(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記相互共振によって前記ターゲット共振器にエネルギーを格納する時間と前記ターゲット共振器に格納されたエネルギーをキャプチャリングする時間を調整することを特徴とする請求項2に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記変調部は、前記少なくとも1つの他のターゲット共振器と前記ソース共振器との間の相互共振の有無に基づいて前記情報を変調することを特徴とする請求項5に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記エネルギー調整部は、能動素子又は受動素子を用いて前記ターゲット共振器のQ−factorが量子化された値を有するように前記ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整することを特徴とする請求項7に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記ターゲット共振器と前記ソース共振器との間の相互共振によって前記ソース共振器から送信されたエネルギーを受信する受信部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記制御部は、前記ターゲット共振器と前記受信したエネルギーが伝達される負荷との電気的な接続を制御することを特徴とする請求項10に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記復調部は、シンボル周期内で前記エネルギーの波形が変化する時点に基づいて前記ターゲット共振器から送信された情報を復調することを特徴とする請求項12に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記復調部は、シンボル周期内で前記エネルギーの大きさに基づいて前記ターゲット共振器から送信された情報を復調することを特徴とする請求項12に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記復調部は、シンボル周期内で前記エネルギーの波形の変化に基づいて前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間の相互共振の有無を判断し、前記相互共振の有無に基づいて前記ターゲット共振器から送信された情報を復調することを特徴とする請求項12に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記エネルギー調整部は、能動素子又は受動素子を用いて前記ソース共振器で消耗されるエネルギー量を調整することを特徴とする請求項18に記載の無線電力を用いる通信装置。
前記第2制御部は、前記ターゲット共振器と前記ソース共振器との間の相互共振する時間を調整することを特徴とする請求項20に記載の無線電力を用いる通信システム。
前記エネルギー調整部は、能動素子又は受動素子を用いて前記ターゲット共振器のQ−factorが量子化された値を有するように前記ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整することを特徴とする請求項22に記載の無線電力を用いる通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、無線電力受信端(RX)から無線電力送信端(TX)に情報を送信するために相互共振を使用し、無線電力受信端が相互共振する時間を調整することによって全二重(full duplex)方式の通信を行う装置及び方法並びにシステムを提供することにある。
また、本発明の目的は、無線電力受信端が無線電力を受信し、無線電力送信端で送信情報を受信するターゲット共振器と、無線電力送信端に情報を送信する別途のターゲット共振器を用いることによって全二重方式の通信を行う装置及び方法並びにシステムを提供することにある。
また、本発明の目的は、無線電力受信端がターゲット共振器で消耗されるエネルギーを調整してターゲット共振器のQ値を調整することによって全二重方式の通信を行う装置及び方法並びにシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による無線電力を用いる通信装置は、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振方式を制御する制御部と、前記ソース共振器から受信するエネルギー量に基づいて前記ソース共振器から送信された情報を復調する復調部と、前記相互共振方式に基づいて情報を変調する変調部と、を備える。
【0005】
前記制御部は、前記ターゲット共振器と前記ソース共振器との間の相互共振する時間を調整し得る。
前記制御部は、前記相互共振によって前記ターゲット共振器にエネルギーを格納する時間と前記ターゲット共振器に格納されたエネルギーをキャプチャリングする時間を調整し得る。
前記変調部は、前記相互共振する時間に基づいて前記情報を変調し得る。
前記制御部は、前記ターゲット共振器が前記ソース共振器から送信されたエネルギーをシンボル周期毎に相互共振によって受信するように前記ターゲット共振器を制御し、前記ターゲット共振器と区別される少なくとも1つの他のターゲット共振器が前記ソース共振器と相互共振する場合を決定し得る。
前記変調部は、前記少なくとも1つの他のターゲット共振器と前記ソース共振器との間の相互共振の有無に基づいて前記情報を変調し得る。
前記無線電力を用いる通信装置は、前記ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整するエネルギー調整部を更に備えてもよく、前記制御部は、前記ターゲット共振器と前記ソース共振器との間で相互共振を行うように前記ターゲット共振器の共振周波数を制御し得る。
前記エネルギー調整部は、能動素子又は受動素子を用いて前記ターゲット共振器のQ−factorが量子化された値を有するように前記ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整し得る。
前記変調部は、前記消耗されるエネルギー量に基づいて前記情報を変調し得る。
前記無線電力を用いる通信装置は、前記ターゲット共振器と前記ソース共振器との間の相互共振によって前記ソース共振器から送信されたエネルギーを受信する受信部を更に備えてもよい。
