特許第5957432号(P5957432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957432
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/00 20060101AFI20160714BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20160714BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   B65H1/00 501B
   B65H1/26 310Z
   G03G15/00 401
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-235598(P2013-235598)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-93773(P2015-93773A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】魚橋 悠紀
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−073664(JP,A)
【文献】 特開平03−102015(JP,A)
【文献】 特開2013−032219(JP,A)
【文献】 特開2013−112449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00 − 3/68
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体に対して着脱可能な給紙カセットと、
前記給紙カセットに回転可能に設けられた回転操作部材と、
前記給紙カセットに対して前記回転操作部材を所定回転角度毎に係止する係止部と、
前記画像形成装置本体に設けられ、前記給紙カセットに収納された被記録媒体のサイズを検知するためのサイズ検知スイッチと
を備え、
前記回転操作部材には、前記サイズ検知スイッチを作動させる押圧部が設けられ、
前記係止部は、前記回転操作部材に対して所定値以上の回転力を付与することにより前記係止が解除するように形成され、
前記回転操作部材は、第1方向と第2方向とに回転可能であり、
前記第1方向は、前記給紙カセットを前記画像形成装置本体に装着する際に、前記サイズ検知スイッチが前記押圧部を介して前記回転操作部材に付与する回転力の方向を示し、
前記第2方向は、前記第1方向の逆方向であって、前記サイズを表示窓に表示させる際に、前記回転操作部材に付与する回転力の方向を示し、
前記係止部は、前記回転操作部材に設けられた第1係合部と、前記給紙カセットに設けられた第2係合部とを含み、
前記第1係合部は、V字状の切欠きであり、
前記第1係合部の2辺のうちの一方の辺である第1辺が、前記第1係合部と前記第2係合部との係合位置において前記第2係合部に向かって円弧状に湾曲し、
前記第1辺は、前記第1係合部の前記2辺のうちの他方の辺である第2辺に対して、前記第1方向の下流側に位置しており、
前記第2辺の傾斜は、前記第1辺の傾斜よりも急であり、
前記第2係合部は、前記切欠きと対応する形状の突起であり、
前記第2係合部の2辺のうちの一方の辺である第3辺は、前記第1辺と対向し、前記第1辺に沿うように円弧状であり、
前記係止を解除するために必要な前記第1方向の回転力が、前記係止を解除するために必要な前記第2方向の回転力よりも大きい、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1係合部の前記第1辺と前記回転操作部材の回転軸線との間の角度をθ1、前記第1係合部の前記第2辺と前記回転軸線との間の角度をθ2とすると、θ1>θ2>0°であり、
前記第2係合部の前記第3辺と前記回転軸線との間の角度がθ1であ
前記第2係合部の前記2辺のうちの他方の辺である第4辺は、前記第2辺に対向し、
前記第4辺と前記回転軸線との間の角度がθ2であり、
前記回転操作部材を前記第1方向に回転させると、前記第1係合部の前記第2辺前記第2係合部の前記第4辺に当接する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1係合部の前記第1辺の傾斜は、前記回転操作部材の下端縁から前記第1係合部の頂点に向かって大きくなる、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置では、複数の被記録媒体(例えば、コピー用紙)を収納する給紙カセットが画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるものがある。斯かる画像形成装置において、画像形成装置本体への給紙カセットの装着動作に連動して、給紙カセット内の被記録媒体のサイズを自動的に検知する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1で提案されている画像形成装置では、給紙カセットに設けられたサイズ検知ダイヤルをユーザーが回転させ、給紙カセットに表示される被記録媒体のサイズ記号(A4、A3、B5等)を給紙カセット内に収納された被記録媒体のサイズと合わせる。
