(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外周の一部にR面を有する工作物を支持回転させながら、回転する砥石車により工作物の外周R面を研削する外周R面研削において、工作物を回転支持部に取外し可能に固定支持するための治具であって、
前記回転支持部に同軸状に取付け固定されて、前記工作物を取外し可能にクランプ固定するクランプ部を有する治具本体を備え、
前記クランプ部は、弾発力により開閉可能な円柱状形態とされるとともに、前記工作物を前記外周R面が前記クランプ部の円筒外周面から外部に突出して露出する状態で挟持状に固定支持する一対のクランプ爪を備えてなり、
これら一対のクランプ爪に前記工作物が固定支持された状態において、前記外周R面の仕上半径中心が前記回転支持部の回転軸線上に位置する構成とされている
ことを特徴とする工作物の外周R面研削用治具。
前記治具本体は、前記割り溝を挟んで一方の片側部位が前記回転支持部に固定されて、他方の片側部位が前記割り溝の閉塞端を開閉支点として回動することにより、割り溝が開閉動作する構成とされている
ことを特徴とする請求項2に記載の工作物の外周R面研削用治具。
前記治具本体において、前記割り溝を挟んで前記両片側部位に一対の開閉案内部が設けられ、これら両開閉案内部間をテーパ構造の開閉部材が挿通移動することにより、前記割り溝が開閉動作する構成とされている
ことを特徴とする請求項4に記載の工作物の外周R面研削用治具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成の加工方法では、ワークW、W、…の取扱い等を含めた加工作業に人手を要して、自動化が困難であり、また人手を要することにより、製造コストさらには製品コストの上昇を招くとともに、加工工程のサイクルタイム減少に限界を生じてしまう。
【0007】
また、砥石車aをワークWの外周R面形状に対応したプロフィールに成形して研削するため、ワークWの研削加工精度の維持等に問題が生じていた。つまり、砥石車aの砥石面のツルーイング・ドレッシングに円弧状断面を有するロータリドレッサを用いる場合、装置設備費の上昇を招くとともに、ロータリドレッサのドレッサ面の形状精度次第で、砥石車aの砥石面の形状精度、さらにはワークWの外周R面の研削加工精度が決まってしまい、安定した研削加工精度の維持が困難であった。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、外周の一部にR面を有するワークについて、外周R面を効率良くかつ高精度に研削することができる外周R面研削用治具を提供することにある。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、上記外周R面研削用治具を構成要素として備える外周R面研削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の外周R面研削用治具は、外周の一部にR面を有するワークを支持回転させながら、回転する砥石車によりワークの外周R面を研削する外周R面研削において、ワークを回転支持部に取外し可能に固定支持するための治具であって、上記回転支持部に同軸状に取付け固定されて、上記ワークを取外し可能にクランプ固定するクランプ部を有する治具本体を備え、上記クランプ部は、弾発力により開閉可能
な円柱状形態とされるとともに、上記ワークを上記外周R面が
前記クランプ部の円筒外周面から外部に突出して露出する状態で挟持状に固定支持する一対のクランプ爪を備えてなり、これら一対のクランプ爪に上記ワークが固定支持された状態において、上記外周R面の仕上半径中心が上記回転支持部の回転軸線上に位置する構成とされていることを特徴とする。
【0011】
ここに、「R面」とは、断面輪郭が円弧形状とされた円筒面の一部を構成する曲面を意味する(以下、本明細書および特許請求の範囲を通じて同様とする)。
【0012】
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記治具本体は、上記回転軸に取り付けられる取付け部とワークを取外し可能にクランプ固定する上記クランプ部が一体形成されてなり、上記クランプ部を形成する割り溝が治具本体の軸方向全長にわたって形成されている。
【0013】
(2)上記治具本体の先端部に、治具本体を回転支持する補助支持部が設けられている。
【0014】
(3)上記治具本体は、上記割り溝を挟んで一方の片側部位が上記回転支持部に固定されて、他方の片側部位が上記割り溝の閉塞端を開閉支点として回動することにより、割り溝が開閉動作する構成とされている。
【0015】
(4)上記治具本体において、上記割り溝を挟んで上記両片側部位に一対の開閉案内部が設けられ、これら両開閉案内部間をテーパ構造の開閉部材が挿通移動することにより、上記割り溝が開閉動作する構成とされている。
【0016】
