特許第5957435号(P5957435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5957435効率的な共用E−DCH管理のための信号伝送方式
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957435
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】効率的な共用E−DCH管理のための信号伝送方式
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20160714BHJP
   H04W 74/08 20090101ALI20160714BHJP
【FI】
   H04W28/04 110
   H04W74/08
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-256628(P2013-256628)
(22)【出願日】2013年12月12日
(62)【分割の表示】特願2011-544385(P2011-544385)の分割
【原出願日】2010年1月12日
(65)【公開番号】特開2014-78993(P2014-78993A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2013年12月12日
【審判番号】不服2015-7917(P2015-7917/J1)
【審判請求日】2015年4月28日
(31)【優先権主張番号】61/148,370
(32)【優先日】2009年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/149,007
(32)【優先日】2009年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/149,313
(32)【優先日】2009年2月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/151,196
(32)【優先日】2009年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/151,510
(32)【優先日】2009年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10-2009-0115861
(32)【優先日】2009年11月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】イー スン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク スン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チュン スン ダク
【合議体】
【審判長】 加藤 恵一
【審判官】 吉田 隆之
【審判官】 水野 恵雄
(56)【参考文献】
【文献】 3GPP R2−091474
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)方式を用いてUE(User Equipment)によりNode Bに信号を伝送する方法であって、
前記方法は、
第1スケジューリング情報及びデータを含むMAC PDU(Medium Access Control Protocol Data Unit)を前記Node Bに伝送することであって、前記UEは、制限された時間において共用E−DCH(Enhanced Dedicated Channel)を使用し、前記第1スケジューリング情報は、TEBS(Total E−DCH Buffer Status)フィールドを含む、ことと、
HARQプロセスが前記MAC PDUの伝達に失敗した場合前記UEがCELL_FACH状態または休止モードであるか、及び、前記HARQプロセスが失敗した前記第1スケジューリング情報の前記TEBSフィールドが0に設定されるかを判定することと
を含み、
前記UEがCELL_FACH状態または休止モードであり、かつ、前記HARQプロセスが失敗した前記第1スケジューリング情報の前記TEBSフィールドが0に設定される場合、前記Node Bへの伝送のための新しいスケジューリング情報としての第2スケジューリング情報のトリガリングが実行されない、方法。
【請求項2】
前記共用E−DCHのためのリソースは、CELL_FACH状態及び休止モードにある複数のUEに共有される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MAC PDUの伝送後に、前記MAC PDUの伝送に対応するHARQプロセスのHARQバッファーが空になった場合、前記共用E−DCHのためのリソースを解除することをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2スケジューリング情報を伝送することは、
前記Node Bにランダムアクセスを行うことと、
前記第2スケジューリング情報を含むMAC PDUを生成して、前記第2スケジューリング情報を含むMAC PDUを前記Node Bに伝送することと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)方式を用いてNode Bに信号を伝送するUE(User Equipment)であって、
前記UEは、
一つ以上のHARQプロセスを管理し、前記Node Bへの信号のHARQ伝送を制御するHARQエンティティと、
前記一つ以上のHARQプロセスのいずれか一つの特定HARQプロセスに対応して、第1スケジューリング情報及びデータを含むMAC PDU(Medium Access Control Protocol Data Unit)を前記Node Bに伝送する伝送モジュールと
を含み、
前記第1スケジューリング情報は、TEBS(Total E−DCH Buffer Status)フィールドを含み、
前記HARQエンティティは、前記一つ以上のHARQプロセスのうちの前記特定HARQプロセスが前記第1スケジューリング情報を含む前記MAC PDUの伝達に失敗した場合前記UEがCELL_FACH状態または休止モードであるか、及び、前記第1スケジューリング情報の前記TEBSフィールドが0に設定されるかを判定し、
前記HARQエンティティは、前記UEがCELL_FACH状態または休止モードであり、かつ、前記HARQプロセスが失敗した前記第1スケジューリング情報の前記TEBSフィールドが0に設定される場合、新しいスケジューリング情報としての第2スケジューリング情報をトリガリングしない、UE。
【請求項6】
前記共用E−DCHのためのリソースは、CELL_FACH状態及び休止モードにある複数のUEに共有される、請求項5に記載のUE。
【請求項7】
前記UEは、前記MAC PDUの伝送後に、前記MAC PDUの伝送に対応するHARQプロセスのHARQバッファーが空になった場合、前記一つ以上のHARQプロセスのうちの前記特定HARQプロセスが前記MAC PDUの伝送に失敗すると、前記共用E−DCHのためのリソースを解除するように構成される、請求項6に記載のUE。
【請求項8】
