(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、スケール厚さが薄い場合における従来の計測手段は、解析用コンピュータや波形発生装置のような特別な装置が必要となる問題点があった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、内部付着物(例えばスケール)の厚さが薄く、境界面と底面における超音波の反射エコーが重畳する場合でも、内部付着物の厚さを外面から高精度に計測することができる内部付着物の厚さ計測装置と方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、被検査体の内面又は裏面に付着した内部付着物の厚さを超音波で計測する内部付着物の厚さ計測装置であって、
超音波の反射波は、前記被検査体の内面又は裏面と内部付着物との境界面で反射された境界面エコーと、前記内部付着物の内面又は裏面で反射された底面エコーとからなり、
前記境界面エコーと底面エコーは、最大ピークより先行する前側極値点と最大ピークより遅れる後側極値点をそれぞれ有しており、
前記被検査体の外面から超音波を入射しその反射波を受信する探触子と、
前記反射波から前記内部付着物の厚さを算出する演算装置と、を備え、
(A)内部付着物が付着していない被検査体に相当する基準試験体の外面から超音波を入射しその反射波を基準波形として受信し、
(B)基準波形における最大ピークと前側極値点との前側時間差Δt1と、最大ピークと後側極値点との後側時間差Δt2とを予め記憶し、
(C)被検査体の外面から超音波を入射しその反射波を検査波形として受信し、
(D)前記検査波形に含まれる境界面エコーの前側極値点の検出時点と前記前側時間差Δt1から境界面エコーの最大ピークの換算時点t3を換算し、かつ前記検査波形に含まれる底面エコーの後側極値点の検出時点と前記後側時間差Δt2から底面エコーの最大ピークの換算時点T3を換算し、
(E)換算した前記換算時点t3、T3の時間差Δtから被検査体の内面又は裏面に付着した内部付着物の厚さを算出する、ことを特徴とする内部付着物の厚さ計測装置が提供される。
【0011】
前記被検査体は、発電プラント又は化学プラントの配管又は板状検査体であり、
前記内部付着物は、水蒸気酸化スケールを含む酸化スケール、薬品化合物、又は樹脂及びゴム、その他の化学化合物である。
【0012】
前記演算装置は、超音波送受信部、制御部、及び表示部を有する。
【0013】
さらに前記被検査体の外面における前記探触子の位置情報を検出するエンコーダを備え、
前記演算装置は、前記探触子が受信した前記反射波の振幅情報を取り込みカラー変換したイメージ画像を前記位置情報と共に表示する、ことが好ましい。
【0014】
また本発明によれば、被検査体の内面又は裏面に付着した内部付着物の厚さを超音波で計測する内部付着物の厚さ計測方法であって、
超音波の反射波は、前記被検査体の内面又は裏面と内部付着物との境界面で反射された境界面エコーと、前記内部付着物の内面又は裏面で反射された底面エコーとからなり、
前記境界面エコーと底面エコーは、最大ピークより先行する前側極値点と最大ピークより遅れる後側極値点をそれぞれ有しており、
(A)内部付着物が付着していない被検査体に相当する基準試験体の外面から超音波を入射しその反射波を基準波形として受信し、
(B)基準波形における最大ピークと前側極値点との前側時間差Δt1と、最大ピークと後側極値点との後側時間差Δt2とを予め記憶し、
(C)被検査体の外面から超音波を入射しその反射波を検査波形として受信し、
(D)前記検査波形に含まれる境界面エコーの前側極値点の検出時点と前記前側時間差Δt1から境界面エコーの最大ピークの換算時点t3を換算し、かつ前記検査波形に含まれる底面エコーの後側極値点の検出時点と前記後側時間差Δt2から底面エコーの最大ピークの換算時点T3を換算し、
(E)換算した前記換算時点t3、T3の時間差Δtから被検査体の内面又は裏面に付着した内部付着物の厚さを算出する、ことを特徴とする内部付着物の厚さ計測方法が提供される。
【0015】
前記(A)において、基準波形を記憶し、
前記(D)において、前記検査波形に基準波形を重ねて表示する。
【0016】
前記前側極値点と後側極値点は、反射波のピーク又はボトムである。
【0017】
前記境界面エコーと底面エコーは、それぞれ順に前ピーク、最大ピーク、後ピークの3つのピークを有しており、
前記前側極値点は、前記前ピークであり、
前記後側極値点は、前記後ピークである、ことが好ましい。
【0018】
