特許第5957299号(P5957299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5957299情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957299
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20160714BHJP
【FI】
   G06Q10/00 300
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-125714(P2012-125714)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-250835(P2013-250835A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 敬
(72)【発明者】
【氏名】山縣 謙一
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−283000(JP,A)
【文献】 特開2008−177534(JP,A)
【文献】 特開2002−324109(JP,A)
【文献】 特開2000−259222(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/042649(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶したデータ記憶部と、
前記状態データのうち、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出する抽出部と、
抽出された前記状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算する演算部と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された情報処理装置において、
前記時間的距離は、前記メンテナンス作業後に行われた複数の前記製造プロセスの順番を表すデータである
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された情報処理装置において、
前記演算部は、抽出された前記状態データに対して前記時間的距離に応じた重み付けをして前記指標を演算する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載された情報処理装置において、
前記データ記憶部は、
前記時間的距離を前記メンテナンス作業および前記製造プロセスと関連付けて記憶する距離データ記憶部を有し、
前記抽出部は、
前記距離データ記憶部を参照して、特定種類の前記メンテナンス作業から前記所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載された情報処理装置において、
前記データ記憶部において前記コンテキストデータを含むコンテキストデータファイルと前記状態データを含む状態データファイルとを前記製造プロセスごとに一つのフォルダに格納する記憶制御部をさらに備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載された情報処理装置において、
前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて、前記指標の演算に用いるモデルを作成するモデル作成部をさらに備え、
前記演算部は、
前記抽出部によって抽出された前記状態データと前記モデルとに基づいて前記指標を演算する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載された情報処理装置において、
直近のメンテナンス作業より過去のメンテナンス作業後に行われた前記製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて作成された前記指標の演算に用いる第1のモデルと、前記直近のメンテナンス作業後に行われた前記製造プロセスの状態を表す状態データを用いて作成された前記指標の演算に用いる第2のモデルとを記憶するモデル記憶部と、
前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果と前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果とを比較して、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果と前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果との差が所定の範囲内のときは、前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果を前記製造装置の健常性に関する指標とし、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果と前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果との差が所定の範囲外のときは、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果を前記製造装置の健常性に関する指標とする評価部と
をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶したデータ記憶部と、演算装置とを含むコンピュータが、前記状態データのうち、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出するステップと、
前記コンピュータが、抽出された前記状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算するステップと
を備えたことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶したデータ記憶部と、演算装置とを含むコンピュータに、
前記状態データのうち、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出するステップと、
抽出された前記状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算するステップと
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理の技術に関し、特に製造装置の健常性を診断するための情報処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスやフラットディスプレイパネル等の製造プロセスにおいて、製品の信頼性や生産性を向上させるために、プロセス障害を検出するFDC(Fault Detection and Classification)と呼ばれる技術が注目されている。
【0003】
このFDCは、センサによって検出した製造装置の状態(圧力、温度、流量、電圧等)をサンプリングして得られたデータをプロセスごとに記憶して、このデータを解析的または統計的な手法を用いて処理することによって、製造装置の健常性、すなわち、プロセス障害の有無やその種類を診断するものである(例えば、特許文献1乃至4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−356510号公報
【特許文献2】特開平8−202775号公報
【特許文献3】特開2003−114713号公報
【特許文献4】特開2011−113195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、製造装置の状態は、故障対応その他メンテナンスによってその直前の状態とは大きく変わってしまう。したがって、プロセスごとに取得されるデータをそのまま解析しても、製造装置の健常性を正しく診断することができるという保証はない。
