(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
面状に広がりを有する基材上に、第1電極層、有機発光層、及び第2電極層が積層された積層体と、第1電極層又は第2電極層に直接的又は間接的に接続された複数の電極を有し、少なくとも一方の平面が発光面となる有機EL装置を備えた有機ELモジュールであって、
電気伝導性を有する通電部材と、面状に広がりを有する補強板を有し、
当該補強板は、有機EL装置の発光面と対向する面側に配されるものであり、
前記補強板は、開口又は切り欠きを有し、
前記通電部材の一部は、補強板の基材側にあって前記電極と電気的に接続されており、
前記通電部材の他の一部は、前記開口又は切り欠きを経由して補強板の反対面側に至っており、
通電部材の補強板の反対面側に露出した部位と他の通電部材とを相対的に押しつけて接触させる押圧部材を有し、
前記押圧部材は、前記通電部材の補強板の反対面側に露出した部位又は他の通電部材を前記有機EL装置側に押し付けるものであり、
前記押圧部材は、平面視したときに前記通電部材の補強板の反対面側に露出した部位の前記他の通電部材との接点として機能する部位と重なっていることを特徴とする有機ELモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、有機ELモジュール1の上下左右の位置関係は、
図2の姿勢を基準に説明する。すなわち、補強板5の裏面側から視た姿勢を基準とする。
【0023】
本実施形態の有機ELモジュール1は、
図4のように発光機能を有する有機EL装置2と、複数の通電部材3と、補強板5と、複数の押圧部材6とを備え、有機EL装置2と通電部材3と補強板5をコーキング部材7(
図5参照)によって一体化したものである。そして、有機ELモジュール1は、
図5のようにフレーム部材8を備え、さらに一体化強度を高めたものである。
【0024】
また、本実施形態の有機ELモジュール1の使用方法の一例として、
図1,
図2のように、有機ELモジュール1は、外部電源と電気的に接続可能な第2通電部材51を備えたベース部材50に好適に取り付け可能となっている。
本実施形態の説明において、有機ELモジュール1を固定する器具として、壁面等に取り付け可能なベース部材50を使用する場合について説明する。
【0025】
まず、有機ELモジュール1の各構成部材及びベース部材50について説明する。
本実施形態の有機EL装置2は、
図4のように透光性を有した基板10(基材)上に有機EL素子20を積層したものである。有機EL装置2は、その面内において、駆動時に実際に発光する発光面28を有した発光領域26と、駆動時の給電に寄与する複数の給電領域27を有している。具体的には、発光領域26は、幅方向wにおいて有機EL装置2の中央に位置しており、その周囲であって、幅方向wに対向する2辺近傍にそれぞれ給電領域27(27a,27b)が配されている。また、発光面28は、長手方向l(幅方向wに対して直交する方向)において、発光領域26の中央に位置している。
なお、本実施形態の有機EL装置2は、
図5のように少なくとも基板10側から光を放射するいわゆる「ボトムエミッション」型の有機EL装置である。
【0026】
有機EL装置2の発光領域26の構成について説明すると、有機EL装置2の発光領域26は、
図6のように面状に広がりをもった基板10上に、少なくとも1又は複数の有機EL素子20が積層されており、有機EL素子20上を封止部材16が覆っている。そして、当該封止部材16上に面状に広がりをもった均熱板17が載置されている。
封止部材16は、少なくとも発光領域26の発光面28を覆っている。封止部材16は、有機EL素子20の面上であって、後述する電極部18a〜18f以外の領域全体を覆っていることが好ましい。
均熱板17は、少なくとも発光面28の天地方向の投影面上に配されており、間接的に発光面28全面を覆っている。そのため、有機ELモジュール1の駆動時に発光面28で発生した熱が封止部材16を介して均熱板17に伝わることで平面状にまんべんなく均熱することができる。それ故に、局所的に集熱されることを防止でき、熱による発光欠陥の発生を防止することができる。
【0027】
一方、有機EL装置2の発光領域26の外側に位置する給電領域27a,27bの構成について説明すると、有機EL装置2の給電領域27a,27bは、
図7のように有機EL素子20内の第1電極層11又は第2電極層15と電気的に接続された電極部18(18a〜18f)(電極)を複数有している。言い換えると、電極部18a〜18fは、給電領域27a,27b内に位置しており、基板10の幅方向wに対向する2辺近傍に位置している。
本実施形態の有機EL装置2では、給電領域27aには、3つの電極部18a,18c,18eが長手方向lに1列に並設されており、給電領域27bには、3つの電極部18b,18d,18fが長手方向lに1列に並設されている。そして、発光領域26を挟んで幅方向wに対向する電極部18a,18b、電極部18c,18d、電極部18e,18fは、それぞれ
図7のように同極の電極層と電気的に接続されている。具体的には、長手方向lの中央側に位置する電極部18c,18dは、有機EL素子20内の第2電極層15と電気的に接続されており、その両外側(長手方向lに対向する2辺側)に位置する電極部18a,18b、電極部18e,18fは、有機EL素子20内の第1電極層11と電気的に接続されている。また、電極部18a,18c,18eは、基板10の幅方向の一方の端面と面一となっており、電極部18b,18d,18fは、基板10の幅方向のもう一方の端面と面一となっている。
なお、有機EL装置2を形成する各部位の詳細な説明については、後述する。
【0028】
続いて、通電部材3について説明する。
通電部材3(3a,3b,3c)は、
