(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957354
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠および凍上対策用RC簡易地中壁の築造工法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
E02D27/01 D
E02D27/01 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-221913(P2012-221913)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-74289(P2014-74289A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】507327730
【氏名又は名称】株式会社住金システム建築
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】高木 直
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽二
(72)【発明者】
【氏名】山田 竜一
(72)【発明者】
【氏名】石川 誠喜
【審査官】
富山 博喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−070514(JP,A)
【文献】
特開平05−248017(JP,A)
【文献】
特開2010−053631(JP,A)
【文献】
特開2000−096578(JP,A)
【文献】
特開平10−121403(JP,A)
【文献】
特開平08−074417(JP,A)
【文献】
特開平07−305340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/01
E02D 31/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結深度以深の掘削地盤面上に間隔をおいて設置されたRC基礎築造用型枠間に当該RC基礎築造用型枠に連続して設置される凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠であって、凍結深度以深の掘削地盤面上に間隔をおいて立設された複数の鋼製支柱と、各鋼製支柱間の掘削地盤面上に前記鋼製支柱の一断面内で互いに対向して設置され、かつ両端部が前記鋼製支柱に止め付けられた複数の鋼製型枠とから構成され、前記鋼製支柱はH形鋼からなる支柱本体と当該支柱本体の下端部に取り付けられたベースプレートとから構成され、前記鋼製型枠は薄鋼板と当該薄鋼板の外側面に取り付けられた複数の鋼製補強リブ材とから構成され、当該鋼製型枠の両端部は前記鋼製支柱のフランジの内側にそれぞれ止め付けられ、かつ凍結地盤側に設置された鋼製型枠の内側面に断熱材が取り付けられていることを特徴とする凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠。
【請求項2】
請求項1記載の凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠において、ベースプレートに高さ調整ボルトが取り付けられていることを特徴とする凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠。
【請求項3】
請求項1または2記載の凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠において、支柱本体の対向するウェブの側面部に複数のアングルピースが取り付けられ、当該アングルピースとフランジとの間に鋼製型枠の端部が挿入されていることを特徴とする凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかひとつに記載の凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠による凍上対策用RC簡易地中壁の築造工法において、凍結深度以深まで地盤を掘り下げる工程、掘り下げた掘削地盤面上にRC基礎築造用型枠を間隔をおいて設置する工程、前記RC基礎築造用型枠間の掘削地盤面上に鋼製支柱を一定間隔おきに立設する工程、各鋼製支柱間の掘削地盤面上に前記鋼製型枠を互いに対向させ、かつ断熱材を備えた鋼製型枠を凍結地盤側に位置させて設置する工程、前記鋼製型枠の両端部を各鋼製支柱のフランジの内側に止め付ける工程および前記RC基礎築造用型枠内と前記RC簡易地中壁築造用埋設型枠内にコンクリートを打設する工程とからなることを特徴とする凍上対策用RC簡易地中壁の築造工法。
