケティング手法策定手段を使用し、経営情報の分析を行い、上記特定の美容業者に対する経営支援を行なうことができる。
【0033】
美容業界において、特定の
美容業者が使用する商品を上記
特定の美容業者へ供給する
代理店は、美容室が使用する商品を製造する商品製造メーカーと、当該商品のエンドユーザーである美容室との間に位置し、美容業界の商品流通の要であるが、現状では、単なる運送業者としてしか機能していない。
【0034】
しかしながら、本発明によって、
代理店の販売員は、経営コンサルティングに関する所定のトレーニングを受けることにより、当該
代理店が商品を納入している得意先の
美容業者に対しては、クラウドコンピュータにより個別経営情報及び個別営業情報に
代理店がアクセスして、当該
美容業者の個別経営情報及び個別営業情報を利用して、当該
美容業者に対する
代理店側からの経営コンサルティングとしての経営支援を行うことができることから、単なる代理店ではなく、
美容業者への経営支援を行う経営コンサルティング、ITのサポートを含めたソリューションサービス提供者として機能することができる。
【0035】
従って、請求項1記載の発明にあっては
、各美容室へ商品の販売を行っていた
代理店は、所定の経営コンサルティングに関するトレーニングを受けることを条件として、クラウドコンピュータにより各特定の美容室の経営情報、顧客情報、
サービスメニュー価格、従業員数、取り扱い品、サービスメニュー品目、取引業者に関する商圏情報へアクセスできることから、代理店そのものも従来に比して、業界において非常に重要な役割を担うこととなり、美容業界全体の活性化を図ることができる。
【0036】
また、
代理店は、
美容業者の顧客の嗜好、美容室のニーズ等を把握することができることから、そのような情報を商品の製造会社へフィードバックすることにより、美容室が必要とし、顧客が望んでいる商品を製造するように要請することもできる。
【0037】
その結果、製造会社の商品の売り上げ効率を向上させることができ、サービス業者である美容師の需要と製造会社の供給とを効率よく対応させることができるため、美容業界そのものの製造、流通効率を向上させることができ、最終的には美容業界の体質改善、活性化を図ることができる。
【0038】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の効果に加えて、上記経営情報管理ファイルには、各
美容業者の売上情報、コスト情報及び属性情報が格納されていることを特徴とする。従って、請求項2記載の発明にあっては、各
美容業者の売上情報、コスト情報及び属性情報を元にして、経営の基幹面での情報の詳細な分析を行うことができる。
【0039】
請求項6記載の発明にあっては、上記経営情報管理手段及び営業情報管理手段は、上記個別経営情報管理ファイル及び個別営業情報管理ファイル内に格納されたデータを分析、加工、統合して、使用目的に対する情報の最適化を図るBI機能を備え、上記各種顧客情報、各種商圏情報が統合されていることから、これらの情報を正確に分析し、効果的なマーケティングを容易に行うことが可能となる。
【0040】
請求項8記載の発明にあっては、上記クラウドコンピュータはパブリッククラウドコンピュータであることから、多くのサービス業者、例えば、美容師、理容師が、ソフトウェアを買わなくても、クラウドコンピュータにアクセスすることで必要なサービスを必要な時にだけ利用できる。また、システム導入に要する費用や運用の手間がかからない。
【0041】
さらに、クラウドコンピュータの場合には、アクセスできる端末機の種類を選ばない。例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、スマートフォン、携帯電話、電子書籍端末、デジカメ、オーディオ機器等によってもクラウドコンピュータにアクセスすることができる。
【0042】
その結果、端末機の機種による制約、端末機を設置する場所の制約がなく、サービス業者、販売業者等は多忙な場合であっても自由にコンピューティングを行い、本発明に係る経営情報統合システムを利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づき、本発明を美容業界に適用した場合を例に詳細に説明する。
図1に示すように、第一の実施の形態に係る経営情報統合システム10は、クラウドコンピュータによりサービス業者である美容業(各美容室)の経営情報の統合管理を行うように構成されている。
【0045】
上記クラウドコンピュータ11は、いわゆるパブリッククラウドコンピュータであって、インターネット上に展開され、不特定多数の一般ユーザーを対象に提供されているクラウドコンピュータである。