前記制御部は、前記ターゲット共振器と前記受信したエネルギーが伝達される負荷との電気的な接続を制御し得る。
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様による無線電力を用いる通信装置は、ソース共振器に格納されたエネルギー量に基づいて情報を変調する変調部と、前記ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によって前記ソース共振器に格納されたエネルギーの波形の変化に基づいて前記ターゲット共振器から送信された情報を復調する復調部と、電力供給装置から前記ソース共振器に伝達するエネルギー量を調整する制御部と、を備える。
【0007】
前記復調部は、シンボル周期内で前記エネルギーの波形が変化する時点に基づいて前記ターゲット共振器から送信された情報を復調し得る。
前記復調部は、シンボル周期内で前記エネルギーの大きさに基づいて前記ターゲット共振器から送信された情報を復調し得る。
前記復調部は、シンボル周期内で前記エネルギーの波形の変化に基づいて前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間の相互共振の有無を判断し、前記相互共振の有無に基づいて前記ターゲット共振器から送信された情報を復調し得る。
前記制御部は、前記電力供給装置と前記ソース共振器との電気的な接続を制御し得る。
前記無線電力を用いる通信装置は、前記相互共振によって前記ソース共振器に格納されたエネルギーを送信する送信部を更に備えてもよい。
前記無線電力を用いる通信装置は、前記ソース共振器で消耗されるエネルギー量を調整するエネルギー調整部を更に備えてもよい。
前記エネルギー調整部は、能動素子又は受動素子を用いて前記ソース共振器で消耗されるエネルギー量を調整し得る。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による無線電力を用いる通信システムは、ソース共振器に格納されたエネルギー量に基づいて情報を変調する第1変調部と、前記ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によって前記ソース共振器に格納されたエネルギーの波形の変化に基づいて前記ターゲット共振器から送信された情報を復調する第1復調部と、電力供給装置から前記ソース共振器に伝達するエネルギー量を調整する第1制御部と、前記ターゲット共振器と前記ソース共振器との間の相互共振方式を制御する第2制御部と、前記ソース共振器から受信するエネルギー量に基づいて前記ソース共振器から送信された情報を復調する第2復調部と、前記相互共振方式に基づいて情報を変調する第2変調部と、を備える。
【0009】
前記第2制御部は、前記ターゲット共振器と前記ソース共振器との間の相互共振する時間を調整し得る。
前記無線電力を用いる通信システムは、前記ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整するエネルギー調整部を更に備えてもよく、前記第2制御部は、前記ターゲット共振器と前記ソース共振器との間で相互共振を行うように前記ターゲット共振器の共振周波数を制御し得る。
前記エネルギー調整部は、能動素子又は受動素子を用いて前記ターゲット共振器のQ−factorが量子化された値を有するように前記ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整し得る。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による無線電力を用いる通信方法は、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振方式を制御するステップと、前記ソース共振器から受信するエネルギー量に基づいて前記ソース共振器から送信された情報を復調するステップと、前記相互共振方式に基づいて情報を変調するステップと、を有する。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様による無線電力を用いる通信方法は、ソース共振器に格納されたエネルギー量に基づいて情報を変調するステップと、前記ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によって前記ソース共振器に格納されたエネルギーの波形の変化に基づいて前記ターゲット共振器から送信された情報を復調するステップと、電力供給装置から前記ソース共振器に伝達するエネルギー量を調整するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、無線電力受信端(RX)から無線電力送信端(TX)に情報を送信するために相互共振を使用して相互共振する時間を調整する。無線電力受信端は、相互共振する時間を調整することによって全二重方式の通信を行うことができる。
また、本発明によると、無線電力受信端が無線電力を受信し、無線電力送信端で送信情報を受信するターゲット共振器と、無線電力送信端に情報を送信する別途のターゲット共振器を用いることによって全二重方式の通信を行うことができる。
また、本発明によると、無線電力受信端がターゲット共振器で消耗されるエネルギーを調整してターゲット共振器のQ値を調整することによって全二重方式の通信を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
本発明の無線電力を用いる通信システムは、無線電力伝送を必要とする多様なシステムに応用される。例えば、携帯電話や無線テレビなど、無線電力伝送を用いるシステムで送受信端間の制御情報及び他の情報交換に利用される。また、バイオヘルスケア分野に応用可能であり、人体に挿入されたデバイスに遠隔で電力を伝送したり、心拍数を測定するための包帯タイプのデバイスに無線で電力を伝送したりするために応用され得る。
【0016】
また、本発明の無線電力を用いる通信システムは、電源ソースのない情報格納装置の遠隔制御にも応用され得る。更に、本発明の無線電力を用いる通信システムは、情報格納装置に遠隔で装置を駆動する電力を供給すると同時に、無線で格納装置に格納された情報を呼び出すシステムに応用され得る。
【0017】