また、製造装置は、その状態が徐々に変化する(ドリフトする)ものの、ある範囲における特定方向のドリフトは、製造装置の健常性を損なうものではない。したがって、健常性を診断する場合には、正常なドリフト量に応じたデータの取り扱いが必要となる。
【0006】
本発明の目的は、複雑なメンテナンスやドリフトの影響を考慮して製造装置の健常性を実用的に素早く評価できる診断技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶したデータ記憶部と、前記状態データのうち、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出する抽出部と、抽出された前記状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算する演算部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記時間的距離は、メンテナンス作業と製造プロセスとの間の時間を表すデータであってもよいが、時間以外の量、例えば、前記メンテナンス作業後に行われた複数の前記製造プロセスの順番を表すデータであってもよい。
【0009】
前記演算部は、抽出された前記状態データに対して前記時間的距離に応じた重み付けをして前記製造装置の健常性に関する指標を演算してもよい。
【0010】
また、前記データ記憶部は、前記時間的距離を前記メンテナンス作業および前記製造プロセスと関連付けて記憶する距離データ記憶部を有し、前記抽出部は、前記距離データ記憶部を参照して、特定種類の前記メンテナンス作業から前記所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出してもよい。
【0011】
また、前記データ記憶部において前記コンテキストデータを含むコンテキストデータファイルと前記状態データを含む状態データファイルとを前記製造プロセスごとに1つのフォルダに格納する記憶制御部をさらに備えてもよい。
【0012】
また、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて、前記指標の演算に用いるモデルを作成するモデル作成部をさらに備え、前記演算部は、前記抽出部によって抽出された前記状態データと前記モデルとに基づいて前記指標を演算するようにしてもよい。
【0013】
また、直近のメンテナンス作業より過去のメンテナンス作業後に行われた前記製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて作成された前記指標の演算に用いる第1のモデルと、前記直近のメンテナンス作業後に行われた前記製造プロセスの状態を表す状態データを用いて作成された前記指標の演算に用いる第2のモデルとを記憶するモデル記憶部と、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果と前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果とを比較して、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果と前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果との差が所定の範囲内のときは、前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果を前記製造装置の健常性に関する指標とし、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果と前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果との差が所定の範囲外のときは、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果を前記製造装置の健常性に関する指標とする評価部とをさらに備えていてもよい。
また、第1のモデルは必ずしも一つではなく、候補として二つ以上あって、複数あるメンテナンスの履歴からの距離が、現在と最も類似している部分の状態を表すデータを用いて作成したモデル式から距離をずらした状態を表すデータを用いて作成したモデル式との関係から最も現在の状態に近い状態を抽出する機能を備えていても良いし、現在の状態に最も近い過去のメンテナンスとの距離の状態を表すデータを、複数のメンテナンス分遡って抽出したモデル式を適用する機能を備えていても良い。
【0014】
また、本発明に係る情報処理方法は、製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶したデータ記憶部と、演算装置とを含むコンピュータが、前記状態データのうち、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出するステップと、前記コンピュータが、抽出された前記状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算するステップとを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る情報処理プログラムは、製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶したデータ記憶部と、演算装置とを含むコンピュータに、前記状態データのうち、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出するステップと、抽出された前記状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算するステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製造装置に対して行われたメンテナンス作業とその後の製造プロセスとの時間的距離別に抽出された状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算するので、メンテナンス作業やドリフトの影響を考慮して製造装置の健常性を評価することができる。
また、製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとをデータ記憶部に記憶させることによって、アクセス速度が律速する様ないわゆるリレーショナルデータベースの使用を極力少なくしたので、製造装置の健常性を、非常に効率的に実用可能な短時間で評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
図3図3は、データ記憶部340の構成を概念的に示した図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置におけるデータ記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置におけるデータ記憶部のデータ構造の一例を説明する図である。
図6図6は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置におけるデータ記憶部のデータ構造の一例を説明する図である。
図7図7は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置におけるメンテナンス情報ファイルの構造の一例を示す図である。
図8A図8Aは、メンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離の概念を説明する図である。
図8B図8Bは、メンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離の概念を説明する図である。
図9図9は、メンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離を記憶したテーブルの一例を示す図である。
