特許第5957263号(P5957263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957263
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 25/00 20060101AFI20160714BHJP
   A01D 33/02 20060101ALI20160714BHJP
   A01D 33/10 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   A01D25/00
   A01D33/02
   A01D33/10
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-77957(P2012-77957)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-202036(P2013-202036A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】391025914
【氏名又は名称】八鹿鉄工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】和田 秀人
(72)【発明者】
【氏名】楢原 陽三郎
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−219812(JP,A)
【文献】 特開2007−061011(JP,A)
【文献】 特公平04−056563(JP,B2)
【文献】 特開2011−130668(JP,A)
【文献】 特開平11−225526(JP,A)
【文献】 特開2008−017745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 35/00 − 35/32
A01D 13/00 − 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部と、前記走行部の上部に配置される搬送コンベアと、前記搬送コンベアから搬送される野菜を収容するコンテナとを備えて、前記走行部を駆動して機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機であって、
前記搬送コンベアの後端部に草取りガイドを設け、
前記草取りガイドは、前記搬送コンベアの後部外周を覆うように半円状に折り曲げるとともに、左右に所定間隔をあけて平行に配置される複数のガイド棒と、前記複数のガイド棒を支持するガイド板とを備え
前記ガイド板は、前記搬送コンベアの後部上方において左右方向に跨いで取り付けられており、
前記複数のガイド棒の一端は、前記ガイド板に設けた連結部材により枢支され、前記複数のガイド棒の他端は、前記搬送コンベアの下方において左右方向に揺動可能で、かつ、前後方向にも揺動可能に枢支されている
ことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】
請求項1記載の野菜収穫機において、
前記複数のガイド棒の他端は、前記搬送コンベアの終端部から前記コンテナへ案内するために、前記搬送コンベアの後端の下部と前記コンテナの上端との間に配設されたシュータの上を越えて前方へ延設され、かつ、前方側が解放されており、
前記複数のガイド棒に絡まった雑草や夾雑物は、前記シュータの前方へ搬送された後に、圃場面に落下する
ことを特徴とする野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体を走行させながら野菜を収穫する野菜収穫機に関する。詳しくは、圃場上の野菜を掻き込んで、コンベアにより後方へ搬送し、当該コンベアの後部で、野菜と共に搬送した雑草や夾雑物を除去するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畝で生育した人参、玉葱、馬鈴薯、甘藷等の野菜が畝から引きぬかれ、畝上に置かれた後、その畝上の野菜を野菜収穫機によって収穫することは知られている。例えば、特許文献1に示す技術である。
【0003】
特許文献1に示す技術では、機体前部に掻き込み部が配設され、該掻き込み部の下方に野菜搬送部の前部が配置され、その野菜搬送部の前後中途部に選別部が配設されていた。選別部は野菜搬送部の左右両側に選別を行う選別作業者が座る座席が配置され、選別作業者は座席に座って野菜搬送部上を流れる野菜を手作業で選別していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−160701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1における野菜収穫機では、野菜搬送部で野菜を搬送するときに、野菜だけでなく圃場上の雑草や夾雑物も一緒に拾い上げて搬送してしまうため、野菜搬送部の後部に配置して野菜を収容するコンテナには野菜とともに引き抜かれた雑草や夾雑物も収容してしまうのである。この雑草や夾雑物を選別作業者が除去するとなると大変忙しくなり、選別作業に悪影響を及ぼすこととなっていた。なお、夾雑物には掘取機で切断した野菜の葉や茎等を含むものとする。
