(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子からの出射光のうち、少なくとも最大強度の光が出射される方向から前記最大強度の半分の強度の光が出射される方向までの角度範囲内に出射される光は、前記ホルダおよび前記第1光束制御部材の少なくともいずれか一方を透過して、前記ホルダおよび前記第1光束制御部材に囲まれた内部領域から外部領域へ出射される、請求項1に記載の光束制御部材。
前記発光素子から出射された光の少なくとも一部を入射し、入射した光を所定の配光特性を有する光に制御して前記第1光束制御部材に向けて出射する第2光束制御部材をさらに有し、
前記第2光束制御部材は、前記発光素子から出射された光の少なくとも一部を入射する入射面と、前記入射面に入射した光の一部を前記第1光束制御部材に向けて反射する全反射面と、前記入射面に入射した光の一部および前記全反射面で反射された光を出射する出射面と、を有し、
前記第1光束制御部材は、前記第2光束制御部材から出射された光の一部を反射し、一部を透過させる、
請求項1に記載の光束制御部材。
前記発光素子から出射された光の少なくとも一部を入射し、入射した光を所定の配光特性を有する光に制御して前記第1光束制御部材に向けて出射する第2光束制御部材をさらに有し、
前記第2光束制御部材は、前記発光素子から出射された光の少なくとも一部を入射する入射面と、前記入射面に入射した光の一部を前記第1光束制御部材に向けて反射する全反射面と、前記入射面に入射した光の一部および前記全反射面で反射された光を出射する出射面と、を有し、
前記第1光束制御部材は、前記第2光束制御部材と対向し、かつ前記第2光束制御部材から出射された光の一部を反射させる反射面を有し、
前記反射面は、前記発光素子の光軸を回転軸とする回転対称面であり、前記回転対称面の母線が前記発光素子に対して凹の曲線となるように形成され、
前記反射面の外周部は、前記反射面の中心部の位置と比較して、前記発光素子の光軸の方向における前記発光素子からの距離が離れた位置に形成される、
請求項1に記載の光束制御部材。
前記発光素子から出射された光の少なくとも一部を入射し、入射した光を所定の配光特性を有する光に制御して前記第1光束制御部材に向けて出射する第2光束制御部材をさらに有し、
前記第2光束制御部材は、前記発光素子から出射された光の少なくとも一部を入射する入射領域と、前記入射領域に入射した光を出射する出射領域と、を有し、
前記入射領域は、前記発光素子から出射された光の一部を入射する第1傾斜面および前記第1傾斜面に入射した光を前記出射領域に向けて反射させる第2傾斜面を有する、同心円状に配置された円環状の突起を複数有するフレネルレンズ部を有し、
前記第1光束制御部材は、前記第2光束制御部材と対向し、かつ前記第2光束制御部材から出射された光の一部を反射させる反射面を有し、
前記反射面は、前記発光素子の光軸を回転軸とする回転対称面であり、前記回転対称面の母線が前記発光素子に対して凹の曲線となるように形成される、
請求項1に記載の光束制御部材。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(実施の形態1)
[照明装置の構成]
図3は、本発明の実施の形態1の照明装置100の断面図である。本実施の形態の照明装置は、白熱電球に代えて使用されうる。
【0019】
図3に示されるように、照明装置100は、台座110、基板120、1または2以上の発光素子130、光束制御部材170およびカバー180を有する。以下、各構成要素について説明する。
【0020】
(1)台座、基板および発光素子
発光素子130は、照明装置100の光源であり、台座110上に固定された基板120上に実装されている。発光素子130は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。基板120上に複数の発光素子130が実装されている場合、各発光素子130は、円周上に配置されていてもよい。なお、基板120の形状は、発光素子130を実装することができれば特に限定されず、板状でなくてもよい。また、台座110の形状は、基板120を固定することができれば特に限定されず、板状でなくてもよい。
【0021】
(2)光束制御部材
光束制御部材170は、発光素子130から出射された光の配光を制御する。
図4および
図5は、光束制御部材170の構成を示す図である。
図4は斜視図であり、
図5Aは平面図であり、
図5Bは正面図であり、
図5Cは底面図であり、
図5Dは
図5Aに示すA−A線の断面図である。また、
図6は、光束制御部材170の分解斜視図である。これらの図に示されるように、光束制御部材170は、第1光束制御部材140(透過反射部材)、第2光束制御部材150(集光部材)およびホルダ160(支持部材かつ拡散透過部材)を含む。また、第2光束制御部材150およびホルダ160は、一体化されている。