図10図10は、第1の本発明の実施の形態に係る情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
図11図11は、本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図12A図12Aは、モデル作成部によるモデル作成の手順の一例を示すフローチャートである。
図12B図12Bは、モデル作成後の判定部による判定手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、本発明の第3の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。また、以下の図面の記載において、同一または類似の構成要素には同一または類似の符号を付して表している。
【0019】
1.第1の実施の形態
本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置は、製造プロセスの状態を表す状態データをその製造プロセスを特定するコンテキストデータと関連付けて記憶するとともに、メンテナンス作業が行われていた場合には、そのメンテナンス作業の影響を考慮して製造プロセスに用いられた製造装置の健常性に関する指標を演算するものである。
【0020】
1−1.第1の実施の形態に係る情報処理装置の構成
1−1−1.情報処理装置のハードウェアの構成
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。図1において、情報処理装置3は、製造装置10に取り付けられた1または複数のセンサ1−1〜1−N(Nは1以上の整数)とセンサ用通信ネットワーク(図示せず。)を介して通信可能に接続される。
【0021】
センサ1−i(i=1〜Nのいずれか)は、例示的には、半導体製造装置等の製造装置10に取り付けられ、その製造装置の状態に応じた信号を出力する。製造装置の状態の一例としては、圧力、温度、流量、電圧等の物理量が挙げられる。センサ1−iが出力した信号は、情報処理装置3に提供される。
【0022】
情報処理装置3は、センサ1−iが出力した信号を受信して処理する。情報処理装置3は、図示しない通信ネットワークに有線あるいは無線で固定的に接続された固定端末でもよいし、通信ネットワークに有線あるいは無線で一時的にアクセス可能な移動端末でもよい。あるいは、情報処理装置3は、半導体製造装置等の機器に備えられた通信インターフェース(図示省略)に接続可能な端末であり、センサ信号を、当該通信インターフェースを介して(通信ネットワークを介さずに)受信できるようにしてもよい。
【0023】
情報処理装置3は、例示的に、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、ROM(Read Only Memory)33、ハードディスク等の記憶装置34、1または複数のインターフェース(I/F)35A〜35D、ディスプレイ36、キーボード37、マウス等のポインティングデバイス38を備える。
【0024】
キーボード37およびポインティングデバイス38は、半導体製造装置等の機器の管理者が情報処理装置3に情報を入力するために用いられる入力デバイスの一例である。
【0025】
ディスプレイ36は、液晶ディスプレイ、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等の表示装置であり、例えばCPU31による表示制御の下、RAM32やROM33、記憶装置34に記憶されているデータを表示する。なお、ディスプレイ36は、タッチパネル等の情報入力が可能なデバイスを備えていてもよい。
【0026】
インターフェース35A〜35Cは、それぞれディスプレイ36、キーボード37およびポインティングデバイス38等の周辺機器(ペリフェラル)を接続するために用いられるインターフェースである。このようなインターフェースには、例示的に、USB、IEEE1394、シリアル、パラレル、赤外線、無線等のインターフェースを用いることができる。インターフェース35Dは、情報処理装置3を通信ネットワーク5に接続する通信インターフェースである。
【0027】
記憶装置34は、例えばセンサ信号を処理する情報処理プログラムを記憶する。情報処理プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供することができる。記録媒体には、例えば、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blue-ray Disk)、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きRAMカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等が含まれる。コンピュータの一例である情報処理装置3は当該記録媒体から情報処理プログラムを読み取って記憶装置34やRAM32に転送し格納して用いる。また、情報処理プログラムは、例えば図示しない通信ネットワークを介して情報処理装置3に提供することもできる。
【0028】
なお、「コンピュータ」とは、ハードウェアとオペレーティングシステム(OS)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味することがある。ハードウェアは、CPU等の演算装置と、記録媒体に記録されたプログラムを読み取り可能な読み取り装置とを含むことができる。
【0029】
情報処理プログラムは、上述のようなコンピュータに、情報処理装置3としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。その機能の一部はプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0030】
ROM33は、不揮発性記憶媒体の一例であり、例えば、情報処理装置3が起動する際に、CPU31にマイクロコードを設定したり、各部を初期化したり、記憶装置34からOS等を起動し、プログラムが実行されるような指示を行ったりするためのプログラムやデータを記憶する。
【0031】
RAM32は、揮発性記憶媒体の一例であり、CPU31の作業領域(ワークメモリ)を提供する。
【0032】
CPU31は、演算処理能力を備えたプロセッサの一例である。CPU31は、ROM33や記憶装置34に記憶されたプログラムやデータ、インターフェース35A〜35Cを通じて与えられる各種入力情報を作業領域であるRAM32に展開し、展開したプログラム等にしたがって動作することにより、コンピュータを情報処理装置3として機能させる。
なお、CPU31の代わりに、MPU(Micro Processing Unit)や、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Processor)を用いてもよい。
【0033】
1−1−2.情報処理装置の機能ブロック
図2に示すように、情報処理装置3の機能は、記憶装置34に対する各種データの書き込みおよび読み出しを制御する制御部310と、記憶装置34上に構成されて、各種データを記憶するデータ記憶部340と、制御部310の制御の下でデータ記憶部340から所望の条件を満たすデータを抽出する抽出部350と、抽出されたデータを用いて所定の演算を行う演算部360と、演算部360による演算結果を出力する出力部370とに大別できる。
上述したように、情報処理プログラムによる制御の下でCPU31がRAM32、ROM33、記憶装置34および各種入出力装置と協働することよって、情報処理装置3の制御部310、データ記憶部340、抽出部350、演算部360および出力部370を実現することができる。
【0034】
(1)制御部
まず、制御部310は、サンプリング処理部311と記憶制御部312を含む。
サンプリング処理部311は、受信したセンサ信号をサンプリングする。サンプリングの期間および周期は、例えば記憶制御部312から与えられる。このセンサ信号は、製造プロセスの状態を表す状態データに相当する。
