(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ジアンヒドロヘキシトールが、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド及びこれら物質の少なくとも2つの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のジアンヒドロヘキシトールペレット。
【背景技術】
【0002】
ジアンヒドロヘキシトール(1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール)(また、イソヘキシドとしても知られる)は、水素添加C
6糖(ヘキシトール)、例えば、ソルビトール、マンニトール及びイジトールの内部脱水によって得られる生成物である。本出願では、「ジアンヒドロヘキシトール」という用語は、イソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール)、イソマンニド(1,4:3,6−ジアンヒドロマンニトール)、イソイジド(1,4:3,6−ジアンヒドロイジトール)及びこれら物質の少なくとも2つの混合物を包含する。
【0003】
ジアンヒドロヘキシトールの産業用途は、現在、特に、製薬分野、化学合成中間物の分野及びプラスチックの分野で著しい成長の過程にある。
【0004】
これらの用途の大部分について、一般に、可能な限り純粋な、特に、ジアンヒドロヘキシトール含有率が、乾量基準で、組成物の98.5重量%以上、好ましくは99.5重量%以上の入手可能な組成物を有することが必要である。
【0005】
ジアンヒドロヘキシトール、特にイソソルビドは、高度に吸湿性で、化学的にはかなり不安定な物質であり、そのため、非常にケーキングしやすい。
【0006】
出願人は、特に、公知の方法により製造されたジアンヒドロヘキシトールを貯蔵すると、特定の湿度及び温度条件下で、有意なケーキング及び化学的分解を引き起こすことをみいだした。
【0007】
このように貯蔵中にケーキングしたジアンヒドロヘキシトール組成物は、多くの問題をもたらす。これは、ケーキングが、その輸送、開梱、粉砕、再溶解などの作業中の取扱いを極めて困難にするだけではなく、これら作業の生産量にも大きな影響を与えるためである。
【0008】
これらの問題点を解決するために、いくつかの解決策が提案されている:
−ジアンヒドロヘキシトール組成物にケーキング防止剤を添加すること、
−組成物による水の吸収、またその結果として前記組成物のケーキングを防止するような特殊な外側包装材料を製造すること。
【0009】
従って、ポリオールのより一般的分野では、日本特許第7488183号公報に、ケーキング防止剤として、有機酸のエステル又はアセタールの添加が開示されている。この特許によれば、0.005重量%の酢酸ブチルセルロースの添加により、ネオペンチルグリコールが、その形成から30日間0.23バールの圧力下でケーキングを起こさないようにすることができる。
【0010】
ポリオールがケーキングするのを防止する別の方法は、仏国特許出願第2477902号明細書にも記載されている。ここでは、ポリオールのケーキングを防止するために、少なくとも2つの同じ有機置換基を含む第3級アミンを0.005重量%〜0.25重量%添加することが提案されている。
【0011】
しかし、ケーキング防止剤の添加は、特に以下の理由から、ジアンヒドロヘキシトール組成物の特定の分野の専門家によって一般に選択されていない:
−前記組成物に不純物が入り込むことにより、組成物の特性、従ってその商品価値を損なう恐れがある、
−規制上の制約のために、用途によってはこうした添加剤の使用が禁止されている。
【0012】
ジアンヒドロヘキシトール組成物を包装する方法の使用については、この第2の技術的解決策は、現在までのところ、完全に満足な結果をもたらしていない。
【0013】
これらの包装方法のうち、特開2006−117649号公報には、イソソルビドを水分吸収から保護し、それをさらさらした粉末状に維持すると共に、凝集体の形成を防ぐことを目的として、イソソルビドを包装するためのフィルムタイプの包装材料の使用が開示されている。包装フィルムとは、ブラスチック及びアルミニウムを基材とする多層フィルムとして定義される。