【0022】
以下、光束制御部材170の各構成要素について、ホルダ160、第2光束制御部材150、第1光束制御部材140の順に説明する。
【0023】
(2−1)ホルダ
図7は、第2光束制御部材150およびホルダ160の構成を示す図である。
図7Aは平面図であり、
図7Bは正面図であり、
図7Cは底面図であり、
図7Dは
図7Aに示すB−B線の断面図である。前述の通り、第2光束制御部材150およびホルダ160は、一体化されている。
【0024】
ホルダ160は、台座110に位置決めされるとともに、発光素子130に対して第1光束制御部材140および第2光束制御部材150を位置決めする。
図3に示されるように、発光素子130の光軸LA、第1光束制御部材140の中心軸CA1および第2光束制御部材150の中心軸CA2は、一致する。
【0025】
ホルダ160は、略円筒形状に形成された光透過性を有する部材である。ホルダ160の一方の端部には、第1光束制御部材140が固定される。ホルダ160の他方の端部は、台座110に固定される。以下の説明では、ホルダ160の2つの端部のうち、第1光束制御部材140が固定される端部を「上端部」と呼び、台座110に固定される端部を「下端部」と呼ぶ。
【0026】
ホルダ160は、第2光束制御部材150と共に一体成形により形成されている。ホルダ160の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。たとえば、ホルダ160の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。ホルダ160に光拡散能を付与する場合には、これらの光透過性の材料に散乱子を含ませてもよいし、ホルダ160の表面に光拡散処理を施してもよい。
【0027】
図6に示されるように、ホルダ160の上端部には、上端部の端面161上に第1光束制御部材140を固定するための、ガイド突起162および爪部163が設けられている。
【0028】
ガイド突起162は、上端部の端面161の外周部の一部に形成されており、第1光束制御部材140がホルダ160の径方向に移動することを防止する。ガイド突起162の数は、特に限定されないが、通常は2つ以上である。
図6に示される例では、ホルダ160は、互いに対向する2つのガイド突起162を有している。また、ガイド突起162の形状は、第1光束制御部材140と径嵌合することができれば特に限定されない。
図6に示される例では、平面視したときのガイド突起162の形状は、円弧状である。
【0029】
爪部163は、上端部の端面161に形成されている。後述するように、爪部163は、第1光束制御部材140の嵌合部143(凹部144)と共に第1光束制御部材140が外れることおよび回転することを防止する。爪部163の数は、特に限定されないが、通常は2つ以上である。
図6に示される例では、ホルダ160は、互いに対向する2つの爪部163を有している。また、爪部163の形状は、第1光束制御部材140を回転させたときに、爪部163を第1光束制御部材140の凹部144に係合させることができれば特に限定されない。
【0030】
ホルダ160の上端部には、全周にわたり、第1光束制御部材140を載せるための端面161が形成されている。すなわち、ガイド突起162の内側および爪部163の内側にも端面161は存在する(
図7A参照)。したがって、光束制御部材170を平面視したとき、第1光束制御部材140の外周部(フランジ142)は、全周にわたり上端部の端面161と重なる。このため、第1光束制御部材140とホルダ160との隙間から光が漏れることが防止される。
【0031】
ホルダ160の下端部には、ホルダ160を台座110に位置決めするための段部165が設けられている。また、第2光束制御部材150の周囲の空気を換気するための換気口166も設けられている。
【0032】
(2−2)第2光束制御部材
第2光束制御部材150は、発光素子130から出射された光の一部の進行方向を制御し、第2光束制御部材150からの出射光の方が発光素子130からの出射光よりも配光が狭まるように機能する。
図7Aに示されるように、第2光束制御部材150は、平面視形状が略円形に形成された部材である。第2光束制御部材150は、ホルダ160により支持されており、その中心軸CA2が光軸LAと一致するように、発光素子130に対して空気層を介して配置されている(
図3参照)。基板120上に複数の発光素子130が配置されている場合、「発光素子130の光軸LA」とは、複数の発光素子130からの立体的な光束の中心における光の進行方向をいう。