サンプリング周期は、半導体製造装置等の機器の状態(使用状況)を診断するのに足りる十分な短さを有するデータ取得周期である。例えば、特定の処理を実施する期間が3分間であるならば、サンプリング周期は1秒または0.1秒といった、処理の実施期間よりも遙かに短い期間が設定される。
特定の処理の一例としては、機器が半導体製造装置であれば、ウエハーの製造工程における露光処理等の各種製造プロセスが挙げられる。サンプリング処理部311でセンサ信号をサンプリングして得られた信号データは、製造プロセスまたはその製造プロセスに用いられている製造装置の状態を表す状態データの一例である。
【0035】
サンプリング周期は、当該サンプリング期間においてセンサ信号をサンプリングする時間間隔を規定する。本実施形態において当該サンプリング周期は複数のセンサ1−iについて共通とすることができる。すなわち、サンプリング処理部311は、センサ1−iの種類の異同に関わらず、いずれか2以上のセンサ1−iのセンサ信号をあるサンプリング期間において同じサンプリング周期でサンプリングすることができる。
以下、本明細書においては、状態データを「サンプリングデータ」ということがある。
【0036】
記憶制御部312は、記憶装置34の記憶領域を管理し、各種データ、例えば、サンプリング処理部311でサンプリングされた信号データ(サンプリングデータ)の記憶装置34に対するデータの書き込みおよび読み出しを制御して、記憶装置34上に、後述するデータ記憶部を実現する。記憶装置34との入出力の制御には、記憶装置34において、データフォルダやデータファイルを生成、更新、および/または削除する処理が含まれる。このような制御は、例えばOSの一機能として備えられるファイルシステム(FS)を利用して実現することができる。
【0037】
記憶制御部312は、フォルダ制御部312aとファイル制御部312bと含んでいる。本実施の形態において、データファイルは、ファイル制御部312bによってセンサ1−iの別に生成することができ、それぞれに対応するサンプリングデータが含められる。なお、サンプリングデータのデータファイルを以下「サンプリングデータファイル」と称する。
【0038】
また、データフォルダは、フォルダ制御部312aによって、製造プロセスごと、すなわち、既述のサンプリング期間(例えば、特定の製造プロセスの実施期間)の別に生成することができる。データフォルダには、その製造プロセス(サンプリング期間)においてセンサ信号をサンプリングして得られた1または複数のサンプリングデータファイルを格納することができる。
【0039】
(2)データ記憶部
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態に係る情報処理装置3のデータ記憶部340の一構成例について説明する。
データ記憶部340は、製造装置およびこの製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、製造プロセスの状態を表す状態データ(具体的には、サンプリングデータ)と、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶している。
【0040】
(2−1)コンテキストデータ
「コンテキストデータ」は、例えば製造プロセスごとの半導体製造装置等の機器の使用状況を表すデータであり、製造装置10およびその製造装置10を用いた製造プロセスを特定するデータである。コンテキストデータは、例えば、生産管理システム20から取得することができる。本実施の形態においては、コンテキストデータは、コンテキストデータファイル401に記憶される。また、状態データ(サンプリングデータ)は、サンプリングデータファイル402−1〜402−Nに記憶される。
【0041】
本実施の形態においては、図3に示すように、データ記憶部340は、コンテキストデータおよび状態データを格納したデータフォルダ340−1〜340−nと、コンテキストデータを管理するコンテキストデータ管理部400と、サンプリングデータに適用する演算方法を管理する演算方法定義ファイル403と、製造装置に対して行われたメンテナンス作業の種別や時期等を記録したメンテナンス情報ファイル405とを有する。
【0042】
(2−2)データフォルダによるコンテキストデータとサンプリングデータの関連付け
本実施の形態に係る情報処理装置3においては、フォルダ制御部312aによって製造プロセスごとにデータフォルダ340−1〜340−nが生成される。
これらデータフォルダ340−1〜340−nは、図3および図4に示すように、それぞれ、製造プロセスごとのコンテキストデータを記録したデータファイル(以下、「コンテキストデータファイル」という。)401と、コンテキストデータファイルによって特定される製造プロセス(サンプリング期間)において各センサ1−1〜1−Nからのセンサ信号をサンプリングして得られたサンプリングデータをセンサ別にそれぞれ記録したサンプリングデータファイル402−1〜402−Nとを格納している。サンプリングデータファイル402−1〜402−Nには、サンプリングデータとともに、サンプリング周期(Sampling Rate)411−1〜411−Nやサンプリング時刻が格納されている。
【0043】
すなわち、データ記憶部340には1または複数のデータフォルダ340−1〜340−nが記録、保存されており、1つのデータフォルダ340−j(j=1〜nのいずれか)には、コンテキストデータファイル401と、1または複数のサンプリングデータファイル402−iを格納することができる。
【0044】
1つのデータフォルダ340−jに格納されたコンテキストデータファイル401は、このデータフォルダ340−jと対応付けられた特定の製造プロセスjを特定するコンテキストデータを記録している。コンテキストデータによって、どの機器でどのようなプロセスがどの期間にわたって実施されるかを識別することができる。
なお、後述するように、製造プロセスごとにデータフォルダ340−1〜340−nに分散して格納されたコンテキストデータファイル401は、コンテキストデータ管理部400によって管理されている。
【0045】
図4に、コンテキストデータファイル401と、サンプリングデータファイル402−1〜402−Nの例を示す。この例では、コンテキストデータファイル401は、半導体製造プロセスで用いられるデータ例であり、「ロット番号(Lot Number)」、「機器名(Equipment Name)」、「レシピ名(Recipe Name)」、「チャンバー名(Chamber Name)」、「開始時刻(Start Time)」および「終了時刻(End Time)」等に関する情報を含んでいる。
【0046】
「機器名」には、半導体製造装置の名称を表すデータがセットされ、「レシピ名」には、半導体製造装置に対する命令、設定およびパラメータ等を含むデータセットの名称を表すデータがセットされ、「チャンバー名」には、当該半導体製造プロセスで用いられるチャンバー(反応処理等を実施する処理槽)の名称を表すデータがセットされる。「開始時刻」および「終了時刻」には、例えば「機器名」、「レシピ名」および「チャンバー名」の各データで特定される半導体製造プロセスの開始時刻および終了時刻を表すデータがそれぞれセットされる。
【0047】
したがって、コンテキストデータは、「機器名」、「レシピ名」および「チャンバー名」で特定される製造プロセスが「開始時刻」および「終了時刻」で特定される期間にわたって実施されることを示す。本実施形態では、当該期間が、機器の状態を検出(あるいは測定)すべきサンプリング期間(以下「測定期間」ともいう。)の一例に相当する。なお、同じ「機器名」、「レシピ名」および「チャンバー名」を含むコンテキストデータであっても、測定期間が異なれば、それらは異なるコンテキストデータとして扱ってよい。別言すると、測定期間ごとにコンテキストデータが生成されてよい。
なお、典型的には、「機器名」、「レシピ名」は、生産管理システム20から取得することができ、また、「開始時刻」、「終了時刻」は、プロセスを実施する製造装置10から取得することができる。
【0048】
