(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1固定部、前記第2固定部または前記基端部は、前記第1固定部または前記第2固定部に固定された前記高さ検知棒の先端側が鉛直状に位置するように曲げ角度が設定されていることを特徴とする請求項1又は4に記載の高さ検知棒の固定構造。
前記基端部は、コイルスプリングと、そのコイルスプリングの内側に挿入された芯材とを備えて構成されると共に、前記第1固定部の内側に挿入されるものであることを特徴とする請求項1記載の高さ検知棒の固定構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術のように溶接、ネジ止め、バンド、接着等の手段によって車両に高さ検知棒を取り付けるのは、煩雑であった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、車両への取り付けを容易にできる高さ検知棒の固定構造を提供することを目的とする。
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載の高さ検知棒の固定構造によれば、高圧ガスが充填される容器が固定された車両に配置されるものであり、高さ検知棒の基端部が内側に挿入される第1固定部が車両に固定される。その第1固定部または基端部の一方の内周または外周から軸と交差する方向に凸部が凸設されているので、高さ検知棒の基端部を第1固定部に挿入することにより、相対する第1固定部または基端部の他方の外周面または内周面が凸部により押圧される。ネジ止めではなく、高さ検知棒を第1固定部に挿入することにより、第1固定部または基端部の他方と凸部との摩擦によって高さ検知棒が第1固定部に固定されるので、車両への高さ検知棒の取り付けを容易にできる効果がある。
第1固定部または基端部は凸部により撓曲される弾性部材により形成されているので、凸部によって弾性部材が弾性変形し撓曲されることにより、その反力が第1固定部または基端部に作用する。その結果、弾性部材が弾性変形する範囲で、第1固定部と基端部との摩擦を大きくできる。これにより、基端部を軸方向に移動し難くすることができ、第1固定部に固定された高さ検知棒を外れ難くできる効果がある。
凸部は、第1固定部または基端部を折曲した部位に形成されているので、凸部の形成を容易にできる効果がある。また、第1固定部または基端部を折曲する角度を変えることにより、弾性部材の弾性変形量を変えることができ、第1固定部に固定された高さ検知棒の外れ難さの調整を容易にできる効果がある。
【0008】
請求項2記載の高さ検知棒の固定構造によれば、高圧ガスが充填される容器が固定された車両に配置されるものであり、高さ検知棒の基端部が外側に被装される第2固定部が車両に固定される。その第2固定部または基端部の一方の外周または内周から軸と交差する方向に凸部が凸設されているので、高さ検知棒の基端部を第2固定部に被装することにより、相対する第2固定部または基端部の他方の内周面または外周面が凸部により押圧される。ネジ止めではなく、高さ検知棒を第2固定部に被装することにより、第2固定部または基端部の他方と凸部との摩擦によって高さ検知棒が第2固定部に固定されるので、車両への高さ検知棒の取り付けを容易にできる効果がある。
【0009】
請求項3記載の高さ検知棒の固定構造によれば
、第2固定部または基端部は凸部により撓曲される弾性部材により形成されているので、凸部によって弾性部材が弾性変形し撓曲されることにより、その反力
が第2固定部または基端部に作用する。その結果、弾性部材が弾性変形する範囲で
、第2固定部と基端部との摩擦を大きくできる。これにより請求項
2の効果に加え、基端部を軸方向に移動し難くすることができ
、第2固定部に固定された高さ検知棒を外れ難くできる効果がある。
【0010】
請求項4記載の高さ検知棒の固定構造によれば、凸部は
、第2固定部または基端部を折曲
した部位に形成されているので、請求項3の効果に加え、凸部の形成を容易にできる効果がある。また
、第2固定部または基端部を折曲する角度を変えることにより、弾性部材の弾性変形量を変えることができ
、第2固定部に固定された高さ検知棒の外れ難さの調整を容易にできる効果がある。
【0011】
請求項5記載の高さ検知棒の固定構造によれば、第1固定部または第2固定部は、第1固定部または第2固定部に固定された高さ検知棒の先端側が鉛直状に位置するように曲げ角度が設定されている。これにより請求項
1又は4の効果に加え、運転者が高さ検知棒を仰ぎ見る場合に高さ検知棒の先端を視認し易くできる効果がある。
【0012】