【0033】
図7に示されるように、第2光束制御部材150は、発光素子130から出射された光を入射する入射面151と、入射面151から入射した光の一部を全反射する全反射面152と、入射面151から入射した光の一部および全反射面152で反射した光を出射する出射面153とを有する。
【0034】
前述の通り、第2光束制御部材150は、ホルダ160と共に一体成形により形成されている。第2光束制御部材150の材料は、所望の波長の光を通過させ得る透過性の高いものであれば特に限定されない。たとえば、第2光束制御部材150の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0035】
入射面151は、発光素子130から出射された光を第2光束制御部材150の内部に入射させる。入射面151は、第2光束制御部材150の底部に形成された凹部の内面である。入射面151は、発光素子130と対向する位置に、第2光束制御部材150の中心軸CA2と交わるように形成されている。入射面151は、第2光束制御部材150の中心軸CA2を中心とする回転対称面である。入射面151は、凹部の天面を構成する内天面と、凹部の側面を構成するテーパー状の内側面とを有する。内側面は、内天面側の縁の内径寸法よりも開口縁側の内径寸法の方が大径となるように、内天面側から開口縁側に向かうに従って内径が漸増している(
図7D参照)。
【0036】
全反射面152は、入射面151に入射した光の一部を第1光束制御部材140に向けて全反射する。全反射面152は、第2光束制御部材150の底部の外縁から出射面153の外縁に延びる面である。全反射面152の外縁と出射面153の外縁との間には、フランジが設けられていてもよい(
図7D参照)。全反射面152は、第2光束制御部材150の中心軸CA2を取り囲むように形成された回転対称面である。全反射面152の直径は、底部側から出射面153側に向けて漸増している。全反射面152を構成する母線は、外側(中心軸CA2から離れる側)に凸の円弧状曲線である。また、照明装置100に求められる配光特性に応じて、全反射面152を構成する母線を直線とし、全反射面152をテーパー形状としてもよい。なお、「母線」とは、一般的に線織面を描く直線を意味するが、本発明では回転対称面である全反射面152を描くための曲線を含む語として用いる。
【0037】
出射面153は、入射面151に入射した光の一部および全反射面152で全反射された光を第1光束制御部材140に向けて出射する。出射面153は、第2光束制御部材150において入射面151(底部)の反対側に位置する面であり、発光素子130の光軸LAと交わるように形成されている。すなわち、出射面153は、第1光束制御部材140と対向するように形成されている(
図5D参照)。
【0038】
(2−3)第1光束制御部材
図8は、第1光束制御部材140の構成を示す図である。
図8Aは平面図であり、
図8Bは正面図であり、
図8Cは底面図であり、
図8Dは
図8Aに示すC−C線の断面図であり、
図8Eは右側面図である。
【0039】
第1光束制御部材140は、第2光束制御部材150からの出射光(発光素子130からの出射光)のうち、一部の光の進行方向を制御して反射させ、残部を透過させる。第1光束制御部材140は、平面視形状が略円形に形成された部材であり、表裏関係にある2つの主要面を有する。第1光束制御部材140は、ホルダ160により支持されており、その中心軸CA1が発光素子130の光軸LAと一致するように、第2光束制御部材150に対して空気層を介して配置されている。すなわち、第1光束制御部材140は、第2光束制御部材150の出射面153と対向するように、第2光束制御部材150に対して発光素子130とは反対側に配置されている。
【0040】
第1光束制御部材140は、第2光束制御部材150から出射された光の一部を反射し、一部を透過させる。第1光束制御部材140にこのような機能を付与する手段は、特に限定されない。たとえば、光透過性の材料からなる第1光束制御部材140の表面(発光素子130に対向する面)に透過反射膜を形成すればよい。光透過性の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの透明樹脂材料や、透明なガラスなどが含まれる。透過反射膜の例には、TiO
2およびSiO
2の多層膜、ZnO
2およびSiO
2の多層膜、Ta
2O
5およびSiO
