特許第5957461号(P5957461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5957461ツインエンジンヘリコプタの燃料消費率を最適化する方法およびこれを実施するための制御システムを備えたツインエンジン構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957461
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】ツインエンジンヘリコプタの燃料消費率を最適化する方法およびこれを実施するための制御システムを備えたツインエンジン構造
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/42 20060101AFI20160714BHJP
   F02C 9/28 20060101ALI20160714BHJP
   F02C 9/46 20060101ALI20160714BHJP
   F02C 7/26 20060101ALI20160714BHJP
   B64D 31/10 20060101ALN20160714BHJP
【FI】
   F02C9/42
   F02C9/28 A
   F02C9/46
   F02C7/26 B
   !B64D31/10
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-537180(P2013-537180)
(86)(22)【出願日】2011年10月28日
(65)【公表番号】特表2013-544329(P2013-544329A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】FR2011052532
(87)【国際公開番号】WO2012059671
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年10月7日
(31)【優先権主張番号】1151717
(32)【優先日】2011年3月3日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1059065
(32)【優先日】2010年11月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501107994
【氏名又は名称】ターボメカ
【氏名又は名称原語表記】TURBOMECA
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコニ,パトリツク
(72)【発明者】
【氏名】テイリエ,ロマン
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03093968(US,A)
【文献】 米国特許第03869862(US,A)
【文献】 特開平05−193579(JP,A)
【文献】 特開平09−249200(JP,A)
【文献】 米国特許第05239830(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/00− 9/58
B64D 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室(CC)が設けられたガス発生器(11、21)を各々備える2つのターボエンジン(1、2)が装備されたヘリコプタの燃料消費率を最適化する方法であって、ターボエンジン(1、2)の少なくとも一方が、連続的な飛行速度(B、E、C)で単独で作動するようになされ、他方のエンジン(2、1)は、このとき、緊急の再始動出力に適合されている駆動手段(E1、E2)によってそのようなエンジン(2、1)のガス発生器の加速モードに切り替わるように適合されたいわゆるオーバーアイドリングのゼロ出力速度にあることと、そのような緊急の再始動は、少なくとも事前の従来の再始動の試み(U0)が失敗した場合、そのような再始動専用の独立した出力によって生み出された、オーバーアイドリングターボエンジン(2、1)のガス発生器(21、11)への緊急の機械的支援(U2、U1)によって実施されることと、単独で作動されているターボエンジン(1、2)が故障した場合、他方のオーバーアイドリングのターボエンジン(2、1)が、緊急支援(U2、U1)によって再始動されることとを特徴とする、方法。
【請求項2】
オーバーアイドリング速度が、燃焼室(CC)がオン状態のエンジン(1、2)の回転維持速度、燃焼室(CC)がオフ状態のエンジン(1、2)の回転維持速度、および燃焼室(CC)がオフ状態のエンジン(1、2)のゼロ回転速度の間で選択される、請求項1に記載の最適化方法。
