特許第5957246号(P5957246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957246
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】自動販売機用電源ユニット
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/00 20060101AFI20160714BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   G07F9/00 107A
   G07F9/00 Q
   G07F9/10 H
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-48560(P2012-48560)
(22)【出願日】2012年3月5日
(65)【公開番号】特開2013-186499(P2013-186499A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100154106
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】原田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 博
(72)【発明者】
【氏名】大野 優介
(72)【発明者】
【氏名】松浦 正明
(72)【発明者】
【氏名】塚越 雅人
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−345360(JP,A)
【文献】 特開2000−132738(JP,A)
【文献】 特開2007−026001(JP,A)
【文献】 特開2006−195950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/00−9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、
該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、
前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、
を含んで構成され
前記制御装置は、
前記蓄電装置の出力電圧が所定の給電判断値以上であるときに、該蓄電装置から前記自動販売機への給電を許容し、
前記蓄電装置の出力電圧が前記給電判断値よりも低下すると、該蓄電装置から前記自動販売機への給電を止めると共に給電停止を報知し、前記手動式発電装置による前記蓄電装置の充電を監視する、
自動販売機用電源ユニット。
【請求項2】
自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、
該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、
前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、
を含んで構成され、
前記制御装置は、
前記蓄電装置の出力電圧が所定の給電判断値以上であるときに、該蓄電装置から前記自動販売機への給電を許容し、
前記蓄電装置の出力電圧が、前記給電判断値より高い電圧値の充電要請判断値よりも低くなるときに、充電が必要なことを報知し、
前記蓄電装置の出力電圧が前記給電判断値よりも低下すると、該蓄電装置から前記自動販売機への給電を止めて、前記手動式発電装置による前記蓄電装置の充電を監視する、
自動販売機用電源ユニット。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記手動式発電装置により前記蓄電装置が充電され、前記蓄電装置の出力電圧が所定の充電完了判断値以上になったときに、充電完了を報知する、
請求項又は請求項に記載の自動販売機用電源ユニット。
【請求項4】
自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、
該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、
前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、
前記自動販売機以外の機器に対して前記蓄電装置から給電することを可能にする電力取出装置と
を含んで構成され、
前記制御装置は、
前記蓄電装置の出力電圧が所定の給電判断値以上であるときに、該蓄電装置から前記自動販売機及び前記電力取出装置のいずれか又は両方への給電を許容し