本発明の外周R面研削装置は、外周の一部にR面を有するワークを支持回転させながら、回転する砥石車によりワークの外周R面を研削する研削装置であって、ワークを支持回転するワーク回転支持手段と、このワーク回転支持手段により回転支持されたワークの外周R面を研削する研削砥石手段と、これらワーク回転支持手段および研削砥石手段を相互に連動して駆動制御する制御手段とを備えてなり、上記ワーク回転支持手段の主軸スピンドルの先端に、ワークを同軸状に固定支持するクランプ固定手段が設けられ、このクランプ固定手段は、上記外周R面研削用治具から構成されていることを特徴とする。
【0017】
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記外周R面研削用治具に対してワークを供給するワーク供給手段を備え、このワーク供給手段は、上記外周R面研削用治具の上記クランプ部を開閉させるクランプ開閉手段と、このクランプ部が開放状態にある時に、ワークを搬入搬出させるワーク搬入出手段とを備えてなる。
【0018】
(2)上記主軸スピンドルの先端部位に、上記外周R面研削用治具の心出し手段が設けられている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の治具によれば、ワークを支持回転する回転支持部に同軸状に取付け固定されて、上記ワークを取外し可能にクランプ固定するクランプ部を有する治具本体を備え、上記クランプ部は、弾発力により開閉可能
な円柱状形態とされるとともに、上記ワークを上記外周R面が
前記クランプ部の円筒外周面から外部に突出して露出する状態で挟持状に固定支持する一対のクランプ爪を備えてなり、これら一対のクランプ爪に上記ワークが固定支持された状態において、上記外周R面の仕上半径中心が上記回転支持部の回転軸線上に位置する構成とされているから、以下に列挙するような効果が得られて、外周の一部にR面を有するワークについて、外周R面を効率良く研削することができる。
【0020】
(1)外周の一部にR面を有するワークについて、このワークを上記治具にセットするだけで、一般的なインフィード研削を用いて、外周R面を効率良く、さらに精度良く研削することができる。
【0021】
すなわち、ワークを上記治具本体のクランプ部にセットするだけで、ワークの外周R面の仕上半径中心がワークを支持回転する回転支持部の回転軸線上に位置することになり、上記回転支持部によりワークを支持回転しながら、回転する砥石車によりワークの外周R面をインフィード研削することにより、外周R面が所定の形状寸法(所定の曲率半径を有するR面)に効率良くかつ高精度に仕上げられる。
【0022】
(2)上記治具本体の先端部に、治具本体を回転支持する補助支持部が設けられることにより、砥石車のドレスインターバルが長くなる。
【0023】
すなわち、治具本体の先端部が上記補助支持部により回転支持されることにより、治具本体は、この補助支持部と上記回転支持部とによる両持ち支持構造となる。これにより、ワーク研削時の研削抵抗によるワークの回転支持状態が安定化して、ワークを研削する砥石車の砥石面の性状も安定化し、その結果、砥石車のドレスインターバルが長くなる(上記回転支持部のみによる片持ち構造に比較して、ドレスインターバルが約3倍となることが試験的に判明している。)。
【0024】
換言すれば、治具本体の基端部のみが上記回転支持部により支持される片持ち支持構造の場合、ワーク研削時に研削抵抗がかかると、支持されていない治具本体の先端側が砥石車の切込み方向へ逃げてしまい、これにより、ワークの外周R面の研削精度が治具本体の支持されている側と支持されていない側で変わることになる。つまり、支持されている治具本体基端側のワーク部位は寸法やR形状(R面の曲率半径)が狙い値またはそれに近い値になるが、支持されていない治具本体先端側のワーク部位は、寸法やR形状が狙い値よりも大きくなってしまい、さらに他の加工精度も悪くなってしまう。このような状況は、砥石車の砥石面の性状つまりは切れ味にも偏りを生じるなど悪影響を与えて、早期のドレッシングを余儀なくされ、その結果、砥石車のドレスインターバルが短くなってしまう。
【0025】
これに対して、治具本体の両持ち支持構造であると、治具本体の剛性が増して、ワーク研削時の研削抵抗によっても治具本体さらには支持されるワークが砥石車の切込み方向へ逃げなくなるので、ワーク全体の寸法やR形状が狙い値に仕上げられて、高い研削精度が得られるとともに、砥石車の砥石面全体の性状も偏りのない均一なものとなる。なお、砥石車の砥石面の切れ味が落ちてくると、よりワークの逃げ量が大きくなるため、この点でも剛性の高い両持ち支持構造の方が研削精度は向上する。その結果、治具本体が両持ち支持構造である方が、砥石車の砥石面の性状つまり切れ味も全体として均一に安定する結果、ドレスインターバルが長くなる。
【0026】
また、上記治具を構成要素として備える本発明の研削装置によれば、上記(1)および(2)の効果が得られることに加えて、上記治具に対してワークを供給するワーク供給手段を備えることにより、以下のような効果も得られる。
【0027】
(3)装置の自動化。コストの低減化が図れる。
