特許第5957416号(P5957416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5957416コンクリート用釘およびコンクリート用釘セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957416
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】コンクリート用釘およびコンクリート用釘セット
(51)【国際特許分類】
   E04D 5/14 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   E04D5/14 J
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-119426(P2013-119426)
(22)【出願日】2013年6月6日
【出願変更の表示】実願2013-2604(U2013-2604)の変更
【原出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-222011(P2014-222011A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2014年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】597175123
【氏名又は名称】北村精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】平尾 元彦
(72)【発明者】
【氏名】中井 博志
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−297916(JP,A)
【文献】 特開2009−162033(JP,A)
【文献】 特開2004−332933(JP,A)
【文献】 特開2006−153241(JP,A)
【文献】 実開昭59−042307(JP,U)
【文献】 特開2000−081009(JP,A)
【文献】 特開2012−021550(JP,A)
【文献】 特開2009−178838(JP,A)
【文献】 特開平10−058348(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3029506(JP,U)
【文献】 実開昭63−044784(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 5/14
F16B 15/02
F16B 15/00
B25C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートにシート部材を固定させるためのコンクリート用釘であって、
板状の頭部と、前記頭部の表面が延びる方向に略直交する方向に前記頭部の中心部から延びる軸部とを有し、
前記軸部は、
前記頭部に近い根元側で円柱形状に形成された胴部と、前記頭部から離れた先端側で先細りの錐状に形成された先端部とを有し、
前記頭部と前記軸部は、
前記頭部の表面の最大幅の寸法前記軸部の長さよりも大きく、前記頭部の厚さが前記軸部の直径よりも小さくなるように形成され、
前記コンクリート用釘のビッカース硬さは、
表面が530以上で、
前記軸部の中心部を、前記軸部を塑性変形させながら下地に挿し込むことができて、前記頭部をシート部材の上面に沿わせて頭部の姿勢の調整を可能とするよう、320以上且つ420以下とした、
コンクリート用釘。
【請求項2】
前記先端部の長さは、前記胴部の長さよりも大きい、
請求項に記載のコンクリート用釘。
【請求項3】
前記先端部の先端角は、25°以上且つ50°以下である、
請求項1または2に記載のコンクリート用釘。
【請求項4】
前記先端部の先端角が32°である、
請求項1または2に記載のコンクリート用釘。
【請求項5】
前記頭部は、略円板形状を有し、
前記頭部の表面の最大幅の寸法は、前記略円板の直径である、
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のコンクリート用釘。
【請求項6】
板状の頭部と、前記頭部の表面が延びる方向に略直交する方向に前記頭部の中心部から延びる軸部とを有し、
前記軸部は、
前記頭部に近い根元側で円柱形状に形成された胴部と、前記頭部から離れた先端側で先細りの錐状に形成された先端部とを有し、
前記頭部と前記軸部は、
前記頭部の表面の最大幅の寸法が前記軸部の長さよりも大きく、前記頭部の厚さが前記軸部の直径よりも小さくなるように形成され、
前記コンクリート用釘のビッカース硬さは、
表面が530以上で、
前記軸部の中心部を、前記軸部を塑性変形させながら下地に挿し込むことができて、前記頭部をシート部材の上面に沿わせて頭部の姿勢の調整を可能とするよう、320以上且つ420以下とした、コンクリートにシート部材を固定させるためのコンクリート用釘と、
前記コンクリート用釘が固定されるコンクリートの下地に対して前記コンクリート用釘を所定の姿勢に保持する補助具と
を備えた、
コンクリート用釘セット。
【請求項7】
前記補助具が前記コンクリート用釘を前記所定の姿勢に保持した状態において前記補助具が打たれることによって、前記コンクリート用釘の前記軸部を前記下地に刺すことができるように前記補助具が構成され、
前記補助具は、作業者が前記補助具を把持するための部分である把持部と、前記コンクリート用釘を前記下地に固定させるための工具が接触する部分である被打部と、前記被打部の反対側に配置された保持部とを含み、
前記把持部は、長尺形状を有する前記補助具の中心に対して一方の側に配置され、
