(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回用発電・電動機を動力源とする旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に油圧アクチュエータを動力源として俯仰動可能に設けられた作業装置とからなり、
前記上部旋回体は、
支持構造体をなす旋回フレームと、
該旋回フレームの後端部に取付けられ前記作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、
該カウンタウエイトの前側に位置して前記旋回フレームの後側に左,右方向に延在する横置き状態で搭載されたエンジンと、
該エンジンによって駆動され前記油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプと、
前記エンジンと前記油圧ポンプとに連結されたアシスト用発電・電動機と、
前記エンジンの前側で前記旋回フレームの左,右方向の一側に設けられオペレータが着座する運転席を有するフロア部材と、
前記旋回フレームの左,右方向の他側に設けられ内部に燃料または作動油を貯える貯油タンクと、
前記旋回用発電・電動機および前記アシスト用発電・電動機に対して電力の給電を行うと共に、前記旋回用発電・電動機および前記アシスト用発電・電動機から電力の受電を行う蓄電装置とを備えてなるハイブリッド式建設機械において、
前記フロア部材と前記貯油タンクとの間には、前,後方向および上,下方向に延びる蓄電装置収容空間を設け、
前記蓄電装置は、前記蓄電装置収容空間に配置する構成としたことを特徴とするハイブリッド式建設機械。
前記蓄電装置には、該蓄電装置と、前記旋回用発電・電動機および前記アシスト用発電・電動機との間を通電し、または遮断するディスコネクトスイッチを設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載のハイブリッド式建設機械。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、油圧ショベルには、運転時の総重量となる運転質量が6トン未満に設定されたミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルがあり、この小型の油圧ショベルでは、上部旋回体が小型化されている。特に、小型の油圧ショベルの中でも、狭い作業現場で旋回動作できるように、上部旋回体が下部走行体の車幅寸法にほぼ収まる範囲で旋回動作できるように構成された後方超小旋回型、超小旋回型と呼ばれる油圧ショベルは、上部旋回体がより一層小型化されている。
【0007】
ここで、油圧ショベルをハイブリッド化する場合、新規に専用機を開発することが望ましい。しかし、早期にハイブリッド式油圧ショベルを市場に提供するためには、既存の油圧ショベルを活用し、この油圧ショベルにハイブリッド化するための各種電気部品、例えば発電・電動機や、蓄電装置等を搭載できるように設計変更することがハイブリッド化の近道となっている。
【0008】
一方で、既存する小型の油圧ショベルは、上述したように上部旋回体がより一層小型化されているので、エンジン、油圧ポンプ、貯油タンク等の周囲には、ハイブリッド化するための各種電気部品を搭載するのが難しいという問題がある。
【0009】
特に、蓄電装置は、長時間稼働するための電力容量を確保する必要がある上に、温度上昇を抑えるために冷却する必要がある。このために、蓄電装置は、搭載位置が限られるから、小型の油圧ショベルをハイブリッド化するときの障害となっている。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、小型の上部旋回体においても、この上部旋回体にハイブリッド化するための蓄電装置を容易に搭載できるようにしたハイブリッド式建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるハイブリッド式建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回用発電・電動機を動力源とする旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に油圧アクチュエータを動力源として俯仰動可能に設けられた作業装置とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの後端部に取付けられ前記作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して前記旋回フレームの後側に左,右方向に延在する横置き状態で搭載されたエンジンと、該エンジンによって駆動され前記油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプと、前記エンジンと前記油圧ポンプとに連結されたアシスト用発電・電動機と、前記エンジンの前側で前記旋回フレームの左,右方向の一側に設けられオペレータが着座する運転席を有するフロア部材と、前記旋回フレームの左,右方向の他側に設けられ内部に燃料または作動油を貯える貯油タンクと、前記旋回用発電・電動機および前記アシスト用発電・電動機に対して電力の給電を行うと共に、前記旋回用発電・電動機および前記アシスト用発電・電動機から電力の受電を行う蓄電装置とを備えてなる。