出願人自身も、ジアンヒドロヘキシトールを包装するための熱可塑性ポリマーを基材とする包装材を製造している。仏国特許出願第2919587号明細書に開示される前記包装材は、固体及び液体ジアンヒドロヘキシトール組成物の両方を対象とする。該当する固体形態は、例えば、冷却又は凝固させた留出物であってもよいし、結晶であってもよく、これらの製品はすべて、特に、粉末又はフレークの形態で提供することができる。しかし、前記包装材は、貯蔵中のジアンヒドロヘキシトール組成物の化学分解の防止に関しては非常に優れた結果をもたらしたが、前記組成物のケーキングを永続的に防止することはできなかった。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の主題は、前記ジアンヒドロヘキシトールペレットの組成物の90重量%〜100重量%、好ましくは95重量%〜100重量%、より好ましくは97重量%〜100重量(乾/乾)を構成する、ジアンヒドロヘキシトールペレットである。さらに好ましくは、本発明のペレットは、ジアンヒドロヘキシトールペレットの組成物の98.5重量%以上、好ましくは99.5重量%以上(乾/乾)のジアンヒドロヘキシトール含有率を呈示する。乾量基準で、ジアンヒドロヘキシトールペレットの組成物の100重量%に対する残りは、ヘキシトール、モノアンヒドロヘキシトール、安定剤、例えば、欧州特許第1446373号明細書に記載されているもの、ケーキング防止剤、及び様々な不純物及び連産品、例えば、欧州特許第1287000号明細書(段落[0008])に記載され、ジアンヒドロヘキシトールの製造方法、特に前記方法の脱水ステップに関するものから構成することができる。
【0025】
さらに、本発明のペレットは、ケーキング防止剤をあまり含まない、又はケーキング防止剤を含まないが、それにもかかわらず、ケーキングをほとんど起こさない。
【0026】
本発明の別の主題は、前記ジアンヒドロヘキシトールペレットの製造方法である。
【0027】
本出願において、「ペレット」という用語は、「ペレット成形」によって得られる3次元の高密度の製品を意味するものとする。従って、「ペレット」という用語は、錠剤、ペブル、顆粒、棒、ビーズという用語及び/又は「ペレット成形」によって得られるその他の形状を包含する。前記ペレットは、平坦又は丸い、並びに凹形又は凸形の上部及び下部面を呈するものでよい。前記ペレットは、区別なく、円形、楕円形、正方形、長方形、8角形、多角形などの一般的形状であってよい。好ましくは、本発明のペレットは、ドーム型である。すなわち、平面と凸面を有し、両面の間の縁は幾分軟化している。
【0028】
本出願において、「ペレット成形」という用語は、液滴を滴下するステップと、前記液滴を冷却するステップを組み合わせた方法を意味し、前記方法は、このようにして、微粉粒度を有する粒子をほとんど含まない安定かつ均一形状のペレットを製造することを可能にする。本出願では、「液滴」という用語は、任意の規定量の溶融物を意味するものとする。従って、本発明のペレットは、溶融ジアンヒドロヘキシトールから直接凝固させるため、これに続く粉砕若しくは破砕のステップ又は同種の他の任意のステップに関連するエネルギー及び設備コストが削減される。
【0029】
本発明のペレットは、様々なタイプのペレット製造機、例えば、ディスクペレット製造機、ベルトペレット製造機などを用いて得ることができる。特に、本発明のペレット製造機は、国際公開第2009/010673号パンフレットに記載のペレット成形方法に従い実施することができる。
【0030】
ペレット成形方法の前に、ジアンヒドロヘキシトール組成物を供給容器内に溶融状態で維持する。次に、ジアンヒドロヘキシトール「溶融液」について述べる。これを製造するためには、ジアンヒドロヘキシトールをその融点以上の温度、特にイソソルビドの場合、63±2℃以上の温度に維持するのが有利である。ジアンヒドロヘキシトール組成物は、粗反応混合物の蒸留、溶融相又は水性若しくは有機溶媒中での結晶化により精製した物質の融解、又は欧州特許第128700号明細書に従い精製したジアンヒドロヘキシトール溶液を乾燥まで濃縮させることによって得ることができる。
【0031】
好ましくは、溶融液を加熱管路及び定容ポンプによって、ペレット成形ユニットに導入する。この調節可能なポンプにより、必要な圧力でペレット製造機に供給することが可能になる。
【0032】
