特許第5957473号(P5957473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957473
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】双腕型作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/96 20060101AFI20160714BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20160714BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20160714BHJP
   B25J 13/02 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   E02F3/96 D
   E02F9/20 Q
   E02F9/16 H
   B25J13/02
【請求項の数】8
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2013-558738(P2013-558738)
(86)(22)【出願日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】JP2013053569
(87)【国際公開番号】WO2013122166
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-30899(P2012-30899)
(32)【優先日】2012年2月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100167748
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輝
(72)【発明者】
【氏名】冨田 邦嗣
(72)【発明者】
【氏名】石井 啓範
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−181815(JP,A)
【文献】 特開平02−271402(JP,A)
【文献】 特開平08−215949(JP,A)
【文献】 特開昭63−029811(JP,A)
【文献】 実開昭63−048205(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/138755(WO,A1)
【文献】 米国特許第04310975(US,A)
【文献】 野原良太,大室健,冨田邦嗣,森田寿郎,機械インピーダンス調節用油圧回路を用いた建設機械の双腕作業における破壊の回避,日本機械学会論文集,日本,一般社団法人 日本機械学会,2011年 6月,77巻778号,101-111頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/96
B25J 1/00−21/02
E02F 9/16
E02F 9/20
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアタッチメントが取り付けられる第1のフロント作業機と、
第2のアタッチメントが取り付けられる第2のフロント作業機と、
第1の操作部材からの第1の駆動指令に基づいて前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントを駆動する第1の駆動装置と、
第2の操作部材からの第2の駆動指令に基づいて前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントを駆動する第2の駆動装置と、
前記第1および第2の駆動指令が入力され、前記第1および第2の駆動装置を駆動する共通の駆動指令を生成して出力する駆動指令出力装置とを備える双腕型作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の双腕型作業機械において、
前記第1の操作部材、または、前記第2の操作部材の何れか一方を選択可能な操作選択部をさらに備え、
前記駆動指令出力装置は、前記操作選択部により前記第1の操作部材が選択されている場合、前記操作選択部で選択された前記第1の操作部材からの前記第1の駆動指令に基づいて、前記第1および第2の駆動装置を駆動する共通の駆動指令を生成して出力し、前記操作選択部により前記第2の操作部材が選択されている場合、前記操作選択部で選択された前記第2の操作部材からの前記第2の駆動指令に基づいて、前記第1および第2の駆動装置を駆動する共通の駆動指令を生成して出力する双腕型作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の双腕型作業機械において、
前記第1の操作部材の操作方向を判定する第1の操作方向判定部と、
前記第2の操作部材の操作方向を判定する第2の操作方向判定部と、
前記第1の操作方向判定部で判定した前記第1の操作部材の操作方向と、前記第2の操作方向判定部で判定した前記第2の操作部材の操作方向とが同一であるか否かを判定する同期操作判定部とをさらに備え、
前記駆動指令出力装置は、前記同期操作判定部で前記第1の操作部材の操作方向と前記第2の操作部材の操作方向とが同一であると判定されると、前記第1の操作部材からの前記第1の駆動指令、または、前記第2の操作部材からの前記第2の駆動指令に基づいて、前記共通の駆動指令を生成して出力する双腕型作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の双腕型作業機械において、
前記第1の操作部材の操作方向を判定する第1の操作方向判定部と、
前記第2の操作部材の操作方向を判定する第2の操作方向判定部と、
前記第1の操作部材の操作量を検出する第1の操作量検出部と、
前記第2の操作部材の操作量を検出する第2の操作量検出部と、
前記第1の操作方向判定部で判定した前記第1の操作部材の操作方向と、前記第2の操作方向判定部で判定した前記第2の操作部材の操作方向とが同一であるか否かを判定する同期操作判定部とをさらに備え、
前記駆動指令出力装置は、前記同期操作判定部で前記第1の操作部材の操作方向と前記第2の操作部材の操作方向とが同一であると判定されると、前記第1の操作量検出部で検出された前記第1の操作部材の操作量と、前記第2の操作量検出で検出された前記第2の操作部材の操作量との平均値に基づいて、前記共通の駆動指令を生成して出力する双腕型作業機械。
【請求項5】
請求項1に記載の双腕型作業機械において、
前記第1の操作部材の操作ベクトルを演算する第1の操作ベクトル演算部と、
前記第2の操作部材の操作ベクトルを演算する第2の操作ベクトル演算部と、
前記第1の操作ベクトル演算部で演算した前記第1の操作部材の操作ベクトルと、前記第2の操作ベクトル演算部で演算した前記第2の操作部材の操作ベクトルとが略同一であるか否かを判定する同期操作判定部とをさらに備え、
前記駆動指令出力装置は、前記同期操作判定部で前記第1の操作部材の操作ベクトルと前記第2の操作部材の操作ベクトルとが略同一であると判定されると、前記第1の操作部材からの前記第1の駆動指令、および/または、前記第2の操作部材からの前記第2の駆動指令に基づいて、前記共通の駆動指令を生成して出力する双腕型作業機械。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の双腕型作業機械において、
前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの動きと前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの動きとを同期させるか否かをユーザが選択するために操作される同期選択部材と、
前記同期選択部材で前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの動きと前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの動きとを同期させることが選択されている場合は、前記駆動指令出力装置による前記共通の駆動指令を生成して出力することを許可し、前記同期選択部材で前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの動きと前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの動きとを同期させないことが選択されている場合は、前記駆動指令出力装置による前記共通の駆動指令を生成して出力することを禁止する共通駆動指令生成許可部とをさらに備える双腕型作業機械。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の双腕型作業機械において、
前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの姿勢を検出する第1の姿勢検出部と、
前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの姿勢を検出する第2の姿勢検出部と、
前記第1の姿勢検出部で検出された前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの姿勢と、前記第2の姿勢検出部で検出された前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの姿勢とが略同一であるか否かを判断する姿勢判断部と、
前記姿勢判断部で前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの姿勢と前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの姿勢とが略同一であると判断されると、前記駆動指令出力装置による前記共通の駆動指令を生成して出力することを許可し、前記姿勢判断部で前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの姿勢と前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの姿勢とが略同一でないと判断されると、前記駆動指令出力装置による前記共通の駆動指令を生成して出力することを禁止する共通駆動指令生成許可部とをさらに備える双腕型作業機械。
【請求項8】
請求項7に記載の双腕型作業機械において、
前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの動きと前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの動きとを同期させるか否かをユーザが選択するために操作される同期選択部材をさらに備え、
前記共通駆動指令生成許可部は、前記姿勢判断部で前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの姿勢と前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの姿勢とが略同一であると判断され、かつ、前記同期選択部材で前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの動きと前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの動きとを同期させることが選択されていると、前記駆動指令出力装置による前記共通の駆動指令を生成して出力することを許可し、前記姿勢判断部で前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの姿勢と前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの姿勢とが略同一でないと判断されるか、または、前記同期選択部材で前記第1のフロント作業機および前記第1のアタッチメントの動きと前記第2のフロント作業機および前記第2のアタッチメントの動きとを同期させないことが選択されていると、前記駆動指令出力装置による前記共通の駆動指令を生成して出力することを禁止する双腕型作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の本体右側と左側とにそれぞれ作業腕を備える双腕型作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の本体右側と左側とにそれぞれ作業腕を備える双腕型作業機械が知られている。双腕型作業機械には、左右各々の作業腕に対応する操作レバーが備えられている。当該レバーを操作することで、左右各々の作業腕に設けられたアクチュエータが駆動されるため、左右の作業腕をそれぞれ独立して操作することができる(特許文献1参照)。
【0003】
また、2本のマニピュレータの動作を同期させる制御手法が知られている。すなわち、片側のマニピュレータ(マスタ側)のみを操作者が操作レバーを用いて駆動操作を行い、もう一方のマニピュレータ(スレーブ側)がそれに自動的に追従するように制御することで2本のマニピュレータの動作を同期させる。ここで、スレーブ側はマスタ側の各関節座標を参照し、目標値とすることでフィードバック制御される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開平11−181815号公報