【0006】
そこで、本発明は、野菜収穫機の野菜搬送部で野菜の搬送を行うと同時に、雑草や夾雑物の除去が行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
請求項1においては、走行部と、前記走行部の上部に配置される搬送コンベアと、前記搬送コンベアから搬送される野菜を収容するコンテナとを備えて、前記走行部を駆動して機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機であって、前記搬送コンベアの後端部に草取りガイドを設け、前記草取りガイドは、前記搬送コンベアの後部外周を覆うように半円状に折り曲げるとともに、左右に所定間隔をあけて平行に配置される複数のガイド棒と、前記複数のガイド棒を支持するガイド板とを備え、前記ガイド板は、前記搬送コンベアの後部上方において左右方向に跨いで取り付けられており、前記複数のガイド棒の一端は、前記ガイド板に設けた連結部材により枢支され、前記複数のガイド棒の他端は、前記搬送コンベアの下方において左右方向に揺動可能で、かつ、前後方向にも揺動可能に枢支されているものである。
【0009】
請求項2においては、請求項1記載の野菜収穫機において、前記複数のガイド棒の他端は、前記搬送コンベアの終端部から前記コンテナへ案内するために、前記搬送コンベアの後端の下部と前記コンテナの上端との間に配設されたシュータの上を越えて前方へ延設され、かつ、前方側が解放されており、前記複数のガイド棒に絡まった雑草や夾雑物は、前記シュータの前方へ搬送された後に、圃場面に落下するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、野菜の搬送と同時に雑草や夾雑物の除去が行えるため、選別作業者は雑草や夾雑物を除去することなく野菜の選別に集中できて選別作業者の負担を軽減でき、作業効率を向上できる。
また、野菜搬送部の後部に配置するため、選別作業やコンテナへの収容作業の邪魔にならない。また、少ない部品点数で簡単に構成できるため安価に構成できる。
また、野菜はガイド棒に邪魔されることなく野菜収容部へ搬送できる。つまり、ガイド棒が前後左右に揺動できるため、左右のガイド棒の幅、または、ガイド棒とコンベアとの間の間隔よりも大きな玉の野菜でも、通過時にガイド棒は幅が広がり逃げて詰まることがなく、コンテナへ落下して収容することができる。
【0011】
請求項2においては、野菜は自重により前後方向と左右方向に揺動可能なガイド棒の間をすり抜けて、シュートの上に落下しコンベアに収容されるが、ガイド棒に絡まった雑草や夾雑物は、コンベアの後下方に配置されるシュータを越えて前方へ移動され、ガイド棒先端より解放されて圃場面に落下する。故に、雑草や夾雑物を搬送するための動力が不要であり、雑草や夾雑物がコンテナ内に落下することもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る野菜収穫機の全体構成を示す側面図。
図2】同じく平面図。
図3】野菜搬送部の後部側面図。
図4】草取りガイドの側面図。
図5】草取りガイドの後面図。
図6】草取りガイドの取付部の拡大側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図1図2を参照して、野菜収穫機1の全体的な構成について説明する。なお、以下では本実施形態の野菜収穫機1によって収穫される野菜を玉葱として説明するが、本発明はこれに特に限定するものではなく、例えば、馬鈴薯、人参、または甘藷等の畝から引き抜かれて畝上に置かれている野菜であればよい。以下の説明においては、図1に示した矢印Aの方向を野菜収穫機1の進行方向、つまり前方向として、前後左右方向を規定するものとする。
【0014】
野菜収穫機1は、畝上に引き抜いて置かれた玉葱を回収し、コンテナ55・55・・・に収容する収穫機である。野菜収穫機1は、主として機体フレーム12、駆動部13、走行部14、操縦部15、野菜掻き込み部16、野菜搬送部17、野菜収容部18を具備する。野菜掻き込み部16は、野菜収穫機1の最前部に配置され、板状の弾性体を進行方向と直角方向に配置して後方へ回転させて、野菜掻き込み部16の下方に配設される野菜搬送部17の前部へ畝上の玉葱を送り込む。
【0015】
野菜搬送部17は、すだれ状の無端搬送体で構成され、前低後高に形設され、その最後部の下方に野菜収容部18が連設される。
【0016】
畝から引き抜かれて畝上に置かれている玉葱は、野菜掻き込み部16により掻き込まれて野菜搬送部17に受け渡され、野菜搬送部17にて後方へ保持・搬送される。野菜搬送部17の終端まで搬送された玉葱は、野菜収容部18にセットされるコンテナ55中へ収容される。
