特許第5957242号(P5957242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957242
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】超音波流量計簡易診断装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 25/00 20060101AFI20160714BHJP
   G01F 1/66 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   G01F25/00 Q
   G01F1/66 101
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-45740(P2012-45740)
(22)【出願日】2012年3月1日
(65)【公開番号】特開2013-181826(P2013-181826A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−125825(JP,U)
【文献】 特開2003−270014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 25/00
G01F 1/66
G01S 15/00−15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象の超音波流量計の通常モードでのサンプリング周期を実用サンプリング周期とし、診断モードで利用される予め定められた長周期のサンプリング周期を基準サンプリング周期とし、正常時における前記実用サンプリング周期での計測特性と前記基準サンプリング周期での計測特性の許容差を記憶する計測特性許容差記憶手段と、
前記診断モードの実施時における前記実用サンプリング周期での計測特性と前記基準サンプリング周期での計測特性を取得する計測特性取得手段と、
前記取得された実用サンプリング周期での計測特性と基準サンプリング周期での計測特性との差と前記記憶されている許容差とに基づいて、前記診断モードの実施時における実用サンプリング周期での計測特性に異変があるか否かを判定する判定手段とを備え、
前記診断モードは、
前記診断対象の超音波流量計が設置された配管内の流体の流量を零、あるいは一定として実施される
ことを特徴とする超音波流量計簡易診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載された超音波流量計簡易診断装置において、
前記判定手段によって前記診断モードの実施時における実用サンプリング周期での計測特性に異変があると判定された場合、新たなサンプリング周期を求めて前記診断対象の超音波流量計のサンプリング周期を更新するサンプリング周期更新手段と
を備える超音波流量計簡易診断装置。
【請求項3】
請求項1に記載された超音波流量計簡易診断装置において、
前記計測特性は、超音波の伝播時間差である
ことを特徴とする超音波流量計簡易診断装置。
【請求項4】
請求項1に記載された超音波流量計簡易診断装置において、
前記計測特性は、計測流量である
ことを特徴とする超音波流量計簡易診断装置。
【請求項5】
請求項1に記載された超音波流量計簡易診断装置において、
前記計測特性は、伝播時間逆数差である
ことを特徴とする超音波流量計簡易診断装置。
【請求項6】
請求項1に記載された超音波流量計簡易診断装置において、
前記計測特性は、計測流速である
ことを特徴とする超音波流量計簡易診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波流量計の計測の信頼性を簡易的に診断する超音波流量計簡易診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料用ガスの流量を計測するガスメータなどの資源使用量計測装置として超音波流量計が利用されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、建物内の流体の流れを計測するために、計測精度や価格の適正さから、超音波流量計が使用されている。
【0003】
この超音波流量計では、図5にその概略を示すように、測定対象の流体が流れる測定管1の上流側の外周面に上流側超音波送受信器2を配置し、下流側の外周面に下流側超音波送受信器3を配置し、上流側超音波送受信器2と下流側超音波送受信器3との間の超音波の伝播時間の差Δtに基づいて流体の流速Vを測定し、この測定した流速Vと測定管1の断面積SとからQ=V×Sとして流体の流量を求める。