前記被打部と前記保持部とは、前記補助具の中心に対して他方の側に配置され、
前記保持部は、前記コンクリート用釘が前記所定の姿勢に保持された状態において作業者が前記工具を前記被打部に接触させるときに前記下地に面し、且つ、前記把持部よりも前記下地に近い側に配置され、
前記保持部は、前記保持部と前記被打部との間に前記コンクリート用釘の前記頭部を係止するように構成されている、
請求項に記載のコンクリート用釘セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはコンクリート用釘およびコンクリート用釘セットに関し、特定的には、建造物等における防水のために使用されるシート部材の固定に用いられるコンクリート用釘およびコンクリート用釘セットに関する。
【背景技術】
【0002】
建造物等における防水の技術として、例えば、コンクリートの下地に防水用のシートを被せることが従来から知られている。防水用のシートは、コンクリートの下地に被せられたうえで、下地に固定される。シートを下地に固定する場合には、例えば、シートの下面に形成された粘着層によってシートを下地に貼り付ける方法、または、ネジもしくはピン等の係止部材でシートを下地に打ち付ける方法が用いられる。
【0003】
ネジでシートを下地に打ち付ける場合には、先ず、コンクリート用の振動ドリルでシートを通して下地に下穴を形成する。例えば図9に示すように、座金の代わりに金属性の板材92を用いたうえで、形成された下穴21a,22aにネジ90が埋め込まれるように、インパクトドライバ(図示せず)を用いて板材92を貫通するネジ90をコンクリートの下地21に螺合させる。このとき、板材92が座金のようにネジ90の頭部91に係止する。このようにして下地21に固定された防水用のシート部材22の上に、金属性等の屋根材料23を設置することによって、建造物の屋根を施工する。
【0004】
また、押えピンを下地に打ち込むことによってシート(防水シート)を下地に固定する技術として、特開平11−131705号公報(以下、特許文献1という)に記載された建造物等の防水構造ならびに防水工法が知られている。特許文献1に記載の防水構造においては、この押えピンと、座金のように用いられる押え金具とから、機械的係止手段が構成されている。
【0005】
機械的係止手段において、押え金具は、ディスク形状を有する。押え金具の中心部には、押えピンを挿通するための貫通孔が形成されている。コンクリートの下地面に被せられた防水シートには、下地面まで貫通する孔部が形成される。押え金具を装着した押えピンが、この孔部に挿通および固着されることによって、防水シートが下地面に係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−131705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の防水構造のように押えピンを下地に打ち込むことによって防水シートを下地面に固定する方法、または、ネジを下地に打ち込むことによってシートを下地に固定する方法においては、コンクリートの下地に下穴を形成する必要がある。そのため、使用する工具の種類および数が増加する。
【0008】
また、これらの方法においては、押え金具等の金属性の板を座金のように用いる必要があり、部材の点数が増加する。例えば屋上において作業する場合には、部材の点数および工具が増加することによって、屋上まで作業に必要な部材等を持ち運ぶ手間が掛かるとともに、屋上から部材等を落下させる危険が増大する。
【0009】
さらに、下穴を形成すること、または、部材の点数および工具が増加することは、工数の増加によって工期を長引かせることに繋がる。このように、コンクリートの下地に下穴を設けることなく、使用する工具の数を減らすことによって、より簡易にシート部材をコンクリートの下地に固定させることが可能なコンクリート用釘が望まれている。
【0010】
そこで、本発明の目的は、より簡易に、シート部材をコンクリートの下地に固定させることが可能なコンクリート用釘およびコンクリート用釘セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載のコンクリート用釘は、つぎの構成を採用した。
コンクリートにシート部材を固定させるためのコンクリート用釘であって、
板状の頭部と、前記頭部の表面が延びる方向に略直交する方向に前記頭部の中心部から延びる軸部とを有し、
前記軸部は、
前記頭部に近い根元側で円柱形状に形成された胴部と、前記頭部から離れた先端側で先細りの錐状に形成された先端部とを有し、
前記頭部と前記軸部は、
前記頭部の表面の最大幅の寸法が前記軸部の長さよりも大きく、前記頭部の厚さが前記軸部の直径よりも小さくなるように形成され、
前記コンクリート用釘のビッカース硬さは、
表面が530以上で、
前記軸部の中心部を、前記軸部を塑性変形させながら下地に挿し込むことができて、前記頭部をシート部材の上面に沿わせて頭部の姿勢の調整を可能とするよう、320以上且つ420以下とした。
また、上記目的を達成するため、請求項6記載のコンクリート用釘セットは、つぎの構成を採用した。
板状の頭部と、前記頭部の表面が延びる方向に略直交する方向に前記頭部の中心部から延びる軸部とを有し、
前記軸部は、
前記頭部に近い根元側で円柱形状に形成された胴部と、前記頭部から離れた先端側で先細りの錐状に形成された先端部とを有し、
前記頭部と前記軸部は、
前記頭部の表面の最大幅の寸法が前記軸部の長さよりも大きく、前記頭部の厚さが前記軸部の直径よりも小さくなるように形成され、
前記コンクリート用釘のビッカース硬さは、
表面が530以上で、