前記蓄電装置の出力電圧が前記給電判断値よりも低下すると、該蓄電装置から前記自動販売機及び前記電力取出装置のいずれか又は両方への給電を止めると共に給電停止を報知し、前記手動式発電装置による前記蓄電装置の充電を監視する、
自動販売機用電源ユニット。
【請求項5】
自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、
該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、
前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、
前記自動販売機以外の機器に対して前記蓄電装置から給電することを可能にする電力取出装置と、
を含んで構成され、
前記制御装置は、
前記蓄電装置の出力電圧が所定の給電判断値以上であるときに、該蓄電装置から前記自動販売機及び前記電力取出装置のいずれか又は両方への給電を許容し、
前記蓄電装置の出力電圧が、前記給電判断値より高い電圧値の充電要請判断値よりも低くなるときに、充電が必要なことを報知し、
前記蓄電装置の出力電圧が前記給電判断値よりも低下すると、該蓄電装置から前記自動販売機及び前記電力取出装置のいずれか又は両方への給電を止めて、前記手動式発電装置による前記蓄電装置の充電を監視する、
自動販売機用電源ユニット。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記手動式発電装置により前記蓄電装置が充電され、前記蓄電装置の出力電圧が所定の充電完了判断値以上になったときに、充電完了を報知する、
請求項又は請求項に記載の自動販売機用電源ユニット。
【請求項7】
前記制御装置は、前記各報知をランプの状態により実行する、請求項1〜のいずれか1項に記載の自動販売機用電源ユニット。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記自動販売機への給電を許容するときに、前記自動販売機のコインメック及びビルバリへの通電を遮断することが可能である、
請求項1〜のいずれか1項に記載の自動販売機用電源ユニット。
【請求項9】
自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、
該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、
前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、
を含んで構成され、
前記制御装置は、自身への電源供給を、前記蓄電装置の出力電圧が所定の低電圧値よりも低下するときに遮断する、
自動販売機用電源ユニット。
【請求項10】
自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、
該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、
前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、
を含んで構成され、
前記蓄電装置による給電を可能にするための操作手段をさらに含み、
前記制御装置は、前記自動販売機の通常電源が停電し且つ前記操作手段が操作されたときに、前記蓄電装置による給電の制御を開始し、
前記操作手段は、前記手動式発電装置を覆い隠すカバーであり、
前記制御装置は、前記自動販売機の通常電源が停電し且つ前記カバーが取り外されたときに、前記蓄電装置による給電の制御を開始する、
自動販売機用電源ユニット。
【請求項11】
自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、
該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、
前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、
前記自動販売機以外の機器に対して前記蓄電装置から給電することを可能にする電力取出装置と、
を含んで構成され、
前記制御装置は、自身への電源供給を、前記蓄電装置の出力電圧が所定の低電圧値よりも低下するときに遮断する、
自動販売機用電源ユニット。
【請求項12】
自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、
該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、
前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、
前記自動販売機以外の機器に対して前記蓄電装置から給電することを可能にする電力取出装置と、
を含んで構成され、
前記蓄電装置の給電先を前記自動販売機又は前記電力取出装置のいずれかに切り換える切換手段をさらに含む、