【0004】
この流量Qを求める際の演算式を下記(1)〜(4)式として示す。
t1=L/(c+V・cosθ) ・・・・(1)
t2=L/(c−V・cosθ) ・・・・(2)
V=c2・(t2−t1)/(2・L・cosθ) ・・・・(3)
Q=S・V ・・・・(4)
【0005】
但し、上記(1)〜(4)式において、t1は上流側超音波送受信器2から送信された超音波が下流側超音波送受信器3で受信されるのに要した時間、t2は下流側超音波送受信器3から送信された超音波が上流側超音波送受信器2で受信されるのに要した時間、cは超音波の流体中における伝播速度、Lは上流側超音波送受信器2と下流側超音波送受信器3との相互間の距離(超音波伝播経路の距離)、θは測定管1の管軸に対する超音波伝播経路の傾きであり、「t2−t1」が伝播時間差Δtとして計測される。
【0006】
最近では、改正省エネ法の影響などによるエネルギー管理の実質的義務化に伴い、空調の冷温水流量も資源使用量計測対象として扱われるようになってきており、超音波流量計が建物の空調配管に利用されている。
【0007】
図6は超音波流量計を建物の空調配管に利用した例である。同図において、4−1,4−2は冷凍機、5−1,5−2は1次ポンプ、6−1,6−2は2次ポンプ、7−1,7−2は往ヘッダ、8は往水管路、9は空調機、10は還水管路、11−1,11−2は還ヘッダ、12は往ヘッダ7−1,7−2間に設けられたバイパス弁である。
【0008】
このシステムにおいて、冷凍機4−1,4−2により冷却された冷水は、1次ポンプ5−1,5−2により往ヘッダ7−1へ送られ、2次ポンプ6−1,6−2によりさらに往ヘッダ7−2へ圧送され、往水管路8を介して空調機9に送られる。そして、空調機9において熱交換され、還水管路10を介して還ヘッダ11−1,11−2に戻され、再び冷凍機4−1,4−2で冷却される。空調機9は、熱交換器9−1と送風ファン9−2とを備えており、送風ファン9−2によって取り込まれた空気が熱交換器9−1で冷却され、給気とされる。
【0009】
このようなシステムでは、例えば、還水管路10に超音波流量計13が設置される。具体的には、図7に示すように、熱交換器9−1の前後に温度センサ14−1,14−2を設け、この温度センサ14−1,14−2により検出される熱交換器9−1への冷水の入口温度T1と出口温度T2と超音波流量計12で計測される冷水の流量Qを熱量計14へ送るようにし、冷水の入口温度T1と出口温度T2と流量Qとから負荷熱量を計測するようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−96436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
超音波流量計は精密な計測装置であり、超音波流量計のメーカから出荷される前には、十分な校正や評価が行われる。しかし、建物の空調配管を想定すると、出荷前の試験環境とは異なり、あるいは半導体や医療品の製造装置のような精密装置環境とは異なり、建物の空調配管の音波環境が好条件であるとは限らない。また建物では、運用上エネルギー管理は行われるにしても、機器・装置としての計測状態を維持するための管理までもが、常時行われるわけではない。
【0012】
したがって、空調配管の改修などにより音波環境(例えば、残響状態)が変化し、計測精度に悪影響が出ても、放置されることがある。一例として、図8(a)に改修前の音波環境(残響状態)を示し、図8(b)に改修後の音波環境(残響状態)を示す。図8(a)の例では、超音波流量計13が設けられた還水管路10の出口路が長く、残響は十分に減衰している。これに対し、図8(b)の例では、超音波流量計13が設けられた還水管路10の出口路が曲げられており、残響の減衰が少ない。図8(b)のような改修が行われると、音波環境(残響状態)が大きく変化し、計測精度に悪影響が出る。
【0013】
また、定期的な空調メンテナンス時に計測状態自体を検査する場合においても、超音波流量計が空調設備の部品として利用されるのであれば、診断しやすい場所に設置されているとは限らないので、検査作業も手間がかかる。