前記UEは、前記第2スケジューリング情報を前記Node Bに伝送するために、前記Node Bにランダムアクセスを行うことと、前記第2スケジューリング情報を含むMAC PDUを生成して前記Node Bに伝送することとを実行するように構成される、請求項7に記載のUE。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、移動通信技術に係り、特に、效率的に共用E−DCH(Common Enhanced Dedicated Channel)を管理するためにスケジューリング情報トリガリング条件を設定する方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願発明の適用されるUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)について説明すると、下記の通りである。
【0003】
図1は、UMTSのネットワーク構造を示す図である。
【0004】
UMTSは、大きく、端末(User Equipment;UE)、UTMS無線接続網(UMTS Terrestrial Radio Access Network;UTRAN)及びコアネットワーク(Core Network;CN)からなっている。UTRANは、一つ以上の無線網副システム(Radio Network Sub−systems;RNS)から構成され、各RNSは、一つの無線網制御機(Radio Network Controller;RNC)と、該RNCによって管理される一つ以上の基地局(Node B)で(に)と、で構成される。一つの基地局には、一つ以上のセル(Cell)が存在する。
【0005】
図2は、UMTSで用いる無線プロトコルの構造を示す図である。
【0006】
無線プロトコル層は、端末及びUTRANに対(pair)で存在し、無線区間のデータ伝送を担当する。それぞれの無線プロトコル層について説明すると、まず、第1層であるPHY層(または物理層)は、様々な無線伝送技術を用いてデータを無線区間に伝送する役割を果たす。PHY層は、無線区間における信頼性できるようなデータ伝送を担当する。PHY層と上位層であるMAC層とは、伝送チャネル(Transport Channel)を通じて連結されており、伝送チャネルは、大きく、チャネルが共有されるか否かによって、専用(Dedicated)伝送チャネルと共用(Common)伝送チャネルとに区別される。
【0007】
第2層には、MAC(Medium Access Control)、RLC(Radio Link Control)、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)、及びBMC(Broadcast/Multicase Control)層が存在する。まず、MAC層は、様々な論理チャネル(Logical Channel)を様々な伝送チャネルにマッピングする役割を担い、また、様々な論理チャネルを一つの伝送チャネルにマッピングする論理チャネル多重化(Multiplexing)の役割も果たす。MAC層は、上位層であるRLC層とは論理チャネルを介して連結されており、論理チャネルは、大きく、伝送される情報の種類によって、制御プレーン(Control Plane)の情報を伝送する制御チャネル(Control Channel)と、ユーザプレーン(User Plane)の情報を伝送するトラフィックチャネル(Traffic Channel)とに分けられる。
【0008】
MAC層は、さらに、管理する伝送チャネルの種類によって、MAC−b副層(Sublayer)、MAC−d副層、MAC−c/sh副層、MAC−hs/ehs副層、及びMAC−e/esまたはMAC−i/is副層に分けられる。MAC−b副層は、システム情報(System Information)の放送を担当する伝送チャネルであるBCH(Broadcast Channel)の管理を担当し、MAC−c/sh副層は、他の端末と共有するFACH(Forward Access Channel)の共用伝送チャネルを管理し、MAC−d副層は、特定端末に対する専用伝送チャネルであるDCH(Dedicated Channel)または専用E−DCH(Enhanced Dedicated Channel)の管理を担当する。また、下り及び上りで高速データ伝送を支援するために、MAC−hs/ehs副層は、高速下りデータ伝送のための伝送チャネルであるHS−DSCH(High Speed Downlink Shared Channel)を管理し、MAC−e/esまたはMAC−i/is副層は、高速上りデータ伝送のための伝送チャネルであるE−DCH(Enhanced Dedicated Channel)を管理する。
【0009】
RLC層は、各無線ベアラ(Radio Bearer;RB)のQoSの保障と該QoSによるデータの伝送を担当する。RLCは、RB固有のQoSを保障するために、RBごとに一つまたは二つの独立したRLCエンティティ(Entity)を置いており、様々なQoSを支援するために、TM(Transparent Mode、透過モード)、UM(Unacknowledged Mode、非確認モード)及びAM(Acknowledged Mode、確認モード)といった3通りのRLCモードを提供している。また、RLCは、下位層が無線区間へとデータを伝送するのに適合するように、データ大きさを調節する役割も果たしており、そのために、上位層から受信したデータを分割及び連結する機能も果たす。
【0010】
PDCP層は、RLC層の上位に位置し、IPv4やIPv6のようなIPパケットを用いて伝送されるデータが、相対的に帯域幅の小さい無線区間で効率的に伝送されることを可能にさせる。そのために、PDCP層は、ヘッダー圧縮(Header Compression)機能を行う。すなわち、データのヘッダー(Header)部分において必須の情報のみを伝送するようにし、無線区間の伝送効率を増加させる役割を果たす。PDCP層は、ヘッダー圧縮が基本機能であるから、主に、PSドメインに存在し、各PSサービスに対して効果的なヘッダー圧縮機能を提供するために、RB当たり1個のPDCPエンティティが存在する。また、PDCP層がCSドメインに存在する場合、ヘッダー圧縮機能を提供しない。
【0011】
その他にも、第2層には、BMC(Broadcast/Multicast Control)層がRLC層の上位に存在し、セル放送メッセージ(Cell Broadcast Message)をスケジューリングし、特定セルに位置している端末に放送する機能を果たす。
【0012】
第3層の最下部に位置しているRRC(RadioResourceControl、無線リソース制御)層は、制御プレーンでのみ定義され、RBの設定、再設定及び解除と関連して第1及び第2層のパラメータを制御し、また、論理チャネル、伝送チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。この時、RBは、端末とUTRANとのデータ伝達のために無線プロトコルの第1及び第2層により提供される論理的経路(path)を意味し、一般に、RBが設定されるということは、特定サービスを提供するために必要な無線プロトコル層及びチャネルの特性を規定し、それぞれの具体的なパラメータ及び動作方法を設定する過程を意味する。
【0013】
以下、E−DCHについて詳細に説明する。
【0014】