自動販売機用電源ユニット。
【請求項13】
自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、
該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、
前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、
前記自動販売機以外の機器に対して前記蓄電装置から給電することを可能にする電力取出装置と、
を含んで構成され、
前記蓄電装置による給電を可能にするための操作手段をさらに含み、
前記制御装置は、前記自動販売機の通常電源が停電し且つ前記操作手段が操作されたときに、前記蓄電装置による給電の制御を開始し、
前記操作手段は、前記手動式発電装置を覆い隠すカバーであり、
前記制御装置は、前記自動販売機の通常電源が停電し且つ前記カバーが取り外されたときに、前記蓄電装置による給電の制御を開始する、
自動販売機用電源ユニット。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の自動販売機用電源ユニットを組み込んである自動販売機。
【請求項15】
自動販売機の通常電源が停電したときの電源として使用可能な蓄電装置と、
前記自動販売機以外の機器に対して前記蓄電装置から給電することを可能にする電力取出装置と、
前記蓄電装置の給電先を前記自動販売機又は前記電力取出装置のいずれかに切り換える切換手段と、
を含んで構成される自動販売機用電源ユニット。
【請求項16】
前記蓄電装置を充電する手動式発電装置をさらに含む、請求項15に記載の自動販売機用電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動販売機の電源に関する技術が以下に開示される。
【背景技術】
【0002】
飲料や食品などの物品を販売するコイン投入式自動販売機に関し、蓄電装置を備え、通常電源(商用電源)の停電時に蓄電装置からの給電に切り換えて物品提供を継続可能にしたものが、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−116379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
停電時に物品提供を継続可能とした上記の自動販売機は、停電時に蓄電装置を電源として動作するので、蓄電装置のもつ容量内で物品提供の動作が継続される。したがって、災害時停電などで通常電源の停電時間が長引くときに、蓄電装置の容量が不足して電力が足りなくなり、動作継続不能になる場合がある。このために非常に大きな容量の蓄電装置を採用することも考えられるが、二次電池等の蓄電装置は経時劣化して容量が低下することもあるので、定期的に交換する必要もあり、イニシャル及びランニングコストの点で改善の余地がある。
このような背景に鑑みると、通常電源の停電時に蓄電装置へ電源を切り換えて動作することの可能な自動販売機において、蓄電装置の容量に制限されることなく物品提供の動作継続を可能にすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当課題に対して提案するのは、自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、を含んで構成される自動販売機用電源ユニットである。
あるいは、自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置と、該蓄電装置を充電する手動式発電装置と、前記自動販売機の通常電源が停電したときに、前記蓄電装置の充電状態を監視して、該蓄電装置による給電を制御する制御装置と、前記自動販売機以外の機器に対して前記蓄電装置から給電することを可能にする電力取出装置と、を含んで構成される自動販売機用電源ユニットである。
【発明の効果】
【0006】
上記提案に係る自動販売機用電源ユニットによると、停電が長引くなどして蓄電装置の電力が自動販売機の物品提供動作に足りなくなった場合には、手動充電で蓄電装置の電力を復活させることができる。したがって、蓄電装置の容量が小さいものであっても繰り返し充電して給電に供することができ、また、たとえ蓄電装置に経時劣化が生じて容量が低下していたとしても手動充電で繰り返し補充しつつ使用することができるので、自動販売機において、通常電源の停電時に蓄電装置へ電源を切り換えて動作することを可能とし、且つ、蓄電装置の容量に制限されることなく物品提供の動作を継続することが可能になる。
【0007】