【特許文献2】日本国特開平2−271402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の作業機械では、左右の作業腕にそれぞれ取り付けられた把持装置によって作業対象物を把持する場合、作業腕の駆動量が左右で異なると左右の把持装置同士の相対位置が変化してしまい、把持している作業対象物を損傷するおそれがある。これは、熟練した操作者であっても、左右の作業腕を駆動操作する操作レバーの操作量が同等になるように操作し続けることが困難なためである。また、特許文献2に記載の双腕ロボットでは、2本のマニピュレータの動作を同期させることが可能ではあるが、マスタ側の動作後にスレーブ側が動作するため、応答遅れが発生する。そのため、左右の腕にそれぞれ取り付けられたツール同士の相対位置が一時的に変化してしまうため、把持している対象物を損傷するおそれがある。また、マニピュレータの姿勢を随時監視する必要があるため、システムが複雑化し高コストとなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様による双腕型作業機械は、第1のアタッチメントが取り付けられる第1のフロント作業機と、第2のアタッチメントが取り付けられる第2のフロント作業機と、第1の操作部材からの第1の駆動指令に基づいて第1のフロント作業機および第1のアタッチメントを駆動する第1の駆動装置と、第2の操作部材からの第2の駆動指令に基づいて第2のフロント作業機および第2のアタッチメントを駆動する第2の駆動装置と、第1および第2の駆動指令が入力され、第1および第2の駆動装置を駆動する共通の駆動指令を生成して出力する駆動指令出力装置とを備える。
本発明の第2の態様は、第1の態様による双腕型作業機械において、第1の操作部材、または、第2の操作部材の何れか一方を選択可能な操作選択部をさらに備え、駆動指令出力装置は、操作選択部で選択された第1の操作部材からの第1の駆動指令、または、第2の操作部材からの第2の駆動指令に基づいて、第1および第2の駆動装置を駆動する共通の駆動指令を生成して出力することが好ましい。
本発明の第3の態様は、第1の態様による双腕型作業機械において、第1の操作部材の操作方向を判定する第1の操作方向判定部と、第2の操作部材の操作方向を判定する第2の操作方向判定部と、第1の操作方向判定部で判定した第1の操作部材の操作方向と、第2の操作方向判定部で判定した第2の操作部材の操作方向とが同一であるか否かを判定する同期操作判定部とをさらに備え、駆動指令出力装置は、同期操作判定部で第1の操作部材の操作方向と第2の操作部材の操作方向とが同一であると判定されると、第1の操作部材からの第1の駆動指令、または、第2の操作部材からの第2の駆動指令に基づいて、共通の駆動指令を生成して出力することが好ましい。
本発明の第4の態様は、第1の態様による腕型作業機械において、第1の操作部材の操作方向を判定する第1の操作方向判定部と、第2の操作部材の操作方向を判定する第2の操作方向判定部と、第1の操作部材の操作量を検出する第1の操作量検出部と、第2の操作部材の操作量を検出する第2の操作量検出部と、第1の操作方向判定部で判定した第1の操作部材の操作方向と、第2の操作方向判定部で判定した第2の操作部材の操作方向とが同一であるか否かを判定する同期操作判定部とをさらに備え、駆動指令出力装置は、同期操作判定部で第1の操作部材の操作方向と第2の操作部材の操作方向とが同一であると判定されると、第1の操作量検出部で検出された第1の操作部材の操作量と、第2の操作量検出手段で検出された第2の操作部材の操作量との平均値に基づいて、共通の駆動指令を生成して出力してもよい。
本発明の第5の態様は、第1の態様による双腕型作業機械において、第1の操作部材の操作ベクトルを演算する第1の操作ベクトル演算部と、第2の操作部材の操作ベクトルを演算する第2の操作ベクトル演算部と、第1の操作ベクトル演算部で演算した第1の操作部材の操作ベクトルと、第2の操作ベクトル演算部で演算した第2の操作部材の操作ベクトルとが略同一であるか否かを判定する同期操作判定部とをさらに備え、駆動指令出力装置は、同期操作判定部で第1の操作部材の操作ベクトルと第2の操作部材の操作ベクトルとが略同一であると判定されると、第1の操作部材からの第1の駆動指令、および/または、第2の操作部材からの第2の駆動指令に基づいて、共通の駆動指令を生成して出力することが好ましい。
本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれかの態様による双腕型作業機械において、第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの動きと第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの動きとを同期させるか否かをユーザが選択するために操作される同期選択部材と、同期選択部材で第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの動きと第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの動きとを同期させることが選択されている場合は、駆動指令出力装置による共通の駆動指令を生成して出力することを許可し、同期選択部材で第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの動きと第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの動きとを同期させないことが選択されている場合は、駆動指令出力装置による共通の駆動指令を生成して出力することを禁止する共通駆動指令生成許可部とをさらに備えることが好ましい。
本発明の第7の態様は、第1から第5のいずれかの態様による双腕型作業機械において、第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの姿勢を検出する第1の姿勢検出部と、第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの姿勢を検出する第2の姿勢検出部と、第1の姿勢検出部で検出された第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの姿勢と、第2の姿勢検出部で検出された第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの姿勢とが略同一であるか否かを判断する姿勢判断部と、姿勢判断部で第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの姿勢と第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの姿勢とが略同一であると判断されると、駆動指令出力装置による共通の駆動指令を生成して出力することを許可し、姿勢判断部で第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの姿勢と第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの姿勢とが略同一でないと判断されると、駆動指令出力装置による共通の駆動指令を生成して出力することを禁止する共通駆動指令生成許可部とをさらに備えることが好ましい。
本発明の第8の態様は、第7の態様による双腕型作業機械において、第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの動きと第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの動きとを同期させるか否かをユーザが選択するために操作される同期選択部材をさらに備え、共通駆動指令生成許可部は、姿勢判断部で第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの姿勢と第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの姿勢とが略同一であると判断され、かつ、同期選択部材で第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの動きと第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの動きとを同期させることが選択されていると、駆動指令出力装置による共通の駆動指令を生成して出力することを許可し、姿勢判断部で前記第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの姿勢と第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの姿勢とが略同一でないと判断されるか、または、同期選択部材で第1のフロント作業機および第1のアタッチメントの動きと第2のフロント作業機および第2のアタッチメントの動きとを同期させないことが選択されていると、駆動指令出力装置による共通の駆動指令を生成して出力することを禁止してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1のフロント作業機および第1のアタッチメントと、第2のフロント作業機および第2のアタッチメントとの同期操作を簡便な構成で実現でき、広範な作業に適用可能な双腕作業機を低コストで提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態における双腕型作業機械を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態における双腕型作業機械を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態における操作装置を示す図である。
図4図4は、油圧回路の概略を示す図である。
図5図5は、操作装置の操作方向について説明する図である。
図6図6は、第1フロント作業機および第2フロント作業機の揺動方向について説明する図である。
図7図7は、第1の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。
図8図8は、各信号生成部において行なわれる信号処理に関わる模式図である。
図9図9は、第1の実施の形態における操作信号共通化演算部の処理フローについて示すフローチャートである。
図10図10は、第2の実施の形態における操作装置を示す図である。
図11図11は、第2の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。
図12図12は、第2の実施の形態における操作方向判定部の処理フローについて示すフローチャートである。
図13図13は、第2の実施の形態における操作信号共通化演算部の処理フローについて示すフローチャートである。
図14図14は、第3の実施の形態における操作信号共通化演算部の処理フローについて示すフローチャートである。
図15図15は、第4の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。
図16図16は、第4の実施の形態における操作ベクトル判定部の処理フローについて示すフローチャートである。
図17図17は、角度センサの配設状態を示す図である。
図18図18は、第5の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。
図19図19は、第5の実施の形態における操作方向判定部の処理フローについて示すフローチャートである。
図20図20は、作業機械によって作業対象物を平行に運搬するような作業を行う様子を説明する図である。
図21図21は、第6の実施の形態における操作装置を示す図である。
図22図22は、第6の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。
図23図23は、第6の実施の形態における操作方向判定部の処理フローについて示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
−−−第1の実施の形態−−−
図1〜9を参照して、本発明による双腕型作業機械の第1の実施の形態を説明する。図1および図2は、第1の実施の形態における双腕型作業機械を示す図である。第1の実施の形態の作業機械200は、油圧ショベルをベースとして構成された作業機械である。作業機械200には、走行体1を備えた下部走行体2に上部旋回体3が旋回可能に取付けられ、その上部旋回体3の左右方向の中心線3c近傍に運転室4が取付けられている。中心線3cを境として運転室4から前方に向かって右側には第1フロント作業機A、左側には第2フロント作業機Bがそれぞれ設けられている。
【0010】
−−−第1フロント作業機−−−
第1フロント作業機Aは、上部旋回体3の前方に向かって右側に左右方向に揺動自在に取付けられたスイングポスト7aと、このスイングポスト7aに上下方向に揺動自在に取付けられたブーム10aと、このブーム10aに上下方向に揺動自在に取付けられたアーム12aと、このアーム12aに上下方向に揺動(回動)自在に取付けられた第1作業具(第1のアタッチメント)14aの一例であるグラップル20aとを有している。すなわち第1フロント作業機Aは、上部旋回体3とスイングポスト7aとを揺動自在に接続する関節と、スイングポスト7aとブーム10aとを揺動自在に接続する関節と、ブーム10aとアーム12aとを揺動自在に接続する関節と、アーム12aとグラップル20aとを回動自在に接続する関節とを有する。
【0011】
