(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチ制御部は、前記相互共振を行うために前記キャパシタが前記充電部と接続されるように前記スイッチを制御することを特徴とする請求項2に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記制御部は、前記ターゲット共振器の共振周波数を変更して前記共振周波数を変更した後、所定の時間内に前記ターゲット共振器に充電された電力を捕捉することを特徴とする請求項4に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記相互共振が終了する場合、前記ターゲット共振器に充電された電力量に基づいてデータを復調する復調部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記包絡線検出部は、前記電流又は前記電圧を入力にして包絡線検出用アナログ回路の出力として前記包絡線を獲得することを特徴とする請求項8に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記包絡線検出部は、前記電圧又は前記電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を共振周波数の特定の信号波形のいずれか1つと乗算して下方変換された信号を生成する下方変換部と、
前記下方変換された信号を離散フーリエ変換又は高速フーリエ変換して周波数領域信号に変換する変換部と、
前記周波数領域信号に低域通過フィルタリングを行ってハーモニック成分の除去された信号を生成するフィルタリング部と、
前記ハーモニック成分の除去された信号を離散フーリエ逆変換又は高速フーリエ逆変換して時間領域信号に変換する逆変換部と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記復調部は、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間が相互共振する場合に前記ソース共振器に格納された電力量と、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間が相互共振しない場合に前記ソース共振器に格納された電力量とを比較して前記データを復調することを特徴とする請求項13に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記復調部は、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間の相互共振の有無に応じて前記データを復調することを特徴とする請求項13に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記復調部は、前記検出された包絡線と所定の値とを比較し、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間の相互共振の有無を判断して前記相互共振の有無に応じて前記データを復調することを特徴とする請求項18に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記包絡線検出部は、前記電流又は前記電圧を入力にして包絡線検出用アナログ回路の出力から前記包絡線を獲得することを特徴とする請求項18に記載の無線電力を用いる通信装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、無線電力受信端RXから無線電力送信端TXへのデータ送信のためのエネルギーを必要とせず、相対的に低いアナログ−デジタル変換(ADC)のサンプリングレート(sampling rate)でもデータを効率よく復調する無線電力送信装置を提供することにある。
【0004】
また、本発明の目的は、サンプリングノイズの影響を低減し、量子化ノイズに対して堅固にすることで周辺信号の干渉にも強い特性を表す装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、無線電力を用いる通信装置は、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振の有無を決定する制御部と、前記相互共振の有無に応じてデータを変調する変調部とを備える。
【0006】
前記ターゲット共振器はインダクター及びキャパシタを含み、前記相互共振によって前記インダクター及び前記キャパシタに電力を充電する充電部と、前記キャパシタに充電された電力を負荷に送信する電力送信部と、前記制御部の決定に応じて前記キャパシタを前記充電部又は前記電力送信部に接続するスイッチを制御するスイッチ制御部とをさらに備えてもよい。
【0007】
前記スイッチ制御部は、前記相互共振を行うために前記キャパシタが前記充電部と接続されるように前記スイッチを制御してもよい。
【0008】
前記ターゲット共振器はインダクター及びキャパシタを含み、前記相互共振によって前記インダクター及び前記キャパシタに電力を充電する充電部と、前記インダクター及び前記キャパシタに充電された電力を負荷に送信する電力送信部と、前記制御部の決定に応じて前記充電部と前記電力送信部を接続するスイッチを制御するスイッチ制御部と、をさらに備えてもよい。
【0009】
前記制御部は、前記ターゲット共振器の共振周波数を変更して前記共振周波数を変更した後、所定の時間内に前記ターゲット共振器に充電された電力を捕捉してもよい。
【0010】
他の一側面において、前記相互共振が終了する場合、前記ターゲット共振器に充電された電力量に基づいてデータを復調する復調部をさらに備えてもよい。
【0011】
前記制御部は、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間が相互共振するタイミングを制御してもよい。
【0012】
他の一側面において、前記ターゲット共振器に発生した電流又は電圧の波形から包絡線を検出する包絡線検出部をさらに備えてもよい。
【0013】
前記包絡線検出部は、前記電流又は前記電圧を入力にして包絡線検出用アナログ回路の出力から前記包絡線を獲得してもよい。
【0014】
前記包絡線検出部は、前記電圧又は前記電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を共振周波数の特定の信号波形のいずれか1つと乗算して下方変換された信号を生成する下方変換部と、前記下方変換された信号を離散フーリエ変換又は高速フーリエ変換して周波数領域信号に変換する変換部と、前記周波数領域信号に低域通過フィルタリングを行ってハーモニック成分の除去された信号を生成するフィルタリング部と、前記ハーモニック成分の除去された信号を離散フーリエ逆変換又は高速フーリエ逆変換して時間領域信号に変換する逆変換部とを備えてもよい。
【0015】
前記包絡線検出部は、前記電圧又は前記電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を離散フーリエ変換又は高速フーリエ変換して周波数領域信号に変換する変換部と、前記周波数領域信号を所定の周波数だけ循環シフトする循環シフト部と、前記循環シフトした信号に低域通過フィルタリングを行ってハーモニック成分の除去された信号を生成するフィルタリング部と、前記ハーモニック成分の除去された信号を離散フーリエ逆変換又は高速フーリエ逆変換して時間領域信号に変換する逆変換部とを備えてもよい。
【0016】