また、追加的要望として、災害などで通常電源の停電が継続している状況において、物品をすべて提供し終わった自動販売機であっても、蓄電装置の電力を別の用途に使用できるようになっていれば、と要望する声もある。これに対して、電力取出装置を備えることにより、蓄電装置の電力を外部へ出力可能にすることができ、要望に応えて手動式発電装置及び蓄電装置をさらに有効に活用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自動販売機用電源ユニットの実施形態について、自動販売機への取り付け状態で示した外観図(A)と、そのカバーを外す状態を示した図(B)。
図2図1の自動販売機用電源ユニットにおける手動式発電装置であって、カバーで覆い隠された状態で示した図(A)と、カバーを取り外した後の状態で示した図(B)。
図3】実施形態に係る自動販売機用電源ユニットの回路図(通常時)。
図4】実施形態に係る自動販売機用電源ユニットの回路図(停電時物品提供)。
図5】制御装置による給電制御を説明するグラフで、(A)物品提供モード、(B)電力外部出力モードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る自動販売機用電源ユニットは、自動販売機の前面(又は側面)に取り付けられた手動式発電装置1を有し、この手動式発電装置1が通常は、図1Aのようにカバー2で覆い隠されている。カバー2は、図1Bのように中央のラベル2aを剥がすことで、図2Aに示す錠前2bが露出し、この錠前2bをコイン等で回すことで取り外すことができる。なお、錠前2bは専用の鍵でのみ回すことができるような錠前にしてもよい。カバー2を外すことで手動式発電装置1が露出し(図1B)、手動式発電装置1を操作できるようになる。このカバー2は、後述の蓄電装置による給電を可能にするための操作手段として機能し、カバー2の取り外しが、後述のように、蓄電装置からの給電に切り換えるスイッチの役割をもつ。ただし、操作手段はカバー2に限られず、別途のスイッチやキー操作によるもとすることも可能である。
【0010】
手動式発電装置1の外部へ露出している部分には、図2に示すように、収納蓋1aが設けられており、この収納蓋1aを取り外すことで、ここから電力取出装置3を引き出すことができる仕組みになっている。本実施形態で示す電力取出装置3は、USBコネクタとコンセント(タップ)の二種類である。USBコネクタはDC5V、コンセントはAC100Vを給電可能である。
【0011】
露出した手動式発電装置1は、前面に回転ハンドル1bがあり、このハンドル1bを回転させることで発電し、自動販売機の筐体内に収容されている蓄電装置の充電を行う。自動販売機の電源として使用可能な蓄電装置は、本実施形態では電気二重層キャパシタで、例えば満充電時にDC26Vの出力電圧を有する。電気二重層キャパシタは、二次電池に比べて容量は少ないが、充放電の繰り返しによる経時的劣化が少なく短時間での充放電が可能という特性をもつ。手動式発電装置1の前面には、発電操作案内用に、アナログメータ又はデジタルメータで構成した回転速度メータ1c及び充電量メータ1dが設けられている。回転速度メータ1cは、ハンドル1bの回転速度を示し、発電にちょうど良い回転速度を使用者に案内する。充電量メータ1dは、蓄電装置の充電量を示し、現在の充電量を使用者に知らせる。手動式発電装置1の前面にはさらに、充電状態ランプ1eがあり、本自動販売機用電源ユニットの状態を使用者に報知する。また、この充電状態ランプ1eの上方に、出力切換スイッチ1fが設けられており、この切換手段としてのスイッチ1fを操作すると、蓄電装置の給電を自動販売機から出力取出装置3へ切り換えることができる。
【0012】
図3に、通常時、すなわち通常電源(商用電源)により自動販売機が動作しているときの、本実施形態の電源ユニットに関する回路図を示す。
【0013】
自動販売機には、電源プラグ100から商用AC100Vの通常電源が供給され、漏電遮断器101を通して、自動販売機用電源ユニットのリレー4へ送電される。このリレー4へ送電される通常電源は、自動販売機用電源ユニットの制御装置5における通常電源監視部5aによって監視される。リレー4を経て、通常電源は自動販売機のサブコントローラ102へ送電され、ここからDC電源103へ送られる。DC電源103は、メインコントローラ104やサブコントローラ102などに使用するDC電力を生成する。また、サブコントローラ102から送電される通常電源は、制御装置5のオプションリレー部5bを通して、定電流電源6にも送られ、DC26Vの充電電力が、制御装置5の充電リレー部5cを通して蓄電装置7の充電に使用される。
【0014】
自動販売機において物品販売動作を制御するメインコントローラ104、サブコントローラ102及びコインメック/ビルバリ105は、DC電源103による電力で動作する。そして、メインコントローラ104からコインメック/ビルバリ105への電力供給を含む制御信号は、制御装置5のライフラインリレー部5dを経由する。
