【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る少なくとも1つの上述された目的は、少なくとも1つの加工部品を処理するための装置であって、少なくとも部分的に第1の領域及び第2の領域を包囲するケーシングであって第1の領域及び第2の領域が少なくとも1つの通路によって互いに連通するように構成されたケーシングと、少なくとも1つの加工部品を保持するように構成されたキャリアを支持するための支持手段であって、少なくとも1つの加工部品が処理のために第1の領域に配置されるように、キャリアを支持するように構成された支持手段と、を具備する装置において、装置が、第1の領域と第2の領域との間の差圧を生成するための差圧生成手段であって、少なくとも1つの加工部品にキャリアへと向かう力を付与するために、第2の領域の少なくとも1つの圧力が第1の領域の少なくとも1つの圧力より低くされた差圧生成手段を具備し、少なくとも1つの通路は、キャリアが支持手段によって支持されたときに第1の領域及び第2の領域の両方と連通するように構成され、差圧生成手段が、少なくとも部分的に差圧を生成するために、1又は複数の媒体(medium or media)の流れを、第1の領域から少なくとも1つの通路を通して第2の領域へと案内するように構成された装置を提供することによって実現される。
【0011】
本発明によって、少なくとも1つの加工部品は、いかなる磁石又は加工部品を覆う部材の支援もなく、且つ、こうした、1又は複数のブラスト媒体或いは処理のための任意の他の媒体を遮断するいかなる部材もなく、キャリア内の正確な位置に効率的且つ堅く保持され、従って、ウェットブラスト又はドライブラストの操作中、或いは、任意の他の処理の操作中、加工部品は適正に処理される。加工部品の表面のより多くの部分が、同時にブラストされ得る。続く第2のブラストの実行は不要となる。加工部品が、加工部品を覆う必要のある、いかなる手段もなく保持され得るため、ブラスト操作の速度が改善され、生産性が向上し、製造コストが低減される。更に、ブラスト角度、すなわち、ブラスト媒体が加工部品の表面に対して射出される角度は制限されない。略鉛直な延在部を有する加工部品の表面部分は、加工部品がキャリアによって保持されたとき、本発明によってより効率的な方法でブラストされる。更に、本発明の発明者は、処理の間、特に、媒体が加工部品の表面に対して射出又は噴出されたときの処理の間、例えばショットピーニング、洗浄、乾燥、又は、例えば以下でより詳細に説明される、ブラストに続く付加的な処理といった他の処理の間、加工部品を保持するために本発明が好適であることを発見した。本発明に係る装置は、切削インサートのために特に好適である。従って、本発明によって、加工部品、特に切削インサートのブラスト、ショットピーニング、洗浄又は乾燥といった処理が改善される。本発明によって、加工部品を保持するための鉛直ピン、カバーネット又は磁石の使用が回避され、従って、これらの先行技術の保持方法の上述された欠点は克服される。ケーシングは、第1の領域及び第2の領域を包囲してもよい。
【0012】
1又は複数の媒体の流れを、少なくとも1つの通路を通して第1の領域から第2の領域へと案内することによって、その差圧が効率的な方法で生成され、少なくとも1つの加工部品が、キャリア内の正確な位置に効率的に保持され、加工部品の処理は更に改善される。本発明によって、処理中に使用される1又は複数の媒体は、第1の領域から第2の領域へと効率的に排出され又は吐出される。更に本発明によって、加工部品を保持し且つ加工部品を処理するために用いられる媒体を処理するための、1又は同等のシステムが構成されてもよい。先行技術の場合における、すなわち、1つのシステムが吸引又は負圧によって加工部品を保持し、他のシステムが加工部品を処理するのに用いられた媒体を処理する場合における、2つの分離されたシステムは、本発明によって不要となる。従って、構造がより複雑ではない、少なくとも1つの加工部品を処理するための改良された装置が提供される。
【0013】