第1フロント作業機Aは、スイングポスト7aと上部旋回体3とに連結され、スイングポスト7aを左右揺動させる揺動シリンダ9aと、スイングポスト7aとブーム10aとに連結され、ブーム10aを上下揺動させるブームシリンダ11a(図1,2において不図示)とを有している。
【0012】
第1フロント作業機Aは、ブーム10aとアーム12aとに連結され、アーム12aを上下揺動させるアームシリンダ13aと、そのアーム12aとグラップル20aとに連結され、グラップル20aを上下回動させる作業具シリンダ15aとを有している。ここでグラップル20aは、不図示のカッタやバケット等、その他の作業具のいずれか1つに任意に交換可能である。なお、ブーム10aとアーム12aとを併せて右側フロント作業腕とも呼ぶ。
【0013】
−−−第2フロント作業機−−−
第2フロント作業機Bは、上部旋回体3の前方に向かって左側に設けられている。第2フロント作業機Bは、第1フロント作業機Aと同様に構成されている。そこで、第2フロント作業機Bにおける第1フロント作業機Aと同じ部材には符号の添字を「a」から「b」に変えて示す。第2フロント作業機Bは、スイングポスト7bの取付位置、スイングポスト7b、ブーム10bおよびアーム12bの形状、寸法が、第1フロント作業機Aのスイングポスト7aの取付位置、スイングポスト7a、ブーム10aおよびアーム12aの形状、寸法と同じである。グラップル20bはグラップル20aと同一の作業具(アタッチメント)である。また、第2フロント作業機Bの各部を駆動する各油圧シリンダの特性も、第1フロント作業機Aの対応する各油圧シリンダの特性と同じである。したがって、第2フロント作業機Bについての詳細な説明を省略する。なお、ブーム10bとアーム12bとを併せて左側フロント作業腕とも呼ぶ。
【0014】
−−−操作装置−−−
図3は、第1の実施の形態における操作装置を示す図である。運転室4内には運転席49が設置され、運転席49の前方に向かって右側に操作装置50a、左側に操作装置50bが設けられている。操作装置50aは第1フロント作業機A用の操作装置であり、操作装置50bは第2フロント作業機B用の操作装置である。操作装置50aは、運転席49の右側に設けられた操作アームブラケット51aと、この操作アームブラケット51aに揺動中心軸線73a回りに左右揺動自在に取付けられ、スイングポスト7aの左右の揺動を指示する操作アーム52aと、この操作アーム52aの先端部分に上下前後に回動自在に取付けられ、ブーム10aおよびアーム12aの動作を指示する横置きの操作レバー54aと、この操作レバー54aの周囲に、操作レバー54aの軸心回りに回動自在に取付けられ、作業具14aの回動を指示する作業具回動レバー55aと、操作レバー54aの先端部に取付けられ、作業具14aの始動・停止を指示する作業具操作スイッチ56aとを備えている。
【0015】
また、操作装置50aは、操作アームブラケット51aに設けられ、操作アーム52aの揺動変位量を検出して信号を発信する操作アーム用変位検出器57aと、操作アーム52aに設けられ、操作レバー54aの上下方向の変位量を検出して信号を発信する操作レバー用上下方向変位検出器581aと、これと同様に前後方向の変位量を検出して信号を発信する操作レバー用前後方向変位検出器582aとを有している。操作装置50aは、操作レバー54aに設けられ、作業具回動レバー55aの回転変位量を検出して信号を発信する回動レバー用変位検出器59aと、作業具回動レバー55aに設けられ、作業具操作スイッチ56aの変位量を検出して信号を発信する操作スイッチ用変位検出器60aとを有している。
【0016】
操作装置50bは、運転席の左側に操作装置50aと同様に構成されている。そこで、操作装置50bにおける操作装置50aと同じ部材には符号の添字を「a」から「b」に変えて示すこととし、詳細な説明を省略する。
【0017】
操作レバー選択スイッチ61は、後に述べる双腕同期モードに設定された際に、右側の操作装置50aで第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの双方を操作可能にするのか、左側の操作装置50bで第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの双方を操作可能にするのかを選択するためのスイッチである。操作レバー選択スイッチ61における、右側の操作装置50aで第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの双方を操作可能にする選択位置を右側操作装置選択位置と呼ぶ。同様に、操作レバー選択スイッチ61における、左側の操作装置50bで第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの双方を操作可能にする選択位置を左側操作装置選択位置と呼ぶ。操作レバー選択スイッチ61は、たとえば、操作アーム52aの先端近傍に設けられる。
【0018】
双腕同期モードスイッチ62は、双腕同期モードに設定するか、次に述べる通常モードに設定するかのいずれか一方を選択するためのスイッチであり、たとえば、操作アーム52bの先端近傍に設けられる。第1の実施の形態の作業機械200には、第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの操作モードとして、通常モードと双腕同期モードとが設けられている。
【0019】
通常モードとは、第1フロント作業機Aを右側の操作装置50aで操作し、第2フロント作業機Bを左側の操作装置50bで操作するための操作モードである。したがって、双腕同期モードスイッチ62の操作によって操作モードが通常モードに設定された場合、第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの操作は、従来の双腕型作業機械と同様の操作となる。なお、通常モードにおける第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの操作については後に詳述する。
【0020】
双腕同期モードとは、次の(a)、(b)に挙げる操作を可能とする操作モードである。
(a) 操作レバー選択スイッチ61で右側操作装置選択位置が選択されている場合、ブームシリンダ11a,11b、アームシリンダ13a,13bおよび作業具シリンダ15a,15bの左右の各シリンダを右側の操作レバー54aおよび作業具回動レバー55aのみで同時に操作可能とする。
(b) 操作レバー選択スイッチ61で左側操作装置選択位置が選択されている場合、ブームシリンダ11a,11b、アームシリンダ13a,13bおよび作業具シリンダ15a,15bの左右の各シリンダを左側の操作レバー54bおよび作業具回動レバー55bのみで同時に操作可能とする。
なお、双腕同期モードにおける第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの操作については後に詳述する。
【0021】
−−−操作姿勢−−−
操作装置50a,50bを操作して第1フロント作業機A及び第2フロント作業機Bを動かすには、操作者は運転席49に着座し、腕の肘関節を操作アーム52a,52b上のアームレスト53a,53bの肘関節支持部77a,77bに載せ、掌部で作業具回動レバー55a,55bを把持し、指部を作業具操作スイッチ56a,56bに掛ける。
【0022】
−−−通常モードにおける操作レバーによる動作−−−
操作モードが通常モードに設定されている場合、上述した操作姿勢の操作者が掌部で右側の操作レバー54aを上下方向(図5の矢印y参照)に変位させると、第1フロント作業機Aのブームシリンダ11aが伸縮する。また、操作者が掌部で左側の操作レバー54bを上下方向に変位させると、第2フロント作業機Bのブームシリンダ11bが伸縮する。これによりブーム10a,10bが揺動される(図6の矢印Y参照)。このとき、ブーム10a,10bの揺動速度は、操作レバー54a,54bの変位量と単純増加の関係、たとえば比例関係にあり、操作レバー54a,54bの変位は、ブーム10a,10bの揺動を速度制御する。
【0023】
同様に、操作者が掌部で右側の操作レバー54aを前後方向(図5の矢印x参照)に変位させると、第1フロント作業機Aのアームシリンダ13aが伸縮する。また、操作者が掌部で左側の操作レバー54bを前後方向に変位させると、第2フロント作業機Bのアームシリンダ13bが伸縮する。これによりアーム12a,12bが揺動される(図6の矢印X参照)。このとき、アーム12a,12bの揺動速度は、操作レバー54a,54bの変位量と単純増加の関係、たとえば比例関係にあり、操作レバー54a,54bの変位は、アーム12a,12bの揺動を速度制御する。
【0024】
−−−通常モードにおける回動レバーによる動作−−−
操作モードが通常モードに設定されている場合、操作者が掌で右側の作業具回動レバー55aを回動中心軸線74a回りに回動させる(図5の矢印z参照)と、第1フロント作業機Aの作業具シリンダ15aが伸縮する。また、操作者が掌で左側の作業具回動レバー55bを回動中心軸線74b回りに回動させると、第2フロント作業機Bの作業具シリンダ15bが伸縮する。これにより第1作業具14aおよび第2作業具14b(以下、単に作業具14a,14bと呼ぶ)が作業具回動レバー55a,55bの回動方向と一致する方向に回動される(図6の矢印Z参照)。このとき、作業具14a,14bの揺動速度は、回動レバー55a,55bの変位量と単純増加の関係、たとえば比例関係にあり、回動レバー55a,55bの変位は、作業具14a,14bの揺動を速度制御する。
【0025】
−−−操作スイッチによる制御−−−
また、操作者が指部で作業具操作スイッチ56a,56bを変位させると、作業具14a,14bとして、たとえばグラップル20a,20bを装備していた場合には、図4に示すグラップルシリンダ19a,19bが伸縮する。グラップルシリンダ19a,19bの伸縮によりグラップル20a,20bが開閉される。この時のグラップル20a,20bの開閉速度は作業具操作スイッチ56a,56bの変位量と単純増加の関係、たとえば比例関係にあり、作業具操作スイッチ56a,56bの変位は作業具14a,14bの駆動を速度制御する。
【0026】
−−−操作アームによる動作−−−
また、操作者が操作装置50a,50bの操作アーム52a,52bをそれぞれ軸73a,73b周りに前腕部で左右揺動させる(図5の矢印w参照)と、スイングポストシリンダ9a,9bが伸縮する。これによりスイングポスト7a,7bが操作アーム52a,52bの変位方向と一致する方向に揺動される(図6の矢印W参照)。このとき、スイングポスト7a,7bの揺動速度は、操作アーム52a,52bの変位量と単純増加の関係、たとえば比例関係にあり、操作アーム52a,52bの変位は、スイングポスト7a,7bの揺動を速度制御する。
【0027】
−−−双腕同期モードにおける操作レバーによる動作−−−
操作モードが双腕同期モードに設定されていて、操作レバー選択スイッチ61で右側操作装置選択位置が選択されている場合、操作者が掌部で右側の操作レバー54aを上下方向(図5の矢印y参照)に変位させると、第1フロント作業機Aのブームシリンダ11aおよび第2フロント作業機Bのブームシリンダ11bが同時に伸縮する。この場合、左側の操作レバー54bの上下方向への操作は無効となり、左側の操作レバー54bを上下方向へ操作しても、ブームシリンダ11a,11bは伸縮しない。また、操作モードが双腕同期モードに設定されていて、操作レバー選択スイッチ61で左側操作装置選択位置が選択されている場合、操作者が掌部で左側の操作レバー54bを上下方向に変位させると、第1フロント作業機Aのブームシリンダ11aおよび第2フロント作業機Bのブームシリンダ11bが同時に伸縮する。この場合、右側の操作レバー54aの上下方向への操作は無効となり、右側の操作レバー54aを上下方向へ操作しても、ブームシリンダ11a,11bは伸縮しない。
【0028】
これにより左右いずれか一方の操作レバー54a,54bの上下方向の操作によって左右のブーム10a,10bが同時に揺動される(図6の矢印Y参照)。このとき、ブーム10aおよびブーム10bの揺動速度は、操作レバー54aまたは操作レバー54bの変位量と単純増加の関係、たとえば比例関係にあり、操作レバー54aまたは操作レバー54bの変位は、ブーム10aおよびブーム10bの揺動を速度制御する。
【0029】
同様に、操作モードが双腕同期モードに設定されていて、操作レバー選択スイッチ61で右側操作装置選択位置が選択されている場合、操作者が掌部で右側の操作レバー54aを前後方向(図5の矢印x参照)に変位させると、第1フロント作業機Aのアームシリンダ13aおよび第2フロント作業機Bのアームシリンダ13bが伸縮する。この場合、左側の操作レバー54bの前後方向への操作は無効となり、左側の操作レバー54bを前後方向へ操作しても、アームシリンダ13a,13bは伸縮しない。また、操作モードが双腕同期モードに設定されていて、操作レバー選択スイッチ61で左側操作装置選択位置が選択されている場合、操作者が掌部で左側の操作レバー54bを前後方向に変位させると、第1フロント作業機Aのアームシリンダ13aおよび第2フロント作業機Bのアームシリンダ13bが伸縮する。この場合、右側の操作レバー54aの前後方向への操作は無効となり、右側の操作レバー54aを前後方向へ操作しても、アームシリンダ13a,13bは伸縮しない。
【0030】
これにより左右いずれか一方の操作レバー54a,54bの前後方向の操作によって左右のアーム12a,12bが同時に揺動される(図6の矢印X参照)。このとき、アーム12aおよびアーム12bの揺動速度は、操作レバー54aまたは操作レバー54bの変位量と単純増加の関係、たとえば比例関係にあり、操作レバー54aまたは操作レバー54bの変位は、アーム12aおよびアーム12bの揺動を速度制御する。