図8のように塑性変形させて使用可能な部材であり、通電部材3は有機ELモジュール1の外部と有機EL装置2を直接的又は間接的に通電可能とする部材である。通電部材3a〜3cは、それぞれ引き延ばすと、
図9のような長い箔状の部材となる。なお、
図9では、厚みを誇張して図示しており、実際は、箔体である。
【0029】
通電部材3は、
図10(d)のように、電気伝導性を有した導電箔21と、導電箔21の両面(表裏面)の大部分を覆う絶縁性フィルム22(22a〜22h)から形成されている。
通電部材3は、
図10のように両面に導電箔21が絶縁性フィルム22から露出した露出領域33(33a〜33d)と、導電箔21が絶縁性フィルム22に覆われた被覆領域35(35a〜35e)が複数存在する。
具体的には、
図10(c)のように通電部材3の表面(有機EL装置2側)には長手方向wに4つの露出領域33a〜33dが配されており、その露出領域33a〜33dはそれぞれ長手方向wに直交する方向に延伸している。そして、露出領域33a〜33dのそれぞれを挟むように被覆領域35a〜35eが配されている。すなわち、通電部材3の表面(有機EL装置2側)は、被覆領域35a,露出領域33a,被覆領域35b,露出領域33b,被覆領域35c,露出領域33c,被覆領域35d,露出領域33d,被覆領域35eの順に被覆領域35と露出領域33が交互に配されている。
長手方向wの中央に位置する被覆領域35cにおける絶縁性フィルム22cは、
図10(b)のように他の被覆領域35a,35b,35d,35eにおける絶縁性フィルム22a,22b,22d,22eに比べて厚みが厚くなっている。
【0030】
各露出領域33a〜33dについて注目すると、通電部材3の両端近傍に位置する露出領域33a,33dは、
図10(c)のように導電箔21が方形状に露出した部位であり、ベース部材50に有機ELモジュール1を取り付けた状態において、第2通電部材51の平面電極部55に直接接触する部位である。すなわち、露出領域33a,33dは、第2通電部材51との接点として機能する部位である。
また、露出領域33a,33dの内側であって、かつ中央に位置する被覆領域35cの外側に位置する露出領域33b,33cは、導電箔21がスリット状に露出した部位であり、有機EL装置2の電極部18に直接接触する部位である。すなわち、露出領域33b,33cは、電極部18との電気的な接点として機能する部位である。
そして、通電部材3は、露出領域33a,33dに平面電極部55が接触し、露出領域33b,33cに有機EL装置2の電極部18が接触することによって、導電箔21を介して有機EL装置2と第2通電部材51とを電気的に接続可能となっている。
【0031】
一方、通電部材3の裏面(補強板5側)には、
図10(a)のように長手方向wに2つの露出領域33e,33fが配されており、その露出領域33e,33fは長手方向wに直交する方向に延伸している。そして、露出領域33e,33fを挟むように被覆領域35f〜35hが配されている。すなわち、通電部材3の裏面(補強板5側)は、被覆領域35f,露出領域33e,被覆領域35g,露出領域33f,被覆領域35hの順に、被覆領域35と露出領域33が交互に配されている。
【0032】
長手方向wの中央に位置する被覆領域35gにおける絶縁性フィルム22gは、
図10(b)のように他の被覆領域35f,35hにおける絶縁性フィルム22f,22hに比べて厚みが厚くなっており、表面に位置する被覆領域35cにおける絶縁性フィルム22cとほぼ同じ厚みとなっている。すなわち、通電部材3は、長手方向wの端部側の厚みが、中央側に比べて薄くなっている。
【0033】
各露出領域33e,33fについて注目すると、露出領域33e,33fは、導電箔21が方形状に露出した部位であり、導電箔21を介して露出領域33b,33cと対応する位置(導電箔21の表裏)に位置している。露出領域33e,33fは、有機ELモジュール1を組み立てた際に露出領域33a,33dと、露出領域33b,33cとの間の電流の導電経路を短くするとともに有機EL装置2内での十分な導電面積を確保する部位である。
また、露出領域33e,33fの長手方向wの長さは、
図10(b)のように露出領域33b,33cの長手方向wの長さよりも長く、露出領域33e,33fは、露出領域33b,33cの部材厚方向の投影面を全て含んでいる。
【0034】
導電箔21は、導電性を有した箔状体であり、折曲可能な部材である。導電箔21の素材としては、導電性を有していれば、特に限定されるものではなく、銅箔や白金箔、金箔、銀箔などが採用できる。本実施形態では、銅箔を採用している。
絶縁性フィルム22は、絶縁性を有したフィルムである。絶縁性フィルム22の素材は、絶縁性を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が採用できる。
【0035】
続いて、補強板5について説明する。
補強板5は、有機EL装置2の機械的強度を補強する部材である。補強板5は、
図8のように長方形状の薄板であり、2つのスリット状の貫通孔25a,25bを有している。貫通孔25a,25bは、開口形状が長方形となっており、有機ELモジュール1の組み立て時において、その延伸方向が通電部材3の並設方向lを向いている。そして、貫通孔25は、通電部材3の一部を挿通可能となっている。
【0036】
補強板5は、基板10の種類によって適宜選択されるものであり、基板10よりも機械的強度が高い材料で形成されていることが好ましく、金属製や樹脂製であることが好ましい。金属製の場合は、ステンレス製であることがより好ましい。樹脂製の場合は、ポリカーボネート製(PC製)であることがより好ましい。また、補強板5は、基板10よりも曲げ強さが強いことが好ましい。
【0037】