本発明に係る装置の好適な実施形態によれば、支持手段は、切削インサートを含む、少なくとも1つの加工部品を保持するように構成されたキャリアを支持するように構成される。好適には、支持手段は、加工部品、例えば複数の切削インサートを保持するように構成されたキャリアを支持するように構成される。支持手段は、1又は複数の支持の形式であってもよい。差圧生成手段は、差圧生成設備の形式であってもよい。差圧生成手段は、1又は複数のファン又はブロワを具備してもよい。差圧生成手段は、1又は複数のバルブ及び/又はポンプを具備してもよい。装置はキャリアを具備してもよい。キャリアは、処理環境に十分に耐える、任意の適した材料で製造されてもよい。
【0014】
本発明に係る装置の好適な実施形態によれば、差圧生成手段は、その差圧を生成するために、第2の領域において第1の圧力を生成するように構成される。第1の領域の圧力は、大気圧又は別の圧力であってもよい。これは、少なくとも1つの加工部品が効率的にキャリア内の正確な位置に保持される差圧を生成するのに効率的な方法であり、加工部品の処理は更に改善される。
【0015】
本発明に係る装置の更なる好適な実施形態によれば、差圧生成手段は、その差圧を生成するために第1の領域において第2の圧力を生成するように構成される。第2の領域の圧力は、大気圧であってもよく、又は、他の圧力であってもよい。これは、少なくとも1つの加工部品が効率的にキャリア内の正確な位置に保持される差圧を生成するための効率的な方法であり、加工部品の処理は、更に改善される。
【0016】
本発明に係る装置の別の好適な実施形態によれば、少なくとも部分的にその差圧を生成するため、ケーシングが流出口を有し、ここで差圧生成手段は、1又は複数の媒体を第2の領域から流出口を介して排出するように構成される。これは、少なくとも1つの加工部品が効率的にキャリア内の正確な位置に保持される差圧を生成するための効率的な方法であり、加工部品の処理は、更に改善される。更に、差圧がこの実施形態によって同時に実現され、1又は複数の処理の間使用され且つ第2の領域へと供給された1又は複数の媒体は、第2の領域から排出されてもよい。第2の領域から排出された1又は複数の媒体は、1又は複数の流体、例えば1又は複数の液体、ガス、例えば空気又は気体混合物、固体、スラリー、及び/又は処理中及び処理のために使用される1又は複数の媒体又はこれらの混合物を含んでもよい。
【0017】
本発明に係る装置の別の好適な実施形態によれば、差圧生成手段は、少なくとも部分的にその差圧を生成するために、第2の領域の1又は複数の媒体を、流出口を介して引き出すための吸引手段を具備してもよい。これは、少なくとも1つの加工部品が効率的にキャリア内の正確な位置に保持されるための差圧を生成するための効率的な方法であり、加工部品の処理は更に改善される。更に、差圧がこの実施形態によって同時に実現され、処理の間使用されて第2の領域へと供給された1又は複数の媒体は、第2の領域から引き出されてもよい。吸引手段は、吸引設備の形式であってもよく、少なくとも1つのポンプを有してもよい。
【0018】
本発明に係る装置の別の実施形態によれば、ケーシングは流入口を有しており、少なくとも部分的にその差圧を生成するため、差圧生成手段は、流入口を介して第1の領域へと1又は複数の媒体を供給するように構成される。これは、少なくとも1つの加工部品が効率的にキャリア内の正確な位置に保持される差圧を生成するための効率的な方法であり、加工部品の処理は更に改善される。第1の領域へと供給される1又は複数の媒体は、1又は複数の流体、例えばガス又はガス混合物、例えば空気を含んでもよく、液体又は固体媒体、及び/又は処理中に使用される1又は複数の媒体であってもよい。
【0019】
本発明に係る装置の別の実施形態によれば、支持手段は、加工部品を保持するための少なくとも1つのシートを有するキャリアを支持するように構成され、シートは少なくとも1つの貫通孔を有し、支持手段はキャリアの少なくとも1つの貫通孔が第2の領域及び少なくとも1つの通路と連通するようにキャリアを支持するように構成される。これは、少なくとも1つの加工部品が効率的にキャリア内の正確な位置に保持される差圧を生成するための効率的な方法であり、加工部品の処理が改良される。
【0020】