前記被検査体の外面における探触子の位置情報を検出し、
前記探触子が受信した前記反射波の振幅情報を取り込みカラー変換したイメージ画像を前記位置情報と共に表示する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
上記本発明の装置と方法によれば、内部付着物(例えばスケール)の厚さが薄く、境界面と底面における超音波の反射エコーが重畳する場合でも、境界面エコーの前側極値点(ピーク又はボトム)は、底面エコーより必ず先行しているので、底面エコーと重畳されずに容易に検出できる。従って、境界面エコーの最大ピークの換算時点t3を、基準波形における最大ピークと前側極値点との前側時間差Δt1から換算することができる。
【0020】
また、同様に、内部付着物(例えばスケール)の厚さが薄く、境界面と底面における超音波の反射エコーが重畳する場合でも、底面エコーの後側極値点(ピーク又はボトム)は、先行する境界面エコーより必ず遅れているので、境界面エコーと重畳されずに容易に検出できる。従って、底面エコーの最大ピークの換算時点T3を、基準波形における最大ピークと後側極値点との後側時間差Δt2から換算することができる。
【0021】
前側時間差Δt1と後側時間差Δt2は、被検査体及び探触子が同一の場合、同一の超音波の同一物体内での反射波であるため、境界面エコーと底面エコーで同一の値となる。従って、上記のように換算した最大ピークの換算時点t3、T3は、反射エコーが重畳しない場合のそれぞれの最大ピーク時点と実質的に同一であり、この時間差Δtから内部付着物の厚さを外面から高精度に計測することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0024】
図1は、スケール厚さの従来の計測手段を示す図である。この図において、(A)は、ボイラ管のスケール厚さが厚い場合、(B)は、スケール厚さが薄い場合であり、それぞれ超音波の反射波形(反射エコー)である。なお各図において横軸は時間t、縦軸は波形強度Fを示している。
【0025】
図1(A)に示すように、超音波の反射エコーには、ボイラ管とその内面との境界面で反射された境界面エコーIと、スケールの内面で反射された底面エコーBとが含まれる。
スケール厚さが厚い場合は、
図1(A)のように境界面エコーIと底面エコーBが時間的に分離し、それぞれの最大ピーク間の時間差Δtを容易に読み取ることができる。従って、スケール厚さdを、境界面エコーIと底面エコーBのそれぞれの最大ピーク間の時間差Δtを求め、これに音速Vを乗じて2で割る計算(d=Δt×V/2)により求めることができる。
【0026】
図1(B)に示すように、スケール厚さが薄い場合は、境界面エコーIと底面エコーBが部分的に重畳するため、それぞれの最大ピークが時間的に分離できず、最大ピーク間の時間差Δtを読み取ることが困難又は不可能になる。そのため、読み取りが可能であっても、精度が大幅に低下する問題点があった。
【0027】
図2は、本発明による内部付着物2の厚さ計測装置10の全体構成図である。
この図において、本発明の厚さ計測装置10は、被検査体1の内部(内面又は裏面)に付着した内部付着物2の厚さdを超音波3で計測する装置である。
【0028】
被検査体1は、この例では、ボイラの伝熱管であるが、発電プラント又は化学プラントの配管であってもよい。また、被検査体1は管に限定されず、内面を有する限りで、容器(例えば圧力容器)又は板状検査体であってもよい。
内部付着物2は、この例では、水蒸気酸化スケールであるが、酸化スケール、薬品化合物、又は樹脂及びゴム、その他の化学化合物であってもよい。また、内部付着物2はこれらの例に限定されず、その内部を伝播する音速Vが既知、又は計測可能であればどのような物質であってもよい。
【0029】
図2において、本発明の厚さ計測装置10は、探触子12と演算装置14を備える。
【0030】
探触子12は、被検査体1(例えば管)の外面に、接触媒体11を介して取り付けられ、被検査体1の内側に超音波3を入射しかつその反射波4を受信する。
【0031】
演算装置14は、例えばコンピュータ(PC)であり、反射波4から内部付着物2(例えばスケール)の厚さdを算出する。
演算装置14は、この例では、超音波送受信部15、制御部16、及び表示部17を有する。超音波送受信部15は、探触子12に超音波3を送信し、探触子12から反射波4を受信する。制御部16は、反射波4から内部付着物2(例えばスケール)の厚さdを算出する。表示部17は、表示装置(CRT等)である。
【0032】