【0012】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記フロア部材と前記貯油タンクとの間には、前,後方向および上,下方向に延びる蓄電装置収容空間を設け、前記蓄電装置は、前記蓄電装置収容空間に配置する構成としたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記蓄電装置収容空間には、前記貯油タンクに沿って前,後方向に延びる仕切カバーを設け、前記蓄電装置は、前記フロア部材と前記仕切りカバーとの間に形成される前記蓄電装置収容空間に配置される構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記蓄電装置は、前記蓄電装置収容空間内で前,後方向および上,下方向に延びるボックス状に形成され、前記蓄電装置の後板には、該蓄電装置内に向けて冷却風を吸込む吸気口を設け、前記蓄電装置の前板には、該蓄電装置内に吸込まれた前記冷却風を排出する排気口を設ける構成としたことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記蓄電装置には、該蓄電装置と、前記旋回用発電・電動機および前記アシスト用発電・電動機との間を通電し、または遮断するディスコネクトスイッチを設ける構成としたことにある。
【0016】
請求項5の発明は、前記旋回フレームには、前記蓄電装置収容空間に位置して前,後方向に延びる蓄電装置用台座が取付けられ、前記蓄電装置は、前記蓄電装置用台座の上面に取付ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、フロア部材と貯油タンクとの間には、蓄電装置収容空間を形成し、この蓄電装置収容空間に蓄電装置を配置する構成としている。従って、建設機械をハイブリッド化する場合に必要となる蓄電装置を、蓄電装置収容空間を利用して上部旋回体に容易に搭載することができる。
【0018】
この結果、上部旋回体に配設されたエンジンや貯油タンク等の機器の配置を変更することなく、既存の建設機械を活用し、この建設機械をハイブリッド化することができる。また、蓄電装置収容空間は、上方や前方に開放された空間であるから、蓄電装置を容易に脱着することができるので、蓄電装置の組立作業、メンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、蓄電装置と貯油タンクとの間には、仕切りカバーが設けられている。これにより、仕切カバーは、蓄電装置に対して貯油タンクの熱を遮蔽することができるので、蓄電装置の性能、寿命を向上することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、蓄電装置内に導入された冷却風は、蓄電装置の前面側に設けた排気口から排出されるので、作業装置の作業等により多くの砂塵が舞っている上部旋回体の前方側から蓄電装置内に砂塵等が入込むのを抑制することができる。これにより、蓄電装置の性能、寿命を向上させることができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、蓄電装置には、ディスコネクトスイッチを設けているので、蓄電装置や、旋回用発電・電動機およびアシスト用発電・電動機の電気系統に異常が生じた場合に蓄電装置からの給電を停止させることができる。また、メンテナンス作業時にも給電を停止させることができる。これにより、ハイブリッド機能の信頼性、安全性を向上させることができる。また、ディスコネクトスイッチは、蓄電装置に設けているので、ディスコネクトスイッチと蓄電装置とを接続する高圧電流のケーブル(電線)を短くすることができ、発熱によるケーブルの劣化を抑制し、耐久性、信頼性を向上することができる。さらに、蓄電装置には、ディスコネクトスイッチを予め取付ける(サブアッセンブリする)ことができるから、組立作業性を向上することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、蓄電装置は、旋回フレームに設けられた蓄電装置用台座の上面に取付けられる。これにより、蓄電装置は、専用の台座上に取付けることができるので、蓄電装置の脱着作業を容易に行うことができる。従って、蓄電装置の組立作業、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係るハイブリッド式建設機械として、動力源としてエンジンと発電・電動機とを併用したハイブリッド式油圧ショベルを例に挙げ、
図1ないし
図12を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
図1において、1はハイブリッド式建設機械の代表例としてのハイブリッド式油圧ショベルを示している。このハイブリッド式油圧ショベル1(以下、油圧ショベル1という)は、例えば運転質量が6トン未満のミニショベルと呼ばれるもので、旋回動作時に上部旋回体4の後部が下部走行体2の車幅寸法内にほぼ収まる後方超小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0026】
油圧ショベル1は、
図1ないし
図3に示すように、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に設けられた旋回装置3と、前記下部走行体2上に該旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置5とにより構成されている。
【0027】
下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、該駆動輪2Bと前,後方向の反対側に位置して前記トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた遊動輪2C(いずれも左側のみ図示)と、前記駆動輪2Bと遊動輪2Cとの間に巻回された履帯2Dとを含んで構成されている。左,右の駆動輪2Bは、油圧モータからなる左,右の走行用モータ2E,2F(
図12参照)によって回転駆動され、これにより、下部走行体2は自走可能となっている。一方、トラックフレーム2Aの中央部の上側には、大径で短尺な筒体2Gが設けられ、該筒体2G上には、旋回装置3が取付けられている。
