特許第5957314号(P5957314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957314
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】ステアリングホイールの継電部構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 35/04 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   H01R35/04 Q
   H01R35/04 C
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-149672(P2012-149672)
(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-13655(P2014-13655A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】原 輝史
(72)【発明者】
【氏名】根本 晋
(72)【発明者】
【氏名】村越 元貴
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−163353(JP,U)
【文献】 実開昭58−035440(JP,U)
【文献】 実開昭61−090187(JP,U)
【文献】 実開昭60−181879(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 35/04
B60R 16/027
H01R 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に回転自在に支持されたステアリング軸の先端に固定されるステアリングホイールの中心ボス部であって、前記ステアリング軸と直交する基端面を有した中心ボス部と、
前記ステアリング軸が回転自在に挿通すると共に前記中心ボス部の基端面と対向するボス部対向面を備えて前記車体に固定された軸挿通筐体と、
前記ステアリングホイールに搭載される回路の給電用端子に接続される接続端子部として前記基端面に固定装備される第1の接続端子部であって、金属板により円環状に形成されると共に前記ステアリング軸の回転中心軸と同心に前記基端面上に配置されて、前記基端面上に、前記ステアリング軸の回転中心軸と同心の環状の摺動接触面を形成した第1の接続端子部と、
先端が前記摺動接触面に押圧接触するように前記ボス部対向面に装備されると共に、基端が前記車体側の給電回路に導通接続される第2の接続端子部と、
を備えて、
前記第1の接続端子部と前記第2の接続端子部との接触部を介して前記ステアリングホイール上の前記回路の給電用端子と前記車体側の前記給電回路とを導通接続状態にするステアリングホイールの継電部構造であって、
前記第2の接続端子部は、先端面が前記ボス部対向面に配置された開口部から前記基端面に対向するように前記軸挿通筐体に固定される樹脂製ハウジングと、前記樹脂製ハウジングに保持される金属板製の端子金具と、を備え、
前記端子金具は、前記樹脂製ハウジングに形成された端子収容孔内に前記樹脂製ハウジング内に固定され端子本体部と、該端子本体部の基端に一体形成されて前記車体側の前記給電回路からのリード線が導通接続可能な電線接続部と、前記樹脂製ハウジングの先端面から突出して前記摺動接触面に当接するように前記端子本体部に一体形成されると共に前記摺動接触面との当接により当接方向に所定の弾性変形をする板ばね部と、
を備え
前記ステアリングホイールに搭載される前記回路のアース端子に接続される接続端子部として前記基端面に固定装備される第3の接続端子部であって、金属板により円環状に形成されると共に前記基端面上に配置されて、前記基端面上に前記第1の接続端子部と同心の環状の摺動接触面を形成した第3の接続端子部と、
前記車体側の接地部に導通接続されるアース端子部として前記ボス部対向面に固定装備される第4の接続端子部であって、前記第1の接続端子部との当接による前記板ばね部の弾性変形量が規定量に達したときに前記第3の接続端子部と面接触状態となるように、前記ボス部対向面に配置された第4の接続端子部と、
を備えたことを特徴とするステアリングホイールの継電部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールに搭載される電子機器と車体側の回路とを導通接続状態にするステアリングホイールの継電部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、下記特許文献1に開示されたステアリングホイールの継電部構造の一部を示したものである。
【0003】
図示の継電部構造は、ステアリングホイールの中心ボス部110の基端面111に固定装備される第1の接続端子部120と車体側に装備される第2の接続端子部130との導通接続状態を示したものである。