前記包絡線検出部は、前記電圧又は前記電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を共振周波数の特定の信号波形のいずれか1つと乗算して下方変換された信号を生成する下方変換部と、時間領域でコンボリューションによって前記下方変換された信号に低域通過フィルタリングを行って、ハーモニック成分の除去された信号を生成するフィルタリング部とを備えてもよい。
【0017】
一側面において、無線電力を用いる通信装置は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によって前記ターゲット共振器からデータを受信する受信部と、前記ソース共振器に格納された電力量に基づいて前記データを復調する復調部とを備える。
【0018】
他の一側面において、無線電力を用いる通信装置は、電源供給装置から供給される電力を介して前記ソース共振器を充電する電力充電部と、前記ソース共振器に充電される電力量を調整し、前記充電された電力量に基づいてデータを変調する変調部とをさらに備えてもよい。
【0019】
他の一側面において、無線電力を用いる通信装置は、前記ソース共振器を充電するタイミングを調整する制御部をさらに備えてもよい。
【0020】
前記復調部は、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間が相互共振する場合に前記ソース共振器に格納された電力量と、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間が相互共振しない場合に前記ソース共振器に格納された電力量とを比較して前記データを復調してもよい。
【0021】
前記復調部は、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間の相互共振の有無に応じて前記データを復調してもよい。
【0022】
他の一側面において、無線電力を用いる通信装置は、前記ソース共振器に発生した電流又は電圧の波形から包絡線を検出する包絡線検出部をさらに備えてもよい。
【0023】
前記復調部は、前記検出された包絡線と所定の値とを比較し、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間の相互共振の有無を判断して前記相互共振の有無に応じて前記データを復調してもよい。
【0024】
前記包絡線検出部は、前記電流又は前記電圧を入力にして包絡線検出用アナログ回路の出力として前記包絡線を獲得してもよい。
【0025】
前記包絡線検出部は、前記電圧又は前記電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を共振周波数の特定の信号波形のいずれか1つと乗算して下方変換された信号を生成する下方変換部と、前記下方変換された信号を離散フーリエ変換又は高速フーリエ変換して周波数領域信号に変換する変換部と、前記周波数領域信号に低域通過フィルタリングを行ってハーモニック成分の除去された信号を生成するフィルタリング部と、前記ハーモニック成分の除去された信号を離散フーリエ逆変換又は高速フーリエ逆変換して時間領域信号に変換する逆変換部とを備えてもよい。
【0026】
前記包絡線検出部は、前記電圧又は前記電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を離散フーリエ変換又は高速フーリエ変換して周波数領域信号に変換する変換部と、前記周波数領域信号を所定の周波数だけ循環シフトする循環シフト部と、前記循環シフトした信号に低域通過フィルタリングを行ってハーモニック成分の除去された信号を生成するフィルタリング部と、前記ハーモニック成分の除去された信号を離散フーリエ逆変換又は高速フーリエ逆変換して時間領域信号に変換する逆変換部とを備えてもよい。
【0027】
前記包絡線検出部は、前記電圧又は前記電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を共振周波数の特定の信号波形のいずれか1つと乗算して下方変換された信号を生成する下方変換部と、時間領域でコンボリューションによって前記下方変換された信号に低域通過フィルタリングを行って、ハーモニック成分の除去された信号を生成するフィルタリング部とを備えてもよい。
【0028】
一側面において、無線電力を用いる通信システムは、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振の有無を決定する制御部と、前記相互共振の有無に応じてデータを変調する変調部と、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間の相互共振によって前記ターゲット共振器からデータを受信する受信部と、前記ソース共振器に格納された電力量に基づいて前記データを復調する復調部とを備える。
【0029】
一側面において、無線電力を用いる通信方法は、ターゲット共振器と自励共振するソース共振器との間の相互共振の有無を決定するステップと、前記相互共振の有無に応じてデータを変調するステップとを含む。
【0030】
一側面において、無線電力を用いる通信方法は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によって前記ターゲット共振器からデータを受信するステップと、前記ソース共振器に格納された電力量に基づいて前記データを復調するステップとを含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、無線電力受信端RXから無線電力送信端TXにデータを送信するために相互共振を用いるので、データ送信のためのエネルギーを必要としない。また、相互共振を用いたデータ送信によってデータ送信性能を向上できる。
【0032】
また、本発明によると、ソース共振器及びターゲット共振器に格納されるエネルギーの包絡線を検出する方式を用いる場合、より小さいアナログ−デジタル変換(ADC)のサンプリングレートにおいてもデータを効率よく復調できる。
【0033】
また、本発明によると、包絡線検出方式を用いるので、サンプリングノイズの影響を低減し、量子化ノイズに対して堅固にし、周辺信号の干渉にも強い特性を表すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、一側に係る実施形態を添付する図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムは無線電力送信を必要とする様々なシステムに応用される。例えば、携帯電話又は無線TVなどの無線電力送信を用いるシステムにおいて、送受信端の間の制御情報及びその他情報交換に適用できる。また、バイオヘルスケア(bio health care)の分野に応用可能であり、人体に挿入されたデバイスへの遠隔電力送信、心拍数を測定するための包帯タイプのデバイスへの無線電力送信に応用され得る。
【0037】
また、一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムは、電源ソースのない情報格納装置の遠隔制御に応用され得る。一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムは、情報格納装置に遠隔で装置駆動電力を供給すると同時に、無線で該情報格納装置に保存すべき情報を格納するシステムに応用され得る。
【0038】
無線電力を用いる通信システムは信号の発生のために電源供給装置からエネルギーをソース共振器に格納し、電源供給装置とソース共振器を電気的に接続するスイッチをオフすることによって、ソース共振器の自励共振(self−resonance)を誘導する。自励共振するソース共振器と相互共振する(カップリングできる)ほど十分に近い距離に、ソース共振器の共振周波数と同一の共振周波数を有するターゲット共振器が存在する場合、ソース共振器とターゲット共振器との間に相互共振の現象が発生する。ソース共振器は電源供給装置からエネルギーが供給される共振器を意味し、ターゲット共振器は相互共振の現象によってエネルギーが送信される共振器を意味する。