【0028】
作業装置5は、後述する旋回フレーム6に俯仰動可能に取付けられたブーム5Aと、該ブーム5Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム5Bと、該アーム5Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Cと、これらを駆動する油圧アクチュエータとしての油圧シリンダからなるブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fとにより構成されている。
【0029】
上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6が旋回装置3を介して下部走行体2上に旋回自在に搭載され、この旋回フレーム6上には、後述のカウンタウエイト7、エンジン11、油圧ポンプ13、アシスト用発電・電動機14、旋回用発電・電動機15、フロア部材16、旋回用インバータ24、アシスト用インバータ26、コンタクタボックス27、作動油タンク29、燃料タンク31、蓄電装置37等が設けられている。
【0030】
6は上部旋回体4の支持構造体をなす旋回フレームである。この旋回フレーム6は、
図6に示すように、前,後方向に延びた底板6Aと、該底板6A上に左,右方向に間隔をもって前,後方向に延びて立設された左縦板6B,右縦板6Cと、前記底板6Aの前端部位から左側に延びつつ屈曲して後方に延びた左サイドフレーム6Dと、前記底板6Aの前端部位から右側に延びつつ屈曲して後方に延びた右サイドフレーム6Eと、前記各縦板6B,6Cの後端部に固着された状態で前記底板6A上に左,右方向に延びて立設された後横板6Fと、前記各縦板6B,6Cの前側に設けられた支持ブラケット6Gとにより大略構成されている。この支持ブラケット6Gは、底板6Aよりも前方に突出して設けられ、先端側には作業装置5が左,右方向に揺動可能に取付けられている。
【0031】
7は旋回フレーム6の後端部に取付けられたカウンタウエイトを示している。このカウンタウエイト7は、作業装置5との重量バランスをとるもので、後向きに突出した凸湾曲形状をなしている。カウンタウエイト7の上面の前側には、カウンタウエイト7の一部を構成するフロア取付ブラケット8が設けられている。フロア取付ブラケット8には、後述するフロア部材16と電気部品取付ブラケット20とが取付けられる。
【0032】
9はフロア取付ブラケット8の右側に位置してカウンタウエイト7から前側に延びて設けられた熱交換器カバーである。この熱交換器カバー9は、後述する熱交換器12の上側を覆う上面部9Aと、該上面部9Aの前側から斜め下側に延びる傾斜部9Bと、該傾斜部9Bの下端側から下側に向けて延び、熱交換器12の前側を覆う前面部9Cとにより構成され、該前面部9Cの下側は、例えば後述する蓄電装置用台座34の後側位置に取付けられている。また、前面部9Cは、後述する蓄電装置収容空間32の後側を閉塞するものである。
【0033】
10は熱交換器カバー9の前面部9Cの上端側に設けられた上側蓄電装置取付部材を示し(
図7、
図9参照)、この上側蓄電装置取付部材10は、後述する蓄電装置37の後部ブラケット38Hが取付けられるものである。上側蓄電装置取付部材10は、後面が熱交換器カバー9の前面部9Cにボルト等により取付けられた逆U字状のU字板10Aと、該U字板10Aの前面に左,右方向に離間して設けられた2個の防振部材10Bと、該防振部材10Bの前面に取付けられた逆L字状のL字板10Cとにより構成されている。
【0034】
L字板10Cの上面板部10C1には、
図7に示すように、後述する蓄電装置37の後部ブラケット38Hを取付けるためのボルト・ナット40が挿通されるボルト挿通孔10C2が左,右方向に離間して2個設けられている。また、防振部材10Bは、例えばゴム等の弾性部材からなり、これにより後述の蓄電装置37は、熱交換器カバー9に対して防振状態で取付けられる。
【0035】
11はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6上に設けられたエンジンを示している。このエンジン11は、旋回フレーム6の後側に左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。エンジン11には、排気ガスを排出するための排気管11Aが設けられ、該排気管11Aには、エンジン11の左側に位置してマフラ11Bが設けられている(
図8参照)。このマフラ11Bは、排気ガスの騒音を低減するために備えられている。これ以外にも、エンジン11の出力が排気ガス規制の設定値を越える場合には、マフラ11Bを排気ガス後処理装置に変更することで、エンジン11から排出される排気ガス中の有害物質を除去することができる。一方、エンジン11の右側には、ラジエータ、オイルクーラ等を含む熱交換器12が配設されている。
【0036】
ここで、エンジン11の性能(出力)について述べる。ハイブリッド式油圧ショベル1は、その動作に応じてエンジン11や後述のアシスト用発電・電動機14および旋回用発電・電動機15を選択して駆動する。例えば、掘削時等の重負荷状態では、エンジン11の出力で後述の油圧ポンプ13を駆動すると共に、後述の蓄電装置37の電力でアシスト用発電・電動機14を駆動してエンジン11をアシストする。一方、例えば軽負荷状態では、エンジン11の余剰分の出力をアシスト用発電・電動機14により電力に代えて、蓄電装置37に蓄電する。従って、エンジン11は、アシスト用発電・電動機14によってアシストされるので出力を小さくすることができる。その結果、エンジン11の小型化をすることができ、またこのエンジン11に関連する機器、例えばマフラ11B(排気ガス後処理装置)、熱交換器12等も小型化することができる。
【0037】