E−DCHは、一つの端末がUTRANの基地局に上りで高速データを伝送するのに使用する伝送チャネルである。E−DCHは、データを高速で伝送可能にするために、HARQ(Hybrid ARQ)とAMC(Adaptive Modulation and Coding)、基地局制御スケジューリング(Node B Controlled Scheduling)などの技術を用いる。
【0015】
E−DCHのために、基地局は端末に、端末のE−DCH伝送を制御する下り制御情報を伝送する。下り制御情報は、HARQのための応答情報(ACK/NACK)とAMCのためのチャネル状態情報(Channel Quality Information)、基地局制御スケジューリングのためのE−DCH伝送電力割当情報などを含む。一方、端末は、基地局に上り制御情報を伝送する。上り制御情報は、基地局制御スケジューリングのためのE−DCH端末バッファー状態情報(UE Buffer Status Information)、端末電力状態情報(UE Power Status Information)、E−TFCIを通じたペイロード(Payload)大きさ、再伝送回数、端末電力剰余状況報告などを含む。
【0016】
端末のE−DCH伝送は、基地局(Node B)により制御される。基地局のE−DCH制御は、スケジューラが行い、端末のそれぞれに最適の無線リソースを割り当てる役割を果たす。すなわち、無線チャネル状況が良い端末には、無線リソースを多く割り当て、多くのデータを伝送できるようにし、無線チャネル状況がよくない端末には、無線リソースを少なく割り当て、上り無線チャネルに干渉信号が多く発生することを防ぐ。
【0017】
然るに、該スケジューラは、端末に無線リソースを割り当てる際に、端末の無線チャネル状況を考慮する他、端末がE−DCHのために使える可用電力量または端末が伝送しようとするデータの量のような情報も考慮した上で、無線リソースを割り当てる。すなわち、スケジューラは、E−DCHのための余分の電力があり、かつ、上りで伝送するデータがある端末に、無線チャネル状況を考慮して、最適の無線リソースを割り当てる。
【0018】
したがって、端末は、E−DCHを通じてデータを伝送するために、まず、自身の可用電力量及びデータ量情報を基地局に知らせる。このような端末の可用電力量及びデータ量情報は、スケジューリング情報(Scheduling Information、SI)を通じて伝達され、その詳細な構造を図3に示す。
【0019】
図3は、スケジューリング情報の構成を説明するための図である。
【0020】
図3に示すように、スケジューリング情報を構成するそれぞれのパラメータ(UPH、TEBS、HLBS、HLID)について説明すると、下記の通りである。
【0021】
UPH(UE Power Headroom)は、端末の最大使用可能な電力量対比現在使用中の電力量を表すもので、端末がE−DCHのために使用できる可用電力量を知らせるものである。
【0022】
TEBS(Total E−DCH Buffer Status)は、端末がRLCとMAC層で伝送待機しているデータの総量をバイト単位で知らせる。TEBSは、下記の表1のように、インデックス形態として知らせ、0〜31のインデックスで表す。
【0023】
【表1】
例えば、伝送待機中のデータの総量が0byteであれば、TEBS=0と表記され、22kbyteであれば、TEBS=29と表記される。
【0024】
HLBS(Highest priority Logical channel Buffer Status)は、端末が伝送すべきデータの総量のうち、優先順位が最も高い論理チャネルのデータ量がどれくらいであるかを知らせる。すなわち、(最高の優先順位を有する論理チャネルのデータの量/端末が伝送すべきデータの総量)*100に該当するインデックスを知らせる。
【0025】
HLID(Highest priority Logical channel ID)は、伝送すべきデータがある論理チャネルのうち、優先順位の最も高い論理チャネルを知らせる。
【0026】
端末は、上述したようなスケジューリング情報を毎度伝送するのでなく、無線リソースの効率的使用のために特定状況にのみ伝送しなければならない。このために、現在3GPPでは、スケジューリング情報を生成するためのトリガー条件を、下記のように規定している。
【0027】
【表2】
端末は、上述したようなトリガー条件によってスケジューリング情報を生成すると、それをMAC PDU(Medium Access Control Packet Data Unit)に含めて基地局に伝送する。一般に、MAC PDUは、上位データとスケジューリング情報とで構成するが、上位データがない場合は、スケジューリング情報のみで構成してもよい。生成されたMAC PDUは、MAC層に位置するHARQプロセッサを介して基地局に伝送される。
【0028】
端末がスケジューリング情報を通じて端末の電力及びデータ状況を基地局に知らせると、基地局のスケジューラは、端末状況及びセル全体の無線状況を考慮して、当該端末がE−DCH伝送に使用可能な電力量を決定し、それを下り制御信号を通じて知らせる。この時、端末の電力量を知らせる下り制御信号には、端末の使用可能な電力量を絶対値として知らせるAG(Absolute Grant)と、端末が既存に使用した電力量に比べて高いまたは低い値を使用することを知らせるRG(Relative Grant)の2種類がある。端末は、AGまたはRGの下り制御信号を受信すると、端末がE−DCH伝送に使用する電力量を決定し、それに合わせて伝送すべきMAC PDUの大きさを決定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
一方、近年、3GPP標準では、共用E−DCH(Common Enhanced Dedicated Channel)を規定し、多数の端末が基地局制御の下にE−DCHを共用するように設定している。
【0030】
このような共用E−DCHのためのスケジューリング情報を伝送する際、不要なリソース浪費を減らし、端末のプロセスの效率を向上させるための研究が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態では、
特定端末が基地局にHARQ方式で信号を伝送する方法であって、
第1スケジューリング情報(Scheduling Information:SI)及びデータを含むMAC PDU(Medium Access Control Protocol Data Unit)を、前記基地局に伝送し、
前記MAC PDU伝送に失敗した場合、前記第1スケジューリング情報のTEBS(Total E−DCH Buffer Status)フィールドが0に設定されたか否かを判定し、
前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されていない場合、新しい第2スケジューリング情報をトリガリングし、
トリガリングされた前記第2スケジューリング情報を前記基地局に伝送すること
を含む、信号伝送方法を提供する。
【0032】
ここで、前記特定端末は、制限された時間において共用E−DCH(Common Enhanced Dedicated Channel)を使用する端末であり、前記共用E−DCH伝送のためのリソースは、CELL_FACH状態及び休止モード状態にある複数の端末に共有されてよい。
【0033】