前記軸部の中心部を、前記軸部を塑性変形させながら下地に挿し込むことができて、前記頭部をシート部材の上面に沿わせて頭部の姿勢の調整を可能とするよう、320以上且つ420以下とした、コンクリートにシート部材を固定させるためのコンクリート用釘と、
前記コンクリート用釘が固定されるコンクリートの下地に対して前記コンクリート用釘を所定の姿勢に保持する補助具と、を備えた。
つまり、
本発明に従ったコンクリート用釘は、コンクリートにシート部材を固定させるためのコンクリート用釘である。コンクリート用釘は、板状の頭部と、軸部とを有する。軸部は、頭部の表面が延びる方向に略直交する方向に頭部の中心部から延びる。頭部の表面の最大幅の寸法は、軸部の長さよりも大きい。
【0012】
本発明に従ったコンクリート用釘を用いる場合には、コンクリートの下地に被せられたシート部材を軸部が貫通するように、軸部の長さよりも大きな頭部の表面を工具で正確に打つことができる。これにより、コンクリート用釘でシート部材を下地に固定させることができる。このとき、シート部材および下地に下穴を形成することなく、単にコンクリート用釘でシート部材を下地に打ち付けることのみによって、シート部材を下地に固定させることができる。このように、本発明に従ったコンクリート用釘を用いることによって、下地にシート部材を固定する場合に振動ドリルおよびインパクトドライバを用いる必要がなくなるため、作業において用いる工具を減らすことができる。
【0013】
また、本発明に従ったコンクリート用釘を用いる場合には、軸部の長さよりも大きな頭部の表面によってシート部材を押えることができるため、コンクリート用釘とは別に座金のように用いる部材を用意する必要がない。すなわち、部材の点数の増加を防止することができる。このように、本発明に従ったコンクリート用釘を用いることによって、下穴を形成する工程を省くことができるとともに、部材の点数および工具の増加を防止することができるため、工期を短縮することが可能である。
【0014】
このようにすることによって、より簡易に、シート部材をコンクリートの下地に固定させることが可能なコンクリート用釘を提供することができる。
【0015】
本発明に従ったコンクリート用釘の表面のビッカース硬さは、好ましくは、530以上であって、軸部の中心部のビッカース硬さは、好ましくは、320以上且つ420以下である。
【0016】
この構成によれば、シート部材およびコンクリートの下地に下穴を形成することなく、単にコンクリート用釘でシート部材を下地に打ち付けることのみによって、シート部材を下地に容易に固定させることができる。また、軸部の中心部の硬度が抑えられていることによって適度な靭性を有するため、軸部を適度に塑性変形させながら下地に挿し込むことができる。そのため、下地の表面およびシート部材の上面に対して軸部が略直角に延びるように下地に挿し込まれていない場合でも、コンクリート用釘の頭部がシート部材の上面に沿って延びるように、頭部の姿勢を容易に調整することができる。そのため、コンクリート用釘の頭部によって、シート部材の上に設置される屋根材料に凸が形成されることを防止することができる。
【0017】
本発明に従ったコンクリート用釘において、軸部は、好ましくは、胴部と先端部とを有する。胴部は、頭部の表面が延びる方向に略直交する方向に頭部の中心部から延びる。先端部は、頭部から離れるように胴部が延びる方向に沿って胴部から延び、且つ、胴部から離れる方向に沿って先細りに形成される。
【0018】
この構成によれば、先端部から円滑に軸部をコンクリートの下地に容易に挿し込むことができる。したがって、この構成によれば、シート部材および下地に下穴を形成することなく、単にコンクリート用釘でシート部材を下地に打ち付けることのみによって、シート部材を下地に容易に固定させることができる。
【0019】
本発明に従ったコンクリート用釘において、先端部の長さは、好ましくは、胴部の長さよりも大きい。
【0020】
この構成によれば、下地に軸部が挿し込まれるときに、軸部と下地との間に加わる摩擦力を低減することができるため、コンクリート用釘の軸部を下地に容易に挿し込むことができる。したがって、この構成によれば、シート部材および下地に下穴を形成することなく、単にコンクリート用釘でシート部材を下地に打ち付けることのみによって、シート部材を下地に容易に固定させることができる。
【0021】
本発明に従ったコンクリート用釘において、好ましくは、先端部は角錐形状を有する。
【0022】
この構成によれば、下地をチッピング(微小破壊)させることによって、コンクリート用釘の軸部を下地に容易に挿し込むことができる。したがって、この構成によれば、シート部材および下地に下穴を形成することなく、単にコンクリート用釘でシート部材を下地に打ち付けることのみによって、シート部材を下地に容易に固定させることができる。
【0023】
本発明に従ったコンクリート用釘において、好ましくは、先端部の先端角は25°以上且つ50°以下である。より好ましくは、先端部の先端角が32°である。
【0024】
この構成によれば、コンクリート用釘の軸部を下地に容易に挿し込むことができる。
【0025】
本発明に従ったコンクリート用釘において、軸部は、好ましくは、略円柱形状を有する。頭部の厚さは、好ましくは、軸部の直径よりも小さい。
【0026】
このような比較的小さい頭部の厚さによって、シート部材の上に設置される屋根材料に凸が形成されることを防止することができる。また、比較的大きな径を有する軸部によって、コンクリート用釘が下地から抜けることを防止することができる。
【0027】
本発明に従ったコンクリート用釘において、頭部は、好ましくは、略円板形状を有する。頭部の表面の最大幅の寸法は、略円板の直径である。