すなわち、上記ワーク供給手段が、上記治具のクランプ部を開閉させるクランプ開閉手段と、このクランプ部が開放状態にある時に、ワークを搬入搬出させるワーク搬入出手段とを備えてなることにより、作業者の手作業によるワークの取扱い(搬入・搬出)を自動化することができ、これにより人手を不要とすることもでき、製造コストさらには製品コストの低減化が図れる。
【0028】
(4)加工工程のサイクルタイムの短縮が図れる。
すなわち、上記ワーク供給手段による自動化および人手の削減により、加工工程のサイクルタイムを短縮することができる。
【0029】
(5)安定した研削加工精度の維持が可能となる。
すなわち、本発明の治具を備えることにより、一般的なインフィード研削を用いて、外周R面を研削することができるので、砥石車も一般的な円筒砥石面を有する砥石車を使用することができる。その結果、特許文献1の加工方法のように特殊な専用砥石車(ワークの外周R面形状に対応したプロフィールの砥石面を有する砥石車)が不要で、ドレッシング装置も一般的なドレッサで良く、これにより装置設備費の上昇を抑えることができるとともに、砥石車の砥石面の形状精度もドレッシング装置に依存することがなく、さらにはワークの外周R面の研削加工精度も安定して維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
【0032】
実施形態1
本発明に係る外周R面研削装置が
図1〜
図8に示されており、この研削装置は、具体的には
図10に示すような外周の一部にR面を有するワークWの外周R面をインフィード研削するものである。
【0033】
本実施形態において研削対象となるワークWは、例えばコンプレッサに用いられる揺動ブッシュのようないわゆるかまぼこ形状のもので、上面Waが円弧形状の断面輪郭を有するR面とされるとともに、底面Wbが平坦面とされ、また左右側面Wc、Wdが上記底面Wbに対してほぼ垂直な平坦面とされた切欠き部とされている。上面Waの外周R面以外の面Wb、Wc、Wdは、前工程で既に仕上加工されてなる完成面の場合と、未だ仕上加工されていない未完成面の場合とがある。
【0034】
上記研削装置は、このワークWを回転支持部であるワーク回転装置(ワーク回転支持手段)1により支持回転させながら、回転する砥石車2により、ワークWの底面Wbを基準となる被支持底面として、外周R面である上面Waを所定の仕上半径(曲率半径)を有するR面に研削する。
【0035】
この研削装置は、上記ワークWの外周R面WaをR面研削加工するのに適した構成とされ、
図1から
図3に示すように、上記ワーク回転装置1、上記砥石車2を備える研削砥石装置3、ワーク供給装置(ワーク供給手段)4および制御装置(制御手段)5に加えて、本発明の最大の特徴構成である外周R面研削用治具6を主要部として構成されている。
【0036】
ワーク回転装置(回転支持部、ワーク回転支持手段)1は、ワークWを支持回転するもので、具体的には図示しないが、装置ベッド上に配置されている。このワーク回転装置1の主軸台7には、回転軸としての主軸スピンドル10が回転可能に軸支されており、この主軸スピンドル10は、その基端が図示しない回転駆動源に連係されるとともに、その先端にワークWのクランプ固定手段としての上記外周R面研削用治具6を備えている。
【0037】
研削砥石装置3は、上記ワーク回転装置1により回転支持されたワークWの外周R面Waを研削する装置で、ワークWに対向配置された上記砥石車2を主要部として構成されている。
【0038】
砥石車2は、図示しない主軸スピンドルに取外し交換可能に取り付けられてなり、その外周面2aが円筒状の研削砥石面とされている。
【0039】
上記砥石車2の主軸スピンドルは、具体的には図示しないが、例えば、歯車機構等の動力伝達機構を介して、回転駆動源である主軸モータを含む回転駆動部に連係されるとともに、例えば送りねじ機構等を備えた切込み駆動部に連係されている。これら回転駆動部および切込み駆動部の駆動源は、後述する制御装置5に電気的に接続されている。
【0040】
外周R面研削用治具(クランプ固定手段)6は、ワークWをワーク回転装置1に取外し可能にかつ同軸状に固定支持するものであって、治具本体15がアダプタプレート16を介して上記主軸スピンドル10の先端に一体的にかつ同軸状に取付け固定される構造とされている。
【0041】
この治具本体15は、取付け部20、クランプ部21および補助支持部22を主要部として構成されている。上記取付け部20およびクランプ部21が単一の金属材料から一体形成された一体もの構造とされており、この一体もの構造の中央部には後述するクランプ部21の主要部を構成する割り溝30が治具本体15の軸方向(
図1および
図2の左右水平方向)全長にわたって形成されている。
【0042】
取付け部20は、主軸スピンドル10に取り付けられる部位で、具体的には、主軸スピンドル10の先端取付け部10aに取付け固定されるアダプタプレート16に取付け固定される。
【0043】
図示の実施形態においては、アダプタプレート16が4つの取付けボルト25、25、…により上記主軸スピンドル10の先端取付け部10aに同軸状に締付け固定されるとともに(