本発明に係る装置の更なる好適な実施形態によれば、支持手段は、少なくとも1つの貫通孔を有するキャリアを支持するように構成され、支持手段は、キャリアの少なくとも1つの貫通孔が第1の領域及び第2の領域並びに少なくとも1つの通路と連通するようにキャリアを支持するように構成され、差圧生成手段は、キャリアの少なくとも1つの貫通孔を通して1又は複数の媒体の流れを案内するように構成される。これは、少なくとも1つの加工部品を効率的にキャリア内の正確な位置に保持する差圧を生成するための効率的な方法であり、加工部品の処理が更に改善される。この実施形態によって、処理中に使用される1又は複数の媒体は、第1の領域から第2の領域へと効率的に吐出又は排出され、次いで第2の領域から吐出される。更に、第1の領域の環境が改善される。
【0021】
本発明に係る装置の別の実施形態によれば、支持手段は、加工部品を保持するための少なくとも1つのシートを有するキャリアを支持するように構成され、シートは、少なくとも1つの貫通孔を有する。シートは、平面、ポケット又は仕切りであってもよく、すなわち、キャリアは平板であってもよく、或いは、例えば壁によって画成される少なくとも1つのポケットを有してもよい。その貫通孔をシートに設けることによって、処理中に使用される1又は複数の媒体の、第1の領域からの吐出又は排出は、更に改善される。シートは複数の貫通孔を有してもよく、それぞれの貫通孔は、様々な形状を有してもよい。
【0022】
本発明に係る装置の別の実施形態によれば、装置は、装置を支持するための少なくとも1つのベースを有し、ベースは、略水平な表面において配置されるように構成され、支持手段は、キャリアの平面がその略水平な表面に対して略平行となるようにキャリアを支持するように構成される。この実施形態によって、加工部品に働く重力も、加工部品にキャリアへと向かう力を付与するのに貢献し、少なくとも1つの加工部品は、キャリア内の正確な位置に効率的に保持され、加工部品の処理が改善される。なお、支持手段は、キャリアの平面がその略水平な表面に対して角度を形成するようにキャリアを支持するように構成されてもよい。
【0023】
本発明に係る装置の別の実施形態によれば、第1の領域は、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品を処理するための加工部品処理手段を有する。加工部品処理手段は、加工部品処理設備の形式であってもよい。
【0024】
本発明に係る装置の別の実施形態によれば、加工部品処理手段は、少なくとも1つの加工部品を処理するために、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品の表面に対して、媒体を射出又は噴出するように構成される。
【0025】
本発明に係る装置の好適な実施形態によれば、加工部品処理手段は、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品の表面に対してブラスト媒体を射出するためのブラスト手段を具備する。ブラスト手段は、ウェットブラスト及び/又はドライブラストのために構成されてもよい。加工部品は、処理中に比較的大きな力を受けるため、加工部品を正確な位置に保持する、発明に係る方法は、ブラストを含む処理のために好適である。ブラスト媒体は、当業者に公知の任意のブラスト媒体であってもよい。ブラスト手段は、ブラスト設備の形式であってもよい。ブラスト手段は、1又は複数のブラストノズルを具備してもよい。ブラスト手段は、1又は複数のブラストガンを具備してもよい。ブラスト手段は、1又は複数のタービンを具備してもよい。ブラスト手段は、真空動力付与されたブラスト手段を具備してもよい。
【0026】
本発明に係る装置の更なる好適な実施形態によれば、加工部品処理手段は、キャリアによって保持された、少なくとも1つの加工部品の表面に対して洗浄媒体を噴出するための洗浄手段を具備する。加工部品を正確な位置に保持する発明に係る方法は、洗浄を含む処理のために好適である。例えば、1又は複数の洗浄媒体は、高圧で提供され得る。洗浄媒体は、流体、例えば水又は洗浄に適し、当業者に公知の任意の混合物であってもよい。洗浄手段は、洗浄設備の形式であってもよい。洗浄手段は、1又は複数の洗浄ノズルを具備してもよい。
【0027】