13はエンジン11の左側に設けられた油圧ポンプを示している。この油圧ポンプ13は、入力軸がエンジン11の出力軸と同軸に設けられ、該エンジン11によって駆動されるものである。これにより、油圧ポンプ13は、下部走行体2の各走行用モータ2E,2Fと作業装置5の各シリンダ5D,5E,5Fに圧油を供給するものである。即ち、油圧ポンプ13は、下部走行体2の各走行用モータ2E,2Fと作業装置5の各シリンダ5D,5E,5Fを駆動するための動力源として、作動油を昇圧して吐出するものである。
【0038】
14はエンジン11の左側に位置して該エンジン11と油圧ポンプ13とに連結されたアシスト用発電・電動機を示している。このアシスト用発電・電動機14は、エンジン11の出力軸と油圧ポンプ13の入力軸とに接続され、エンジン11によって回転駆動することにより発電し、またはエンジン11に加えて油圧ポンプ13の駆動を補助するものである。アシスト用発電・電動機14は、後述の三相交流ケーブル25を介してアシスト用インバータ26に電気的に接続されている。
【0039】
15は旋回装置3の動力源を構成する旋回用発電・電動機を示している。この旋回用発電・電動機15は、旋回フレーム6の底板6Aのほぼ中央部に取付けられた電動モータからなり、減速機構15Aを介して旋回装置3に噛合する歯車(図示せず)を有している。旋回用発電・電動機15は、後述の蓄電装置37からの給電によって前記歯車を回転駆動することにより、旋回装置3を介して下部走行体2上で上部旋回体4を旋回動作させるものである。一方で、旋回用発電・電動機15は、旋回動作を減速するときに発生する回生エネルギを蓄電装置37に蓄えることができる。旋回用発電・電動機15は、三相交流ケーブル25を介して旋回用インバータ24に電気的に接続されている。
【0040】
16はエンジン11の前側で旋回フレーム6上の左,右方向の一側となる左側寄りに設けられたフロア部材である。このフロア部材16は、オペレータが着座する後述の運転席17を有し、前端位置が傾転支持部材(図示せず)を介して旋回フレーム6の前端位置に傾転可能(チルトアップ、チルトダウン可能)に支持されている。一方、フロア部材16の後側位置は、カウンタウエイト7の上部に支持されている。フロア部材16は、
図5に示すように、前側に位置してオペレータが足を乗せる足乗せ部16Aと、該足乗せ部16Aの後部から上方に立上がった立上がり部16Bと、該立上がり部16Bの上側からエンジン11の上側に向け後側に延びた運転席取付部16Cと、該運転席取付部16Cの後部から斜め上側に延びた背板部16Dと、該背板部16Dの上側から後側に延びた取付板部16Eと、足乗せ部16A、立上がり部16B、運転席取付部16C、背板部16Dの右側を前,後方向に延びるように立設された壁板部16Fとを含んで構成されている。
【0041】
さらに、足乗せ部16Aの前側には、レバー・ペダル取付部16Gが設けられ、該レバー・ペダル取付部16Gには、後述する走行用の操作レバー・ペダル19等が設けられている。レバー・ペダル取付部16Gの下面側には、傾転支持部材(図示せず)が左,右方向に間隔をもって取付けられている。これにより、フロア部材16は、傾転支持部材を傾転中心として後側をチルトアップまたはチルトダウンすることができる。フロア部材16をチルトダウンした状態では、後側の取付板部16Eをカウンタウエイト7のフロア取付ブラケット8にボルト止めすることができる。
【0042】
17はフロア部材16を構成する運転席取付部16C上に設けられた運転席(
図2参照)で、この運転席17は、オペレータが着座するものである。運転席17の左,右両側には、作業装置5等を操作するための作業用の操作レバー18が配設されている。さらに、運転席17の前方となるフロア部材16のレバー・ペダル取付部16Gには、下部走行体2を走行させるときに手動操作または足踏み操作によって操作する走行用の操作レバー・ペダル19が設けられている。
【0043】
20はエンジン11の前側に位置して旋回フレーム6に設けられた電気部品取付ブラケットである(
図6、
図7参照)。この電気部品取付ブラケット20は、エンジン11とフロア部材16との間に配置され、後述のメインブラケット21、上側取付部22、下側取付部23を含んで構成されている。
【0044】
メインブラケット21は、電気部品取付ブラケット20の本体部分を形成するもので、該メインブラケット21は、
図8に示すように、エンジン11の前側を覆う縦面板21Aと、該縦面板21Aの上部から後側に延びた横面板21Bと、該横面板21Bの後部から上側に延びた上取付代21Cと、前記縦面板21Aの下部から前側に延びた下取付代21Dと、前記縦面板21A、横面板21B、各取付代21C,21Dの右端縁に固着された右面板21Eとによりステップ状に構成されている。
【0045】
縦面板21Aには、後述する旋回用インバータ24、アシスト用インバータ26、コンタクタボックス27がボルト等によりを取付けられる。上取付代21Cは、後述する上側取付部22に取付けられ、下取付代21Dは、後述する下側取付部23に取付けられる。
【0046】
上側取付部22は、電気部品取付ブラケット20の上側位置に配置されたもので、該上側取付部22は、左,右方向に長尺な略長方形状の板体として形成されている。上側取付部22の上側は、カウンタウエイト7を構成するフロア取付ブラケット8に取付けられる。一方、上側取付部22の下側は、左,右方向に離間して設けられた複数の防振部材22Aを介してメインブラケット21の上取付代21Cに取付けられている(
図4、
図8参照)。これにより、メインブラケット21は、上側取付部22に対して防振状態で取付けられる構成となっている。
【0047】