【0004】
第1の接続端子部120は、ステアリングホイールに搭載されるホーンスイッチなどの回路の給電用端子に、不図示の配線部材を介して接続される接続端子部である。
【0005】
第1の接続端子部120は、前記基端面111に固定装備される第1の接続端子部120であって、金属板により円環状(ドーナツ盤状)に形成されると共に、不図示のステアリング軸の回転中心軸と同心に基端面111上に配置されている。この第1の接続端子部120は、所謂スリップリングで、基端面111上に、ステアリング軸の回転中心軸と同心の環状の摺動接触面121を形成している。
【0006】
第2の接続端子部130は、軸挿通筐体140に固定装備された給電回路の給電端子150を、第1の接続端子部120に導通接続する。
【0007】
軸挿通筐体140は、車体に固定された構造部材である。この軸挿通筐体140は、不図示のステアリング軸が回転自在に挿通すると共に、中心ボス部110の基端面111と対向するボス部対向面141を備えている。
【0008】
給電端子150は、金属板により円環状(ドーナツ盤状)に形成されると共に、不図示のステアリング軸の回転中心軸と同心にボス部対向面141上に配置されている。この給電端子150は、所謂スリップリングで、ボス部対向面141上に、ステアリング軸の回転中心軸と同心の環状の摺動接触面151を形成している。
【0009】
特許文献1における第2の接続端子部130は、中心ボス部110と一体の端子部支持フレーム112に取り付けられた略筒状構造の端子収容ハウジング131と、この端子収容ハウジング131の第1の接続端子部120側の端部131aに出没可能に取り付けられた第1接点部材132と、端子収容ハウジング131の軸挿通筐体140側の端部131bに出没可能に取り付けられた第2接点部材133と、第1接点部材132と第2接点部材133との間に圧縮状態に装着された接点付勢ばね134と、を備えている。
【0010】
第1接点部材132及び第2接点部材133は、鍔付きのピン構造に成形された樹脂製の本体の表面に、金属メッキによる導電層を形成したものである。第1接点部材132は、図8に示すように、表面の導電層を摺動接触面121に押圧接触させることで、第1の接続端子部120に導通接続される。第2接点部材133は、図8に示すように、表面の導電層を摺動接触面151に押圧接触させることで、給電端子150に導通接続される。
【0011】
接点付勢ばね134は、金属製の圧縮コイルばねで、第1接点部材132と第2接点部材133とを互いに離反する方向に付勢して、それぞれの接点部材を対応する摺動接触面121,151に押圧接触した状態を保つと共に、第1接点部材132と第2接点部材133とを導通接続する導電部材として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭64−44361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、図8に示したステアリングホイールの継電部構造は、第2の接続端子部130が、端子収容ハウジング131、第1接点部材132、第2接点部材133、接点付勢ばね134などの多数の独立部品から構成されており、構成部品数が多く、組立工程数も多くなるため、製造コストの削減が難しいという問題があった。
【0014】
また、構成部品数が多い分、全ての部品の品質を同等に維持することが難しく、構成部品の品質向上によって動作信頼性の向上を図ることが難しいという問題もあった。
【0015】
更に、特許文献1の第2の接続端子部130の場合、第1接点部材132や第2接点部材133が、樹脂製の本体の表面に、金属メッキによる導電層を形成したもので、導電層が摺動摩擦によって摩耗すると、導通不良が発生するおそれがあり、耐久性や動作信頼性の向上が難しいという問題があった。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、ステアリングホイールに搭載される電子機器と車体側の回路とを導通接続状態にするステアリングホイールの継電部構造であって、構成部品数の削減によるコストダウンと、構成部品の耐久性の向上による動作信頼性の向上と、を達成することのできるステアリングホイールの継電部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 車体に回転自在に支持されたステアリング軸の先端に固定されるステアリングホイールの中心ボス部であって、前記ステアリング軸と直交する基端面を有した中心ボス部と、
前記ステアリング軸が回転自在に挿通すると共に前記中心ボス部の基端面と対向するボス部対向面を備えて前記車体に固定された軸挿通筐体と、
前記ステアリングホイールに搭載される回路の給電用端子に接続される接続端子部として前記基端面に固定装備される第1の接続端子部であって、金属板により円環状に形成されると共に前記ステアリング軸の回転中心軸と同心に前記基端面上に配置されて、前記基端面上に、前記ステアリング軸の回転中心軸と同心の環状の摺動接触面を形成した第1の接続端子部と、