【0039】
図1は、一実施形態に係る電力入力部と電力送信部、受信部と電力出力部がキャパシタ及びスイッチによって物理的に分離された、無線電力を用いる通信システムの等価回路を示す図である。
【0040】
図1を参照すれば、無線電力を用いる通信システムはソースとターゲットで構成されるソース−ターゲット構造を有する。無線電力を用いる通信システムは、ソースに該当する無線電力送信装置とターゲットに該当する無線電力受信装置を備える。
【0041】
無線電力送信装置は、電力入力部110、電力送信部120及びスイッチ部130を備える。電力入力部110は、電源供給装置を用いてキャパシタC
1にエネルギーを格納する。スイッチ部130は、キャパシタにエネルギーC
1が格納される間には電力入力部110にキャパシタC
1が接続され、キャパシタC
1に格納されたエネルギーを放電する間には電力入力部110に接続されたキャパシタC
1が電力送信部120に接続される。スイッチ部130は、キャパシタC
1が同時に電力入力部110及び電力送信部120に接続されないようにする。
【0042】
電力送信部120は電磁気エネルギーを受信部140に送信する。より具体的には、電力送信部120の送信コイルL
1は受信部140の受信コイルL
2との相互共振によって電力を送信する。送信コイルL
1と受信コイルL
2との間に発生する相互共振の程度は相互インダクタンスMの影響を受ける。
【0043】
電力入力部110は入力電圧V
DC、内部抵抗R
in及びキャパシタC
1を用いて、電力送信部120は電力送信部120に対応する物理的な性質を反映して基礎回路素子R
1、L
1、C
1を用いて、スイッチ部130は複数のスイッチを用いてモデリングできる。スイッチとしてはオン/オフ機能を行う能動素子を用いてもよい。Rは抵抗成分、Lはインダクター成分、Cはキャパシタ成分を意味する。入力電圧V
DCのうち、キャパシタC
1にかけられる電圧はV
inのように表示される。
【0044】
無線電力受信装置は、受信部140、電力出力部150及びスイッチ部160を備える。受信部140は電力送信部120から電磁気エネルギーを受信する。受信部140は受信した電磁気エネルギーを接続されたキャパシタC
2に格納する。スイッチ部160はキャパシタC
2にエネルギーが格納される間には受信部140にキャパシタC
2を接続し、キャパシタC
2に格納されたエネルギーを負荷に送信する間には、受信部140との接続を切断してキャパシタC
2を電力出力部150に接続する。スイッチ部160は、キャパシタが同時に受信部140及び電力出力部150に接続されないようにする。
【0045】
より具体的には、受信部140の受信コイルL
2は電力送信部120の送信コイルL
1との相互共振によって電力を受信する。受信された電力によって受信コイルL
2と接続されたキャパシタC
2が充電される。電力出力部150はキャパシタC
2に充電された電力をバッテリに送信する。電力出力部150はバッテリの代わりに、負荷又はターゲットデバイスに電力を送信してもよい。
【0046】
受信部140は、受信部140に対応する物理的な性質を反映する基礎回路素子R
2、L
2、C
2を用いて、電力出力部150は接続されるキャパシタC
2及びバッテリを用いて、スイッチ部160は複数のスイッチを用いてモデリングできる。受信コイルL
2で受信されるエネルギーのうち、キャパシタC
2にかけられる電圧はV
OUTのように表示される。
【0047】
上記のように電力入力部110と電力送信部120、受信部140と電力出力部150を物理的に分離して電力を送信する、いわゆるRI(Resonator Isolation)システムはインピーダンスマッチングを用いた従来の方式に比べて様々な長所を有する。即ち、
第1に、DC電源からソース共振器に直接電力供給が可能であるので、電力増幅器を必要としない。第2に、受信端のキャパシタに充電された電力からエネルギーを捕捉(capture)するので、整流器を通じる整流作業を必要としない。第3に、インピーダンスマッチングする必要がないので、送信効率が送信端と受信端との間の距離変化に過敏に変動しない。また、複数の送信端及び複数の受信端を含む無線電力を用いる通信システムへの拡張が容易である。
【0048】
図2は、一実施形態に係る電力充電部と送信部、充電部と電力出力部がスイッチによって物理的に分離された無線電力を用いる通信システムの等価回路を示す図である。
【0049】
図2を参照すれば、無線電力を用いる通信システムは、ソースとターゲットで構成されるソース−ターゲット構造である。即ち、無線電力を用いる通信システムは、ソースに該当する無線電力送信装置とターゲットに該当する無線電力受信装置を備える。
【0050】
無線電力送信装置は、電力充電部210、制御部220及び送信部230を備える。電力充電部210は電源供給装置V
inと抵抗R
inで構成される。ソース共振器(即ち、送信部)230はキャパシタC
1とインダクターL
1で構成される。送信部230は、ソース共振器230とターゲット共振器240との間の相互共振によってソース共振器230に格納されたエネルギーを送信する。制御部220は電力充電部210から抵抗R
inを介してソース共振器230に電力を供給するためにスイッチをオン(on)する。電源供給装置V
inからキャパシタC
1に電圧が印加され、インダクターL
1に電流が印加される。定常状態(steady_state)であれば、キャパシタC
1に印加される電圧は0になり、インダクターL
1に流れる電流はV
in/R
inの値を有する。定常状態でインダクターL
1には印加される電流によって電力が充電される。
【0051】
制御部220は定常状態でソース共振器に充電された電力が所定値に達すれば、スイッチをオフ(off)する。所定値に関する情報は制御部220に設定されてもよい。電力充電部210と送信部230は分離する。ここで、ソース共振器230は、キャパシタC
1とインダクターL
1との間に自励共振を開始する。相互インダクタンス(M)270を考慮する、ソース共振器230とターゲット共振器240との間の相互共振によってソース共振器230に格納されたエネルギーはターゲット共振器240に送信される。ここで、ソース共振器230の共振周波数f
1とターゲット共振器240の共振周波数f
2の値は同一である。
【0053】
無線電力受信装置は充電部(即ち、ターゲット共振器)240、制御部250及び電力出力部260を備える。ターゲット共振器240はキャパシタC
2とインダクターL
2で構成される。ソース共振器230とターゲット共振器240との間が相互共振するとき、ソース共振器230は電源供給装置V
inと分離され、ターゲット共振器240は負荷(LOAD)及びキャパシタC
Lと分離される。ターゲット共振器240のキャパシタC
2とインダクターL
2は相互共振によって電力を充電する。制御部250はターゲット共振器240に電力を充電するためにスイッチをオフする。スイッチがオフの間に、ターゲット共振器240の共振周波数とソース共振器230の共振周波数は一致し、相互共振が発生する。制御部250はターゲット共振器240に充電された電力が所定値に達すれば、スイッチをオンする。所定値に関する情報は制御部250に設定されてもよい。スイッチがオンされれば、キャパシタC
Lが接続され、ターゲット共振器240の共振周波数が次式f
2’のように変更される。
【0055】