ここで、コンテキストデータには、図4に例示するように、機器に取り付けられているセンサ1−iに関する情報(以下「センサ情報」と称する。)410を含めることができる。センサ情報410の一例としては、センサ1−iの種類や名称、数等の情報が挙げられる。既述のサンプリング処理部311(図2参照)は、当該コンテキストデータを参照することで、測定期間においてサンプリング周期情報411−1〜411−Nが示す一定周期で、センサ情報410によって識別される1または複数のセンサ1−iについてのセンサ信号のサンプリングを実施することができる。
一方、サンプリングデータファイル402−1〜402−Nは、センサ#1〜#N毎に、サンプリングレート411−1〜411−Nとサンプリングデータを記憶する。
【0049】
なお、機器が備えるセンサ1−iの種類や名称、数に変更があった場合、当該機器は、例えば既述の制御装置へ変更後のセンサ1−iに関する情報を与えることができる。これにより、当該変更以後のコンテキストデータには、制御装置において、最新のセンサ情報410をセットすることが可能となる。
【0050】
また、サンプリング周期情報411は、必ずしもコンテキストデータの情報要素でなくても構わない。サンプリング処理部311がセンサ信号のサンプリングにあたって参照可能な形態で記憶装置34等に記憶されていれば足りる。また、例えばセンサ1−iの異同やコンテキストデータの異同に関わらず同じサンプリング周期をサンプリング処理部311に設定して構わない場合には、サンプリング周期情報411の設定、管理を不要にすることもできる。
【0051】
要するに、データフォルダ340−jは、上述したようなコンテキストデータごとに生成され、当該コンテキストデータをコンテキストデータファイル401の形態で格納する。そして、当該コンテキストデータが示す測定期間においてサンプリング周期情報411−1〜411−Nが示す一定周期でサンプリングされたセンサ1−i別のサンプリングデータファイル402−iが、当該コンテキストデータファイル401の格納フォルダと同じデータフォルダ340−jに格納される。
【0052】
別言すると、記憶制御部312は、複数のセンサ1−i別のサンプリングデータファイル402−iをコンテキストデータファイル401と関連付けて(論理的にリンクして)記憶装置34に記憶する。当該「関連付け」は、記憶装置34において、コンテキストデータファイル401と、当該ファイル401に関連付けられるセンサ1−i別のサンプリングデータファイル402−iと、を同じデータフォルダ340−jに格納することに相当する記憶領域の管理を記憶制御部312が実施することで実現できる。
【0053】
一般的には、センサから取得したデータを処理、記録、管理等する管理システムにおいてセンサの数や種類が変更されたりすると、データの記録(保存)形式等に改変の必要性が生じる等、システムの構造に大きな影響を与えることがある。
【0054】
これに対し、上述したように、本実施の形態に係る情報処理装置3においては、コンテキストデータごとにデータフォルダ340−jを生成し、当該コンテキストデータを含むコンテキストデータファイル401とセンサ1−i別のサンプリングデータファイル402−iとをこのデータフォルダ340−jに格納している。これを換言するならば、コンテキストデータは、製造プロセスと一対一に対応するので、コンテキストデータファイルと状態データを含む状態データファイルとを前記製造プロセスごとに1つのフォルダに格納している。
したがって、センサの数や種類が変更されても、変更後の製造プロセスについてのみコンテキストデータを変更し、このコンテキストデータと関連付けてサンプリングデータを1つのフォルダに格納すればよいので、システムの構造を大きく変更する必要はない。
【0055】
(2−3)コンテキストデータ管理部
上述したように、製造プロセスごとに生成されたデータフォルダ340−1〜340−nに、コンテキストデータファイル401とサンプリングデータファイル402−1〜402−Nを製造プロセスごとに関連付けて分散して格納する。したがって、データ記憶部340には、データ記憶部340に記憶されているすべてのコンテキストデータを把握するために、コンテキストデータ管理部400が設けられている(図3図5参照。)。
【0056】
図5は、本実施の形態に係る情報処理装置3におけるデータ記憶部340のデータ構造を説明する図である。
複数のデータフォルダ340−1〜340−3にそれぞれ格納されているコンテキストデータファイル401には、データフォルダ340−1〜340−3と対応付けられる製造プロセスを特定する情報(コンテキストデータ)が記録されている。図5は、複数のデータフォルダ340−1〜340−3に格納されたコンテキストデータファイル401に記憶されたコンテキストデータは、コンテキストデータ管理部400においてコンテキストデータセットとして統一的に管理されている様子を示している。
【0057】
コンテキストデータを管理するためには、データフォルダ340−1〜340−nに格納されたコンテキストデータファイル401と別に、コンテキストデータ管理部400においてコンテキストデータを保持してもよい。
また、記憶領域をより効率的に使用するためには、例えば、図6に示すように、各コンテキストデータファイル401に対してユニークな識別子(例えば、ロット番号(Lot Number)など)を付与し、この識別子と、参照すべきコンテキストデータファイル401を特定する情報(例えば、コンテキストデータファイル401が記憶されている記憶領域のアドレス等)とを対応付けて記憶してもよい。
【0058】
(2−4)演算方法定義ファイル
演算方法定義ファイル403は、サンプリングデータに適用する演算方法を定義したデータファイルである。この演算は、サンプリングデータ(状態データ)を用いて製造装置の健常性を評価するために用いられる指標を算出するためのものである。指標の例としては、サンプリングデータの特徴量、代表値、平均値、最大値、最小値、平均値、および標準偏差等が挙げられるが、これらはあくまでも例であって、本発明においては、どのような値を指標として採用するかは任意であり、その演算方法も任意に定義してもよい。
【0059】
演算方法の定義の仕方の一例として、演算方法定義ファイル403は、指標を導出するためのモデルを記憶してもよい。そのようなモデルは、例えば、多項式等を含む数式モデルはもちろんのこと、ニューラルネットワーク等を用いたネットワークモデルであってもよい。
製造装置の健常性を評価するために用いられる指標を算出するためのモデルは、メンテナンス作業に近い(メンテナンス作業後すぐの)製造プロセスを重視し、遠い製造プロセスは軽く見るように重み付けしてもよい。具体的な手法としては、指数重み付移動平均(Exponentially Weighted Moving Average: EWMA)を用いて、時間的距離に応じた重み付け演算モデルを構築することができる。
【0060】
(2−5)メンテナンス情報ファイル
メンテナンス情報ファイル405は、製造装置のメンテナンス作業に関する情報を記録したデータファイルである。メンテナンス情報ファイル405は、例えば、図7に示すように、メンテナンス作業の識別子(「Maintenance #」)に対してそのメンテナンス作業の種別と実施日時を対応付けて記憶してもよい。
図7に示す例は、2種類のメンテナンス作業M#1およびM#2がそれぞれ2回実施されてことを示している。
【0061】
<時間的距離>
ここで、「時間的距離」とは、メンテナンス作業と製造プロセスとの時間的な間隔である。その具体的な例としては、メンテナンス作業と製造プロセスとの間の時間を表すデータ、例えば、物理的な時間で表してもよいし、メンテナンス作業後に行われた複数の製造プロセスの順番を表すデータ、例えば、製造プロセスのバッチ数で表してもよい。
本実施の形態においては、繰り返し行われる各製造プロセスをそれぞれ1バッチとして、ある製造プロセスがメンテナンス作業が完了した後の何バッチ目の製造プロセスかを表すデータ、すなわち、メンテナンス作業後に行われた複数の製造プロセスの順番を表すデータを「時間的距離」とする。