下側取付部23は、電気部品取付ブラケット20の下側位置に配置されたもので、該下側取付部23は、横板23Aと縦板23Bとからアングル状に形成されている。下側取付部23は、縦板23Bが旋回フレーム6の後横板6Fにボルト等により取付けられる。一方、下側取付部23の横板23Aは、左,右方向に離間して設けられた複数の防振部材23Cを介してメインブラケット21の下取付代21Dに取付けられている(
図6、
図8参照)。これにより、メインブラケット21は、下側取付部23に対して防振状態で取付けられる構成となっている。
【0048】
24は旋回用発電・電動機15を制御するために該発電・電動機15に電気的に接続された旋回用インバータである。この旋回用インバータ24は、電気部品取付ブラケット20のメインブラケット21、具体的には、メインブラケット21の縦面板21Aのうち、後述の蓄電装置37側となる右側位置に取付けられている。これにより、旋回用インバータ24は、旋回フレーム6のほぼ中央位置に配置された旋回用発電・電動機15に対して直ぐ後方、即ち、後述のアシスト用インバータ26に比べて旋回用発電・電動機15に近い位置に配置されている。
【0049】
旋回用インバータ24は、複数のスイッチング素子(図示せず)等を組合せることにより構成されている。旋回用インバータ24は、旋回用発電・電動機15の回生時には、旋回用発電・電動機15による交流の回生電力を直流電力に変換して後述する蓄電装置37に供給する。一方、旋回用発電・電動機15の旋回駆動時には、蓄電装置37からの直流電力を交流の駆動電力に変換して旋回用発電・電動機15に供給する。
【0050】
旋回用インバータ24は、旋回用発電・電動機15に三相交流ケーブル25を用いて接続されている(
図12参照)。この場合、旋回用インバータ24と旋回用発電・電動機15とは、前,後方向で対向するように近い位置に配置しているので、三相交流ケーブル25の長さ寸法を可及的に短く形成することができる。
【0051】
26はアシスト用発電・電動機14を制御するために該発電・電動機14に電気的に接続されたアシスト用インバータである。このアシスト用インバータ26は、旋回用インバータ24の左側(蓄電装置37と離れる側)に並べてメインブラケット21の縦面板21Aに取付けられている。これにより、アシスト用インバータ26は、エンジン11の左側に配置されたアシスト用発電・電動機14に対し、旋回用インバータ24よりも近い位置に配置されている。
【0052】
このアシスト用インバータ26は、旋回用インバータ24と同様に、複数のスイッチング素子(図示せず)等を組合せることにより構成されている。アシスト用インバータ26は、アシスト用発電・電動機14の発電時には、該アシスト用発電・電動機14による交流の発電電力を直流電力に変換して後述する蓄電装置37に供給する。一方、アシスト用発電・電動機14の駆動時には、アシスト用インバータ26は、蓄電装置37からの直流電力を交流の駆動電力に変換してアシスト用発電・電動機14に供給する。
【0053】
アシスト用インバータ26は、前述した旋回用インバータ24、旋回用発電・電動機15間と同様に、アシスト用発電・電動機14に三相交流ケーブル25を用いて接続されている(
図12参照)。そして、アシスト用インバータ26とアシスト用発電・電動機14とは、近い位置に配置しているから、両者を接続する三相交流ケーブル25の長さ寸法を可及的に短く形成することができる。
【0054】
27は旋回用インバータ24およびアシスト用インバータ26と後述の蓄電装置37との間に設けられたコンタクタボックスを示している。このコンタクタボックス27は、各インバータ24,26よりも蓄電装置37から離間した左側位置に配置されている。コンタクタボックス27は、例えば、1個のメイン電圧伝達用コンタクタ、各インバータ24,26に対応して2個のインバータ用コンタクタ、充電用リレー等(いずれも図示せず)を内蔵している。各インバータ用コンタクタのうち、一方のインバータ用コンタクタは、旋回用インバータ24と蓄電装置37との間の接続と遮断を行うものである。他方のインバータ用コンタクタは、アシスト用インバータ26と蓄電装置37との間の接続と遮断を行うものである。
【0055】
28はフロア部材16上に設けられたキャブボックスで、該キャブボックス28は、前面板28A、後面板28B、左面板28C、右面板28D、天面板28Eにより、上,下方向に長尺な有蓋のボックス体として形成されている。このキャブボックス28は、下部がフロア部材16の周囲に取付けられている。なお、キャブボックス28に代えて、支柱上にルーフ部が設けられたキャノピを適用することもできる。
【0056】
ここで、フロア部材16、運転席17、作業用の操作レバー18、走行用の操作レバー・ペダル19、キャブボックス28等は、旋回フレーム6上に搭載された1つのユニットとして構成されている。このキャブユニットは、フロア部材16のレバー・ペダル取付部16Gが旋回フレーム6の前端部に対し、左,右方向に延びる軸線を回動軸線とするヒンジ構造をもった左,右の傾転支持部材(図示せず)を介して取付けられている。これにより、キャブユニットは、旋回フレーム6の前側に位置する傾転支持部材を支点として後側が上,下方向に傾転可能となっている。
【0057】
29は貯油タンクとしての作動油タンクで、該作動油タンク29は、旋回フレーム6の左,右方向の他側となる右側、具体的には、熱交換器12の前側に位置して右サイドフレーム6Eの近傍に設けられている。この作動油タンク29は、油圧ポンプ13に供給する作動油を貯えるものである。そして、下部走行体2の走行用モータ2E,2F、作業装置5の各シリンダ5D,5E,5Fを制御する複数個の油圧制御弁により形成されたコントロールバルブ30(
図12参照)は、油圧ポンプ13から供給される圧油を作業用の操作レバー18,19の操作に応じ、油圧アクチュエータに圧油を供給する。
【0058】