請求項6記載の高さ検知棒の固定構造によれば、基端部は、コイルスプリングと、そのコイルスプリングの内側に挿入された芯材とを備えて構成されるので、コイルスプリングにより基端部の弾性を確保する一方、その弾性を芯材により抑えることができる。その結果、請求項1の効果に加え、第1固定部に固定された高さ検知棒を外れ難くできると共に、車両の振動等による高さ検知棒の揺動を抑制できる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1(a)は第1実施の形態における高さ検知棒20が固定された車両1(運転室2)の部分平面図であり、
図1(b)は車両1(運転室2)の部分側面図である。なお、
図1(a)では車両1の後部および運転室2の左側の図示を省略しており、
図1(b)では運転室2の下部の図示を省略している。
【0015】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、車両1は、運転室2の運転席側(右側)の上部に配置された第1ブラケット3と、その第1ブラケット3に立設された第1固定部10と、その第1固定部10に取着された高さ検知棒20とを備えている。高さ検知棒20は、液化石油ガス等の高圧ガスを輸送するタンクローリー等の車両1において、高圧ガスが充填される容器(図示せず)の地盤面からの高さが車両1の地盤面からの最大高より高い場合に設けられる。高さ検知棒20の先端は、容器(図示せず)の頂部の高さより10cm以上の高さに設定されるので、運転手は、上方の構造物等に容器が衝突しないことを高さ検知棒20によって検出できる。
【0016】
次に
図2を参照して、高さ検知棒20が固定される第1固定部10について説明する。
図2(a)は
図1(b)のIIa−IIa線における第1固定部10及び高さ検知棒20の断面図であり、
図2(b)は
図1(a)の矢印IIb方向から見た第1固定部10及び高さ検知棒20の側面図である。なお、
図2(a)及び
図2(b)では高さ検知棒20の中間部分の図示を省略している。また、
図2(b)では第1ブラケット3の一部の図示を省略している。
【0017】
図2(a)に示すように第1ブラケット3は、一端側が締結部材4により車両1(運転室)の屋根に固定され、他端側は水平となるように折曲されている。第1ブラケット3と締結部材4との間はシール材により水密に形成される。第2ブラケット5は、一端側が締結部材6により第1ブラケット3の他端側に固定される略L字状の部材であり、鉛直状に形成された他端側に第1固定部10が溶接固定されている。
【0018】
第1固定部10は、高さ検知棒20が内側に挿入される金属製の筒状の部材であり、下端部11側が溶接部7により第2ブラケット5に固定されている。第1固定部10は下端部11が狭窄されているので、高さ検知棒20は、開口する先端部12から狭窄された下端部11に当接するまで挿入される。これにより高さ検知棒20の長さ及び下端部11の位置を設定することによって、高さ検知棒20の先端部の高さを、容器(図示せず)の最大高に応じて決定することができる。また、下端部11は完全に塞がれているわけではなく、雨水等が通過できる程度の隙間を残して狭窄されているので、第1固定部10内に雨水等が滞留して錆等が生じることを防止できる。
【0019】
図2(b)に示すように第1固定部10は、下端部11に対して車両1(
図1(a)参照)の前方側(
図2(b)右側)に先端部12が位置するように傾斜して第2ブラケット5に固定されている。また、第1固定部10は先端部12側に折曲部13が形成されている。折曲部13は、先端部12側が鉛直状に位置するように折り曲げられた部位である(二点鎖線による図示は折り曲げる前の状態)。折曲部13における曲げ角度θ(折曲部13の両端の直線部分のなす角が180度から変化した大きさ)は、外力を加えることで高さ検知棒20を第1固定部10に挿入できる一方、車両1の振動等によって第1固定部10から高さ検知棒20が外れない程度の大きさに適宜設定される。
【0020】
次に
図3(a)を参照して、高さ検知棒20について説明する。
図3(a)は高さ検知棒20の側面図である。なお、
図3(a)では高さ検知棒20の中間部分のコイルスプリング21の図示を省略している。
【0021】
図3(a)に示すように、高さ検知棒20は、線材を巻回して形成されたコイルスプリング21と、そのコイルスプリング21の内側に挿入された芯材22とを備えて構成されている。コイルスプリング21の直径は、第1固定部10の内径より小さく設定されている。コイルスプリング21及び芯材22は長さが略同一に形成されており、コイルスプリング21の下端部と芯材22の下端部とを溶接によって接合することにより高さ検知棒20の下端部23が形成されている。同様に、コイルスプリング21の先端部と芯材22の先端部とを溶接によって接合することにより高さ検知棒20の先端部24が形成されている。
【0022】