【0028】
この構成によれば、略円周形状の頭部の縁に沿って、下地に対してコンクリート用釘がシート部材を均等に押えることができるため、下地からのシート部材の剥離を防止することができる。
【0029】
本発明に従ったコンクリート用釘セットは、好ましくは、上記のいずれかのコンクリート用釘と、コンクリート用釘が固定されるコンクリートの下地に対してコンクリート用釘を所定の姿勢に保持する補助具とを備える。
【0030】
上記のいずれかのコンクリート用釘を用いる場合には、より簡易に、シート部材をコンクリートの下地に固定させることができる。さらに、補助具は、コンクリート用釘が固定される下地に対してコンクリート用釘を所定の姿勢に保持することができるため、作業者は、補助具を用いることによってコンクリート用釘を下地に対して容易に打つことができる。
【0031】
このようにすることによって、より簡易に、シート部材をコンクリートの下地に固定させることが可能なコンクリート用釘と補助具とを備えるコンクリート用釘セットを提供することができる。
【0032】
本発明に従ったコンクリート用釘セットにおいて、好ましくは、補助具がコンクリート用釘を所定の姿勢に保持した状態において補助具が打たれることによって、コンクリート用釘の軸部を下地に刺すことができるように補助具が構成されている。
【0033】
この構成によれば、作業者は、コンクリート用釘を下地に対して容易に打つことができるとともに、補助具を用いて容易にコンクリート用釘の軸部を下地に刺すことができる。
【0034】
本発明に従ったコンクリート用釘セットにおいて、補助具は、好ましくは、把持部と被打部と保持部とを含む。把持部は、作業者が補助具を把持するための部分である。被打部は、コンクリート用釘を下地に固定させるための工具が接触する部分である。保持部は、被打部の反対側に配置される。把持部は、好ましくは、長尺形状を有する補助具の中心に対して一方の側に配置される。被打部と保持部とは、好ましくは、補助具の中心に対して他方の側に配置される。保持部は、好ましくは、コンクリート用釘が所定の姿勢に保持された状態において作業者が工具を被打部に接触させるときに下地に面し、且つ、把持部よりも下地に近い側に配置される。保持部は、保持部と被打部との間にコンクリート用釘の頭部を係止するように構成されている。
【0035】
この構成によれば、作業者がコンクリート用釘の頭部を保持部と被打部との間に係止することによってコンクリート用釘を補助具に一時的に固定することができる。また、シート部材を下地に固定する場合には、作業者は、補助具における把持部を一方の手で把持し、他方の手でコンクリートハンマー等の工具を把持する。作業者が一方の手で補助具を把持することによってシート部材の上面においてコンクリート用釘が所定の姿勢に保持されるため、作業者が一方の手で補助具を添えたまま他方の手で被打部を打つことによって、コンクリート用釘の軸部を容易に下地に刺すことができる。
【0036】
軸部が下地に刺さった後には、作業者が一方の手で下地およびシート部材から補助具を離すことによって、コンクリート用釘と補助具との間の固定を解除することができる。詳しくは、被打部と保持部との間に挟まれたコンクリート用釘の頭部に沿って、コンクリート用釘から離れる方向に補助具をスライドさせることにより、頭部から補助具を離すことができる。このとき、コンクリート用釘の軸部は下地に刺さったままであるため、引き続いてコンクリート用釘の頭部を作業者が正確に狙って打つことができる。これにより、下地に軸部が容易に挿し込まれる。このように、この構成によれば、作業者は、コンクリート用釘を下地に対して容易に打つことができるとともに、コンクリート用釘の軸部を下地に容易に挿し込むことができる。つまり、この構成によれば、より簡易に、シート部材をコンクリートの下地に固定させることができる。
【発明の効果】
【0037】
以上のように、本発明によれば、より簡易に、シート部材をコンクリートの下地に固定させることが可能なコンクリート用釘およびコンクリート用釘セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明に従ったコンクリート用釘の正面図または側面図(A)、コンクリート用釘の平面図(B)、コンクリート用釘の下面図(C)である。
図2】本発明に従ったコンクリート用釘セットにおける補助具の正面図である。
図3】本発明に従ったコンクリート用釘セットにおける補助具の左側面図である。
図4】本発明に従ったコンクリート用釘セットにおける補助具の背面図である。
図5】本発明に従ったコンクリート用釘セットにおける補助具の平面図である。
図6】本発明に従ったコンクリート用釘セットにおける補助具の下面図である。
図7】本発明に従ったコンクリート用釘を用いたシート部材の固定の例を模式的に示す断面図である。
図8】本発明に従ったコンクリート用釘を製造する方法を説明するための模式図であって、(A)は材料を切断した後の状態を示す図であって、(B)は製造途中の材料の一つの状態を示す図であって、(C)は製造途中の材料のもう一つの状態を示す図であって、(D)は製造途中の材料のさらにもう一つの状態を示す図である。
図9】シート部材の固定の従来の例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0040】
図1に、本発明のコンクリート用釘の一例としてのコンクリート用釘10(以下、釘10という)を示す。釘10は、コンクリートにシート部材(それぞれ図示せず)を固定させるための釘である。図1(A)は、釘10の正面図または側面図であって、図1(B)は釘10の平面図であって、図1(C)は釘10の下面図である。
【0041】