【0004】
サイズ検知ダイヤルには、その回転軸線周りに所定の角度間隔をおいて複数の切欠き状の第1係合部が設けられており、給紙カセットには、複数の第1係合部の各々に対して係脱可能な突起状の第2係合部が設けられている。
【0005】
第2係合部が複数の第1係合部のいずれかに係合することにより、サイズ検知ダイヤルが所定回転角度毎に給紙カセットに係止される。その状態でサイズ検知ダイヤルに対して所定値以上の回転力を付与することにより、第1係合部が第2係合部から離脱してサイズ検知ダイヤルが回転する。
【0006】
サイズ検知ダイヤルの外周部には、回転軸線周りに所定の角度間隔をおいて複数の押圧部が設けられている。ユーザーが給紙カセットを画像形成装置に装着すると、複数のサイズ検知スイッチのうちの少なくとも1つがサイズ検知ダイヤルの押圧部によって押圧されて作動状態となるか、又は複数のサイズ検知スイッチの各々がサイズ検知ダイヤルの押圧部によって押圧されないで非作動状態に維持される。画像形成装置の制御部は、複数のサイズ検知スイッチのONとOFFとの組み合わせによって、給紙カセット内の被記録媒体のサイズを認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−73644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1で提案されている画像形成装置では、被記録媒体のサイズが誤検知される虞があった。
【0009】
すなわち、給紙カセットを画像形成装置本体に装着する際に、サイズ検知ダイヤルの押圧部がサイズ検知スイッチを押圧すると、サイズ検知スイッチからサイズ検知ダイヤルの押圧部に反力が作用するため、サイズ検知ダイヤルに回転力が付与される。
【0010】
第1係合部や第2係合部の摩耗等によってサイズ検知ダイヤルの係止力が低下すると、給紙カセットの画像形成装置本体への装着の際に、サイズ検知スイッチがサイズ検知ダイヤルに付与する回転力によってサイズ検知ダイヤルが回転することがある。
【0011】
その結果、サイズ検知ダイヤルの押圧部によるサイズ検知スイッチの押圧状況が変わり、画像形成装置の制御部が、給紙カセット内に収納されている被記録媒体のサイズと異なるサイズを認識する。
【0012】
斯かる誤検知を抑制するために、サイズ検知ダイヤルの給紙カセットに対する係止力を大きくするという方法が考えられる。しかしながら、その場合、ユーザーがサイズ検知ダイヤルを回転させにくくなるため、操作性が低下するという問題がある。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みて創案されたものであり、その目的は、画像形成装置本体への給紙カセットの装着に連動して給紙カセット内の被記録媒体のサイズを自動的に検知する画像形成装置において、ユーザーの操作性を低下させることなく、被記録媒体のサイズの誤検知を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による画像形成装置は、画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に対して着脱可能な給紙カセットと、前記給紙カセットに回転可能に設けられた回転操作部材と、前記給紙カセットに対して前記回転操作部材を所定回転角度毎に係止する係止部と、前記画像形成装置本体に設けられ、前記給紙カセットに収納された被記録媒体のサイズを検知するためのサイズ検知スイッチとを備える。前記回転操作部材には、前記サイズ検知スイッチを作動させる押圧部が設けられている。前記係止部は、前記回転操作部材に対して所定値以上の回転力を付与することにより前記係止が解除するように形成されている。前記給紙カセットを前記画像形成装置本体に装着する際に、前記サイズ検知スイッチが前記押圧部を介して前記回転操作部材に付与する回転力の方向を第1方向とし、前記第1方向と逆方向を第2方向としたとき、前記係止を解除するために必要な前記第1方向の回転力が、前記係止を解除するために必要な前記第2方向の回転力よりも大きい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像形成装置本体への給紙カセットの装着に連動して給紙カセット内の被記録媒体のサイズを自動的に検知する画像形成装置において、ユーザーの操作性を低下させることなく、被記録媒体のサイズの誤検知を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による画像形成装置の実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示される画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図3図1に示される画像形成装置の一部の内部構造を示す斜視図である。