2の多層膜などの誘電体多層膜や、アルミニウム(Al)などからなる金属薄膜などが含まれる。また、光透過性の材料からなる第1光束制御部材140の内部にビーズなどの光散乱子を分散させてもよい。すなわち、第1光束制御部材140は、一部の光を反射させ、一部の光を透過させる材料により形成されていてもよい。また、光反射性の材料からなる第1光束制御部材140に光透過部を形成してもよい。光反射性の材料の例には、白色樹脂や金属などが含まれる。光透過部の例には、貫通孔や有底の凹部などが含まれる。後者の場合、第2光束制御部材150からの出射光は、凹部の底部(厚みが薄くなっている部分)を透過する。たとえば、可視光の透過率が20%程度であり、反射率が78%程度である白色のポリメタクリル酸メチルを用いて、光反射性および光透過性の機能を併せ持つ第1光束制御部材140を形成することができる。
【0041】
第1光束制御部材140は、第2光束制御部材150と対向し、かつ第2光束制御部材150から出射された光の一部を反射させる反射面141を有する。反射面141は、第2光束制御部材150からの出射光の一部をホルダ160に向けて反射させる。反射した光は、ホルダ160を透過してカバー180の中部(側部)および下部に到達する。
【0042】
第1光束制御部材140の反射面141は、第1光束制御部材140の中心軸CA1を中心とする回転対称(円対称)面である。また、
図5Dに示されるように、この回転対称面の中心から外周部にかけての母線は、発光素子130(第2光束制御部材150)に対して凹の曲線であり、反射面141は、この母線を360°回転させた状態の曲面である。すなわち、反射面141は、中心から外周部に向かうにつれて発光素子130からの高さが高くなる非球面形状の曲面を有する。また、反射面141の外周部は、反射面141の中心と比較して、発光素子130の光軸LA方向における発光素子130からの距離(高さ)が離れた位置に形成されている。たとえば、反射面141は、中心から外周部に向かうにつれて発光素子130からの高さが高くなる非球面形状の曲面であるか、または、中心部から所定の地点までは中心部から外周部に向かうにつれて発光素子130(基板120)からの高さが高くなり、前記所定の地点から外周部までは中心部から外周部に向かうにつれて発光素子130からの高さが低くなる非球面形状の曲面である。前者の場合、基板120の面方向に対する反射面141の傾斜角度は、中心から外周部に向かうにつれて小さくなる。一方、後者の場合、反射面141には、中心と外周部との間であって、かつ外周部に近い位置に、基板120の面方向に対する傾斜角度が零(基板120と平行)となる点が存在する。なお、前述の通り、「母線」とは、一般的に線織面を描く直線を意味するが、本発明では回転対称面である反射面141を描くための曲線を含む語として用いる。
【0043】
図8に示されるように、第1光束制御部材140の外周部には、ホルダ160の端面161の上に載せられるフランジ142が設けられている。第1光束制御部材140がホルダ160のガイド突起162と径嵌合した状態で、第1光束制御部材140が所定の角度回転できるように、フランジ142の幅は、場所ごとに異なっている(
図8A参照)。
【0044】
また、第1光束制御部材140の外周部には、第1光束制御部材140がホルダ160の端面161上に装着された際に、ホルダ160の爪部163と端面161との間に位置する嵌合部143も設けられている。嵌合部143の一方の面(カバー180側の面)には、ホルダ160の爪部163に対応する凹部144が設けられている。嵌合部143(凹部144)は、ホルダ160の爪部163と共に第1光束制御部材140が回転することを防止する。嵌合部143(凹部144)の数は、通常爪部163の数と同一である。
図6に示される例では、第1光束制御部材140は、2つの嵌合部143(凹部144)を有している。また、嵌合部143の形状は、第1光束制御部材140を回転させたときに、凹部144をホルダ160の爪部163に係合させることができれば特に限定されない。
【0045】
後述するように、第1光束制御部材140は、ホルダ160の端面161上で回転させられて爪部163と凹部144とが係合することで、ホルダ160の端面161上に固定されている(
図6参照)。
【0046】
(3)カバー
カバー180は、台座110に位置決めされるとともに、光束制御部材170により進行方向を制御された光(反射光および透過光)を拡散させつつ透過させる。カバー180は、開口部を有する中空領域が形成された部材である。基板120、発光素子130および光束制御部材170は、カバー180の中空領域内に配置される。
【0047】
カバー180に光拡散能を付与する手段は、特に限定されない。たとえば、カバー180の内面または外面に光拡散処理(例えば、粗面化処理)を行ってもよいし、光拡散性の材料(例えば、ビーズなどの散乱子を含む光透過性の材料)を用いてカバー180を作製してもよい。なお、カバー180の形状は、所望の配光特性を実現することができれば特に限定されない。たとえば、カバー180の形状は、球冠形状(球面の一部を平面で切り取った形状)である。