釘10は、板状の頭部1と、軸部2とを有する。頭部1は、略円板形状を有する。軸部2は、頭部1の表面11と裏面12とのうち、裏面12に接続する。軸部2は、頭部1の表面11が延びる方向に略直交する方向に頭部1の中心部から延びる。頭部1の表面11の最大幅の寸法は、軸部2の長さLaよりも大きい。軸部2の長さLaは、頭部1の裏面12から後述する先端部14の先端までの長さである。釘10において、頭部1の表面11の最大幅の寸法は、頭部1における略円板の直径D1である。つまり、頭部1の直径D1は、軸部2の長さLaよりも大きい。
【0042】
なお、頭部1と軸部2との境界部分としての軸部2の根元15においては、裏面12と軸部2とが所定の半径でなだらかに繋がるように釘10が加工される。この半径の例は、好ましくは、1.5mmである。
【0043】
軸部2は、略円柱形状を有する。軸部2の直径D2は、頭部1の厚さTよりも大きい。軸部2は、胴部13と先端部14とを有する。軸部2の直径D2は、胴部13の直径に一致する。
【0044】
胴部13は、頭部1の表面11が延びる方向に略直交する方向に頭部1の中心部から延びる。先端部14は、頭部1から離れるように胴部13が延びる方向に沿って胴部13から延び、且つ、胴部13から離れる方向に沿って先細りに形成されている。先端部14は、四角錐形状を有する。先端部14の長さLcは、胴部13の長さLbよりも大きい。なお、先端部14の先端角αは、好ましくは25°以上且つ50°以下である。釘10において、先端部14の先端角が32°であるように、軸部2が構成されている。
【0045】
釘10は、例えば、SWCH22A等の炭素鋼、または、ステンレス鋼等によって形成されている。なお、釘10の表面のビッカース硬さは、530以上であることが好ましい。また、釘10の内部として、軸部2の中心部のビッカース硬さは、320以上且つ400以下であることが好ましい。軸部2の中心部の硬度については、頭部1の表面11が延びる方向に沿って軸部2を切断することによって得られる断面における硬度である。
【0046】
釘10と、図2〜6に示す補助具30とによって、本発明に従ったコンクリート用釘セットが構成される。図2は、補助具30の正面図である。図3は補助具30の左側面図であって、図4は補助具30の背面図であって、図5は補助具30の平面図であって、図6は補助具30の下面図である。補助具30は、釘10が固定されるコンクリートの下地(図示せず)に対して釘10を所定の姿勢に保持する。
【0047】
補助具30は、例えば、長尺形状を有する板材に折り曲げ加工を施すことによって作られる。補助具30の中心部に段差が形成されるように、この板材が折り曲げられる。補助具30において、一端部と他端部との間は、スロープ状に屈曲されている。屈曲部32は、補助具30の中心部に形成された段差の部分である。また、補助具30は、把持部31と被打部33と保持部40とを含む。屈曲部32は、補助具30において、把持部31と、被打部33および保持部40との間に形成されている。
【0048】
なお、図3には、補助具30に一時的に固定される釘10を仮想線(二点鎖線)で示す。把持部31は、作業者が補助具30を把持するための部分である。被打部33は、図示しないコンクリートの下地に釘10を固定させるための工具が接触する部分である。保持部40は、被打部33の反対側に配置される。把持部31は、長尺形状を有する補助具30の中心に対して一方の側に配置される。被打部33と保持部40とは、補助具30の中心に対して他方の側に配置される。被打部33が構成される補助具30の一端部のうちの一方の面33aが、上記の工具に打たれる。保持部40は、被打部33が構成される補助具30の一端部のうちの他方の面33bに固定されている。
【0049】
後述するように、保持部40は、釘10が所定の姿勢に保持された状態において作業者がコンクリートハンマー等の工具(図示せず)を被打部33に接触させるときにコンクリートの下地(図示せず)に面する。また、補助具30の中心部に屈曲部32が形成されていることにより、保持部40は、釘10が所定の姿勢に保持された状態において作業者が工具を被打部33に接触させるときに、把持部31よりも下地に近い側に配置される。被打部33における面33aおよび面33bは、把持部31が延びる方向と略平行な方向に延びている。
【0050】
図3に示すように、保持部40は、長尺形状を有する板材が折り曲げられたような形状を有する。保持部40は、保持部40と被打部33との間に釘10の頭部1を係止するように構成されている。
【0051】
保持部40は、固定部41と、屈曲部42と、支持部43と、先端部44と、突起49とを含む。固定部41は、保持部40のうち、被打部33に固定される部分である。固定部41は、被打部33の面33bにおいて補助具30にリベットで係止される。なお、固定部41は、被打部33において補助具30に溶着されていてもよい。屈曲部42は、固定部41から略直角に折れ曲がる部分である。支持部43は、屈曲部42から略直角に折れ曲がって面33bが延びる方向と略平行な方向に延びる。先端部44は、支持部43から略直角に折れ曲がる部分である。二つの突起49は、面33bから突出するように、それぞれ、保持部40の両脇に配置されている(図4参照)。
【0052】
作業者が片手で把持部31を掴みながら、もう片方の手で保持部40と被打部33との間に釘10の頭部1を挟み込むことにより、補助具30に釘10を一時的に固定させることができる。補助具30に釘10が一時的に固定された状態においては、釘10の頭部1が、保持部40の弾性力によって面33bと支持部43との間に挟まれる。このとき、頭部1の表面11が面33bに接触し、且つ、頭部1の裏面12が支持部43に接触する。また、頭部1の外周縁が二つの突起49に接触することによって、補助具30における釘10の移動が制限される。なお、このとき、釘10の頭部1は、保持部40の屈曲部42とは接触しない。また、釘10の軸部2は、保持部40の先端部44とは接触しない。