【0031】
−−−双腕同期モードにおける回動レバーによる動作−−−
操作モードが双腕同期モードに設定されていて、操作レバー選択スイッチ61で右側操作装置選択位置が選択されている場合、操作者が掌部で右側の作業具回動レバー55aを回動中心軸線74a回りに回動させる(図5の矢印z参照)と、第1フロント作業機トAの作業具シリンダ15aおよび第2フロント作業機Bの作業具シリンダ15bが同時に伸縮する。この場合、左側の作業具回動レバー55bの回動操作は無効となり、左側の作業具回動レバー55bを回動操作しても、作業具シリンダ15a,15bは伸縮しない。また、操作モードが双腕同期モードに設定されていて、操作レバー選択スイッチ61で左側操作装置選択位置が選択されている場合、操作者が掌部で左側の作業具回動レバー55bを回動中心軸線74b回りに回動させると、第1フロント作業機Aの作業具シリンダ15aおよび第2フロント作業機Bの作業具シリンダ15bが同時に伸縮する。この場合、右側の作業具回動レバー55aの回動操作は無効となり、右側の作業具回動レバー55aを回動操作しても、作業具シリンダ15a,15bは伸縮しない。
【0032】
これにより左右いずれか一方の作業具回動レバー55a,55bの回動操作によって、左右の作業具14aおよび14bが作業具回動レバー55aまたは作業具回動レバー55bの回動方向と一致する方向に同時に回動される(図6の矢印Z参照)。このとき、作業具14aおよび作業具14bの揺動速度は、回動レバー55aまたは回動レバー55bの変位量と単純増加の関係、たとえば比例関係にあり、回動レバー55aまたは回動レバー55bの変位は、作業具14aおよび作業具14bの揺動を速度制御する。
【0033】
−−−油圧回路−−−
図4は、第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bを駆動する油圧回路150a,150bの概略を示す図である。101a,101bは、エンジン40により駆動されるメイン圧用の可変容量型油圧ポンプであり、102はパイロット圧用のポンプである。103a,104a,105a,106a,107aは、それぞれ第1フロント作業機Aの揺動用シリンダ9a、ブームシリンダ11a、アームシリンダ13a、作業具シリンダ15a、およびグラップルシリンダ19aへ圧油を供給するコントロール弁である。
【0034】
各コントロール弁103a〜107aは、後に詳述する操作制御装置(コントローラ)400が生成した出力信号を基に、比例制御弁113a,114a,115a,116a,117aによってそれぞれ制御される。すなわち、比例制御弁113aはコントロール弁103aを、比例制御弁114aはコントロール弁104aを、比例制御弁115aはコントロール弁105aを、比例制御弁116aはコントロール弁106aを比例制御弁117aはコントロール弁107aをそれぞれ制御する。108aは、第1フロント作業機Aに係る油圧回路150aの最高圧力を規定するメインリリーフ弁である。
【0035】
メインポンプ101aから吐出された圧油は、コントロール弁103a〜107aを介して各油圧シリンダに供給される。操作装置50aが操作されると、コントローラ400の出力信号に応じた電磁比例弁113a〜117aの動作により、パイロットポンプ102から吐出されるパイロット圧油が対応するコントロール弁103a〜107aに供給されて、操作装置50aの操作量に応じてコントロール弁のスプールが駆動される。コントロール弁103a〜107aは,スプールの駆動量に応じてメインポンプ101aから吐出された圧油を各シリンダ(各アクチュエータ)9a,11a,13a,15a,19aへ供給し、各シリンダを駆動する。
【0036】
第2フロント作業機Bの各シリンダ(各アクチュエータ)9b,11b,13b,15b,19bを駆動する油圧回路150bも、第1フロント作業機Aに係る油圧回路150aと同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。これらの油圧回路150a,150bでは、メインポンプ101aから吐出される圧油は、第1フロント作業機Aの各シリンダ9a,11a,13a,15a,19aへ供給され、メインポンプ101bから吐出される圧油は、第2フロント作業機Bの各シリンダ9b,11b,13b,15b,19bへ供給される。
【0037】
図7は、第1の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。コントローラ400の入力となる信号401a(b)〜404a(b)は、上述した各変位検出器で検出される操作信号である。すなわち、操作アーム操作信号401a(b)は、操作アーム用変位検出器57a(b)から出力される。操作レバー上下操作信号402a(b)は、操作レバー用上下方向変位検出器581a(b)から出力される。操作レバー前後操作信号403a(b)は、操作レバー用前後方向変位検出器582a(b)から出力される。操作レバー回動操作信号404a(b)は、回動レバー用変位検出器59a(b)から出力される。操作スイッチ操作信号405a(b)は、操作スイッチ用変位検出器60a(b)から出力される。
【0038】
操作レバー選択スイッチ信号701は、操作レバー選択スイッチ61から出力される。双腕同期モードスイッチ信号702は、双腕同期モードスイッチ62から出力される。
【0039】
コントローラ400の出力となる信号601a(b)〜605a(b)は、上述した揺動シリンダ9a(b)、ブームシリンダ11a(b)、アームシリンダ13a(b)、作業具シリンダ15a(b)、グラップルシリンダ19a(b)を各々駆動する駆動信号である。すなわち、揺動シリンダ駆動信号601a(b)は、図4の比例制御弁113a(b)に出力され、ブームシリンダ駆動信号602a(b)は、図4の比例制御弁114a(b)に出力され、アームシリンダ駆動信号603a(b)は、図4の比例制御弁115a(b)に出力される。作業具シリンダ駆動信号604a(b)は、図4の比例制御弁116a(b)に出力され、作業具駆動信号605a(b)は、図4の比例制御弁117a(b)に出力される。
【0040】
コントローラ400内の501a(b)〜505a(b)は、上述した各操作信号から上記の各駆動信号を演算する駆動信号生成部である。すなわち、揺動信号生成部501a(b)は、揺動シリンダ駆動信号601a(b)を生成して出力し、ブーム駆動信号生成部502a(b)は、ブームシリンダ駆動信号602a(b)を生成して出力し、アーム駆動信号生成部503a(b)は、アームシリンダ駆動信号603a(b)を生成して出力する。作業具回動信号生成部504a(b)は、作業具シリンダ駆動信号604a(b)を生成して出力し、作業具駆動信号生成部505a(b)は、作業具駆動信号605a(b)を生成して出力する。
【0041】
図8は、各信号生成部501a(b)〜505a(b)において行なわれる信号処理に関わる模式図であり、上述した各操作信号と上記の各駆動信号との関係を模式的に示す。駆動信号生成部501a(b)〜505a(b)では、操作レバー54a(b)等の操作量に比例したシリンダ速度指令値が、各駆動信号として算出される。なお、レバー操作が有効となる操作量を規定するため、不感帯が設定されている。
【0042】
図7において、入力信号701は、操作レバー選択スイッチ61の設定状態を示す信号であり、操作レバー選択スイッチ61から出力される。入力信号702は、双腕同期モードスイッチ62の設定状態を示す信号であり、双腕同期モードスイッチ62から出力される。入力信号701および702の設定状態は、操作レバー選択スイッチ61および双腕同期モードスイッチ62の操作によってオペレータが適宜変更可能である。後述する操作信号共通化演算部801には、操作レバー等の入力信号402a(b)〜404a(b)、操作レバー選択スイッチ信号701、双腕同期モードスイッチ信号702が、各々取り込まれる。
【0043】
−−−操作信号共通化演算部801における処理について−−−
図9は、操作信号共通化演算部801の処理フローについて示すフローチャートである。作業機械200の不図示のイグニッションスイッチがオンされると、図9に示す処理を行うプログラムが起動され、操作信号共通化演算部801で繰り返し実行される。ステップS901において、双腕同期モードスイッチ62の設定状態を示す双腕同期モードスイッチ信号702を読み込んで、操作モードが双腕同期モードに設定されているか否かを判断する。
【0044】
ステップS901で肯定判断されている場合、すなわち操作モードが双腕同期モードに設定され、双腕の同期が許可されている場合、ステップS902へ進む。ステップS902では、操作レバー選択スイッチ信号701を読み込んで、操作レバー選択スイッチ61の選択位置が右側操作装置選択位置であるか、左側操作装置選択位置であるかを判断する。
【0045】
ステップS902で操作レバー選択スイッチ61の選択位置が右側操作装置選択位置であると判断されるとステップS903へ進み、操作レバー54bの操作信号を操作レバー54aの操作信号で上書きする処理、および、作業具回動レバー55bの操作信号を作業具回動レバー55aの操作信号で上書きする処理が行われる。具体的には、入力信号402b〜404bの値を、その値に関わらず、入力信号402a〜404aの値で置き換える(共通化する)処理が実施される。その結果、操作レバー上下操作信号402bは、その値に関わらず、操作レバー上下操作信号402aの値に置き換えられる。操作レバー前後操作信号403bは、その値に関わらず、操作レバー前後操作信号403aの値に置き換えられる。操作レバー回動操作信号404bは、その値に関わらず、操作レバー回動操作信号404aの値に置き換えられる。すなわち、操作レバー上下操作信号402a、操作レバー前後操作信号403aおよび操作レバー回動操作信号404aが左右のアクチュエータを共通の信号で駆動するための共通信号となる。
【0046】
ステップS903が実行されるとステップS905へ進み、ステップS903における処理後の各操作信号が各信号生成部502a〜504aおよび各信号生成部502b〜504bへ出力される。すなわち、ブーム駆動信号生成部502aには操作レバー上下操作信号402aが出力される。アーム駆動信号生成部503aには操作レバー前後操作信号403aが出力される。作業具回動信号生成部504aには操作レバー回動操作信号404aが出力される。
【0047】
そして、ブーム駆動信号生成部502bには操作レバー上下操作信号402bに代えて、操作レバー上下操作信号402aが出力される。アーム駆動信号生成部503bには操作レバー前後操作信号403bに代えて、操作レバー前後操作信号403aが出力される。作業具回動信号生成部504bには操作レバー回動操作信号404bに代えて操作レバー回動操作信号404aが出力される。ステップS905が実行されると本プログラムを終了する。
【0048】
ステップS902で操作レバー選択スイッチ61の選択位置が左側操作装置選択位置であると判断されるとステップS904へ進み、操作レバー54aの操作信号を操作レバー54bの操作信号で上書きする処理、および、作業具回動レバー55aの操作信号を作業具回動レバー55bの操作信号で上書きする処理が行われる。具体的には、入力信号402a〜404aの値を、その値に関わらず、入力信号402b〜404bの値で置き換える(共通化する)処理が実施される。その結果、操作レバー上下操作信号402aは、その値に関わらず、操作レバー上下操作信号402bの値に置き換えられる。操作レバー前後操作信号403aは、その値に関わらず、操作レバー前後操作信号403bの値に置き換えられる。操作レバー回動操作信号404aは、その値に関わらず、操作レバー回動操作信号404bの値に置き換えられる。すなわち、操作レバー上下操作信号402b、操作レバー前後操作信号403bおよび操作レバー回動操作信号404bが左右のアクチュエータを共通の信号で駆動するための共通信号となる。
【0049】
ステップS904が実行されるとステップS905へ進み、ステップS904における処理後の各操作信号が各信号生成部502a〜504aおよび各信号生成部502b〜504bへ出力される。すなわち、ブーム駆動信号生成部502aには操作レバー上下操作信号402aに代えて、操作レバー上下操作信号402bが出力される。アーム駆動信号生成部503aには操作レバー前後操作信号403aに代えて、操作レバー前後操作信号403bが出力される。作業具回動信号生成部504aには操作レバー回動操作信号404aに代えて、操作レバー回動操作信号404bが出力される。
【0050】
そして、ブーム駆動信号生成部502bには操作レバー上下操作信号402bが出力される。アーム駆動信号生成部503bには操作レバー前後操作信号403bが出力される。作業具回動信号生成部504bには操作レバー回動操作信号404bが出力される。
【0051】
ステップS901が否定判断されている場合、すなわち操作モードが通常モードに設定され、双腕の同期が許可されていない場合、ステップS905へ進む。すなわち、ステップS901が否定判断されている場合、ステップS903やステップS904で行われたような操作信号の上書き処理が行われず、各入力信号402a〜404aが対応する各信号生成部502a〜504aへ出力され、各入力信号402b〜404bが対応する各信号生成部502b〜504bへ出力される。具体的には、ブーム駆動信号生成部502aには操作レバー上下操作信号402aが出力される。アーム駆動信号生成部503aには操作レバー前後操作信号403aが出力される。作業具回動信号生成部504aには操作レバー回動操作信号404aが出力される。