図3は、本発明による内部付着物2の厚さ計測方法の全体フロー図である。この図に示すように、本発明の方法は、S1〜S5の各ステップ(工程)からなる。
【0033】
ステップS1では、内部付着物2が付着していない被検査体1に相当する基準試験体1Aの外面から超音波3を基準試験体1A内に向けて入射し、その反射波4を基準波形5として受信する。
また、ステップS1において、基準波形5を演算装置14の記憶装置(図示せず)に記憶することが好ましい。
【0034】
内部付着物2が付着していない被検査体1に相当する基準試験体1Aは、被検査体1と内部付着物2が付着していない点以外は、実質的に同一であることが好ましい。しかし、本発明はこれに限定されず、基準波形5の形状が実質的に同一である限りにおいて、形状、材質等が異なる基準試験体1Aを用いても良い。
【0035】
図4は、基準波形5の一例を示す図である。この図において、基準波形5は、最大ピークP3より先行する前側極値点と最大ピークP3より遅れる後側極値点をそれぞれ有している。前側極値点と後側極値点は、反射波4のピーク又はボトムである。
この例において、前側極値点は、前ピークP1と前ボトムP2であり、後側極値点は、後ボトムP4と後ピークP5である。
なお基準波形5はこの例に限定されず、最大ピークP3より前後(時間的に)に少なくとも1つずつの前側極値点と後側極値点を有していればよい。
【0036】
以下、
図4の例において、前側極値点が前ピークP1であり、後側極値点が後ピークP5である場合を説明する。
なお、前側極値点と後側極値点の選択は任意であり、前側極値点を前ボトムP2、後側極値点を後ボトムP4としてもよい。
【0037】
ステップS2では、
図4の例において、基準波形5における最大ピークP3と前側極値点(前ピークP1)との前側時間差Δt1と、最大ピークP3と後側極値点(後ピークP5)との後側時間差Δt2を予め記憶する。
なお、
図4の例において、前側時間差Δt1と後側時間差Δt2の対象は、前ピークP1及び後ピークP5に限定されず、前ボトムP2又は後ボトムP4を用いてもよい。また、基準波形5がその他の極値点(ピーク又はボトム)を含む場合に、その他の極値点を用いてもよい。
【0038】
ステップS3では、被検体である内部付着物2付きの被検査体1の外面から超音波3を被検査体1内に向けて入射しその反射波4を検査波形6として受信する。
【0039】
以下、基準波形5の最大ピークP3に対応する境界面エコーIと底面エコーBの最大ピークをp3(小文字)とq3(小文字)とする。
また、同様に、基準波形5の前側極値点(前ピークP1と前ボトムP2)に対応する境界面エコーIの前側極値点(前側のピークとボトム)をp1、p2(小文字)、基準波形5の後側極値点(後ボトムP4と後ピークP5)に対応する底面エコーBの後側極値点をq4、q5(小文字)とする。
【0040】
ステップS4では、検査波形6に含まれる境界面エコーIの前側極値点(前ピークp1)の検出時点t1と前側時間差Δt1から境界面エコーIの最大ピークp3の換算時点t3を換算する。この換算式は、t3=t1+Δt1・・・(1)で表すことができる。
また、並行して、検査波形6に含まれる底面エコーBの後側極値点(後ピークq5)の検出時点T5と後側時間差Δt2から底面エコーBの最大ピークq3の換算時点T3を換算する。この換算式は、T3=t5−Δt2・・・(2)で表すことができる。
【0041】
ステップS4において、好ましくは、表示部17の画像上に検査波形6に基準波形5を重ねて表示する。このように表示することにより、前側極値点(前ピークp1)の検出時点t1と後側極値点(後ピークq5)の検出時点T5とを画像上で容易に判別することができ、換算時点t3、T3の換算を正確に行うことができる。
【0042】
ステップS5では、換算時点t3、T3の時間差Δtから被検査体1の内面に付着した内部付着物2の厚さdを算出する。この計算式は、d=Δt×V/2・・・(3)で表すことができる。
【0043】
図5は、検査波形6の一例を示す図である。
この例において、境界面エコーIの前ピークp1と、底面エコーBの後ピークq5は、それぞれ識別可能である。しかし、その他の極値点(ピーク又はボトム)は、境界面エコーIと底面エコーBが重畳するため、波形が合成されてしまい、識別困難である。
本発明によれば、このような場合でも、換算時点t3、T3の時間差Δtから被検査体1の内面に付着した内部付着物2の厚さdを算出することができる。
【実施例1】
【0044】
図6は、表示部17の画像上において、検査波形6に基準波形5を重ねて表示した例を示す図である。この図において、実線は被検査体1における検査波形6、破線は基準試験体1Aにおける基準波形5である。