高さ検知棒20はコイルスプリング21の内側に芯材22が挿入されているので、コイルスプリング21により弾性を確保する一方、その弾性を芯材22により抑えることができ、高さ検知棒20の全長に亘って適度な可撓性を確保できる。また、高さ検知棒20の下端部23及び先端部24は、コイルスプリング21の上下端と芯材22の上下端とをそれぞれ溶接することにより形成されているので、芯材22に対するコイルスプリング21の相対位置がずれてしまうことを防止できる。その結果、高さ検知棒20の全長が長くなったり破損したりする不具合が生じることを防止できる。
【0023】
次に
図3(b)を参照して、第1固定部10の内側に挿入された高さ検知棒20について説明する。
図3(b)は
図2(a)のIIIb−IIIb線における第1固定部10及び基端部20aの断面図である。なお、
図3(b)では高さ検知棒20の長手方向の一部(先端部24側)の図示を省略している。
【0024】
図3(b)に示すように、第1固定部10が先端部12寄りで折り曲げられて折曲部13が形成されているので、折り曲げられた折曲部13の内側の内周面が、凸部14として、第1固定部10の軸と交差する方向(下端部11と先端部12とを結ぶ直線に対して直角方向)に凸設される。そのため、第1固定部10に挿入された高さ検知棒20の基端部20aは、外周面が凸部14により押圧され、弾性変形して撓曲し、凸部14と反対側の内周面15の下端部11側に位置する下端側内周面15a及び先端部12側に位置する先端側内周面15bに押し付けられる。これにより、高さ検知棒20は下端側内周面15a、先端側内周面15b及び凸部14の3箇所で支持される。高さ検知棒20を第1固定部10に挿入することにより、基端部20aと凸部14等との摩擦によって高さ検知棒20が第1固定部10に固定されるので、ネジ止め等によって高さ検知棒を取り付ける場合と比較して、車両1(
図1(b)参照)への高さ検知棒20の取り付けを容易にできる。
【0025】
また、ネジ止めによって高さ検知棒を車両1に取り付ける場合には、車両1の振動等によってネジが緩み、意図せずに高さ検知棒が外れてしまうおそれがある。しかし、高さ検知棒20を第1固定部10に挿入することにより、基端部20aと凸部14等との摩擦によって高さ検知棒20が固定されるので、車両1の振動等によって意図せずに高さ検知棒20が外れてしまう不具合を解消できる。さらに、接着や溶接等によって高さ検知棒を固定する場合と異なり、高さ検知棒20を容易に交換することができる。
【0026】
また、凸部14によって基端部20aが弾性変形することにより、その反力が、折曲部13の両外側(
図3(b)右側)の直線部分(下端側内周面15a、先端側内周面15b)の内周面15に作用する。その結果、第1固定部10と基端部20aとの摩擦を大きくできる。これにより、軸方向(第1固定部10から引き抜く方向)に基端部20aを移動し難くすることができ、高さ検知棒20を第1固定部10から外れ難くできる。さらに、基端部20aが弾性変形する反力を利用して基端部20aを第1固定部10に固定するので、嵌合等によって高さ検知棒を固定する場合と異なり、高さ検知棒20の着脱を容易にできると共に、繰り返し着脱可能である。
【0027】
また、第1固定部10を折曲することによって第1固定部10の内周面に凸部14が凸設されると共に、第1固定部10の内径は基端部20aの直径より大きく設定されているので、基端部20aを第1固定部10内で弾性変形させる支点間距離(基端部20aの外周面が、凸部14の両側で第1固定部10の内周面(下端側内周面15a、先端側内周面15b)と接触する2点間の距離)を確保することができる。第1固定部10に基端部20aを挿入するときには、基端部20aの弾性変形による反力で生じる摩擦力に抗するための外力が必要となるが、支点間距離を確保できることで、その外力が過大になることを抑制できる。その結果、人力による着脱を可能にできる。
【0028】
また、第1固定部10を折曲することによって第1固定部10の内周面に凸部14が凸設されているので、第1固定部10の内周面(下端側内周面15a)と基端部20aの外周面との接触長さを大きくできる。これにより基端部20aが受ける摩擦力が同じであれば、単位接触長さ当たりの垂直抗力を小さくすることができる。その結果、車両1の振動等によって基端部20aや第1固定部10(下端側内周面15a)が部分的に磨耗・損傷してしまうことを抑制できる。
【0029】
また、第1固定部10を折曲することによって凸部14は形成されているので、凸部14の形成を容易にできる。さらに、第1固定部10を折曲する曲げ角度θを変えることにより、基端部20aの弾性変形量を変えることができ、第1固定部10に固定された基端部20aの外れ難さの調整を容易にできる。
【0030】