【0048】
次に、本実施の形態の照明装置100における、発光素子130からの出射光の光路について説明する。
【0049】
発光素子130の光軸LAに対する角度が大きい発光素子130からの出射光は、入射面151(内側面)から第2光束制御部材150に入射する。第2光束制御部材150に入射した光の一部は、全反射面152で第1光束制御部材140に向けて全反射し、出射面153から出射される。そして、第2光束制御部材150の出射面153から出射した光の一部は、第1光束制御部材140を透過してカバー180の上部に到達する。また、第2光束制御部材150の出射面153から出射した光の一部は、第1光束制御部材140で反射し、ホルダ160を透過して、カバー180の中部および下部に到達する。
【0050】
一方、発光素子130の光軸LAに対する角度が小さい発光素子130からの出射光は、入射面151(内天面)から第2光束制御部材150に入射し、そのまま出射面153から第1光束制御部材140に向かって出射される。そして、第2光束制御部材150の出射面153から出射した光の一部は、第1光束制御部材140を透過してカバー180の上部に到達する。また、第2光束制御部材150の出射面153から出射した光の一部は、第1光束制御部材140で反射し、ホルダ160を透過して、カバー180の中部および下部に到達する。
【0051】
このように、本実施の形態の照明装置100では、第1光束制御部材140に到達する光の大部分は、第2光束制御部材150内に入射し、第2光束制御部材150から出射された光である。
【0052】
本実施の形態の照明装置100では、発光素子130からの出射光のうち、少なくとも最大強度の光が出射される方向(例えば、光軸LAの方向)から前記最大強度の半分の強度の光が出射される方向までの角度範囲内に出射される光(以下「半値角範囲内の光」という)は、ホルダ160および第1光束制御部材140の少なくともいずれか一方を透過して、ホルダ160および第1光束制御部材140に囲まれた内部領域から外部領域へ出射される。逆にいえば、本実施の形態の光束制御部材170は、半値角範囲内の光がホルダ160および第1光束制御部材140の少なくともいずれか一方を透過するように形成される。
【0053】
図2に示されるように、ホルダ(ケース本体14a)の上端部に切り欠き部20が形成されている場合、切り欠き部20からは、発光素子からの出射光のうち比較的強い光が漏れ出てしまう。このため、被照射面またはカバー(光束制御部材を覆うカバー)に明部が発生しやすい。特に、半値角範囲内の光が切り欠き部20から漏れ出た場合、被照射面やカバーの位置によって明部が顕著になるおそれがある。これに対し、発光素子からの出射光のうち、発光素子の光軸に対して大きな角度で出射する光(半値角以上であって、換気口166方向へ向かうような光)であれば、ホルダ160または第1光束制御部材140を透過せずに直接外部へ出射されて被照射面やカバーを照射しても、特異的な明部は発生し難い。
【0054】
[光束制御部材の製造方法]
本実施の形態の光束制御部材170は、例えば以下の手順により製造されうる。
【0055】
まず、反射面141を有する第1光束制御部材140を射出成形により作製する。第1光束制御部材140を作製する方法は、特に限定されない。たとえば、第1光束制御部材140は、無色透明の樹脂材料を用いて射出成形した後に、得られた樹脂成形物の反射面141となる面(第2光束制御部材150に対向する面)に透過反射膜を蒸着することで作製されうる。また、第1光束制御部材140は、白色の樹脂材料を用いて射出成形することでも作製されうる。
【0056】
また、第2光束制御部材150およびホルダ160を無色透明の樹脂材料を用いて射出成形により一体として作製する。
【0057】
次いで、
図6に示されるように、ホルダ160の上端部の端面161の上に第1光束制御部材140のフランジ142を載せて、第1光束制御部材140とホルダ160のガイド突起162とを径嵌合させる。この状態で、第1光束制御部材140を所定の方向に回転させると、第1光束制御部材140の嵌合部143がホルダ160の爪部163と端面161との間に係合する。すなわち、ホルダ160の爪部163が、第1光束制御部材140の凹部144に係合する。
【0058】
以上の手順により、接着剤を使用することなく、またホルダ160に切り欠き部を設けることなく、第1光束制御部材140、第2光束制御部材150およびホルダ160を含む本実施の形態の光束制御部材170を製造することができる。
【0059】
[効果]