【0015】
自動販売機用電源ユニットにおいて、制御装置5は、蓄電装置7から、降圧部5eを通して例えばDC5Vの電源供給を受け動作し、通常電源監視部5aによって通常電源が供給されていることを検知している。通常電源が供給されているので、リレー4は通常電源側(○側)にあり、オプションリレー部5b及び充電リレー部5cも通常電源側(○側)に入っており、ライフラインリレー部5dはオンである。また、蓄電装置7による例えばDC26VをAC100Vへ変換するDC/ACインバータ8へ、蓄電装置7の電力を送電するインバータリレー部5fは、オフになっている。
【0016】
この通常時の状態から通常電源が停電すると、制御装置5の通常電源監視部5aが停電を検出する。この後に、手動式発電装置1のカバー2が取り外されると災害対応スイッチ2dが切り換わり、これを災害対応検知部5gで検知することで、制御装置5は、図4に示す停電時物品提供の状態になって、蓄電装置7による給電を制御する。
【0017】
図4において制御装置5は、降圧部5eを通した蓄電装置7による給電で動作し、インバータリレー部5fをオンにすると共に、充電リレー部5cを手動充電側(●側)とし、給電リレー部5hを自動販売機側(○側)とする。そして、制御装置5は、オプションリレー部5bを給電停止側(●側)にして、オプション類106(ICカードリーダ/ライタ等)への給電を止める。さらに、制御装置5は、ライフライン設定部5iからライフライン信号を自動販売機のメインコントローラ104へ出力すると共に、ライフラインリレー部5dをオフにする。この制御装置5の制御により、蓄電装置7の充電が十分であれば、自動販売機が蓄電装置7による給電で動作可能となる。インバータリレー部5fがオンするとリレー4が蓄電装置側(●側)に切り換わり、自動販売機へ給電されると、メインコントローラ104は、ライフライン設定部5iからのライフライン信号により、物品の提供に必要な最低限の状態で起動する(照明やコンプレッサ、ファン等は動作させない)。さらに、ライフラインリレー部5dがオフすることで、コインメック/ビルバリ105への電力供給を含む制御信号も遮断され、蓄電電力の消費が抑制される。
【0018】
このときに、出力切換スイッチ1fの切り換え操作があると、制御装置5は、出力切換検知部5jでこれを検知し、給電リレー部5hを電力取出側(●側)とする。これにより、DC/ACインバータ8を経て出力されるAC100Vが電力取出装置3へ送電され、コンセントから出力される。なお、電力取出装置3のUSBコネクタには、別途、送電部5kからDC5Vが送電されている。このUSBコネクタに関しては、降圧部5eを通した蓄電装置7からの給電が制御装置5にあれば、これを、出力切換スイッチ1fの切り換え操作の有無に関わらず送電部5kからUSBコネクタに送電するようにしておいてもよい。また、出力切換スイッチ1fを初期状態で切り換え側(外部出力側)にしておき、初めから電力取出装置3へ給電する方式とすることも可能である。
【0019】
制御装置5は、蓄電装置7の充電状態を、蓄電装置7の出力電圧により監視しており、予め設定された給電判断値以上であるか否か判断する。制御装置5は、蓄電装置7の出力電圧がこの給電判断値以上であれば、蓄電装置7から自動販売機への給電を許容し、インバータリレー部5fをオンにし得る。そして、給電等で蓄電装置7が放電し、出力電圧が給電判断値よりも低下すると、制御装置5は、インバータリレー部5fをオフにし、自動販売機への給電を止める。
【0020】
自動販売機への給電を止めた制御装置5は、充電検知部5lにより、充電電流の発生を監視する。すなわち、手動式発電装置1でハンドル1bの回転による手動発電が開始されると、これにより発生する充電電流は整流器9を経て制御装置5へ送電される。整流器9からは、充電電流と共に充電検知部5lへ検知電流が提供され、手動式発電装置1の回転、つまり充電操作の開始が制御装置5で検知される。また、整流器9から出力される充電電流に従って、回転速度メータ1cが現在のハンドル回転速度を表示する。
【0021】
給電判断値(例えば蓄電装置の満充電26Vに対して22Vなど)を設定して自動販売機、電力取出装置3への給電を制御することにより、手動式発電装置1の操作荷重を制御することができる。
良く知られていることであるが、蓄電装置7の充電必要量が多いほど(蓄電装置7の残量が空に近いほど)、充電の初めに大電流が流れる。手動式発電装置1は磁石とコイルによる発電装置なので、発生させる電流が大きいほどコイルの回転には負荷がかかり、ハンドル1bを回すのに力を要し重くなる。したがって、使用者の年齢や性別に関わりなく手動式発電装置1を使用可能にするためには、蓄電装置7の能力の上の方、つまり満充電に近いところの電圧範囲で充放電を繰り返すように設定すると、大きな充電電流が流れずに済み、充電に際し軽い力でハンドル1bを操作できる。