補強板5の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、PC製の場合、1mm以上1cm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることがより好ましく、1mm以上3mm以下であることが特に好ましい。これより厚くなると、有機ELモジュール1の厚みが小さくて軽量という特長が活かされないし、これより薄くなると、機械的強度が足らない場合がある。
【0038】
続いて、押圧部材6について説明する。
押圧部材6は、ベース部材50に有機ELモジュール1を取り付ける時において、ベース部材50に設けられた第2通電部材51(他の通電部材)と通電部材3とを相対的に押しつける部材である。本実施形態の押圧部材6は、ベース部材50に設けられた第2通電部材51(他の通電部材)を通電部材3に押しつける機能を有する。
押圧部材6は、
図8のように側面視して略「Z」字状の部材であり、天地方向に高低差を有する2つの平面を有する。押圧部材6は、補強板5に取り付けられる取り付け部30と、第2通電部材51の平面電極部55を通電部材3に押しつける押圧部31と、取り付け部30と押圧部31とを接続する接続部32とを有している。
また、押圧部材6は、長尺状の部材であり、押圧部材6の長手方向lの長さは、幅方向lに並設された通電部材3a〜3c全てに亘って覆う長さとなっており、そして、貫通孔25の延伸方向lの長さと等しいかやや小さい。
【0039】
続いて、フレーム部材8について説明する。
フレーム部材8は、
図3のように額縁状の部材であり、基板10の剛性を補強する部材である。フレーム部材8は、有機ELモジュール1の組み立て時に有機EL装置2の4辺を囲み、有機EL装置2と補強板5との離反を防止する部材である。
フレーム部材8は、断面形状が「コ」字状の枠体であり、天面部37と、底面部38と、天面部37と底面部38を接続する立壁部40を有している。また、天面部37の立壁部40からの突出方向w端面には、押圧部材6を補強板5に固定する切り欠き部23を有している。そして、切り欠き部23の内部には、取り付け部30の一部を取り付け可能となっている。
【0040】
続いて、有機ELモジュール1の取り付け対象たるベース部材50について説明する。
ベース部材50は、
図11のように外部電源と電気的に接続可能な第2通電部材51と、壁面等に固定可能な支持部材52を有している。
第2通電部材51は、外部電源と接続可能な本体部53と、通電部材3と接触する平面電極部55とを有している。
本体部53は、支持部材52の裏面側(有機ELモジュール1と反対側)(図面上方)に位置しており、外部電源と接続される部位である。本体部53は、支持部材52上の四角の領域である。
一方、平面電極部55は、支持部材52の表面側(有機ELモジュール1側)(図面下方)に位置しており、有機ELモジュール1をベース部材50に取り付けた状態において、通電部材3の露出領域33a,33dに直接接触する接触面を有している。
【0041】
続いて、有機ELモジュール1の一般的な組み立て手順に従って各部材の位置関係について説明する。
【0042】
まず、通電部材3を補強板5に設置する工程について説明する。なお、通電部材3a〜3cについては補強板5に設置する工程が同じであるため、特に断りのない限り、通電部材3aについて説明し、通電部材3b,3cについては説明を省略する。
通電部材3aを折り曲げ、補強板5に取り付ける。具体的には、通電部材3aの露出領域33b,33cが外側になるように折り曲げ(
図12(a)から
図12(b))、被覆領域35f,35hの絶縁性フィルム22f,22hの縁と、被覆領域35gの絶縁性フィルム22gの縁が重なるように折り返す(
図12(b)から
図12(c))。
このとき、通電部材3aについて注目すると、露出領域33eの一部は、露出領域33eの他の部分と重なって接触している。同様に露出領域33fの一部は、露出領域33fの他の部分と重なって接触している。
【0043】
そして、補強板5の貫通孔25a,25b内に通電部材3の一部を挿入する(
図12(c))。
このとき、露出領域33eと露出領域33aの間に位置する部位が、貫通孔25aの内部に位置しており、露出領域33fと露出領域33dの間に位置する部位が、貫通孔25bの内部に位置している。すなわち、露出領域33b,33cは、補強板5の表面側(有機EL装置側)に位置しており、露出領域33a,33dは、補強板5の裏面側(ベース部材50側)に位置している。言い換えると、通電部材3は、貫通孔25a,25bを経由して、補強板5の表裏に跨っている。
【0044】
そして、補強板5の貫通孔25a,25b間の部位を覆うように、通電部材3aの被覆領域35fの絶縁性フィルム22f及び被覆領域35hを内側に折り曲げる(
図12(c)から
図12(d))。
このとき、絶縁性フィルム22f,22hは、補強板5上に載置されている。露出領域33a,33dは、天地方向上方を向いている。絶縁性フィルム22fと絶縁性フィルム22gは補強板5を挟んでいる。同様に絶縁性フィルム22hと絶縁性フィルム22gは補強板5を挟んでいる。また、絶縁性フィルム22fと補強板5は接着されている。同様に絶縁性フィルム22hと補強板5は接着されている。
【0045】
また、全体からみると、
図4のように貫通孔25の長手方向l内に通電部材3a,3b,3cが並設されている。そして、各通電部材3a,3b,3cは、互いに所定の間隔を空けて配されている。具体的には、通電部材3a,3b間の間隔は、有機EL装置2の電極部18b,18d間及び/又は電極部18a,18dと等しい。同様に通電部材3b,3c間の間隔は、有機EL装置2の電極部18d,18f間及び/又は電極部18d,18eと等しい。また、通電部材3a,3b,3cの露出領域33a,33a,33aは、長手方向lに直線上に並んでいる。同様に露出領域33d,33d,33dも長手方向lに直線上に並んでいる。
【0046】
