(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957527
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】パウチ配置装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20160714BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
A47J31/44 510
A47J31/40 107
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-530743(P2014-530743)
(86)(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公表番号】特表2014-531242(P2014-531242A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】US2012054732
(87)【国際公開番号】WO2013039955
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年7月27日
(31)【優先権主張番号】1115864.9
(32)【優先日】2011年9月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501175214
【氏名又は名称】クラフト・フーヅ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R & D, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ベントレー
【審査官】
木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5974950(US,A)
【文献】
特開昭62−198985(JP,A)
【文献】
特開平10−293815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/44
A47J 31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性パウチの少なくとも端部を受容するスロットを含む、飲料または食料調製マシン用のパウチ配置装置であって、前記スロットは一方の端部に設けられた入口開口部と、反対側端部に設けられた端壁と、前記スロットの上部を画成する十分に透明な窓と、前記スロットの基部を画成するばね付勢プラテンと、を有し、前記プラテンは前記入口開口部の下部リップを画成しており且つ前記端壁に向かって前記スロットを先細にするように角度が付けられている、パウチ配置装置。
【請求項2】
前記プラテンはばね付き片持ち梁により形成されている、請求項1に記載のパウチ配置装置。
【請求項3】
前記プラテンはヒンジ板により形成されている、請求項1に記載のパウチ配置装置。
【請求項4】
ばね手段が前記板の下方に配置されている、請求項3に記載のパウチ配置装置。
【請求項5】
前記ばね手段は板ばねまたは螺旋ばねを含む、請求項4に記載のパウチ配置装置。
【請求項6】
パウチが前記スロットの内部に正しく配置されているかどうかを検出するように構成されている位置センサをさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のパウチ配置装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の前記パウチ配置装置と、前記スロット内に挿入されたパウチ上の機械可読コードが読み取られることを可能にする前記窓の近傍に配置されている画像センサと、を含む飲料または食料調製マシンであって、前記画像センサは、前記パウチ上の前記コードから読み取られた情報に基づいて信号を生成する、飲料または食料調製マシン。
【請求項8】
前記画像センサにより生成された信号を受信しかつ前記信号の性質に基づいて前記マシンの動作を制御する制御システムをさらに含む、請求項7に記載の飲料または食料調製マシン。
【請求項9】
前記画像センサは2次元バーコードリーダである、請求項7または請求項8に記載の飲料または食料調製マシン。
【請求項10】
前記パウチ配置装置は、水平に対して30度から60度までの範囲内、好ましくは45度の角度で、前記マシンの内部に取り付けられている、請求項7から9のいずれか1項に記載の飲料または食料調製マシン。
【請求項11】
前記窓の前記近傍に設けられている照明源をさらに含む、請求項7から10のいずれか1項に記載の飲料または食料調製マシン。
【請求項12】
前記リーダによって生成された前記信号により作動して、前記パウチ配置装置内に配置されているパウチの端部を切り取る切断手段をさらに含む、請求項7から11のいずれか1項に記載の飲料または食料調製マシン。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか1項に記載の前記マシンと、機械可読コードの付いた、飲料材料もしくは食料材料を含む少なくとも1つのパウチと、を含む、飲料または食料を調製するシステム。
【請求項14】
前記機械可読コードは2次元バーコードである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の前記システムを使用して飲料製品または食料製品を調製する方法であって、
パウチの内容物に関する情報を含む機械可読コードの付いた前記パウチを選択するステップと、
前記パウチを前記パウチ配置装置内に挿入して、前記パウチ上の前記コードが前記画像センサにより読み取られることを可能にするステップと、
前記パウチの前記内容物を前記マシン内の準備チャンバに注ぎ込むステップと、
前記マシンを作動させて、前記飲料製品または前記食料製品を作るために、液体が前記チャンバに供給されることを可能にするステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記マシンは、前記画像センサによって生成される適切な信号により作動する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記チャンバは、前記画像センサにより生成される適切な信号によってのみ開かれる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、飲料または食料を分配するマシン用のパウチ配置装置に関し、詳細には、飲料または食料の材料を含む柔軟なパウチがバーコードリーダ内に正確に配置されることを可能にする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を分配するマシンは広く知られている。例えば、コーヒーフィルタマシンは数年前から市販されており、当該マシンは、熱湯と挽いたコーヒー豆とを混合してコーヒー抽出液を作り出し、それをペーパフィルタを通過させてポット(カラフ)に入れる。このようなマシンは、特許文献1に記載されている。より最近では、ユーザの要求に応じて個々に飲料が作り出されることを可能にする「オンデマンド式」飲料マシンが市場に出されている。こうしたマシンの具体例として、ネスレ株式会社(Nestle S.a.)のネスプレッソ(NESPRESSO(登録商標))のブランド名、およびサラ・リー株式会社のセンセオ(SENSEO(登録商標))のブランド名で市販されているものがあり、挽いたコーヒー豆を個別に封止したカプセルまたはフレキシブルバッグから、コーヒーを一杯ずつ淹れることができる。