ペレット成形方法の第1ステップは、溶融液からジアンヒドロヘキシトール液滴を生成することからなる。本発明の好ましい形態では、溶融液は、供給/計量ユニットに到達し、そこで、ペレットに変換される。その際、ペレットの粒度及び量は、選択した孔又はノズルの直径及び数によって決定される。溶融液は、1つ以上の液滴発生器に、例えば、過圧によって射出注入され、この発生器は連続的な物質の流れを、予め定めた直径の均一な液滴に変える。
【0033】
ジアンヒドロヘキシトール液滴の生成ステップの後に、前記液滴の冷却ステップが続く。この冷却ステップは、当業者には公知のあらゆるタイプの方法、例えば、冷却材(急冷、冷気など)中への浸漬、又は冷却液によって冷却された可動金属表面の上に液滴を滴下することにより、実施することができる。好ましくは、冷却ステップは、水回路によって冷却された可動金属ベルトからなる冷却ベルト上に液滴を滴下することにより、又は冷却液によって冷却された水平プレート上に液滴を滴下することにより、実施することができる。液滴の冷却は、前記ペレットの形状を最終的に安定化するために、前記液滴が、ジアンヒドロヘキシトールの融点より低い、特に、特にイソソルビドの場合、63±2℃より低い温度に到達するようにしなければならない。
【0034】
供給/計量ユニットと、溶融液の液滴の計量中に行われる冷却ディスクの冷却のためのシステムとを同時に動作させることにより、ペレットの造形が達成される。さらに、この装置には、水蒸気又は冷却液による製品のあらゆる汚染、さらには冷却液のあらゆる汚染を防止するために、閉回路冷却システムを備えることができる。
【0035】
本発明の好ましい形態によれば、ペレット製造機は、Sandvikにより販売されているRotoform(登録商標)ペレット製造機であってよい。こうしたペレット製造機は、加熱された固定円柱体(ステーター)から構成され、この円柱体は、縦方向の供給溝を含み、その周りに回転穴あき管が存在する。管の連続した打ち抜き穴がステーターの溝の下を通過すると、少量の物質が放出されて、鋼製ベルト上に液滴の形態で滴下し、そこで、液滴は冷却されて、凝固する。ペレット製造機の周速は、鋼製ベルトの前進速度と一致させる。
【0036】
ペレット成形工程の前に、ジアンヒドロヘキシトール組成物を、任意の方法、例えば、欧州特許第1287000号明細書に記載の方法に従って、製造する。この組成物は、当業者には公知の精製、濃縮、結晶化などの様々な方法に付すことができる。特に、ジアンヒドロヘキシトールは、活性炭及び/又は少なくとも1つのイオン交換手段を用いた少なくとも1回の処理に付すことができる。さらに、ジアンヒドロヘキシトールは、欧州特許第1446373号明細書の教示に従い、事前に安定化させてもよい。
【0037】
本発明のジアンヒドロヘキシトールペレットは、乾量基準で、前記ジアンヒドロヘキシトールペレットの組成物の90重量%〜100重量%、好ましくは95重量%〜100重量%、より好ましくは97重量%〜100重量を構成する。
【0038】
本発明の前記ペレットは、乾量基準で、前記ジアンヒドロヘキシトールペレットの組成物の2重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、さらに好ましくは0.001重量%未満のケーキング防止剤をさらに含む。
【0039】
本発明のペレットは、さらに、その嵩密度及びタップ密度、並びにまたそのタッピングを特徴とし、その値は、以下に説明する試験Aに従い、Stampf Volumeter STAV 2003装置を用いて計算する。
【0040】
上記の条件下で、本発明のペレットは、有利には、以下:
−0.80〜1.00g/ml、好ましくは0.81〜0.85g/ml、より好ましくは0.82〜0.84g/mlの嵩密度、
−0.81〜1.00g/ml、好ましくは0.82〜0.86g/ml、より好ましくは0.83〜0.85g/mlのタップ密度、及び
−多くとも2%に等しい、好ましくは0.5%〜2%、より好ましくは0.8%〜1.6%のタッピング
を呈示する。
【0041】
本発明のペレットのタップ密度及び嵩密度並びにタッピングの値は、試験Aに従い、Stampf Volumeter STAV 2003装置を用いて、前記Stampf Volumeterの使用説明書で推奨される方法により決定する。従って、試験Aは、250mlの容量を満たす量の物質を、直径35mm及び高さ335mmの測定シリンダーに導入するものである。試験する物質が何であれ、この物質は、250mlの同一容積(タッピング前の容積)を常に満たすように、前記測定シリンダーに導入する。次に、上から下に向けて行う1250回のタップ(3mm±0.2の降下)の後、物質の容積(タッピング後の容積)を測定する。