本発明に係る装置の別の好適な実施形態によれば、加工部品処理手段は、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品の表面に対して、ピーニング媒体を射出するためのショットピーニング手段を具備する。ショットピーニング手段は、ウェットショットピーニング及び/又はドライショットピーニングのために構成される。加工部品を正確な位置に保持する、発明に係る方法は、ショットピーニングを含む処理のために好適である。ショットピーニング手段は、ウェットショットピーニング又はドライショットピーニングのために構成されてもよい。ピーニング媒体は、当業者に公知の任意のピーニング媒体であってもよい。ショットピーニング手段はショットピーニング設備の形式であってもよい。ショットピーニング手段は、1又は複数のショットピーニングノズルを具備してもよい。ショットピーニング手段は、1又は複数のショットピーニングガンを具備してもよい。
【0028】
本発明に係る装置の別の好適な実施形態によれば、加工部品処理手段は、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品の表面へと乾燥媒体を案内するための乾燥手段を具備する。加工部品を正確な位置に保持する発明に係る方法は、乾燥を含む処理のために好適である。この実施形態によって、少なくとも1つの加工部品が効率的且つ迅速に乾燥させられるが、これは、加工部品が、洗浄媒体によって濡らされたときに腐食しやすいインサート、例えば超硬合金インサートを含む場合に重要である。乾燥媒体は、ガス又はガス混合物、例えば空気であってもよい。乾燥手段は、乾燥設備の形式であってもよい。乾燥手段は、1又は複数の乾燥ノズルを具備してもよい。
【0029】
本発明に係る装置の別の好適な実施形態によれば、第2の領域は、少なくとも1つの通路に対して流体又は流体混合物を噴出するための、少なくとも1つの流体ノズルを有する。流体ノズルはガスノズルであってもよく、流体又は流体混合物は、ガス又はガス混合物であってもよい。ガス又はガス混合物は、空気又は当業者に公知の任意の他の適したガス又はガス混合物であってもよい。この実施形態によって、効率的な加工部品の乾燥が提供される。流体ノズルの噴出された流体及びその差圧によって、加工部品を、制御された方法で、キャリアとのその物理的接触点から上昇させることが可能となり、こうして、キャリアに対して配置された加工部品の表面を乾燥媒体に対して露出する。従って、加工部品の底側も同様に効率的に洗浄される。この実施形態によっても、加工部品の効率的な洗浄が実現され、キャリアに配置された加工部品の表面は、洗浄媒体に対して露出され得る。洗浄時、少なくとも1つの流体ノズルは、ガス又はガス混合物、液体又は液体混合物、或いは、これらの組合せ、すなわちガス及び液体の混合物を含む流体又は流体混合物を噴出するように構成される。少なくとも1つの流体ノズルは、複数の流体ノズルであってもよい。少なくとも1つの流体ノズルは、流体又は流体混合物をキャリアによって保持された全ての加工部品に対して噴出するため、支持手段との関係において可動であってもよく、従って、キャリア及び加工部品との関係においても可動であってよい。少なくとも1つの流体ノズルは、装置のケーシングとの関係において可動であってもよい。支持手段及びキャリアは、装置のケーシングとの関係において可動であってもよい。なお、少なくとも1つの流体ノズルは、支持手段との関係において可動でなくても、流体又は流体混合物をキャリアによって保持された全ての加工部品に対して噴出するように構成される。
【0030】
第2の領域に少なくとも1つの流体ノズルを有する本発明に係る装置の好適な実施形態によれば、装置は、流体ノズルから噴出された流体又は流体混合物を制御するためのノズル制御手段を具備し、ノズル制御手段及び/又は差圧生成手段は、少なくとも1つの加工部品に作用する差圧の力と、少なくとも1つの加工部品に作用する流体噴出の力と、をバランス調整するように構成される。ノズル制御手段は、ノズル制御設備の形式であってもよい。ノズル制御手段は、流体ノズルの流量及び/又は流体ノズルの開口部の寸法を制御するためのノズル制御装置を具備してもよい。
【0031】