【0014】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、音波環境の特に残響状態に起因する超音波流量計の計測精度への悪影響を、超音波流量計を計測ポイントに設置したままの状態で、簡易的に診断することが可能な超音波流量計簡易診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために本発明は、診断対象の超音波流量計の通常モードでのサンプリング周期を実用サンプリング周期とし、診断モードで利用される予め定められた長周期のサンプリング周期を基準サンプリング周期とし、正常時における実用サンプリング周期での計測特性と基準サンプリング周期での計測特性の許容差を記憶する計測特性許容差記憶手段と、診断モードの実施時における実用サンプリング周期での計測特性と基準サンプリング周期での計測特性を取得する計測特性取得手段と、取得された実用サンプリング周期での計測特性と基準サンプリング周期での計測特性との差と記憶されている許容差とに基づいて、診断モードの実施時における実用サンプリング周期での計測特性に異変があるか否かを判定する判定手段とを備え、診断モードは、診断対象の超音波流量計が設置された配管内の流体の流量を零、あるいは一定として実施されることを特徴とする。
【0016】
超音波流量計は一定周期で超音波を発する。超音波を一定周期で発する以上、残響が十分に減衰するのに必要な時間に対して計測のサンプリング周期が短いと、計測の信頼性に影響が現れる。例えば空調設備の部品として超音波流量計を利用する場合、流路(配管内)の条件により残響状態が不適合になることも予想される。そこで、残響は十分に減衰させればよいことに発明者は着眼した。そして、サンプリング周期を長くして計測特性を確認することのみで、残響の影響を簡易的に診断できることに想到した。
【0017】
本発明では、診断対象の超音波流量計の通常モードでのサンプリング周期を実用サンプリング周期T0とし、診断モードで利用される予め定められた長周期のサンプリング周期を基準サンプリング周期T1とし、正常時(例えば、初期検収状態)における実用サンプリング周期での計測特性と基準サンプリング周期での計測特性の許容差を記憶しておく。
【0018】
本発明において、基準サンプリング周期T1は、残響が十分に減衰するのに必要な時間を想定し、この時間よりも長い時間として定めるようにすることが望まれる。また、計測特性としては、その一つの例として、超音波の伝播時間差Δtが考えられる。この場合、正常時における実用サンプリング周期での伝播時間差Δt(T0)と正常時における基準サンプリング周期での伝播時間差Δt(T1)との差に対して許容差を定め、この許容差を記憶しておく。
【0019】
そして、診断対象の超音波流量計が設置された配管内の流体の流量を零あるいは一定としての診断モードの実施時(初期設置時、配管改修時など)、実用サンプリング周期での計測特性と基準サンプリング周期での計測特性を取得し、この取得した実用サンプリング周期での計測特性と基準サンプリング周期での計測特性との差と記憶されている許容差とに基づいて、診断モードの実施時における実用サンプリング周期での計測特性に異変があるか否かを判定する。例えば、計測特性を伝播時間差Δtとした場合、|Δt(T1)−Δt(T0)|≧Δt_thであれば、診断モードの実施時における実用サンプリング周期での計測特性に異変があると判定する。
【0020】
本発明において、診断モードの実施時における実用サンプリング周期での計測特性に異変があると判定された場合、新たなサンプリング周期を求めて診断対象の超音波流量計のサンプリング周期を更新するようにしてもよい。また、本発明において、計測特性は、伝播時間差以外にも、計測流量、伝播時間逆数差、計測流速など種々考えられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、診断対象の超音波流量計が設置された配管内の流体の流量を零あるいは一定としての診断モードの実施時における実用サンプリング周期での計測特性と基準サンプリング周期での計測特性を取得し、この取得した実用サンプリング周期での計測特性と基準サンプリング周期での計測特性との差と許容差とに基づいて、診断モードの実施時における実用サンプリング周期での計測特性に異変があるか否かを判定するようにしたので、音波環境の特に残響状態に起因する超音波流量計の計測精度への悪影響を、超音波流量計を計測ポイントに設置したままの状態で、簡易的に診断することが可能となる。なお、サンプリング周期の変更と計測特性の取得のみで診断を実行できるので、リモートメンテナンス機能として実現することにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る超音波流量計簡易診断装置の一実施の形態(実施の形態1)を示すブロック図である。