なお、第2ブラケット5に対する第1固定部10の下端部11側の取り付け角度(傾斜角度)は、第1固定部10に挿入された高さ検知棒20の先端部24側が鉛直状になるように、折曲部13の曲げ角度θに応じて適宜設定される。第1固定部10に固定された高さ検知棒20の先端部24側が鉛直状に位置するように第1固定部10の曲げ角度が設定されているので、高さ検知棒20を運転者が仰ぎ見る場合に高さ検知棒20の先端部24を視認し易くできる。高さ検知棒20の先端部24側が鉛直方向に対して傾いている場合には、高さ検知棒20を仰ぎ見る角度によって運転者が先端部24を視認し難くなるところ、高さ検知棒20の先端部24側を鉛直状にすることで、これを防止できる。
【0031】
また、高さ検知棒20は、線材を巻回して形成されたコイルスプリング21と、そのコイルスプリング21の内側に挿入された芯材22とを備え、基端部20aが一体に形成されているので、凸部14に押圧される基端部20aの外周面はコイルスプリング21の凹凸面である。コイルスプリング21の凹凸面を凸部14が押圧することで、凹凸面に凸部14が食い込むような状態になるので、第1固定部10から基端部20aをさらに引き抜き難くできる。
【0032】
また、基端部20aが弾性変形した状態で第1固定部10に挿入されているので、第1固定部10から基端部20aを引き抜く場合には、基端部20aが、第1固定部10の直線部分の内周面15(下端側内周面15a)と凸部14とを摺動する。この摺動は、基端部20aの弾性変形が復元するまで持続するので、凸部14と基端部20aとの摩擦による高さ検知棒20の引抜抵抗が安定して発現する。本実施の形態では、折曲部13が第1固定部10の先端部12寄りに形成されているので、折曲部13が第1固定部10の下端部11寄りに形成されている場合と比較して、凸部14を基端部20aが摺動する距離を長く確保できる。これにより、車両1の振動等によって高さ検知棒20が第1固定部10から簡単に外れてしまうことを防止できる。
【0033】
ここで、コイルスプリング21を省略して芯材22によって高さ検知棒20を作成した場合、芯材22の材質にもよるが、芯材22が太くなるにつれ芯材22の弾性が低下する傾向がみられるので、芯材22の弾性を確保するには、芯材22の太さを抑える(芯材22を細くする)必要がある。しかし、芯材22を細くすると、運転手が高さ検知棒20を視認し難くなる。
【0034】
一方、芯材22を省略してコイルスプリング21によって高さ検知棒20を作成した場合、コイルスプリング21を構成する線材の材質にもよるが、線材が太くなってコイルスプリング21の直径が大きくなるにつれコイルスプリング21の弾性が低下する傾向がみられる。コイルスプリング21の弾性を確保するには、線材の太さを抑える(コイルスプリング21の直径を小さくする)必要がある。しかし、線材の太さを抑えるとコイルスプリング21が弾性変形し易くなるので、車両1の振動等によって高さ検知棒20が揺動し易くなり、高さ検知棒20による高さ検出が困難になる。
【0035】
これに対し、コイルスプリング21の内側に芯材22を挿入することによって高さ検知棒20が形成されているので、コイルスプリング21により弾性を確保する一方、その弾性を芯材22により抑えることができる。その結果、第1固定部10に固定された高さ検知棒20を外れ難くできると共に、車両1の振動等による高さ検知棒20の揺動を抑制できる。さらに、高さ検知棒20の太さを確保できるので、運転手に高さ検知棒20を視認し易くできる。
【0036】
次に
図4を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1固定部10に凸部14が形成された場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、高さ検知棒40の基端部40aに凸部42が形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図4(a)は第2実施の形態における第1固定部30の側面図であり、
図4(b)は高さ検知棒40の側面図である。なお、
図4(b)では高さ検知棒40の中間部分の図示を省略している。
図4(a)に示すように第1固定部30は、高さ検知棒40が内側に挿入される金属製の筒状の部材であり、下端部31側が第2ブラケット5に溶接固定されている。
【0037】
図4(b)に示すように高さ検知棒40は、線材を巻回して形成されたコイルスプリング41と、そのコイルスプリング41の内側に挿入された芯材(図示せず)とを備え、高さ検知棒40の全長に亘って適度な可撓性を確保している。コイルスプリング41の直径は、第1固定部30の内径より小さく設定されている。コイルスプリング41及び芯材(図示せず)は長さが略同一に形成されており、高さ検知棒40の下端部43及び先端部44は、コイルスプリング41の両端と芯材(図示せず)の両端とを溶接によって接合することにより形成されている。
【0038】