従って、ソース共振器とターゲット共振器との間に相互共振は終了する。より詳しくは、ターゲット共振器のQを考慮し、(f
2’)が(f
2)よりも十分に小さければ、相互共振チャネルが消滅することがある。また、電力出力部260は、キャパシタC
2とインダクターL
2に充電された電力を負荷(LOAD)に送信する。電力出力部260は負荷(LOAD)の必要に応じる方式で電力を送信してもよい。
【0056】
制御部250は、ターゲット共振器240に充電された電力が所定の値未満であれば、スイッチをオフする。充電部(ターゲット共振器)240は、ソース共振器230とターゲット共振器240との間の相互共振によって再びターゲット共振器(ターゲット共振器)に電力を充電する。
【0057】
ソース共振器230とターゲット共振器240との間に相互共振が発生する時はスイッチが接続しない。従って、スイッチの接続による送信効率の減少を予防できる。
【0058】
図1に示す場合と比較すると、キャパシタC
1に充電されたエネルギーを送信する方式に比べてターゲット共振器240に格納されたエネルギーの捕捉時点を制御することが容易である。キャパシタに充電されたエネルギーを送信する方式はキャパシタに充電されたエネルギーのみが捕捉されるが、共振周波数を変更してエネルギーを捕捉する方式はターゲット共振器のインダクター及びキャパシタに格納されたエネルギーを捕捉するので、エネルギーの捕捉時点に対する自由度が向上する。
【0059】
図3は、強くカップリングされた無線電力を用いる通信システムの自然応答を示すグラフである。
【0060】
無線電力を用いる通信システムは、ソースとターゲットで構成されるソース−ターゲット構造である。ソースは、ソース共振器に格納するエネルギー量を調整してデータを送信する。その際、ソースは量子化されたエネルギーを用いてデータを送信できる。ターゲットは相互共振によってターゲット共振器に格納されるエネルギー量に基づいてデータを受信する。従って、ターゲットは量子化されたエネルギーにマッピングされたデータを受信できる。また、ターゲットは、ターゲット共振器に格納するエネルギー量を調整してデータを送信する。ところが、ここで、ターゲットは、データの送信のためにターゲット共振器に格納するエネルギー量をソースから受信するエネルギー量よりも小さく維持しなければならない。その理由は、無線電力を用いる通信システムにおいて、ターゲットは別途の電源供給装置からエネルギーの供給を受けることなくソースからエネルギーを受信することを前提にするからである。
【0061】
このようにソース共振器からターゲット共振器に誘導されたエネルギー量を調整してデータを変調する方式を誘導エネルギー変調方式と呼ぶ。
【0062】
誘導エネルギー変調方式では、ソースとターゲットとの間の距離が遠くなるにつれて、ターゲットがソースに送信するデータにおけるエラーの発生率は高くなる。相互共振を用いる無線電力送信システムでは、ソースとターゲットとの間の距離が遠くなるにつれてエネルギーの送信効率は急激に減少する。即ち、ソースが送信するエネルギーのうち、ターゲットで受信するエネルギーが大きく減少することを意味する。このような状況で、ターゲットがエラーなしでデータをソースに送信するためには、ソースから受信したエネルギーよりも多くのエネルギーが求められる。ところが、ターゲットはソースからのみエネルギーを受信しているので、ターゲットが送信するデータにおけるエラーの発生確率は高くなる。
【0063】
また、ソースとターゲットとの間の距離が遠くなるにつれてビート現象(beat phenomenon)が発生しない。即ち、ソースとターゲットとの間にデータ送信のための所定のシンボル周期(symbol_duration)の中でソース共振器に格納されたエネルギー又はターゲット共振器に格納されたエネルギーが完全に放電されないことを意味する。ソース共振器に残存するエネルギーによってターゲットから受信したデータにエラーが発生することがある。同様にして、ターゲット共振器に残存するエネルギーによってソースから受信したデータにエラーが発生する恐れがある。
【0064】
カップリングの程度はカップリング係数値kによって決定され、kは距離の関数である。従って、kはソースとターゲットとの間の距離が遠くなるにつれて小さくなる。
図3は、ソースとターゲットとの間が強くカップリングされた場合を示す。
図3を参照すれば、Inputはソース共振器で送信される電力を示し、Outputはターゲット共振器に伝達される電力を示す。カップリングが強い場合にはInput値とOutput値が周期的に交互に大小になるビート現象が発生する。
【0065】
図4は、弱くカップリングされた無線電力を用いる通信システムの自然応答を示すグラフである。
【0066】
図4は、ソースとターゲットとの間が弱くカップリングされた場合を示す。
図4を参照すれば、Inputはソース共振器から送信される電力を示し、Outputはターゲット共振器に送信される電力を示す。カップリングが弱い場合にはInput値とOutput値が周期的に交互に大小になるビート現象が発生しない。また、ターゲット共振器で誘導されるエネルギー量が減少する。従って、データ送信シンボルの周期の中でソース共振器に格納された電力及びターゲット共振器に格納された電力が完全に放電されない。この場合にソース及びターゲットが誘導エネルギー変調方式を用いると、データ送信にエラーが発生する確率が高い。
【0067】
図5は、一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおける受信端のブロック図である。
【0068】
一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおいて、この受信端は無線電力を用いる通信装置と呼ばれる。以下の説明において、無線電力を用いる通信装置は、無線電力を用いる通信システムにおいて無線電力を受信する受信端を意味する。
【0069】
図5を参照すれば、一実施形態に係る無線電力を用いる通信装置は、充電部510、スイッチ制御部520、電力送信部530、制御部540、変調部550、復調部560及び包絡線検出部570を備える。
【0070】
受信端のターゲット共振器はインダクター及びキャパシタで構成する。充電部510は、相互共振によってターゲット共振器のインダクター及びターゲット共振器のキャパシタに電力を充電する。
【0071】
制御部540は、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振の有無をシンボル周期単位で決定する。シンボル周期は1つのデータ情報を送信するために必要な時間、例えば、1ビットを送信するために必要な時間を意味する。自励共振するターゲット共振器と同一の共振周波数で自励共振するソース共振器が所定の距離だけ近接すれば相互共振が発生する。制御部540は、ターゲット共振器がソース共振器と同一の共振周波数で自励共振するようにインダクター及びキャパシタの接続を調整する。制御部540は、ターゲット共振器の共振周波数を変更してソース共振器との相互共振の有無を制御する。
【0072】
制御部540の決定に応じて、ターゲット共振器は特定シンボル周期でソース共振器と相互共振し、他のシンボル周期でソース共振器と相互共振しない。制御部540の決定は、受信端で送信しようとするデータによって決定され得る。例えば、データ「10111」を送信したい場合、制御部540は1を送信する場合にはターゲット共振器がソース共振器と相互共振するように決定し、0を送信する場合にはターゲット共振器がソース共振器と相互共振しないように決定する。もちろん、反対に、制御部540は1を送信する場合に相互共振しないように決定し、0を送信する場合には相互共振するように決定する場合もある。受信端でターゲット共振器とソース共振器との間が相互共振する場合に1を送信するか、0を送信するかは受信端と送信端との間で予め約束して設定できる。