【請求項3】
オーバーアイドリング速度の通常出力において、燃焼室がオンであるとき、ポンピングおよび熱暴走に対する保護法規にしたがった燃料流量の変動が、ターボエンジン(1、2)のガス発生器(11、12)を駆動してツインエンジン出力レベルまで加速させる、請求項2に記載の最適化方法。
【請求項4】
オーバーアイドリング速度の通常出力において、燃焼室がオフであるとき、駆動手段(E1、E2)は、ガス発生器(11、21)が、着火ウィンドウ内の事前に設定された速度にしたがって回転するように導き、次いで、燃焼室(CC)がオンになった後、ガス発生器(11、21)は、ツインエンジン出力レベルまで加速される、請求項2に記載の最適化方法。
【請求項5】
オーバーアイドリング速度の通常出力において、燃焼室(CC)がオフであるとき、ガス発生器(11、21)が、そのような発生器に適合された電気装置によって駆動され、そのような装置は、これを始動させ、その回転速度が燃焼室(CC)の着火ウィンドウ内に入るまでこれを加速させ、次いで、燃焼室がオンになった後、ガス発生器(11、12)は、燃料流量の変動によってツインエンジン出力レベルまで加速される、請求項2に記載の最適化方法。
【請求項6】
燃焼室(CC)がオフ状態のオーバーアイドリング速度の緊急出力において、ガス発生器(11、21)が、燃焼室(CC)の着火ウィンドウ内のその回転速度にあるとき、燃焼室(CC)は着火され、次いでガス発生器は、緊急支援装置によって加速される、請求項2に記載の最適化方法。
【請求項7】
プラグの従来の着火を補完する、ある程度の即効性を有する点火が、緊急出力において燃焼室(CC)を着火させるために引き起こされる、請求項4から6のいずれか一項に記載の最適化方法。
【請求項8】
離陸時のMTOP出力を規定し、ターボエンジン(1、2)が、低い方の出力のターボエンジン(2)の最高OEI速度出力と、最強出力のターボエンジン(1)のMTOP出力との間の比に少なくとも等しい、出力の不均一比を有する実質的に異なる出力を供給し、ターボエンジン(1、2)の少なくとも一方が、連続速度(B、E、C)において単独で作動することができ、他方のエンジン(2、1)は、このとき、緊急の再始動を鑑みて駆動手段(E2、E1)によって回転状態に保たれながら、ゼロ出力の、燃焼室がオフである状態の待機モードにある、請求項1に記載の2つのターボエンジン(1、2)が装備されたヘリコプタの燃料消費率の最適化方法。
【請求項9】
両方のターボエンジン(1、2)が、離陸、静止飛行および着陸の過渡的段階中、一緒に作動する、請求項8に記載の最適化方法。
【請求項10】
最小出力のターボエンジン(2)が、必要とされる総出力が、そのMCPより低い、または等しい場合に単独で作動する、請求項8または9のいずれかに記載の最適化方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法の実施のための制御システム(4)が装備されたツインエンジン構造であって、ガス発生器(11、21)および利用可能な最大出力(MTOP、MCP)を規定するフリータービン(12、22)が各々装備された2つのターボエンジン(1、2)を備えることと、各々のガス発生器(11、21)はガス発生器用の回転駆動手段および加速手段を備え、オーバーアイドリング速度出力においてガス発生器(11、21)を作動させるように適合された駆動手段(E1、E2)と、従来のプラグ着火手段を補完する、ある程度の即効性を有する点火手段および独立したオンボード源によるガス発生器(11、21)用の加速機械的手段を備える緊急機械的支援装置(U1、U2)とが設けられることと、制御システム(4)が、このシステム(4)の記憶装置(6)内に事前に登録されたミッションプロファイルにしたがって、ヘリコプタの状態および飛行段階(AからF)に応じて、ガス発生器(11、21)の駆動手段(E1、E2)および緊急支援装置(U1、U2)を監視することとを特徴とする、ツインエンジン構造。
【請求項12】
ガス発生器(11、21)の駆動手段(E1、E2)が、オンボード電源によって供給される、そのようなガス発生器に装備された電気スタータまたは他方のガス発生器(21、11)に装備されたスタータ/発生器、出力伝達箱(3)によってまたは他方のターボエンジン(2、1)のフリータービン(22、12)によって直接的に駆動される発電機、およびそのようなPTB(3)またはそのようなフリータービン(12、22)に結合された機械的駆動装置の中から選択される、請求項11に記載のツインエンジン構造。
【請求項13】