【0042】
このように、Stampf Volumeter STAV 2003装置は、標準及び再現性条件下で、以下の式:
嵩密度=測定シリンダーに導入する物質の重量(g)/250(ml)
タップ密度=測定シリンダーに導入する物質の重量(g)/X(ml)
(X=タッピング後に物質が占める容積(ml))
タッピング(%)=[(タップ密度−嵩密度)/嵩密度]×100
(ここで、タップ密度は、上から下に向けて行う1250回のタップで実施したタッピング(3.0mm±0.2の降下)後のタップ密度である)
に従い、嵩密度、タップ密度、そしてこれらのデータからタッピング値を計算することにより、物質のタッピングに関する傾向を測定することができる。
【0043】
本発明のジアンヒドロヘキシトールペレットはまた、その圧縮性も特徴としうるが、圧縮性は、以下に説明する試験Bに従い評価する。
【0044】
圧縮試験Bは、直径95mmの結晶皿に配置された、内径4.8cm、高さ8cmの中空の真鍮シリンダーに、グラムで定量した特定の重量の物質を導入するものである。中空の真鍮シリンダーとぴったり嵌合する重量1.3kgのピストンを、前記シリンダー内に存在する物質まで下げる。試験する物質が何であれ、シリンダーは、実質的に同じ容積の物質を含む(シリンダーの充填高さは実質的に同じであり、5.9±0.2cmに設定されている)。シリンダー内に導入した物質の上にピストンを配置した直後、シリンダー内に導入した物質全体の正確な高さを測定する(圧縮前高さ)。続いて、ピストン/物質/シリンダー/結晶皿の集合体をアルミニウムバッグ(22cm×41cm)(Aldrichにより販売されているZ 183407バッグ)の中に入れる。このバッグを、インパルス熱シーラー(Joisten & Kettenbaum GmbH & Co,Bergisch Gladbach,Germanyにより販売されているSZ 380モデル)を用いてシーリングすることにより、直ちに密封して、外気に対する気密性を確実にする。こうしてパッケージしたサンプルを換気オーブン内に1週間配置し、20℃〜40℃のいずれかの温度にサーモスタットで制御する。1週間が経過した後に、バッグをあけて、シリンダーに導入した物質全体の正確な高さを測定する(圧縮後高さ)。物質の圧縮率は、以下の式に従って計算する:
D
before=シリンダーに導入した物質の重量(g)/[πxd
2×h
before)/4]
(式中、D
before=圧縮前の密度(g/cm
3);d=シリンダーの内径(cm)=4.8cm;h
before=圧縮前のシリンダー内の物質の高さ(cm);π=パイ)
D
after=測定シリンダーに導入した物質の重量(g)/[πxd
2×h
after)/4]
(式中、D
after=圧縮後の密度(g/cm
3);d=シリンダーの内径(cm)=4.8cm;h
after=圧縮後のシリンダー内の物質の高さ(cm))
圧縮率(%)=[(D
after−D
before)/D
before]×100
【0045】
本発明のペレットは、有利には、20℃で評価して、5%未満、好ましくは3%未満、さらに好ましくは2%未満の圧縮率を呈示する。前記ペレットは、さらに、有利には、40℃で評価して、5%未満、好ましくは4.5%未満の圧縮率を呈示する。
【0046】
本発明のペレットはまた、ケーキングする傾向が低いことを特徴としうる。ケーキングの傾向は、特に、以下に説明する試験Cを用いて評価することができる。
【0047】
ケーキング試験Cは、欧州特許出願公開第1787993A1号明細書の請求項1に記載のものと類似しており、70gの物質を高さ12cm及び内径6cmのガラスフラスコに導入するものである。こうして充填した前記フラスコを密閉した後、内部温度を20℃又は40℃に設定した換気オーブン内に2週間又は4週間配置する。2週間又は4週間後、フラスコをオーブンから取り出して、開放した後、水平軸に沿って90°、次いで180°傾ける。物質に対し、その流動形態に応じて、以下のようにスコアを付与する:
−フラスコを90°で配置した直後に、物質が完全に流れた場合には、この物質にスコア0を付与する;