【0017】
以下では、図1から図2を参照して、野菜収穫機1の各部の構成について説明する。機体フレーム12は、野菜収穫機1の主たる構造体となるものである。機体フレーム12は、長手方向を前後方向として、複数の板材により構成される略箱状の部材である。
【0018】
前記駆動部13は、エンジン131を有し、野菜収穫機1を駆動するための動力を発生する動力源である。エンジン131は、機体フレーム12の左後部に搭載される。
【0019】
走行部14は、左右一対のクローラ走行装置によって構成される。クローラ走行装置は、機体フレーム12を支持し、野菜収穫機1を走行可能とするものである。クローラ走行装置は機体フレーム12の下部に配置され、前記エンジン131の動力がトランスミッションにより変速されて駆動される。ただし、走行部14をクローラで構成しているが、ホイール等で構成してもよい。
【0020】
操縦部15は、複数のレバー等を備え、オペレータによって野菜収穫機1の操縦が行われる部位である。操縦部15は、前記駆動部13の上方で、機体フレーム12の最後部から上後方へと突出するように配置される。操縦部15では、走行クラッチレバーや作業クラッチレバーや昇降レバー等が配置され、これらのレバー操作等によって、クローラ走行装置、野菜掻き込み部16、及び野菜搬送部17を別個に駆動操作できるように構成される。
【0021】
野菜掻き込み部16は、畝上に置かれている玉葱を掻き込んで野菜搬送部17に受け渡すための部位である。野菜掻き込み部16は、左右一対の支持アーム160・160、掻き込み駆動ケース161、掻き込み装置163等を具備する。
【0022】
支持アーム160・160は、掻き込み装置163を支持する部材である。支持アーム160・160は、その前端部で掻き込み装置163を挟み両側に左右一対に配置される。支持アーム160の後端部は、野菜搬送部17の搬送駆動ケース171の後端部に枢支される。
【0023】
掻き込み駆動ケース161には、チェーンやスプロケット等の動力伝達機構が内装され、エンジン131からの動力が掻き込み装置163の駆動軸164に伝達されるようにしている。
【0024】
掻き込み装置163は、畝上の玉葱を野菜搬送部17のコンベア270上に案内するための装置である。掻き込み装置163は、支持アーム160・160の前端部に回転可能に支持される駆動軸164と、駆動軸164の左右両側に固定される回転輪165・165と、左右の回転輪165・165の外周間に搖動自在に支持される掻き込み体167・167・・・等を具備する。
【0025】
このような構成により、掻き込み装置163を畝に近づけた状態で、図1において反時計回りに掻き込み体167・167・・・を回転させることで、畝上に置かれた玉葱を掻き込み、連設される野菜搬送部17に案内することができる。
【0026】
野菜搬送部17は、野菜掻き込み部16から受け渡された玉葱を後方へ搬送し、搬送途中で選別作業者(補助作業者)により傷ついたり、腐ったりした出荷できない玉葱が除去され、後端からコンテナ55に収容される部位である。野菜搬送部17は主として左右一対の搬送駆動ケース171・171やコンベア270を備える。
【0027】
搬送駆動ケース171・171は、動力伝達機構を内装するとともにコンベア270を支持するものである。搬送駆動ケース171・171の後端部は、回動支軸173に枢支される。回動支軸173は、機体フレーム12の後部に立設した支柱に支持される。回動支軸173はコンベア270の駆動軸を兼ねる。また、搬送駆動ケース171と機体フレーム12との間には、油圧シリンダ172が介装されており、油圧シリンダ172を動作させることによって、搬送駆動ケース171の機体フレーム12に対する相対高さを調整できる構成となっている。
【0028】
コンベア270は、主として左右一対の駆動スプロケット271・271、回動支軸(駆動軸)173、左右一対の従動ローラ273・273、無端帯として構成される左右一対の搬送チェーン275・275、該搬送チェーン275・275の間に横架される搬送部材276・276・・・等によって構成される。
【0029】
駆動スプロケット271・271、従動ローラ273・273、及び搬送チェーン275・275は、搬送駆動ケース171・171に内装される。駆動スプロケット271・271は回動支軸173の両端に固設されて搬送駆動ケース171・171の後端部に左右一対に配置され、従動ローラ273・273は搬送駆動ケース171・171の前端部に横架された従動軸の左右に一対固設される。
【0030】
搬送チェーン275・275は、駆動スプロケット271・271と従動ローラ273・273に巻き掛けられ、左右一対に配置される。このように構成することより、駆動スプロケット271・271が駆動装置(不図示)により回転駆動されると、これにともなって搬送チェーン275・275が回転駆動される。
【0031】