図1および
図2参照)、このアダプタプレート16に、上記治具本体15の取付け部20が3つの取付けボルト26、26、…により同軸状に締付け固定されている。
【0044】
この場合、これら3つの取付けボルト26、26、…は、
図5に示すように、上記割り溝30を挟んで一方の片側部位に配置されて、後述する割り溝30の開閉動作が可能な構成とされている。
【0045】
また、取付け部20には、後述するように、クランプ部21のクランプ力を調整するクランプ力調整手段としてのクランプ力調整機構40と、クランプ部21を開閉動作させるクランプ開閉機構41を備えている。
【0046】
クランプ部21は、ワークWを取外し可能にクランプ固定する部位で、弾発的に開閉可能な構成とされ、この目的のため、治具本体15の一体もの構造20、21の構成材料としては、バネ鋼(SUP)、合金工具鋼(SKD)、高速度工具鋼(SKH)等が好適に使用され、図示の実施形態においてはクランプ部21の耐久性に優れるSUPが用いられている。
【0047】
具体的には、上記クランプ部21は、
図4および
図5に示すように、ワークWを位置決め支持するとともに、弾発的に開閉可能な割り溝30を備えた円柱状形態とされ、この割り溝30は、前述したように、治具本体15の一体もの構造20、21の軸方向全長にわたって形成されてなる。
【0048】
この目的のため、上述したように、治具本体15を、アダプタプレート16に取付け固定する3つの取付けボルト26、26、…は、
図5に示すように、上記割り溝30を挟んで一方の片側部位に配置されて、割り溝30の開閉動作が可能な構成とされている。
【0049】
すなわち、治具本体15は、上記3つの取付けボルト26、26、…による取付け固定により、上記割り溝30を挟んで一方の片側部位15aが上記ワーク回転装置1の主軸スピンドル10に固定された固定側部位とされるとともに、他方の片側部位15bがこの固定側部位15aに対して上記割り溝30の閉塞端を開閉支点として回動する可動側部位とされ、これにより、上記割り溝30さらには上記クランプ部21が開閉動作する構成とされている。
【0050】
なお,治具本体15において上記取付けボルト26、26、…により主軸スピンドル10に取付け固定される部位は、研削砥石車2による研削抵抗がかかる側の部位が好ましい。これは、研削抵抗がかからない側の部位で取付け固定された場合、研削抵抗によって割り溝30が開いてクランプ状態が解除されてしまい、研削中にワークWが治具6から飛び出してしまうためである。
【0051】
図示の実施形態においては、
図5に示すように、上記割り溝30の下端から上記可動側部位15b側方へ変位した位置に、貫通穴31が治具本体15の軸方向へ延びて形成され、この貫通穴31は上記割り溝30に連続して設けられて、この割り溝30の閉塞端とされている、これにより、上記治具本体15の可動側部位15bが固定側部15aに対して上記貫通穴31を開閉支点として回動することで、割り溝30が円滑にかつ安定して開閉動作するように構成されている。
【0052】
なお、上記貫通穴31が治具本体15の可動側部位15bに設けられているのは、後述のクランプ部21のクランプ爪32a、32bがワークWに食い込む方向、およびワークWが支持面32cに押さえ付けられる方向にクランプ力が作用するように考慮したものである。
【0053】
上記クランプ部21は、
図4および
図5に示すように、円柱の中央部位に上記割り溝30が形成された断面形状を有し、この割り溝30の開放端部位がクランプ対象となるワークWの左右側面Wc、Wdおよび底面Wbを密接状にクランプするクランプ凹部32の形態とされている。具体的には、このクランプ凹部32の両側壁部の外端部32a、32bが、ワークWを挟持状に固定支持する一対のクランプ爪を形成するとともに、クランプ凹部32の底面32cが上記ワークWの底面Wbを支持する支持面とされている。
【0054】
図示の実施形態のクランプ凹部32は、ワークWの外周R面Wa以外の外周面Wb、Wc、Wdの外周輪郭に対応した矩形状断面を有し、上記支持面32cがワークWの底面Wbを支持するとともに、一対のクランプ爪32a、32bがワークWの左右側面Wc、Wdを挟持状に支持して、ワークWの外周面Wb、Wc、Wdを密接抱持状にかつ弾発的にクランプ固定し、さらに、上記支持面32cが、ワークWの外周R面Waの仕上寸法を規定する構造とされている。
【0055】
上記一対のクランプ爪32a、32bは、クランプ部21の円柱部分を矩形状に切り欠いた尖端形状断面とされ、先端部位の面取りが省略されて、ワークWのクランプ量が確保されている。
【0056】
また、上記支持面32cは、ワークWの底面Wbを受支した状態において、ワークWの外周R面Waが上記クランプ部21の円筒外周面(つまり両クランプ爪32a、32b先端)から外部に突出して露出するとともに(
図4におけるクランプ部21の外周円輪郭を示す二点鎖線より外径側に突出した部分参照)、この外周R面Waの仕上半径中心Oがワーク回転装置1の主軸スピンドル10の回転軸線X10上に位置する構成とされている。