【0053】
このようにして、補助具30において、釘10を所定の姿勢に保持することができる。作業者は、補助具30に一時的に固定された釘10でコンクリートの下地(図示せず)にシート部材(図示せず)を打ち付けるときには、保持部40が下地に面するように補助具30の向きを調整する。さらに、一時的に固定された釘10を含む補助具30を片手で持ちながら、もう片方の手でコンクリートハンマー等の工具(図示せず)で被打部33を打つことによって、シート部材を貫通した釘10の軸部2を下地に刺すことができる。
【0054】
作業者は、工具で被打部33を打つときに、保持部40が下地に面するように補助具30を掴んでおく。このように釘10が一時的に補助具30に固定された状態において、作業者は、補助具30を介して釘10を下地に打ち込むことができる。釘10が補助具30に一時的に固定されているため、作業者は、安定した状態で正確に補助具30を打つことができる。このように、補助具30は、補助具30が釘10を所定の姿勢に保持した状態において被打部33が打たれることによって、釘10の軸部2を下地に刺すことができるように構成されている。
【0055】
一方、軸部2が刺さった釘10を補助具30から離すときには、作業者は、釘10の頭部1に沿って補助具30をスライドさせる。この移動によって、面33bと支持部43との間から頭部1が離れる。補助具30が釘10から離れた後においても、軸部2が下地に刺さっているため、作業者は、引き続いて釘10の頭部1を打つことによって、釘10でシート部材をコンクリートの下地に打ち付けることができる。
【0056】
図7は、本発明に従ったコンクリート用釘を用いたシート部材の固定の例を模式的に示す断面図である。下地21としてのコンクリートの上に被せられた防水用のシート部材22は、釘10で下地21に打ち付けられることによって下地21に固定される。この例においては、釘10がシート部材22を貫通して下地21に挿し込まれるときに、前以て下地21に下穴を形成しておく必要がない。釘10によって下地21に固定されたシート部材22の上には、金属性等の屋根材料23が設置される。このようにして、建造物の屋根における防水のための構造を施工する。
【0057】
なお、シート部材22としては、公知の、または、一般的な防水用のシート部材を用いることができる。例えば、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂性のシート部材、アスファルトルーフィングフェルト、または、ストレッチルーフィングフェルト等をシート部材22として用いることができる。なお、シート部材22の下面には、下地21に接着される層が形成されていてもよい。釘10は、接着層によって下地21に接着されたシート部材22を、下地21に打ち付けるものであってもよい。
【0058】
続いて、以下においては、釘10を製造する方法について説明する。図8は、本発明に従ったコンクリート用釘を製造する方法を説明するための模式図であって、(A)は材料を切断した後の状態を示す図であって、(B)は製造途中の材料の一つの状態を示す図であって、(C)は製造途中の材料のもう一つの状態を示す図であって、(D)は製造途中の材料のさらにもう一つの状態を示す図である。
【0059】
まず、線材を所定の長さL0ごとに切断する(図8(A)参照)。切断された線材をフィンガー(図示せず)が掴み、第1ダイス(図示せず)まで運ぶ。第1ダイスは、線材のうち、釘10の軸部2(図1(A)参照)が形成される側を把持する。第1ダイスが把持する線材を、第1ダイスと第1パンチとでプレスすることによって、線材のうちの釘10の軸部2(図1(A)参照)が形成される部分が引き延ばされる。つまり、材料全体の長さがL0からLに変化するとともに、材料のうちの軸部2(図1(A)参照)が形成される側の直径がd0からdに減少する。これにより、第1段階の製品の形状が形成される(図8(B)参照)。次に、第1ダイスに置かれた第1段階の製品を第2パンチ(図示せず)がプレスすることによって、第2パンチが第1段階の製品を把持する。このとき、第1段階の製品の形状は変化しない。
【0060】
第1段階の製品のうちの頭部1(図1(A)参照)が形成される側が第2パンチに置かれた状態で、第2ダイス(図示せず)で第1段階の製品をプレスすることによって、第2段階の製品の形状が形成される(図8(C)参照)。このとき、材料のうちの軸部2(図1(A)参照)が形成される側の長さがL2からL3に増大する。さらに続いて、軸部2(図1(A)参照)が形成される側が第2ダイスに置かれているので、第2段階の製品を第3パンチ(図示せず)でプレスすることによって、第3段階の製品の形状が形成される(図8(D)参照)。
【0061】
第3段階の製品は、一対の金型の間に運ばれた後、この金型に挟み込まれる。金型が材料を挟む圧力が金型に加えられることによって、軸部2のうちの先端部14(図1(A)参照)が形成される部分の形状が歪む。さらに、金型に加える圧力を増大させて材料をさらに変形させることによって、軸部2における先端部14の形状が整えられる。次に、先端部14の加工の後に残った縁をバレル研磨で除去する。バレル(タンク)に対象物としての材料と、研磨剤と、研磨用石とを規定量投入し、バレルを所定の時間回転させることによって研磨する。研磨後には、防錆液を少量かけ、熱風乾燥させる。なお、このバレル研磨においては、先端部14の鋭さを保つことができる程度に、材料が強固に押し付けられないように材料への押圧力を調整することが好ましい。