31は作動油タンク29の左前側の近傍に位置して旋回フレーム6上に設けられた貯油タンクとしての燃料タンクである。この燃料タンク31は、エンジン11に供給する燃料を貯えるものである。燃料タンク31の左側は、フロア部材16の壁板部16F(キャブボックス28の右面板28D)に対面するように、前,後方向に延びた左面部31Aとなっている。
【0059】
32はフロア部材16(キャブボックス28)と、作動油タンク29および燃料タンク31との間で前,後方向および上,下方向に延びる蓄電装置収容空間を示している(
図2、
図3参照)。該蓄電装置収容空間32は、下側が旋回フレーム6に、後側が熱交換器カバー9に、左側がフロア部材16の壁板部16Fに、右側が燃料タンク31の左面部31Aにそれぞれ閉塞されることにより、下側、左側、右側が囲まれ、前方と上方とが開口した空間として形成されている。具体的には、蓄電装置収容空間32は、左側がキャブボックス28の右面板28Dに閉塞され、右側が仕切カバー33Cの左面部33C2に閉塞されている。そして、蓄電装置収容空間32には、後述する仕切カバー33Cと、蓄電装置用台座34と、蓄電装置37等が配設される。
【0060】
33はフロア部材16の右側に位置して設けられた外装カバーで、該外装カバー33は、熱交換器12、作動油タンク29、燃料タンク31等を覆うものである。外装カバー33は、後側に位置して熱交換器12の上側を覆う後カバー33Aと、該後カバー33Aの前側に開閉可能に設けられ、作動油タンク29、燃料タンク31を覆う右前カバー33Bと、燃料タンク31の左面部31Aから上面を覆うようにキャブボックス28の右面板28D(フロア部材16の壁板部16F)に対面して設けられた仕切カバー33Cとにより構成されている。
【0061】
仕切カバー33Cは、蓄電装置収容空間32内に位置して、燃料タンク31に沿って前,後方向に延び、旋回フレーム6および/または燃料タンク31に固着されている。仕切カバー33Cは、燃料タンク31の前面と上面を覆い凸湾曲状に形成された湾曲面部33C1と、燃料タンク31の左面部31Aを覆う左面部33C2とにより構成されている。この場合、左面部33C2とフロア部材16(キャブボックス28)との間に蓄電装置収容空間32が形成される。そして、仕切カバー33Cは、燃料タンク31と蓄電装置収容空間32に配置された後述の蓄電装置37との間を仕切ることにより、蓄電装置37に対して燃料タンク31の熱を遮蔽している。
【0062】
34は蓄電装置収容空間32に位置して旋回フレーム6に取付けられた蓄電装置用台座で、該蓄電装置用台座34は、
図8、
図9に示すように、蓄電装置収容空間32内で前,後方向に延びている。具体的には、蓄電装置用台座34は、右縦板6Cの上側位置を右サイドフレーム6Eの前端から後横板6Fまで延びるボックス状の台座として形成されている。蓄電装置用台座34は、その上面が後述する蓄電装置37を取付けるための平坦な取付面部34Aとなり、該取付面部34Aの前端から下側に延びた前面部34Bには、後述するケーブル44等を通すための開口部34Cが形成されている。
【0063】
この場合、蓄電装置用台座34により、後述する蓄電装置37は、その取付位置が旋回フレーム6よりも上方に位置するので、蓄電装置37の脱着作業を容易に行うことができる。また、蓄電装置用台座34をボックス状に形成して、前面部34Bに後述するケーブル44等を通すための開口部34Cを形成しているので、例えば蓄電装置37から旋回用インバータ24やアシスト用インバータ26まで延びるケーブル44をコンパクトに配設することができる。
【0064】
35,35は蓄電装置用台座34の取付面部34Aの前端側と後端側とに設けられた前,後の下側蓄電装置取付部材を示している。該各下側蓄電装置取付部材35は、取付面部34Aの左,右方向に離間して設けられた一対のねじ座35Aと、該各ねじ座35A上にボルト36により取付けられた防振部材35Bとにより構成されている。防振部材35Bは、例えばゴム等の弾性部材の上面側におねじ部35B1を固着することにより形成されている。
【0065】
次に、本実施の形態による蓄電装置37の構成について説明する。
【0066】
37は蓄電装置収容空間32に配置される蓄電装置を示している。この蓄電装置37は、蓄電装置用台座34の取付面部34Aに取付けられている。蓄電装置37は、旋回用発電・電動機15およびアシスト用発電・電動機14に対して電力の給電を行うと共に、旋回用発電・電動機15およびアシスト用発電・電動機14から電力の受電(蓄電)を行うもので、例えばリチウムイオンバッテリを用いて構成されている。なお、蓄電装置37としては、リチウムイオンバッテリ以外にも、例えば電気二重層のキャパシタを用いることもできる。蓄電装置37にキャパシタを用いる場合には、蓄電装置37の出力端子にチョッパを接続して設け、該チョッパによって蓄電装置37の出力端子電圧を一定に保持するのが好ましい。
【0067】
蓄電装置37は、左,右方向に扁平で上,下方向に延びた縦長なボックス状に形成されたケーシング38と、該ケーシング38の内部に設けられた電池モジュール41、バッテリコントロールユニット42、吐出しファン43とを含んで構成されている。
【0068】
ケーシング38は、外装カバー33を構成する仕切カバー33Cの左面部33C2に対面する右板38Aと、該右板38Aに対面する左板38Bと、右板38Aの上端側と左板38Bの上端側とを接続する上板38Cと、該上板38Cに対面し右板38Aの下端側と左板38Bの下端側とを接続する下板38Dと、右板38Aと左板38Bと上板38Cと下板38Dとの前端側を閉塞する前板38Eと、該前板38Eに対面し右板38Aと左板38Bと上板38Cと下板38Dとの後端側を閉塞する後板38Fとによりボックス状に形成されている。ここで、ケーシング38は、例えば右板38A、下板38D、前板38E、後板38Fをプレス形成、溶接等の手段を用いて一体的に形成し、左板38B、上板38Cからなる蓋板を複数本のボルト・ナット39を用いて前板38E、後板38Fに取付けることにより、直方体状の容器として構成されている。