高さ検知棒40は、下端部43寄りの部位(基端部40a)が約5度の曲げ角度で折り曲げられている(
図4(b)参照)。折り曲げられた基端部40aの外側(
図4(b)右側)の外周面が、凸部42として、軸と交差する方向(下端部43と先端部44とを結ぶ直線に対して直角方向)に凸設される。そのため、基端部40aを下端部43から第1固定部30に挿入すると、凸部42によって基端部40aが弾性変形して撓曲し、基端部40aの下端部43側および先端部44側の外周面が、凸部42と反対側の第1固定部30の内周面に押し付けられる。その基端部40aと第1固定部30との摩擦によって高さ検知棒40が第1固定部30に固定される。これにより、ネジ止め等によって高さ検知棒を取り付ける場合と比較して、車両1(
図1(b)参照)への高さ検知棒40の取り付けを容易にできる。
【0039】
なお、第1固定部30に対する高さ検知棒40の引抜抵抗は、第1固定部30の内径と基端部40aの直径との関係(第1固定部30と基端部40aとの隙間の大きさ)、基端部40aの曲げ角度、基端部40aの弾性係数等によって適宜設定することが可能である。
【0040】
次に
図5を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態および第2実施の形態では、第1固定部10,30の内側に高さ検知棒20,40の基端部20a,40aが挿入される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、第2固定部50の外側に高さ検知棒60(高さ検知棒60の一部の基端部60a)が被装される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図5(a)は第3実施の形態における第2固定部50の側面図であり、
図5(b)は高さ検知棒60の側面図である。なお、
図5(b)では高さ検知棒60の中間部分の図示を省略している。
【0041】
図5(a)に示すように第2固定部50は、高さ検知棒60(基端部60a)が外側に被装される部材であり、コイルスプリングで形成されている。第2固定部50は、下端部51側が第2ブラケット5に溶接固定され、先端部52寄りの部位が鉛直状になるように約5度の曲げ角度で折り曲げられている。折り曲げられた第2固定部50の外側(
図5(a)左側)の外周面が、凸部53として、軸と交差する方向(下端部51と先端部52とを結ぶ直線に対して直角方向)に凸設される。第2固定部50は、第2ブラケット5の先端と所定の間隔をあけて、凸部53より下方位置に環状の止め具54が溶接固定されている。止め具54は、第2固定部50に高さ検知棒60(
図5(b)参照)が被装されたときに、高さ検知棒60の下端部61と当接することによって、それ以上の基端部60aの下降を規制するための部材である。止め具54によって、第2ブラケット5と止め具54との間のコイルスプリングを露呈させることで、高さ検知棒60の可撓性を確保できる。
【0042】
図5(b)に示すように高さ検知棒60は、第2固定部50の外側に被装される筒状の部材であり、下端部61が開口し先端部62が閉塞されている。高さ検知棒60の基端部60aを下端部61から第2固定部50に被装すると、凸部53によって第2固定部50が弾性変形して撓曲し、第2固定部50の凸部53と反対側の止め具54側および先端部52側の外周面が、基端部60aの内周面に押し付けられる。その基端部60aと第2固定部50との摩擦によって高さ検知棒60が第2固定部50に固定される。これにより、ネジ止め等によって高さ検知棒を取り付ける場合と比較して、車両1(
図1(b)参照)への高さ検知棒60の取り付けを容易にできる。
【0043】
次に
図6を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態から第3実施の形態では、第1固定部10,30、第2固定部50や高さ検知棒20,40,60を折曲して凸部14,42,53を形成する場合について説明した。これに対し第4実施の形態では、第1固定部70の一部を狭窄して凸部73a,74aを形成する場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6(a)は第4実施の形態における第1固定部70の側面図であり、
図6(b)は高さ検知棒80の側面図である。なお、
図6(b)では高さ検知棒80の中間部分の図示を省略している。
【0044】
図6(a)に示すように第1固定部70は、高さ検知棒80の基端部80aが内側に挿入される金属製の筒状の部材であり、下端部71側が第2ブラケット5に溶接固定され、先端部72が開口されている。第1固定部70は、高さの異なる2箇所に狭窄部73,74が形成されている。狭窄部73,74は、第1固定部70の外周面を径方向内側に向かって潰す(塑性変形させる)ことにより、内周面の2箇所に凸部73a,74aを軸と交差する方向に凸設するための部位である。凸部73a,74aは、第1固定部70の軸心を通る平面と交わる内周面の2箇所(複数箇所)に軸方向位置を異ならせて形成されている。