【0052】
そして、ブーム駆動信号生成部502bには操作レバー上下操作信号402bが出力される。アーム駆動信号生成部503bには操作レバー前後操作信号403bが出力される。作業具回動信号生成部504bには操作レバー回動操作信号404bが出力される。
【0053】
このように、第1の実施の形態の作業機械200では、操作モードが双腕同期モードに設定されていて、操作レバー選択スイッチ61で右側操作装置選択位置が選択されている場合、上述したステップS903の処理が行われる。その結果、操作レバー54aを操作するだけで、双腕の同期操作、具体的には第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bのブーム10a,10bおよびアーム12a,12bの同期操作が可能となる。また、作業具回動レバー55aを操作するだけで、双腕の同期操作、具体的には第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bのグラップル20aおよび20bの同期動作が可能となる。
【0054】
そして、第1の実施の形態の作業機械200では、操作モードが双腕同期モードに設定されていて、操作レバー選択スイッチ61で左側操作装置選択位置が選択されている場合、上述したステップS904の処理が行われる。その結果、操作レバー54bを操作するだけで、双腕の同期操作、具体的には第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bのブーム10a,10bおよびアーム12a,12bの同期操作が可能となる。また、作業具回動レバー55bを操作するだけで、双腕の同期操作、具体的には第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bのグラップル20aおよび20bの同期動作が可能となる。
【0055】
そして、第1の実施の形態の作業機械200では、操作モードが通常モードに設定されている場合、上述したステップS903およびステップS904の処理が行われない。したがってこの場合には、双腕を各々対応する操作レバー54a,54bおよび作業具回動レバー55a,55bを用いて操作する、従来通りの操作が可能となる。
【0056】
なお、上述した双腕の同期操作の開始時の第1フロント作業機Aの姿勢(初期姿勢)と第2フロント作業機Bの姿勢(初期姿勢)とが異なると、双腕の同期操作によって左右グラップル20a,20b同士の相対位置が変化してしまう。そのため、双腕の同期操作によってグラップル20a,20bで把持している作業対象物を損傷するおそれがある。しかし、第1の実施の形態の作業機械200では、左右グラップル20aおよび20bで作業対象物を把持しようとした場合、第1フロント作業機Aと第2フロント作業機Bとで自然に略同じ姿勢となる。
【0057】
ここで、第1フロント作業機Aの姿勢は、上部旋回体3に対するスイングポスト7aの揺動角度、スイングポスト7aに対するブーム10aの回動角度、ブーム10aに対するアーム12aの回動角度、アーム12aに対する第1作業具14aの回動角度によって規定される。同様に、第2フロント作業機Bの姿勢は、上部旋回体3に対するスイングポスト7bの揺動角度、スイングポスト7bに対するブーム10bの回動角度、ブーム10aに対するアーム12bの回動角度、アーム12bに対する第2作業具14bの回動角度によって規定される。
【0058】
すなわち、作業機械200のオペレータが意図的に第1フロント作業機Aの姿勢と第2フロント作業機Bの姿勢とを異ならせない限り、通常の作業においては第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同じとなる。そのため、通常の作業においては双腕の同期操作開始の条件として、作業機械200側で第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同じであるか否かを判定する必要性は低い。そこで、第1の実施の形態の作業機械200では、第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの初期姿勢を双腕の同期操作開始の条件として挙げていない。なお、第1の実施の形態の作業機械200では、オペレータや地上の作業員の目視によって第1フロント作業機Aの姿勢と第2フロント作業機Bの姿勢とが略同一であることを確認した上で双腕の同期操作を開始することが望ましい。
【0059】
上述した第1の実施の形態の作業機械200では、次の作用効果を奏する。
(1) 操作モードが双腕同期モードに設定されている場合に、操作レバー選択スイッチ61の選択位置に応じた入力信号402a〜404aまたは入力信号402b〜404bに基づいて左右のアクチュエータを共通の信号で駆動するための共通信号(共通の駆動指令)を操作信号共通化演算部801で生成するように構成した。これにより第1フロント作業機Aと第2フロント作業機Bとの同期操作を簡便な構成で実現でき、広範な作業に適用可能な双腕作業機を低コストで提供できる。すなわち、第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bに改変を加えることなく双腕の同期操作が可能となるので、コスト増を抑制できる。
【0060】
(2) オペレータによる双腕同期モードスイッチ62の操作によって操作モードを切り換えられるように構成した。これにより、オペレータの操作モードの切り換え意思を確実に反映できるので、オペレータの意に沿った操作が可能となり、操作性が向上する。
【0061】
(3) オペレータによる操作レバー選択スイッチ61の選択位置の切り換え操作によって、双腕同期モード設定時の双腕の同期操作を右側の操作装置50aで行うのか、左側の操作装置50bで行うのかを選択できるように構成した。これにより、利き腕等のようにオペレータが操作し易い方の腕で双腕の同期操作が行えるので、操作性が向上する。
【0062】
−−−第2の実施の形態−−−
図10〜13を参照して、本発明による双腕型作業機械の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、操作レバー54a,54bおよび回動レバー55a,55bの操作方向に基づいて双腕の同期操作を可能とするか否かを判定する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0063】
−−−操作装置−−−
図10は、第2の実施の形態における操作装置を示す図である。第2の実施の形態の操作装置50a,50bでは、第1の実施の形態と異なり、操作レバー選択スイッチ61および双腕同期モードスイッチ62が設けられていない。
【0064】
−−−双腕の同期操作について−−−
第2の実施の形態では、次の(2−1)〜(2−3)の条件がすべて満たされると、双腕の同期操作が可能となる。
(2−1) 右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとで上下方向の操作方向が同じであるか、または、右側の操作レバー54aおよび左側の操作レバー54bがともに上下方向へ操作されていないこと。
(2−2) 右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとで前後方向の操作方向が同じであるか、または、右側の操作レバー54aおよび左側の操作レバー54bがともに前後方向へ操作されていないこと。
(2−3) 右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとで操作方向(回動方向)が同じであるか、または、右側の回動レバー55aおよび左側の回動レバー55bがともに回動されていないこと。
【0065】
上述した(2−1)〜(2−3)の条件がすべて満たされて双腕の同期操作が可能となると、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとで変位量(操作量)が多い方の操作レバーの操作量に応じて左右のブーム10a,10bおよび左右のアーム12a,12bが同時に揺動される。具体的には、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとで上下方向の操作量が多い方の操作レバーの操作量に応じて左右のブーム10aおよび10bが同時に揺動される。そして、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとで前後方向の操作量が多い方の操作レバーの操作量に応じて左右のアーム12aおよび12bが同時に揺動される。また、右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとで変位量(回動量)が多い方の回動レバーの回動量に応じて左右の作業具14aおよび14bが同時に揺動される。
【0066】
図11は、第2の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。コントローラ400には操作方向判定部810と操作信号共通化演算部811とが設けられている。操作方向判定部810には、操作レバー等の入力信号402a(b)〜404a(b)が取り込まれる。操作信号共通化演算部811には、操作レバー等の入力信号402a(b)〜404a(b)および、操作方向判定部810の判定結果が取り込まれる。
【0067】
−−−操作方向判定部810における処理について−−−
図12は、操作方向判定部810の処理フローについて示すフローチャートである。作業機械200の不図示のイグニッションスイッチがオンされると、図12に示す処理を行うプログラムが起動され、操作方向判定部810で繰り返し実行される。なお、本プログラムは、上述した(2−1)〜(2−3)の条件をすべて満たすか否かを判定するためのプログラムである。
【0068】
ステップS911において、操作レバー上下操作信号402aおよび操作レバー上下操作信号402bに基づいて、上記条件(2−1)を満たすか否かが判断される。上記条件(2−1)を満たす、すなわち右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとで上下方向の操作方向が同じであるか、または、右側の操作レバー54aおよび左側の操作レバー54bがともに上下方向へ操作されていないと判断されるとステップS912へ進む。
【0069】
ステップS912において、操作レバー前後操作信号403aおよび操作レバー前後操作信号403bに基づいて、上記条件(2−2)を満たすか否かが判断される。上記条件(2−2)を満たす、すなわち右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとで前後方向の操作方向が同じであるか、または、右側の操作レバー54aおよび左側の操作レバー54bがともに前後方向へ操作されていないと判断されるとステップS913へ進む。
【0070】
ステップS913において、操作レバー回動操作信号404aおよび操作レバー回動操作信号404bに基づいて、上記条件(2−3)を満たすか否かが判断される。上記条件(2−3)を満たす、すなわち右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとで操作方向(回動方向)が同じであるか、右側の回動レバー55aおよび左側の回動レバー55bがともに回動されていないと判断されるとステップS914へ進む。
【0071】
ステップS914において、同期操作が行われているとみなして、同期操作フラグをONとする処理が行われる。ステップS914が実行されると本プログラムを終了する。
【0072】
ステップS911が否定判断されるか、ステップS912が否定判断されるか、ステップS913が否定判断されるとステップS915へ進み、同期操作が行われていないとみなして、同期操作フラグをOFFとする処理が行われる。ステップS915が実行されると本プログラムを終了する。このように、操作方向判定部810は、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bの操作方向が同一であるか否か、および右側の回動レバー55aおよび左側の回動レバー55bの操作方向が同一であるか否かを判定する同期操作判定部としても機能する。
【0073】
−−−操作信号共通化演算部811における処理について−−−
図13は、操作信号共通化演算部811の処理フローについて示すフローチャートである。作業機械200の不図示のイグニッションスイッチがオンされると、図13に示す処理を行うプログラムが起動され、操作信号共通化演算部811で繰り返し実行される。ステップS921において、操作方向判定部810の処理結果である同期操作フラグがONとされていると判断されるとステップS922へ進む。
【0074】
ステップS922において、操作レバー54aと操作レバー54bの上下方向の操作量の大小比較が行われる。右側の操作レバー54aの上下方向の操作量が左側の操作レバー54bの上下方向の操作量よりも大きい場合にはステップS923へ進み、それ以外の場合にはステップS924へ進む。ステップS923において、操作レバー54bの操作レバー上下操作信号402bを操作レバー54aの操作レバー上下操作信号402aで上書きする処理、具体的には、入力信号402bの値を、その値に関わらず、入力信号402aの値で置き換える(共通化する)処理が実施される。また、ステップS924において、操作レバー54aの操作レバー上下操作信号402aを操作レバー54bの操作レバー上下操作信号402bで上書きする処理、具体的には、入力信号402aの値を、その値に関わらず、入力信号402bの値で置き換える(共通化する)処理が実施される。ステップS923またはステップS924が実行されるとステップS925へ進む。