【0046】
図1〜
図3に示すように、本実施の形態に係る経営情報統合システム10は、美容業に属する複数のサービス業者、即ち、美容師が経営する美容室12の経営情報を個別にデータベース化し、美容室12の経営情報を個別に管理する経営情報管理手段13と、上記美容室12の営業情報を個別にデータベース化し、上記美容室12の営業情報を管理する営業情報管理手段14と、上記経営情報管理手段13により作成された個別の経営情報データベースに基づき各美容室12のためのマーケティング手法を策定するマーケティング手法策定手段15とを備えている。
【0047】
上記経営情報管理手段13は、各美容室12の個別の経営情報を記録する経営情報管理ファイル16を備えると共に、上記営業情報管理手段14は、各美容室12の個別の営業情報を記録する営業情報管理ファイル17を備え、各美容室12が、端末機であるパソコン18、携帯電話19a、スマートフォン19bにより上記クラウドコンピュータ11へアクセスして、各美容室12に属する個別経営情報管理ファイル35及び美容室12に属する個別営業情報管理ファイル36を使用することができると共に、上記マーケティング手法策定手段15を使用することができるように構成されている。
【0048】
図2に示すように、上記個別経営情報管理ファイル35には、各美容室12の個々の売上情報21、コスト情報22及び属性情報23が個別に格納されている。
上記売上情報21は、当該美容室12の顧客数、サービス単価、顧客回転数、失客数、物販品数の各データにより構成されている。上記コスト情報22は、仕入材料、リース、家賃の各データにより構成されている。属性情報23は、当該美容室の創業年数、従業員構成、取引業者の各データにより構成されている。
【0049】
図3に示すように、個別営業情報管理ファイル36には、各美容室の第一の顧客情報24、第二の顧客情報25、商圏情報26が格納されている。
第一の顧客情報24は、顧客の氏名、性別、年齢、住所、電話番号、来客履歴、顧客紹介履歴、購買金額の各データにより構成されている。第二の顧客情報25は、顧客の家族構成、所得、職業、美容に対する支出金額、顧客属性に関するデータにより構成されている。ここで「顧客属性」とは、12種類によりセグメントされた顧客分類をいう。例えば、一人暮らしの大学生、子供のいない世帯等の分類である。
【0050】
商圏情報26は、商圏人口統計、昼夜間人口比総数、世帯数、産業就業者数、生徒学生数、病院数、飲食良品小売業数、美容室件数、メニュー価格、従業員数、取り扱い品、メニュー品目、所感、取引業者に関するデータにより構成されている。
【0051】
また、上記経営情報管理手段13及び営業情報管理手段14は、上記個別経営情報管理ファイル16及び個別営業情報管理ファイル17内に格納されたデータを分析、加工、統合して、使用目的に対する情報の最適化を図るBI機能を備えている。
「BI機能」とは、データを組織的かつ系統的に蓄積、分類、検索、分析、加工して、ビジネス上の各種の意思決定に有用な知識や洞察を生み出す機能のことであり、意志決定支援システム、データウェアハウス、OLAP(online anatical processing)、クエリツール、レポーティングツール、データマイニングツールが該当する。
本実施の形態にあっては、経営情報管理手段13及び営業情報管理手段14には、上記機能を備えたソフトウェアがインストールされている。
【0052】
図4に示すように、本実施の形態に係る経営情報統合システム10に係る「経営情報管理手段」13及び「営業情報管理手段」14に備えられたBI機能27は、「市場・顧客」28、「競合」29、「自社(経営数値)」30の3つの観点から、上記個別経営情報管理ファイル16及び個別営業情報管理ファイル17に格納された各データ21、22、23、24、25、26の分類、分析、加工を行うように構成されている。
【0053】
「市場・顧客」28の観点の詳細は、購入頻度、年間来店頻度、年間購入金額、購入紹介率、顧客属性、マーケット規模である。「競合」29の観点の詳細は市場占有率、市場金額率、市場客数率、競合点数である。ここで「市場金額率」とは、国勢調査を基に、商圏人口から美容室を利用する金額を算出した数字である。「市場客数率」とは、同様に国勢調査を基に、商圏人口からび美容室を利用する金額を算出した数字である。
【0054】
「自社(経営数値)」30の観点の詳細は、顧客ABC分析、メニュー分析、従業員分析、稼働率分析、販売促進分析、仕入コスト分析、収益分析、売上分析、顧客満足度分析、安全性、収益性、効率性、成長性、総合力である。