実施の形態1の光束制御部材170は、発光素子130からの出射光の進行方向を第1光束制御部材140および第2光束制御部材150を用いて制御して、出射光を前方方向、側方方向および後方方向へ振り分けることができる。したがって、実施の形態1の光束制御部材170を有する照明装置100は、前方方向、側方方向および後方方向へ向かう出射光量をそれぞれ制御して、白熱電球に近い配光特性を実現することができる。
【0060】
また、実施の形態1の光束制御部材170は、第1光束制御部材140に到達した光のうち、一部の光を反射面141によって側方方向(カバー180の中部の方向)および後方方向(カバー180の下部の方向)へ反射させ、一部の光を前方方向(カバー180の上部の方向)へ透過させる。このとき、光束制御部材170は、反射面141の中心部側の領域において主として側方方向の反射光を生成し、外周部側の領域において主として後方方向の反射光を生成する。このため、実施の形態1の照明装置100は、台座110に妨げられることなく、後方方向の被照射面を効率よく照らすことができる。
【0061】
実施の形態1の光束制御部材170を製造する際には、光透過性および光反射性の両方を有する第1光束制御部材140と、光透過性を有するホルダ160とをそれぞれ別個に製造する。このため、第1光束制御部材140の光学特性は、ホルダ160に関係なく容易に調整されうる。同様に、ホルダ160の光学特性も、第1光束制御部材140に関係なく容易に調整されうる。
【0062】
また、実施の形態1の光束制御部材170を製造する際には、ホルダ160の端面161の上に第1光束制御部材140を載せて、回転させるだけで、第1光束制御部材140をホルダ160に隙間なく、かつ接着剤を使用せずに固定することができる。したがって、実施の形態1の光束制御部材170は、光学特性を低下させることなく、かつ製造コストを増大させることなく、製造されうる。
【0063】
(実施の形態2)
実施の形態2の照明装置および光束制御部材は、ホルダの形状のみが実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と異なる。そこで、実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と同じ構成要素については同一の符番を付し、説明を省略する。
【0064】
図9および
図10は、実施の形態2の光束制御部材に含まれる、第2光束制御部材150およびホルダ260の構成を示す図である。
図9は斜視図であり、
図10Aは平面図であり、
図10Bは正面図であり、
図10Cは底面図であり、
図10Dは
図10Aに示すD−D線の断面図である。これらの図に示されるように、第2光束制御部材150およびホルダ260は、一体化されている。
【0065】
実施の形態2の光束制御部材に含まれるホルダ260は、実施の形態1の光束制御部材170に含まれるホルダ160と基本的には同一構造である。しかしながら、ホルダ260は、強度および漏れ光の発生の防止を確保できる範囲で肉厚が薄くなっている点でホルダ160と異なる。
図10Aおよび
図10Dに示されるように、ホルダ260の肉厚は、場所ごとに異なる。
【0066】
[効果]
実施の形態2の光束制御部材は、実施の形態1の光束制御部材170よりも軽量でありながら、実施の形態1の光束制御部材170と同様の効果を有する。
【0067】
(実施の形態3)
実施の形態3の照明装置および光束制御部材は、ホルダの形状のみが実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と異なる。そこで、実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と同じ構成要素については同一の符番を付し、説明を省略する。
【0068】
図11および
図12は、実施の形態3の光束制御部材に含まれる、第2光束制御部材150およびホルダ360の構成を示す図である。
図11は斜視図であり、
図12Aは平面図であり、
図12Bは正面図であり、
図12Cは底面図であり、
図12Dは
図12Aに示すE−E線の断面図である。これらの図に示されるように、第2光束制御部材150およびホルダ360は、一体化されている。
【0069】
実施の形態3の光束制御部材に含まれるホルダ360は、実施の形態1の光束制御部材170に含まれるホルダ160と基本的には同一構造である。しかしながら、ホルダ360は、強度および漏れ光の発生の防止を確保できる範囲で肉厚が薄くなっている点でホルダ160と異なる。
図12Aおよび
図12Dに示されるように、ホルダ360の肉厚は、場所ごとに異なる。
【0070】
[効果]
実施の形態3の光束制御部材は、実施の形態1の光束制御部材170よりも軽量でありながら、実施の形態1の光束制御部材170と同様の効果を有する。
【0071】
(実施の形態4)