一方、満充電に近いところになればなるほどハンドル操作は軽くなるが、同じ回転数で充電できる量は少なくなる。つまり、同じ量を充電するのに、より多くハンドル1bを回転させなければならなくなる。
したがって、適切な給電判断値を設定することにより、ハンドル操作の重さと回転数のバランスをとることが可能であると共に、異なる使用者に対して毎回同等の操作量によって物品を提供し、電力取出装置3による給電を行えるようになる。
【0022】
手動式発電装置1による蓄電装置7の充電を充電検知部5lによって検出した制御装置5は、蓄電装置7の充電状態を蓄電装置7の出力電圧により監視し、給電判断値以上に充電されると、制御装置5は、リレー部5f,5hを適宜切り換えて、蓄電装置7による給電を再開する。
【0023】
通常電源の停電でカバー2が外された後の、制御装置5による給電制御の一例について、横軸を時間、縦軸を蓄電装置7の出力電圧とした図5のグラフを参照して説明する。本実施形態の自動販売機用電源ユニットは、出力切換スイッチ1fにより、電力の出力先を自動販売機(物品提供モード)と電力取出装置3(電力外部出力モード)とに切り換えることができる。図5Aは物品提供モード、図5Bは電力外部出力モードの図である。
【0024】
図5Aの物品提供モードでは、まず、通常電源停電後の初めての充電のとき、制御装置5は、手動式発電装置1で充電が開始されると、蓄電装置7の出力電圧が充電完了判断値(給電判断値よりも高い電圧値で例えば23.5V)になるまでは、ランプ制御部5mを介して制御する充電状態ランプ1eの消灯を維持し且つインバータリレー部5fをオフに維持して、自動販売機への給電を止めた状態を維持する。そして、制御装置5は、充電が進んで蓄電装置7の出力電圧が充電完了判断値以上になると、充電状態ランプ1eを点灯させ充電完了を報知するが、未だ手動式発電装置1が充電操作されている間はインバータリレー部5fのオフを維持する。このときの制御装置5は、手動式発電装置1が停止して充電検知部5lにより監視される充電電流が無くなったことを検知した時点で、インバータリレー部5fをオンにし、蓄電装置7から自動販売機への給電を許容する。
【0025】
この充電状態ランプ1eの点灯とインバータリレー部5fのオンとのタイミング制御は、充電量を使用者がコントロールできるようにするためである。すなわち、充電状態ランプ1eの点灯と同時に充電操作をやめて手動式発電装置1を停止させれば、必要最低限の充電で少数の物品(充電量に見合った個数)を受領可能であるが、充電状態ランプ1eの点灯後もしばらく充電を継続すれば、その余計に充電した分だけより多く物品を受領することができる。つまり、自動販売機の使用者自らが物品提供量を選択することが可能である。
【0026】
蓄電装置7からの給電が開始されると、自動販売機が起動して物品提供可能状態になる。起動する自動販売機は、給電開始から物品提供可能状態となるまでにしばらく時間を要するが、このときの自動販売機は必要最低限の機器(又は機能)のみ動作させ、コインメック/ビルバリ105やコンプレッサ、照明等は動作させない。このため、それらの起動音がせず且つ照明も点灯しないので、自動販売機の給電が開始されたのか否か判別し難いことが想定される。そこで、制御装置5は、インバータリレー部5fのオンと共に充電状態ランプ1eを点滅に変更し、蓄電装置7から自動販売機へ給電されていることを報知する。
【0027】
物品提供可能状態の自動販売機が物品提供動作を行うことで蓄電装置7の出力電圧が下がり始め、当該出力電圧が給電判断値よりも低下すると、制御装置5は、インバータリレー部5fをオフにして自動販売機への給電を止めると共に、充電状態ランプ1eを消灯させて、給電停止を報知する。
【0028】
この後、手動式発電装置1により充電が開始されて蓄電装置7の出力電圧が給電判断値以上に復活すると、制御装置5は、充電状態ランプ1eを点滅させ、給電許容中であることを報知する。続いて制御装置5は、充電が継続され、蓄電装置7の出力電圧が充電完了判断値以上になると、充電状態ランプeを点灯させて充電完了を報知する。制御装置5は、手動式発電装置1の充電操作が停止されたところでインバータリレー部5fをオンにすると共に充電状態ランプ1eを点滅させて報知する。これにより、使用者は、自分の好きなところで充電をやめて物品提供を受けることができる。
【0029】