【0057】
そして、
図4に示すように、クランプ部21にクランプ固定されたワークWが、ワーク回転装置1の主軸スピンドル10の回転により、治具6と共に一体回転され、このワークWに対して砥石車2が回転しながら切り込まれることで、ワークWの外周R面Waは所定の仕上寸法(クランプ部21の支持面32cにより規定される仕上半径寸法)にインフィード研削される。この場合、両クランプ爪32a、32bが砥石車2の研削砥石面2aと干渉することはない。
【0058】
また、前述したように、上記クランプ部21のクランプ動作に関連して、クランプ部21のクランプ力を調整するクランプ力調整機構40と、クランプ部21を開閉動作させるクランプ開閉機構41とが上記取付け部20に設けられている。
【0059】
クランプ力調整機構40は、
図1および
図5に示すように、弾発付勢手段42と溝閉止規制手段43とからなる。
【0060】
弾発付勢手段42は、弾発スプリング45を主要部として構成されている。具体的には、支持ボルト46が、取付け部20における治具本体15の固定側部位15aの挿通穴47に挿通されて、割り溝30を介して可動側部位15bに螺合固定されるとともに、この支持ボルト46のボルト頭46aと上記取付け部20の固定側部位15aの受支面48との間に、上記弾発スプリング45が弾発的に圧縮して介装されている。これにより、取付け部20の可動側部位15bは、上記弾発スプリング45の弾発力で規定される支持ボルト46の引張力より、上記固定側部位15a方向へ常時引き寄せ付勢されて、クランプ部21のクランプ力が所定値に設定される。このクランプ力は、上記支持ボルト46の螺進退調整により調整可能である。
【0061】
溝閉止規制手段43は、具体的には、割り溝30の過度な縮小閉止を防止する締め過ぎ防止ボルトの形態とされている。この締め過ぎ防止ボルト43は、上記取付け部20における治具本体15の可動側部位15bに螺進退可能に螺合されるとともに、その先端43aが上記割り溝30を横断して固定側部位15a側の側壁面30aに当接係合可能とされている。これにより、割り溝30の最小閉止状態が締め過ぎ防止ボルト43により規定されて、上記弾発付勢手段42により設定されるクランプ部21のクランプ力が過大になることはなく、クランプ部21のクランプ爪32a、32bによるワークWの締め過ぎ、さらにはワークWの損傷が有効に防止される。49は締め過ぎ防止ボルト43の螺合位置を固定支持するための固定ナットで、この固定ナット49を緩めることで、締め過ぎ防止ボルト43の螺進退調整による螺合位置の調整が可能である。
【0062】
また、これに関連して、クランプ部21の先端側、より具体的には、後述する補助支持部22により回転支持される支持連結部23の先端部23aには、
図6に示すように、止め輪(スナップリング)60が嵌着されている。この止め輪60は、上記先端部23aを締付け保持することにより、上記クランプ部21の開き量を規制している。支持連結部23の先端部23aに嵌着される止め輪60の数は、必要な締付け力に応じて適宜増加される。
【0063】
ちなみに、上記先端部23aを上記止め輪60のない自由支持状態とすると、クランプ部21の先端側のクランプ力が弱いため(構造上、クランプ力が主軸スピンドル10側に偏って作用することに起因する)、特に砥石車2による研削抵抗よってクランプ部21が開いてしまい、研削中にワークWが治具6から外れて飛び出してしまう危険がある。
【0064】
クランプ開閉機構41は、後述するワーク供給装置4の構成部としてのクランプ開閉手段を構成して、上記割り溝30を開閉動作させるもので、
図1および
図5に示すように、一対の開閉案内部50、51と開閉部材52を主要部として備えてなる。
【0065】
上記開閉案内部50、51は、具体的には、取付け部20の端面20aに自由回転可能に設けられた案内ローラの形態とされ、これら案内ローラ50、51は、上記割り溝30を挟んで上記治具本体15の固定側部位15aと可動側部位15bの対称位置にそれぞれ設けられている。
【0066】
また、上記開閉部材52は、具体的には、上記案内ローラ50、51間を挿通移動するテーパ構造の開閉ピンの形態とされるとともに、開閉シリンダ装置53のピストンロッド53aに直接的に、またはリンク機構等を介して間接的に駆動連結されている。この開閉シリンダ装置53は、具体的には空気圧により駆動するエアシリンダからなり、図外の空気圧回路を介して空気圧源に連係されている。これら空気圧回路の切替弁や空気圧源は、後述する制御装置5に電気的に接続されている。
【0067】
そして、開閉シリンダ装置53のピストンロッド53aの突出退入動作により、上記開閉ピン52が、上記両案内ローラ50、51間を挿通移動することにより、上記割り溝30が開閉動作して、クランプ部21のクランプ・アンクランプ動作が行われる。
【0068】
具体的には、開閉シリンダ装置53のピストンロッド53aが退入位置にあって、上記開閉ピン52が、