実施の形態4の照明装置および光束制御部材は、ホルダの形状のみが実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と異なる。そこで、実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と同じ構成要素については同一の符番を付し、説明を省略する。
【0072】
図13は、実施の形態4の光束制御部材に含まれる、第2光束制御部材150およびホルダ460の構成を示す図である。
図13Aは平面図であり、
図13Bは斜視図である。これらの図に示されるように、第2光束制御部材150およびホルダ460は、一体化されている。
【0073】
実施の形態3の光束制御部材に含まれるホルダ460は、実施の形態1の光束制御部材170に含まれるホルダ160と基本的には同一構造である。しかしながら、ホルダ460は、上端部の端面161およびガイド突起162の内面に換気溝461が形成されている点でホルダ160と異なる。換気溝461は、第1光束制御部材140により開口部が塞がれることで、第1光束制御部材140と第2光束制御部材150との間の空間の空気を換気するための換気流路となる。
図13Aおよび
図13Bに示されるように、漏れ光の発生を防止するため、換気溝461はクランク状に曲がっている。
【0074】
[効果]
実施の形態4の光束制御部材は、実施の形態1の光束制御部材170と同様の効果に加え、第1光束制御部材140と第2光束制御部材150との間の空間の温度上昇を抑制できるという効果をさらに有する。
【0075】
(実施の形態5)
実施の形態5の照明装置および光束制御部材は、第2光束制御部材を有しない点で実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と異なる。そこで、実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と同じ構成要素については同一の符番を付し、説明を省略する。
【0077】
実施の形態5の光束制御部材に含まれるホルダ560は、実施の形態1の光束制御部材170に含まれるホルダ160と基本的には同一構造である。しかしながら、
図14および
図15に示されるように、ホルダ560は、第2光束制御部材と一体化されていない。また、ホルダ560には、第2光束制御部材を固定するための段部なども設けられていない。
【0078】
[効果]
実施の形態5の光束制御部材は、実施の形態1の光束制御部材170と同様の効果を有する。前方方向、側方方向、後方方向、それぞれへの光の配分を調整する必要がある場合には、第1光束制御部材140の透過性能と反射性能とのバランスや反射面形状を調整することで、狙いの配光分布を得ることが可能となる。
【0079】
(実施の形態6)
実施の形態6の照明装置および光束制御部材は、第2光束制御部材およびホルダの形状が実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と異なる。そこで、実施の形態1の照明装置100および光束制御部材170と同じ構成要素については同一の符番を付し、説明を省略する。
【0080】
図16および
図17は、実施の形態6の光束制御部材に含まれる、第2光束制御部材650およびホルダ660の構成を示す図である。
図16は斜視図であり、
図17Aは平面図であり、
図17Bは正面図であり、
図17Cは底面図であり、
図17Dは
図17Aに示すG−G線の断面図である。これらの図に示されるように、第2光束制御部材650およびホルダ660は、一体化されている。
【0081】
図17Dに示されるように、実施の形態6の光束制御部材に含まれる第2光束制御部材650は、発光素子130から出射された光を入射させる入射領域651と、入射領域651の反対側に位置し、入射領域651から入射した光を出射させる出射領域654とを有する。入射領域651は、入射領域651の中央部に位置する屈折部652と、屈折部652の外側に位置するフレネルレンズ部653とを有する。
【0082】
屈折部652は、発光素子130と対向する位置に、第2光束制御部材650の中心軸CA2と交わるように形成されている。屈折部652は、例えば、平面、球面、非球面または屈折型フレネルレンズである。屈折部652は、発光素子130から出射された光の一部(主として前方方向に出射された光)を第2光束制御部材650内に入射させるとともに、入射した光を出射領域654に向けて屈折させる機能を有する。本実施の形態における屈折部652の形状は、第2光束制御部材650の中心軸CA2を中心とする回転対称である。
【0083】