先端が前記摺動接触面に押圧接触するように前記ボス部対向面に装備されると共に、基端が前記車体側の給電回路に導通接続される第2の接続端子部と、
を備えて、
前記第1の接続端子部と前記第2の接続端子部との接触部を介して前記ステアリングホイール上の前記回路の給電用端子と前記車体側の前記給電回路とを導通接続状態にするステアリングホイールの継電部構造であって、
前記第2の接続端子部は、先端面が前記ボス部対向面に配置された開口部から前記基端面に対向するように前記軸挿通筐体に固定される樹脂製ハウジングと、前記樹脂製ハウジングに保持される金属板製の端子金具と、を備え、
前記端子金具は、前記樹脂製ハウジングに形成された端子収容孔内に前記樹脂製ハウジング内に固定され端子本体部と、該端子本体部の基端に一体形成されて前記車体側の前記給電回路からのリード線が導通接続可能な電線接続部と、前記樹脂製ハウジングの先端面から突出して前記摺動接触面に当接するように前記端子本体部に一体形成されると共に前記摺動接触面との当接により当接方向に所定の弾性変形をする板ばね部と、
を備え
前記ステアリングホイールに搭載される前記回路のアース端子に接続される接続端子部として前記基端面に固定装備される第3の接続端子部であって、金属板により円環状に形成されると共に前記基端面上に配置されて、前記基端面上に前記第1の接続端子部と同心の環状の摺動接触面を形成した第3の接続端子部と、
前記車体側の接地部に導通接続されるアース端子部として前記ボス部対向面に固定装備される第4の接続端子部であって、前記第1の接続端子部との当接による前記板ばね部の弾性変形量が規定量に達したときに前記第3の接続端子部と面接触状態となるように、前記ボス部対向面に配置された第4の接続端子部と、
を備えたことを特徴とするステアリングホイールの継電部構造。
【0019】
上記(1)の構成によれば、ステアリングホイールに搭載される電子機器に接続される第1の接続端子部と車体側の給電回路とを導通接続させる第2の接続端子部は、車体側の軸挿通筐体に固定される樹脂製ハウジングと、該樹脂製ハウジングに装着される金属板製の端子金具と、の2部品から構成される。そのため、図8に示した従来の第2の接続端子部と比較すると、構成部品数が大幅に削減され、組立工程数も削減される。従って、ステアリングホイールに搭載される電子機器と車体側の給電回路とを導通接続状態にするステアリングホイールの継電部構造において、構成部品数の削減によるコストダウンを達成することができる。
【0020】
また、上記(1)の構成によれば、先端を第1の接続端子部の摺動接触面に押圧接触させることで、第1の接続端子部と車体側の給電回路とを導通接続させる第2の接続端子部の端子金具が金属板製であり、樹脂製の本体の表面に金属メッキによる導電層を形成した接点部材が使用された従来の継電部構造と比較すると、表面の摩耗による導通不良の発生を防止することができ、構成部品の耐久性の向上による動作信頼性の向上を図ることができる。
【0021】
また、上記()の構成によれば、ステアリングホイールに搭載される電子機器のアース端子と車体側の接地部との間の導通接続は、金属板により円環状に形成されてステアリングホイールの中心ボス部の基端面に配置された第3の接続端子部と、中心ボス部の基端面と対向する車体側の軸挿通筐体のボス部対向面に配置された第4の接続端子部と、の直接接触による。即ち、第3の接続端子部と第4の接続端子部とは、他の部材が介在しない直接接触により導通接続されるため、構成部品の増加を招くことのない最少の部品構成で、ステアリングホイールに搭載される電子機器を車体にアース接続することができ、構成部品数の削減によるコスト低減や、信頼性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるステアリングホイールの継電部構造によれば、ステアリングホイールに搭載される電子機器に接続される第1の接続端子部と車体側の給電回路とを導通接続させる第2の接続端子部は、車体側の軸挿通筐体に固定される樹脂製ハウジングと、該樹脂製ハウジングに装着される金属板製の端子金具と、の2部品から構成される。そのため、図8に示した従来の第2の接続端子部と比較すると、構成部品数が大幅に削減され、組立工程数も削減される。従って、ステアリングホイールに搭載される電子機器と車体側の給電回路とを導通接続状態にするステアリングホイールの継電部構造において、構成部品数の削減によるコストダウンを達成することができる。
【0023】
また、本発明によるステアリングホイールの継電部構造によれば、先端を第1の接続端子部の摺動接触面に押圧接触させることで、第1の接続端子部と車体側の給電回路とを導通接続させる第2の接続端子部の端子金具が金属板製であり、樹脂製の本体の表面に金属メッキによる導電層を形成した接点部材が使用された従来の継電部構造と比較すると、表面の摩耗による導通不良の発生を防止することができ、構成部品の耐久性の向上による動作信頼性の向上を図ることができる。