駆動手段(E12、E2)が、燃焼室がオフである状態でガス発生器(11、21)を保つことができることを特徴とする、請求項11または12のいずれかに記載のツインエンジン構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのターボエンジンが装備されたヘリコプタの燃料消費率、略してCsを最適化する方法に関し、そのような方法を実施するための制御システムが装備されたツインエンジン構造にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、巡航出力において、ターボエンジンは、その最大連続出力、略してMCP(最大連続出力:Maximum Continuous Power)の下で、低い出力レベルで作動する。そのような巡航出力は、その最大離陸出力、略してMTOP(最大離陸出力:Maximum Take−Off Power)の約50%に等しい。そのような低い出力レベルは、MTOPにおけるCsより約30%高い燃料消費率、したがって巡航出力における燃料の過剰消費を生じさせる。
【0003】
ヘリコプタには2つのターボエンジンが設けられ、各々は、他方のエンジンが故障した場合にヘリコプタを飛行状態に保つことができるようにオーバサイズ設定されている。作動不能のエンジンの管理専用のそのような作動出力、いわゆるOEI(一エンジン作動不能:One Engine Inoperative)出力では、有効なエンジンは、ヘリコプタが危険な状況に対応し、次いでその飛行を継続することを可能にするためにその公称定格を大きく超えた出力を供給する。このとき、各々の定格は、出力レベルおよび最大使用時間によって規定される。有効なターボエンジンの燃焼室内に噴出されている燃料の流量は、OEI出力時にはかなり増大されてそのような追加の出力を供給する。
【0004】
そのようにオーバサイズ設定されたターボエンジンは、質量および燃料消費率において不利益をもたらしている。巡航出力においてそのような燃料消費率を低減するために、ターボエンジンの1つを停止することが可能である。作動しているエンジンは、このとき、より高い出力レベルで、したがってより有利なCsレベルで作動する。しかし、この実践は、現行の認証規約に反するものであり、ターボエンジンは、安全基準に準拠した再始動の信頼性を保証するようには設計されていない。
【0005】
たとえば、待機モードにあるターボエンジンの再始動時間は、通常約30秒である。そのような時間は、飛行状態によっては、たとえば低い飛行高度において最初に動作するエンジンが部分的に故障した状態では不十分である可能性がある。待機エンジンが時間内に再始動しない場合、問題のあるエンジンで着陸することは非常に危険になり得る。
【0006】
より一般的には、1つだけのターボエンジンの使用は、あらゆる飛行状況において、両方のターボエンジンを使用できるように安全面の点で必要とする利用可能な追加の出力を有することが必要である場合にリスクを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、あらゆるタイプのミッション、たとえば低い高度での捜索段階を含むミッションに供給される出力の最低限の安全状態を保ちながら、CsをMTOP出力時のCsになるように低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのようにするために、本発明は、確実な再始動を保証するようになされた特定の手段と接続してツインエンジンシステムを使用することを目的とする。
【0009】
より正確には、本発明は、燃焼室が設けられたガス発生器を各々備える2つのターボエンジンが装備されたヘリコプタの燃料消費率を最適化する方法を目的とする。ターボエンジンの少なくとも一方は、いわゆる連続的に安定化された飛行速度で単独で作動するようになされ、他方のエンジンは、このとき緊急の再始動に適合されている駆動装置によってそのようなエンジンのガス発生器の加速モードに切り替えるようになされたいわゆるオーバーアイドルのゼロ出力速度にある。そのような緊急の再始動は、少なくとも事前の従来の再始動の試みが失敗した場合、そのような再始動専用の独立したオンボード出力源によって生み出された、ガス発生器への緊急の機械的支援によって実施される。単独の作動状態にあるターボエンジンが故障した場合、他方のオーバーアイドリングのターボエンジンは、緊急支援によって再始動される。
【0010】
オーバーアイドリングのターボエンジン内のガス発生器の回転速度は、ターボエンジンに通常適用されるアイドリングガス発生器の回転速度よりかなり低く留まる。
【0011】