無線電力を用いる通信システムは、信号を発生するために、電源供給装置からエネルギーをソース共振器に格納し、電源供給装置とソース共振器を電気的に接続するスイッチをオフすることで、ソース共振器自体の共振を誘導することができる。自体の共振周波数を有するソース共振器と、相互共振を行うほど十分に近い距離にソース共振器の共振周波数と同じ共振周波数を有するターゲット共振器とが存在する場合、ソース共振器とターゲット共振器との間に相互共振現象が発生する。ソース共振器は電源供給装置からエネルギーが供給される共振器を意味し、ターゲット共振器は相互共振現象によってエネルギーが伝達される共振器を意味する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による電力入力部と電力送信部、受信部と電力出力部がキャパシタ及びスイッチによって物理的に分離される無線電力を用いる通信システムの等価回路を示す図である。
【0019】
図1を参照すると、無線電力を用いる通信システムは、ソースとターゲットで構成されるソース−ターゲット構造である。無線電力を用いる通信システムは、ソースに該当する無線電力伝送装置とターゲットに該当する無線電力受信装置を備える。
【0020】
無線電力伝送装置は、電力入力部110、電力送信部120、及びスイッチ部130を備えている。電力入力部110は、電源供給装置を用いてキャパシタにエネルギーを格納する。スイッチ部130は、キャパシタにエネルギーが格納される間に電力入力部110にキャパシタを接続し、キャパシタに格納されたエネルギーを放電する間に電力入力部110に接続されたキャパシタを電力送信部120に接続する。スイッチ部130は、キャパシタが同時に電力入力部110及び電力送信部120に接続されないようにする。
【0021】
電力送信部120は、電磁気(electromagnetic)エネルギーを受信部140に伝達する。より具体的に、電力送信部120の送信コイルL
1は受信部130の受信コイルL
2との相互共振によって電力を伝達する。送信コイルL
1と受信コイルL
2との間に発生する相互共振の程度は相互インダクタンスMの影響を受ける。
【0022】
電力入力部110は入力電圧V
DC、内部抵抗R
in、及びキャパシタC
1に、電力送信部120は電力送信部120に対応する物理的な性質を反映する基礎回路素子R
1、L
1、C
1に、スイッチ部130は複数のスイッチにモデリングされる。スイッチとして、オン/オフ機能を行うことのできる能動素子が用いられる。Rは抵抗成分、Lはインダクター成分、Cはキャパシタ成分を意味する。入力電圧V
DCのうち、キャパシタC
1に負荷される電圧をV
inのように表示する。
【0023】
無線電力受信装置は、受信部140、電力出力部150、及びスイッチ部160を備える。受信部140は、電力送信部120から電磁気エネルギーを受信する。受信部140は、受信した電磁気エネルギーを、接続されたキャパシタに格納する。スイッチ部160は、キャパシタにエネルギーが格納される間に、受信部140にキャパシタを接続し、キャパシタに格納されたエネルギーを負荷に伝達する間に、受信部140に接続されたキャパシタを電力出力部150に接続する。スイッチ部160は、キャパシタが同時に受信部140及び電力出力部150に接続されないようにする。
【0024】
具体的に、受信部140の受信コイルL
2は、電力送信部120の送信コイルL
1との相互共振によって電力を受信する。受信した電力によって、受信コイルL
2に接続されたキャパシタが充電される。電力出力部150は、キャパシタに充電された電力をバッテリに伝達する。電力出力部150は、バッテリの代わりに負荷又はターゲットデバイスに電力を伝達してもよい。
【0025】
受信部140は受信部140に対応する物理的な性質を基礎回路素子R
2、L
2、C
2に、電力出力部150は接続されるキャパシタC
2及びバッテリに、スイッチ部160は複数のスイッチにモデリングされる。受信コイルL
2で受信するエネルギーのうち、キャパシタC
2に負荷される電圧をV
outのように表示する。
【0026】
上述のように電力入力部110と電力送信部120、受信部140と電力出力部150を物理的に分離して電力を伝送するいわゆるRI(Resonator Isolation)システムは、インピーダンスマッチングを用いた従来の方式に比べて様々な長所を有する。第1に、DC電源からソース共振器に直接電力を供給することが可能であるため、電力増幅器を使用しなくてもよい。第2に、受信端のキャパシタに充電された電力でエネルギーをキャプチャーするため、整流器を通した整流作業を必要としない。第3に、インピーダンスマッチングを行う必要がないことから、送信効率が送信端と受信端との間の距離変化に敏感ではない。また、複数の送信端及び複数の受信端を備える無線電力伝送システムにおける拡張が容易である。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態による電力充電部と送信部、充電部と電力出力部がスイッチによって物理的に分離される無線電力を用いる通信システムの等価回路を示す図である。
【0028】
図2を参照すると、無線電力を用いる通信システムは、ソースとターゲットで構成されるソース−ターゲット構造である。即ち、無線電力を用いる通信システムは、ソースに該当する無線電力伝送装置とターゲットに該当する無線電力受信装置を備えている。
【0029】
無線電力伝送装置は、電力充電部210、制御部220、及び送信部230を備えている。電力充電部210は、電源供給装置V
inと抵抗R
inから構成される。ソース共振器は、キャパシタC
1とインダクターL
1から構成される。送信部230は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によってソース共振器に格納されたエネルギーを送信する。制御部220は、電力充電部210からソース共振器に電力を供給するためにスイッチをオンする。電源供給装置V
inからキャパシタC
1に電圧が印加され、インダクターL
1に電流が印加される。定常状態になると、キャパシタC
1に印加される電圧は0になり、インダクターL
1に流れる電流はV
in/R
inの値を有するようになる。定常状態においてインダクターL
1には印加される電流によって電力が充電される。
【0030】
制御部220は、定常状態でソース共振器に充電された電力が所定値に達すると、スイッチをオフする。所定値に関する情報は制御部220に設定される。電力充電部210と送信部230は分離され、ここで、ソース共振器は、キャパシタC
1とインダクターL
1との間で自己共振する。相互インダクタンスM270を考慮するソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によって、ソース共振器に格納されたエネルギーはターゲット共振器に伝えられる。ここで、ソース共振器の共振周波数f