【0073】
また、制御部540は、ソース共振器とターゲット共振器との間が相互共振するタイミングを制御してもよい。制御部540はシンボル周期内で相互共振タイミングを制御し、相互共振タイミングの程度に応じてデータを区別して送信する。
【0074】
キャパシタの電圧充電を活用した無線電力を用いる通信システムにおいて、スイッチ制御部520は、制御部540の決定に応じてキャパシタを充電部510又は電力送信部530に接続するスイッチを制御する。キャパシタの電圧充電を活用した無線電力を用いる通信システムは
図1に示すような構造を有し得る。
スイッチ制御部520は相互共振を行うために、キャパシタが充電部510と接続されるようにスイッチを制御する。電力送信部530はキャパシタに充電された電力を負荷に送信する。ここで、スイッチ制御部520はキャパシタが負荷に接続されるようにスイッチを制御する。
【0075】
他の例として、キャパシタの電流充電を活用した無線電力を用いる通信システムにおいて、スイッチ制御部520は、制御部540の決定に応じて充電部510と電力送信部530を接続するスイッチのオン/オフを制御する。電流充電を活用した無線電力を用いる通信システムは、
図2に示すような構造を有し得る。
スイッチ制御部520は相互共振を行うために、充電部510と電力送信部530を接続するスイッチをオフする。電力送信部530は、インダクター及びキャパシタに充電された電力を負荷に送信する。ここで、スイッチ制御部520は充電部510と電力送信部530を接続するスイッチをオンする。
【0076】
制御部540は、シンボル周期単位でターゲット共振器の共振周波数を変更できる。例えば、制御部540は、ターゲット共振器に追加的にキャパシタを接続してターゲット共振器の共振周波数を変更できる。また、制御部540はターゲット共振器を構成するキャパシタが複数である場合、所定のキャパシタの電気的な接続を遮断することによって共振周波数を変更できる。
【0077】
制御部540は、共振周波数の変更後、所定の時間内にターゲット共振器に充電された電力を捕捉する。制御部540は、捕捉した電力の量に基づいてターゲット共振器で受信したデータを認識できる。また、制御部540は、捕捉した電力が負荷に伝えられるようにスイッチ制御部520を制御する。
【0078】
変調部550は、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振の有無に応じてデータを変調する。即ち、変調部550は相互共振する場合と、相互共振しない場合とにそれぞれデータを割り当てることができる。データは制御部540から提供できる。また、変調部550は、ターゲット共振器とソース共振器の間が相互共振するタイミングに応じてデータを変調できる。例えば、変調部550は相互共振するタイミングの長短に応じてデータを変調する。
【0079】
復調部560は、シンボル周期単位でターゲット共振器に充電された電力量に基づいてデータを復調する。送信端においてソースは、シンボル周期単位でソース共振器に充電される電力量を調整してデータを変調する。復調部560はシンボル周期単位で、ターゲット共振器に充電された電力量にマッチングされるデータを復調する。充電された電力量とデータのマッピング関係は制御部540に予め設定される。又は、マッピング関係に関する情報は送信端と受信端との間に予め共有する場合もある。
【0080】
ターゲット共振器に充電された電力量の検出は、ターゲット共振器に発生した電流又は電圧に対するアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングによって行われる。ところが、正確な電力量を検出するためにはアナログ−デジタル変換サンプリングレートがターゲット共振器の共振周波数よりも十分に速くなければならない。アナログ−デジタル変換サンプリングレートが速くなれば、アナログ−デジタルコンバータ自体の電力消耗が大きくなり、エネルギー送信効率とデータ送信効率が全面的にアナログ−デジタル変換サンプリングレート及び量子化ビット数の影響を受けることになる。包絡線検出部570は適正な速さのアナログ−デジタル変換サンプリングレートを使用しつつ、ターゲット共振器に充電された電力量を正確に検出する。
【0081】
包絡線検出部570は、ターゲット共振器に発生した電流又は電圧の波形から包絡線を検出する。ここで、包絡線検出部570は包絡線検出用アナログ回路を用いることができる。包絡線検出用アナログ回路はターゲット共振器に発生した電流又はターゲット共振器に発生した電圧を入力にし、電流又は電圧の包絡線を出力する。
【0082】
包絡線検出部570は、下方変換部571、変換部573、循環シフト部575、フィルタリング部577及び逆変換部579を備える。
【0083】
下方変換部571は、ターゲット共振器に発生した電圧又は電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を共振周波数の特定の信号波形のいずれか1つと乗算して下方変換された信号を生成する。ここで、特定の信号波形は、共振周波数のサイン波形、コサイン波形及び指数関数型(exponential)波形の何れかである。下方変換方式は、一般的に通信で用いる方式が用いられる。例えば、下方変換部571は、アナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を基底帯域に下方変換(down_convert)する。変換部573は、下方変換された信号を離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform、DFT)又は高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)して周波数領域信号に変換する。フィルタリング部577は、周波数領域信号に低域通過フィルタリングを行ってハーモニック成分の除去された信号を生成する。ハーモニック成分は周波数領域信号に含まれたノイズ成分を意味する。逆変換部579はハーモニック成分の除去された信号を離散フーリエ逆変換(Inverse DFT、IDFT)又は高速フーリエ逆変換(Inverse FFT、IFFT)して時間領域信号に変換する。ここで、変換された時間領域信号はターゲット共振器に発生した電流波形又は電圧波形の包絡線を表す。
【0084】
また、変換部573は、ターゲット共振器に発生した電圧又は電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を離散フーリエ変換(DFT)又は高速フーリエ変換(FFT)して周波数領域信号に変換する。循環シフト部575は、周波数領域信号を所定の周波数だけ循環シフト(circular shift)できる。例えば、循環シフト部575は周波数領域信号を基底帯域で循環シフトする。循環シフト部575は周波数領域信号を所定の周波数だけ循環シフトすることで、フィルタリング部577のフィルタリング実行を簡単にする。フィルタリング部577は、循環シフトした信号に低域通過フィルタリングを行ってハーモニック成分の除去された信号を生成する。逆変換部579は、ハーモニック成分の除去された信号を離散フーリエ逆変換(IDFT)又は高速フーリエ逆変換(IFFT)して時間領域信号に変換する。ここで、変換された時間領域信号は、ターゲット共振器に発生した電流波形又は電圧波形の包絡線を表す。
【0085】