図4図1に示される給紙カセットの一部とサイズ検知スイッチとの平面図である。
図5図1に示される画像形成装置のサイズ検知ダイヤルとサイズ検知スイッチとの斜視図である。
図6】第1実施形態の係止部の拡大展開図である。
図7】比較例の係止部の拡大展開図である。
図8】第2実施形態の係止部の拡大展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明による実施形態を説明する。図1は、本発明による画像形成装置1の実施形態を示す斜視図である。
【0018】
図1に示す画像形成装置1はプリンターであって、画像形成装置本体10と、給紙カセット20とを備える。画像形成装置本体10の上面には排出部60が設けられている。排出部60には、画像が形成された複数の被記録媒体(例えば、複数の用紙(図示せず))が排出される。
【0019】
給紙カセット20内には、複数の用紙が積層された状態で収納される。給紙カセット20の前面には表示窓22が設けられている。表示窓22には、給紙カセット20に収納された用紙のサイズと対応するサイズ記号が表示される。給紙カセット20は、画像形成装置本体10に対してx軸に沿う方向に着脱可能となっている。
【0020】
図2は、画像形成装置1の概略構成を示す断面図である。図2に示すように、画像形成装置1は、給紙トレー30と、搬送部40と、画像形成部50と、トナーカートリッジ収納部70とをさらに備える。
【0021】
給紙トレー30は、画像形成装置本体10の背面に回動自在に取り付けられており、略垂直に起立した閉位置と、画像形成装置本体10の背面から斜め上方に突出する開位置との間を回動する。
【0022】
搬送部40は、複数のローラーとガイド部材とによって構成されており、給紙カセット20内に収納された用紙を1枚ずつ取り出して画像形成部50に搬送する。
【0023】
画像形成部50は、レーザースキャンニングユニット51と、感光体ドラム52A〜52Dと、現像ユニット53と、中間転写ベルトユニット54と、2次転写ローラー55と、クリーニングユニット56と、定着ユニット57とを備える。
【0024】
レーザースキャンニングユニット51は、画像データに対応するレーザー光を生成する光ビーム生成器(図示せず)と、当該光ビーム生成器から照射される光ビームを反射するポリゴンミラー51aと、fθレンズ51bとを備える。fθレンズ51bは、ポリゴンミラー51aにより反射された光ビームを感光体ドラム52A〜52Dの外周面上に結像させる。
【0025】
感光体ドラム52A〜52Dは、画像形成装置本体10の前後方向に間隔をおいて配置されている。感光体ドラム52Aはブラックの画像形成に対応し、感光体ドラム52Bはイエローの画像形成に対応し、感光体ドラム52Cはシアンの画像形成に対応し、感光体ドラム52Dはマゼンタの画像形成に対応する。
【0026】
感光体ドラム52A〜52Dの各々には、帯電器、除電器、及びクリーナーが設けられている。帯電状態の感光体ドラム52A〜52Dの外周面に、レーザースキャンニングユニット51によって、画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0027】
現像ユニット53は現像器53a〜53dを備える。現像器53aはブラックのトナーを感光体ドラム52Aに供給し、感光体ドラム52Aの外周面上の静電潜像を現像する。現像器53bはイエローのトナーを感光体ドラム52Bに供給し、感光体ドラム52Bの外周面上の静電潜像を現像する。現像器53cはシアンのトナーを感光体ドラム52Cに供給し、感光体ドラム52Cの外周面上の静電潜像を現像する。現像器53dはマゼンタのトナーを感光体ドラム52Dに供給し、感光体ドラム52Dの外周面上の静電潜像を現像する。
【0028】
中間転写ベルトユニット54は、中間転写ベルト54aと、駆動ローラー54bと、テンションローラー54cと、4つの1次転写ローラー54dとを備える。中間転写ベルト54aは無端状で、駆動ローラー54bとテンションローラー54cとの間に張架されている。
【0029】
4つの1次転写ローラー54dの各々は、感光体ドラム52A〜52Dのうちのいずれかに対向している。各1次転写ローラー54dは、中間転写ベルト54aに従動して回転し、感光体ドラム52A〜52D上に形成されたトナー像を中間転写ベルト54a上に転写する。
【0030】
2次転写ローラー55は、駆動ローラー54bに対向して配置され、中間転写ベルト54aとの間に用紙を挟み込んで中間転写ベルト54a上のトナー像を用紙に転写する。
【0031】
クリーニングユニット56は、中間転写ベルト54a上に残存したトナーをブレード等によって除去し、除去したトナーを廃トナー容器(図示せず)内に排出する。
【0032】
定着ユニット57は一対のローラーを備えており、当該一対のローラー間で用紙を加熱・加圧して、用紙に転写されたトナー像を用紙に定着させる。
【0033】