補強板5の貫通孔25a,25b内に通電部材3a,3b,3cがそれぞれ挿入されている。通電部材3a,3b,3cの一部が補強板5の貫通孔25a,25b内を経由して、補強板5の裏面側(上方側)に張り出している。被覆領域35bの絶縁性フィルム22b及び被覆領域35dの絶縁性フィルム22dは、貫通孔25a,25bを経由して内外に位置している。すなわち、通電部材3は補強板5の表面側と補強板5の裏面側を、導電箔21を介して電気的に接続している。
【0047】
次に、別途工程によって組み立てられた有機EL装置2上に、上記した工程によって一体化された通電部材3a,3b,3cと補強板5を載置する。
このとき、有機EL装置2の電極部18a,18bは通電部材3aの露出領域33a,33dと接触している。同様に電極部18c,18dは通電部材3bの露出領域33a,33dと接触しており、電極部18e,18fは通電部材3cの露出領域33a,33dと接触している。
【0048】
その後、有機EL装置2の側面と、各通電部材3a,3b,3cの一部にコーキング原料を塗布して、コーキング部材7を形成する。
このとき、有機EL装置2の側面と、各通電部材3a,3b,3cの一部を覆うようにコーキング部材7が形成されている。コーキング部材7の外側側面は、
図5のように補強板5の端面と面一となっている。
なお、ここで使用するコーキング部材7の原料としては、接着性を有し、固化する原料であれば特に限定されないが、絶縁性を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。特に防水性を有した樹脂であることがより好ましい。
【0049】
コーキング部材7の形成後、コーキング部材7の外側からコーキング部材7と補強板5との接続部位を覆うように、フレーム部材8を取り付け、補強板5と、通電部材3a,3b,3cと、有機EL装置2とを一体化する。
このとき、フレーム部材8は、底面部38上に有機EL装置2の基板10が載置されており、補強板5上に天面部37が位置している。そして、有機EL装置2と補強板5は挟持されており、立壁部40の剛性によって、補強板5と、有機EL装置2が離反することが防止されている。
【0050】
その後、補強板5上に押圧部材6a,6bを取り付ける。
このとき、一方の押圧部材6bの一部は、
図3のようにフレーム部材8の切り欠き部23内に挿入されている。押圧部材6aの押圧部31の接続部32からの突出方向は、幅方向wであって、押圧部材6bの押圧部31の接続部32と同一方向に向いている。押圧部材6aの押圧部31の下面は、通電部材3a,3b,3cの露出領域33a,33a,33aと対面している。同様に押圧部材6bの押圧部31の下面は、通電部材3a,3b,3cの露出領域33d,33d,33dと対面している。通電部材3a,3b,3cと補強板5は接着されている。
すなわち、押圧部材6aの押圧部31の下面と補強板5の上面との間に、通電部材3a,3b,3cのそれぞれの露出領域33aが位置しており、同様に、押圧部材6bの押圧部31の下面と補強板5の上面との間に、通電部材3a,3b,3cのそれぞれの露出領域33dは位置している。そのため、通電部材3の露出領域33a,33dは、押圧部材6a,6bによって隠されており、外部から視認困難又は視認不能となっている。また、露出領域33a,33dは、押圧部材6a,6bによって覆われているため、作業者は直接露出領域33a,33dに接触することが困難又は不能となっている。
【0051】
また、
図11のように押圧部材6aの押圧部31の突出方向は、通電部材3の被覆領域35f(
図10参照)の折り曲げ方向と逆方向を向いている。すなわち、押圧部材6aの押圧部31と被覆領域35fは幅方向wに交差している。
一方、押圧部材6bの押圧部31の突出方向は、通電部材3の被覆領域35h(
図10参照)の折り曲げ方向と同一方向を向いている。
【0052】
続いて、上記した手順によって形成された有機ELモジュール1をベース部材50に取り付ける場合について、一般的な取り付け手順に沿って有機ELモジュール1の各部材と、ベース部材50との位置関係について説明する。
【0053】
ベース部材50の第2通電部材51の平面電極部55を、押圧部材6a,6bの押圧部31と、通電部材3の露出領域33a,33dとの間の空間56に挿入し、補強板5とベース部材50が平行になるように設置する(
図13(a)から
図13(b))。
具体的には、幅方向w(押圧部材6の押圧部31の突出方向)に有機ELモジュール1をスライドさせて、平面電極部55を当該空間56内に押し込む。
このとき、平面電極部55は、押圧部材6a,6bの押圧部31,31によって通電部材3の露出領域33a,33dに押しつけられている。押圧部材6a,6bからみると、ベース部材50の支持部材52と、平面電極部55によって挟まれている。
【0054】
続いて、本発明の有機ELモジュール1を
図14のように外部電源に繋いだ場合の予想される電流の流れについて説明する。なお、ここでは、通電部材3aと通電部材3bを通過する電流の関係について説明し、通電部材3cと通電部材3bを通過する電流の関係については同様であるため省略する。
【0055】
外部電源から流れる電流は、
図15の上図のように第2通電部材51a,51bの本体部53,53から電流が入り、平面電極部55,55に至る。また、平面電極部55,55から通電部材3aの露出領域33a,33dに伝わり、有機ELモジュール1内に電流が伝わる。露出領域33a,33dに至った電流は、通電部材3aの導電箔21を介して露出領域33b,33cに至る。そして、露出領域33b,33cから電極部18a,18bに至り、有機EL素子20内の第1電極層11に伝わる。
【0056】
電流は、
図16のように第1電極層11内を面状に広がり、有機EL素子20内を伝わって機能層12が発光し、第2電極層15に伝わる。また、第2電極層15から電極部18c,18dを介して通電部材3bの露出領域33b,33cに伝わる。