【請求項5】
請求項4記載の凍上対策用RC簡易地中壁の築造工法において、各鋼製支柱間の掘削地盤面上に断熱材を敷設する工程を有することを特徴とする凍上対策用RC簡易地中壁の築造工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍上対策用RC (鉄筋コンクリート)簡易地中壁築造用埋設型枠および当該型枠による凍上対策用RC簡易地中壁の築造工法に関し、例えば、寒冷地の冬季における建物の基礎部の凍上対策として、建物の基礎部に建物の周囲を取り巻くように地中壁を築造する場合などに適用される。
【背景技術】
【0002】
工場、倉庫、格納庫などといった比較的広い空間を必要とする建物は、一般に鉄骨構造によって建設され、また当該建物の基礎には柱ごとに独立した形状に設置して建物を支えるRC構造の独立フーチング基礎が用いられ、かつ各基礎と基礎との間には一般に地中梁(基礎梁)が配置される。
【0003】
また、建物の外壁は各柱間に横胴縁を架け渡し、その上に外装材を取り付けることにより構成され、そのうち特に地盤面より一定高さまで(例えば窓下まで)は、腰壁と称して汚れやきず、さらには意匠的観点から材質、色彩などの異なる外装材によって構成され、腰壁の地盤面より下方には特に地中壁などは設けられていない。
【0004】
このため、特に寒冷地においては、冬季に地盤の表層部が凍結して隆起する「凍上現象」によって建物が基礎もろとも押し上げられ、腰壁が剥がれたり破損したりする等の凍上被害を受けるおそれがあった。
【0005】
また、凍上現象は一階床下の地盤でも起こることがあり、このため一階床を土間床などとした場合には床が盛り上がる等の凍上被害を受けることもあった。
【0006】
このため、寒冷地の冬季における、ごく一般的な基礎部の凍上対策として、基礎と地中梁の底部を凍結深度より深い位置に設置すると共に地中梁の上端より腰壁の下端部まで地中壁を立ち上げ、さらにその内側に断熱材を設置することが行われている。
【0007】
また、例えば、特許文献1には、凍上内地中連続壁の施工方法として、外側面に断熱材が設けられた鋼製箱型矢板を製作し、当該矢板を地盤に掘削形成された溝内に前記断熱材が設けられた外側面を少なくとも溝の凍土部に対向させて建て込むことにより殻体を形成し、該殻体内にコンクリートを打設して硬化させる方法が記載されている。
【0008】
また、特許文献2には、基礎梁を凍結深度より深い位置に設置した基礎底盤によって下方から支持すると共に、基礎梁と地盤との間に垂直方向に伸縮自在な凍上吸収部材を設置することにより構成される基礎の凍上防止構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平07−305338号公報
【特許文献2】特開平07−158101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記したごく一般的な凍上対策方法では、型枠の組み立てに際し、多くの型枠を鋼管や角材などからなる多くの支保工材で自立するように支持しながら組み立てる必要があり、また配筋作業と型枠の解体撤去作業があるため、熟練した作業員を手配する必要があり、また現場作業が煩雑化して工期の長期化が避けられない等の課題があった。
【0011】
また、基礎と地中梁の両方を凍結深度より深い位置に設置するとなると、特に地中梁の断面が相当大きくなり、このためコンクリートおよび補強筋の使用量が相当量に増え、また掘削残土も大量に排出されるため、材料費や掘削残土の処理費が嵩む等の課題があった。
【0012】
さらに、凍上対策用の断熱材は、一般に基礎梁などの内側に取り付けられるため(内断熱構造)、いわゆる「ヒートブリッジ(熱橋)」が発生しやすく、断熱効果が充分でない等の課題もあった。
【0013】
一方、引用文献1の鋼製箱型矢板を使用する方法では、鋼製箱型矢板の製作が形状的に面倒でコストが嵩むだけでなく、鋼製箱型矢板の製作段階で地中壁の厚さや形状等が決まってしまい、現地での変更が自由にできない等の課題があった。
【0014】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、特に型枠工などの専門職種が不要で現場作業が容易なことにより、一般工法に比べて大幅なコストダウンと工期の短縮化等を可能にした凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠および凍上対策用RC簡易地中壁の築造工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠は、凍結深度以深の掘削地盤面上に