また、下方変換部571は、ターゲット共振器に発生した電圧又は電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を共振周波数の特定の信号波形のいずれか1つと乗算して下方変換された信号を生成する。フィルタリング部577は、時間領域でコンボリューション(convolution)によって下方変換された信号に低域通過フィルタリングを行い、これによってハーモニック成分の除去された信号を生成する。フィルタリング部577は、周波数領域だけではなく時間領域でも低域通過フィルタリングを実行できる。ここで、ハーモニック成分の除去された信号はターゲット共振器に発生した電流波形又は電圧波形の包絡線を表す。
【0086】
その他に、包絡線検出部570は、デジタル領域における様々な信号処理方式を用いてターゲット共振器に発生した電流又は電圧の波形に対する包絡線を検出できる。
【0087】
図6は、一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおける送信端のブロック図である。
【0088】
一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおいて、この送信端は無線電力を用いる通信装置と呼ばれる。以下の説明において、無線電力を用いる通信装置は無線電力を用いる通信システムにおいて無線電力を送信する送信端を意味する。
【0089】
図6を参照すれば、一実施形態に係る無線電力を用いる通信装置は、電力充電部610、制御部620、受信部630、変調部640、復調部650及び包絡線検出部660を備える。
【0090】
電力充電部610は、電源供給装置から供給される電力を介してソース共振器を充電する。制御部620は、シンボル周期内でソース共振器に充電される電力量を調整する。データは、ソース共振器に充電される電力量に応じて区別されて割り当てられる。また、制御部620は、シンボル周期内でソース共振器を充電するタイミングを調整する。ソース共振器を充電するタイミングに応じてソース共振器に充電される電力量が変わり得る。
【0091】
受信部630は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によってデータを受信する。ここで、ソース共振器に格納されているエネルギーはターゲット共振器との相互共振の有無に応じて減衰率が変化し得る。相互共振する場合にソース共振器とターゲット共振器はエネルギーを交換するため、ソース共振器に格納されたエネルギーの減衰率の変化は相対的に相互共振しない場合よりも大きい。相互共振しない場合、ソース共振器はターゲット共振器にエネルギーを送信することができないので、ソース共振器に格納されたエネルギーは自然減衰率に応じて減衰する。受信部630は相互共振の有無に応じて割り当てられたデータを受信する。
【0092】
変調部640はソース共振器に充電される電力量を調整し、ソース共振器に充電された電力量に基づいてデータを変調する。充電された電力量に応じてデータが割り当てられてもよい。充電された電力量とデータのマッピング関係は制御部620に予め設定される。
【0093】
復調部650は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振の有無に応じてデータを復調する。例えば、受信端においてターゲットは相互共振する場合を1、相互共振しない場合を0にして、データ「10111」を送信してもよい。復調部650はソース共振器の相互共振の有無を識別してデータ「10111」を復調してもよい。
【0094】
復調部650は、ソース共振器に格納された電力量に基づいてデータを復調してもよい。ソース共振器に格納された電力量は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振の有無に応じて変わり得る。復調部650は、シンボル周期単位でソース共振器に格納された電力量に応じてデータを復調してもよい。復調部650は、相互共振する場合にソース共振器に格納された電力量と相互共振しない場合にソース共振器に格納された電力量の差を識別し、その識別に基づいてデータを復調してもよい。
【0095】
復調部650は、ソース共振器に格納された電力の変化量に基づいてデータを復調してもよい。復調部650は、相互共振する場合には格納された電力の変化量が大きくなり、相互共振しない場合には格納された電力の変化量が相対的に大きくないことを用いることができる。
【0096】
復調部650は、ソース共振器とターゲット共振器との間が相互共振するタイミングに基づいてデータを復調してもよい。復調部650は相互共振するタイミングの長短に応じてデータを復調してもよい。
【0097】
ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振の有無に対する識別は、ターゲット共振器に発生した電流又は電圧からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングによって行われる。ところが、この識別が正確にできるためにはアナログ−デジタル変換サンプリングレートがソース共振器の共振周波数よりも十分に速くなければならない。アナログ−デジタル変換サンプリングレートが速くなれば、アナログ−デジタルコンバータ自体の電力消耗は大きくなり、エネルギー送信効率とデータ送信効率が全面的にアナログ−デジタル変換サンプリングレート及び量子化ビット数の影響を受ける。包絡線検出部660は、検出される包絡線によって適正な速さのアナログ−デジタル変換サンプリングレートを使用しつつ、相互共振の有無を正確に識別できるようにする。
【0098】
包絡線検出部660は、ソース共振器に発生した電流又は電圧の波形から包絡線を検出する。復調部650は、検出された包絡線と所定の値を比較してソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振の有無を判断し、相互共振の有無に応じてデータを復調する。復調部650は、シンボル周期単位で検出された包絡線の減衰率を比較してデータを復調してもよい。例えば、復調部650は、検出された包絡線の減衰率が相対的に大きい場合を相互共振する場合であると判断し、検出された包絡線の減衰率が相対的に小さい場合を相互共振しない場合であると判断する。
【0099】
包絡線検出部660は包絡線検出用アナログ回路を用いる。包絡線検出用アナログ回路は、ソース共振器に発生した電流又はソース共振器に発生した電圧を入力にし、電流又は電圧の包絡線を出力する。
【0100】
また、包絡線検出部660は、デジタル領域で信号処理によって包絡線を検出する。ここで、包絡線検出部660は、下方変換部661、変換部663、循環シフト部665、フィルタリング部667及び逆変換部669を備える。
【0101】
下方変換部661は、ソース共振器に発生した電圧又は電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を共振周波数の特定の信号波形のいずれか1つと乗算して下方変換された信号を生成する。ここで、特定の信号波形は、共振周波数のサイン波形、コサイン波形及び指数関数型波形の何れかである。下方変換方式は一般的に通信で用いる方式が用いられる。
変換部663は、下方変換された信号を離散フーリエ変換又は高速フーリエ変換して周波数領域信号に変換する。フィルタリング部667は、周波数領域信号に低域通過フィルタリングを行ってハーモニック成分の除去された信号を生成する。ハーモニック成分は周波数領域信号に含まれたノイズ成分を意味する。逆変換部669は、ハーモニック成分の除去された信号を離散フーリエ逆変換又は高速フーリエ逆変換して時間領域信号に変換する。ここで、変換された時間領域信号はソース共振器に発生した電流波形又は電圧波形の包絡線を表す。
【0102】