1とターゲット共振器の共振周波数f
2は同一である。
【0033】
無線電力受信装置は、充電部240、制御部250、及び電力出力部260を備える。ターゲット共振器は、キャパシタC
2とインダクターL
2から構成される。ソース共振器とターゲット共振器との間で相互共振する際、ソース共振器は電源供給装置V
inから分離され、ターゲット共振器は負荷(LOAD)及びキャパシタC
Lから分離される。ターゲット共振器のキャパシタC
2とインダクターL
2は相互共振によって電力を充電する。制御部250は、ターゲット共振器に電力を充電するためにスイッチをオフする。スイッチがオフの間に、ターゲット共振器の共振周波数とソース共振器の共振周波数は一致して相互共振が発生する。制御部250は、ターゲット共振器に充電された電力が所定値に達すると、スイッチをオンする。所定値に関する情報は制御部250に設定される。スイッチがオンされると、キャパシタ
CLが接続されてターゲット共振器の共振周波数は変更される。
【0035】
従って、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振が終了する。より詳しくは、ターゲット共振器のQ値を考慮すると、f2’のQ値がf2のQ値よりも小さいと、相互共振チャネルは消滅する。また、電力出力部260は、キャパシタC
2とインダクターL
2に充電された電力を負荷に伝達する。電力出力部260は負荷の必要に適する方式に基づいて電力を伝達する。
【0036】
制御部250は、ターゲット共振器に充電された電力が所定の値に満たない場合、スイッチをオフする。充電部240は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によって再びターゲット共振器に電力を充電する。
【0037】
ソース共振器とターゲット共振器との間に相互共振が発生するときは、スイッチが接続されない。従って、スイッチの接続による送信効率の減少を予防することができる。
【0038】
図1に示す場合と比較すると、キャパシタに充電されたエネルギーを伝達する方式に比べて、ターゲット共振器に格納されたエネルギーのキャプチャー時点を制御することがより容易である。キャパシタに充電されたエネルギーを伝達する方式は、キャパシタに充電されたエネルギーのみをキャプチャーすることができるが、共振周波数を変更してエネルギーをキャプチャーする方式は、ターゲット共振器のインダクター及びキャパシタに格納されたエネルギーをキャプチャーするため、エネルギーのキャプチャー時点に対する自由度が向上する。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態による無線電力を用いる通信装置のブロック図である。
【0040】
無線電力を用いる通信システムは、ソースとターゲットで構成されるソース−ターゲット構造である。ソースは送信端に対応し、ターゲットは受信端に対応する。
【0041】
ソースは、ソース共振器に格納するエネルギー量を調整してデータを送信する。このように共振器に格納されたエネルギー量を調整してデータ送信する方式を誘導エネルギー変調(IE modulation、Induced Energy modulation)方式という。誘導エネルギー変調方式は、ソースとターゲットの全てが全二重方式をサポートするという点で利点があるが、ソースとターゲットとの間の距離が遠くなるにつれてエネルギーの送信効率は急激に落ちる。また、ソースとターゲットとの間の距離が遠くなるにつれて、相互共振によってソース共振器とターゲット共振器に格納されたエネルギーが完全放電されないことから、データの受信性能が落ちる。
【0042】
ソースはターゲットにデータを送信することにおいて誘導エネルギー変調方式を使用し、ターゲットはソースにデータを送信することにおいてソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振の有無を用いる。このような方式は、ターゲットでデータを送信するために追加的なエネルギーを必要とせず、誘導エネルギー変調方式に比べて遠距離でもデータ送信が可能である。しかし、相互共振の発生しないシンボル区間ではターゲットがソースからエネルギーを受信することができないため、データの送信と受信を同時にする全二重通信を行うことができない。
【0043】
図3を参照すると、本実施形態による無線電力を用いる通信装置は、受信部310、制御部330、変調部340、及び復調部350を備える。
図3に示す無線電力を用いる通信装置はエネルギーを受信する受信端に対応する。
【0044】
受信部310は、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振によってソース共振器から送信されたエネルギーを受信する。送信端は、ソース共振器に格納されるエネルギー量を調整して情報を送信する。復調部350は、シンボル周期単位に受信部310で受信したエネルギー量に基づいて、ソース共振器から送信された情報を復調する。受信部310は、ターゲット共振器を介して制御部330で決定された相互共振方式に基づいて相互共振を行う。
【0045】
制御部330は、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振方式を制御する。制御部330は、ターゲット共振器とソース共振器との間のシンボル周期単位に相互共振する時間を調整する。より具体的には、制御部330は、シンボル周期内で、相互共振によってターゲット共振器にエネルギーを格納する時間とターゲット共振器に格納されたエネルギーをキャプチャリングする時間を調整する。変調部340は、相互共振する時間に基づいて情報を変調する。変調部340は、相互共振する時間の長さ(長短)に応じて情報を割り当てて情報を変調する。相互共振する時間は多様に調整可能であり、受信端は1つのシンボル周期で1ビット以上の情報を伝達する。
【0046】
制御部330は、複数のターゲット共振器を用いてソース共振器との相互共振方式を制御する。制御部330は、1つのターゲット共振器がソース共振器と継続して相互共振することで、ソース共振器からエネルギーを受信するように1つのターゲット共振器を制御する。制御部330は、他のターゲット共振器が相互共振の有無に応じてソース共振器に情報を伝達するように、ソース共振器と相互共振する場合を決定する。即ち、制御部330は、1つのターゲット共振器が持続的にソース共振器からエネルギー及び情報を受信するようにし、他のターゲット共振器がソース共振器に情報を送信するようにターゲット共振器を制御する。ここで、変調部340は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振の有無に基づいて情報を変調する。複数のターゲット共振器のうち、ソース共振器に情報送信のために指定されたターゲット共振器を用いて情報を変調する。