なお、本発明において、「時間的距離」は、メンテナンス作業から製造プロセスまでの経過時間または製造プロセスの回数に応じて単調性を示すものであれば、任意に定義することができる。
【0062】
メンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離は、メンテナンス作業から製造プロセスまでの時間と、同種のメンテナンス作業の繰り返し回数とから把握することができる。
図8Aおよび図8Bは、メンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離の概念を説明する図である。
【0063】
まず、図8Aは、1種類のメンテナンス作業「M#1」が製造プロセスの合間に複数回繰り返された場合を表している。図8Aにおいて、複数回繰り返された製造プロセスには、時系列的にロット番号「1000」から「1000+k+3」が付されている。一方、「M#1」は、製造プロセスの合間に実施されたメンテナンス作業を表し、「M#1(1)」および「M#1(2)」は、それぞれ、同種のメンテナンス作業「M#1」の1回目および2回目の実施を表している。すなわち、図8Aでは、このメンテナンス作業「M#1」が都合2回繰り返されたことを示している。
このとき、メンテナンス作業M#1から製造プロセスまでの時間的距離は、各回のメンテナンス作業、すなわち、「M#1(1)」および「M#1(2)」の後の製造プロセスの順番で表すことができる。具体的には、ロット番号「1001」の製造プロセスの時間的距離は、1回目のメンテナンス作業「M#1(1)」後の順番である「1」、ロット番号「1002」の製造プロセスの時間的距離は「2」、ロット番号「1000+k+1」の製造プロセスの時間的距離は、2回目のメンテナンス作業「M#1(2)」後の順番である「1」となる。
また、1回目のメンテナンス作業「M#1(1)」後の製造プロセス(1001〜1000+k)と、2回目のメンテナンス作業「M#1(2)」後の製造プロセス(1000+k+1〜1000+k+3)は、メンテナンス作業1回分だけ時間的距離が離れていると考えることができる。
【0064】
図8Bは、2種類のメンテナンス作業「M#1」と「M#2」とがそれぞれ複数回実施されたことを表している。具体的には、ロット番号「1001」のプロセスの前に、メンテナンス作業M#1の1回目(M#1(1))が行われ、ロット番号「1003」のプロセスの前に、メンテナンス作業M#2の1回目(M#2(1))が行われ、ロット番号「1000+k+1」のプロセスの前に、メンテナンス作業M#1の2回目(M#1(2))およびメンテナンス作業M#2の2回目(M#2(2))が行われている。
このような場合でも、各種のメンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離は、メンテナンス作業から各製造プロセスまでの時間や、メンテナンス作業後の製造プロセスの順番によって表すことができる。
この場合、メンテナンス作業ごとに製造プロセスの時間的距離が把握される。この例においては、ロット番号「1003」により特定される製造プロセスは、第1のメンテナンス作業M#1(1)からの時間的距離は「3」となる一方、第2のメンテナンス作業M#2(1)からの時間的距離は「1」となる。これを距離(1003:M#1,M#2)=(3,1)と表してもよい。また、ロット番号「1000+k」(kは4以上の自然数)の製造プロセスのについては、距離(1000+k:M#1,M#2)=(k,k−2)となる。
【0065】
このような時間的距離は、コンテキストデータファイル401に含まれる各製造プロセスの「開始時刻(Start Time)」または「終了時刻(End Time)」の値とメンテナンス情報ファイル405に含まれる「実施(完了)日時」の値の差分をとり、その差分の大きさに応じて製造プロセスを配列することによって計算することができる。
このようなメンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離は、予め計算して、その結果をコンテキストデータ管理部400内に設けられた距離データファイル406に記憶させておく。
例えば、各製造プロセスと各メンテナンス作業との時間的距離を表すデータ(以下、「時間的距離データ」という。)を、図9に示すように、テーブル形式でデータ記憶部340の距離データファイル406に記憶させてもよい。
予め計算しておくことによって、後述する健常性に関する指標の計算を効率的に行うことができる。
【0066】
(3)抽出部
抽出部350は、距離データファイル406を参照して、データ記憶部340に記憶されたサンプリングデータのうち、メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する製造プロセスから得られたものを抽出する。
なお、本実施の形態においては、時間的距離データを予め計算しておくものとして説明したが、抽出部350がデータの抽出を行う度に時間的距離を計算してもよい。
また、抽出部350は、時間的距離の他、メンテナンスの累積回数や、製品の良否に応じてサンプリングデータを抽出することもできる。例えば、同じメンテナンスM#1でも、2回目のM#1(2)以降のサンプリングデータを抽出するようにしてもよいし、コンテキストデータと関連付けて製品検査の結果(合格または不合格)を記憶しておくことによって、合格または不合格だった製品を製造した製造プロセスのサンプリングデータを抽出することもできる。
【0067】
(4)演算部
演算部360は、演算方法定義ファイル403に記憶されたモデルを参照し、データ記憶部340に記憶されたサンプリングデータを用いて製造装置の健常性に関する指標、例えば、サンプリングデータの特徴量、代表値、平均値、最大値、最小値、平均値、および標準偏差等を演算する。
このような演算部360は、一般には、データ記憶部340に記憶された任意のサンプリングデータを用いて演算を行うことができるが、本実施の形態においては、さらに、次に述べるように、上述した抽出部350によって抽出されたサンプリングデータに対して演算を行う。
【0068】
1−2.第1の実施の形態に係る情報処理装置の動作
次に、図10を参照して、情報処理装置3における状態データ(サンプリングデータ)の抽出から演算までの動作の一例を説明する。
まず、抽出動作を開始するにあたっては、抽出条件として、時間的距離の規準となるメンテナンス作業またはメンテナンス作業の種類と、そのメンテナンス作業からの時間的距離を指定する(S10)。時間的距離の指定は、特定の種類のメンテナンス作業から数えたときの順序を指定することによって行ってもよいし、順序の範囲を指定してもよい。図8Aの概念図に基づくならば、例えば、「メンテナンスM#1から3番目の製造プロセス」を指定した場合は、M#1(1)から3番目の製造プロセス(ロット番号:1003)と、M#1(2)から3番目の製造プロセス(ロット番号:1000+k+3)が抽出されることになるし、「メンテナンスM#1から1〜3番目の製造プロセス」を指定した場合は、M#1(1)から1〜3番目の製造プロセス(ロット番号:1001〜1003)と、M#1(2)から1〜3番目の製造プロセス(ロット番号:1000+k+1〜1000+k+3)が抽出されることになる。
なお、抽出条件の指定は、例えば、キーボード37等からマニュアル入力してもよいし、別途、プログラム等によって自動で指定してもよい。
【0069】
抽出部350は、抽出条件が設定されると(S01:Yes)、指定されたメンテナンス作業後の各製造プロセスの順序を求める(S02)。抽出条件においてメンテナンス作業の種類が指定された場合は、同種の複数のメンテナンス作業のそれぞれからの順序を求める。各メンテナンス作業からの各製造プロセスの順序が距離データファイル406に予め記憶されている場合は、抽出部350は、距離データファイル406に記憶された各製造プロセスの時間的距離データを参照すればよい。
【0070】
メンテナンス作業後の製造プロセスの順序が得られたら、この順序を参照して抽出条件を満たす製造プロセスを特定し、さらにコンテキストデータ管理部400を参照して、特定された製造プロセスに対応するデータフォルダ340−jを特定する(S03)。