以上の充電、物品提供を繰り返し行えば、蓄電装置7の充電状態(出力電圧)が給電判断値と充電完了判断値とで管理され、手動式発電装置1について、毎回、同程度の操作量にて、物品提供が可能とされる。また、本実施形態では、制御装置5において、例えば降圧部5eにより、所定の低電圧値としての制御装置電源遮断値が設定されており、この制御装置電源遮断値よりも蓄電装置7の出力電圧が低下する場合には、自動販売機用電源ユニットの待機電力も遮断される。仮に、物品提供後にしばらく使用がなく放置された場合であっても、この制御装置電源遮断値で待機電力も遮断してしまうことにより電力消費が抑制されるので、蓄電装置7の出力電圧低下が抑止され、次回の充電に際しては、ほぼ制御装置電源遮断値から給電判断値まで充電操作すれば、これ以降は上記同等の操作量となる。この制御装置電源遮断値は、給電判断値よりも下の電圧値で且つできるだけ給電判断値に近い値とすることが、充電操作量の低減のために好ましい。この制御装置電源遮断値に関しては、次の図5Bのモードでも同様である。
【0030】
図5Bの電力外部出力モードでは、通常電源停電後の初めての充電のときに、蓄電装置7の出力電圧が充電完了判断値になるまで制御装置5が充電状態ランプ1eの消灯を維持する点は、図5Aの場合と同じである。一方、電力外部出力モードの制御装置1は、充電により蓄電装置7の出力電圧が充電完了判断値以上になると、充電状態ランプ1eを点灯させると共にインバータリレー部5fをオンして電力取出装置3を通した電力出力を可能にする。これにより、電力取出装置3を利用して外部へ電力を供給し、携帯機器の充電を行うことなどが可能となる。その後、電力取出装置3による外部給電で蓄電装置7の出力電圧が充電完了判断値よりも低下すると、制御装置5は、充電状態ランプ1eを点滅させる。すなわち、充電状態ランプ1eの点灯で充電完了が報知されて手動式発電装置1の操作をやめる目安となり、充電状態ランプ1eの点滅で外部出力状態であることが報知される。
【0031】
電力外部出力モードの場合、蓄電装置7の出力電圧が、給電判断値よりも高い電圧値に設定された充電要請判断値よりも低下すると、制御装置5は充電状態ランプ1eを消灯させ、充電が必要であることを報知する。このときにはインバータリレー部5fがオフされず、給電可能な状態が維持される。そして、さらに蓄電装置7の出力電圧が下がって給電判断値よりも低下すると、制御装置5は、インバータリレー部5fをオフにして給電を止め、手動式発電装置1による蓄電装置7の充電を監視する。
【0032】
図5Aの物品提供モードでは、充電→物品提供を一度実行すると、次は使用者が代わることが想定されるが、図5Bの電力外部出力モードの場合は、充電→電力取出を同一の使用者が繰り返すことが想定される。このときに、給電判断値だけで判断してインバータリレー部5fをオフにしてしまうと、再び外部電力出力可能な状態にするには、給電判断値から充電完了判断値までの充電が必要になり、使用者への負担が大きい。これを軽減するため、給電判断値よりも上の充電要請判断値で充電状態ランプ1eを消灯することにより使用者へ充電が必要なことを報知し、再充電を促す。これにより、インバータリレー部5fをオフすることなく継続的に外部給電することが可能になる。
【0033】
以上説明した物品提供モード及び電力外部出力モードにおける、給電判断値、充電完了判断値、充電要請判断値、制御装置電源遮断値は、各モードで同じ値であっても良いし、異なる値であっても良い。また、各モードにおける充電状態ランプ1eの消灯、点灯、点滅は一例であり、点灯と点滅の意味合いを反転させたり、点滅間隔の違いで報知内容を区別したりと、様々な変更があり得る。さらに、物品提供モードを図5Bのモードで実行したり、逆に電力外部出力モードを図5Aのモードで実行したりするなど、各モードの組み換え、組み合わせも可能である。この場合に、給電リレー部5hについて、自動販売機への給電と外部への給電との二者択一式以外に、自動販売機と外部との両者並行給電も可能な構成とすることもできる。
【0034】
本実施形態に係る自動販売機用電源ユニットによると、蓄電装置7の電力が自動販売機の物品提供動作に足りなくなった場合には、手動式発電装置1による手動充電で蓄電装置7の電力を復活させることができる。したがって、容量の小さい蓄電装置7であっても繰り返し充電して給電に供することができ、また、たとえ蓄電装置7に経時劣化が生じて容量が低下していたとしても、手動式発電装置1による手動充電で繰り返し補充しつつ使用することができる。すなわち、自動販売機において、通常電源の停電時に蓄電装置7へ電源を切り換えて動作することを可能とし、且つ、蓄電装置7の容量に制限されることなく物品提供の動作を継続することが可能になる。
【0035】
また、自動販売機において物品をすべて提供し終わった後であっても、蓄電装置7の電力を、電力取出装置3により、携帯機器の充電など別の外部給電用途に使用できるようになっている。したがって、手動式発電装置1及び蓄電装置7をさらに有効に活用することが可能となっている。
【符号の説明】
【0036】
1 手動式発電装置
2 カバー
3 電力取出装置
4 リレー
5 制御装置
6 定電流源
7 蓄電装置
8 DC/ACインバータ
9 整流器
図5
図1
図2
図3
図4