【0047】
無線電力を用いる通信装置はエネルギー調整部320を備える。エネルギー調整部320は、ターゲット共振器で抵抗成分によって消耗されるエネルギー量を調整する。エネルギー調整部320は、能動素子又は受動素子を用いて、ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整する。
【0048】
能動素子は、ターゲット共振器に追加的にエネルギーを提供する。エネルギー調整部320は、能動素子を用いることによって、追加的に提供されるエネルギーを介してターゲット共振器で消耗されるエネルギーを補償する。結果的にターゲット共振器で消耗されるエネルギー量は減少する。
【0049】
受動素子は、ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を増加させる。エネルギー調整部320は、受動素子を用いることによってターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を増加させる。
【0050】
抵抗成分はターゲット共振器の内部抵抗を含む。能動素子はトランジスタ、演算増幅器、ダイオードなどを備える。受動素子は抵抗などを含む。ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量の調整によってターゲット共振器の有効抵抗の成分は変化する。ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量が大きいと、有効抵抗の成分も大きい。ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量が小さいと、有効抵抗の成分も小さい。
【0051】
ターゲット共振器のQ−factor(Quality factor:Q値)は抵抗の大きさに反比例するため、有効抵抗の成分が小さくなることによってQ−factorは大きくなる。また、有効抵抗の成分が大きくなると、Q−factorは小さくなる。
【0052】
エネルギー調整部320は、ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整してQ−factorを量子化する。ここで、制御部330は、ターゲット共振器とソース共振器が持続的に相互共振するようにターゲット共振器の共振周波数をソース共振器の共振周波数と一致させる。変調部340は、ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量に基づいて情報を変調する。例えば、変調部340は、量子化されたQ−factorに基づいて情報を変調する。
【0053】
制御部330は、ターゲット共振器と負荷の電気的な接続を制御する。ターゲット共振器に格納されたエネルギーは負荷に伝えられる。例えば、制御部330は、ターゲット共振器がソース共振器と相互共振する間に負荷との電気的な接続を開放し、ターゲット共振器に格納されたエネルギーを負荷に伝達する間に電気的な接続を短絡する。ここで、制御部330は、スイッチを用いて電気的な接続を開放又は短絡する。制御部330は、ターゲット共振器と負荷との電気的な接続を制御することでRI(Resonator Isolation)システムを構築する。
【0054】
図4は、本発明の他の実施形態による無線電力を用いる通信装置のブロック図である。
【0055】
図4を参照すると、本実施形態による無線電力を用いる通信装置は、変調部410、復調部420、制御部430、及び送信部440を備える。
図4に示す無線電力を用いる通信装置はエネルギーを送信する送信端に対応する。
【0056】
送信部440は、相互共振によってソース共振器に格納されたエネルギーを送信する。ソース共振器に格納されたエネルギーの量だけ送信部440はエネルギーを送信するため、送信部440はエネルギー量に応じて割り当てられた情報を送信する。
【0057】
変調部410は、ソース共振器に格納されたエネルギー量に基づいて情報を変調する。ソース共振器は電力供給装置からエネルギーの伝達を受ける。変調部410は、量子化されたエネルギーのレベルに応じて情報を割り当てて変調する。
【0058】
制御部430は、電力供給装置からソース共振器に伝達するエネルギー量を調整する。制御部430は、送信しようとする情報によってソース共振器に伝達するエネルギー量を調整する。また、制御部430は、電力供給装置とソース共振器の電気的な接続を制御する。例えば、制御部430は、ソース共振器がターゲット共振器と相互共振する間に、電力供給装置とソース共振器との間の電気的な接続を開放し、電力供給装置からソース共振器にエネルギーを伝達する間に電気的な接続を短絡する。ここで、制御部430は、スイッチを用いて電気的な接続を開放又は短絡する。制御部430は、電力供給装置とソース共振器の電気的な接続を制御することによってRI(Resonator Isolation)システムを構築する。
【0059】
復調部420は、ソース共振器に格納されたエネルギーの波形の変化に基づいて、ターゲット共振器から送信された情報を復調する。受信端は、相互共振時間を調整してソース共振器とターゲット共振器との間で相互共振する。相互共振時間が一定でない場合、ソース共振器に格納されたエネルギーの波形が変化する時点も変化する。復調部420は、シンボル周期内で、エネルギーの波形が変化する時点に基づいて、ターゲット共振器から送信された情報を復調する。
【0060】
復調部420は、シンボル周期内で、エネルギーの波形の変化に基づいて相互共振の有無を判断し、相互共振の有無に基づいて、ターゲット共振器から送信された情報を復調する。ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振の有無に応じて、ソース共振器に格納されたエネルギーの波形の形状に変化が発生する。復調部420は、この形状の変化に基づいて相互共振の可否を判断して情報を復調する。
【0061】