また、変換部663はターゲット共振器に発生した電圧又は電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を離散フーリエ変換(DFT)又は高速フーリエ変換(FFT)して周波数領域信号に変換する。循環シフト部665は、周波数領域信号を所定の周波数だけ循環シフトする。
例えば、循環シフト部665は周波数領域信号を基底帯域に循環シフトする。循環シフト部665は周波数領域信号を所定の周波数だけ循環シフトすることで、フィルタリング部667のフィルタリング実行を簡単にする。フィルタリング部667は、循環シフトした信号に低域通過フィルタリングを行ってハーモニック成分の除去された信号を生成する。逆変換部669は、ハーモニック成分の除去された信号を離散フーリエ逆変換(IDFT)又は高速フーリエ逆変換(IFFT)して時間領域信号に変換する。ここで、変換された時間領域信号はソース共振器に発生した電流波形又は電圧波形の包絡線を表す。
【0103】
また、下方変換部661は、ターゲット共振器に発生した電圧又は電流からアナログ−デジタル変換(ADC)サンプリングされた信号を共振周波数の特定の信号波形のいずれか1つと乗算して下方変換された信号を生成する。フィルタリング部667は、時間領域でコンボリューションによって下方変換された信号に低域通過フィルタリングを行い、これによってハーモニック成分の除去された信号を生成する。フィルタリング部667は周波数領域だけではなく時間領域でも低域通過フィルタリングを行ってもよい。ここで、ハーモニック成分の除去された信号はソース共振器に発生した電流波形又は電圧波形の包絡線を表す。
【0104】
その他に、包絡線検出部660は、デジタル領域における様々な信号処理方式を用いてソース共振器に発生した電流又は電圧の波形で包絡線を検出する。
【0105】
図7は、一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおける送信端から送信したデータ及び受信端で受信したデータを示すグラフである。
【0106】
図7を参照すれば、送信端T
xはソース共振器に格納されるエネルギーを調整してデータを送信し、受信端R
xはターゲット共振器に格納されるエネルギーによりデータを受信する。
【0107】
送受信端の間には予め約束されたn+1個のエネルギーレベルがあり、それぞれのエネルギーレベルにはデータが割り当てられる。即ち、送信端では1つのシンボル周期でlog(n+1)ビットの情報が送信可能である。
【0108】
ソース共振器に格納されたエネルギーは、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によってターゲット共振器に送信される。T
sはソース共振器が相互共振の準備のために必要とする時間であり、
図1ではソース共振器にキャパシタが接続されるために必要な時間、
図2では電源供給装置とソース共振器を接続するスイッチがオフされるために必要な時間を意味する。T
p−T
f時間の間にソース共振器に格納されたエネルギーはターゲット共振器に全て送信される。T
p−T
f時点で受信端R
xはターゲット共振器の相互共振を終了し、ターゲット共振器に格納されたエネルギーに基づいて受信したデータを復調する。
【0109】
図8は、一実施形態に係るキャパシタの電圧充電を活用した無線電力を用いる通信システムにおいて、相互共振によって受信端から送信端にデータを送信する一例を示す図である。
【0110】
図8を参照すれば、送信端はキャパシタC
1に電圧を印加して電力を充電し、キャパシタC
1とインダクターL
1で構成されたソース共振器によってキャパシタC
1に充電された電力を放電する。送信端はスイッチSW
1によって充電および放電を調整する。ソース共振器は、ターゲット共振器とのカップリングによってキャパシタC
1に充電された電力をターゲット共振器に送信する。ここで、カップリングは相互共振を意味する。
【0111】
ソース共振器とターゲット共振器との間のカップリングは相互インダクタンスMの影響を受ける。
【0112】
ターゲット共振器は、インダクターL
2とキャパシタC
2で構成される。ターゲット共振器は、カップリングによってソース共振器から電力が送信される。ここで、インダクターL
2とキャパシタC
2に電力が充電される。受信端は、キャパシタC
2に充電された電力を捕捉して負荷(LOAD)に送信する。受信端は、スイッチSW
2によってカップリングおよび捕捉を調整することができる。受信端は、インダクターL
2に接続されたスイッチSW
2をオフして負荷に接続し、ソース共振器とのカップリングを終了する。
【0113】
送信端は1つのシンボル周期でスイッチSW
1を制御して充電および放電を行う。ここで、受信端はスイッチSW
2を制御してカップリングの有無を決定する。受信端は送信端の放電時点の前に、送信端と受信端のカップリングタイムを同期化するために必要なマージン(Synch._Margin)を確保する。受信端はシンボル周期単位でカップリング810、及び/又は、捕獲(捕捉)820を行う。受信端はカップリングの有無に応じてデータを変調して送信する。ここで、カップリングの有無に応じてソース共振器に格納された電力の自然応答は互いに異なる波形を有するので、送信端はカップリングの有無を区別して受信端が送信したデータを復調できる。
【0114】
図9は、一実施形態に係る電流充電を活用した無線電力を用いる通信システムにおいて、相互共振によって受信端から送信端にデータを送信する一例を示す図である。
【0115】
図9を参照すれば、送信端はインダクターL
1に電流を印加して電力を充電し、正常状態で、キャパシタC
1とインダクターL
1で構成されたソース共振器によってインダクターL
1に充電された電力を放電する。送信端はスイッチSW
1によって充電および放電を調整する。ソース共振器は、ターゲット共振器とのカップリングによってインダクターL
1に充電された電力をターゲット共振器に送信する。ここで、カップリングは相互共振を意味する。
【0116】
ソース共振器とターゲット共振器との間のカップリングは相互インダクタンスMの影響を受ける。
【0117】
ターゲット共振器はインダクターL
2とキャパシタC
2から構成される。ターゲット共振器は、カップリングによってソース共振器から電力が送信される。ここで、インダクターL
2とキャパシタC
2に電力が充電される。受信端は、インダクターL
2及びキャパシタC
2に充電された電力を捕捉して負荷(LOAD)に送信する。受信端は、スイッチSW
2によってカップリングおよび捕捉を調整する。受信端はスイッチSW
2をオンしてキャパシタC
Lをターゲット共振器に接続し、これによってターゲット共振器の共振周波数が変更されることで、ソース共振器とのカップリングを終了する。
【0118】
送信端は1つのシンボル周期でスイッチSW
1を制御し、充電および放電を行う。ここで、受信端はスイッチSW
2を制御してカップリングの有無を決定する。受信端は送信端の放電時点の前に、送信端と受信端のカップリングタイムを同期化するために必要なマージン(Synch._Margin)を確保する。
受信端はシンボル周期単位でカップリング910、及び/又は、捕獲(捕捉)920を行う。受信端はカップリングの有無に応じてデータを変調して送信する。ここで、カップリングの有無に応じてソース共振器に格納された電力の自然応答は互いに異なる波形を有するので、送信端はカップリングの有無を区別して受信端が送信したデータを復調できる。
【0119】
図10は、一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおいて、強くカップリングされたソース共振器及びターゲット共振器に発生するエネルギーの変化を示すグラフである。