【0055】
ここで「自社(経営数値)」とは、当該美容室の収益に関する各項目であり、例えば、集客人数や客単価である。また、「顧客ABC分析」とは、当該美容室にとっての顧客の重要度による分析である。「安全性」とは、自己資本比率、流動比率、当座比率、固定比率、固定長期適合率、手元流動性、インタレスト・ガバレッジ・レシオ等が該当する。
【0056】
「収益性」とは、売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率等が該当する。「効率性」とは、総資産回転率、売上債権回転率、棚卸資産回転率、仕入回転率である。「成長性」とは、売上高成長率、総資産成長率である。「総合力」とは、総資産利益率、自己資本利益率である。
【0057】
また、マーケティング手法策定手段15は、上記経営情報管理手段13及び営業情報管理手段14により作成された各美容室毎の経営情報データベースに基づき各美容室12のためのマーケティング手法を策定するように構成されている。
図5に示すように、マーケティング手法策定手段15は、当該サービス業者に所属する上記個別経営情報管理ファイル35に格納された個別経営情報、及び個別営業情報管理ファイル36に格納されている個別営業情報により構成され、BI機能により最適化された経営・営業情報データベース39に基づき3C分析を行う3C分析ステップ31と、3C分析が行われたデータに基づきSWOT分析を行うSWOT分析ステップ32と、SWOT分析が行われたデータに基づきマーケティングに関するSTP分析を行うSTP分析ステップ33と、STP分析が行われたデータに基づきマーケティングに関する4P分析を行う4P分析ステップ34を行い、経営改善につながる最適なマーケティング手法を検討するものである。
【0058】
マーケティングの手法策定にあたっては、まず、「3C分析ステップ」31では、当該美容室(Company)、当該美容室の競合者(Competitor)、美容業市場、顧客(Customer)の3つの観点から、当該美容室の事業全体を分析する。
【0059】
次に、「SWOT分析ステップ」32において、当該美容室の強み(Strength)、弱み(Weakness)という内部要因、市場や顧客獲得の機会(Opportunity)、脅威(Threat)という外部要因をマトリックスにして客観的に当該美容室の評価を行う。
【0060】
また、上記「STP分析ステップ」33では、当該美容室のマーケティングを、「S」(セグメンテーション:市場を細分化する)、「T」(ターゲティング:当該美容室の最も力を発揮できる市場にフォーカスする)、「P」(ポジショニング:競合美容室との直接の競争を避ける)の3つの観点から考察する。
【0061】
そして、「4P分析ステップ」34では、各美容室の製品(Product)、即ち、提供される美容サービス、当該美容サービスの価格(Price)、流通(Place)、そのようにしてプロモーションするか(Promotion)の4つの観点からの戦略を立てる。このような各分析のステップを経て、マーケティング企画書37を作成する。このマーケティング企画書37は、A4サイズ1枚にまとめられて作成されるように構成されている。
【0062】
以下、本実施の形態に係る経営情報統合システム10の作用
について説明する。
(1)美容室
図1〜5に示すように、美容業界の各美容室12、12・・・の美容師は、美容室12に設置した端末機としてのパソコン18、携帯電話19a、スマートフォン19b等を使用してクラウドコンピュータ11にインストールされている経営情報管理手段13に、個別の美容室に付与されたユーザーID及びパスワードによるセキュリティチェックを介してアクセスすることにより、個別経営情報管理ファイル35に格納された当該美容室12の売上情報21、コスト情報22又は属性情報23の、美容室経営の基幹となる各種情報を蓄積し、保存し、かつ適宜利用することができる。
【0063】
また、上記同様にして、営業情報管理手段14にアクセスすることにより、経営情報管理ファイル14の個別営業情報管理ファイル36に格納された当該美容室の顧客情報24、25、商圏情報26を蓄積し、保存し、かつ適宜利用することができる。
【0064】
さらに、各美容室12はマーケティング手法策定手段15に同様にしてアクセスすることにより、BI機能を備えた経営情報管理手段13及び営業情報管理手段14により作成された経営・営業情報データベース39に基づき、3C分析ステップ31、SWOT分析ステップ32、STP分析ステップ33及び4P分析ステップ34を介することにより、当該美容室12としてなすべきマーケティング手法を、マーケティング企画書37としてアウトプットすることができる。