また、前記MAC PDU伝送に失敗した場合、前記共用E−DCH伝送のためのリソースを解除すること、をさらに含むことができ、
前記第2スケジューリング情報の前記基地局への伝送は、
前記基地局にランダムアクセスを行い、
前記第2スケジューリング情報を含むMAC PDUを生成して前記基地局に伝送すること
を含むことができる。
【0034】
前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されたか否かの判定は、
前記特定端末がCELL_FACH状態または休止モード状態であるか否かを判定することをさらに含むことができ、
前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されていない場合、または、前記特定端末がCELL_FACH状態でも、休止モード状態でもない場合、前記第2スケジューリング情報をトリガリングすることができる。
【0035】
また、前記MAC PDU伝送に失敗し、前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定され、かつ、前記特定端末がCELL_FACH状態または休止モード状態である場合、前記特定端末は、前記第2スケジューリング情報をトリガリングしなくてよい。
【0036】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態では、
基地局にHARQ方式で信号を伝送する端末であって、
一つ以上のHARQプロセスを管理し、前記基地局へのHARQ方式の信号伝送を制御するHARQエンティティと、
前記一つ以上のHARQプロセスのいずれか一つの特定HARQプロセスに対応して、第1スケジューリング情報(Scheduling Information:SI)及びデータを含むMAC PDU(Medium Access Control Protocol Data Unit)を前記基地局に伝送する伝送モジュールと、
を含み、
前記特定HARQプロセスが前記MAC PDU伝送に失敗した場合、前記HARQエンティティは、前記第1スケジューリング情報のTEBS(Total E−DCH Buffer Status)フィールドが0に設定されたか否かを判定し、前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されていない場合、新しい第2スケジューリング情報をトリガリングし、トリガリングされた前記第2スケジューリング情報を、前記伝送モジュールを通じて前記基地局に伝送することを特徴とする、端末を提案する。
【0037】
本実施形態に係る前記端末は、制限された時間において共用E−DCH(Common Enhanced Dedicated Channel)を使用するように構成される端末であればよく、前記共用E−DCH伝送のためのリソースは、CELL_FACH状態及び休止モード状態にある複数の端末に共有されてよい。
【0038】
前記特定HARQプロセスが前記MAC PDU伝送に失敗すると、前記端末は前記共用E−DCH伝送のためのリソースを解除するように構成されればよく、前記端末は、前記第2スケジューリング情報を前記基地局に伝送するために前記基地局にランダムアクセスを行い、前記第2スケジューリング情報を含むMAC PDUを生成して前記基地局に伝送するように構成されてよい。
【0039】
また、前記HARQエンティティは、前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されたか否かを判定する際に、前記端末がCELL_FACH状態または休止モード状態であるか否かをさらに判定し、
前記HARQエンティティは、前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されていない場合、または、前記特定端末がCELL_FACH状態でも休止モード状態でもない場合、前記第2スケジューリング情報をトリガリングするように構成されてよい。
【0040】
なお、前記特定HARQプロセスが前記MAC PDU伝送に失敗し、前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定され、かつ、前記端末がCELL_FACH状態または休止モード状態である場合、前記HARQエンティティは、前記第2スケジューリング情報をトリガリングしないように構成されてよい。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
特定端末が基地局にHARQ方式で信号を伝送する方法であって、
第1スケジューリング情報(Scheduling Information:SI)及びデータを含むMAC PDU(Medium Access Control Protocol Data Unit)を、前記基地局に伝送し、
前記MAC PDU伝送に失敗した場合、前記第1スケジューリング情報のTEBS(Total E−DCH Buffer Status)フィールドが0に設定されたか否かを判定し、
前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されていない場合、新しい第2スケジューリング情報をトリガリングし、
トリガリングされた前記第2スケジューリング情報を前記基地局に伝送すること
を含む、信号伝送方法。
(項目2)
前記特定端末は、制限された時間において共用E−DCH(Common Enhanced Dedicated Channel)を使用する、項目1に記載の信号伝送方法。
(項目3)
前記共用E−DCH伝送のためのリソースは、CELL_FACH状態及び休止モード状態にある複数の端末に共有される、項目2に記載の信号伝送方法。
(項目4)
前記MAC PDU伝送後に、前記MAC PDU伝送に対応するHARQプロセスのHARQバッファーが空になった場合、前記共用E−DCH伝送のためのリソースを解除すること、をさらに含む、項目3に記載の信号伝送方法。
(項目5)
前記第2スケジューリング情報の前記基地局への伝送は、
前記基地局にランダムアクセスを行い、
前記第2スケジューリング情報を含むMAC PDUを生成して前記基地局に伝送すること
を含む、項目4に記載の信号伝送方法。
(項目6)
前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されたか否かの判定は、
前記特定端末がCELL_FACH状態または休止モード状態であるか否かを判定することをさらに含み、
前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されていない場合、または、前記特定端末がCELL_FACH状態でも、休止モード状態でもない場合、前記第2スケジューリング情報をトリガリングすることを特徴とする、項目2に記載の信号伝送方法。
(項目7)
前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定され、かつ、前記特定端末がCELL_FACH状態または休止モード状態である場合、前記特定端末は、前記第2スケジューリング情報をトリガリングしないことを特徴とする、項目6に記載の信号伝送方法。
(項目8)
基地局にHARQ方式で信号を伝送する端末であって、
一つ以上のHARQプロセスを管理し、前記基地局へのHARQ方式の信号伝送を制御するHARQエンティティと、