このデータフォルダ340−jが特定されたら、このデータフォルダ340−jに格納されているサンプリングデータファイル402−1〜402−Nからサンプリングデータを読み出して、演算部360に出力する(S04)。
【0071】
演算部360は、演算方法定義ファイル403に記憶されたモデルを参照し、抽出部350によって抽出されたサンプリングデータを用いて所定の演算を行い(S05)、得られた指標を健常性に関する指標として出力する。得られた指標は、制御部310によって、ディスプレイ36に表示されたり、データ記憶部340に記憶される。
【0072】
したがって、演算部360は、データ記憶部340に記憶されたサンプリングデータのうち、指定されたメンテナンス作業から所定の時間的距離を有する製造プロセスから得られたもののみを用いて各種指標を演算することができる。その結果、同様の環境下において得られたサンプリングデータのみを用いて指標を演算するので、製造装置の健常性を評価する際に、メンテナンス作業による製造装置の環境の変化の影響を抑えることができる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、コンテキストデータとサンプリングデータとを別々のファイルに格納し、これらを製造プロセスごとに1つのフォルダに格納しているので、各種指標を演算する際のデータ抽出の処理負担、特に、製造プロセスを特定して特定された製造プロセスの状態データを抽出する処理負担を軽減することができる。
しかし、本発明においては、これらのデータを、上述したファイル構成に代えて、他の構成、例えば、リレーショナル・モデルに基づくリレーショナルデータベースに格納してもよい。
【0074】
2.第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置は、情報処理装置自体が、健常性を評価するために用いられる指標の演算に用いるモデルを、状態データに基づいて作成するものである。
【0075】
2−1.第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成
図11に、本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す。なお、以下の説明において、上述した第1の実施の形態に係る情報処理装置と同様の構成要素には、同一の符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0076】
(1)モデル作成部
(1−1)モデルの作成
本実施の形態に係る情報処理装置は、図11に示すように、抽出部350によって抽出されたサンプリングデータの一部または全部に基づいてモデルを作成するモデル作成部361を備えている。このモデル作成部361によって作成されたモデルは、データ記憶部340のモデル記憶部403aに記憶される。このモデル記憶部403aは、第1の実施の形態に係る情報処理装置における演算方法定義ファイル403相当するものである。モデル記憶部403aに記憶されたモデルは、演算部360によって参照されて、抽出部350によって抽出されたサンプリングデータ(状態データ)から指標を演算するために用いられる。
【0077】
モデルを作成するにあたっては、例えば、多変量解析やシステム同定の手法を用いて新たなモデルを構築する場合はもちろんのこと、既存のモデルのパラメータを変更することも、「モデルを作成する」ことに含まれる。特に多変量解析の手法は、プロセス障害を検出するFDCを実行する際の複数の健常性の指標を一括して管理するためにも用いることができる。
【0078】
また、本実施の形態においては、モデル作成部361がモデルの作成に用いる状態データは、抽出部350によって抽出された、メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する製造プロセスの状態を表す状態データである。このようにメンテナンス作業から所定の時間的距離を有する製造プロセスの状態を表す状態データを用いてモデルを作成することによって、メンテナンス作業やドリフトの影響を排除してモデルを作成することができる。
【0079】
(1−2)モデルの評価と更新
モデルの更新は、データ記憶部340のモデル記憶部403aにすでにモデルが記憶されている状態で、モデル作成部361において作成した新たなモデルをモデル記憶部403aにすでに記憶されているモデルと置き換える処理である。
モデルの更新に先立って、モデル作成部361は、新たに作成したモデルの妥当性の評価を行ってもよい。
モデルの評価は、例えば、演算部360に、2種類のモデル、すなわち、すでにモデル記憶部403aに記憶されているモデルと新たに作成したモデルとを用いて、新たなモデルの作成に用いた状態データとは異なる状態データから健常性に関する指標をそれぞれ演算させ、それら差と予め定められた閾値を比較することによって実現することができる。すなわち、2種類のモデルに基づく指標の差が閾値以下であれば、新しいモデルをモデル記憶部403aに記憶させ、すでに記憶されているモデルと置き換える一方、2つの指標の差が閾値を超えている場合は、新しいモデルは採用せず、モデルの更新を見合わせるのである。
なお、2つの指標の差が閾値を超えており、モデルの更新を見合わせる場合は、異なる条件で抽出した状態データを用いて改めてモデルを作成するようにしてもよい。
【0080】
(2)判定部
判定部380は、製造装置の現在の状態を表す状態データから演算部360によって演算された健常性に関する指標に基づいて、製造装置に異常がないか否かを判定する機能部である。
このとき演算部360が用いるモデルは、モデル記憶部403aに記憶されたモデルである。したがって、上述したモデルの評価を経ている場合は、ここで用いられるモデルは、妥当なものと評価されたモデルである。
判定部380は、製造装置の現在の状態を表す状態データから演算部360によって演算された健常性に関する指標に基づいて製造装置に異常があると判断される場合は、生産管理システムを通じてオペレータに対しロットの検査の実施および次ロット処理の禁止等の措置をとることを促し、製造装置が正常と判断される場合は、正常と判断されたチャンバにおける次ロット処理やそのチャンバで処理されたロットに対する次工程の開始を許可する。
【0081】
2−2.第2の実施の形態に係る情報処理装置の動作
2−2−1.状態データの抽出およびモデル作成
図12Aにモデル作成部361によるモデル作成の手順の一例を示す。
まず、抽出条件が設定されると(S11:Yes)、指定されたメンテナンス作業後の各製造プロセスの順序を求め(S12)、抽出条件を満たす製造プロセスを特定し、さらにコンテキストデータ管理部400を参照して、特定された製造プロセスに対応するデータフォルダ340−jを特定する(S13)。
【0082】
ここで、モデル作成のための抽出としては、次のようなものが例として挙げられる。
・特定のメンテナンス作業または特定種類のメンテナンス作業からの所定の時間的距離を有する製造プロセスを抽出する;
・直近のメンテナンス作業後の製造プロセスを抽出する;
・特定種類のメンテナンス作業について、累積回数が所定数となる過去のメンテナンス作業以降の製造プロセスを抽出する;
・製品検査の結果、合格(または不合格)となった製品を製造した製造プロセスを抽出する。
特に、「特定のメンテナンス作業からの所定の時間的距離を有する製造プロセス」の数や「直近のメンテナンス作業後の製造プロセス」の数が、モデルの作成には少なすぎる場合等には、「累積回数が所定数となる過去のメンテナンス作業以降の製造プロセスを抽出する」という条件に切り替えればよい。
また、これらの条件のうち、複数の条件を組み合わせてもよい。例えば、「累積回数が所定数となる過去のメンテナンス作業以降の製造プロセス」のうち、「製品検査の結果、合格(または不合格)となった製品を製造した製造プロセス」を抽出してもよい。
【0083】
抽出部350は、データフォルダ340−jが特定されたら、このデータフォルダ340−jに格納されているサンプリングデータファイル402−1〜402−Nからサンプリングデータを読み出して、モデル作成部361に出力する(S14)。