図2】実施の形態1の構成に対してサンプリング周期更新部をさらに設けた例(実施の形態2)を示す図である。
図3】計測特性を計測流量とした例(実施の形態3)を示す図である。
図4】実施の形態3の構成に対してサンプリング周期更新部をさらに設けた例(実施の形態4)を示す図である。
図5】超音波流量計の概略を示す図である。
図6】超音波流量計を建物の空調配管に利用した例を示す図である。
図7】超音波流量計を還水管路に配置し熱交換器の前後に温度センサを設けて負荷熱量を計測するようにした例を示す図である。
図8】改修前の音波環境(残響状態)および改修後の音波環境(残響状態)を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係る超音波流量計簡易診断装置の一実施の形態(実施の形態1)を示すブロック図である。この超音波流量計簡易診断装置100(100A)は、サンプリング周期切換制御部101と、計測特性取得部102と、計測特性許容差記憶部103と、判定部104と、表示部105とを備えている。
【0025】
この超音波流量計簡易診断装置100Aにおいて、サンプリング周期切換制御101には、診断対象の超音波流量計13の通常モードでのサンプリング周期が実用サンプリング周期T0として、診断モードで利用される予め定められた長周期のサンプリング周期が基準サンプリング周期T1として記憶されている。基準サンプリング周期T1は、残響が十分に減衰するのに必要な時間を想定し、この時間よりも長い時間として定められている。
【0026】
また、計測特性許容差記憶部103には、正常時(例えば、初期検収状態)における実用サンプリング周期T0での計測特性と基準サンプリング周期T1での計測特性の許容差が記憶されている。この実施の形態では、計測特性を超音波の伝播時間差Δtとし、正常時における実用サンプリング周期T0での伝播時間差Δt(T0)と正常時における基準サンプリング周期T1での伝播時間差Δt(T1)との差に対して許容差を定め、この許容差を記憶させている。この例では、|Δt(T1)−Δt(T0)|に対して閾値Δt_thを定め、この閾値Δt_thを許容差として記憶させている。
【0027】
以下、この超音波流量計簡易診断装置100Aの診断モードの実施時の動作について、各部の機能を交えながら説明する。なお、この診断モードの実施時には、超音波流量計13が設置された配管内の流体の流量は零、あるいは一定の流量とする。
【0028】
オペレータは、超音波流量計13の診断を行う場合、超音波流量計簡易診断装置100Aに対して診断の開始を指示する。このオペレータからの指示を受けて、サンプリング周期切換制御部101は、超音波流量計13に対して実用サンプリング周期T0での流量計測と基準サンプリング周期T1での流量計測を指示する。
【0029】
計測特性取得部102は、超音波流量計13における実用サンプリング周期T0での計測特性として超音波の伝播時間差Δt(T0)を取得する。また、超音波流量計13における基準サンプリング周期T1での計測特性として超音波の伝播時間差Δt(T1)を取得する。そして、この取得した伝播時間差Δt(T0)とΔt(T1)を判定部104へ送る。
【0030】
判定部104は、計測特性取得部102からの伝播時間差Δt(T0)とΔt(T1)を受けて、この伝播時間差Δt(T0)とΔt(T1)との差の絶対値を|Δt(T1)−Δt(T0)|として求め、計測特性許容差記憶部103に記憶されている閾値Δt_thと比較する。
【0031】
ここで、基準サンプリング周期T1は残響が十分に減衰するのに必要な時間よりも長い時間として定められており、基準サンプリング周期T1で取得された伝播時間差Δt(T1)は残響の影響を受けていないと考えてよい。したがって、実用サンプリング周期T0で取得された伝播時間差Δt(T0)が残響の影響を受けていなければ、基準サンプリング周期T1で取得された伝播時間差Δt(T1)とほゞ等しくなるはずである。これに対し、実用サンプリング周期T0で取得された伝播時間差Δt(T0)が残響の影響を受けていれば、基準サンプリング周期T1で取得された伝播時間差Δt(T1)との差は大きくなる。
【0032】