連続速度は、非限定的な時間によって定義され、したがって離陸、静止飛行および着陸の過渡的段階には関連しない。たとえば、難破船の乗員を捜索する場合、連続速度は、捜索領域に向かう巡航飛行段階、水上の捜索領域にある低高度飛行段階、および基地に戻るための巡航飛行段階に関連する。
【0012】
しかし、過渡的段階以外に、段階および飛行状態に応じて本発明のターボエンジンを選択的に使用することにより、MTOPに近いが、MCPより低いまたはこれと等しい出力での消費率Csに関連して最適なパフォーマンスを得ながら、オーバーアイドリングにおけるターボエンジンの安全な再始動手段によって故障および緊急時に対応することが可能になる。
【0013】
「ツインエンジン」タイプのオーバーアイドルから作動定格への定格出力は、いわゆる「通常」方法で引き起こされる。飛行中の速度の変化により、1つのエンジンから2つのエンジンに切り替わるとき、たとえばヘリコプタが巡航速度から静止飛行に切り替わるとき、またはエンジン故障の場合または困難な飛行条件におけるいわゆる「緊急」の形で。
【0014】
特定の実施形態によれば、
−オーバーアイドル速度は、燃焼室がオン状態のエンジンの回転維持速度、燃焼室がオフ状態のエンジンの回転維持速度、および燃焼室がオフ状態のエンジンのゼロ回転速度の間で選択され、
−オーバーアイドル定格の「通常」出力において、燃焼室がオンのとき、ポンピングおよび熱暴走に対する保護法規に従った燃料流量の変動が、ターボエンジンのガス発生器を駆動してツインエンジンの出力レベルまで加速させ、または
−燃焼室がオフのとき、動作する駆動装置が、ガス発生装置を着火ウィンドウ内の事前設定された速度にしたがって、特に公称速度の10分の1程度のウィンドウ速度にしたがって回転させ、次いで、燃焼室がオンになった後、ガス発生器は前のように加速され、または
−燃焼室がオフのとき、ガス発生器は、そのような発生器に適合された電気装置によって駆動され、そのような装置は、これを始動させ、その回転速度が燃焼室の点火ウィンドウ内になるまで加速させ、次いで燃焼室がオンになった後、ガス発生器は再度前のように加速され、
−オフである燃焼室内のオーバーアイドリング速度において、燃焼室の追加の点火が、すなわち従来の点火に加えて引き起こされ得、
−燃焼室がオフ状態のオーバーアイドル速度の緊急出力において、ガス発生器が燃焼室の着火ウィンドウ内のその回転速度にあるとき、燃焼室は着火され、次いでガス発生器は緊急支援装置によって加速され、
−ターボエンジンが不均一な最大出力をもたらすとき、最少出力を有するターボエンジンは、必要とされる総出力がそのMCPより小さい場合、特に捜索段階タイプの低い高度の飛行定格中、単独で作動し、
−ターボエンジンの出力は、最少出力を有するターボエンジンの最大のOEI定格出力と最強出力のターボエンジンのMTOP出力との間の比に少なくとも等しい出力不均一比を有し、
−不均一比は、一連の一般的なミッションに対処するために1.2から1.5の間にあり、好ましくは、そのような比は、低い方の出力のターボエンジンの最高OEI定格出力と最強出力のターボエンジンのMTOP出力との間の比に少なくとも等しく、
−従来のプラグ着火を補完する、ある程度の速攻性を有する点火が、緊急出力において燃焼室を着火させるために引き起こされ得、
−オーバーアイドル速度の緊急出力における機械的支援エネルギーが、油圧、パイロテクニクス、嫌気、電気、機械、および空気圧の性質のエネルギーの中から選択され、
−緊急支援は、有効なエンジンの再始動の後接続解除され、
−緊急支援は、好ましくは例外的使用のものであり、その作動は、その代用のための維持作用が後に続くことができる。
【0015】
有利な実施形態によれば、
−離陸時のMTOP出力を規定する2つのターボエンジンは、低い方の出力のターボエンジンの最高OEI速度出力と最強出力のターボエンジンのMTOP出力の間の比に少なくとも等しい出力の不均一比を有する実質的に異なる出力を供給し、ターボエンジンの一方は、連続速度で単独で作動することができ、他方のエンジンは、このとき、緊急再始動を鑑みて駆動装置によって回転状態に保たれながら、ゼロ出力の、燃焼室がオフ状態の待機モードにあり、
−いずれのターボエンジンも、離陸、静止飛行、および着陸の過渡的段階中、一緒に作動し、
−最小出力のターボエンジンは、必要とされる総出力がそのMCPより小さい、またはこれに等しい場合に単独で作動する。
【0016】