【0075】
ステップS925において、操作レバー54aと操作レバー54bの前後方向の操作量の大小比較が行われる。右側の操作レバー54aの前後方向の操作量が左側の操作レバー54bの前後方向の操作量よりも大きい場合にはステップS926へ進み、それ以外の場合にはステップS927へ進む。ステップS926において、操作レバー54bの操作レバー前後操作信号403bを操作レバー54aの操作レバー前後操作信号403aで上書きする処理、具体的には、入力信号403bの値を、その値に関わらず、入力信号403aの値で置き換える(共通化する)処理が実施される。また、ステップS927において、操作レバー54aの操作レバー前後操作信号403aを操作レバー54bの操作レバー前後操作信号403bで上書きする処理、具体的には、入力信号403aの値を、その値に関わらず、入力信号403bの値で置き換える(共通化する)処理が実施される。ステップS926またはステップS927が実行されるとステップS928へ進む。
【0076】
ステップS928において、作業具回動レバー55aと作業具回動レバー55bの操作量(回動量)の大小比較が行われる。右側の作業具回動レバー55aの操作量が左側の作業具回動レバー55bの操作量よりも大きい場合にはステップS929へ進み、それ以外の場合にはステップS931へ進む。ステップS929において、作業具回動レバー55bの操作レバー回動操作信号404bを作業具回動レバー55aの操作レバー回動操作信号404aで上書きする処理、具体的には、入力信号404bの値を、その値に関わらず、入力信号404aの値で置き換える(共通化する)処理が実施される。また、ステップS931において、作業具回動レバー55aの操作レバー回動操作信号404aを作業具回動レバー55bの操作レバー回動操作信号403bで上書きする処理、具体的には、入力信号404aの値を、その値に関わらず、入力信号404bの値で置き換える(共通化する)処理が実施される。
【0077】
ステップS929またはステップS931が実行されるとステップS932へ進み、上述した各ステップにおける処理後の各操作信号が各信号生成部502a〜504aおよび各信号生成部502b〜504bへ出力される。すなわち、ブーム駆動信号生成部502aおよび502bには操作レバー上下操作信号402aと操作レバー上下操作信号402bとを比較して大きい値の方の信号が出力される。アーム駆動信号生成部503aおよび503bには操作レバー前後操作信号403aと操作レバー前後操作信号403bとを比較して大きい値の方の信号が出力される。作業具回動信号生成部504aおよび504bには操作レバー回動操作信号404aと操作レバー回動操作信号404bとを比較して大きい値の方の信号が出力される。ステップS932が実行されると本プログラムを終了する。
【0078】
ステップS921において、操作方向判定部810の処理結果である同期操作フラグがOFFとされていると判断されるとステップS932へ進む。この場合、上述した各ステップで行われたような操作信号の上書き処理が行われず、各入力信号402a〜404aが対応する各信号生成部502a〜504aへ出力され、各入力信号402b〜404bが対応する各信号生成部502b〜504bへ出力される。具体的には、ブーム駆動信号生成部502aには操作レバー上下操作信号402aが出力される。アーム駆動信号生成部503aには操作レバー前後操作信号403aが出力される。作業具回動信号生成部504aには操作レバー回動操作信号404aが出力される。
【0079】
そして、ブーム駆動信号生成部502bには操作レバー上下操作信号402bが出力される。アーム駆動信号生成部503bには操作レバー前後操作信号403bが出力される。作業具回動信号生成部504bには操作レバー回動操作信号404bが出力される。
【0080】
このように第2の実施の形態の作業機械200では、略同一の方向へ操作レバー54aおよび操作レバー54bを操作し、かつ、同一の方向へ回動レバー55aおよび回動レバー55bを操作した場合に、オペレータの双腕の同期操作の意図を汲み取って、双腕の同期操作が可能となる。すなわち、オペレータが双腕を同期させようとした場合のみ、双腕同期操作がアシストされる。このとき、左右の操作レバー54a,54bの上下方向および前後方向への操作量が大きい方の操作レバーの操作量に応じて左右のブーム10a,10bおよびアーム12a,12bが同時に揺動される。そして、左右の回動レバー55a,55bの回動量の大きい方の回動レバーの回動量に対応して作業具14a,14bが同時に揺動される。また、それ以外の場合には、双腕を各々対応する操作レバー54a,54bおよび作業具回動レバー55a,55bを用いて操作する、従来通りの操作が可能となる。
【0081】
上述した第2の実施の形態の作業機械200では、第1の実施の形態の作業機械200が奏する作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 同一の方向へ操作レバー54aおよび操作レバー54bを操作し、または、同一の方向へ回動レバー55aおよび回動レバー55bを操作した場合に、双腕の同期操作が可能となるように構成した。これにより、操作モードの切り換え操作が不要となるので、作業性が向上する。
【0082】
(2) 左右で操作量、回動量が多い方の操作量、回動量が双腕の同期操作において有効とされて双腕の移動量に反映されるので、オペレータが片方の腕の操作量を用いて同期操作時の双腕の移動量を制御したいと考える場合には操作がし易くなり、作業効率が向上する。
【0083】
−−−第3の実施の形態−−−
図14を参照して、本発明による双腕型作業機械の第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1または第2の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1または第2の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、双腕の同期操作が可能となった際に、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの変位量(操作量)の平均値、および、右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとので変位量(回動量)の平均値に基づいて左右のブーム10a,10b、アーム12a、12bおよび作業具14a,14bが同時に揺動される点で、第2の実施の形態と異なる。
【0084】
第3の実施の形態における操作装置は、第2の実施の形態における操作装置と同じである。また、第2の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、第2の実施の形態における(2−1)〜(2−3)の条件がすべて満たされると、双腕の同期操作が可能となる。そして、この(2−1)〜(2−3)の条件がすべて満たされて双腕の同期操作が可能となると、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの変位量(操作量)の平均値、および、右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとの変位量(回動量)の平均値に応じて左右のブーム10a,10b、アーム12a,12bおよび作業具14a,14bが同時に揺動される。
【0085】
具体的には、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの上下方向の操作量の平均値に応じて左右のブーム10aおよび10bが同時に揺動される。そして、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの前後方向の操作量の平均値に応じて左右のアーム12aおよび12bが同時に揺動される。また、上述したように、右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとの回動量の平均値に応じて左右の作業具14aおよび14bが同時に揺動される。
【0086】
−−−操作信号共通化演算部811における処理について−−−
図14は、第3の実施の形態における操作信号共通化演算部811の処理フローについて示すフローチャートである。作業機械200の不図示のイグニッションスイッチがオンされると、図14に示す処理を行うプログラムが起動され、操作信号共通化演算部811で繰り返し実行される。ステップS921は、第2の実施の形態の図13におけるステップS921と同じである。ステップS921が実行されるとステップS941へ進む。
【0087】
ステップS941において、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの操作量の平均値、および、右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとの回動量の平均値(各平均値を以下、単に平均操作量と呼ぶ)を演算する。具体的には、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの上下方向の平均操作量、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの前後方向の平均操作量、および、右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとの平均操作量を算出する。
【0088】
ステップS941が実行されるとステップS942へ進み、ステップS941で算出した各平均操作量に対応する操作信号の値を算出して、対応する入力信号402a〜404aおよび入力信号402b〜404bに上書きする処理が行われる。具体的には、入力信号402a〜404aの値および入力信号402b〜404bの値を、その値に関わらず、各平均操作量に対応する操作信号の値で置き換える(共通化する)処理が実施される。その結果、操作レバー上下操作信号402aおよび402bは、その値に関わらず、操作レバー54aおよび54bの上下方向の平均操作量に対応する操作信号の値に置き換えられる。操作レバー前後操作信号403aおよび403bは、その値に関わらず、操作レバー54aおよび54bの前後方向の平均操作量に対応する操作信号の値に置き換えられる。操作レバー回動操作信号404aおよび404bは、その値に関わらず、回動レバー55aおよび55bの平均操作量に対応する操作信号の値に置き換えられる。
【0089】
ステップS942が実行されるとステップS943へ進み、上述したステップS942における処理後の各操作信号が各信号生成部502a〜504aおよび各信号生成部502b〜504bへ出力される。すなわち、ブーム駆動信号生成部502aおよび502bには操作レバー54aおよび54bの上下方向の平均操作量に対応する操作信号が出力される。アーム駆動信号生成部503aおよび503bには操作レバー54aおよび54bの前後方向の平均操作量に対応する操作信号が出力される。作業具回動信号生成部504aおよび504bには回動レバー55aおよび55bの平均操作量に対応する操作信号が出力される。ステップS943が実行されると本プログラムを終了する。
【0090】
ステップS921において、操作方向判定部810の処理結果である同期操作フラグがOFFとされていると判断されるとステップS943へ進む。この場合、上述したステップS942で行われたような操作信号の上書き処理が行われず、各入力信号402a〜404aが対応する各信号生成部502a〜504aへ出力され、各入力信号402b〜404bが対応する各信号生成部502b〜504bへ出力される。具体的には、ブーム駆動信号生成部502aには操作レバー上下操作信号402aが出力される。アーム駆動信号生成部503aには操作レバー前後操作信号403aが出力される。作業具回動信号生成部504aには操作レバー回動操作信号404aが出力される。
【0091】
そして、ブーム駆動信号生成部502bには操作レバー上下操作信号402bが出力される。アーム駆動信号生成部503bには操作レバー前後操作信号403bが出力される。作業具回動信号生成部504bには操作レバー回動操作信号404bが出力される。
【0092】
このように第3の実施の形態の作業機械200では、略同一の方向へ操作レバー54aおよび操作レバー54bを操作し、かつ、同一の方向へ回動レバー55aおよび回動レバー55bを操作した場合、双腕の同期操作が可能となる。すなわち、オペレータが双腕を同期させようとした場合のみ、双腕同期操作がアシストされる。このとき、左右の操作レバー54a,54bおよび左右の回動レバー55a,55bの平均操作量に対応して左右のブーム10a,10b、アーム12a,12bおよび作業具14a,14bが同時に揺動される。また、それ以外の場合には、双腕を各々対応する操作レバー54a,54bおよび作業具回動レバー55a,55bを用いて操作する、従来通りの操作が可能となる。
【0093】
上述した第3の実施の形態の作業機械200では、第1および第2の実施の形態の作業機械200が奏する作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。すなわち、左右の操作レバー54aおよび54bの平均操作量、および左右の回動レバー55aおよび55bの平均操作量に対応して、左右のブーム10a,10b、アーム12a,12bおよび作業具14a,14bが同時に揺動されるので、オペレータが両方の腕の操作量を用いて同期操作時の双腕の移動量を制御したいと考える場合には操作がし易くなり、作業効率が向上する。