搬送部材276は略直線棒状の部材にパイプが回転自在に外嵌され、搬送チェーン275・275の間に横架して、前後方向に所定間隔をあけて平行に並べることですだれ状の搬送面を形成するように構成される。搬送部材276は、所定本数をあけて高い位置と低い位置に配置され、側面視で凹部が形成され、玉葱が凹部内に入り搬送されるように構成される。
【0032】
こうして、駆動スプロケット271・271を回転駆動することにより搬送チェーン275・275が回転駆動され、搬送部材276・276・・・を搬送方向に向かって移動させることにより、玉葱は、前記凹部に収容されて移動され、野菜収容部18へと搬送することができる。コンベア270の後部に後述する本発明の草取りガイド20が配置される。
【0033】
野菜搬送部17の前後方向中途部の左右両側に作業部19・19が配設される。作業部19は、選別作業者が位置してコンベア20の搬送面上の傷物等の不要物を取り除くための部位である。作業部19は、主としてステップ191、座席192、安全フレーム193を備える。
【0034】
ステップ191は、作業者が座席192に座るために乗降する部位である。ステップ191は、前後方向を長手とする板上の部材であって、機体フレーム12の側部に支持部材を介して取り付けられる。
【0035】
座席192は、ステップ191の上面の前部、前後中央部、および後部の任意の位置に配置され、不要物の除去作業を行う作業者が着座するためのものである。安全フレーム193は、座席192に着座した作業者がコンベア270内に入り込まないようにガードするものである。
【0036】
また、作業者は、座席192・192に着座しながら、安全フレーム193を握ることで体を支えて、または、安全フレーム193・193にもたれることで、コンベア270の搬送面を搬送される不良の玉葱や根や茎等の不要物の除去作業が容易に行えるようにしている。
【0037】
野菜収容部18は、コンベア270から搬送される玉葱をコンテナ55に収容するための部位である。野菜収容部18は、前記機体フレーム12の後端に受台8が設けられ、該受台8上にコンテナ55を載置可能に構成され、コンベア270の後部には、草取りガイド20と玉葱をコンテナ55にガイドするシュータ9が設けられている。シュータ9は、ゴム等の弾性板材で構成され、コンベア270の後端左側部と下部と、受台8に載置されたコンテナ55の上端との間に配設される。こうして、コンベア270後端から落下した玉葱はシュータ9により案内されてコンテナ55内に収容されるようになる。
【0038】
次に、図3から図6を用いて、草取りガイド20について説明する。草取りガイド20は、コンベア270の後部に取り付けられて、コンベア270により野菜とともに搬送されてきた雑草や夾雑物を除去し、コンテナ55に入らないようにして、選別作業の負担を軽減するものである。
【0039】
詳述すると、草取りガイド20は、ガイド板21とガイド棒22と両者を連結する連結部材23から構成される。
【0040】
ガイド板21は、搬送駆動ケース171に取り付ける左右一対の支持部211と、左右の支持部211・211の間に配置されてガイド棒22を取り付ける取付部212を備える。
【0041】
支持部211は、板材が正面視L字状に折り曲げられ、左右方向に配置された下板部211aと上下方向に配設された側板部211bからなり、下板部211aに取付孔が上下方向に貫通開口されて、ボルト等により着脱可能に搬送駆動ケース171の後部上面に固定される。対向して配置した側板部211b・211bの間には取付部212の両端が固定される。草取りガイド20を着脱可能とすることにより後付が容易にでき、メンテナンスも容易にできる。
【0042】
取付部212は、左右方向に長い板材が側面視L字状に折り曲げられ、上下方向の垂直面に左右所定間隔をあけて取付孔212a・212a・・・が開口され、水平方向の水平面に左右所定間隔をあけて長孔状の挿入孔212b・212b・・・が開口されている。取付孔212a・212a・・・と挿入孔212b・212b・・・は同じ左右方向の位置(間隔)に配置される。その間隔は野菜の大きさに合わせられ、本実施例では玉葱の最大径程度としている。従って、野菜の種類や野菜の大きさに合わせて草取りガイド20は交換できるようにしている。
【0043】
取付孔212aは、連結部材23となるボルトを挿入可能な大きさの円形孔であり、取付孔212bの前面にナットが溶接固定されて、連結部材23となるボルトを螺装可能としている。挿入孔212bは、前後方向に長い長孔で構成され、垂直面の下端まで延設される。挿入孔212bの左右幅はガイド棒22の直径よりも若干大きくし、ガイド棒22が左右に揺動可能としている。つまり、該ガイド棒22が最大左右幅は、左右に揺動したときに、隣のガイド棒22と絡まない程度としている。挿入孔212bの前後長さは、前記ガイド棒22が後方へ揺動した時に玉葱がコンベア270との間に挟まらず落下できる程度としている。
【0044】
ガイド棒22は、連結部221と草取り部222からなる。連結部221は円板の中央にボルトを挿入可能な孔を前後方向に貫通開口しており、ガイド棒22が連結部材23となるボルト上で左右揺動可能、かつ、前後に摺動可能としている。但し、連結部221の形状は円板に限定するものではなく、棒材を円形に折り曲げて形成してもよい。