本発明はまた、そのような方法の実施のための制御システムが装備されたツインエンジン構造にも関する。そのような構造は、2つのターボエンジンを備え、その各々には、ガス発生器と、利用可能な出力を利用可能な最大出力まで伝達するフリータービンとが装備される。各々のガス発生器には、オーバーアイドル速度出力においてガス発生器を作動させるようになされ、ガス発生器の回転駆動手段および加速手段を備える手段と、従来のプラグ点火手段を補完する、ある程度の即効性を有する点火手段と、独立したオンボードエネルギー源を備える緊急機械的支援装置とを備える。制御システムは、このシステムの記憶装置内に事前に登録されたミッションプロファイルにしたがって、ヘリコプタの状態および飛行段階に応じてガス発生器の駆動手段および緊急支援装置を監視する。
【0017】
有利には、本発明は、最強出力のターボエンジンにおけるOEI速度の存在を排除することができる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、
−ガス発生器の動作する駆動手段は、そのようなガス発生器に装備された、オンボード電源によって供給される電気スタータまたは他のガス発生器に装備されたスタータ/発生器、出力伝達箱、略してPTBによってまたは他方のターボエンジンのフリータービンによって直接的に駆動される発電機、およびそのようなPTBまたはそのようなフリータービンが結合された機械的駆動装置の間で選択され得、
−補完的な点火手段は、レーザ光線を有するグロープラグ装置とパイロテクニクス装置の間で選択され得、
−独立したオンボード源は、油圧タイプ、パイロテクニクスタイプ、空気圧タイプ、嫌気性燃焼タイプ、(特に専用の電池またはスーパーコンデンサによる)電気的タイプ、およびロータに接続された機械的出力群によって含まれる機械的タイプの供給源の中から選択される。
【0019】
本発明の他の態様、特性および利点は、それぞれ添付の図を参照しながら、特定の実施形態に関連付けられた以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】捜索段階および2つの巡航段階を含むミッション中に必要とされる例示的な出力プロファイルを表す図である。
図2】本発明による例示的なツインエンジン構造の簡易化された概略図である。
図3図1に示されたプロファイルを有するミッション時の飛行状態に応じた、本発明による制御システムの命令図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
用語「エンジン」および「ターボエンジン」は、本明細書では同義語である。図示される実施形態では、エンジンは差のある最大出力を有する。そのような実施形態は、有利には、OEI速度を最強出力のターボエンジンにおいて排除することを可能にし、それによって2つのエンジン間の質量差を最小にする。簡単に言えば、最強出力エンジンまたはオーバサイズ設定されたエンジンはまた、「大きい」エンジンによって示され、最少出力エンジンは、「小さい」エンジンによって示され得る。
【0022】
図1に示される図は、ツインエンジンヘリコプタによって難破船の乗員を収容するミッションを実施するための、時間「t」の関数としての必要とされる総出力変動Pwを表している。そのようなミッションは6つの主な段階を含む:
−最大出力MTOPを用いる離陸段階「A」、
−MCPより小さいまたはこれと等しい出力レベルにおいて実施される、捜索領域までの巡航飛行段階「B」
−水上の低い高度における捜索領域において、探査時間を最大にするように時間当たりの消費を最小化する出力、したがって飛行速度で実施され得る、捜索段階「C」、
−離陸時に使用された出力の他の出力を必要とする、静止飛行における難破船乗員の収容段階「D」
−持続時間、出力、および消費率に関して巡航飛行「B」に匹敵する、ベースへの戻り段階「E」、および
−巡航段階「B」または「E」よりわずかに高い出力を必要とする着陸段階「F」。
【0023】
そのようなミッションは、ヘリコプタ飛行中に従来実施され得るすべての段階を含む。図2は、消費率Csを最適化することができるヘリコプタの例示的なツインエンジン構造を略示している。
【0024】
各々のターボエンジン1、2は、従来通り、ガス発生器11、21と、出力を供給するためにガス発生器によって供給されるフリータービン12、22とを備える。離陸時および連続速度において、供給される出力は、所定の最大値、それぞれMTOPおよびMCPに到達することができる。ガス発生器は、従来通り、圧縮空気内の燃料のための燃焼室「CC」と接続した空気圧縮機「K」であって、運動エネルギーをもたらすガスを供給する空気圧縮機と、駆動シャフト「DS」を介して圧縮機を回転させるそのようなガス「TG」の部分的膨張のためのタービンとからなる。ガスはまた、フリー出力伝達タービンも駆動する。例では、フリータービン12、22は、PTB3を介して出力を伝達し、このPTB3は、負荷および付属機器(ロータ駆動装置、ポンプ、オルタネータ、スタータ/発生器装置など)に供給された出力を集中管理する。
【0025】