前記一つ以上のHARQプロセスのいずれか一つの特定HARQプロセスに対応して、第1スケジューリング情報(Scheduling Information:SI)及びデータを含むMAC PDU(Medium Access Control Protocol Data Unit)を前記基地局に伝送する伝送モジュールと、
を含み、
前記特定HARQプロセスが前記MAC PDU伝送に失敗した場合、前記HARQエンティティは、前記第1スケジューリング情報のTEBS(Total E−DCH Buffer Status)フィールドが0に設定されたか否かを判定し、前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されていない場合、新しい第2スケジューリング情報をトリガリングし、トリガリングされた前記第2スケジューリング情報を、前記伝送モジュールを通じて前記基地局に伝送することを特徴とする、端末。
(項目9)
前記端末は、制限された時間において共用E−DCH(Common Enhanced Dedicated Channel)を使用するように構成される、項目8に記載の端末。
(項目10)
前記共用E−DCH伝送のためのリソースは、CELL_FACH状態及び休止モード状態にある複数の端末に共有される、項目9に記載の端末。
(項目11)
前記MAC PDUを伝送し、前記MAC PDU伝送に対応するHARQプロセスのHARQバッファーが空になった場合、前記特定HARQプロセスが前記MAC PDU伝送に失敗すると、前記端末は、前記共用E−DCH伝送のためのリソースを解除するように構成される、項目10に記載の端末。
(項目12)
前記端末は、前記第2スケジューリング情報を前記基地局に伝送するために前記基地局にランダムアクセスを行い、前記第2スケジューリング情報を含むMAC PDUを生成して前記基地局に伝送するように構成される、項目11に記載の端末。
(項目13)
前記HARQエンティティは、前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されたか否かを判定する際に、前記端末がCELL_FACH状態または休止モード状態であるか否かをさらに判定し、
前記HARQエンティティは、前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されていない場合、または、前記特定端末がCELL_FACH状態でも休止モード状態でもない場合、前記第2スケジューリング情報をトリガリングするように構成されることを特徴とする、項目9に記載の端末。
(項目14)
前記第1スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定され、かつ、前記端末がCELL_FACH状態または休止モード状態である場合、前記HARQエンティティは、前記第2スケジューリング情報をトリガリングしないように構成されることを特徴とする、項目13に記載の端末。
【発明の効果】
【0041】
上述したような本発明の実施形態によれば、HARQ伝送失敗が発生した時、既に解除された無線リソースの解除を要求する新しいスケジューリング情報を伝送しないようにするから、端末の余計なスケジューリング情報の伝送及びネットワークの余分のリソース割当を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】UMTSのネットワーク構造を示す図である。
図2】UMTSで使用する無線プロトコルの構造を示す図である。
図3】スケジューリング情報の構成を説明するための図である。
図4】TEBS=0のスケジューリング情報を通じて共用E−DCH無線リソースを解除する過程を説明するための図である。
図5】共用E−DCHと関連したスケジューリング情報トリガリング条件の問題点を説明するための図である。
図6】本発明の好適な一実施形態に係るスケジューリング情報トリガリング方法を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態によって共用E−DCHを用いる端末(休止モードまたはCELL_FACH状態の端末)の動作を説明するための図である。
図8】本発明の他の実施形態によって共用E−DCHを使用する端末の動作方式を説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態に係る端末のプロセッサの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の好適な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明するためのもので、本発明が実施されうる唯一の実施形態を示すためのものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者には、本発明がそれらの具体的な細部事項なしにも実施されうることが理解できる。例えば、以下の詳細な説明は、移動通信システムが3GPPシステムであるとして具体的に説明するが、3GPP特有の事項を除けば、他の任意の移動通信システムにも適用可能である。
【0044】
場合によっては、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略したり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示すことができる。また、本明細書全体において同一の構成要素については同一の図面符号を使用して説明する。
【0045】
なお、以下の説明において、端末は、UE(User Equipment)、MS(Mobile Station)など、移動または固定型のユーザ端の機器を総称するとする。また、基地局は、Node B、eNode B、Base Stationなど、端末と通信するネットワーク端の任意のノードを総称するとする。
【0046】
以下、本発明が適用される共用E−DCHについて説明する。
【0047】
E−DCHは、一つのUEが特定の一つのE−DCHを占有している専用(Dedicated)E−DCHと、多数のUEが共通のE−DCHを共有している共用E−DCHとに区別される。専用E−DCHが、特定のUEに専用として割り当てられた伝送チャネルであるのに対し、共用E−DCHは、基地局の制御下に、多数のUEに共用として割り当てられた伝送チャネルである。
【0048】
このような共用E−DCH無線リソースの使用は、休止(IDLE)モードまたはCELL_FACH状態の端末に限定される。IDLEモードは、端末がネットワークに接続されていない状態であり、CELL_FACH状態は、ネットワークに接続してはいるが、伝送するデータの量が少ないため、専用チャネルが割り当てられていない状態である。いずれの状態も、端末に専用チャネルが割り当てられていない状態であり、これらの状態の端末に高速のデータ伝送を支援するために共用E−DCHが開発された。このような共用E−DCHは、多数の端末が同時に使用しようと試みることがあるため、端末は、共用E−DCH無線リソース割当要請時に一般的なランダムアクセス(Random Access)手順を行わなければ成らない。また、本発明の一実施形態では、基地局が特定端末に共用E−DCH無線リソースを割り当てる際に、一定の時間のみ使用するように時間情報も提供するように設定することを提案する。