【0045】
草取り部222は棒材を側面視略半円状(横U字状)に折り曲げて形成され、一端は上方に延設されて、端部に連結部221が一体的設けられ、他端は搬送コンベア270の後端部からコンテナ55へ案内するシュータ9の上前方へ延設され、全体として前下方側が解放される構成としている。草取り部222の曲率半径は、コンベア270後部外周の曲率半径(駆動スプロケット271の半径)よりも大きく構成される。連結部材23はガイド棒22をガイド板21に左右揺動可能、かつ、前後に摺動可能に連結する部材であり、本実施形態ではボルトにより構成される。ただし、ピンやロッド等で構成することも可能である。
【0046】
こうして、ガイド棒22の草取り部222がガイド板21の挿入孔212bに挿入されて、ガイド棒22の連結部221に連結部材23が挿入された状態で、連結部材23がガイド板21の取付孔212aに挿入されて固定され、草取りガイド20が構成される。この状態では、ガイド棒22は連結部材23を支点として前後左右に揺動自在となっている。
【0047】
この草取りガイド20のガイド板21がコンベア270の後部上方を跨ぐように、左右の搬送駆動ケース171の後部上面に着脱可能に固定される。この時、ガイド棒22は図3に示すように、側面視でコンベア270の後部の上側との間に所定間隔(玉葱の外径程度)があけられ、下方にいくにしたがって徐々にその間隔が狭められ、ガイド棒22の下部内周がコンベア270の後下部に当接される。
【0048】
そして、収穫作業時には、野菜収穫機1の前進とともに野菜掻き込み部16により玉葱がコンベア270の前部に掻き込まれ、コンベア270上に乗り上げた玉葱は上後方へ搬送される。このとき、畝上の雑草や夾雑物も掻きこまれて上後方へ搬送される。この搬送途中で選別作業者により変形したり腐ったりした出荷できない玉葱が除去され、コンベア270後端で草取りガイド20により雑草や夾雑物が除去される。
【0049】
つまり、コンベア270の後端まで搬送された雑草や夾雑物は、草取りガイド20のガイド棒22に絡まり、玉葱とともに下方へ移動し、コンベア270の搬送部材276の前下方(反転して)への移動によりガイド棒22の前下方の先端から雑草や夾雑物が解放されて圃場面に落下する。玉葱はガイド棒22とガイド棒22の間から落下する。このとき玉葱の大きさがガイド棒22とガイド棒22の左右間隔よりも大きい場合や数個かたまりとなって搬送された場合等では、ガイド棒22は上下左右に揺動して、ガイド棒22とガイド棒22の間隔が広がり、または、ガイド棒22とコンベア270との間隔が広がり、その間から玉葱のみ下方のコンテナ55内へ落下する。
【0050】
以上のように、本実施形態の野菜収穫機1においては、走行部14と、前記走行部14の上部に配置される野菜搬送部17と、前記野菜搬送部17から搬送される野菜を収容する野菜収容部18と、を備えて、前記走行部14を駆動して機体を進行させながら野菜を収穫する野菜収穫機1であって、前記野菜搬送部17の後端部に草取りガイド20を設け、該草取りガイド20は、搬送コンベア270の後部外周を覆うごとく半円状に折り曲げるとともに、左右所定間隔をあけて平行に配置される複数のガイド棒22と、該ガイド棒22を支持するガイド板21とを備えるので、野菜の搬送と同時に雑草や夾雑物の除去が行え、選別作業者は雑草や夾雑物を除去することなく野菜の選別に集中できて選別作業の負担を軽減でき、作業効率を向上できる。また、野菜搬送部17の後部に配置するため、選別作業やコンテナ55への収容作業の邪魔にならない。また、少ない部品点数で簡単に構成できるため安価に構成できる。
【0051】
前記ガイド板21は、野菜搬送部17に搬送コンベア270の後部上方を左右方向に跨いで固定され、複数のガイド棒22の一端は、ガイド板21に対して前後左右揺動可能に支持されるので、野菜はガイド棒22に邪魔されることなく野菜収容部18へ搬送できる。つまり、左右のガイド棒の幅、または、ガイド棒とコンベアとの間の間隔よりも大きな玉葱が搬送されても、通過時にガイド棒22が前後左右に揺動して、ガイド棒は幅が広がり逃げて落下し、詰まることがなく、玉葱をコンテナ55へ収容することができる。
【0052】
前記ガイド棒22の他端は、搬送コンベア270終端からコンテナ55へ案内するシュータ9の上前方へ延設されるので、ガイド棒22に絡まった雑草や夾雑物は、玉葱の搬送と自重とによりコンベア270後下方に配置されるシュータ9前方へ移動して、ガイド棒22先端より解放されて圃場面に落下し、雑草や夾雑物を搬送するための動力が不要であり、雑草や夾雑物がコンテナ55内に落下することもない。
【符号の説明】
【0053】
1 野菜収穫機
14 走行部
17 野菜搬送部
18 野菜収容部
20 草取りガイド
21 ガイド板
22 ガイド棒
55 コンテナ
270 コンベア
図1
図2
図3
図4
図5
図6