【0065】
その結果、各美容室12は、上記マーケティング企画書37に基づき、いわゆる営業を含む一切のマーケティング活動を行うことができる。
なお、本実施の形態にあっては、クラウドコンピュータ11がマーケティング手法策定手段15を備え、自動的に各種手法によりマーケティングを行い、マーケティング企画書37を作成する場合を例に説明したが、本実施の形態に限定されず、プロの経営コンサルタント又は、例えば、下記のように、美容室12へ商品を供給する販売者(代理店)38の販売員が、上記3C分析、SWOT分析、STP分析及び4P分析を使用した、美容室12に関する経営コンサルティングについての所定のトレーニングを受け、所定の登録制度下において、経営コンサルタントとしての能力が客観的に認められて登録された場合には、販売員がマーケティング企画書37を作成し、マーケティング企画書37に基づき美容室12に対するコンサルティングを行ってもよい。
【0066】
(2)販売業者(代理店)
各販売業者(代理店)38,38・・・は、上記のように、所属する販売員が、上記3C分析、SWOT分析、STP分析及び4P分析を使用した美容室に関する経営コンサルティングについての所定のトレーニングを受け、経営コンサルティングに関する講師として登録されている場合には、代理店38の端末機20、又は携帯電話19a、スマートフォン19b等を使用してクラウドコンピュータ11にインストールされている経営情報管理手段13及び営業情報管理手段14に、当該美容室12との間でコンサルタント契約が交わされていることを条件に、当該美容室に付与されたユーザーID、パスワードによるセキュリティチェックを介してアクセスすることができる。
その結果、個別経営情報管理ファイル35に格納された当該美容室12の売上情報21、コスト情報22又は属性情報23の、美容室経営の基幹となる各種情報を利用することができる。
【0067】
また、当該販売業者(代理店)38は、商品を納入している美容室12の経営情報及び営業情報にアクセスすることができ、第一の顧客情報24、第二の顧客情報25及び商圏情報26の適宜利用することができる。
【0068】
この場合、クラウドコンピュータ11の経営情報管理手段13は個別経営情報管理ファイル35に格納された当該美容室の経営情報をBI機能を前提にしてデータベース化すると共に、営業情報管理手段14は個別営業情報管理ファイル36に格納された当該美容室の経営情報をBI機能を前提にしてデータベース化し、
図6に示すように、経営・営業情報データベース39を基にして、マーケティング手法の策定を行うことができる。
【0069】
即ち、上記経営・営業情報データベース39に対して、3C分析ステップ31において3C分析を行い、当該美容室(Company)、当該美容室の競合者(Competitor)、美容業市場、顧客(Customer)の3つの観点から、当該美容室の事業全体を分析し、「サロンカルテ・商圏カルテ」56を作成する。
【0070】
次に、SWOT分析ステップ32においては、上記3C分析を前提に、当該美容室の強み(Strength)、弱み(Weakness)という内部要因、市場や顧客獲得の機会(Opportunity)、脅威(Threat)という外部要因をマトリックスにして客観的に当該美容室の評価を行い、「SWOTシート」57を作成する。その後、上記3C分析結果及びSWOT分析結果が記載された「論理的思考シート1」58aを作成する。
【0071】
次に、「STP分析ステップ」33では、3C分析及びSWOT分析を前提に、当該美容室のマーケティングを、「S」(セグメンテーション:市場を細分化する)、「T」(ターゲティング:当該美容室の最も力を発揮できる市場にフォーカスする)、「P」(ポジショニング:競合美容室との直接の競争を避ける)の3つの観点から検討する。
【0072】
さらに、「4P分析ステップ」34では、3C分析、SWOT分析及びSTP分析を前提に、各美容室の製品(Product)、即ち、提供される美容サービス、当該美容サービスの価格(Price)、流通(Place)、そのようにしてプロモーションするか(Promotion)の4つの観点からの戦略を立て、上記「論理的思考シート1」58aに加えて、「論理的思考シート2」58bを作成する。
最終的にこのような各分析のステップを経て、マーケティング企画書37を作成する。このマーケティング企画書37は、A4サイズ1枚にまとめられて作成される。
【0073】