復調部420は、シンボル周期内で、ソース共振器に格納されたエネルギーの大きさに基づいて、ターゲット共振器から送信された情報を復調する。受信端はターゲット共振器のQ−factorを調整してデータを送信する。ターゲット共振器のQ−factorによって、ソース共振器に格納されたエネルギーの大きさも変化する。復調部420は、ソース共振器に格納されたエネルギーの大きさの変化に応じて、ターゲット共振器から送信された情報を復調する。ここで、一定以上の大きさの変化が行われた場合に、送信された情報を区別する。
【0062】
本実施形態による無線電力を用いる通信装置はエネルギー調整部450を備える。エネルギー調整部450は、ソース共振器で抵抗成分によって消耗されるエネルギー量を調整する。エネルギー調整部450は、能動素子又は受動素子を用いてソース共振器で消耗されるエネルギー量を調整する。
【0063】
能動素子は、ソース共振器に追加的にエネルギーを提供する。エネルギー調整部450は、能動素子を用いることで追加的に提供されるエネルギーによって、ソース共振器で消耗されるエネルギーを補償する。結果的に、ソース共振器で消耗されるエネルギー量は減少する。
【0064】
受動素子は、ソース共振器で消耗されるエネルギー量を増加させる。エネルギー調整部450は、受動素子を用いることによってソース共振器で消耗されるエネルギー量を増加させる。
【0065】
抵抗成分はソース共振器の内部抵抗及び放射抵抗を含む。放射抵抗はソース共振器で電力が放射されるときに発生する抵抗成分として、ソース共振器で電力が放射される際の等価回路で表示されるインピーダンスの実数部に該当する。能動素子はトランジスタ、演算増幅器、ダイオードなどを備える。受動素子は抵抗などを含む。ソース共振器で消耗されるエネルギー量の調整によってソース共振器の有効抵抗の成分は変化する。ソース共振器で消耗されるエネルギー量が大きいと、有効抵抗の成分も大きい。ソース共振器で消耗されるエネルギー量が小さいと、有効抵抗の成分も小さい。
【0066】
ソース共振器のQ−factorは抵抗の大きさに反比例するため、有効抵抗の成分が小さくなることによってQ−factorは大きくなる。また、有効抵抗の成分が大きくなると、Q−factorは小さくなる。
【0067】
Q−factorが大きくなることによってソース共振器とターゲット共振器との間で強く相互共振する距離は増加する。強い相互共振によって送信端と受信端との間のデータ送信性能が向上する。
【0068】
図5は、本発明の一実施形態による無線電力を用いる通信システムのブロック図である。
【0069】
図5を参照すると、本実施形態による無線電力を用いる通信システムは送信端と受信端を含む。送信端は、変調部505、復調部510、制御部515、送信部520、及びエネルギー調整部525を備える。受信端は、受信部530、エネルギー調整部535、制御部540、変調部545、及び復調部550を備える。
【0070】
送信端で、変調部505は、ソース共振器に格納されたエネルギー量に基づいて情報を変調する。送信部520は、ソース共振器に格納されたエネルギーを相互共振によってターゲット共振器に送信する。エネルギー調整部525は、ソース共振器で消耗されるエネルギー量を調整する。エネルギー調整部525は、ソース共振器のQ−factorが所定の値以上になるように能動素子を用いて、ソース共振器で消耗されるエネルギーを補償する。或いは、エネルギー調整部525は、ソース共振器のQ−factorが所定の値未満になるように、受動素子を用いてソース共振器で消耗されるエネルギーを増加させる。
【0071】
制御部515は、ソース共振器と電力供給装置の電気的な接続を制御する。制御部515は、ソース共振器に格納されるエネルギー量を調整する。復調部510は、ソース共振器に格納されたエネルギーの波形を検出してエネルギーの波形の変化を算出する。復調部510は、波形の変化に基づいて、ターゲット共振器が送信した情報を復調する。波形の変化には、波形が変化する時点の変化、波形の形の変化、波形の大きさの変化を含む。
【0072】
受信端で、受信部530は、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振によってソース共振器から送信されたエネルギーを受信する。復調部550は、受信部530で受信するエネルギー量に基づいて、ソース共振器が送信した情報を復調する。
【0073】
エネルギー調整部535は、ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整する。エネルギー調整部535は、ターゲット共振器のQ−factorが量子化された値を有するように、能動素子又は受動素子を用いて、ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整する。制御部540は、シンボル周期単位で、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振する時間を調整する。
【0074】
制御部540は、ターゲット共振器と負荷の電気的な接続を制御する。制御部540はターゲット共振器の共振周波数を変更してもよい。制御部540は、シンボル周期単位で、1つのターゲット共振器が継続して相互共振を行い、他のターゲット共振器がソース共振器と相互共振する場合を制御する。
【0075】
変調部545は、ターゲット共振器とソース共振器との間の相互共振方式に基づいて情報を変調する。変調部545は、相互共振する時間によって情報を変調してもよい。変調部545は、量子化されたQ−factorに基づいて情報を変調してもよい。変調部545は、相互共振の有無に基づいて情報を変調してもよい。
【0076】
図6は、本発明の一実施形態による無線電力を用いる通信システムの送信端で送信したデータ及び受信端で受信したデータを示すグラフである。
【0077】
図6を参照すると、送信端T
xはソース共振器に格納されるエネルギーを調整して情報を送信し、受信端R
xはターゲット共振器に格納されるエネルギーにより情報を受信する。
【0078】
送受信端間には予め約束されたn+1個のエネルギーレベルがあり、それぞれのエネルギーレベルには情報が割り当てられている。送信端では1つのシンボル周期でlog(n+1)ビットの情報を送信する。
【0079】
ソース共振器に格納されたエネルギーは、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によってターゲット共振器に伝えられる。T
sはソース共振器が相互共振の準備のために必要な時間であり、
図1に示すソース共振器にキャパシタが接続されるために必要な時間、