フレネルレンズ部653は、発光素子130から出射された光の一部(主として側方方向に出射された光)を第2光束制御部材650内に入射させるとともに、入射した光を出射領域654に向けて全反射させる。フレネルレンズ部653の形状は、第2光束制御部材650の中心軸CA2を中心とする回転対称であり、フレネルレンズ部653は、同心円状に配置された円環状の突起を複数有する(
図17C参照)。
図17Dに示されるように、複数の円環状の突起のうち、最も外側に位置する突起は、他の突起よりも大きく形成されている。
【0084】
複数の突起は、それぞれ、発光素子130から出射された光を入射させる入射面である第1傾斜面と、第1傾斜面から入射した光を出射領域654に向けて反射させる反射面である第2傾斜面とを有する。各突起において、第1傾斜面は内側(中心軸CA2側)に位置し、第2傾斜面は外側に位置する。
【0085】
第1傾斜面の母線は、直線であってもよいし、曲線であってもよい。発光素子130の光軸LAに対する第1傾斜面の角度は、第1傾斜面から入射した光を第2傾斜面側に屈折させることができれば特に限定されず、発光素子130の大きさや位置などに応じて適宜設定されうる。各突起の第1傾斜面の角度は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、第2傾斜面の母線は、直線であってもよいし、曲線であってもよい。発光素子130の光軸LAに対する第2傾斜面の角度は、第1傾斜面から入射した光を出射領域654側に反射させることができれば特に限定されず、目的とする配光特性などに応じて適宜設定されうる。各突起の第2傾斜面の角度は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0086】
出射領域654は、発光素子130とは反対側の、第1光束制御部材140側に形成された平面である。出射領域654は、第2光束制御部材650の中心軸CA2と交わるように形成されている。
図17Aに示されるように、出射領域654は、第2光束制御部材650の中心軸CA2を中心とする回転対称面である。出射領域654は、屈折部652から入射した光と、フレネルレンズ部653の第1傾斜面から入射し、第2傾斜面で反射した光とを第1光束制御部材140に向けて出射させる。
【0087】
実施の形態6の光束制御部材に含まれるホルダ660は、実施の形態1の光束制御部材170に含まれるホルダ160と基本的には同一構造である。しかしながら、ホルダ660は、強度および漏れ光の発生の防止を確保できる範囲で肉厚が薄くなっている点でホルダ160と異なる。
図17Dに示されるように、ホルダ660の肉厚は、場所ごとに異なる(実施の形態3のホルダ360と同じである)。また、ホルダ660の下端部には、ホルダ660を基板120に位置決めするための位置決めボス661および位置決め爪662が設けられている。
【0088】
図18は、ホルダ660を基板120上に固定した様子を示す図である。
図18Aは、ホルダ660側から見た斜視図であり、
図18Bは、基板120側から見た斜視図である。これらの図に示されるように、基板120には、4つの貫通孔が設けられている。この4つの貫通孔に、ホルダ660の位置決めボス661および位置決め爪662をそれぞれ嵌め込むことで、ホルダ660は基板120上に固定される。このとき、接着剤を使用してもよいし、使用しなくてもよい。
【0089】
位置決めボス661は、対応する貫通孔に隙間がほとんどない状態で嵌合される。一方、位置決め爪662は、その先端が基板120の裏面に係合するように、対応する貫通孔に嵌合される。位置決めボス661は、基板面に平行な方向の移動を阻止することができる。位置決め爪662は、基板面に垂直な方向の移動を阻止することができる。
【0090】
[効果]
実施の形態6の光束制御部材は、実施の形態1の光束制御部材170よりも軽量でありながら、実施の形態1の光束制御部材170と同様の効果を有する。また、実施の形態6の光束制御部材は、基板120上に容易に固定されうる。
【0091】
(変形例)
なお、実施の形態1〜4,6では、第2光束制御部材とホルダとが一体化されている例について説明したが、第2光束制御部材およびホルダはそれぞれ別個の部材であってもよい。この場合、ホルダに第1光束制御部材を固定する前に、ホルダに第2光束制御部材を固定することが必要である。第2光束制御部材の固定方法は、特に限定されない。たとえば、ホルダの内周面に円周方向に段部を形成し、この段部を利用して第2光束制御部材を固定してもよい。
【0092】
また、実施の形態1〜6では、所定形状の第1光束制御部材を有する光束制御部材について説明したが、第1光束制御部材の形状は、特に限定されない。たとえば、特許文献1に記載のケース14のように、第1光束制御部材の形状は、逆円錐台形状であってもよい(
図1参照)。