【0045】
図6(b)に示すように高さ検知棒80は、線材を巻回して形成されたコイルスプリング81により形成されており、下端部82から先端部83に亘って弾性が確保されている。高さ検知棒80を下端部81から第1固定部70の先端部72に挿入すると、凸部73a,74aによって弾性変形して高さ検知棒80(基端部80a)が撓曲し、基端部80aの外周面が、凸部73a,74aと同じ側の下端部71側および先端部72側の内周面に押し付けられる。それらの摩擦によって高さ検知棒80が第1固定部70に固定される。
【0046】
また、凸部73a,74aが、第1固定部70の軸心を通る平面と交わる内周面の2箇所に軸方向位置を異ならせて形成されているので、高さ検知棒80の基端部80a(第1固定部70に挿入される部位)を略鉤状に弾性変形させることができる。その結果、高さ検知棒80の引抜抵抗を増大させることができ、高さ検知棒80を第1固定部70に強固に固定できる。
【0047】
次に
図7を参照して、第5実施の形態について説明する。第1実施の形態から第4実施の形態では、第1固定部10,30,70、第2固定部50又は高さ検知棒20,40,60,80(基端部20a,40a,60a,80a)に凸設された凸部14,42,53,73a,74aにより弾性部材(ばね)を弾性変形させ、その反力を利用して高さ検知棒20,40,60,80を第1固定部10,30,70、第2固定部50に固定する場合について説明した。これに対し第5実施の形態では、弾性部材の反力を利用することなく、凸部103,104と第1固定部90(上端側固定部93)の内周面との摩擦によって高さ検知棒100を固定する場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図7(a)は第5実施の形態における第1固定部90の側面図であり、
図7(b)は高さ検知棒100の側面図である。なお、
図7(b)では高さ検知棒100の中間部分の図示を省略している。
【0048】
図7(a)に示すように第1固定部90は、下端側固定部91と上端側固定部93との間に弾性部材92が介設されており、下端側固定部91が第2ブラケット5に溶接固定されている。これにより上端側固定部93は、下端側固定部91に対して弾性部材92により揺動可能とされる。上端側固定部93は先端部94が開口されており、高さ検知棒100が挿入される。
【0049】
図7(b)に示すように高さ検知棒100は、上端側固定部93の内側に基端部100aが挿入される棒状の部材であり、下端部101から先端部102に亘る金属製の剛体として形成されている。基端部100aは、高さの異なる2箇所に凸部103,104が凸設されている。凸部103,104の直径は、上端側固定部93の内径より僅かに大きめに形成されている。これにより基端部100aを上端側固定部93の先端部94から挿入することにより、凸部103,104は上端側固定部93に嵌合される。また、凸部103,104は基端部100aの外周面の2箇所に軸方向位置を異ならせて凸設されているので、上端側固定部93に凸部103,104が嵌合されたときの基端部100aのガタつきを防止できる。その結果、本実施の形態においても、第1固定部90に対する高さ検知棒100の着脱を容易にできる。
【0050】
次に
図8を参照して、第6実施の形態について説明する。第1実施の形態から第4実施の形態では、弾性部材(ばね)を筒状の部材の内側に挿入することにより、第1固定部10,30,70,90、第2固定部50に高さ検知棒20,40,60,80,100を固定する場合について説明した。これに対し第6実施の形態では、弾性部材を棒状の部材(第2固定部110)に被装することにより、高さ検知棒120を固定する場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図8(a)は第6実施の形態における第2固定部110の側面図であり、
図8(b)は高さ検知棒120の側面図である。なお、
図8(b)では高さ検知棒120の中間部分の図示を省略している。
【0051】
図8(a)に示すように第2固定部110は、高さ検知棒120が外側に被装される棒状の部材である。第2固定部110は、下端部111側が第2ブラケット5に傾斜して固定され、先端部112寄りの部位が鉛直状になるように約5度の曲げ角度で折り曲げられている。折り曲げられた第2固定部110の外側(
図8(a)左側)の外周面が、凸部113として軸と交差する方向(下端部111と先端部112とを結ぶ直線に対して直角方向)に凸設される。
【0052】