図7(a)に示すように、案内ローラ50、51間から離隔して外れた外側離隔位置Poにある時、割り溝30は、クランプ力調整機構40(弾発付勢手段42、溝閉止規制手段43)の作用により閉止状態にあり、これにより、クランプ部21のクランプ爪32a、32bは、
図7(b)に示す閉止クランプ位置にある。この時の上記クランプ爪32a、32b間距離Lcは、対象となるワークWの幅寸法Lwよりも僅かに狭く(Lc<Lw)、この寸法差Lw−Lcによるクランプ力が上記クランプ爪32a、32bに付与される。
【0069】
一方、開閉シリンダ装置53のピストンロッド53aが突出位置にあって、上記開閉ピン52が、
図8(a)に示すように、案内ローラ50、51の転動案内されながら両案内ローラ50、51間に挿入係合した内側当接位置Piにある時、割り溝30は、開閉ピン52のテーパ係合面52a、52bによりクランプ力調整機構40の作用に抗して拡開状態にあり、これにより、クランプ部21のクランプ爪32a、32bは、
図8(b)に示すクランプ解除位置にある。この時の上記クランプ爪32a、32b間距離Lcは、対象となるワークWの幅寸法Lwよりも僅かに広く(Lc>Lw)、クランプ凹部32(クランプ爪32a、32b)に対するワークWの搬入搬出が許容される。
【0070】
このように、クランプ部21のクランプ動作とアンクランプ動作とが、それぞれ開閉ピン52の1動作(挿入動作または退出動作)のみで行われ、ワークWの脱着にかかる時間が短縮され得る。
【0071】
補助支持部22は、治具本体15の先端側を支える部位で、具体的には、ワーク回転装置1の主軸スピンドル10との協働作用により、上記治具本体15のクランプ部21を両持ち支持状態で回転支持することを可能とする。
【0072】
補助支持部22は、上記クランプ部21の支持連結部23に取付け固定される本体取付け部65と、この本体取付け部65を介してクランプ部21の先端側部位を回転可能に支持する支持部本体66とを主要部として構成されている。
【0073】
本体取付け部65は、
図3および
図6に示すように、上記クランプ部21の支持連結部23に同心状に取付け固定されるもので、上記支持連結部23に対応した円板状部材の形態とされている。
【0074】
本体取付け部65は、3つの取付けボルト67、67、…により上記支持連結部23に同軸状に締付け固定されており、これら3つの取付けボルト67、67、…の配置構成は、軸方向反対側における治具本体15の取付け部20と同様に、上記割り溝30を挟んで治具本体15の固定側部位15aに配置されて、前述した割り溝30の開閉動作が可能な構成とされている。
【0075】
この本体取付け部65は、軸受68を介して、固定側である上記支持部本体66の軸受部66aに回転可能に支持されている。この支持部本体66は、具体的には
図1に示すように、上記クランプ部21の水平方向側方を平行に延びて、ワーク回転装置1の主軸スピンドル10を軸受支持する主軸台7に取付け固定されている。これにより、治具6は上記主軸スピンドル10と補助支持部22との協働作用により両持ち支持されることになり、特にクランプ部21の支持強度が確保されている。
【0076】
ワーク供給装置(ワーク供給手段)4は、上記治具6のクランプ部21に対してワークWを供給するもので、
図2に示すように、クランプ部21を開閉させる上記クランプ開閉機構(クランプ開閉手段)41と、ワークWの搬入搬出動作を行うワーク搬入出手段としてのワーク搬入出ロボット55とを主要部として構成されている。
【0077】
ワーク搬入出ロボット55は、具体的には、ワークWを装置外のワーク搬入出位置(図示省略)と上記治具6のクランプ部21との間で搬入動作および搬出動作を行う。この目的のため、ワーク搬入出ロボット55は、図示しないロボット本体が、上記ワーク搬入出位置と上記クランプ部21との間で水平移動するとともに昇降動作する構成とされ、このロボット本体に、チャッキングアーム70が水平回転駆動可能に支持されるとともに、ワークWを開閉可能にチャッキング支持する構成を備えている。
【0078】
このチャッキングアーム70は、
図2に示すように、一対のチャッキング爪71、71がチャッキング位置(実線位置)とチャッキング解除位置(二点鎖線位置)との間で開閉動作するとともに、その先端部71a、71aが、
図2、
図7(b)および
図8(b)に示すように、ワークWの長手方向両端部を吊持状かつ挟持状にチャッキングする構造とされている。また、これら一対のチャッキング爪71、71は、
図7(b)および
図8(b)に示すように、治具6におけるクランプ部21の割り溝30内に挿入可能な薄板状とされている。
【0079】
なお、図示しないワーク搬入出ロボット55の水平移動、昇降動作およびチャッキング動作のための各駆動源は、後述する制御装置5に電気的に接続されている。
【0080】
そして、ワーク搬入出ロボット55は、各種駆動源の作動により、上記図外のワーク搬入出位置と上記治具6のクランプ部21との間でワークを搬送するとともに、上記ワーク搬入出位置とクランプ部21の位置において、チャッキングアーム70が開閉動作してワークWのローディング・アンローディングを行う。特に、クランプ部21の搬入出位置においては、クランプ部21がクランプ解除の開放状態にある時に(