【0094】
−−−第4の実施の形態−−−
図15,16を参照して、本発明による双腕型作業機械の第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1〜第3の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第3の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、操作レバー54a,54bおよび回動レバー55a,55bの操作方向および操作量(すなわち操作ベクトル)に基づいて双腕の同期操作を可能とするか否かを判定する点で、第3の実施の形態と異なる。
【0095】
第4の実施の形態における操作装置は、第2および第3の実施の形態における操作装置と同じである。
【0096】
−−−双腕の同期操作について−−−
第4の実施の形態では、次の(4−1)〜(4−3)の条件がすべて満たされると、右側の操作レバー54aおよび回動レバー55aと、左側の操作レバー54bおよび回動レバー55bとで操作量および操作方向が略同じであるとみなして、双腕の同期操作が可能となる。
(4−1) 右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの上下方向の操作方向および操作量(以下、操作ベクトルと呼ぶ)の差が所定の閾値以内であるか、または、右側の操作レバー54aおよび左側の操作レバー54bがともに上下方向へ操作されていないこと。
(4−2) 右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの前後方向の操作ベクトルの差が所定の閾値以内であるか、または、右側の操作レバー54aおよび左側の操作レバー54bがともに前後方向へ操作されていないこと。
(4−3) 右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとの操作方向(回動方向)および回動量(説明の便宜上、以下、操作ベクトルと呼ぶ)の差が所定の閾値以内であるか、または、右側の回動レバー55aおよび左側の回動レバー55bがともに回動されていないこと。
【0097】
上述した(4−1)〜(4−3)の条件がすべて満たされて双腕の同期操作が可能となると、第3の実施の形態と同様に、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの変位量(操作量)の平均値、および、右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとの変位量(回動量)の平均値に応じて左右のブーム10a,10b、アーム12a,12bおよび作業具14a,14bが同時に揺動される。
【0098】
図15は、第4の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。コントローラ400には第3の実施の形態における操作方向判定部810に代えて、操作ベクトル判定部820と閾値設定部821とが設けられている。操作ベクトル判定部820には、操作レバー等の入力信号402a(b)〜404a(b)が取り込まれる。操作ベクトル判定部820における処理については後述する。閾値設定部821は、右側の操作レバー54aおよび回動レバー55aと、左側の操作レバー54bおよび回動レバー55bとで操作ベクトルが略同じであるか否かを判断するための閾値を設定する設定部であり、たとえば作業機械200の出荷時に工場であらかじめ設定された閾値が記憶されている。なお、閾値は所望する値に任意に設定でき、設定は、外部設定装置、例えばパソコン等を用いて行うことができる。
【0099】
閾値設定部821に記憶されている閾値には、たとえば、操作レバー54aと操作レバー54bとの上下方向の操作ベクトルの差に関する閾値や、操作レバー54aと操作レバー54bとの前後方向の操作ベクトルの差に関する閾値、回動レバー55aと回動レバー55bとの操作ベクトルの差に関する閾値が含まれる。
【0100】
−−−操作ベクトル判定部820における処理について−−−
図16は、操作ベクトル判定部820の処理フローについて示すフローチャートである。作業機械200の不図示のイグニッションスイッチがオンされると、図16に示す処理を行うプログラムが起動され、操作ベクトル判定部820で繰り返し実行される。なお、本プログラムは、上述した(4−1)〜(4−3)の条件をすべて満たすか否かを判定するためのプログラムである。
【0101】
ステップS951において、操作レバー上下操作信号402aおよび操作レバー上下操作信号402bに基づいて、上記条件(4−1)を満たすか否かが判断される。上記条件(4−1)を満たす、すなわち右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの上下方向の操作ベクトルの差が所定の閾値以内であるか、または、右側の操作レバー54aおよび左側の操作レバー54bがともに上下方向へ操作されていないと判断されるとステップS952へ進む。
【0102】
ステップS952において、操作レバー前後操作信号403aおよび操作レバー前後操作信号403bに基づいて、上記条件(4−2)を満たすか否かが判断される。上記条件(4−2)を満たす、すなわち右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとの前後方向の操作ベクトルの差が所定の閾値以内であるか、または、右側の操作レバー54aおよび左側の操作レバー54bがともに前後方向へ操作されていないと判断されるとステップS953へ進む。
【0103】
ステップS953において、操作レバー回動操作信号404aおよび操作レバー回動操作信号404bに基づいて、上記条件(4−3)を満たすか否かが判断される。上記条件(4−3)を満たす、すなわち右側の回動レバー55aと左側の回動レバー55bとの操作ベクトルの差が所定の閾値以内であるか、または、右側の回動レバー55aおよび左側の回動レバー55bがともに回動されていないと判断されるとステップS954へ進む。
【0104】
ステップS954において、操作レバー54a,54bの操作ベクトルおよび回動レバー55a,55bの操作ベクトルが左右で略同じであり、同期操作が行われているとみなして、同期操作フラグをONとする処理が行われる。ステップS954が実行されると本プログラムを終了する。
【0105】
ステップS951が否定判断されるか、ステップS952が否定判断されるか、ステップS953が否定判断されるとステップS955へ進む。ステップS955では、操作レバー54a,54bの操作ベクトルおよび回動レバー55a,55bの操作ベクトルの少なくともいずれか一方が操作され、その操作ベクトルの差が所定の閾値より大きく左右で異なった際に、同期操作が行われていないとみなして、同期操作フラグをOFFとする処理が行われる。ステップS955が実行されると本プログラムを終了する。
【0106】
このように第4の実施の形態の作業機械200では、操作レバー54aおよび操作レバー54bの操作ベクトルが略同じとなり、かつ、回動レバー55aおよび回動レバー55bの操作ベクトルが略同じとなるように操作した場合、双腕の同期操作が可能となる。すなわち、オペレータが双腕を同期させようとした場合のみ、双腕同期操作がアシストされる。このとき、左右の操作レバー54a,54bおよび左右の回動レバー55a,55bの平均操作量に対応して左右のブーム10a,10b、アーム12a,12bおよび作業具14a,14bが同時に揺動される。また、それ以外の場合には、双腕を各々対応する操作レバー54a,54bおよび作業具回動レバー55a,55bを用いて操作する、従来通りの操作が可能となる。
【0107】
上述した第4の実施の形態の作業機械200では、第1〜第3の実施の形態の作業機械200が奏する作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。すなわち、操作レバー54aおよび操作レバー54bの操作ベクトルが略同じとなり、または、回動レバー55aおよび回動レバー55bの操作ベクトルが略同じとなるように操作した場合、双腕の同期操作が可能となる。したがって、オペレータが双腕の同期操作を行おうとしているのか否かの判断精度が向上し、操作モードの切り換え操作がなくても、より的確に双腕の同期操作を行うことができるので、作業効率が向上する。
【0108】
−−−第5の実施の形態−−−
図17〜20を参照して、本発明による双腕型作業機械の第5の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1〜第4の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第2の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同一である場合にのみ、双腕の同期操作が可能となるように構成した点で、第2の実施の形態と異なる。
【0109】
第5の実施の形態における操作装置は、第2〜第4の実施の形態における操作装置と同じである。
【0110】
図17に示すように、第5の実施の形態の作業機械200には、角度センサ131a〜134a、131b〜134bが設けられている。角度センサ131aは、スイングポスト7aに対するブーム10aの回動角度(図17の矢印Y参照、以下、単にブーム角度aと呼ぶ)を検出する。角度センサ132aは、ブーム10aに対するアーム12aの回動角度(図17の矢印X参照、以下、単にアーム角度aと呼ぶ)を検出する。角度センサ133aは、アーム12aに対する第1作業具14aの回動角度(図17の矢印Z参照、以下、単に作業具角度aと呼ぶ)を検出する。角度センサ134aは、上部旋回体3に対するスイングポスト7aの揺動角度(図17の矢印W参照、以下、単にスイング角度aと呼ぶ)を検出する。
【0111】
角度センサ131bは、スイングポスト7bに対するブーム10bの回動角度(図17の矢印Y参照、以下、単にブーム角度bと呼ぶ)を検出する。角度センサ132bは、ブーム10bに対するアーム12bの回動角度(図17の矢印X参照、以下、単にアーム角度bと呼ぶ)を検出する。角度センサ133bは、アーム12bに対する第2作業具14bの回動角度(図17の矢印Z参照、以下、単に作業具角度bと呼ぶ)を検出する。角度センサ134bは、上部旋回体3に対するスイングポスト7bの揺動角度(図17の矢印W参照、以下、単にスイング角度bと呼ぶ)を検出する。
【0112】
図18は、第5の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。コントローラ400には姿勢判定部830と閾値設定部831とが設けられている。姿勢判定部830には、姿勢検出信号710a,710bが取り込まれる。姿勢検出信号710aとは、各角度センサ131a〜134aから出力される角度検出信号の総称である。なお、姿勢検出信号710aには、角度センサ131aから出力されるブーム角度検出信号711aと、角度センサ132aから出力されるアーム角度検出信号712aと、角度センサ133aから出力される作業具角度検出信号713aと、角度センサ134aから出力されるスイング角度検出信号714aとが含まれる。同様に、姿勢検出信号710bとは、各角度センサ131b〜133bから出力される角度検出信号の総称である。姿勢検出信号710bには、角度センサ131bから出力されるブーム角度検出信号711bと、角度センサ132bから出力されるアーム角度検出信号712bと、角度センサ133bから出力される作業具角度検出信号713bと、角度センサ134bから出力されるスイング角度検出信号714bとが含まれる。姿勢判定部830における処理については後述する。
【0113】
閾値設定部831は、第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同一であるか否かを判断するための閾値を設定する設定部であり、たとえば作業機械200の出荷時に工場であらかじめ設定された閾値が記憶されている。なお、閾値は所望する値に任意に設定でき、設定は、外部設定装置、例えばパソコン等を用いて行うことができる。閾値設定部831に記憶されている閾値には、たとえばブーム角度aとブーム角度bとの差に関する閾値や、アーム角度aとアーム角度bとの差に関する閾値、作業具角度aと作業具角度bとの差に関する閾値、作業機械200の前後方向(図2における中心線3c)とスイング角度aとの差(ずれ)に関する閾値、および、作業機械200の前後方向(図2における中心線3c)とスイング角度bとの差(ずれ)に関する閾値が含まれる。
【0114】
姿勢判定部830では、姿勢検出信号710a,710bに基づいて第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同一であるか否かを判断する。具体的には、次の(5−1)〜(5−5)の条件がすべて満たされると、第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同一であると判断する。
(5−1) ブーム角度aとブーム角度bとの差が所定の閾値以内である。
(5−2) アーム角度aとアーム角度bとの差が所定の閾値以内である。
(5−3) 作業具角度aと作業具角度bとの差が所定の閾値以内である。
(5−4) 作業機械200の前後方向とスイング角度aとのずれが所定の閾値以内である。