トナー像が定着した用紙は、搬送部40によって上方に搬送されて排出部60に排出される。
【0034】
トナーカートリッジ収納部70は、ブラックのトナーカートリッジ70a、イエローのトナーカートリッジ70b、シアンのトナーカートリッジ70c、及びマゼンタのトナーカートリッジ70dを着脱可能に収納する。トナーカートリッジ70a〜70dの各々から、対応する色の現像器53a〜53dへトナーが供給される。
【0035】
プリント開始の指令が画像形成装置1に入力されると、駆動ローラー54bが駆動されて中間転写ベルト54aが回転する。カラー印刷の場合は、レーザースキャンニングユニット51から感光体ドラム52A〜52Dに向けて画像データに対応するレーザー光が照射されて感光体ドラム52A〜52D上に静電潜像が形成される。
【0036】
次に、現像器53a〜53dから感光体ドラム52A〜52Dにトナーが供給され、静電潜像が現像されてトナー像となる。そして、これら各色のトナー像は4つの1次転写ローラー54dによって中間転写ベルト54a上に順次重畳転写されてカラー画像が合成される。このカラー画像は2次転写ローラー55によって用紙に転写された後、定着ユニット57で加熱・加圧されて用紙に定着される。最後に、カラー画像がプリントされた用紙が排出部60に排出される。
【0037】
画像形成装置1は、給紙カセット20内に収納された用紙のサイズを自動検知する構造をさらに備える。当該構造について、図3図6を参照して説明する。
【0038】
図3は、画像形成装置1の一部の内部構造を示す斜視図であり、図4は、給紙カセット20の一部とサイズ検知器90との平面図であり、図5は、サイズ検知ダイヤル80とサイズ検知器90との斜視図である。
【0039】
図3及び図4に示すように、給紙カセット20の前面側の一側部に設けられたダイヤル収納部20aに回転操作部材としてのサイズ検知ダイヤル80が設けられている。サイズ検知ダイヤル80はABS等の合成樹脂製で、図5に示すように、ダイヤル部81と台座82と摺動部83とを備える。
【0040】
サイズ検知ダイヤル80は、ダイヤル収納部20aの底部に摺動部83を介して回転軸線X周りに回転自在に取り付けられている。また、サイズ検知ダイヤル80は、給紙カセット20に対して回転軸線Xに沿う方向に移動自在であり、スプリング(図示せず)によって下方に付勢されている。
【0041】
ダイヤル部81は筒状であって、ダイヤル部81の外周部に複数の押圧部81aが設けられている。複数の押圧部81aは、ダイヤル部81の周方向もしくは上下方向にずれて配置されている。各押圧部81aは平面視三角形状を呈し、ダイヤル部81の径方向に突出している。
【0042】
台座82は上面が閉塞された円筒状に形成され、台座82の上面にダイヤル部81が固定されている。図示しないが、台座82の外周部には、用紙のサイズを表す複数のサイズ記号(A3、A4、B5等)が周方向に間隔をおいて設けられている。図5に示すように、台座82の下端縁には、複数の第1係合部82aが周方向に間隔をおいて形成されている。複数の第1係合部82aの各々は切欠き状である。第1係合部82aの詳細については後述する。
【0043】
サイズ検知器90は、検知器本体91と、複数のサイズ検知スイッチ92とを備えている。複数のサイズ検知スイッチ92は、給紙カセット20に収納された用紙のサイズを検知するために用いられる。複数のサイズ検知スイッチ92は、上下方向に間隔をおいて、押圧部81aに対応した位置に配置されており、検知器本体91に対して出没自在となっている。複数のサイズ検知スイッチ92の各々は、バネ(図示せず)によって、図4の矢印A方向に付勢されており、検知器本体91の一側面から突出している。複数のサイズ検知スイッチ92の各々は、検知器本体91に所定量押し込まれると作動する。
【0044】
以下、図6を参照して、第1実施形態の係止部について説明する。図6は、第1実施形態の係止部の拡大展開図を示す。第1係合部82aはV字状の切欠きであって、第1係合部82aの2辺のうちの一方の辺82aaと回転軸線Xとの間の角度はθ1(但し、0°<θ1)であり、他方の辺82abと回転軸線Xとの間の角度はθ2(但し、0°<θ2<θ1)である。角度θ1は、ユーザーの操作性、ユーザーに与えるクリック感等を考慮して適宜設定される。
【0045】
複数の第1係合部82aの各々は、給紙カセット20に形成された第2係合部21aに係脱可能に係合する。第2係合部21aは、複数の第1係合部82aに対向する円周上に1つ配置されている。第2係合部21aはV字状の突起であって、第2係合部21aの2辺のうちの一方の辺21aaと回転軸線Xとの間の角度はθ1であり、他方の辺21abと回転軸線Xとの間の角度はθ2である。複数の第1係合部82aのうちの1つに第2係合部21aが係合することによって、サイズ検知ダイヤル80の回転が抑止される。
【0046】