しかしながら、加工部品処理手段は、他の加工部品処理手段を具備してもよく、例えば、低圧の洗浄手段、溶剤洗浄手段、溶剤乾燥手段、研磨手段、研削手段、ブラッシング手段、デバリング手段、表面仕上げ手段、包装手段、模様付け手段、粗さ仕上げ手段、洗浄手段、ストライピング手段、エッチング手段、ディコーティング手段、加熱手段及び他のスケール除去、ホーニング手段等を具備してもよい。複数の様々な加工部品処理手段が第1の領域内に設けられてもよい。様々な加工部品処理手段が様々な第1の領域内に設けられてもよく、支持手段が、例えば自動的に、例えばコンベヤー手段、例えばコンベヤーベルトによって、複数の第1の領域間でキャリアを動かすように構成されてもよく、キャリアは、複数の第1の領域間で手動で動かされてもよい。いくつかの例示は、実施形態の詳細な説明で以下に示される。
【0032】
キャリアは部品、構成要素又は対象物の形式で少なくとも1つの加工部品を保持するように構成される。本発明に係る装置の好適な実施形態によれば、支持手段は、切削インサートを含む少なくとも1つの加工部品を保持するように構成されたキャリアを支持するように構成される。しかしながらキャリアは、他の加工部品、例えば、タービンブレード、医療部品、小型化され機械加工され又は形成された要素又は部品、電子部品、概してIC製造中に切断されたウエハー及びエッチングされたウエハー、製造中の回路基板(例えば脱酸剤の塗布又はスルーホールのバリ取り)、修理中の回路基板、複合プラスチック部品、精密鋳造、精密機械加工部品、エッチンググラス部品、医療用インプラント(例えば歯、ジョイント、心臓部品、ペースメーカー等)、アタッチメント又は固定具(例えばプラント前の例えばナット及びボルト)、乾燥除染又はピーニング操作、スポーツ用設備(sporting equipment)等を保持するように構成されてもよい。
【0033】
本発明に係る装置の更なる好適な実施形態によれば、ケーシングは、第1のチャンバー及び第2のチャンバーを有し、第1のチャンバー及び第2のチャンバーは、少なくとも1つの通路によって互いに連通するように構成され、第1のチャンバーは、少なくとも部分的に第1の領域を包囲し、第2のチャンバーは、少なくとも部分的に第2の領域を包囲する。好適には、少なくとも1つの第1のチャンバー及び第2のチャンバーは、圧力を維持又は保持するのに十分な耐圧性又は気密性を有する。好適には少なくとも第2のチャンバーは、圧力を維持し又は保持するための十分な耐圧性を有する。好適には、第1のチャンバー及び第2のチャンバーは、圧力を保持又は維持するための十分な耐圧性を有する。第1のチャンバーは、第1の領域を包囲してもよく、第2のチャンバーは、第2の領域を包囲してもよい。
【0034】
本発明に係る少なくとも1つの上述された目的は、少なくとも1つの加工部品を処理するための方法であって、少なくとも1つの加工部品を保持する工程を含み、少なくとも1つの加工部品を保持する工程が、ケーシング内に少なくとも部分的に配置されたキャリアによって少なくとも1つの加工部品を保持することを含み、ケーシングが、少なくとも1つの通路によって互いに連通するように構成された第1の領域及び第2の領域を少なくとも部分的に包囲し、且つ、少なくとも1つの加工部品が、処理のために第1の領域に配置された方法において、少なくとも1つの加工部品を保持する工程が、少なくとも1つの通路が第1の領域及び第2の領域の両方と連通するようにキャリアを支持することと、第1の領域と第2の領域との間に、第2の領域の少なくとも1つの圧力が第1の領域の少なくとも1つの圧力より低い差圧を生成することによって少なくとも1つの加工部品にキャリアへと向かう力を付与することと、少なくとも部分的に差圧を生成するために、少なくとも1つの通路を通して第1の領域から第2の領域への1又は複数の媒体の流れを案内することと、を含む方法を提供することによって実現される。
【0035】