図15の下図のように通電部材3bの露出領域33b,33cから導電箔21を介して露出領域33a,33dに至る。そして、有機ELモジュール1の露出領域33a,33dからベース部材50の平面電極部55に至り、第2通電部材51内を伝わり、ベース部材50の本体部53を介して外部電源に至る。
【0057】
本実施形態の構成によれば、ベース部材50の第2通電部材51から有機EL装置2に通電部材3を介して電流が伝わる際に、通電部材3内で、2つの導電経路を有している。
詳説すると、1つ目の導電経路は、
図17(a)のように露出領域33aから電流が入り、露出領域33bを介して電極部18に伝わる経路と、露出領域33aから電流が入り、被覆領域35gの導電箔21を介して露出領域33cに伝わる経路である。2つ目の導電経路は、
図17(b)のように露出領域33dから電流が入り、露出領域33cを介して電極部18に伝わる経路と、露出領域33dから電流が入り、被覆領域35cを介して露出領域33dに伝わる経路である。
このように2つの導電経路を有しているため、たとえ第2通電部材51aの平面電極部55と露出領域33aと、第2通電部材51aの平面電極部55と露出領域33dの内、一方の接触が不十分となっていても、もう一方が導電経路として機能するため、確実に有機EL装置2へ確実に電流を供給することができる。
なお、有機EL装置2からベース部材50の第2通電部材51に通電部材3を介して電流が伝わる際においても同様である。
【0058】
本実施形態の構成によれば、第2通電部材51a,51b,51e,51fと有機EL装置2の第1電極層11とを電気的に接続した導電経路が4つあるため、たとえ通電部材3と第2通電部材51a,51b,51e,51fとの接触の内、いずれかが接触不十分となったとしても、有機EL装置2に通電することができる。同様に、第2通電部材51c,51dと有機EL装置2の第2電極層15とを電気的に接続した導電経路が2つあるため、たとえ通電部材3と第2通電部材51c,51dとの接触の内、いずれかが接触不十分となったとしても、有機EL装置2に通電することができる。
【0059】
最後に、有機EL装置2を構成する各部位について説明する。
【0060】
基板10は、透光性を有した基板が採用されている。例えば、フレキシブル基板やプラスチック基板などから適宜選択され採用される。ガラス基板やフィルム基板は透明性や加工性の良さの点から特に好ましい。
本実施形態では、基板10としてガラス基板が採用されている。
基板10の厚みは、0.3mmから5mmであり、0.5mmから3mmであることが好ましい。
また、基板10の面積は、25cm
2から4m
2であり、50cm
2から2m
2であることが好ましく、100cm
2から2500cm
2であることが特に好ましい。
【0061】
有機EL素子20は、少なくとも、第1電極層11と、機能層12(有機発光層)と、第2電極層15から形成される積層体である。本実施形態では、基板10側から順に第1電極層11と、機能層12と、第2電極層15が積層されて形成されている。
【0062】
第1電極層11の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物や、銀(Ag)、クロム(Cr)等のような金属などが採用される。機能層内の発光層から発生した光を効果的に取り出せる点では、透明性が高いITOあるいはIZOが特に好ましい。本実施形態では、ITOを採用している。
【0063】
機能層12は、第1電極層11と第2電極層15との間に設けられ、少なくとも一つの発光層を有している層である。機能層12の素材は、主に有機化合物からなる複数の層から構成されている。この機能層12は、一般な有機EL装置に用いられている低分子系色素材料や、共役系高分子材料などの公知なもので形成することができる。また、この機能層12は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの複数の層からなる積層多層構造であってもよい。
【0064】
第2電極層15の素材は、特に限定されるものではなく、例えば銀(Ag)やアルミニウム(Al)などが挙げられる。本実施形態の第2電極層15は、Alで形成されている。
【0065】
封止部材16は、防水性及び絶縁性を有した公知の部材であり、例えば、SiO
2等が採用できる。本実施形態では、SiO
2を採用している。
【0066】
均熱板17は、均熱性を有した板状体であり、例えば、グラファイトシートやアルミ板などが採用できる。
【0067】
電極部18は、第1電極層11又は第2電極層15と直接的又は間接的に接続され、電気的に接続された部材である。電極部18の素材としては、電気伝導性を有すれば特に限定されるものではなく、例えば、異方性導電膜(ACF)や低温半田などが採用できる。また、第1電極層11又は第2電極層15の一部を電極部18として使用してもよい。なお、本実施形態では、電極部18は異方性導電膜(ACF)によって形成されている。
【0068】
続いて、第2実施形態における有機ELモジュール100について説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0069】
本実施形態の有機ELモジュール100は、
図20,
図21のように発光機能を有する有機EL装置102と、複数の通電部材103と、補強板5と、複数の押圧部材6とを備え、有機EL装置102と通電部材3と補強板5をコーキング部材7によって一体化したものである。
また、本実施形態の有機ELモジュール100の使用方法の一例として、
図18,
図19のように、有機ELモジュール1は、外部電源と電気的に接続可能な第2通電部材151を備えたベース部材150に好適に取り付け可能となっている。