図2に示す電源供給装置とソース共振器を接続するスイッチがオフするために必要な時間を意味する。T
p−T
f時間の間にソース共振器に格納されたエネルギーはターゲット共振器に全て伝えられる。T
p−T
f時点で、受信端R
xは、ターゲット共振器の相互共振を終了し、ターゲット共振器に格納されたエネルギーに基づいて、受信した情報を復調する。
【0080】
図7は、本発明の一実施形態による無線電力を用いる通信システムの受信端で相互共振時間を調整して情報を送信する過程を示す図である。
【0081】
SW1は、送信端(TX端)において電力供給装置とソース共振器を接続するスイッチである。SW1がオン(ON)の場合にソース共振器にエネルギーの充電が行われ、オフ(OFF)の場合にソース共振器に格納されたエネルギーが放電される。ソース共振器で充電及び放電されるサイクルを1つのシンボル周期とする。
【0082】
SW2は、受信端(RX端)において相互共振の有無を決定するスイッチである。SW2は、ターゲット共振器にターゲット共振器の共振周波数を変更させるキャパシタを接続する。SW2がオフ(OFF)の場合に、ターゲット共振器はソース共振器と相互共振する。相互共振する区間710において、ターゲット共振器はソース共振器から送信されたエネルギーを受信する。SW2がオン(ON)の場合に、ターゲット共振器は相互共振を止め、ターゲット共振器に格納されたエネルギーはキャプチャリングされる。キャプチャリング区間730において、キャプチャリングされたエネルギーは負荷に伝えられる。受信端で、無線電力を用いる通信装置は、相互共振する区間710を、相互共振時間を調整する区間720のように調整する。受信端はSW2のON/OFF周期を調整して相互共振区間を調整する。即ち、相互共振する時間が長くなることも短くなることもある。相互共振する時間に応じてソース共振器に印加される信号の波形に変化が発生する。送信端は、ソース共振器に印加される信号の波形を解釈し、受信端で、送信した情報を復調する。受信端は、同一のシンボル周期内で、相互共振によってターゲット共振器に格納されたエネルギー量に応じて、送信端で送信した情報を復調し、相互共振する時間を調整して情報を変調することができるため、全二重方式の通信を行うことができる。
【0083】
1つのシンボル周期で相互共振する区間の長さは様々であるため、受信端は1つのシンボル周期で1ビット以上の情報を送信することができる。
【0084】
送信端は、1つのシンボル周期でスイッチ(SW1)を制御し、充電と放電を行う。ここで、受信端はスイッチ(SW2)を制御して相互共振の有無及び相互共振する区間の長さを決定する。受信端は、送信端の放電時点の前に、送信端と受信端の相互共振タイムを同期化するために必要なマージン(Synch.Margin)を確保する。
【0085】
図8は、本発明の一実施形態による無線電力を用いる通信システムの受信端で相互共振時間を調整することによってソース共振器に印加された信号の波形を示すグラフである。
【0086】
図8を参照すると、ソース共振器とターゲット共振器が強く相互結合した場合(Strongly Couple)、ソース共振器に印加された信号の波形について説明すると、キャプチャリングポイント1でキャプチャリングされた信号810とキャプチャリングポイント2でキャプチャリングされた信号820の波形にはその差がある。キャプチャリングが行わると、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振は終了するため、ソース共振器に印加される信号は小さい値を有することになる。受信端では、相互共振時間の調整、他の表現としてキャプチャリングポイントの調整によって情報を変調する。送信端では、シンボル周期内でキャプチャリングポイントを区別することによって、受信端で送信した情報を復調する。
【0087】
図8を参照すると、ソース共振器とターゲット共振器が弱く相互結合した場合(Weakly Couple)、ソース共振器に印加された信号の波形について説明すると、キャプチャリングポイント1でキャプチャリングされた信号830とキャプチャリングポイント2でキャプチャリングされた信号840の波形にはその差がある。受信端では、相互共振時間の調整、他の表現としてキャプチャリングポイントの調整によって情報を変調する。弱く相互結合した場合には波形の差が大きくないものの、送信端では、シンボル周期内でキャプチャリングポイントを区別することによって、受信端で送信した情報を復調することができる。
【0088】
図9は、本発明の一実施形態による無線電力を用いる通信システムの受信端で2つのターゲット共振器を用いて全二重を実現する等価回路を示す図である。
【0089】
送信端910は、スイッチSW1の制御によって電力供給装置V
inからソース共振器C1、L1にエネルギーを格納する。スイッチSW1が開放されると、ソース共振器C1、L1は自己共振する。受信端920が相互共振の可能な距離に位置すると、送信端910は受信端920と相互共振を行う。
【0090】
受信端920は、2つのターゲット共振器921、923を備える。ここで、ターゲット共振器が2つの場合を説明するが、それ以上のターゲット共振器を用いてもよい。スイッチSW21が開放されると、ターゲット共振器921はソース共振器C1、L1と相互共振を行う。スイッチSW22が開放されると、ターゲット共振器923はソース共振器C1、L1と相互共振を行う。スイッチSW21が短絡されると、相互共振は終了し、ターゲット共振器921に格納されたエネルギーはキャプチャリングされて負荷(LOAD)に伝えられる。スイッチSW22が短絡されると、相互共振は終了し、ターゲット共振器923に格納されたエネルギーはキャプチャリングされて負荷(LOAD)に伝えられる。
【0091】
受信端920は、ターゲット共振器921が継続して相互共振を行うようにスイッチSW21を開放する。従って、ターゲット共振器921にはエネルギーが続いて格納される。受信端920はターゲット共振器923がソース共振器C1、L1と相互共振する場合を決定する。受信端920は、ターゲット共振器923とソース共振器C1、L1との間の相互共振の有無に応じて情報を変調する。ターゲット共振器923は受信端920の情報の送信を担当する。即ち、ターゲット共振器921は送信端910からエネルギー及び情報を受信し、ターゲット共振器923は送信端910からエネルギーの受信及び送信端910への情報を送信する。
【0092】
受信端920は、同一のシンボル内で、ターゲット共振器921を介して情報を受信し、ターゲット共振器923を介して情報を送信することで、全二重方式で通信を行うことができる。