図8の状態)、ワークWのローディング・アンローディングが行われる。
【0081】
制御装置5は、上記ワーク回転装置1の主軸スピンドル10の回転駆動部、上記研削砥石装置3の砥石車2の回転駆動部および切込み駆動部、ワーク供給装置4の駆動部を相互に連動して自動制御するもので、具体的には、CPU、RAM、ROMおよびI/Oポート等からなるマイクロコンピュータで構成されている。
【0082】
この制御装置
5は、上記各駆動部等に電気的に接続されて、以下に述べるワークWの外周R面研削方法を自動で実行するように、上記各駆動部を駆動制御する。
【0083】
しかして、以上のように構成された外周R面研削装置において、ワーク回転装置1の主軸スピンドル10に治具6によりクランプ固定されたワークWは、制御装置5の制御プログラムに従って、上記主軸スピンドル10と一体に支持回転される一方、研削砥石装置3の砥石車2が回転駆動されながら、上記ワークWの外周R面Waに対して切込み送りされて、外周R面Waに所定のインフィード研削が施される(
図6参照)。
【0084】
このインフィード研削は、粗研削に続いて精研削が行われるところ、主軸スピンドル10の回転数は粗研削時と精研削時とで変えられて(粗研削時の回転数>精研削時の回転数)、研削精度の向上が図られる。
【0085】
以上詳述したように、本実施形態の外周R面研削用治具6によれば、ワークWを支持回転する主軸スピンドル10に同軸状に取付け固定されて、ワークWを取外し可能にクランプ固定するクランプ部21を有する治具本体15を備え、上記クランプ部21は、弾発的に開閉可能とされるとともに、ワークWを外周R面Waが露出する状態で挟持状に固定支持する一対のクランプ爪32a、32bを備えてなり、これら一対のクランプ爪32a、32bにワークWが固定支持された状態において、上記外周R面Waの仕上半径中心Oが上記主軸スピンドル10の回転軸線X10上に位置する構成とされているから、以下に列挙するような効果が得られて、外周の一部にR面を有するワークWについて、外周R面Waを効率良く研削することができる。
【0086】
(1)外周の一部にR面を有するワークWについて、このワークWを上記治具6にセットするだけで、一般的なインフィード研削を用いて、外周R面Waを効率良く、さらに精度良く研削することができる。
【0087】
すなわち、ワークWを上記治具本体15のクランプ部21にセットするだけで、ワークWの外周R面Waの仕上半径中心OがワークWを支持回転する主軸スピンドル10の回転軸線X10上に位置することになり、主軸スピンドル10によりワークWを支持回転しながら、回転する砥石車2によりワークWの外周R面Waをインフィード研削することにより、外周R面Waが所定の形状寸法(所定の曲率半径を有するR面)に効率良くかつ高精度に仕上げられる。
【0088】
(2)上記治具本体15の先端部に、治具本体15を回転支持する補助支持部22が設けられることにより、砥石車2のドレスインターバルが長くなる。
【0089】
すなわち、治具本体15の先端部が上記補助支持部22により回転支持されることにより、治具本体15は、この補助支持部22と主軸スピンドル10とによる両持ち支持構造となる。これにより、ワーク研削時の研削抵抗によるワークWの回転支持状態が安定化して、ワークWを研削する砥石車2の砥石面2aの性状も安定化し、その結果、砥石車2のドレスインターバルが長くなる(主軸スピンドル10のみによる片持ち構造に比較して、ドレスインターバルが約3倍となることが試験的に判明している。)。
【0090】
換言すれば、治具本体15の基端部のみが上記主軸スピンドル10により支持される片持ち支持構造の場合、ワーク研削時に研削抵抗がかかると、支持されていない治具本体15の先端側が砥石車2の切込み方向へ逃げてしまい、これにより、ワークWの外周R面Waの研削精度が治具本体15の支持されている側と支持されていない側で変わることになる。つまり、支持されている治具本体15基端側のワークWの部位は寸法やR形状(R面の曲率半径)が狙い値またはそれに近い値になるが、支持されていない治具本体15先端側のワークWの部位は、寸法やR形状が狙い値よりも大きくなってしまい、さらに他の加工精度も悪くなってしまう。このような状況は、砥石車2の砥石面2aの性状つまりは切れ味にも偏りを生じるなど悪影響を与えて、早期のドレッシングを余儀なくされ、その結果、砥石車2のドレスインターバルが短くなってしまう。
【0091】
これに対して、治具本体15の両持ち支持構造であると、治具本体15の剛性が増して、ワーク研削時の研削抵抗によっても治具本体15さらには支持されるワークWが砥石車2の切込み方向へ逃げなくなるので、ワークW全体の寸法やR形状が狙い値に仕上げられて、高い研削精度が得られるとともに、砥石車2の砥石面2a全体の性状も偏りのない均一なものとなる。なお、砥石車2の砥石面2aの切れ味が落ちてくると、よりワークWの逃げ量が大きくなるため、この点でも剛性の高い両持ち支持構造の方が研削精度は向上する。その結果、治具本体15が両持ち支持構造である方が、砥石車2の砥石面2aの性状つまり切れ味も全体として均一に安定する結果、ドレスインターバルが長くなる。