間隔をおいて設置されたRC基礎築造用型枠間に当該RC基礎築造用型枠に連続して設置される凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠であって、凍結深度以深の掘削地盤面上に間隔
をおいて立設され
た複数の鋼製支柱と、各鋼製支柱間の
掘削地盤面上に
前記鋼製支柱の一断面内で互いに対向して設置され
、かつ両端部が前記鋼製支柱に止め付けられた複数の鋼製型枠
とから構成され、前記鋼製支柱は
H形鋼からなる支柱本体と当該支柱本体の下端部に
取り付けられたベースプレート
とから構成され、前記鋼製型枠は
薄鋼板と当該薄鋼板の外側面に
取り付けられた複数の鋼製補強リブ材
とから構成され、
当該鋼製型枠の両端部は前記鋼製支柱のフランジの内側にそれぞれ止め付けられ、かつ
凍結地盤側に設置された鋼製型枠の内側面に断熱材が
取り付けられていることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の凍上対策用RC簡易地中壁の築造工法は、
請求項1〜3のいずれかひとつに記載の凍上対策用RC簡易地中壁築造用埋設型枠による凍上対策用RC簡易地中壁の築造工法において、凍結深度以深まで地盤を掘り下げる工程、掘り下げた掘削地盤面上に
RC基礎築造用型枠を間隔をおいて設置する工程、前記RC基礎築造用型枠間の掘削地盤面上に鋼製支柱を一定間隔おきに立設する工程、各鋼製支柱間の掘削地盤面上に前記鋼製型枠を互いに対向させ、かつ断熱材を備えた鋼製型枠を凍結地盤側に位置させて設置する工程
、前記鋼製型枠の両端部を各鋼製支柱のフランジの内側に止め付ける工程および前記RC基礎築造用型枠内と前記RC簡易地中壁築造用埋設型枠内にコンクリートを打設する工程とからなることを特徴とするものである。
【0017】
本発明は、鋼製支柱や鋼製型枠などの各部材の形状や寸法、さらには鋼製支柱を掘削地盤面上に固定する方法や鋼製型枠を鋼製支柱に固定する方法などを統一してシステム化することにより、現地における型枠の組み立てを型枠工や鉄筋工などの熟練した職人に頼らないで容易に行えるようにすると共に、型枠の撤去作業を一切なくして現場作業の省力化と工期の短縮化、さらにコスト削減等を可能にしたものである。
【0018】
本発明によれば、鋼製支柱の支柱本体にH形鋼を用い、H形鋼のフランジを、鋼製型枠の端部を鋼製支柱に固定するための継手として利用し、またH形鋼の下端部にベースプレートを取り付けて自立式の支柱とし、さらにベースプレートをホールインアンカー等のアンカー部材によって掘削地盤面上に固定する方式とすることにより、さらに鋼製型枠は薄鋼板の外側面に鋼製補強リブ材を取り付けて構成することにより、各部材の形状や構造等を統一してシステム化することができ、これにより現地における型枠の組み立てを型枠工や鉄筋工などの熟練した職人に頼らないで行うことができ、また型枠の撤去作業がなく現場作業の省力化と工期の短縮化、さらにコスト削減等を図ることができる。また、これら部材はすべて工場生産が可能なことにより容易にかつ低コストで製作することができる。
【0019】
また、ベースプレートに高さ調整ボルトを取り付けて支柱本体の傾きや高さ調整等を容易に行うことができる。さらに、対向する鋼製型枠の一方の薄鋼板の内側面に断熱材を取り付け、当該鋼製型枠を凍結地盤側に設置して外断熱構造のRC地中壁とすることにより、ヒートブリッジ(熱橋)を防止して断熱性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鋼製支柱や鋼製型枠などの各部材を可能な限り統一してシステム化することで、現地における型枠の組み立てを型枠工や鉄筋工などの熟練した職人に頼らないで行うことができ、また型枠の撤去作業がなく現場作業の省力化と工期の短縮化、さらにコスト削減等を図ることができる。また、これら部材はすべて工場生産が可能なことにより容易にかつ低コストで製作することができる。
【0021】
さらに、外断熱構造のRC地中壁とすることにより、ヒートブリッジ(熱橋)を防止して断熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】工場などの建物の外周部の各柱の下に組み立てられたRC独立フーチング基礎の築造用型枠と各RC独立フーチング基礎の築造用型枠間に組み立てられたRC簡易地中壁築造用型枠と、これらの型枠によって一体に築造されたRC独立フーチング基礎とRC簡易地中壁の一部平面図である。
【
図2】
図1に図示するRC独立フーチング基礎の築造用型枠およびRC簡易地中壁築造用型枠の一部正面図である。
【
図5】RC簡易地中壁築造用型枠を示し、
図5(a)は
図2におけるハ−ハ線断面図、