【0093】
図10は、本発明の一実施形態による無線電力を用いる通信システムにおける2つのターゲット共振器を用いる場合の各ターゲット共振器の動作を示す図である。
【0094】
送信端は、1つのシンボル周期でスイッチSW1を制御して充電と放電を行う。ここで、受信端は、第1ターゲット共振器のスイッチSW21を制御して、第1ターゲット共振器がソース共振器と相互共振1010を行い、ターゲット共振器に格納されたエネルギーをキャプチャリング1020する。
【0095】
受信端は、送信端の放電時点の前に、送信端と受信端の相互共振タイムを同期化するために必要なマージン(Synch.Margin)を確保する。
【0096】
受信端は、第2ターゲット共振器のスイッチSW22を制御して相互共振1030及びキャプチャリング1040を行う。キャプチャリング1040の区間は2番目のシンボル区間でも持続し、2番目のシンボル区間では相互共振が発生しない。
【0097】
第1ターゲット共振器は、シンボル周期毎に同一の動作を繰り返すことによって、ソース共振器からエネルギー及び情報を受信する。受信端は、第2ターゲット共振器に対してシンボル周期毎に相互共振を行わない場合を設定することで、受信端の情報をソース共振器に送信する。
【0098】
図11は、本発明の一実施形態による無線電力を用いる通信システムにおける負の抵抗を用いる等価回路を示す図である。
【0099】
DCソースからエネルギーを充電し、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振現象を用いて信号を伝達するRI(Resonator Isolation)システムは、共振器間の物理的な距離に応じて強い相互結合と弱い相互結合の二種類の共振現象を有する。2つの共振器が相互共振する際、それぞれの共振器で消耗されるエネルギーの比率を示す値がQ−factor(Q値)である。Q値は格納されたエネルギー/消耗されたエネルギーの比率で算出される。Q値は各共振器に格納されたエネルギーと消耗されるエネルギーの比率である。従って、Q値が大きいほど共振器で消耗されるエネルギー量が少ないことが分かる。
【0100】
ソース共振器とターゲット共振器との間の相互結合係数(coupling coefficient、k)が次の値よりも大きければ、2つの共振器は強い相互結合を行い、そうでなければ弱い相互結合を行う。
【0102】
ここで、k
spは強い相互結合と弱い相互結合の基準となる相互結合係数を意味し、Q
1はソース共振器のQ値、Q
2はターゲット共振器のQ値を意味する。例えば、ソース共振器とターゲット共振器の全てのQ値が100である場合、kが0.01よりも大きいと、2つの共振器は強い相互結合を行い、0.01よりも小さいと、2つの共振器は弱い相互結合を行う。Q値が大きいほど小さいk値は強く相互結合する。一般的にk値はソース共振器とターゲット共振器との間の距離の三乗に反比例することが知られている。従って、Q値が大きいほど遠距離でも強い相互結合を行う。
【0103】
図11を参照すると、等価回路は送信端1110と受信端1120を含む。送信端1110において三角形に形状化された部分は能動素子1111である。また、受信端1120において三角形に形状化された部分は能動素子1121である。能動素子は、ソース共振器で抵抗成分によって消耗されるエネルギーを補償することによってソース共振器のQ値を増加させる。Q値は次の関係式を有する。ここで、Rは共振器の抵抗成分、Lは共振器のインダクター成分、Cは共振器のキャパシタ成分を意味する。
【0105】
上記の数式について説明すると、共振器の抵抗成分Rが小さいほどQ値が大きくなることが分かる。能動素子を介してソース共振器の抵抗成分によって消耗されるエネルギーを補償することで、ソース共振器の有効な抵抗成分を減少させることができ、従ってQ値が大きくなる。有効な抵抗成分を減少させるという意味で、能動素子は負の抵抗として表現される。
【0106】
受動素子は、ソース共振器で抵抗成分によって消耗されるエネルギー量を増加させる。消耗されるエネルギー量が増加することによってQ値は小さくなる。受動素子を用いることによってソース共振器の有効な抵抗成分は大きくなり、これによってQ値は減少する。
【0107】
受信端1120は、能動素子を介して補償するエネルギー量を調整することによってQ値を調整する。受信端1120は、ターゲット共振器で補償されるエネルギー量を調整してQ値を量子化し、量子化されたQ値に応じて情報を変調する。
【0108】
また、受信端1120は、受動素子を介してターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を増加させることによってQ値を調整する。受信端1120は、ターゲット共振器で消耗されるエネルギー量を調整してQ値を量子化し、量子化されたQ値に応じて情報を変調する。受信端1120は、ターゲット共振器のQ値の変化によって送信端1110に情報を送信する。
【0109】
受信端1120は、相互共振によって送信端1110から情報を受信すると同時に、ターゲット共振器のQ値の変化によって送信端1110に情報を送信することで、全二重方式で通信を行うことができる。
【0110】
図12は、本発明の一実施形態による無線電力を用いる通信システムにおける共振器のQ値が変化する場合のソース共振器に印加される信号の波形を示すグラフである。
【0111】
ソース共振器とターゲット共振器が強く相互結合した場合(Strongly Coupled)、LowQのソース共振器に印加される信号の波形と、ターゲット共振器で消耗されるエネルギーを補償した後にHighQのソース共振器に印加される信号の波形にはその差がある。HighQのソース共振器に印加される信号の波形はLowQのソース共振器に印加される信号の波形よりも大きい。送信端は、波形の変化によって、受信端で送信した情報を復調する。ターゲット共振器のQ値を調整することによってソース共振器に印加される信号の波形は多様に変化する。
【0112】
ソース共振器とターゲット共振器が弱く相互結合した場合(Weakly Coupled)にも、LowQのソース共振器に印加される信号の波形と、消耗されるエネルギーを補償した後にHighQのソース共振器に印加される信号の波形にはその差がある。送信端は、波形の変化によって、受信端で送信した情報を復調する。
【0113】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。