【0049】
本実施形態に係る端末は、共用E−DCH無線リソースが割り当てられると、該共用E−DCH無線リソースを、定められた時間のみ使用し、時間が満了すると解除し、解除した無線リソースを他の端末が使用できるようにする。ところが、一定時間が満了する前に端末がデータ伝送を完了すると、端末は、共用E−DCH無線リソースの解除を基地局に知らせることができる。そのためにTEBS=0のスケジューリング情報を伝送し、このTEBS=0は、端末が伝送するデータがないという意味であるから、これを受信した基地局は、定められた時間が満了する前に、端末の共用E−DCH無線リソースを解除することができる。
【0050】
図4は、TEBS=0のスケジューリング情報を通じて共用E−DCH無線リソースを解除する手順を説明するための図である。
【0051】
端末が、定められた時間になる前に無線リソースを解除する場合、TEBS=0のスケジューリング情報を生成することができる(S401)。特に、TEBSは、RLCバッファーの伝送/再伝送またはMACバッファーに残ったデータを知らせる。したがって、TEBS=0のSIがトリガリングされると、TEBS=0のSIと一緒に伝送されるMAC PDUは、当該端末のバッファーに存在する最後のデータである。このように、当該MAC PDUを伝送すると、端末の全てのバッファーが空になる。
【0052】
したがって、上述のように生成されたスケジューリング情報は、伝送すべき端末バッファーに存在する最後のデータと一緒にMAC PDUを構成し、基地局に伝送することができる(S402)。MAC PDUの伝送は、HARQエンティティにより管理される特定HARQプロセスにより行われ、端末は、生成されたMAC PDUが、HARQ伝送が完了してHARQバッファーから削除されるまで待った後、共用E−DCH無線リソースを解除する。
【0053】
例えば、上述のように伝送されたMAC PDUを、基地局で受信することができる(S403)。端末からTEBS=0のスケジューリング情報を含むMAC PDUを受信した基地局は、それに基づいて共用E−DCH無線リソースを解除することができる(S404)。その後、基地局は、端末から受信したMAC PDUに対する確認応答(ACK)を伝送することができる(S405)。
【0054】
基地局からACKを受信(S406)した端末は、ACK受信によって、段階S402においてMAC PDU伝送に用いられたHARQプロセスに対応するHARQバッファーのデータを削除(flush)でき、これにより、共用E−DCH無線リソースを解除することができる(S407)。
【0055】
一方、端末がMAC PDUをHARQバッファーから削除する場合には、2通りがある。図4に示すように、MAC PDUの伝送に成功して基地局からACKを受ける場合には当該MAC PDUをバッファーから削除するが、これと違い、端末が最大再伝送回数だけMAC PDUを伝送したものの、失敗すると(すなわち、基地局からACKを受信できないと)、端末は、当該MAC PDUのHARQ伝送に失敗したと判断し、当該MAC PDUをHARQバッファーから削除することができる。
【0056】
もし、端末が共用E−DCH無線リソースを解除するために、TEBS=0のスケジューリング情報と端末バッファーに存在する最後のデータとを含むMAC PDUを伝送した後、HARQ伝送に失敗すると、端末は、このMAC PDUの成功によらず、当該MAC PDUがHARQバッファーから削除される際に共用E−DCH無線リソースを解除することができる。この場合、基地局は、実際に、当該MAC PDUを受信したかもしれず(ACKを失った場合)、そうでないかもしれない(MAC PDU伝送に失敗した場合)から、無線リソースの浪費を減らす目的で、端末はそれ以上の伝送無しで共用E−DCH無線リソースを解除するわけである。
【0057】
ところが、上記表2で説明した現在スケジューリング情報のトリガリング条件によって、もし、データとスケジューリング情報とを含むMAC PDUのHARQ伝送に失敗した場合、端末は、新しいスケジューリング情報をトリガリングしなければならない。これは、共用E−DCH無線リソースの解除を知らせるTEBS=0が含まれた場合にも同様であり、この場合には、それ以上伝送するデータが無いにもかかわらず、端末は新しくスケジューリング情報をトリガリングすることになる。このような過程を、図5を参照して具体的に説明する。
【0058】
図5は、共用E−DCHと関連したスケジューリング情報トリガリング条件の問題点を説明するための図である。
【0059】
制限された時間において共用E−DCHを使用する休止モードまたはCELL_FACH状態の端末は、該当のRLC伝送または再伝送バッファーにデータがない場合、または、MAC分割伝送バッファーにデータがない場合、共用E−DCH無線リソース解除を基地局に知らせるために、TEBS=0のスケジューリング情報をトリガリングすることができる(S501)。これにより、端末は、上位層データ及びTEBS=0であるスケジューリング情報を含むMAC PDUを、基地局に伝送することができる(S502)。端末から伝送されたMAC PDUを受信した基地局は(S503)、これによって共用E−DCH無線リソースを解除することができる(S504)。また、基地局はMAC PDUの受信成功を端末に知らせるために、端末にACKを伝送することができる(S505)。
【0060】
一方、端末は、図5に示すように、基地局から伝送されたACK受信に失敗することがある。このようにACK受信に失敗した端末は、HARQ最大伝送回数に達するまで該当のMAC PDUを再伝送することができる(S506、S507)。ただし、S506に示すように、端末から伝送されたMAC PDUが基地局に伝達されないとか、S507に示すように、基地局がMAC PDU受信に成功したものの、それに対して伝送したACK(S508)を端末が受信できないとかの理由から、端末のHARQ最大再伝送回数に達すると、端末は、該当のHARQ伝送に失敗したと見なし、HARQバッファーをクリアする(S509)。このようにHARQ伝送に失敗する場合であっても、上述した通り、端末は共用E−DCH無線リソースを解除することになる(S510)。ただし、上記表2で説明した現在スケジューリング情報トリガリング条件によると、データとスケジューリング情報のHARQ伝送に失敗する場合に該当し、端末は、伝送するデータが無いにもかかわらず、新しいスケジューリング情報をトリガリングしなければならない(S520)。また、既に共用E−DCH無線リソースを解除した後であるから、新しいスケジューリング情報伝送のためには新しいランダムアクセスを行わなければならないが、実際に伝送するデータがないから、端末のバッタリーの消耗、基地局の余分の共用E−DCH無線リソース割当を招いてしまう。
【0061】
要するに、上記表2に表したようなスケジューリング情報トリガリング条件の問題点は、端末が共用E−DCH無線リソース解除を知らせるTEBS=0を含むMAC PDUのHARQ伝送に失敗した時、共用E−DCH無線リソースを解除するのに、同時に新しいスケジューリング情報をトリガリングすることにある。この場合、既に共用E−DCH無線リソースは解除されたため、端末は、単にTEBS=0を伝送するために、新しくランダムアクセス手順を行って共用E−DCH無線リソースを受けなければならない。