図5(b)は
図2における二−二線断面図である。
【
図6】鋼製支柱を示し、
図6(a)は鋼製支柱の正面図、
図6(b)は鋼製支柱の側面図、
図6(c)は鋼製支柱の平面図である。
【
図7】鋼製型枠を示し、
図7(a)は鋼製型枠の平面図、
図7(b)は鋼製型枠の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜
図5は、工場や倉庫などの建物の外周部の各柱の配置される位置に組み立てられたRC独立フーチング基礎の築造用型枠1(以下「RC基礎築造用型枠」)と各RC基礎築造用型枠1,1間に組み立てられたRC簡易地中壁築造用型枠2と、これらの型枠によって一体に構築されたRC独立フーチング基礎とRC地中壁を図示したものである。
【0024】
図において、RC基礎築造用型枠1は、凍結深度より深い掘削地盤面上に打設された捨てコンクリート3の上に組み立てられたフーチング型枠4と、フーチング型枠4のほぼ中心位置に組み立てられた柱型枠5とから構成され、特に柱型枠5は浮かし型枠と称して、捨てコンクリート3の上面よりほぼフーチング型枠4の高さ分浮かせた状態で組み立てられている(
図3参照)。なお、柱型枠5は浮かし型枠金物(図省略)によって支持され、高さ調整が自由に行えるように組み立てられている。
【0025】
また、各柱型枠5の四側面のうちの一側面5Aと各RC簡易地中壁築造用型枠2の外型枠は、建物の外壁位置とほぼ同じ鉛直面内に組み立てられ、かつ双方共に一定間隔おきに立設された複数の鋼製支柱6と各鋼製支柱6,6間に設置された複数の鋼製型枠7で組み立てられている(
図1,3,4参照)。また特に、各柱型枠5の鋼製型枠8は柱型枠5の側面5Aを除く三側面5Bを一体に構成するように平面に見てほぼU字状に組み立てられている(
図1参照)。
【0026】
さらに、RC基礎築造用型枠1とRC簡易地中壁築造用型枠2のいずれにおいても、複数のセパレーター9によって対向する各型枠間の間隔が一定に保持されており、特に、RC基礎築造用型枠1の柱型枠5とRC地中壁築造用型枠2においては、各鋼製型枠7と鋼製型枠8間に複数のセパレーター9が設置されている。
【0027】
鋼製支柱6は、H形鋼などの形鋼からなる支柱本体6aの下端部に矩形板状のベースプレート6bを取り付けることにより自立可能に構成され、また支柱本体6aの対向する各側面部に複数のアングルピース10,10が取り付けられている。
【0028】
アングルピース10,10は、支柱本体6aの左右フランジ6c,6cの内側に対称に取り付けられ、また、支柱本体6aの軸方向(長手方向)に間隔をおいて複数組取り付けられている。
【0029】
さらに、アングルピース10,10は、各アングルピース10の一方のフランジ10aと支柱本体6aの一方のフランジ6cとの間に一定の隙間(係合溝)を形成するように取り付けられている。
【0030】
また、ベースプレート6bに高さ調整ナット11が取り付けられ(
図6参照)、当該高さ調整ナット11に高さ調整ボルト12が鉛直に螺合され、これにより鋼製支柱6の鉛直度や高さを修正できるようになっている。
【0031】
なお、高さ調整ナット11は、ベースプレート6bに形成された貫通孔(図省略)とねじ孔が連通するように取り付けられ、また高さ調整ナット11に螺合された高さ調整ボルト12の下端部は貫通孔をベースプレート6bの下方に貫通し突出している。
【0032】
このように構成された各鋼製支柱6は、捨てコンクリート3の上に一定間隔おきに建て付けられている。そして、ベースプレート6bをホールインアンカー等のアンカーボルト13によって捨てコンクリート3の上に固定することにより転倒しないように建て付けられている。
【0033】
鋼製型枠7と鋼製型枠8は、矩形板状の薄鋼板14aの外側面に複数の鋼製補強リブ材14bを水平に取り付けることにより構成され、鋼製型枠7にあってはさらに、薄鋼板14aの内側面にスタイロフォーム等の断熱材14cが取り付けられている。
【0034】
また、各柱型枠5の鋼製型枠8は、柱型枠5の三側面5Bを一体に構成するように平面に見てほぼU字状に一体に形成されている。なお、鋼製補強リブ材14bはアングル材などから形成されている。
【0035】
また特に、基礎築造用型枠1に接して設置される鋼製型枠7と8の薄鋼板14aの下端部は、フーチング型枠4の形状に沿って切り欠いてある(
図2参照)。
【0036】
このように構成された鋼製型枠7と8は、それぞれ各鋼製支柱6,6間の捨てコンクリート3の上に互いに対向させ、かつ断熱材14cを備えた鋼製型枠7を凍結地盤側、すなわち建物の外側に位置させて建て込まれている。
【0037】
また、鋼製型枠7および8と捨てコンクリート3との間に断熱材15が介在され、これにより捨てコンクリート3の不陸等が吸収されている(