本発明に係る方法によって、少なくとも1つの加工部品は、加工部品を覆ういかなる部材の支援もなく、ひいては1又は複数のブラスト媒体を遮断するいかなる部材もなく、キャリア内の正確な位置に効率的に且つ堅く保持され、従って、加工部品は、ブラスト操作の間又は任意の他の処理操作の間、適正に処理される。1又は複数の流れを第1の領域から第2の領域へと少なくとも1つの通路を通して案内することによって、その差圧が効率的な方法で形成され、それによって少なくとも1つの加工部品は、キャリア内の正確な位置に効率的に保持され、加工部品の処理が更に改善される。本発明に係る方法の更なる好適な効果は、本発明に係る装置と関連して説明された、上述された技術効果に関連する。ケーシングは、第1の領域及び第2の領域を包囲してもよい。
【0036】
本発明に係る方法の好適な実施形態によれば、その差圧は、第2の領域において第1の圧力を生成することによって少なくとも部分的に生成される。
【0037】
本発明に係る方法の更なる好適な実施形態によれば、その差圧は、第1の領域において第2の圧力を生成することによって少なくとも部分的に生成される。
【0038】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、その差圧は、第2の領域に含まれた1又は複数の媒体をケーシングの流出口を介して排出することによって少なくとも部分的に生成される。
【0039】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、その差圧は、第2の領域の1又は複数の媒体をケーシングの流出口を介して引き出すことによって少なくとも部分的に生成される。
【0040】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、差圧は、1又は複数の媒体をケーシングの流入口を介して供給することによって少なくとも部分的に生成される。
【0041】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、少なくとも1つの加工部品を保持する工程は、加工部品を保持するために少なくとも1つのシートを有するキャリアを支持することを含み、シートは、キャリアの少なくとも1つの貫通孔が第2の領域及び少なくとも1つの通路と連通するように少なくとも1つの貫通孔を有する。
【0042】
本発明に係る方法の更なる好適な実施形態によれば、少なくとも1つの加工部品を保持する工程は、キャリアの少なくとも1つの貫通孔が第1の領域及び第2の領域並びに少なくとも1つの通路と連通するように少なくとも1つの貫通孔を有するキャリアを支持することと、キャリアの少なくとも1つの貫通孔を通して1又は複数の媒体の流れを案内することと、を含む。
【0043】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、少なくとも1つの加工部品を保持する工程は、加工部品を保持するための少なくとも1つのシートを有するキャリアを支持することを含み、シートは、シートの少なくとも1つの貫通孔が第1の領域及び第2の領域並びに少なくとも1つの通路と連通するように少なくとも1つの貫通孔を有する。
【0044】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、少なくとも1つの加工部品を保持する工程は、少なくとも1つの加工部品をキャリアの上部において鉛直に保持し、或いは、キャリアの上方において鉛直に保持することを含む。この実施形態において、加工部品に作用する重力も加工部品にキャリアへと向かう力を付与するのに貢献し、それによって、少なくとも1つの加工部品は、キャリア内の正確な位置に効率的に保持され、加工部品の処理が改善される。装置は装置を支持するための少なくとも1つのベースを有してもよく、ベースは、略水平な表面に配置するように構成され、少なくとも1つの加工部品を保持する工程は、キャリアの平面がその略水平な表面に対して略平行となるようにキャリアを支持することを含んでもよい。なお、キャリアは、キャリアの平面がその略水平な表面に対して角度を形成するように支持されてもよい。
【0045】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、方法は、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品の表面に対して媒体を射出又は噴出することによって、少なくとも1つの加工部品の表面を処理する工程を含む。