そこで、本実施形態の説明において、有機ELモジュール100を固定する器具として、壁面等に取り付け可能なベース部材150を使用する場合について説明する。
【0070】
まず、有機ELモジュール100の各構成部材及びベース部材150について説明する。
【0071】
図21のように、有機EL装置102は、第1実施形態の有機EL装置2とほぼ同様の構成をしている。具体的には、均熱板17を封止部材16上に載置していないこと以外は同様である。すなわち、有機ELモジュール100は、
図21のように通電部材103と封止部材16との間に介在せず、封止部材16上に通電部材103が載置されている。なお、本実施形態では、後述する理由によって、均熱板17を除いているが、均熱板17を設置することを妨げるものではない。
【0072】
本実施形態の押圧部材6は、第1実施形態の押圧部材6とは異なり、ベース部材150に設けられた第2通電部材151(他の通電部材)に、通電部材103を押しつける機能を有する。
【0073】
通電部材103(103a,103b,103c)は、
図22のように第1実施形態の通電部材3と同様、折曲させて使用可能な部材であり、有機ELモジュール1の外部と有機EL装置102とを直接的又は間接的に通電可能とする部材である。
通電部材103は、
図23(d)のように、第1実施形態の通電部材3と同様、電気伝導性を有した導電箔21と、導電箔21の両面の大部分を覆う絶縁性フィルム22から形成されている。
【0074】
通電部材103は、
図23(b)のように表裏面のそれぞれに、導電箔21が絶縁性フィルム22から露出した露出領域133と、導電箔21が絶縁性フィルム22に覆われた被覆領域135が存在する。
具体的には、通電部材103の表面(有機EL装置102側)には、
図23(c)のように長手方向wに3つの露出領域133a〜133cが配されており、その露出領域133a〜133cは、それぞれ長手方向wに直交する方向に延伸している。そして、露出領域133a,133bのそれぞれを挟むように被覆領域135a〜135cが配されており、露出領域133aの外側に被覆領域135aが配されている。すなわち、通電部材103の表面(有機EL装置102側)は、
図23(c)のように被覆領域135a,露出領域133a,被覆領域135b,露出領域133b,被覆領域135c,露出領域133cの順に被覆領域135と露出領域133が交互に配されている。
また、長手方向wの中央に位置する被覆領域135bの絶縁性フィルム22Bは、
図23(b)のように他の被覆領域135a,135cの絶縁性フィルム22A,22Cに比べて厚みが厚くなっている。
【0075】
各露出領域133a〜133cについて注目すると、通電部材103の一方の端部に位置する露出領域133cは、
図23(c)のように導電箔21が方形状に露出した部位であり、ベース部材150に有機ELモジュール100を取り付けた状態において、第2通電部材151(
図19参照)に直接接触する部位である。
また、被覆領域135aと露出領域133cの内側であって、かつ中央に位置する被覆領域135bの外側に位置する露出領域133a,133bは、導電箔21がスリット状に露出した部位であり、有機EL装置102の電極部18a,18b(18c,18d、18e,18f)(
図20参照)に直接接触する部位である。すなわち、露出領域133a,133bは、電極部18a,18b(18c,18d、18e,18f)との接点として機能する部位である。
【0076】
一方、通電部材103の裏面(補強板5側)には、
図23(a)のように長手方向wに3つの露出領域133d〜133fが配されており、露出領域133d〜133fは、長手方向wに直交する方向に延伸している。そして、露出領域133e,133fを挟むように被覆領域135d〜135fが配されている。すなわち、通電部材103の裏面(補強板5側)は、露出領域133d,被覆領域135d,露出領域133e,被覆領域135e,露出領域133f,被覆領域135fの順に、被覆領域135と露出領域133が交互に配されている。
【0077】
長手方向wの中央に位置する被覆領域135eの絶縁性フィルム22Eは、
図23(b)のように他の被覆領域135d,135fの絶縁性フィルム22D,22Fに比べて厚みが厚くなっており、反対面(表面)に位置する被覆領域135bにおける絶縁性フィルム22Bとほぼ同じ厚みとなっている。
【0078】
各露出領域133d,133e,133fについて注目すると、露出領域133e,133fは、導電箔21が方形状に露出した部位であり、
図23(b)のように導電箔21を介して露出領域133a,133bと部材厚方向に対応する位置に設けられている。露出領域133eは、有機ELモジュール100を組み立てた際に、裏面の露出領域133dと、表面の露出領域133aとの間の電流の導電経路を短くするとともに有機EL装置2内での十分な導電面積を確保する部位である。同様に、露出領域133fは、表面の露出領域133cと、露出領域133bとの間の電流の導電経路を短くするとともに有機EL装置2内での十分な導電面積を確保する部位である。
【0079】
通電部材103の他方の端部(露出領域133cと反対側の端部)に位置する露出領域133dは、方形状の導電箔21が露出した部位であり、ベース部材150に有機ELモジュール100を取り付けた状態において、第2通電部材151に直接接触する部位である。すなわち、表面の露出領域133cと裏面の露出領域133dは、第2通電部材151a,151b(151c,151d、151e,151f)との接点として機能する部位である。
また、裏面の露出領域133e,133fの長手方向wの長さは、表面の露出領域133a,133bの長手方向wの長さよりも長く、露出領域133e,133fは、露出領域133a,133bの部材厚方向の投影面を全て含んでいる。