ターボエンジン1の最大出力MTOPおよびMCPは、ターボエンジン2が供給することができる出力よりかなり高い。ターボエンジン1は、出力的に、ターボエンジン2に対してオーバサイズ設定される。ターボエンジン2の最高OEI速度出力とターボエンジン1の最大出力MTOP間の比に対応する、2つのターボエンジン間の不均一性は、この例では1.3に等しい。ターボエンジンの出力は、ここでは本来の出力を示し、そのようなターボエンジンは、ある所与の速度で最大を供給することができる。
【0026】
あるいは、ターボエンジン1および2の両方は、同一にすることができ、そのようなターボエンジンの最大出力MTOPおよびMCPはまた、ここでは同一である。
【0027】
各々のターボエンジン1、2には、駆動手段E1およびE2ならびに緊急支援装置U1およびU2が結合される。
【0028】
それぞれのガス発生器11、21を回転させる各々の手段E1およびE2は、ここでは、他方のターボエンジンに装備されたスタータ/発生器装置によってそれぞれ供給されるスタータである。さらに、各々の緊急支援装置U1、U2は、有利には、この例では、従来のプラグに加えて、ある程度の即効性を有する点火装置としてグロープラグを備え、またガス発生器のための加速機械的手段として追加のマイクロタービンに供給する推進剤(propergol)カートリッジを備える。そのような追加の点火装置はまた、飛行速度の変更のための通常出力、またはオーバーアイドリング速度における緊急出力にも使用され得る。
【0029】
作動においては、そのような駆動手段E1、E2と、緊急支援装置U1、U2と、ターボエンジン1および2の命令とは、制御システム4の作動手段によって、頭字語FADEC5(全自動デジタルエンジンコントロール)として知られている動力化(motorization)のための一般的なデジタル命令装置の制御の下で管理される。
【0030】
上記で示され、とりわけ記憶装置6内に登録されたミッションプロファイルの分野における、制御システム4によって実施される例示的な管理が、図3に示されている。システム4は、管理モードM0の組の中から、記憶装置6内で選択されたミッションプロファイルに適合された管理モードを選択し、ここではミッションに関して(図1に示されたプロファイルのように)4つの管理モードが考えられる:過渡的段階に関するモードM1、連続速度における飛行に関する、すなわち巡航および捜索段階のモードM2、エンジン故障に対するモードM3、およびオーバーアイドリング定格にあるエンジンの緊急再始動を管理するためのモードM4。
【0031】
そのようなミッションは、過渡的段階として、離陸、静止飛行、および着陸の段階、それぞれの段階A、D、およびFを含む。そのような段階は、ツインエンジンの従来作動のモードM1によって管理され、このモードM1では、ターボエンジン1および2は、いずれも作動しており(ステップ100)、それにより、ヘリコプタは、それらのMTOPに到達できる、利用可能な高い出力を有している。いずれのエンジンも、それらの公称出力に対して同じ相対レベルの出力で作動する。エンジンの1つが故障する場合は、従来通り、たとえば、他方のターボエンジンの故障の場合に最小出力の「小さい」ターボエンジン2のOEI定格をすぐ使えるようにすることによって管理される。
【0032】
連続飛行は、参照するミッションでは、巡航飛行BおよびEならびに低い高度の捜索段階Cに対応する。そのような段階は、モードM2によって管理され、このモードM2は、一方のターボエンジンの作動をもたらし、一方で他方のターボエンジンは、オーバーアイドリング速度にあり、燃焼室が駆動手段によってオフになる間、その好ましいウィンドウ内にある点火速度で回転状態に保たれる。
【0033】
したがって、巡航段階BおよびEでは、ターボエンジン1は作動し、他方のターボエンジン2は、駆動手段E2として使用されターボエンジン1のスタータ/発生器によって供給されるそれ自体のスタータによって回転状態に保たれる。回転は、燃焼室の好ましい着火速度に調整される(ステップ200)。そのような構成は、必要出力に対応し、この必要出力は、そのような巡航段階において、「大きい」エンジン1のMCPより低く、「小さい」エンジン2のMCPより高いものである。これと並行して、消費率Csに関して言えば、両方のエンジンが作動状態にあるとき、大きいエンジン12は従来のモードより高い相対出力レベルで作動するため、この解決策はここでも有利である。エンジンが同一であるとき、そのような巡航段階における必要出力は、エンジンのMCPを超えることはできない。
【0034】