図5(b)参照)。
【0038】
また、鋼製型枠7と8の各薄鋼板14aの両端は各鋼製支柱6,6における支柱本体6aの一方のフランジ6cとアングルピース10の一方のフランジ10aとの隙間にそれぞれ挿入され、かつ支柱本体6aのフランジ6cにねじ部材によって止め付けられている(
図5参照)。
【0039】
また、各柱型枠5の鋼製型枠8は、その両端部に形成された取付け片を支柱6,6のフランジにねじ部材によって止め付けることにより固定されている。
【0040】
このように組み立てられた各RC基礎築造用型枠1の柱型枠5内に基礎用鉄骨材16が配置され、その周囲に基礎用フープ筋17が配筋され、さらにフーチング型枠4内にはフーチング補強筋(図省略)が配筋されている。また、RC簡易地中壁築造用型枠2内には格子状に組み立てられた壁補強筋18が配筋されている。
【0041】
そして、RC基礎築造用型枠1とRC簡易地中壁築造用型枠2双方の型枠内にコンクリートが連続して打設され、これにより独立フーチング基礎AとRC簡易地中壁Bが一体に構築されている。
【0042】
また、独立フーチング基礎A,A間に地中梁19が設置され、さらにその上にコンクリートを打設することにより1階の床スラブCが構築されている。
【0043】
また、独立フーチング基礎Aの上に鉄骨柱20が建て付けられ、その屋外側に胴縁21が取り付けられ、さらにその屋外側に外装材22を取り付けることにより外壁Dが構成されている。また特に、地盤面付近の腰壁23には汚れや傷などに配慮した外装材が取り付けられている。
【0044】
このような構成において、次にRC簡易地中壁築造用型枠によるRC簡易地中壁の築造方法について説明する。
【0045】
(1) 最初に、凍結深度より深い位置まで地盤を掘り下げる。凍結深度は場所により異なるが、概ね地盤面より0.7〜1.3m+0.1m程度掘り下げればよい。
【0046】
(2) 次に、掘り下げた掘削地盤面上に捨てコンクリート3を打設し、その上に必要な墨出しを行なう。そして、墨出しを行なった位置に合わせて捨てコンクリート3の上に複数の鋼製支柱6を一定間隔おきに建て付ける。
【0047】
(3) 次に、高さ調整ボルト12によって支柱本体6aの鉛直度を調整する。そして、捨てコンクリート3の上にベースプレート6bをアンカーボルト13によって固定することにより支柱本体6aを自立させる。
【0048】
(4) 次に、各鋼製支柱6,6間の捨てコンクリート3の上に断熱材15を帯状に敷き込み、その中央一箇所を捨てコンクリート3の上にずれないように釘止めする。
【0049】
(5) 次に、各鋼製支柱6,6間の断熱材15の上に鋼製型枠7と鋼製型枠8を鋼製型枠7から先に建て込む。また特に、鋼製型枠7は凍結地盤側、すなわち建物の外側に建て込み、さらに薄鋼板14aのみを先に建て込み、その後から薄鋼板14aの内側に断熱材14cを建て込む。
また、薄鋼板14aの両端部は、それぞれ支柱本体6aの一方のフランジとアングルピース10の一方のフランジ10aとの隙間に挿入し、支柱本体6aのフランジにねじ部材によって止め付ける。また、断熱材14cは、鋼製型枠7の薄鋼板14aの内側面に両面テープによって固定する。
【0050】
(6) 次に、鋼製型枠7と鋼製型枠8間に補強筋18を建て込み、そして、複数のセパレーター9を双方の型枠に貫通させて設置することにより、鋼製型枠7と鋼製型枠8を互いに固定する。なお、補強筋18には予め格子状に組み立てられたユニット筋を配筋する。
以上の施工手順によりRC簡易地中壁築造用型枠2を完成させる。
【0051】
(7) そして、RC簡易地中壁築造用型枠2内にコンクリートを打設して養生することによりRC簡易地中壁Bは完成する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、型枠工などの専門職種が不要で、一般工法に比べて大幅なコストダウンと工期の短縮化等を図ることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 RC基礎用型枠
2 RC簡易地中壁築造用型枠
3 捨てコンクリート
4 フーチング型枠
5 柱型枠
6 鋼製支柱
6a 支柱本体
6b ベースプレート
6c フランジ(継手)
7 鋼製型枠(外型枠)
8 鋼製型枠(内型枠)
9 セパレーター
10 アングルピース
10a アングルピースの一方のフランジ
11 高さ調整ナット
12 高さ調整ボルト
13 アンカーボルト
14a 薄鋼板
14b 鋼製補強リブ材
14c 断熱材
15 断熱材
16 基礎用鉄骨材
17 基礎用フープ筋
18 壁補強筋
19 地中梁
20 鉄骨柱
21 胴縁
22 外装材
23 腰壁