【0062】
さらに、バレル研磨、防錆処理および熱風乾燥の後には、焼入れによる熱処理が施される。熱処理の後には、例えば、電気亜鉛めっき光沢クロメート処理等の表面処理が施される。なお、釘10の表面のビッカース硬さは、530以上、好ましくは580以上且つ680以下に調整される。また、釘10の内部としての釘10の軸部2の中心部のビッカース硬さは、320以上且つ420以下、好ましくは320以上且つ400以下に調整される。
【0063】
以上のように、釘10は、コンクリートにシート部材22を固定させるためのコンクリート用釘である。釘10は、板状の頭部1と、軸部2とを有する。軸部2は、頭部1の表面11が延びる方向に略直交する方向に頭部1の中心部から延びる。頭部1の表面11の最大幅の寸法は、軸部2の長さLaよりも大きい。
【0064】
釘10を用いる場合には、コンクリートの下地21に被せられたシート部材22を軸部2が貫通するように、軸部2の長さLaよりも大きな頭部1の表面11を工具で正確に打つことができる。これにより、釘10でシート部材22を下地21に固定させることができる。このとき、シート部材22および下地21に下穴を形成することなく、単に釘10でシート部材22を下地21に打ち付けることのみによって、シート部材22を下地21に固定させることができる。このように、釘10を用いることによって、下地21にシート部材22を固定する場合に振動ドリルおよびインパクトドライバを用いる必要がなくなるため、作業において用いる工具を減らすことができる。
【0065】
また、釘10を用いる場合には、軸部2の長さLaよりも大きな頭部1の表面11によってシート部材22を押えることができるため、釘10とは別に座金のように用いる部材を用意する必要がない。すなわち、部材の点数の増加を防止することができる。このように、釘10を用いることによって、下穴を形成する工程を省くことができるとともに、部材の点数および工具の増加を防止することができるため、工期を短縮することが可能である。
【0066】
このようにすることによって、より簡易に、シート部材22をコンクリートの下地21に固定させることが可能な釘10を提供することができる。
【0067】
釘10の表面のビッカース硬さは530以上であって、軸部2の中心部のビッカース硬さは320以上且つ420以下である。
【0068】
この構成によれば、シート部材22および下地21に下穴を形成することなく、単に釘10でシート部材22を下地21に打ち付けることのみによって、シート部材22を下地21に容易に固定させることができる。また、軸部2の中心部の硬度が抑えられていることによって適度な靭性を有するため、軸部2を適度に塑性変形させながら下地21に挿し込むことができる。そのため、下地21の表面およびシート部材22の上面に対して軸部2が略直角に延びるように下地21に挿し込まれていない場合でも、釘10の頭部1がシート部材22の上面に沿って延びるように、頭部1の姿勢を容易に調整することができる。そのため、釘10の頭部1によって、屋根材料23に凸が形成されることを防止することができる。
【0069】
釘10において、軸部2は、胴部13と先端部14とを有する。胴部13は、頭部1の表面11が延びる方向に略直交する方向に頭部1の中心部から延びる。先端部14は、頭部1から離れるように胴部13が延びる方向に沿って胴部13から延び、且つ、胴部13から離れる方向に沿って先細りに形成される。
【0070】
この構成によれば、先端部14から円滑に軸部2を下地21に容易に挿し込むことができる。したがって、この構成によれば、シート部材22および下地21に下穴を形成することなく、単に釘10でシート部材22を下地21に打ち付けることのみによって、シート部材22を下地21に容易に固定させることができる。
【0071】
釘10において、先端部14の長さLcは、胴部13の長さLbよりも大きい。
【0072】
この構成によれば、下地21に軸部2が挿し込まれるときに、軸部2と下地21との間に加わる摩擦力を低減することができるため、釘10の軸部2を下地21に容易に挿し込むことができる。したがって、この構成によれば、シート部材22および下地21に下穴を形成することなく、単に釘10でシート部材22を下地21に打ち付けることのみによって、シート部材22を下地21に容易に固定させることができる。
【0073】
釘10において、先端部14は角錐形状を有する。
【0074】
この構成によれば、下地21をチッピングさせることによって、釘10の軸部2を下地21に容易に挿し込むことができる。したがって、この構成によれば、シート部材22および下地21に下穴を形成することなく、単に釘10でシート部材22を下地21に打ち付けることのみによって、シート部材22を下地21に容易に固定させることができる。
【0075】
釘10において、先端部14の先端角αは25°以上且つ50°以下であって、32°である。
【0076】
この構成によれば、釘10の軸部2を下地21に容易に挿し込むことができる。
【0077】
釘10において、軸部2は、略円柱形状を有する。頭部1の厚さTは、軸部2の直径D2よりも小さい。
【0078】
このような比較的小さい頭部1の厚さによって、屋根材料23に凸が形成されることを防止することができる。また、比較的大きな径を有する軸部2によって、釘10が下地21から抜けることを防止することができる。
【0079】
釘10において、頭部1は、略円板形状を有する。頭部1の表面11の最大幅の寸法は、略円板の直径D1である。
【0080】
この構成によれば、略円周形状の頭部1の縁に沿って、下地21に対して釘10がシート部材22を均等に押えることができるため、下地21からのシート部材22の剥離を防止することができる。