第2係合部21aが複数の第1係合部82aのうちの1つに係合した状態で、ユーザーがサイズ検知ダイヤル80(図5参照)を図6の第1方向と逆方向(以下、第2方向と称する。)に回転させると、第1係合部82aの辺82aaが第2係合部21aの辺21aaに当接する。さらに、ユーザーがサイズ検知ダイヤル80を第2方向に回転させると、第2係合部21aの辺21aaから第1係合部82aの辺82aaに作用する反力によってサイズ検知ダイヤル80に上向きの力が発生し、サイズ検知ダイヤル80がスプリングの付勢力に抗して第2係合部21aの傾斜面に案内されて上向きに移動する。そして、第1係合部82aが第2係合部21aを乗り越えると、第1係合部82aが第2係合部21aから離脱する。
【0047】
さらに、ユーザーがサイズ検知ダイヤル80を第2方向に回転させると、台座82の下端縁82bが第2係合部21aに乗り上げた状態でサイズ検知ダイヤル80が回転する。そして、図6の右端の第1係合部82aが第2係合部21aの位置に達すると、サイズ検知ダイヤル80がスプリングによって下向きに移動して当該第1係合部82aが第2係合部21aに係合する。第1係合部82aと第2係合部21aとによって、サイズ検知ダイヤル80が所定回転角度毎に給紙カセット20に係止される。第1係合部82aと第2係合部21aとは、本発明の係止部として機能する。
【0048】
複数の第1係合部82aのうちの1つに第2係合部21aが係合した状態で台座82の外周部に設けられた複数のサイズ記号のうちの1つが給紙カセット20の表示窓22(図3参照)を介して視認可能となる。ユーザーは、給紙カセット20内に収納された用紙のサイズに対応するサイズ記号が表示窓22に現れるようにサイズ検知ダイヤル80を回転させる。
【0049】
そして、ユーザーが、給紙カセット20を画像形成装置本体10に挿入すると、複数のサイズ検知スイッチ92のうちの少なくとも1つがダイヤル部81の押圧部81aによって押圧されて作動状態となるか、又は複数のサイズ検知スイッチ92の各々がダイヤル部81の押圧部81aによって押圧されないで非作動状態に維持される。画像形成装置1の制御部(図示せず)は、複数のサイズ検知スイッチ92のONとOFFとの組み合わせによって、用紙のサイズを認識する。
【0050】
給紙カセット20を画像形成装置本体10に挿入する際、複数の押圧部81aのうちの少なくとも1つが複数のサイズ検知スイッチ92のうちの少なくとも1つを押圧すると、押圧されたサイズ検知スイッチ92がサイズ検知ダイヤル80に第1方向の回転力を付与する。その結果、サイズ検知ダイヤル80が第1方向に若干量回転し、第2係合部21aが係合している第1係合部82aの辺82abが第2係合部21aの辺21abに当接する。
【0051】
サイズ検知ダイヤル80を第1方向に回転させて第1係合部82aと第2係合部21aとの係合を解除するために必要な力は、以下に述べるように、比較例の画像形成装置において、第1係合部と第2係合部との係合を解除するために必要な力と比べて大きい。したがって、本実施形態によれば、比較例の画像形成装置よりも、給紙カセット20を画像形成装置本体10に挿入する際に、サイズ検知ダイヤル80の回転を抑制することができる。
【0052】
以下、図6及び図7を参照して、その理由を説明する。図7は、比較例の係止部の拡大展開図である。図7に示すように、比較例の第1係合部82a’は半円状の切欠きで、第2係合部21a’は半円状の突起である。この場合、第1係合部82a’と第2係合部21a’との係合を解除するために必要な第1方向の回転力と、第2方向の回転力とが等しく、第1方向の回転力がサイズ検知スイッチからサイズ検知ダイヤルに作用した場合に、第1係合部82a’と第2係合部21a’との係合が解除する虞がある。
【0053】
これに対し、本実施形態では、第1係合部82aと第2係合部21aとの係合を解除するために必要な第1方向の回転力が、図7に示す比較例において第1係合部82a’と第2係合部21a’との係合を解除するために必要な第1方向の回転力よりも大きい。すなわち、本実施形態では、図6に示す第1係合部82aの辺82abと第2係合部21aの辺21abとが第1方向と45°以上90°以下の角度を成しており、第1係合部82aが第2係合部21aを第1方向に乗り越えるために必要な回転力が、図7の第1係合部82a’が第2係合部21a’を第1方向に乗り越えるために必要な回転力よりも大きい。また、第1係合部82aが第2係合部21aを第1方向に乗り越えるために必要なサイズ検知ダイヤル80の回転力は、給紙カセット20を画像形成装置本体10に挿入する際に、サイズ検知スイッチ92がサイズ検知ダイヤル80に付与する第1方向の回転力よりも大きい。したがって、本実施形態では、給紙カセット20を画像形成装置本体10に挿着する場合において、第1係合部82aと第2係合部21aとの係合が解除することを比較例の画像形成装置よりも抑制することができる。よって、本実施形態によれば、用紙サイズの誤検知を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、第1係合部82aと第2係合部21aとの係合を解除するために必要な第2方向の回転力が、図7に示す比較例において第1係合部82a’と第2係合部21a’との係合を解除するために必要な第2方向の回転力よりも小さい。すなわち、本実施形態では、第1係合部82aの辺82aaと第2係合部21aの辺21aaとが第2方向と45°以下の角度を成しており、第1係合部82aが第2係合部21aを第2方向に乗り越えるために必要な力が、図7の第1係合部82a’が第2係合部21a’を第2方向に乗り越えるために必要な回転力よりも小さい。したがって、本実施形態によれば、比較例と比べてサイズ検知ダイヤル80の操作性が向上するという作用効果も奏する。