図8(b)に示すように高さ検知棒120は、第2固定部110の外側に被装される基端部120aが形成されたコイルスプリング121と、そのコイルスプリング121の軸方向上端部に固定された筒状の高さ検知部122とを備えて構成されている。高さ検知棒120の下端部123(コイルスプリング121の下端部)は開口し、先端部124は閉塞されている。基端部120a(コイルスプリング121の一部)を下端部123から第2固定部110に被装すると、凸部113によってコイルスプリング121が弾性変形して撓曲し、基端部120aの下端部123側および先端部124側の内周面が、凸部113と反対側の第2固定部110の外周面に押し付けられる。その基端部120aの反力によって、高さ検知棒120が第2固定部110に固定される。
【0053】
なお、第2固定部110の外側に先端部112から基端部120aを被装すると、高さ検知棒120の下端部123は第2ブラケット5の上端に当接し、高さ検知棒120のそれ以上の下降が規制される。第2ブラケット5の上端から先端部112までの第2固定部110の長さは、高さ検知棒120のコイルスプリング121の自然長より短くなるように設定されているので、第2固定部110の外側に基端部120aを被装したときには、基端部120aの上部のコイルスプリング121によって高さ検知棒120の可撓性を確保できる。
【0054】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施の形態で説明した第1固定部10,30,70,90、第2固定部50,110や高さ検知棒20,40,60,80,100,120の直径や軸方向長さの値、形状は一例であり、任意に設定することができる。
【0055】
上記各実施の形態では説明を省略したが、第1固定部10,30,70,90に基端部20a,40a,80a,100aを挿入したり、第2固定部50,110に基端部60,120を被装したりするのに加え、接着剤によって第1固定部10,30,70,90、第2固定部50,110と基端部20a,40a,60a,80a,100a,120aとを接着させることは当然可能である。これにより、高さ検知棒20,40,60,80,100,120の交換は困難になるが、車両1への高さ検知棒20,40,80,80,100,120の固定を、より強固なものにできる。
【0056】
上記各実施の形態では、高さ検知棒20,40,80,120の基端部20a,40a,80a,120aや第2固定部50がバネ製の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、基端部や第2固定部、第1固定部をゴム製等の弾性部材で形成することは当然可能である。また、基端部や第2固定部、第1固定部の一部をゴム製やバネ製の弾性部材で形成することも当然可能である。
【0057】
上記第1実施の形態では、第1固定部10の下端部11が狭窄されている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、下端部11を塑性変形させたり溶接したりすることによって下端部11を閉塞することは可能である。この場合も、下端部11で高さ検知棒20の下端部23を保持できるからである。また、下端部11を開放した状態にして、第1固定部10に挿通された高さ検知棒20の下端部23が、第2ブラケット5に突き当たるようにすることも可能である。この場合は、高さ検知棒20の長さ及び第2ブラケット5の高さを設定することによって、高さ検知棒20の先端部24の高さを、容器(図示せず)の最大高に応じて決定することができる。
【0058】
上記第1実施の形態では、コイルスプリング21の上下端と芯材22の上下端とを互いに溶接することで、コイルスプリング21と芯材22との相対位置ずれを防止する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、コイルスプリング21と芯材22との相対位置ずれを防止する他の手段を採用することは当然可能である。他の手段としては、例えば、コイルスプリング21に挿入された芯材22の上下端にコイルスプリング21の抜け止め用の鍔や突起等を設ける手段、芯材22が挿入されたコイルスプリング21の上下端を芯材22が抜けないように狭窄したり塞いだりする手段等を挙げることができる。
【0059】
なお、上記各実施の形態のいずれかの一部または全部を、他の実施の形態の一部または全部と組み合わせることは可能である。また、上記各実施の形態のうちの一部の構成を省略することも可能である。
<その他>
<手段>
技術的思想1の高さ検知棒の固定構造は、高圧ガスが充填される容器が固定された車両に配置される高さ検知棒の固定構造であって、前記車両に固定されると共に、前記高さ検知棒の基端部が内側に挿入される第1固定部と、その第1固定部または前記基端部の一方の内周または外周から軸と交差する方向に凸設される凸部とを備え、その凸部は、相対する前記第1固定部または前記基端部の他方の外周面または内周面を押圧する。