上記販売業者(代理店)38の販売員は、このマーケティング企画書37を以て美容室12に対して経営コンサルティングを行うことにより、マーケティングの成果は美容室12の実際の経営に反映される。さらに、その経営実績の結果は、再度、経営情報管理ファイル16の個別経営情報管理ファイル35及び営業情報管理ファイル17内の個別営業情報管理ファイル36に入力、蓄積されることにより次回のコンサルティングにフィードバックされる。
【0074】
また、販売業者(代理店)38に在籍する販売員が上記のような経営コンサルティングを顧客である美容室12に対して行うためには、上記3C分析から4P分析に至るマーケティング手法に関する知識を身につける必要がある。
【0075】
そのために、
図7に示すように、カリキュラム60が組まれており、このトレーニングは、「マーケティング科目」61と「思考力科目」62とからなる。
「マーケティング科目」61は、各1時間づつの「3C分析」、「SWOT分析」、「STP分析」、「4P分析」の科目からなり、「思考力科目」62は、同様に各1時間づつの「問題解決(LT)」、「コミュニケーション(PS)」、「企画書の説明」からなっている。
【0076】
本実施の形態に係る経営情報統合システムにあっては、このようなトレーニングを受けた販売員を登録する制度が設けられており、各販売員は登録講師として美容業界において美容室の経営者である美容師に上記手法に基づく経営コンサルティングを行うことが容認される。
【0077】
その結果、本実施の形態にあっては、販売業者(代理店)38は、販売員による美容室経営者に向けての経営コンサルティングを通じて、クラウドコンピュータ11のIT関連のサポート業務を含め、美容業界全体の改革、活性化を担う大きな役割をもつこととなる
。
【0078】
図8に示すように、第二の実施の形態に係る経営情報統合システム40は、異業種の複数のサービス業の間における経営情報の統合システムに係る。
【0079】
従来は、個別のサービス業界は、顧客の関連性があった場合であっても、夫々、マーケットとしては分断されており、業界相互間の、顧客情報を含む各種営業情報の共有化は行われていなかった。
しかしながら、相互に関連性のある業種、例えば、美容業、エステサロン、ネイルサロン等の相互間では、顧客情報を含む各種営業情報を共有化することにより、相互に共通の営業情報を利用してマーケティングを行うことにより、当該サービス業界にとっての新規顧客を獲得することや、同一の顧客を夫々に業種に取り込むことは可能である。
【0080】
また、上記事情はサービス業に限定されず、小売業、製造業との間でも営業情報を共有化することによる業界相互で顧客を獲得することは可能である。本実施の形態に係る経営情報統合システム40は、パブリッククラウドコンピュータを利用することによりこれを可能にすることができる。
【0081】
本実施の形態にあっては、業種の異なる複数のサービス業者41、42、43、44、45がクラウドコンピュータ50を介して相互に接続されている。本実施の形態にあっては、いわゆるパブリッククラウドコンピュータであって、インターネット上に展開され、不特定多数の一般ユーザーを対象に提供されているクラウドコンピュータである。
【0082】
また、本実施の形態にあっては、サービス業者は、例えば、上記サービス業者41は美容室、サービス業者42はホテル、サービス業者43はネイルサロン、サービス業者44はエステサロン、サービス業者45はスポーツ施設である。
【0083】
上記クラウドコンピュータ50は、上記各サービス業41、42、43、44、45における全個別サービス業者の営業情報を各サービス業毎にデータベース化し、上記各サービス業の全営業情報を管理する全営業情報管理手段46と、上記全営業情報管理手段46により作成された各サービス業の全営業情報データベースに基づき、業種の異なる各サービス業者ためのマーケティング手法を策定する異業種マーケティング手法策定手段47とを備えている。
【0084】
図9に示すように、上記営業情報管理手段46は、業種の異なる全サービス業者の営業情報を記録する全営業情報管理ファイル48を備え、上記各サービス業者は、上記全営業情報管理手段46及び上記異業種マーケティング策定手段47に各種端末機51、51a、51bによりアクセスして、上記全営業情報管理ファイル48を使用することができると共に、上記異業種マーケティング手法策定手段47を使用することができるように構成されている。なお、上記端末機には、パソコン51及び、携帯電話51a、スマートフォン51b等も含まれる。
【0085】
上記「全営業情報管理ファイル」48内には、各業界ごとに個別業界営業情報管理ファイル49が設けられており、個別業界営業情報管理ファイル49には、顧客情報及び商圏情報が格納されている。