(5−5) 作業機械200の前後方向とスイング角度bとのずれが所定の閾値以内である。
【0115】
−−−操作方向判定部810における処理について−−−
図19は、操作方向判定部810の処理フローについて示すフローチャートである。作業機械200の不図示のイグニッションスイッチがオンされると、図19に示す処理を行うプログラムが起動され、操作方向判定部810で繰り返し実行される。
【0116】
ステップS961において、姿勢判定部830で第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同一であると判断されたか否かを判断する。すなわち、上述した(5−1)〜(5−5)の条件がすべて満たされていると姿勢判定部830で判定されたか否かを判断する。ステップS961が肯定判断されるとステップS911へ進み、ステップS961が否定判断されるとステップS915へ進む。以降、ステップS911〜ステップS915の各ステップは、図12に示した第2の実施の形態における操作方向判定部810の処理フローと同じであるので、説明を省略する。
【0117】
このように第5の実施の形態の作業機械200では、第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同一である場合にのみ、双腕の同期操作が可能となる。
【0118】
上述した第5の実施の形態の作業機械200では、第1〜第4の実施の形態の作業機械200が奏する作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。すなわち、第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同一である場合にのみ、双腕の同期操作が可能となるので、意図しない不必要な双腕の同期操作が行われることを防止できる。したがって、図20に示すような、作業対象物を平行に運搬するような作業に好適な作業機械を提供できる。
【0119】
−−−第6の実施の形態−−−
図21〜23を参照して、本発明による双腕型作業機械の第6の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1〜第5の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第2の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、略同一の方向へ操作レバー54aおよび操作レバー54bを操作し、かつ、同一の方向へ回動レバー55aおよび回動レバー55bを操作した場合であっても、双腕同期操作のアシストを許可するスイッチをオペレータが操作していた場合にだけ双腕同期操作がアシストされる点で、第2の実施の形態と異なる。
【0120】
−−−操作装置−−−
図21は、第6の実施の形態における操作装置を示す図である。第6の実施の形態の操作装置50a,50bでは、双腕同期操作アシスト許可スイッチ63が、たとえば、操作アーム52aの先端近傍に設けられている。双腕同期操作アシスト許可スイッチ63は、上述した第2の実施の形態における双腕の同期操作を可能とする条件(2−1)〜(2−3)をすべて満たした場合に、双腕の同期操作を可能とするか否か(双腕同期操作のアシストを許可するか否か)を選択するためにオペレータによって操作されるスイッチである。双腕同期操作アシスト許可スイッチ63は、オペレータによって双腕同期操作のアシストを許可するように操作されると、後述する操作方向判定部840に同期操作アシスト許可信号720を出力する。
【0121】
−−−双腕の同期操作について−−−
すなわち、第6の実施の形態では、次の(6−1)、(6−2)の条件がすべて満たされると、双腕の同期操作が可能となる。
(6−1) 双腕同期操作アシスト許可スイッチ63がオペレータによって双腕同期操作のアシストを許可するように操作されている。
(6−2) 上述した第2の実施の形態における双腕の同期操作を可能とする条件(2−1)〜(2−3)をすべて満たしている。
【0122】
上述した(6−1)、(6−2)の条件がすべて満たされて双腕の同期操作が可能となると、上述した第2の実施の形態と同様に、右側の操作レバー54aと左側の操作レバー54bとで変位量(操作量)が多い方の操作レバーの操作量に応じて左右のブーム10a,10bおよび左右のアーム12a,12bが同時に揺動される。
【0123】
図22は、第6の実施の形態における操作制御系に関わる模式図である。コントローラ400には第2の実施の形態の操作方向判定部810に代えて、操作方向判定部840が設けられている。操作方向判定部810には、操作レバー等の入力信号402a(b)〜404a(b)と、双腕同期操作アシスト許可スイッチ63から出力される同期操作アシスト許可信号720とが取り込まれる。
【0124】
−−−操作方向判定部840における処理について−−−
図23は、操作方向判定部840の処理フローについて示すフローチャートである。作業機械200の不図示のイグニッションスイッチがオンされると、図23に示す処理を行うプログラムが起動され、操作方向判定部840で繰り返し実行される。なお、本プログラムは、上述した(6−1)、(6−2)の条件をすべて満たすか否かを判断するためのプログラムである。
【0125】
ステップS971において、双腕同期操作アシスト許可スイッチ63から出力される同期操作アシスト許可信号720を受信しているか否かを判断する。すなわち、上述した(6−1)の条件を満たしているか否かを判断する。ステップS971が肯定判断されるとステップS911へ進み、ステップS971が否定判断されるとステップS915へ進む。以降、ステップS911〜ステップS915の各ステップは上述した(6−2)の条件を満たすか否かを判断する処理フローであり、図12に示した第2の実施の形態における操作方向判定部810の処理フローと同じであるので、説明を省略する。
【0126】
このように第6の実施の形態の作業機械200では、双腕同期操作アシスト許可スイッチ63がオペレータによって双腕同期操作のアシストを許可するように操作されている場合にのみ、双腕の同期操作が可能となる。ここで、操作方向判定部840は、同期操作アシスト許可信号720に基づいて、双腕同期操作のアシストを許可するか否か、すなわち双腕同期操作のための共通の駆動指令を生成して出力することを許可、または禁止する共通駆動指令生成許可部としても機能する。
【0127】
上述した第6の実施の形態の作業機械200では、第1〜第5の実施の形態の作業機械200が奏する作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。すなわち、双腕同期操作のアシストが完全に不要である場合に、双腕同期操作の機能を一時的に停止できる。したがって、さらに広範な作業に対応可能な作業機械を提供できる。
【0128】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、ブーム10a,10b、アーム12a,12bおよび作業具14a,14bの動作の指示に、横置きの操作レバー54a,54bと、この操作レバー54a,54bの周囲に、回動自在に取付けられた作業具回動レバー55a,55bとを用いるように構成したが、本発明はこれに限定されない。各フロント作業機A,Bの動作速度を適宜設定可能な操作装置であれば、横置きの操作レバーや回動レバー以外の他の操作装置であってもよい。また、その配設位置も上述した配設位置に限定されない。
【0129】
(2) 上述の説明における操作レバー54a,54bおよび作業具回動レバー55a,55bの操作方向と各フロント作業機A,Bを構成する各部の駆動方向との関係は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0130】
(3) 上述した第1の実施の形態では、操作レバー選択スイッチ61の操作によって、右側の操作装置50aで第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの双方を操作可能にするのか、左側の操作装置50bで第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの双方を操作可能にするのかを選択可能に構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、右側の操作装置50aか左側の操作装置50bのいずれか一方で第1フロント作業機Aおよび第2フロント作業機Bの双方を操作可能にするようにあらかじめコントローラ400内で設定されていてもよい。
【0131】
(4) 上述の説明では、操作レバー上下操作信号402a(b)、操作レバー前後操作信号403a(b)および操作レバー回動操作信号404a(b)の3組の操作信号について共通化する処理を行うように構成したが、本発明はこれに限定されない。上述した3組の操作信号の少なくとも1組の操作信号について共通化する処理を行うように構成してもよい。また、これらの共通化処理に加えて、またはこれらの共通化処理とは別に、操作スイッチ操作信号405a(b)についても共通化する処理を行うように構成してもよい。
【0132】
(5) 双腕の同期操作時にスイングポスト7aおよびスイングポスト7bのいずれか一方、または双方が作業機械200の前後方向からずれると(左右方向に揺動されると)、左右の作業具14a,14b同士の相対位置が変化してしまい、把持している作業対象物を損傷するおそれがある。そこで、双腕の同期操作時には、操作アーム52a,52bが操作されてもスイングポスト7a,7bが揺動されないように構成してもよい。具体的には、双腕の同期操作時には、操作アーム操作信号401a,401bが入力されても揺動信号生成部501a,501bで揺動シリンダ駆動信号601a,601bを出力しないようにコントローラ400を構成してもよい。
【0133】
(6) 上述した第4の実施の形態では、上述した第3の実施の形態のように左右の操作レバー等の平均操作量に基づいて同期操作時の双腕の移動量を制御するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第4の実施の形態において、第2の実施の形態のように左右の操作レバー等のうち操作量の大きい方の操作レバー等の操作量に基づいて同期操作時の双腕の移動量を制御するように構成してもよい。
【0134】
また同様に、上述した第5および第6の実施の形態において、上述した第3の実施の形態のように左右の操作レバー等の平均操作量に基づいて同期操作時の双腕の移動量を制御するように構成してもよい。さらに、上述した第2、第4〜第6の実施の形態において、左右の操作レバー等のうち操作量の小さい方の操作レバー等の操作量に基づいて同期操作時の双腕の移動量を制御するように構成してもよい。
【0135】
(7) 上述の説明では、操作レバー等の入力信号402a(b)〜404a(b)を操作信号共通化演算部801で共通化する処理を行い、操作信号共通化演算部801で共通化された各操作信号が各信号生成部502a〜504aおよび各信号生成部502b〜504bへ出力されることで、双腕が同期して駆動されるように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、操作レバー等の入力信号402a(b)〜404a(b)をそのまま各信号生成部502a〜504aおよび各信号生成部502b〜504bへ入力し、各信号生成部502a〜504aおよび各信号生成部502b〜504bで各駆動信号602a(b)〜604a(b)を共通化する処理を行うように構成してもよい。そして、共通化する処理が行われた後の各駆動信号602a(b)〜604a(b)を出力することで双腕が同期して駆動されるように構成してもよい。
(8) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。例えば、上述した第5の実施の形態と第6の実施の形態とを組み合わせてもよい。これにより、第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同一であり、かつ、双腕同期操作アシスト許可スイッチ63がオペレータによって双腕同期操作のアシストを許可するように操作されている場合にのみ、双腕の同期操作が可能となる。第1フロント作業機Aの初期姿勢と第2フロント作業機Bの初期姿勢とが略同一でない場合、または、双腕同期操作アシスト許可スイッチ63がオペレータによって双腕同期操作のアシストを許可するように操作されていない場合には、双腕の同期操作が行われることを防止できる。
【0136】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、第1のアタッチメントが取り付けられる第1のフロント作業機と、第2のアタッチメントが取り付けられる第2のフロント作業機と、第1の操作部材からの第1の駆動指令に基づいて第1のフロント作業機および第1のアタッチメントを駆動する第1の駆動装置と、第2の操作部材からの第2の駆動指令に基づいて第2のフロント作業機および第2のアタッチメントを駆動する第2の駆動装置と、第1および第2の駆動指令を入力し、第1および第2の駆動装置を駆動する共通の駆動指令を生成して出力する駆動指令出力装置とを備えることを特徴とする各種構造の双腕型作業機械を含むものである。
【0137】
本出願は日本国特許出願2012−030899号(2012年2月15日出願)を基礎として、その内容は引用文としてここに組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23