【0069】
ケーシング38の下板38Dの下側には、下側取付板38Gが設けられている。この下側取付板38Gは、下板38Dを覆うもので、下側取付板38Gの前,後方向の長さ寸法は、下板38Dの長さ寸法よりも大きく、蓄電装置用台座34の取付面部34Aの長さ寸法よりも若干小さく形成されている。そして、下側取付板38Gの前端側と後端側には、上,下方向に貫通する貫通孔38G1が左,右方向に離間して2個設けられている。具体的には、この貫通孔38G1は、蓄電装置用台座34に設けられた前,後の下側蓄電装置取付部材35を構成する防振部材35Bのおねじ部35B1に対応する位置にそれぞれ設けられている。また、後板38Fには、上,下方向の中間部に位置して後部ブラケット38Hが取付けられている。この後部ブラケット38Hには、上側蓄電装置取付部材10が取付けられる。また、後部ブラケット38Hを上,下方向で挟んだ位置には、ケーシング38内に向けて冷却風Fを吸込む吸気口38Jが上,下方向に離間して2個設けられている(
図9、
図11参照)。
【0070】
ケーシング38は、後部ブラケット38Hを上側蓄電装置取付部材10を構成するL字板10Cの上面板部10C1上に載置し、ボルト・ナット40を螺着することにより上側蓄電装置取付部材10に取付けられる。上側蓄電装置取付部材10のL字板10CとU字板10Aとの間には、防振部材10Bが設けられているので、ケーシング38は熱交換器カバー9に対して防振状態で取付けられる構成となっている。
【0071】
一方、ケーシング38の前板38Eには、ケーシング38内に吸込まれた冷却風Fを排出する排気口38Kが上,下方向に離間して2個設けられている(
図9、
図10参照)。また、上,下の排気口38Kのそれぞれ上側には、後述するケーブル44が接続される接続口38Lが設けられている。
【0072】
ケーシング38の内部には、
図9に示すように、複数の電池モジュール41と、リレー機構、電流センサ、電圧センサ等を備えたバッテリコントロールユニット42と、ケーシング38の外部に冷却風を吐き出すための吐出しファン43等が設けられている。
【0073】
この吐出しファン43は、ケーシング38の前板38Eに設けられた上,下の排気口38Kに対応する位置にそれぞれ設けられている。これにより、冷却風Fは、後板38Fに設けられた吸気口38Jから吸込まれて、ケーシング38内の電池モジュール41やバッテリコントロールユニット42等の機器を冷却して前板38Eに向けて流れ、前板38Eに設けられた排気口38Kから外部に向けて排出(吐き出)される。
【0074】
この場合、冷却風Fは、ケーシング38の前面側から排出されるので、油圧ショベル1の前方側に舞っている砂塵等が蓄電装置37内に入込むのを抑制することができる。特に、吐出しファン43は、排気口38K側に設けられているので、排気口38Kから冷却風Fを強く排出することができる。これにより、排気口38Kから入込もうとする砂塵等を外部に向けて押し返すことができる。
【0075】
また、蓄電装置37は、
図2および
図12に示すように、ケーブル44を介して後述のディスコネクトスイッチ46、各インバータ24,26と電気的に接続されている。この場合、ケーブル44は、ケーシング38の前板38Eに設けられた接続口38Lに接続され、ケーブル44の中間部は蓄電装置用台座34の前面部34Bに設けられた開口部34Cから蓄電装置用台座34内に配設されている。これにより、ケーブル44は、蓄電装置37の前側(油圧ショベル1の前側)でコンパクトに配設されている。また、ケーブル44を蓄電装置用台座34内に配設しているので、例えばキャブボックス28をチルトアップさせたときに、ケーブル44とキャブボックス28とが干渉(接触)してケーブル44が損傷するのを抑制することができる。
【0076】
ここで、蓄電装置37を取付ける場合の作業手順の一例について説明する。
【0077】
まず、キャブボックス28(キャブユニット)を旋回フレーム6の前側に位置する傾転支持部材を支点としてチルトアップさせる。そして、蓄電装置37のケーシング38の下側取付板38Gに設けられた貫通孔38G1に防振部材35Bのおねじ部35B1を挿通してナット45をおねじ部35B1に螺合することにより、蓄電装置37は蓄電装置用台座34の取付面部34Aに取付けられる。また、ケーシング38の後板38Fに設けられた後部ブラケット38Hは、上側蓄電装置取付部材10を構成するL字板10Cの上面板部10C1上に載置し、ボルト・ナット40により上側蓄電装置取付部材10に取付けられる。これにより、蓄電装置37は、蓄電装置収容空間32に位置して蓄電装置用台座34上に取付けることができる。一方、上述した手順と逆の手順で作業することにより、蓄電装置37を取外すことができる。
【0078】
そして、蓄電装置37は、防振部材35Bを介して蓄電装置用台座34の取付面部34Aに取付けられるので、蓄電装置用台座34に対して防振状態で取付けられると共に、上側蓄電装置取付部材10のL字板10CとU字板10Aとの間には、防振部材10Bが設けられているので、ケーシング38は熱交換器カバー9に対して防振状態で取付けられる構成となっている。
【0079】
46は蓄電装置37の前部上側に設けられたディスコネクトスイッチである。このディスコネクトスイッチ46は、蓄電装置37のケーシング38の左板38Bと上板38Cとの前側角部にボルト・ナット39により一体的に取付けられている。ディスコネクトスイッチ46は、例えば蓄電装置37の正側の出力端子に接続して設けられ、操作用のボタン46Aを有している。そして、ディスコネクトスイッチ46は、ボタン46Aが操作されることによって蓄電装置37と各インバータ24,26との間を遮断するものである。即ち、ディスコネクトスイッチ46は、蓄電装置37と、旋回用発電・電動機15およびアシスト用発電・電動機14との間を通電し、または遮断するものである。