判定部104は、|Δt(T1)−Δt(T0)|と閾値Δt_thとを比較し、|Δt(T1)−Δt(T0)|≧Δt_thであれば、実用サンプリング周期T0で取得された伝播時間差Δt(T0)が残響の影響を受けていると判定する。すなわち、診断モードの実施時における実用サンプリング周期T0での計測特性に異変があり、超音波流量計13の計測精度に悪影響を及ぼしていると判定する。そして、この判定結果を表示部105へ送り、表示する。
【0033】
このようにして、本実施の形態では、超音波流量計簡易診断装置100Aを用いて、音波環境の特に残響状態に起因する超音波流量計13の計測精度への悪影響を、超音波流量計13を計測ポイントに設置したままの状態で、簡易的に診断することができる。
【0034】
なお、この実施の形態1において、基準サンプリング周期をT1,T2,T3・・・・Tnというようにして多数設け(T2以降はオプション、T0<Ti<Tj(0<i<j))、各々の基準サンプリング周期での伝播時間差をΔt(Ti)(i≧1)とした時、|Δt(Ti)−Δt(T0)|≧Δt_thなら、実用サンプリング周期T0で取得された伝播時間差Δt(T0)が残響の影響を受けていると判定するようにしてもよい。
【0035】
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、診断モードの実施時における実用サンプリング周期T0での計測特性に異変があると判定した場合、その判定結果を表示部105に表示するようにしたが、新たなサンプリング周期を求めて診断対象の超音波流量計13のサンプリング周期を更新するようにしてもよい。図2に、実施の形態2として、実施の形態1の構成に対して、サンプリング周期更新部106をさらに設けた例を示す。この実施の形態2の超音波流量計簡易診断装置を100Bとする。
【0036】
この超音波流量計簡易診断装置100Bにおいて、サンプリング周期更新部106は、判定部104において診断モードの実施時における実用サンプリング周期T0での計測特性に異変があると判定された場合、次のようにして新たなサンプリング周期を求める。
【0037】
サンプリング周期更新部106は、サンプリング周期の候補をT01〜T0nとし(T0<T0i<T0j(0<i<j))、これらサンプリング周期の候補T01〜T0nでの超音波流量計13における超音波の伝播時間差Δt(T01)〜Δt(T0n)を計測特性取得部102を介して取得する。
【0038】
そして、j>i≧k(>0)である全てのi,jについて、|Δt(T0j)−Δt(T0i)|<Δt_thが成り立つ最小のkを求め、そのkに対するサンプリング周期T0kを新たなサンプリング周期とし、超音波流量計13のサンプリング周期を更新する。
【0039】
但し、サンプリング周期更新部106には、サンプリング周期の許容上限がT_thとして定められており、T0k>T_thとなったら、サンプリング周期の更新は行わずに、表示部105に対してエラーを出力する。
【0040】
〔実施の形態3〕
上述した実施の形態1では、計測特性を超音波の伝播時間差Δtとしたが、実施の形態3では計測特性を計測流量Rとする。図3に、実施の形態3の超音波流量計簡易診断装置を100Cとして示す。なお、この超音波流量計簡易診断装置100Cの診断モードの実施時には、超音波流量計13が設置された配管内の流体の流量を一定とする。
【0041】
この超音波流量計簡易診断装置100Cでは、正常時における実用サンプリング周期T0での計測流量をR(T0)とし、正常時における基準サンプリング周期T1での計測流量をR(T1)とし、|R(T1)−R(T0)|に対して閾値R_thを定め、この閾値R_thを許容差として計測特性許容差記憶部103に記憶させておく。
【0042】
オペレータは、超音波流量計13の診断を行う場合、超音波流量計簡易診断装置100Cに対して診断の開始を指示する。このオペレータからの指示を受けて、サンプリング周期切換制御部101は、超音波流量計13に対して実用サンプリング周期T0での流量計測と基準サンプリング周期T1での流量計測を指示する。
【0043】
計測特性取得部102は、超音波流量計13における実用サンプリング周期T0での計測特性として計測流量R(T0)を取得する。また、超音波流量計13における基準サンプリング周期T1での計測特性として計測流量R(T1)を取得する。そして、この取得した計測流量R(T0)とR(T1)を判定部104へ送る。
【0044】
判定部104は、計測特性取得部102からの計測流量R(T0)とR(T1)を受けて、この計測流量R(T0)とR(T1)との差の絶対値を|R(T1)−R(T0)|として求め、計測特性許容差記憶部103に記憶されている閾値R_thと比較する。