−フラスコを180°で配置し、最大1分の時間内に物質が完全に流れた場合には、この物質にスコア1を付与する;
−次の場合には、物質にスコア2を付与する:
・フラスコを180°で配置し、1分を超えても流れないが、
・180°で配置したフラスコの底部に、高さ10cmの地点から300gの重りを落とした後流れた場合;
−フラスコを180°で配置してから1分を超えても流れず、さらに180°で配置したフラスコの底部に、高さ10cmの地点から300gの重りを落とした後も流れない場合には、この物質にスコア3を付与する。
【0048】
本発明のペレットは、有利には、20℃で2週間又は4週間実施したケーキング試験Cではスコア1を、また、40℃で2週間又は4週間実施したケーキング試験Cではスコア1又は2を呈示する。
【0049】
本発明のペレットはまた、貯蔵中に化学的に安定しているという利点も呈示しうる。本発明では、pH測定(pHの安定性の確認)により、試験Dに従って、化学安定性を評価する。
【0050】
安定性試験Dは、第1ステップにおいて、乾物量40重量%で、浸透水に溶解させた物質のサンプルのpHを評価するものである。続いて、同じ物質の50gの別のサンプルをガラスフラスコに導入した後、前記フラスコを密閉して、温度50℃にサーモスタッドで制御した換気オーブン内に配置する。同じ物質を充填した複数のフラスコをオーブン内に配置する。予め定めた時間の経過後、物質のサンプルすべてをフラスコから採取し、乾物量40重量%で、浸透水に溶解させる。pH測定は、Mettler Toledo商標の結合Ag/AgClワイヤ電極を備え、pH7及び4バッファー液を用いて事前に較正したRadiometer Analytical PHM 220商標のpH測定器で実施する。
【0051】
本発明のペレットは、有利には、温度50℃にサーモスタッドで制御した換気オーブン内に配置したガラスフラスコ中で6ヶ月の貯蔵後、試験Dに従い評価して、7以上のpH、好ましくは7.0〜8.5のpHを呈示する。7以上のpHは、酸性化発生(ギ酸の形成を伴うジアンヒドロヘキシトールの分解を意味する)の非存在を示すことから、本発明のジアンヒドロヘキシトールの優れた安定性を証明するものである。
【0052】
本発明のペレットはまた、迅速に溶解するという利点も有し、その溶解時間は、既存の他の成形品の時間と同じである。従って、本発明のペレットは、以下:
−20℃にて、溶液中の最終乾物量50%で、前記ペレットを溶解させる場合には、12分以下、好ましくは10分以下;また、
−40℃にて、溶液中の最終乾物量50%で、前記ペレットを溶解させる場合には、6分以下、好ましくは5分以下
の水への溶解時間を特徴としうる。
【0053】
本発明では、溶解を試験Eに従い評価する。前記溶解試験Eは、20℃±2℃又は40℃±2℃に予熱した100mlの蒸留水を含む250mlビーカーに物質の100gのサンプルを導入するものである。物質/蒸留水の混合物を、棒磁石(参照番号ECN442−4510/VWR)を用いて、撹拌する。次に、サンプルをビーカーに導入してから、サンプルが水に完全に溶解するまでに経過した時間を決定する。実験は、各サンプルについて3回実施する。本発明では、サンプルの溶解時間は、3回の実験結果の平均値に相当する。
【0054】
本発明のジアンヒドロヘキシトールペレットはまた、迅速に融解することができるという利点も有し、その融解時間は、既存の他の成形品と同程度である。従って、本発明のペレットは、80℃に加熱した場合、25分未満、好ましくは22分未満の融解時間を特徴としうる。
【0055】
本発明では、融解時間は、試験Fに従い評価する。前記融解試験Fは、80℃±2℃に予熱した250mlビーカーに物質の100gのサンプルを導入するものである。サンプルを棒磁石(参照番号ECN442−4510/VWR)で撹拌する。次に、サンプルをビーカーに導入してから、サンプルが完全に融解するまでに経過した時間を決定する。実験は、各サンプルについて3回実施する。本発明では、サンプルの融解時間は、3回の実験結果の平均値に相当する。
【0056】
本発明のペレットはまた、有利には、ペレットの少なくとも90重量%、好ましくは95重量%、さらに好ましくは94重量%が、2000μm以上、好ましくは2000μm〜20,000μmの篩分析粒度を呈示することを特徴とする。本発明では、ペレットの篩分析粒度は、以下に説明する試験Gに従い評価する。
【0057】