【0080】
これにより、蓄電装置37や、旋回用発電・電動機15およびアシスト用発電・電動機14の電気系統に異常が生じた場合に蓄電装置37からの給電を停止させることができる。また、メンテナンス作業時にも給電を停止させることができる。これにより、ハイブリッド機能の信頼性、安全性を向上させることができる。また、ディスコネクトスイッチ46は、蓄電装置37に設けているので、ディスコネクトスイッチ46と蓄電装置37とを接続する高圧電流のケーブル44(電線)を短くすることができ、発熱によるケーブル44の劣化を抑制し、耐久性、信頼性を向上することができる。さらに、蓄電装置37には、ディスコネクトスイッチ46を予め取付ける(サブアッセンブリする)ことができるから、組立作業性を向上することができる。
【0081】
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
【0082】
まず、オペレータは、フロア部材16上に搭乗して運転席17に着座する。この状態で走行用の操作レバー・ペダル19を操作することにより、コントロールバルブ30から下部走行体2の走行用モータ2E,2Fに圧油を供給し、左,右の駆動輪2Bを駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。
【0083】
一方、運転席17に着座したオペレータは、作業用の操作レバー18を操作することにより、旋回装置3(旋回用発電・電動機15)によって上部旋回体4を旋回させたり、作業装置5を俯仰動させたりして土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0084】
この場合、アシスト用発電・電動機14は、エンジン11により回転駆動され電気エネルギを発生する。また、旋回用発電・電動機15は、旋回動作を減速するときに電気エネルギ(回生エネルギ)を発生する。この電気エネルギは、ケーブル25、44を介して蓄電装置37に蓄えられる。そして、蓄電装置37に蓄えられた電気エネルギは、旋回用発電・電動機15やアシスト用発電・電動機14に供給され、旋回装置3やエンジン11を駆動するときの補助動力として用いられる。
【0085】
かくして、本実施の形態によれば、フロア部材16と燃料タンク31との間には、蓄電装置収容空間32を形成し、この蓄電装置収容空間32に蓄電装置37を配置する構成としている。従って、油圧ショベル1をハイブリッド化する場合に必要となる蓄電装置37を、蓄電装置収容空間32を利用して上部旋回体4に容易に搭載することができる。
【0086】
この結果、上部旋回体4に配設されたエンジン11や燃料タンク31等の機器の配置を変更することなく、既存の油圧ショベル1を活用し、この油圧ショベル1をハイブリッド化することができる。また、蓄電装置収容空間32は、上方や前方に開放された空間であるから、蓄電装置37を容易に脱着することができるので、蓄電装置37の組立作業、メンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【0087】
蓄電装置37と燃料タンク31との間には、仕切カバー33Cが設けられている。これにより、仕切カバー33Cは、蓄電装置37に対して燃料タンク31の熱を遮蔽することができるので、蓄電装置37の性能、寿命を向上することができる。
【0088】
また、蓄電装置37内に導入された冷却風Fは、蓄電装置37の前面側に設けた排気口38Kから排出されるので、作業装置5の作業等により多くの砂塵が舞っている上部旋回体4の前方側から蓄電装置37内に砂塵等が入込むのを抑制することができる。これにより、蓄電装置37の性能、寿命を向上させることができる。
【0089】
また、蓄電装置37には、ディスコネクトスイッチ46を設けているので、蓄電装置37や、旋回用発電・電動機15およびアシスト用発電・電動機14の電気系統に異常が生じた場合に蓄電装置37からの給電を停止させることができる。また、メンテナンス作業時にも給電を停止させることができる。これにより、ハイブリッド機能の信頼性、安全性を向上させることができる。また、ディスコネクトスイッチ46は、蓄電装置37に設けているので、ディスコネクトスイッチ46と蓄電装置37とを接続する高圧電流のケーブル44(電線)を短くすることができ、発熱によるケーブル44の劣化を抑制し、耐久性、信頼性を向上することができる。さらに、蓄電装置37には、ディスコネクトスイッチ46を予め取付ける(サブアッセンブリする)ことができるから、組立作業性を向上することができる。
【0090】
また、蓄電装置37は、旋回フレーム6に設けられた蓄電装置用台座34の取付面部34Aに取付けられる。これにより、蓄電装置37は、専用の台座34上に取付けることができるので、蓄電装置37の脱着作業を容易に行うことができる。従って、蓄電装置37の組立作業、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0091】
なお、上述した実施の形態では、蓄電装置37の前板38Eに設けられた排気口38Kに、吐出しファン43を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば蓄電装置の後板に設けられた吸気口に、吸込みファンを設けてもよい。
【0092】
また、上述した実施の形態では、ハイブリッド式建設機械として後方超小旋回型のハイブリッド式油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば超小旋回型のハイブリッド式油圧ショベル、上部旋回体の旋回半径が下部走行体の車幅寸法から突出する一般的なハイブリッド式油圧ショベル等にも適用することができる。また、ホイール式の下部走行体を備えた建設機械にも適用することができる。