【0055】
また、本実施形態では、サイズ検知ダイヤル80を第1方向に回転させる場合にも、第1係合部82aと第2係合部21aとの係合を解除することができる。その場合、次のような利点がある。すなわち、ユーザーがサイズ検知ダイヤル80を第2方向に回転させて所望のサイズ記号を表示窓22に表示させようとする際に、第2係合部21aと係合させるべき第1係合部82aが第2係合部21aを乗り越えて次の第1係合部82aが第2係合部21aに係合してしまう場合がある。その場合、再びサイズ検知ダイヤル80を第2方向に回転させて、第2係合部21aに係合する第1係合部82aを変更しようとすると、サイズ検知ダイヤル80の回転角度が大きいため、手間がかかる。
【0056】
本実施形態では、サイズ検知ダイヤル80を第1方向に回転させることができる。したがって、第2係合部21aに係合させる第1係合部82aを間違えた際に、サイズ検知ダイヤル80を第1方向に回転させることで、第2係合部21aに係合する第1係合部82aを小さい回転角度で変更することができる。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図8は、第2実施形態の係止部の拡大展開図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と対応する部分には同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
【0058】
本実施形態では、第1係合部82aの一方の辺82aaが円弧状に湾曲するとともに、辺82aaと対向する第2係合部21aの辺21aaが辺82aaに沿うように円弧状に形成されている。本実施形態のその他の構成は第1実施形態と同じである。
【0059】
本実施形態では、第1係合部82aの辺82aaの下端縁82bに対する傾斜角度と、第2係合部21aの辺21aaの下端縁82bに対する傾斜角度とが放物線状に変化している。したがって、ユーザーがサイズ検知ダイヤル80を第2方向に回転させて第1係合部82aと第2係合部21aとの係合を解除する際に、回転初期においては、ユーザーがサイズ検知ダイヤル80に与える回転力が第1実施形態よりも小さくなり、第1実施形態よりも操作性が向上する。また、本実施形態では、第2係合部21aの頂点付近における辺21aaの下端縁82bに対する傾斜角度が第1実施形態よりも大きいため、第1係合部82aが第2係合部21aを乗り越える際に、ユーザーの手が受けるクリック感が第1実施形態よりも大きい。したがって、本実施形態は第1実施形態に比べて操作感が良好である。
【0060】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変を本実施形態に施すことができる。
【0061】
例えば、本実施形態では、第1係合部を回転操作部材に設け、第2係合部を給紙カセットに設けているが、第1係合部を給紙カセットに設け、第2係合部を回転操作部材に設けてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、回転操作部材に7つの押圧部を設けているが、回転操作部材に設ける押圧部は6つ以下でもよく、8つ以上でもよい。
【0063】
また、本実施形態では、画像形成装置本体に3つのサイズ検知スイッチを設けているが、画像形成装置本体に設けるサイズ検知スイッチは4つ以上でもよく、2つ以下でもよい。
【0064】
また、本実施形態では、本発明をプリンターに適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明をプリンター以外の画像形成装置(例えば、複合機)にも適用することができる。
【0065】
また、本実施形態では、被記録媒体が用紙である場合について説明したが、被記録媒体は用紙以外のもの(例えば、OHPシート)であってもよい。
【0066】
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で本実施形態に種々の改変を施すことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
10 画像形成装置本体
20 給紙カセット
80 サイズ検知ダイヤル(回転操作部材)
81a 押圧部
82a 第1係合部(係止部)
21a 第2係合部(係止部)
92 サイズ検知スイッチ
X 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8