【0045】
ここで、基準サンプリング周期T1は残響が十分に減衰するのに必要な時間よりも長い時間として定められており、基準サンプリング周期T1で取得された計測流量R(T1)は残響の影響を受けていないと考えてよい。したがって、実用サンプリング周期T0で取得された計測流量R(T0)が残響の影響を受けていなければ、基準サンプリング周期T1で取得された計測流量R(T1)とほゞ等しくなるはずである。これに対して、実用サンプリング周期T0で取得された計測流量R(T0)が残響の影響を受けていれば、基準サンプリング周期T1で取得された計測流量R(T1)との差は大きくなる。
【0046】
判定部104は、|R(T1)−R(T0)|と閾値R_thとを比較し、|R(T1)−R(T0)|≧R_thであれば、実用サンプリング周期T0で取得されたR(T0)が残響の影響を受けていると判定する。すなわち、診断モードの実施時における実用サンプリング周期T0での計測特性に異変があり、超音波流量計13の計測精度に悪影響を及ぼしていると判定する。そして、その判定結果を表示部105へ送り、表示する。
【0047】
この実施の形態3においても、基準サンプリング周期をT1,T2,T3・・・・Tnというようにして多数設け(T2以降はオプション、T0<Ti<Tj(0<i<j))、各々の基準サンプリング周期での計測流量をR(Ti)(i≧1)とした時、|R(Ti)−R(T0)|≧R_thなら、実用サンプリング周期T0で取得されたR(T0)が残響の影響を受けていると判定するようにしてもよい。
【0048】
〔実施の形態4〕
実施の形態3においても、実施の形態2と同様に、新たなサンプリング周期を求めて診断対象の超音波流量計13のサンプリング周期を更新するようにしてもよい。図4に、実施の形態4として、実施の形態3の構成に対して、サンプリング周期更新部106をさらに設けた例を示す。この実施の形態4の超音波流量計簡易診断装置を100Dとする。
【0049】
この超音波流量計簡易診断装置100Dにおいて、サンプリング周期更新部106は、判定部104において診断モードの実施時における実用サンプリング周期T0での計測特性に異変があると判定された場合、次のようにして新たなサンプリング周期を求める。
【0050】
サンプリング周期更新部106は、サンプリング周期の候補をT01〜T0nとし(T0<T0i<T0j(1<i<j))、これらサンプリング周期の候補T01〜T0nでの超音波流量計13の計測流量R(T01)〜R(T0n)を計測特性取得部102を介して取得する。
【0051】
そして、j>i≧k(>0)である全てのi,jについて、|R(T0j)−R(T0i)|<R_thが成り立つ最小のkを求め、そのkに対するサンプリング周期T0kを新たなサンプリング周期とし、超音波流量計13のサンプリング周期を更新する。
【0052】
但し、サンプリング周期更新部106には、サンプリング周期の許容上限がT_thとして定められており、T0k>T_thとなったら、サンプリング周期の更新は行わずに、表示部105に対してエラーを出力する。
【0053】
なお、上述した実施の形態1,2では計測特性を超音波の伝播時間差Δtとし、実施の形態3,4では計測特性を計測流量Rとしたが、伝播時間逆数差(1/t1−1/t2)や計測流速Vなども計測特性として採用することができる。また、実施の形態2や実施の形態4の構成において、表示部105を省略するようにしてもよい。また、実施の形態1〜4では、サンプリング周期切換制御部101に実用サンプリング周期T0を記憶させておくようにしたが、診断対象の超音波流量計13の現在のサンプリング周期での計測特性を実用サンプリング周期T0での計測特性として取得するようにしてもよい。
【0054】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施の形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
100(100A〜100D)…超音波流量計簡易診断装置、101…サンプリング周期切換制御部、102…計測特性取得部、103…計測特性許容差記憶部、104…判定部、105…表示部、106…サンプリング周期更新部、13…超音波流量計。
図1
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