技術的思想2の高さ検知棒の固定構造は、高圧ガスが充填される容器が固定された車両に配置される高さ検知棒の固定構造であって、前記車両に固定されると共に、前記高さ検知棒の基端部が外側に被装される第2固定部と、その第2固定部または前記基端部の一方の外周または内周から軸と交差する方向に凸設される凸部とを備え、その凸部は、相対する前記第2固定部または前記基端部の他方の内周面または外周面を押圧する。
技術的思想3の高さ検知棒の固定構造は、技術的思想1又は2に記載の高さ検知棒の固定構造において、前記第1固定部、前記第2固定部または前記基端部は、前記凸部により撓曲される弾性部材により形成されている。
技術的思想4の高さ検知棒の固定構造は、技術的思想3記載の高さ検知棒の固定構造において、前記凸部は、前記第1固定部、前記第2固定部または前記基端部を折曲して形成されている。
技術的思想5の高さ検知棒の固定構造は、技術的思想4記載の高さ検知棒の固定構造において、前記第1固定部、前記第2固定部または前記基端部は、前記第1固定部または前記第2固定部に固定された前記高さ検知棒の先端側が鉛直状に位置するように曲げ角度が設定されている。
技術的思想6の高さ検知棒の固定構造は、技術的思想1記載の高さ検知棒の固定構造において、前記基端部は、コイルスプリングと、そのコイルスプリングの内側に挿入された芯材とを備えて構成されると共に、前記第1固定部の内側に挿入されるものである。
<効果>
技術的思想1記載の高さ検知棒の固定構造によれば、高圧ガスが充填される容器が固定された車両に配置されるものであり、高さ検知棒の基端部が内側に挿入される第1固定部が車両に固定される。その第1固定部または基端部の一方の内周または外周から軸と交差する方向に凸部が凸設されているので、高さ検知棒の基端部を第1固定部に挿入することにより、相対する第1固定部または基端部の他方の外周面または内周面が凸部により押圧される。ネジ止めではなく、高さ検知棒を第1固定部に挿入することにより、第1固定部または基端部の他方と凸部との摩擦によって高さ検知棒が第1固定部に固定されるので、車両への高さ検知棒の取り付けを容易にできる効果がある。
技術的思想2記載の高さ検知棒の固定構造によれば、高圧ガスが充填される容器が固定された車両に配置されるものであり、高さ検知棒の基端部が外側に被装される第2固定部が車両に固定される。その第2固定部または基端部の一方の外周または内周から軸と交差する方向に凸部が凸設されているので、高さ検知棒の基端部を第2固定部に被装することにより、相対する第2固定部または基端部の他方の内周面または外周面が凸部により押圧される。ネジ止めではなく、高さ検知棒を第2固定部に被装することにより、第2固定部または基端部の他方と凸部との摩擦によって高さ検知棒が第2固定部に固定されるので、車両への高さ検知棒の取り付けを容易にできる効果がある。
技術的思想3記載の高さ検知棒の固定構造によれば、第1固定部、第2固定部または基端部は凸部により撓曲される弾性部材により形成されているので、凸部によって弾性部材が弾性変形し撓曲されることにより、その反力が第1固定部、第2固定部または基端部に作用する。その結果、弾性部材が弾性変形する範囲で、第1固定部または第2固定部と基端部との摩擦を大きくできる。これにより技術的思想1又は2の効果に加え、基端部を軸方向に移動し難くすることができ、第1固定部または第2固定部に固定された高さ検知棒を外れ難くできる効果がある。
技術的思想4記載の高さ検知棒の固定構造によれば、凸部は、第1固定部、第2固定部または基端部を折曲して形成されているので、技術的思想3の効果に加え、凸部の形成を容易にできる効果がある。また、第1固定部、第2固定部または基端部を折曲する角度を変えることにより、弾性部材の弾性変形量を変えることができ、第1固定部または第2固定部に固定された高さ検知棒の外れ難さの調整を容易にできる効果がある。
技術的思想5記載の高さ検知棒の固定構造によれば、第1固定部または第2固定部は、第1固定部または第2固定部に固定された高さ検知棒の先端側が鉛直状に位置するように曲げ角度が設定されている。これにより技術的思想4の効果に加え、運転者が高さ検知棒を仰ぎ見る場合に高さ検知棒の先端を視認し易くできる効果がある。
技術的思想6記載の高さ検知棒の固定構造によれば、基端部は、コイルスプリングと、そのコイルスプリングの内側に挿入された芯材とを備えて構成されるので、コイルスプリングにより基端部の弾性を確保する一方、その弾性を芯材により抑えることができる。その結果、技術的思想1の効果に加え、第1固定部に固定された高さ検知棒を外れ難くできると共に、車両の振動等による高さ検知棒の揺動を抑制できる効果がある。