【0045】
内部付着物2の厚さが(A)は厚い(約700μm)場合、(B)は薄い(約150μm)場合を示している。
図6(A)(B)において、前側時間差Δt1(=0.086μs)と後側時間差Δt2(=0.109μs)は同一である。
【0046】
図6(A)において、前ピークp1の検出時点t1(=3.806μs)と、後ピークq5の検出時点T5(=4.252μs)は、画像上で容易に判別することができる。
従って、上記(1)式から、t3=t1+Δt1=3.806μs+0.086μs=3.892μsと換算し、上記(2)式から、T3=t5−Δt2=4.252μs−0.109μs=4.143μsと換算し、上記(3)式から、d=Δt×V/2=(4.143μs−3.892μs)×(5920m/s)/2=743μsとして、内部付着物2の厚さdを算出することができる。
【0047】
同様に、
図6(B)において、前ピークp1の検出時点t1(=1.793μs)と、後ピークq5の検出時点T5(=2.036μs)は、画像上で容易に判別することができる。
従って、上記(1)式から、t3=t1+Δt1=1.793μs+0.086μs=1.879μsと換算し、上記(2)式から、T3=t5−Δt2=2.036μs−0.109μs=1.927μsと換算し、上記(3)式から、d=Δt×V/2=(1.927μs−1.879μs)×(5920m/s)/2=142μsとして、内部付着物2の厚さdを算出することができる。
【実施例2】
【0048】
(探触子12の相違による基準波形5の相違)
図7は、異なる探触子12による基準波形5を示す図である。この図において、(A)は周波数10MHz、(B)は15MHz、(C)は20MHzであり、各段の左右の波形では探触子12のロットが異なっている。また図中の数字は、各ピーク間の伝搬時間差(μsec)を示している。なお、使用した試験体はJIS Z 2345 STB−N1であり、その底面エコーBを基準波形5とした。
【0049】
図8は、
図7の結果をまとめた図である。この図において、●は最大ピークP3と前ピークP1との時間差(P3−P1)、■は後ボトムP4と最大ピークP3との時間差(P4−P3)を表している。
図7、
図8から、同じ周波数でも、探触子12のロットが異なるとピークごとの伝搬時間差が異なることがわかる。そのため、付着物の厚さ計測時には、使用する探触子12ごとに基準波形5を確認することが望ましいことが確認された。
【実施例3】
【0050】
(試験体材質による基準波形5の相違)
図9は、試験体の材質が異なる場合の基準波形5を示す図である。使用した試験体は、(A)SM490、(B)9Cr鋼、(C)12Cr鋼、(D)SUS304、(E)アルミニウム、(F)石英ガラスである。試験体の板厚は全て30mmで、周波数10MHzの探触子12を使用した。なお図中の数字は、各ピーク間の伝搬時間差(μsec)を示している。
【0051】
図10は、
図9の結果をまとめた図である。
図9、
図10から、基準波形5はほぼ同形であるが、材質によって伝搬時間に差異が生じているのがわかる。このことから、付着物の厚さ計測時には、被検査体1と同材質の基準試験材1Aを用意し、それを用いて基準波形5の観察を行うことが望ましい。
【実施例4】
【0052】
(肉厚による基準波形5の相違)
図11は、試験体の肉厚が異なる場合の基準波形5を示す図である。使用した試験体はSM490で、肉厚が(A)10mm、(B)15mm、(C)30mm、(D)45mmのものを使用した。周波数は10MHzである。
【0053】
図12は、
図11の結果をまとめた図である。
図11、
図12から、肉厚によって、伝搬時間差が若干異なる傾向があることが認められた。従って、被検査物と同板厚の基準試験体1Aを用いて基準波形5の観察を行なうのが望ましい。
【0054】
上述した実施例2〜4の結果より、付着物の厚さ計測時には、準備として以下のことを行なうのが望ましい。
被検査体1と同材質、同肉厚の基準試験体1Aを用意する。
基準試験体1Aを用いて、使用する探触子12の基準波形5を観察し、ピーク間隔を調べておく。
【0055】
次に、厚さ計測装置10を用いて内部付着物2の有無を判断する装置と方法を説明する。
厚さ計測装置10は、さらに被検査体1の外面における探触子12の位置情報を検出するエンコーダを備える。
また演算装置14は、探触子12が受信した反射波4の振幅情報を取り込みカラー変換したイメージ画像を位置情報と共に表示部17に表示する。以下、イメージ画像を「Bイメージ画像」と呼ぶ。
【0056】