【0120】
TX端において、ソース共振器とターゲット共振器との間が強くカップリングされた場合にソース共振器に発生するエネルギー変化の波形“Coupled”と、カップリングされない場合にソース共振器に発生するエネルギー変化の波形“Non−coupled”には差がある。RX端でもターゲット共振器とソース共振器との間が強くカップリングされた場合にターゲット共振器に発生するエネルギー変化の波形“Coupled”と、カップリングされない場合にターゲット共振器に発生するエネルギー変化の波形“Non−coupled”には大きい差がある。
【0121】
RX端は、カップリングの有無に応じてデータを変調し、TX端はカップリングされた場合の信号波形とカップリングされない場合の信号波形とを比較し、比較結果に応じてRX端で送信したデータを復調する。
【0122】
図11は、一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおいて、弱くカップリングされたソース共振器及びターゲット共振器に発生するエネルギーの変化を示すグラフである。
【0123】
TX端でソース共振器とターゲット共振器との間が弱くカップリングされた場合にソース共振器に発生するエネルギー変化の波形“Coupled”と、カップリングされない場合にソース共振器に発生するエネルギー変化の波形“Non−coupled”には差がある。RX端でもターゲット共振器とソース共振器との間が弱くカップリングされた場合にターゲット共振器に発生するエネルギー変化の波形“Coupled”と、カップリングされない場合にターゲット共振器に発生するエネルギー変化の波形“Non−coupled”には大きい差がある。
【0124】
RX端はカップリングの有無に応じてデータを変調し、TX端はカップリングされた場合の信号波形とカップリングされない場合の信号波形とを比較し、比較結果に応じてRX端が送信したデータを復調する。
【0125】
図12は一実施形態に係る包絡線検出用アナログ回路を示す図である。
図12を参照すれば、一実施形態に係る包絡線検出用アナログ回路はダイオード1210、キャパシタ1220及び負荷(LOAD)1230で実現される。ここで、包絡線検出用アナログ回路は、ソース共振器に発生した電流又はソース共振器に発生した電圧を入力とし、ソース共振器に発生した電流の包絡線又はソース共振器に発生した電圧の包絡線を出力とする。また、包絡線検出用アナログ回路は、ターゲット共振器に発生した電流又はターゲット共振器に発生した電圧を入力とし、ターゲット共振器に発生した電流の包絡線又はターゲット共振器に発生した電圧の包絡線を出力する。
【0126】
図12に示された回路の他にも容易に実施可能な様々な形態の包絡線検出回路図を用い得る。
【0127】
図13は一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおいて、弱くカップリングされたソース共振器に発生する電圧の自然応答とその包絡線を表すグラフである。
【0128】
図13に示すグラフは、ソース共振器とターゲット共振器が弱くカップリングされる条件で、ターゲット共振器とカップリングが発生した場合にソース共振器に発生する電圧の自然応答信号1320“Tx_input_voltage(coupled)”と自然応答信号の包絡線1340“Envelope(coupled)”を示し、ターゲット共振器とカップリングが発生しない場合にソース共振器に発生する電圧の自然応答信号1310“Tx_input_voltage(Non−coupled)”と自然応答信号の包絡線1330“Envelope(Non−coupled)”を示す。ここでカップリングは相互共振を意味する。
【0129】
自然応答信号1310及び自然応答信号1320自身をアナログ−デジタル変換サンプリングすることによってカップリングの有無を判断するには、相当高いサンプリングレートが要求されることが分かる。
これに比べて、送信端は相当低いサンプリングレートでサンプリングされた信号から包絡線1330及び包絡線1340を検出し、所定の値と比較することによってカップリングの有無を効率よく判断できる。また、送信端は包絡線1330と包絡線1340とを比較してカップリングの有無を判断できる。
【0130】
図13ではソース共振器に発生した電圧の波形を例示したが、ソース共振器に発生した電流の波形も類似の形態を有する。また、ソース共振器内に格納されたエネルギー量も類似の包絡線の形態を有する。
【0131】
図14は、一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおいて、弱くカップリングされたソース共振器に発生する電圧の自然応答を周波数領域で示すグラフである。
【0132】
図14は、
図13に示す自然応答信号が高速フーリエ変換(FFT)によって周波数領域信号に変換された結果を示す。
【0133】
図15(a)および(b)は一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムにおいて、デジタルプロセシングによって包絡線が検出される過程を示す図である。
【0134】
図15(a)は、
図14に示す周波数領域信号に対して、共振周波数のサイン波形、コサイン波形及び指数関数型波形のいずれか1つを合成(乗算)して下方変換された周波数領域信号を示す。また、無線電力を用いる通信システムは、下方変換された周波数領域信号に対して低域通過フィルタリング(Low Pass Filtering、LPF)を行ってハーモニック成分を除去する。無線電力を用いる通信システムは、ハーモニック成分の除去された信号を時間領域に逆変換して時間領域における包絡線を算出する。
図15(b)は、ハーモニック成分の除去された周波数領域信号に対して高速フーリエ逆変換(IFFT)を行った結果、算出された包絡線を表す。無線電力を用いる通信システムは、ターゲット共振器とカップリングが発生しない場合にソース共振器に発生する電圧の自然応答信号1510、及びターゲット共振器とカップリングが発生した場合にソース共振器に発生する電圧の自然応答信号1520からデジタルプロセシングによって包絡線1530及び包絡線1540を算出する。
【0135】
上述した方法は、多様なコンピュータ手段によって行うことができるプログラム命令形態で実現され、コンピュータ読み出し可能媒体に記録される。記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合わせたものを含む。記録媒体及びプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものか、又は、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものである。コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、フロッピー(登録商標)ディスクのような磁気−光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行され得る高級言語コードを含む。上述のハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0136】
上述したように本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から様々に修正及び変形が可能である。
【0137】
従って、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定して定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。