【0062】
そこで、本発明の好適な一実施形態では、スケジューリング情報のHARQ伝送に失敗すると、即座で新しいスケジューリング情報をトリガリングせずに、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報のTEBSが0に設定されたか否をさらに判定することによつて、上述したような問題を解決することを提案する。
【0063】
具体的に、本実施形態では、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報のTEBSが0に設定されていない場合に限って、新しいスケジューリング情報をトリガリングして基地局に伝送することを提案する。
【0064】
図6は、本発明の好適な一実施形態にかかるスケジューリング情報トリガリング方法を説明するための図である。
【0065】
まず、端末が基地局にスケジューリング情報をHARQ方式で伝送した場合、該情報の基地局での受信失敗、または、基地局から伝送されたACKの受信失敗によって、MAC PDU伝送失敗が発生することがある(S601)。このようにスケジューリング情報の伝送失敗が発生すると、本実施形態では、直ちに新しいスケジューリング情報をトリガリングせずに、伝送失敗したスケジューリング情報のTEBSフィールドを検討し、TEBS=0であるか否かをさらに考慮することを提案する(S602)。このように、伝送に失敗したスケジューリング情報がTEBS=0の場合に、端末は、それ以上スケジューリング情報をトリガリングしない(S605)。すなわち、本実施形態に係る端末は、伝送に失敗したスケジューリング情報のTEBSが0に設定されない場合に限って、新しいスケジューリング情報トリガリングを考慮する。
【0066】
具体的に、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報のTEBSが0に設定されていない場合、端末は、当該スケジューリング情報がデータと一緒にMAC PDUとして伝送されたものであるか否かを判定できる(S603)。もし、スケジューリング情報がデータなくスケジューリング情報のみを含むMAC PDUの形態で伝送された場合(stand alone type MAC PDU)、端末は、それ以上スケジューリング情報をトリガリングしなくてよい(S605)。このようにスケジューリング情報のみを含むMAC PDUの伝送に失敗した場合は、端末は、周期的スケジューリングによって、次のスケジューリング情報伝送周期に、必要なスケジューリング情報を伝送することができる。
【0067】
一方、段階S603での判定結果、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報がデータと一緒に伝送された場合、端末は、新しいスケジューリング情報をトリガリングする(S604)。これにより、端末は、該当のデータ及び新しくトリガリングされたスケジューリング情報をMAC PDUの形態として基地局に伝送することができる。
【0068】
上述のように提案されたスケジューリング情報トリガリング条件によって共用E−DCHを利用する場合を、既存のスケジューリング方式と比較して説明する。
【0069】
図7は、本発明の一実施形態によって共用E−DCHを用いる端末(休止モードまたはCELL_FACH状態端末)の動作を説明するための図である。
【0070】
図7Aは、一般のスケジューリング情報トリガリング条件を用いる場合を示し、図7Bは、図6で上述した実施形態に係るスケジューリング情報トリガリング条件を用いる場合を示す。
【0071】
まず、制限された時間において共用E−DCHを使用する休止モードまたはCELL_FACH状態端末がデータを全て伝送した場合、最後のデータとTEBS=0のスケジューリング情報とを含むMAC PDUを、基地局に伝送することがある。図7は、このような端末のMAC PDU伝送に失敗した場合を仮定する(S701)。このように、端末が基地局に共用E−DCH無線リソース解除を知らせるためにTEBS=0のスケジューリング情報を伝送した場合にも、図4及び図5で上述した通り、端末は共用E−DCH無線リソースを解除することができる(S702)。
【0072】
図7Aに示すように、一般のスケジューリング情報トリガリング方式に従うと、データと一緒に伝送されたスケジューリング情報のHARQ伝送に失敗した場合、端末は、新しいスケジューリング情報をトリガリングし、それを伝送するためのMAC PDUを構成するようになる(S703)。ただし、端末は、既に共用E−DCH伝送のための無線リソースを解除したから、トリガリングされたスケジューリング情報を伝送する無線リソースを有していない状態である。そのため、端末は基地局にランダムアクセス手順を行い(S704)、基地局から上り無線リソースを確保した上で、生成されたMAC PDUを伝送する(S705)。ただし、端末の再伝送するスケジューリング情報は、基地局に共用E−DCH無線リソース解除を知らせるためのものであるから、余分の無線リソースの割当、端末のバッテリー消耗の増加を招くことがある。
【0073】
これに対し、図7Bに示す本発明の一実施形態に係る端末は、段階S706のように、スケジューリング情報のHARQ伝送に失敗した場合、該スケジューリング情報のTEBSが0に設定されているか否をさらに判定する。すなわち、本実施形態に係る端末は、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報のTEBS=0でない場合に限って、上述した段階S703乃至S705によって新しいスケジューリング情報伝送のための動作を行い、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報のTEBS=0の場合には、それ以上スケジューリング情報をトリガリングしないことを提案する。
【0074】
図7Bにおける段階S706においてスケジューリング情報のTEBS=0であるか否かを判定するプロセスは、図5に示すように、共用E−DCHを用いる場合に生じうる問題を解決するためのものであり、共用E−DCHの使用は、休止モードまたはCELL_FACH状態の端末に制限されるから、端末が休止モードでもCELL_FACH状態でもない場合には、段階S703乃至S705のように、新しいスケジューリング情報伝送のための動作を行うことができる。
【0075】
一方、本発明の他の実施形態では、図5に示すような問題点を解決するための方法として、新しいスケジューリング情報トリガリングにおいては一般の方式を同様に適用し、ただし、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報がTEBS=0に設定されている場合には、トリガリングされたスケジューリング情報を伝送しないように設定する方法を提案する。
【0076】
図8は、本発明の他の実施形態によって共用E−DCHを使用する端末の動作方式を説明するための図である。
【0077】
図8Aは、一般のスケジューリング方式を用いる端末の動作方式を示し、図8Bは、本実施形態に係る端末の動作方式を示す。
【0078】