【0092】
また、上記治具6を構成要素として備える外周R面研削装置によれば、上記(1)および(2)の効果が得られることに加えて、上記治具6に対してワークWを供給するワーク供給装置4を備えることにより、以下のような効果も得られる。
【0093】
(3)装置の自動化。コストの低減化が図れる。
すなわち、ワーク供給装置4が、上記治具6のクランプ部21を開閉させるクランプ開閉機構41と、上記クランプ部21が開放状態にある時に、ワークWを搬入搬出させるワーク搬入出ロボット55とを備えてなることにより、作業者の手作業によるワークWの取扱い(搬入・搬出)を自動化することができ、これにより人手を不要とすることもでき、製造コストさらには製品コストの低減化が図れる。
【0094】
(4)加工工程のサイクルタイムの短縮が図れる。
すなわち、上記ワーク供給装置4による自動化および人手の削減により、加工工程のサイクルタイムを短縮することができる。
【0095】
(5)安定した研削加工精度の維持が可能となる。
すなわち、本実施形態の治具6を備えることにより、一般的なインフィード研削を用いてワークWの外周R面Waを研削することができるので、砥石車も一般的な円筒砥石面2aを有する砥石車2を使用することができる。その結果、特許文献1の加工方法のように特殊な専用砥石車(ワークWの外周R面形状に対応したプロフィールの砥石面を有する砥石車)が不要で、ドレッシング装置も一般的なドレッサで良く、これにより装置設備費の上昇を抑えることができるとともに、砥石車2の砥石面2aの形状精度もドレッシング装置に依存することがなく、さらにはワークWの外周R面Waの研削加工精度も安定して維持することができる。
【0096】
実施形態2
本実施形態は
図9に示されており、外周R面研削用治具6の主軸スピンドル10に対する取付け構造が若干改変されたものである。
【0097】
すなわち、本実施形態の外周R面研削用治具6においては、主軸スピンドル10の先端取付け部位に治具6の心出し機構(心出し手段)80が設けられている。
【0098】
この心出し機構80は、アダプタプレート16の取付け端面16aにおいて、アダプタプレート16の一直径線上に沿って設けられた長穴溝80aと、主軸スピンドル10の先端取付け部10aの端面81に取付け固定された心出しキー80bとから構成され、これら長穴溝80aと心出しキー80bが長穴溝80aの長手方向へ相対的に摺動可能な状態で嵌合されている。
【0099】
また、これに関連して、図示の実施形態においては、上記アダプタプレート16に設けられた4つの取付けボルト25、25、…用の挿通穴90、90、…が、図示されるような上記長穴溝80aと平行に延びる長穴の形態とされ、あるいは図示しないが取付けボルト25のネジ部よりも大径の円形穴の形態とされている、これにより、取付けボルト25がこの長穴90に対してその長手方向へ相対的に移動可能な状態で挿通する構造とされている。
【0100】
しかして、以上のように構成された治具6の取付け構造において、主軸スピンドル10の心出しキー80bに対して、治具6のアダプタプレート16の長穴溝80aの位置を調整した後、上記4つの取付けボルト25、25、…を締付けて、上記アダプタプレート16を主軸スピンドル10の先端取付け部10aに締付け固定することで、主軸スピンドル10に対する治具6の心出しが行われる。
【0101】
この場合の心出し作用により、ワークWの外周R面Waの高精度研削を可能とすることはもちろん、外周R面Waの仕上形状寸法(仕上半径寸法)の変更にも対応可能となる。
【0102】
すなわち、実施形態1の治具6の取付け構造では、対象となるワークWの外周R面Waの特定の仕上半径に応じて、クランプ部21の支持面32cが設計されることになるが、本実施形態の治具の取付け構造においては、上記心出し機構80により複数種類のワークWの外周R面Waの研削に対応可能であり、より汎用性が高い。
その他の構成および作用は実施形態1と同様である。
【0103】
なお、上述した実施形態1および2はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内において種々の設計変更が可能である。
【0104】
例えば、図示の実施形態1および2においては、治具本体15の先端部が補助支持部22により回転支持されて、治具本体15が、この補助支持部22と主軸スピンドル10とによる両持ち支持構造とされているが、ワークWの長さ寸法Lが小さい(短い)場合には、補助支持部22を設けることなく、主軸スピンドル10による片持ち支持構造としても良い。
【0105】
また、研削対象となるワークWは、
図10に示すようなかまぼこ形状のものに限定されず、外周の一部にR面を有する他の形状のものでも可能である。