【0024】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明に係るステアリングホイールの継電部構造の一実施形態の分解斜視図である。
図2図2図1に示したステアリングホイールの継電部の継電部の組立状態の縦断面図である。
図3図3図1に示したステアリングホイールの裏面側からの斜視図である。
図4図4図1に示した樹脂製ハウジングと端子金具の拡大斜視図である。
図5図5図4に示した端子金具の拡大斜視図である。
図6図6図5に示した端子金具が樹脂製ハウジングに保持されている状態を示す拡大縦断面図である。
図7図7図2のA部の拡大図である。
図8図8は従来のステアリングホイールの継電部構造の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るステアリングホイールの継電部構造の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1図7は本発明に係るステアリングホイールの継電部構造の一実施形態を示したもので、図1は本発明の一実施形態のステアリングホイールの継電部構造の分解斜視図、図2図1に示したステアリングホイールの継電部の継電部の組立状態の縦断面図、図3図1に示したステアリングホイールの裏面側からの斜視図、図4図1に示した樹脂製ハウジングと端子金具の拡大斜視図、図5図4に示した端子金具の拡大斜視図、図6図5に示した端子金具が樹脂製ハウジングに保持されている状態を示す拡大縦断面図、図7図2のA部の拡大図である。
【0028】
この一実施形態のステアリングホイールの継電部構造は、図1に示すステアリングホイール1に搭載されるホーンスイッチ10などの電子機器の給電端子やアース端子を、車体側の給電回路やアース端子部に導通接続するものである。
【0029】
ステアリングホイール1における継電部20は、ステアリングホイール1が回動自在に車体側に接続される部分で、図1に示すように、ステアリングホイール1に一体形成された中心ボス部12と、車体に固定された軸挿通筐体30と、中心ボス部12に装備される第1の接続端子部14及び第3の接続端子部16(図3参照)と、軸挿通筐体30に装備される第2の接続端子部40及び第4の接続端子部50と、を備える。
【0030】
中心ボス部12は、図2に示すように、ステアリングホイール1の中心部に裏面側に突出する円柱状に形成された部位で、車体に回転自在に支持されたステアリング軸17の先端に固定される。
【0031】
ステアリング軸17の先端部には、図2に示すように、中心ボス部12に形成された軸嵌合孔12aに嵌合する円柱状のボス部嵌合部17aと、ボス部嵌合部17aの先端面に突設された締結用雄ねじ部17bと、が備えられている。締結用雄ねじ部17bは、ボス部嵌合部17aよりも小径のねじ部である。締結用雄ねじ部17bは、図2に示すように、軸嵌合孔12aの内奥に設けられた軸当接壁12bに貫通形成されたねじ挿通孔12cを挿通する。
【0032】
ステアリングホイール1は、図2に示すように、軸当接壁12bを挿通した締結用雄ねじ部17bにナット18を螺合させて、ナット18とボス部嵌合部17aとで軸当接壁12bを挟持させることで、ステアリング軸17の先端に固定される。
【0033】
ステアリングホイール1の中心部近傍には、図1に示すように、配線挿通孔12dが、ステアリング軸17の中心軸線と略平行に貫通形成されている。この配線挿通孔12dは、図2に示すように、ホーンスイッチ10の給電端子やアース端子に接続されたリード線(配線)60を挿通させる。
【0034】
ステアリングホイール1の中心ボス部12は、図2及び図3に示すように、ステアリング軸17と直交する平坦な基端面12eを有している。
【0035】
軸挿通筐体30は、図1に示すように、軸挿通孔31と、ボス部対向面32と、端子装着孔33と、を備えている。
【0036】
軸挿通孔31は、ステアリング軸17が回転自在に挿通する孔で、軸挿通筐体30の中心部に貫通形成されている。
【0037】
ボス部対向面32は、中心ボス部12の基端面12eと対向する面である。ボス部対向面32は、軸挿通筐体30のステアリングホイール1側の端面に膨出形成された円柱状のボス部34の先端面で、基端面12eと平行な平坦面である。
【0038】
第1の接続端子部14は、ステアリングホイール1に搭載されるホーンスイッチ10の給電用端子に接続される接続端子部として、図3及び図7に示すように、基端面12eに固定装備される。第1の接続端子部14は、金属板により円環状に形成されると共に、ステアリング軸17の回転中心軸と同心に基端面12e上に配置される。この第1の接続端子部14は、所謂スリップリングで、基端面12e上に、ステアリング軸17の回転中心軸と同心の環状の摺動接触面14aを形成いている。
【0039】