そして、通電部材103は、露出領域133c,133dに第2通電部材151が接触し、露出領域133a,133bに有機EL装置102の電極部18a,18bが接触することによって、導電箔21を介して有機EL装置102と第2通電部材151a,151bとを電気的に接続可能となっている。
【0080】
続いて、有機ELモジュール100の取り付け対象たるベース部材150について説明する。
ベース部材150は、
図19のように外部電源と電気的に接続可能な第2通電部材151と、壁面等に固定可能な支持部材152を有している。
支持部材152は、
図19のように長方形状の板体であり、2つのスリット状の貫通孔156a,156bを有している。
貫通孔156a,156bは、開口形状が長方形となっており、長手方向lに延伸している。貫通孔156a,156bは、通電部材103の一部及び押圧部材6の一部が挿通可能となっている。
【0081】
第2通電部材151(151a〜151f)は、支持部材152の裏面側(有機EL装置102と反対側)に位置しており、外部電源と電気的に接続される部位である。また、幅方向wに対応する第2通電部材151a,151b(151c,151d、151e,151f)は、通電部材103の露出領域133c,133dと接触することで、外部電源と有機EL装置102とを電気的に接続する部位である。すなわち、通電部材103の露出領域133c,133dに直接接触する接触面を有している。
【0082】
通電部材103の露出領域133cと接触する第2通電部材151a,151c,151eは、貫通孔156aの内側(貫通孔156a,156bの内側)に並設されている。そして、第2通電部材151a,151c,151eは、貫通孔156aの延伸方向lにそれぞれ所定の間隔を空けて配されている。
一方、通電部材103の露出領域133dと接触する第2通電部材151b,151d,151fは、貫通孔156bの外側(支持部材152の縁側)に並設されている。そして、第2通電部材151b,151d,151fは、貫通孔156bの延伸方向lにそれぞれ所定の間隔を空けて配されている。
すなわち、第2通電部材151は、支持部材152上に平面状に分布している。
【0083】
続いて、有機ELモジュール100の一般的な組み立て手順に従って各部材の位置関係について説明する。
【0084】
まず、通電部材103を補強板5に設置する工程について説明する。なお、通電部材103a〜103cについては補強板5に設置する工程が同じであるため、特に断りのない限り、通電部材103aについて説明し、通電部材103b,103cについては説明を省略する。
通電部材103aを折り曲げ、補強板5に取り付ける。具体的には、通電部材103aの露出領域133a,133bが外側になるように折り曲げ(
図25(a)から
図25(b))、被覆領域135d,135fの絶縁性フィルム22D,22Fの縁と、被覆領域135eの絶縁性フィルム22Eの縁が重なるように折り返す(
図25(b)から
図25(c))。
このとき、通電部材103について注目すると、露出領域133eの一部は、露出領域133eの他の部分と重なって接触している。同様に、露出領域133fの一部は、露出領域133fの他の部分と重なって接触している。
【0085】
そして、補強板5の貫通孔25a,25b内に通電部材103の一部を挿入する(
図25(c))。
このとき、被覆領域135d(露出領域133eと露出領域133dの間に位置する部位)が、貫通孔25aの内部に位置しており、被覆領域135f(露出領域133fと露出領域133cの間に位置する部位)が、貫通孔25bの内部に位置している。すなわち、露出領域133a,133bは、補強板5の表面側(有機EL装置102側)に位置しており、露出領域133d,133cは、補強板5の裏面側(ベース部材150側)に位置している。
【0086】
そして、補強板5の貫通孔25a,25b間の部位を覆うように、通電部材103の露出領域133dを内側に折り曲げ、露出領域133cを外側に折り曲げる(
図25(c)から
図25(d))。
このとき、露出領域133d,133cの折り曲げ部位は、補強板5に対して所定の間隔を空けて配されている。すなわち、露出領域133d,133cの折り曲げ部位と補強板5との間には空間157a,157bが形成されている。露出領域133a,133d折り曲げ部位(第2通電部材151と面接触する部位)は、天地方向下方(補強板5の裏面と対面する方向)を向いている。
【0087】
全体からみると、
図20のように貫通孔25a,25bの長手方向l内に通電部材103a,103b,103cが並設されている。また、各通電部材103a,103b,103cは、互いに所定の間隔を空けて配されている。具体的には、通電部材103a,103b間の間隔は、有機EL装置102の隣接する電極部18b,18d間と等しく、ベース部材150の隣接する第2通電部材151b,151d(
図19参照)間に等しい。同様に通電部材103b,103c間の間隔は、有機EL装置102の隣接する電極部18d,18f間と等しく、ベース部材150の隣接する第2通電部材151d,151f(
図19参照)間に等しい。
【0088】
補強板5の貫通孔25a,25b内に通電部材103a,103b,103cがそれぞれ挿入されている。通電部材103の一部が補強板5の貫通孔25a,25b内を経由して、補強板5の裏面側に張り出している。被覆領域135dの絶縁性フィルム22D及び被覆領域135cの絶縁性フィルム22Cは、貫通孔25a,25bを経由して内外に位置している。すなわち、通電部材103は、補強板5の表面側と補強板5の裏面側を、導電箔21を介して電気的に接続している。
【0089】
次に、別途工程によって組み立てられた有機EL装置102上に、上記した工程によって一体化された通電部材103と補強板5を載置する。