図8Aは、図7Aの動作と同一である。すなわち、制限された時間において共用E−DCHを使用する休止モードまたはCELL_FACH状態の端末がデータを全て伝送した場合、最後のデータとTEBS=0のスケジューリング情報とを含むMAC PDUを基地局に伝送することがあり、図8は、このような端末のMAC PDU伝送に失敗した場合を仮定する(S801)。このように端末が基地局に共用E−DCH無線リソース解除を知らせるために、TEBS=0のスケジューリング情報を伝送した場合にも、図4及び図5で上述した通り、端末は共用E−DCH無線リソースを解除することができる(S802)。
【0079】
図8Aに示すように、一般のスケジューリング情報トリガリング方式に従うと、データと一緒に伝送されたスケジューリング情報のHARQ伝送に失敗した場合、端末は新しいスケジューリング情報をトリガリングし、それを伝送するためのMAC PDUを構成するようになる(S803)。ただし、端末は、共用E−DCH伝送のための無線リソースを既に解除しており、トリガリングされたスケジューリング情報を伝送する無線リソースを有していない状態である。このため、端末は基地局にランダムアクセス手順を行い(S804)、基地局から上り無線リソースを確保した上で、生成されたMAC PDUを伝送することになる(S805)。ただし、端末の再伝送するスケジューリング情報は、基地局に共用E−DCH無線リソース解除を知らせるためのものであるから、余分の無線リソースの割当、端末のバッテリー消耗の増加を招くことがある。
【0080】
これに対し、本実施形態に係る端末は、段階S803−1に示すように、スケジューリング情報のHARQ伝送に失敗した場合、一般のスケジューリング情報トリガリングアルゴリズムを維持しつつ新しいスケジューリング情報をトリガリングする。ただし、このようにしてトリガリングされたスケジューリング情報を伝送するために、無条件にMAC PDUを構成して基地局に伝送するのではなく、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報のTEBSフィールドを検討し、TEBS=0であるか否かを判定する(S506)。もし、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報がTEBS=0の場合、本実施形態に係る端末は、トリガリングされたスケジューリング情報を伝送しないことを提案する。一方、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報がTEBS=0でない場合、段階S803−1でトリガリングされたスケジューリング情報を伝送するためのMAC PDUを構成し(S803−2)、これを伝送するための以降の動作を行うことができる(S804及びS805)。
【0081】
これらの実施形態に係る端末は、共用E−DCHの利用において余分のリソース浪費/動作を防止することができる。
【0082】
これらの実施形態に係る端末の構成を、以下に説明する。
【0083】
移動通信システムにおいて、端末は、信号処理のためのプロセッサに加えて、入力手段、ディスプレイモジュールなどを含むことができる。そのうち、端末の実質的な信号処理を担当するプロセッサの構成について説明する。
【0084】
図9は、本発明の一実施形態に係る端末のプロセッサの構成を示す図である。
【0085】
端末のプロセッサは、図2で上述したようなプロトコル構造を有することができ、特に、本発明の実施形態は、物理層910、MAC層920及びRLC層930と主に関連する。
【0086】
本発明の一実施形態に係るMAC層モジュール920は、HARQエンティティ921、一つ以上のHARQプロセス922、各HARQプロセス922に対応するHARQバッファー923、新しいMAC PDU伝送時にMAC PDUの大きさ及び伝送電力を決定するE−TFC選択エンティティ924、及び各MAC−dフローごとに伝送する上位RLC層伝送バッファー931のデータとスケジューリング情報とをマルチプレクシングするマルチプレクシングエンティティ925を含むことができる。端末は、一つのHARQエンティティ921を含み、HARQエンティティ921は、一つ以上のHARQプロセス922を管理し、端末のHARQ方式の信号伝送を管理する。
【0087】
物理層モジュール910は、伝送モジュール911及び受信モジュール912を含むように単純化でき、伝送モジュール911は、MAC層モジュールから伝達されたMAC PDUを基地局に伝送する役割を担い、受信モジュール912は、基地局から、端末のMAC PDU伝送に対応するHARQフィードバック信号を受信する役割を担当することができる。
【0088】
端末におけるHARQエンティティ921は、一つ以上のHARQプロセス922のいずれかの特定HARQプロセスに対応して、スケジューリング情報及びデータを含むMAC PDUを、物理層モジュール910における伝送モジュール911を通じて基地局に伝送することができる。また、この特定HARQプロセスがMAC PDU伝送に失敗した場合、本発明の一実施形態に係る端末におけるHARQエンティティ921、より具体的な実施形態ではSI報告エンティティ924は、伝送されたスケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されたか否かを判定し、HARQ伝送に失敗したスケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されていない場合に限って、新しいスケジューリング情報をトリガリングし、トリガリングされたスケジューリング情報を、伝送モジュール911を通じて基地局に伝送するように構成することを提案する。
【0089】
また、本発明の一実施形態に係る端末のHARQエンティティ921は、スケジューリング情報のTEBSフィールドが0に設定されたか否を判定するにあたり、端末が休止モード状態またはCELL_FACH状態にあるか否かをさらに判定するように構成することができ、端末が休止モード状態でも、CELL_FACH状態でもない場合、スケジューリング情報のHARQ伝送失敗に対応してトリガリングされた新しいスケジューリング情報を伝送するように構成することを提案する。
【0090】
以上開示された本発明の好適な実施例についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現し実施できるように提供された。以上では本発明の好適な実施形態を挙げて本発明を説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者にとっては、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域を逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更できるということが明らかである。したがって、本発明は、ここに開示された実施形態に制限されるものではなく、ここに開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えるためのものである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
上述の信号送受信技術及びそのための端末構造は、3GPPシステムに適用される例を中心に説明されたが、3GPPシステムの他、類似の過程を有する他の様々な移動通信システムにも適用可能である。
図2
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図1
図3