第3の接続端子部16は、ステアリングホイール1に搭載されるホーンスイッチ10のアース端子に接続される接続端子部として、図3に示すように、基端面12eに固定装備される。本実施形態の第3の接続端子部16は、金属板により円環状に形成されると共に、ステアリング軸17の回転中心軸と同心に基端面12e上に配置される。この第3の接続端子部16は、基端面12e上に、第1の接続端子部14と同心の環状の摺動接触面16aを形成している。
【0040】
第2の接続端子部40は、先端が摺動接触面14aに押圧接触するようにボス部対向面32に装備されると共に、基端が車体側の給電回路に導通接続される端子部である。
【0041】
第2の接続端子部40は、図4に示すように、樹脂製ハウジング41と、金属板製の端子金具42と、から構成されている。
【0042】
樹脂製ハウジング41は、図7に示すように、その先端面41aがボス部対向面32に配置された端子装着孔33の開口部から基端面12eに対向するように、軸挿通筐体30の端子装着孔33に固定される。
【0043】
端子金具42は、図4に示した樹脂製ハウジング41の端子収容孔41bに保持される。
【0044】
この端子金具42は、図5に示すように、端子本体部42aと、電線接続部42bと、板ばね部42cと、を金属板のプレス成形により一体形成したものである。
【0045】
端子本体部42aは、図4及び図6に示すように、樹脂製ハウジング41の後端側から端子収容孔41b内に挿入される。端子収容孔41bに挿入された端子本体部42aは、図6に示すように、樹脂製ハウジング41内に装備された端子係止ランス41fと係合することにより、抜け止めされて、樹脂製ハウジング41内に固定される。
【0046】
電線接続部42bは、図4に示すように、端子本体部42aの基端に一体形成された電線加締め部である。この電線接続部42bは、車体側の給電回路からのリード線62を圧着接続することで、リード線62を導通接続可能である。
【0047】
板ばね部42cは、図5及び図6に示すように、樹脂製ハウジング41の先端面41aから突出して摺動接触面14aに当接するように、端子本体部42aに一体形成されている。板ばね部42cは、摺動接触面14aとの当接により当接方向に所定の弾性変形をするように、適宜、湾曲部が形成される。
【0048】
第4の接続端子部50は、車体側の接地部に導通接続されるアース端子部として、図1に示すように、ボス部対向面32に固定装備されている。本実施形態の場合、第4の接続端子部50は、金属板により円環状に形成されると共に、ステアリング軸17の回転中心軸と同心にボス部対向面32上に配置される。この第4の接続端子部50は、ボス部対向面32上に、ステアリング軸17の回転中心軸と同心の環状の摺動接触面50aを形成している。本実施形態の第4の接続端子部50は、第1の接続端子部14との当接による板ばね部42cの弾性変形量が規定量(規定の接触圧)に達したときに第3の接続端子部16と面接触状態となるように、ボス部対向面32に配置されている。
【0049】
以上に説明した一実施形態のステアリングホイールの継電部構造は、第1の接続端子部14と第2の接続端子部40との接触部を介してステアリングホイール1上の回路の給電用端子と車体側の給電回路とを導通接続状態にする。また、第3の接続端子部16と第4の接続端子部50との接触部を介してステアリングホイール1上の回路のアース端子と車体側の接地部とを導通接続状態にする。
【0050】
以上に説明した一実施形態のステアリングホイールの継電部構造によれば、ステアリングホイール1に搭載される回路に接続される第1の接続端子部14と車体側の給電回路とを導通接続させる第2の接続端子部40は、車体側の軸挿通筐体30に固定される樹脂製ハウジング41と、該樹脂製ハウジング41に装着される金属板製の端子金具42と、の2部品から構成される。
【0051】
そのため、図8に示した従来の第2の接続端子部40と比較すると、構成部品数が大幅に削減され、組立工程数も削減される。従って、ステアリングホイール1に搭載される回路と車体側の回路とを導通接続状態にするステアリングホイール1の継電部構造において、構成部品数の削減によるコストダウンを達成することができる。
【0052】
また、以上に説明した一実施形態のステアリングホイールの継電部構造によれば、先端を第1の接続端子部14の摺動接触面14aに押圧接触させることで、第1の接続端子部14と車体側の給電回路とを導通接続させる第2の接続端子部40の端子金具42が金属板製であり、樹脂製の本体の表面に金属メッキによる導電層を形成した接点部材が使用された従来の継電部構造と比較すると、表面の摩耗による導通不良の発生を防止することができ、構成部品の耐久性の向上による動作信頼性の向上を図ることができる。
【0053】
また、以上に説明した一実施形態のステアリングホイールの継電部構造によれば、ステアリングホイール1に搭載される回路のアース端子と車体側の接地部との間の導通接続は、金属板により円環状に形成されてステアリングホイール1の中心ボス部12の基端面12eに配置された第3の接続端子部16と、中心ボス部12の基端面12eと対向する車体側の軸挿通筐体30のボス部対向面32に配置された第4の接続端子部50と、の直接接触による。