【0046】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、方法は、少なくとも1つの加工部品の表面をブラストする工程を含み、ブラストする工程は、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品の表面に対してブラスト媒体を射出することを含む。
【0047】
しかしながら、方法は、例えば低圧洗浄、溶剤洗浄、溶剤乾燥、研磨、グラインド、ブラッシング、バリ取り、表面仕上げ、包装、テクスチャー、粗さ仕上げ、洗浄、薄切り、エッチング、ディコーティング加熱、及び他のスケール除去及び/又はホーニング等といった他の処理工程を含んでもよい。
【0048】
本発明に係る方法の好適な実施形態によれば、方法は、少なくとも1つの加工部品の表面を洗浄する工程を含み、洗浄する工程は、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品の表面に対して洗浄媒体を噴出することを含む。
【0049】
本発明に係る方法の更なる好適な実施形態によれば、方法は、少なくとも1つの加工部品のショットピーニングの工程を含み、ショットピーニングの工程は、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品の表面に対して媒体を噴出することを含む。
【0050】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、方法は、少なくとも1つの加工部品を乾燥する工程を含み、乾燥する工程は、乾燥媒体を、キャリアによって保持された少なくとも1つの加工部品の表面へと案内することを含む。
【0051】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、少なくとも1つの加工部品を乾燥する工程及び/又は洗浄する工程は、流体又は流体混合物を、流体ノズルから少なくとも1つの通路へと噴出することを含む。好適には、流体又は流体混合物は、流体ノズルから少なくとも1つの通路へと、略上方の方向に噴出されてもよい。しかしながら、他の適した方向も可能である。流体又は流体混合物は、ガス又はガス混合物、液体又は液体混合物、或いは、これらの混合物、すなわち、ガスと液体との混合物を含んでもよい。乾燥するとき、流体又は流体混合物は、好適にはガス又はガス混合物であってもよい。
【0052】
本発明に係る方法の別の好適な実施形態によれば、少なくとも1つの加工部品を乾燥する工程は、少なくとも1つの加工部品に作用する差圧の力と、少なくとも1つの加工部品に作用する流体噴出の力と、をバランス調整するために、流体ノズルから噴出された流体又は流体混合物及び/又は差圧を制御することを含む。
【0053】
本発明に係る方法の好適な実施形態によれば、処理された少なくとも1つの加工部品は、切削インサートを含む。
【0054】
本発明に係る方法の更なる好適な実施形態によれば、ケーシングは、第1のチャンバー及び第2のチャンバーを有し、第1のチャンバー及び第2のチャンバーは、少なくとも1つの通路によって互いに連通するように構成され、第1のチャンバーは、少なくとも部分的に第1の領域を包囲し、第2のチャンバーは、少なくとも部分的に第2の領域を包囲する。第1のチャンバーは、第1の領域を包囲してもよく、第2のチャンバーは、第2の領域を包囲してもよい。
【0055】
本発明に係る装置及び方法の、上述された実施形態において、第1のチャンバーは第1の領域に関連してもよく、第2のチャンバーは第2の領域に対応してもよい。
【0056】
本発明に係る方法の好適な技術的効果及びその実施形態は、本発明に係る装置及びその実施形態と関連して上述された技術効果に関連する。
【0057】
方法及び装置の上述された特徴及び実施形態は、更なる好適な実施形態を提供する様々な可能な方法でそれぞれ結合されてもよい。
【0058】
本発明に係るそれぞれの方法及び装置の更なる好適な実施形態及び本発明を有する更なる利点は、実施形態の詳細な説明から明らかとなる。
【0059】
ここで本発明は、例示のため、実施形態によって且つ添付された図面を参照して、より詳細に説明される。