前記試験Gは、Retschにより販売されるVS1000実験用篩装置を用いて、前記篩装置の使用説明書で推奨される方法に従い実施する。試験Gでは、篩装置は、直径20cmの7つの篩から成る篩分けタワーを備え、これら篩のメッシュサイズは、それぞれ、20,000μm、5000μm、2000μm、1400μm、1000μm、500μm及び355μmである(篩は、メッシュサイズの大きいものから小さい順に、上から下に向かって配置されている)。手短には、試験Gは、物質200gのサンプルを篩分けタワーの上部に導入して、10分間振動振幅50%の連続モードで篩装置を始動させるものである。10分にわたる篩分け後、篩装置を停止し、それぞれの篩に残留した物質の量を重量の計量によって定量する。
【0058】
本発明のペレットは、好ましくは、カール・フィッシャー(Karl Fischer)法により評価して、前記ペレットのジアンヒドロヘキシトール組成物の1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、さらに好ましくは0.3重量%未満の湿分を呈示する。
【0059】
本発明のペレット、すなわち本発明の方法によって得ることができるペレットは、栄養補助食品、医薬品、化粧品、化学、建設材料、紙/厚板又はポリマーなどの分野に適した特殊な組成物を製造することを可能にする。従って、本発明は、さらに、ジアンヒドロヘキシトールの誘導体及び少なくとも1種のジアンヒドロヘキシトール又は少なくとも1種のその誘導体を含むポリマーの製造における、本発明のペレット又は本発明の方法によって得られるペレットの使用にも関する。
【0060】
以下に示す実施例により、本発明をより明瞭に理解することができよう。尚、これらの実施例は、限定しようとする意図はなく、本発明のペレットの有利な実施形態及び特性を記載するにすぎない。
【実施例】
【0061】
以下に記載する実施例2〜6において:
−「ペレットV1、V2及びV3」という用語は、厚さ2mmの本発明のイソソルビドペレットを意味するものとし、その最大長さ(直径)は、それぞれ4mm、5mm及び7mmであり、実施例1で詳しく説明されるペレットのプロセスにより得る;
−「フレーク」という用語は、冷却した回転シリンダーでの結晶化によって得られるイソソルビドフレークを意味するものとし、供給は、溶融イソソルビドの入った大タンクへの浸漬によって実施される;
−「バルク結晶」という用語は、アルコールタイプの溶媒からの結晶化後、得られた結晶を、ろ過乾燥機において真空下、ろ過及び乾燥することによって得られるイソソルビド結晶を意味するものとする;
−「355〜1400結晶」という用語は、前述した「バルク結晶」から生成される355〜1400μm粒度画分から得られる結晶を意味するものとする。上記の粒度画分は、Retschにより販売されているVS1000実験用篩装置を用いて、前記篩装置の使用説明書で推奨される方法に従って生成する。前記篩装置は、上記画分を生成するために、直径20cmの2つの篩から成る篩分けタワーを備え、これら篩のメッシュサイズは、それぞれ、355μm及び1400μmである(篩は、メッシュサイズの大きいものから小さい順に、上から下に向かって配置されている)。
【0062】
実施例1:本発明のイソソルビドペレットの製造
純度が99.8%で、0.2%の水を含むイソソルビドをフレークの形態で、加熱シリンダー容器中に撹拌しながら導入する。物質が完全に融解したら、これを65℃±2℃に維持し、Sandvikにより販売されているRotoform(登録商標)3000ペレット製造機を用いて、ペレット成形を実施する。
【0063】
操作パラメーター:
−供給温度:65℃±2℃
−ベルトの速度:9.5m/分
−Rotoform(登録商標)の速度:11m/分
−ベルト幅:600mm
−低温ベルト長さ:7.5m
−ベルトの全長:10m
−ベルト用冷却水:流量5m
3/時、20℃のろ過済脱炭酸水
−ペレット生産速度:360kg/時
【0064】
供給管の打ち抜き穴直径の選択により、様々な直径のペレットを得ることが可能になる。
【0065】
適切な打ち抜き穴直径を有する供給管と共に、前述の操作パラメーターを適用することによって、以下のペレットを取得する:
−ペレットV1:直径4mm及び厚さ2mm
−ペレットV2:直径5mm及び厚さ2mm
−ペレットV3:直径7mm及び厚さ2mm
【0066】