このとき、有機EL装置102の電極部18a,18bは、通電部材103aの露出領域133d,133cと接触している。同様に電極部18c,18dは通電部材103bの露出領域133d,133cと接触しており、電極部18e,18fは通電部材103cの露出領域133d,133cと接触している。
また、中央に位置する被覆領域135bの下方に有機EL装置2の発光領域26が位置している。
【0090】
その後、有機EL装置102の側面と、各通電部材103a,103b,103cの一部にコーキング原料を塗布して、コーキング部材7を形成する。
このとき、有機EL装置102の側面と、各通電部材103a,103b,103cの一部を覆うようにコーキング部材7が形成されている。コーキング部材7の外側側面は、
図5のように補強板5の端面と面一となっている。
【0091】
その後、補強板5上に押圧部材6a,6bを取り付ける。
このとき、押圧部材6aの押圧部31の接続部32からの突出方向は、
図20,
図21のように幅方向wであって、押圧部材6bの押圧部31の接続部32と同一方向に向いている。押圧部材6aの押圧部31の下面は、通電部材103の被覆領域135aの絶縁性フィルム22Aと対面している。同様に押圧部材6bの押圧部31の下面は、通電部材103の被覆領域135fの絶縁性フィルム22Fと対面している。言い換えると、通電部材103の露出領域133dに位置する導電箔21は、押圧部材6bの押圧部31と反対側(補強板5側)を向いており、露出領域133cに位置する導電箔21は、押圧部材6bの押圧部31の下面と反対側(補強板5側)を向いている。
そのため、露出領域133d,133cに位置する導電箔21は、押圧部材6a,6b側に露出しておらず、外部から視認困難又は視認不能となっている。また、露出領域133d,133cに位置する導電箔21は、押圧部材6a,6b側に露出していないため、作業者は直接露出領域133a,133dに接触することが困難又は不能となっている。それ故に、有機ELモジュール100の取り付け時に作業者は安全に作業することができる。
【0092】
また、このとき、押圧部材6a,6bは、通電部材103の露出領域133d,133cと一体的に接合している。そのため、押圧部材6a,6bによって通電部材103の露出領域133d,133cの剛性が向上し、ベース部材150の貫通孔156a,156b内に挿入しやすくなっている。
【0093】
続いて、上記した手順によって形成された有機ELモジュール100をベース部材150に取り付ける場合について、一般的な取り付け手順に沿って有機ELモジュール100の各部材と、ベース部材150との位置関係について説明する。
【0094】
ベース部材150の貫通孔156a,156b内に、押圧部材6a,6bと通電部材103の露出領域133d,133cを一体的に傾倒した状態で挿入する(
図26(a)〜
図26(b))。そして、ベース部材150の支持部材152と、有機ELモジュール100の補強板5が平行になるようにする(
図26(b)〜
図26(c))。
【0095】
このとき、押圧部材6a,6bによって、通電部材103の露出領域133d,133cは、ベース部材150の第2通電部材151に押しつけられている。
押圧部材6a,6bの取り付け部30の上面とベース部材150の上面は同一平面を形成しており面一となっている。
ベース部材150の支持部材152に有機ELモジュール100の補強板5が接触しており、有機EL装置102とベース部材150が近接した位置にある。そのため、有機EL装置102内に均熱板17を設けなくても、ベース部材50に熱を逃がすことが可能であり、有機EL装置102内の発光欠陥が生じにくい。
【0096】
本実施形態の有機ELモジュール100は、押圧部材6a,6bと通電部材103の露出領域133d,133cが、ベース部材150の支持部材152に係合することによって固定されている。すなわち、有機ELモジュール100に加わる重力は、押圧部材6a,6bと通電部材103の露出領域133d,133cに加わる。そのため、たとえ大面積の有機ELモジュール100であっても、通電部材103の露出領域133d,133cと第2通電部材151との接触を十分にすることが可能であり、確実に通電することができる。
【0097】
本実施形態の構成によれば、有機ELモジュール100の補強板5とベース部材150の支持部材152が重なっている。そのため、有機ELモジュール100の機械的強度が支持部材152によっても補強され、たとえ有機EL装置102内の基板10の厚みが薄くても、十分な機械的強度が確保できる。また、有機ELモジュール100の剛性がベース部材50によって補強されるため、フレーム部材8を備えなくても使用可能である。
【0098】
上記した第1実施形態では、有機ELモジュール1を幅方向w(押圧部材6の押圧部31の突出方向)にスライドさせて、平面電極部55を当該空間56内に押し込み設置したが、本発明はこれに限定されるものではなく、有機ELモジュール1を長手方向lにスライドさせて設置してもよい。
【0099】
上記した第2実施形態では、ベース部材150の支持部材152で有機ELモジュール100の剛性が補強されるためフレーム部材8を設けなかったが、勿論、フレーム部材8を設けてもよい。
【0100】
上記した第2実施形態では、ベース部材150の支持部材152に貫通孔156a,156bを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、切り欠きであってもよい。
【0101】
上記した実施形態では、補強板5に貫通孔25a,25bを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、切り欠きであってもよい。
【0102】
上記した実施形態では、電極部18の数を6つにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも第1電極層11と第2電極層15とに電気的に接続した電極部18が1つずつあればよい。