図13は、被検査体1が内部付着物2が付着していない基準試験体1Aである場合の、Bイメージ画像(A)と、Bイメージ画像と検査波形6を併記した対比画像(B)である。
Bイメージ画像は、振幅の大きさにより、青(B)から赤(R)までカラー変換している。なお、この図では、青(B)を「1」、赤(R)を「9」として1〜9の小数字で振幅の大きさを示している。
【0057】
内部付着物2が付着していない被検査体1(すなわち基準試験体1A)に対して、エンコーダを用いて探触子12を走査し、被検査体1の外面における探触子12の位置情報と探触子12が受信した反射波4の振幅情報を取り込みカラー変換した画像を取得すると、
図13(A)のようなBイメージ画像が得られる。そのBイメージ画像と反射波4(すなわち基準波形5)を並列に記載すると
図13(B)のようになる。P1からP5の極値点とボトムが6本の線状に表示されているのが確認できる。
【0058】
図14は、内部付着物2の厚さが薄い(338μm)場合であり、
図15は、内部付着物2の厚さが厚い(674μm)場合である。それぞれ(A)はBイメージ画像、(B)はBイメージ画像と反射波4を併記した対比画像である。また図中の表記内容は、
図13と同様である。
【0059】
図14では、境界面エコーIと底面エコーBが重畳し、
図13(B)のBイメージ画像では6本であった極値点が増え、複雑になっているのが確認できる。さらに
図15でも、境界面エコーIと底面エコーBは分離してはいるもののBイメージ画像の極値点の線が増え、
図2と比較して複雑になっているのが確認できる。
【0060】
図13(B)、
図14(B)、
図15(B)のように反射波4も併せて内部付着物2の有無を確認すると、内部付着物2の有無は明確である。しかし、それぞれのBイメージ画像のみ(
図13(A)、
図14(A)、
図15(A))であっても、極値点の線の増大により、内部付着物2の有無の判断は容易に可能である。
【0061】
すなわち、被検査体1の外面における探触子12の位置情報を検出し、探触子12が受信した反射波4の振幅情報を取り込みカラー変換したBイメージ画像を位置情報と共に表示することにより、例えば、内部付着物2が付着していない箇所と付着している箇所が混在している被検査体1の内部付着物2の厚さ計測を連続的に計測する場合、予め測定箇所のBイメージ画像を取得し、そのBイメージ画像から内部付着物2が付着している箇所の絞り込みを行なうと、効率的な計測が可能となる。
内部付着物2の厚さ計測では、境界面エコーIと底面エコーBの前側又は後側の極値点の検出時点が必要であるため、反射波4の把握は不可欠である。しかし、内部付着物2の有無を判断するという点においてはBイメージ画像が有効である。
【0062】
上述した本発明の装置と方法によれば、内部付着物2(例えばスケール)の厚さdが薄く、境界面と底面における超音波3の反射エコーが重畳する場合でも、境界面エコーIの前側極値点(ピーク又はボトム)は、底面エコーBより必ず先行しているので、底面エコーBと重畳されずに容易に検出できる。従って、境界面エコーIの最大ピークp3の換算時点t3を、基準波形5における最大ピークP5と前側極値点との前側時間差Δt1から換算することができる。
【0063】
また、同様に、内部付着物2(例えばスケール)の厚さが薄く、境界面と底面における超音波3の反射エコーが重畳する場合でも、底面エコーBの後側極値点(ピーク又はボトム)は、先行する境界面エコーIより必ず遅れているので、境界面エコーIと重畳されずに容易に検出できる。従って、底面エコーBの最大ピークq3の換算時点T3を、基準波形5における最大ピークP5と後側極値点との後側時間差Δt2から換算することができる。
【0064】
前側時間差Δt1と後側時間差Δt2は、被検査体1及び探触子12が同一の場合、同一の超音波3の同一物体内での反射波4であるため、境界面エコーIと底面エコーBで同一の値となる。従って、上記のように換算した最大ピークp3、q3の換算時点t3、T3は、反射エコーが重畳しない場合のそれぞれの最大ピーク時点と実質的に同一であり、この時間差Δtから内部付着物2の厚さdを外面から高精度に計測することができる。
【0065】
従って本発明によって、スケール厚さdが100μm以下のスケールも高精度で計測可能になる。また探触子12の波形特性とピーク間隔を調べておけば、様々な材質の配管の計測ができる。さらにスケール厚さdだけではなく、膜厚計測や内面のライニング厚さ計測にも適用できる。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。