【0081】
本発明に従ったコンクリート用釘セットは、釘10と、釘10が固定される下地21に対して釘10を所定の姿勢に保持する補助具30とを備える。
【0082】
釘10を用いる場合には、上記のようにより簡易に、シート部材22をコンクリートの下地21に固定させることができる。さらに、補助具30は、釘10が固定される下地21に対して釘10を所定の姿勢に保持することができるため、作業者は、補助具30を用いることによって釘10を下地21に対して容易に打つことができる。
【0083】
このようにすることによって、より簡易に、シート部材22をコンクリートの下地21に固定させることが可能な釘10と補助具30とを備えるコンクリート用釘セットを提供することができる。
【0084】
本発明に従ったコンクリート用釘セットにおいて、補助具30が釘10を所定の姿勢に保持した状態において補助具30が打たれることによって、釘10の軸部2を下地21に刺すことができるように補助具30が構成されている。
【0085】
この構成によれば、作業者は、釘10を下地21に対して容易に打つことができるとともに、補助具30を用いて容易に釘10の軸部2を下地21に刺すことができる。
【0086】
本発明に従ったコンクリート用釘セットにおいて、補助具30は、把持部31と被打部33と保持部40とを含む。把持部31は、作業者が補助具30を把持するための部分である。被打部33は、釘10を下地21に固定させるための工具が接触する部分である。保持部40は、被打部33の反対側に配置される。把持部31は、長尺形状を有する補助具30の中心に対して一方の側に配置される。被打部33と保持部40とは、補助具30の中心に対して他方の側に配置される。保持部40は、釘10が所定の姿勢に保持された状態において作業者が工具を被打部33に接触させるときに下地21に面し、且つ、把持部31よりも下地21に近い側に配置される。保持部40は、保持部40と被打部33との間に釘10の頭部1を係止するように構成されている。
【0087】
この構成によれば、作業者が釘10の頭部1を保持部40と被打部33との間に係止することによって釘10を補助具30に一時的に固定することができる。また、シート部材22を下地21に固定する場合には、作業者は、補助具30における把持部31を一方の手で把持し、他方の手でコンクリートハンマー等の工具を把持する。作業者が一方の手で補助具30を把持することによってシート部材22の上面において釘10が所定の姿勢に保持されるため、作業者が一方の手で補助具30を添えたまま他方の手で被打部33を打つことによって、釘10の軸部2を容易に下地21に刺すことができる。
【0088】
軸部2が下地21に刺さった後には、作業者が一方の手で下地21およびシート部材22から補助具30を離すことによって、釘10と補助具30との間の固定を解除することができる。詳しくは、被打部33と保持部40との間に挟まれた釘10の頭部1に沿って、釘10から離れる方向に補助具30をスライドさせることにより、頭部1から補助具30を離すことができる。このとき、釘10の軸部2は下地21に刺さったままであるため、引き続いて釘10の頭部1を作業者が正確に狙って打つことができる。これにより、下地21に軸部2が容易に挿し込まれる。このように、この構成によれば、作業者は、釘10を下地21に対して容易に打つことができるとともに、釘10の軸部2を下地21に容易に挿し込むことができる。つまり、この構成によれば、より簡易に、シート部材22をコンクリートの下地21に固定させることができる。
【0089】
なお、本発明に従ったコンクリート用釘において、頭部の表面の形状は、楕円形であってもよく、菱形を含む平行四辺形であってもよい。これらのような形状を有する頭部の表面の最大幅が、コンクリート用釘における軸部の長さよりも大きければよい。例えば、頭部の表面の形状が楕円形である場合には、楕円における長軸の長さが、コンクリート用釘における軸部の長さよりも大きいことが好ましい。
【0090】
本発明に従ったコンクリート用釘において、頭部の表面が略平面であることに限定されない。頭部の表面は、ドーム状に膨らんだ部分を有していてもよく、コンクリートの下地に打ち付けられたときに、下地が延びる方向と略平行な方向に実質的に延びるものであればよい。一方、頭部の裏面は、略平面であることが好ましい。
【0091】
本発明に従ったコンクリート用釘として、軸部の先端部の横断面において形成される多角形の頂点の数は、三つであってもよく、五つ以上であってもよい。ただし、当該多角形の頂点の数は、より少ないことが好ましい。しかしながら、釘10における四角錐形状の構成によれば、先端部14を容易に加工することができる。また、先端部の水平断面の形状が円形であるように、先端部は円錐形状を有していてもよい。
【0092】
なお、本発明に従ったコンクリート用釘セットの補助具における保持部は、保持部と被打部との間にコンクリート用釘の頭部を挟むように構成されたものに限定されない。例えば、コンクリート用釘の頭部の外周縁を囲むように、頭部の外周縁と相似した形状の周壁を含む略筒形状の構成が補助具の被打部に形成されていてもよい。この略筒形状の構成には、周壁が連続しないように切り欠きが形成されていてもよい。
【0093】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0094】
1:頭部、2:軸部、10:釘、11:表面、12:裏面、13:胴部、14:先端部、30:補助具、31:把持部、33:被打部、40:保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9