モデル作成部361は、抽出部350によって抽出されたサンプリングデータからモデルを作成する(S15)。
2−2−2.モデルの評価および更新
上述のようにして新たなモデルが作成されると、この新たなモデルの作成に用いた状態データとは異なる過去の状態データから、新たなモデルを用いて健常性に関する指標を演算する一方、同じ過去の状態データから、すでにモデル記憶部403aに記憶されているモデルを用いて健常性に関する指標を演算する(S16)。
そして、新旧2つのモデルを用いてそれぞれ演算した健常性に関する指標の差が所定の閾値以下であれば(S17:Yes)、新たなモデルをモデル記憶部403aに記憶して、モデルを更新する(S18)。
一方、これらの指標の差が所定の閾値を超えていれば(S17:No)、モデルの作成に用いる状態データを選び直して(S13)、再度、モデルの作成を行う(S14−S15)。
【0084】
なお、作成されたモデルをデータ記憶部340に記憶させるにあたっては、既存のモデルと置き換えるようにしてもよいし、モデル記憶部403aに既存のモデルと併存させて記憶させてもよい。
例えば、モデル作成部361は、直近のメンテナンス作業より過去のメンテナンス作業後に行われた製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて作成された第1のモデルを、直近のメンテナンス作業後に行われた製造プロセスの状態を表す状態データを用いて更新して第2のモデルを作成してもよい。この場合、指標を演算に用いられるモデルは、製造プロセスが実施されて新しい状態データが得られるたびに、その新しい状態データを用いて更新される。したがって、状態データをx、メンテナンス作業後のプロセスの順番(メンテナンス作業からの時間的距離)をk、k番目の製造プロセスを表す状態データxから指標を演算するモデルをf(x)kとすると、メンテナンス作業が実施された直後から製造プロセスがk回目、k+1、k+2、、、と進むたびに、モデルは直近のメンテナンス作業後の製造プロセスを表す状態データを考慮して、f(x)k、f(x)k+1、f(x)k+2、、、と更新されて、最新の状態に追従する。
【0085】
また、メンテナンス作業の直後は、直近のコンテクストが存在せず、製造装置の健常性を評価するために用いられる指標を算出するモデルそのものを作成することができない場合がある。このような場合には、過去に行われた同種のメンテナンス作業直後の値を用いてモデルを作成してもよい。このとき、複数回にわたる過去の同種のメンテナンス直後のサンプリングデータを参照する場合は、例えば、過去3回の同種のメンテナンス作業後のデータを用いる場合には、直前のメンテナンス作業直後のデータを50%、その一つ前のデータを30%、さらにひとつ前のデータを20%使用する、といったように、過去にさかのぼるにつれて重みが小さくなるようにしてもよい。
2−2−3.指標に基づく判定
次に、図12Bを参照して、指標に基づく判定の手順を説明する。
モデルが更新されると(図12A、S18)、演算部360は、このモデルを用いて現在の製造装置の現在の状態を表す状態データから健常性に関する指標を演算する(S19)。判定部380は、この健常性に関する指標に基づいて製造装置に異常があるか否かを判断し(S20)、製造装置が正常と判断される場合は(S20:Yes)、正常と判断されたチャンバにおける次ロット処理やそのチャンバで処理されたロットに対する次工程の開始を許可する(S21)。一方、製造装置に異常ありと判断される場合は(S20:No)、生産管理システムを通じてオペレータに対しロットの検査の実施および次ロット処理の禁止等の措置をとることを促す(S22)。
【0086】
本実施の形態に係る情報処理装置によれば、メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する製造プロセスの状態を表す状態データに基づいてモデルを作成することができるので、メンテナンス作業やドリフトの影響を排除してモデルを作成することができる。
また、新たに作成したモデルと既存のモデルとを、過去の状態データによる健常性の指標の演算結果に基づいて比較することによって、新たに作成したモデルを評価するので、更新されたモデルの妥当性を担保することが可能となる。
また、判定部380を設け、現在の状態データに基づく健常性に関する指標に基づいて製造装置の健常性を監視判定することによって、製品の信頼性と生産性の向上を図ることが可能となる。
【0087】
[第3の実施の形態]
モデルは、必ずしも1つとは限らず、例えば、異なる状態データを抽出したうえでモデルを複数作成し、これらのモデルの中から、製造装置の現状に最も即している指標を与える最適なモデルを決めるようにしてもよい。
本発明の第3の実施の形態は、上述した第2の実施の形態において、複数のモデルを作成し、それらのモデルを評価する機構を有するものである。
【0088】
図13に、本発明の第3の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す。なお、上述した第1および第2の実施の形態に係る情報処理装置と同様の構成要素には、同一の符号を用い、その詳細な説明は省略する。
本実施の形態に係る情報処理装置は、データ記憶部340内のモデル記憶部403aに複数のモデルを記憶することができ、さらに、それらのモデルを比較・評価する評価部390を備えている。
【0089】
<モデルの評価>
例えば、モデル作成部361が、直近のメンテナンス作業より以前の(過去の)メンテナンス作業後に行われた製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて第1のモデルを作成した後、直近のメンテナンス作業後に行われた製造プロセスの状態を表す状態データを用いて第2のモデルを作成した場合を考える。
この場合、評価部390は、モデル記憶部403aに記憶された第1のモデルに基づく指標の演算結果と第2のモデルに基づく指標の演算結果とを比較して、第1のモデルに基づく指標の演算結果と第2のモデルに基づく指標の演算結果との差が所定の範囲内のときは、第2のモデルに基づく指標の演算結果を製造装置の健常性に関する指標とし、所定の範囲外のときは、第1のモデルに基づく指標の演算結果を製造装置の健常性に関する指標とするようにしてもよい。
また、得られたモデルがその前の状態を表すかどうかを判断するために、多変量解析の手法を用いて、複数あるパラメータの因子負荷量等を算出し、状態が崩れていないかを簡便に判断する等の手法を用いてもよい。
また、メンテナンス作業後、製造プロセスを充分な回数を重ねた後は、それ以前のメンテナンス作業後のサンプリングデータは必ずしも用いなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、製造プロセスの製造装置の健常性の評価や、製造プロセス障害を検出するFDCに利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1−1〜1−N…センサ、10…製造装置、20…生産管理システム、3…情報処理装置、31…CPU、32…RAM、33…ROM、34…記憶装置、35A〜35D…インターフェース、36…ディスプレイ、37…キーボード、38…ポインティングデバイス、310…制御部、311…サンプリング処理部、312…記憶制御部、312a…フォルダ制御部、312b…ファイル制御部、340…データ記憶部、340−1〜340−n…データフォルダ、350…抽出部、360…演算部、361…モデル作成部、370…出力部、380…判定部、390…評価部、400…コンテキストデータ管理部、403…演算方法定義ファイル、403a…モデル記憶部、405…メンテナンス情報ファイル、406…距離データファイル。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8A
図8B
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図12A
図12B
図13