【0054】
即ち、第3の接続端子部16と第4の接続端子部50とは、他の部材が介在しない直接接触により導通接続されるため、構成部品の増加を招くことのない最少の部品構成で、ステアリングホイール1に搭載される回路を車体にアース接続することができ、構成部品数の削減によるコスト低減や、信頼性の向上を図ることができる。
【0055】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0056】
例えば、端子金具42に装備される板ばね部42cの具体的な湾曲形状は、例えば、途中に蛇腹状のばね構造を持つ構成としても良い。
【0057】
また上記実施形態における板ばね部42cは、端子本体部42aの上壁部側から延出しているが、端子本体部42aの側壁部から延出する構成としても良い。
【0058】
ここで、上述した本発明に係るステアリングホイールの継電部構造の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[2]に簡潔に纏めて列記する。
【0059】
[1] 車体に回転自在に支持されたステアリング軸(17)の先端に固定されるステアリングホイール(1)の中心ボス部(12)であって、前記ステアリング軸(17)と直交する基端面(12e)を有した中心ボス部(12)と、
前記ステアリング軸(17)が回転自在に挿通すると共に前記中心ボス部(12)の基端面(12e)と対向するボス部対向面(32)を備えて前記車体に固定された軸挿通筐体(30)と、
前記ステアリングホイール(1)に搭載される回路の給電用端子に接続される接続端子部として前記基端面(12e)に固定装備される第1の接続端子部(14)であって、金属板により円環状に形成されると共に前記ステアリング軸(17)の回転中心軸と同心に前記基端面(12e)上に配置されて、前記基端面(12e)上に、前記ステアリング軸(17)の回転中心軸と同心の環状の摺動接触面(14a)を形成した第1の接続端子部(14)と、
先端が前記摺動接触面(14a)に押圧接触するように前記ボス部対向面(32)に装備されると共に、基端が前記車体側の給電回路に導通接続される第2の接続端子部(40)と、
を備えて、
前記第1の接続端子部(14)と前記第2の接続端子部(40)との接触部を介して前記ステアリングホイール(1)上の前記回路の給電用端子と前記車体側の前記給電回路とを導通接続状態にするステアリングホイールの継電部構造であって、
前記第2の接続端子部(40)は、先端面が前記ボス部対向面(32)に配置された開口部から前記基端面(12e)に対向するように前記軸挿通筐体(30)に固定される樹脂製ハウジング(41)と、前記樹脂製ハウジング(41)に保持される金属板製の端子金具(42)と、を備え、
前記端子金具(42)は、前記樹脂製ハウジング(41)に形成された端子収容孔(41b)内に挿入されて前記樹脂製ハウジング(41)内に固定される端子本体部(42a)と、該端子本体部(42a)の基端に一体形成されて前記車体側の前記給電回路からのリード線が導通接続可能な電線接続部(42b)と、前記樹脂製ハウジング(41)の先端面(41a)から突出して前記摺動接触面(14a)に当接するように前記端子本体部(42a)に一体形成されると共に前記摺動接触面(14a)との当接により当接方向に所定の弾性変形をする板ばね部(42c)と、
を備えたことを特徴とするステアリングホイールの継電部構造。
【0060】
[2] 前記ステアリングホイール(1)に搭載される前記回路のアース端子に接続される接続端子部として前記基端面(12e)に固定装備される第3の接続端子部(16)であって、金属板により円環状に形成されると共に前記基端面(12e)上に配置されて、前記基端面(12e)上に前記第1の接続端子部(14)と同心の環状の摺動接触面(16a)を形成した第3の接続端子部(16)と、
前記車体側の接地部に導通接続されるアース端子部として前記ボス部対向面(32)に固定装備される第4の接続端子部(50)であって、前記第1の接続端子部(14)との当接による前記板ばね部(42c)の弾性変形量が規定量に達したときに前記第3の接続端子部(16)と面接触状態となるように、前記ボス部対向面(32)に配置された第4の接続端子部(50)と、
を備えたことを特徴とする上記[1]に記載のステアリングホイールの継電部構造。
【符号の説明】
【0061】
1 ステアリングホイール
12 中心ボス部
12e 基端面
14 第1の接続端子部
14a 摺動接触面
16 第3の接続端子部
17 ステアリング軸
30 軸挿通筐体
32 ボス部対向面
40 第2の接続端子部
41 樹脂製ハウジング
42 端子金具
42a 端子本体部
42b 電線接続部
42c 板ばね部
50 第4の接続端子部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8