上記顧客情報は、第一の顧客情報と第二の顧客情報とを有し、上記第一の顧客情報52は、顧客の氏名、性別、年齢、住所、電話番号、来店履歴、顧客紹介履歴、購買金額に関するデータを有し、上記第二の顧客情報52は、顧客の家族構成、所得、職業、当該サービス業に対する支出金額、顧客属性に関するデータを有している。
【0086】
また、上記商圏情報54は、商圏人口統計、昼夜間人口比総数、世帯数、産業就業者数、生徒学生総数、病院数及び飲食料品小売業数、当該サービス業の店舗数、メニュー価格、従業員数、取り扱い品、メニュー品目、所感、取引業者に関するデータを有している。
【0087】
上記全営業情報管理手段46は、上記全営業情報管理ファイル48内に設けられた個別業界営業情報管理ファイル49に格納されたデータを分析、加工、統合して、使用目的に対する情報の最適化を図るBI機能を備えている。
【0088】
図10に示すように、上記マーケティング手法策定手段47は、上記BI機能により最適化された営業情報データベース59に基づき、当該サービス業者に所属する上記個別経営情報管理ファイル49に格納された個別営業情報管理ファイル49に格納されている顧客情報52、53及び商圏情報54に関し、3C分析を行う3C分析ステップ63と、3C分析に基づきSWOT分析を行うSWOT分析ステップ64と、上記SWOT分析ステップに基づきSTP分析を行うSTP分析ステップ65と、STP分析に基づき4P分析を行う4P分析ステップ66とを行い、マーケティング企画書67をアウトプットし、マーケティング企画書67により、異業種の顧客を対象として経営改善につながる最適なマーケティング手法を実行できるように構成されている。
【0089】
以下、本実施の形態に係る経営情報統合システム40の作用について説明する。
例えば、美容室(美容業者)41が、商圏を拡大するためにネイルサロン43、エステサロン44の顧客を獲得したい、と考えた場合には、クラウドコンピュータ50を利用して、異業種マーケティング手法策定手段47を起動させる。
【0090】
異業種マーケティング手法策定手段47は、全営業情報管理手段46を介して全営業情報管理ファイル48にアクセスして、美容室(美容業者)41、ネイルサロン43及びエステサロン44の顧客情報52、53及び商圏情報54に関する営業情報データベース59に基づき、
図10に示す、3C分析ステップ63、SWOT分析ステップ64、STP分析ステップ65、4P分析ステップ66を介して分析を行い、マーケティング企画書67を作成する。
【0091】
従って、上記マーケティング企画書67は、美容室(美容業者)41の顧客情報52、53を前提として、ネイルサロン43及びエステサロン44の顧客情報52、53及び商圏情報54を対象としたマーケティング企画となっていることから、美容室(美容業者)41は、上記マーケティング企画書67を利用してネイルサロン43及びエステサロン44の顧客に対して営業を含むマーケティングを行うことができる。
その結果、美容室(美容業者)41は、ネイルサロン43及びエステサロン44の顧客群に対してマーケティングを行うことが可能となり、美容室(美容業者)41の顧客として成立する可能性のある顧客を活用、利用することができることから、顧客に対して質の高いサービスを提供することができると共に、商圏を大きく拡大し、商取引の拡大を図ることができる。
【0092】
本実施の形態にあっては、実際のマーケティング手法の策定に際して、クラウドコンピュータ50の異業種マーケティング手法策定手段47により自動的にマーケティング手法策定を行う場合を例に説明したが、本実施の形態に限定されず、上記第一の実施の形態において
図6に示すように、経営コンサルタントによるマーケティング手法の策定を行うこともできる。
【0093】
また、
図8に示すように、例えば、美容室(美容業者)41との関係では「美と健康」というテーマではスポーツ施設45との関での顧客の共通性、また、「リラクゼーション」というテーマではホテル42との間での顧客の共通性の可能性があり、上記ネイルサロン43及びエステサロン44との間においても同様のマーケティングが成立する可能性がある。
また、このような関係は、
図8に示す各サービス業相互間でマトリックス状に同様の経営情報の相互利用が可能となる。さらに、各サービス業に関連する小売業、製造業との間においても本発明に係る経営情報統合システムを使用することにより相互に経営情報の相互利用、活用によるマーケティングが可能となる。
さらに、各サービス業者はクラウドコンピュータを利用して、コスト負担を最小限に抑えて、容易かつ迅速に経営情報の相互利用を図ることができる。