捜索段階Cでは、最少出力の「小さい」ターボエンジン2は、単独で作動するが、その理由は、これはそれだけで必要出力を供給することができるためである。実際、この必要出力は、ここでは、オーバサイズ設定されたターボエンジン1のMCP出力よりかなり低いだけでなく、「小さい」エンジン2のMCPより低いものでもある。しかし、主に、この「小さい」エンジン2は、ターボエンジン2が作動していたであろうレベルよりも高い相対出力レベルで作動するため、消費率Csはより低いものである。そのような段階Cでは、ターボエンジン1は、オーバーアイドリング速度で、たとえば好ましい燃焼室着火速度で駆動手段E1として使用されるスタータによって回転状態に保たれる(ステップ201)。
【0035】
あるいは、同じ出力のエンジンの場合、両方のエンジンの一方だけが作動し、他方はオーバーアイドリング速度に保たれる。
【0036】
有利には、モードM2はまた、段階B、E、またはCが終わりに近付くとき、オーバーアイドリング速度にあるエンジンの従来の再始動を管理する。この従来の再始動が失敗した場合、モードはモード4に切り替わる。
【0037】
モードM3は、使用されたエンジンの故障の場合を、他方のエンジンをその緊急支援装置によって再作動させることによって管理する。たとえば、巡航飛行BまたはEの段階中に単独作動に使用されたオーバサイズされたターボエンジン1が故障したとき、「小さい」エンジン2は、その緊急支援装置U2によってすばやく再作動される(ステップ300)。同じようにして、捜索段階C中に単独作動状態の「小さい」エンジン2が故障した場合、「大きい」エンジン1は、その緊急支援装置U1によってすばやく再作動される(ステップ301)。
【0038】
そのようなモードM3はまた、最初に作動されたエンジンが故障し、再作動された他方のエンジンによって代用されるとき、長時間にわたってそのような巡航段階または捜索段階を管理する:
−巡航段階BおよびEの場合、緊急支援装置U2は、接続解除され、「小さい」エンジン2のOEI定格は、差のあるエンジンの場合の安全認証にしたがってすぐに使えるようにされ(ステップ310)、
−捜索段階Cでは(ステップ311)、緊急支援装置U1が接続解除され、オーバサイズ設定されたエンジン1のMTOPは、差があるエンジンの場合の「小さい」エンジン2の最高OEI定格の出力に少なくとも等しい。
【0039】
飛行状態が突然困難になるとき、その支援装置の作動による、オーバーアイドリング速度にあるエンジンのすばやい再始動は、両方のターボエンジンの出力から助け(benefit)を引き出すのに適切なタイミングになり得る。例においては、そのような装置は、パイロテクニクス性のものであり、マイクロタービンに供給する推進剤カートリッジである。
【0040】
そのような場合は、緊急再始動モードM4によって管理される。したがって、巡航飛行BおよびEの段階中(ステップ410)であれ、1つのターボエンジン1または2しか作動しない捜索段階C(ステップ411)中であれ、他方のターボエンジン2または1の作動は、従来の再始動手段U0の失敗の場合にのみ、それぞれのパイロテクニクス式支援装置U2またはU1の作動によって引き起こされる(ステップ400)。飛行状態は、ここでは、ツインエンジンモードにあるヘリコプタの作動によって確実にされる。
【0041】
本発明は、説明され表された例に限定されない。実際、本発明は、差のあるまたは等しい出力を有するターボエンジンにも適用される。
【0042】
さらには、上記で述べられた速度以外の他のオーバーアイドリング速度、すなわち、燃焼室がオフまたはオンに関わらずエンジンを回転状態に保ち、この回転速度は、有利には、燃焼室がオフである場合に着火ウィンドウ内にある、オーバーアイドリング速度、または燃焼室がオフ状態であるゼロ回転速度であって、回転が、その後オンボード電源によって供給されるエンジンのそれ自体のスタータによって有利に生み出される、ゼロ回転速度は、エンジンがゼロ回転速度の状態でオンである燃焼室において、または、相対するエンジンがゼロもしくはゼロではない回転速度の状態で着火待機状態にありもしくは部分的にオンである燃焼室の場合でも規定され得る。
【0043】
さらには、制御システムは、4つの管理モードをこれより多くまたはこれより少なく提供することができる。たとえば、別のモードまたは追加の管理モードが、地理的条件(山、海、砂漠など)を考慮に入れるようにされてよい。
【0044】
ミッションのプロファイルに応じて、たとえば飛行段階ごとまたは構造ごと(エンジン、駆動手段、緊急支援装置)に他の管理モードを追加することもできる。
【0045】
さらには、支援装置の少なくとも1つは、同じミッションにおけるこの装置による少なくとも別の再始動を可能にするために、独占使用のものとして提供されなくてよい。
図1
図2
図3