同様に、出発材料として、純度97%のフレーク状のイソソルビドを用いて、前述したものと同じ手順を実施する。適切な打ち抜き穴直径を有する供給管と共に、前述の操作パラメーターを適用することによって、以下のペレットを取得する:
−ペレットV4:直径4mm及び厚さ2mm
−ペレットV5:直径5mm及び厚さ2mm
−ペレットV6:直径7mm及び厚さ2mm
【0067】
実施例2:タッピング及び圧縮試験中の、本発明のイソソルビド組成物と、フレーク又は結晶形態のイソソルビド組成物の挙動の比較
2.1 タッピング試験
様々なイソソルビド成形品の嵩密度、タップ密度及びタッピングを試験Aに従い評価する。これらのパラメーターを、特に、本発明の様々な直径のイソソルビドペレット(V1、V2及びV3)、イソソルビドフレーク及びイソソルビド結晶(バルク結晶又は355〜1400μm画分から得られる結晶)について比較する。
【0068】
この評価の結果を表1に示す。
【表1】
【0069】
本発明のペレットは、市販の製品(フレーク及び結晶)よりはるかに優れた嵩密度及びタップ密度を呈示する。さらに、前記ペレットは、フレーク及び結晶より極めて顕著に低いタッピングを呈示する。
【0070】
従って、他の成形品の形態と比較して、イソソルビドペレットは、沈下しにくく、しかもケーキングしにくいこと、また、それにもかかわらず、高いタップ密度及び嵩密度を呈示することから、大量に輸送する上でより好適である。
【0071】
2.2 圧縮試験
様々なイソソルビド成形品の圧縮前密度(D
before)、圧縮後密度(D
after)及び圧縮率を試験Bに従い評価する。これらのパラメーターを、特に、本発明のイソソルビドペレットV1、V2及びV3、イソソルビドフレーク及びイソソルビド結晶(バルク結晶又は355〜1400μm画分から得られる結晶)について比較する。
【0072】
この評価の結果を表2に示す。
【表2】
【0073】
本発明のペレットは、市販の製品(フレーク及び結晶)よりはるかに優れた、圧縮前及び圧縮後密度(それぞれ、D
before及びD
after)を呈示する。さらに、前記ペレットは、フレーク及び結晶より顕著に低い圧縮率を呈示する。
【0074】
従って、他の成形品の形態と比較して、イソソルビドペレットは、圧縮しにくいことから、大量に輸送する上でより好適である。
【0075】
実施例3:ケーキング試験における本発明のイソソルビド組成物と、フレーク又は結晶形態のイソソルビド組成物の挙動の比較
本発明のイソソルビドペレットと、イソソルビドフレーク及びイソソルビド結晶のケーキングの傾向を前述のケーキング試験Cに従い評価した。
【0076】
この評価の結果を表3に示す。
【表3】
【0077】
本発明のイソソルビドペレットは、20℃で2週間又は4週間実施するケーキング試験Cでスコア1を、また40℃で2週間又は4週間実施するケーキング試験Cでスコア1又は2を呈示する。
【0078】
実施例4:本発明のイソソルビドペレットの化学安定性の分析
実施例1に従い得られたペレットの貯蔵安定性を前述の試験Dに従い評価した。
【0079】
この評価の結果を表4に示す。
【表4】
【0080】
様々なペレットV1、V2及びV3のpH値は、50℃で6ヶ月間の貯蔵後も安定したままであり、これは、酸性化の発生(ギ酸の形成を伴うイソソルビドの分解を意味する)の非存在、従って、本発明のイソソルビドペレットの優れた安定性を示している。
【0081】
実施例5:本発明のイソソルビドペレットと、フレーク又は結晶形態のイソソルビド組成物の溶解及び融解時間の評価
様々なイソソルビド成形品の溶解時間及び融解時間をそれぞれ試験E及びFに従い評価した。
【0082】
この評価の結果を表5及び表6にそれぞれ示す。
【表5】
【表6】
【0083】
本発明のイソソルビドペレットは、既存の他の成形品と実質的に同じ溶解時間を呈示する。
【0084】
さらに、前記ペレットは、既存の他の成形品と同程度の融解時間を呈示する。
【0085】
実施例6:本発明のイソソルビド組成物と、フレーク又は結晶形態のイソソルビド組成物の粒度分析
様々なイソソルビド成形品の篩分析粒度を試験Gに従い評価した。この評価の結果を表7に示す。
【表7】
【0086】
本発明のイソソルビドペレットはまた、ペレットの少なくとも90重量%、好ましくは94重量%が、2000μm超、好ましくは2000μm〜20,000μmの篩分析粒度を呈示することも特徴とする。