【0003】
さらにより最近、一定の範囲の飲料タイプのオンデマンド分配を可能にする便利な飲料マシンが製造されてきている。そのようなシステムの一例が、クラフト・フーズ株式会社のタッシモ(TASSIMO(登録商標))のブランド名で市場に出されている。このシステム(特許文献2に記載されているシステム)は、バーコードリーダおよび一定の範囲の飲料カートリッジを含む飲料マシンを利用する。各飲料カートリッジは、1つまたは複数の飲料材料を含み、バーコードで符号化されている。使用に際して、飲料カートリッジがマシン内に挿入された後、飲料マシンのコードリーダは、飲料カートリッジのバーコードを走査して、読み取り、バーコードから複合化された情報を使用して、その分配サイクルのために飲料マシンの1つまたはそれ以上の分配パラメータを設定する。各飲料カートリッジに対して、メーカは分配パラメータを決定し、製造段階で関連バーコードを付与する。さらに、各飲料カートリッジは1度だけ使用することができる。
【0004】
バーコードが厳密な位置公差および回転公差で常に一貫した配向でスキャナに提示される場合、線形バーコードリーダの設計がより簡単に、より安く、より確実になり得ることが、前述の先行技術システムの開発から分かる。また、線形バーコードリーダは、印刷されたバーコードが制御された照明光源下で提示される場合、および印刷されたバーコードの基板材料に実質的に凹みや波紋または皺がない場合、に好ましい。2次元バーコードスキャナは光学センサの設計を簡略化しかつ必要とされる画像処理および解読の量を大幅に低減するので、2次元バーコードスキャナが使用される場合、このことは特に重要である。複数の市販バーコードスキャナを最適化して任意の配向および距離にあるバーコードを走査することができるが、これには複雑な光学素子および強力なプロセッサ資源(processor resource)が必要である。
【0005】
飲料の調製にカートリッジを利用するマシンに加えて、柔軟なラミネートパウチ(これは棒状パックとしても既知である)内にパッキングされた飲料材料および食料材料を使用する別のタイプのマシンが提案されている。そのようなパウチは、最小限の不用物を伴う持続的な包装を実現するので有利である。しかしながら、そのようなパウチは極めて柔軟であるので、パウチをバーリーダに対して確実に配置することを可能にするような特徴はほとんどない。したがって、固有のその剛性の乏しさに因り、柔軟な可撓性ポーチに対して最適な読取り状態を作り出すことは特に困難である。
【0006】
特許文献3には、スロットリーダ内に手で挿入されるクレジットカードなどの剛性または半剛性のカード上の1次元バーコードまたは2次元バーコードを読み取るカードスキャナが記載されている。当該リーダは、カードがスロット内に入りかつそれがリニアイメージセンサを横断して手動で動かされるにつれてコードの画像を徐々に構築するラインバイライン方式(line by line approach)を用いる際に、カードを横方向に拘束する。進入時にばね荷重ヒンジ圧板がカードと係合し、当該板上の一連の突出部がカードを密着型画像センサの窓に押し付けて、一定の読取り距離を保証し、カードの湾曲を補償する。しかし、この装置は剛性カード上のコードを読み取るのに適しているだけで、柔軟な可撓性パウチに関して上記で確認された問題を解決するのには適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3987717号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1440639号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0046025号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の1つの目的は、飲料材料および食料材料を含み且つ確実な解読のために機械可読コードが設けられている柔軟なパウチを、ユーザが中に挿入することができる、飲料または食料を分配するマシン用のパウチ配置装置を提供することである。
【0009】
さらなる目的は、パウチが首尾よく解読された場合に、例えば最適な飲料調製サイクルを作動させるために又はハッチを開いて飲料調製もしくは食料調製に備えてパウチの内容物が注がれることを可能にするために又はパウチの端を切り取って開くために使用され得る信号を生成する装置を、組み込んでいる、飲料または食料を分配するマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本開示は、飲料または食料調製マシン用のパウチ配置装置を提供する。この装置は、可撓性パウチの少なくとも端部を受容するスロットを含む。当該スロットは、一方の端部に設けられた入口開口部と、反対側端部に設けられた端壁と、スロットの上部を画成する十分に透明な窓と、スロットの基部を画成するばね付勢プラテンと、を有する。当該プラテンは、入口開口部の下部リップを画成し、端壁に向かってスロットを先細にするように角度が付けられている。
【0011】
プラテンは、ばね付き片持ち梁またはヒンジ板により形成されていることが好ましい。
【0012】
板ばねまたは螺旋ばねを含む可能性があるばね手段が当該板の下方に配置されていることが好ましい。
【0013】
位置センサは、パウチがスロットの内部に正しく配置されているかどうかを検出するように構成されていることが好ましい。
【0014】
本開示は、上述のパウチ配置装置と、スロット内に挿入されたパウチ上の機械可読コードが読み取られることを可能にする窓の近傍に配置されている画像センサと、を含む飲料または食料調製マシンをさらに提供し、画像センサは、パウチ上のコードから読み取られた情報に基づいて信号を生成する。
【0015】
画像センサにより生成された信号を受信しかつ信号の性質に基づいてマシンの動作を制御する制御システムが設けられていることが好ましい。
【0016】
画像センサは2次元バーコードリーダであることが好ましい。
【0017】
パウチ配置装置は、水平に対して30から60度までの範囲内の角度で、好ましくは45度の角度で、マシンの内部に取り付けられていてもよく、照明源が窓の近傍に設けられていることが好ましい。
【0018】
マシンは、リーダによって生成された信号により作動してパウチ配置装置内に配置されているパウチの端部を切り取る切断手段を、さらに含んでもよい。
【0019】
本開示は、上述のマシンと、機械可読コードの付いた、飲料材料もしくは食料材料を含む少なくとも1つのパウチと、を含む、飲料または食料を調製するシステムをさらに提供する。
【0020】
機械可読コードは2次元バーコードであることが好ましい。
【0021】
本開示は、上述のシステムを用いて飲料製品または食料製品を調製する方法であって、パウチの内容物に関する情報を含む機械可読コードの付いたパウチを選択するステップと、パウチをパウチ配置装置内に挿入して、パウチ上のコードが画像センサにより読み取られることを可能にするステップと、パウチの内容物をマシン内の調製チャンバに注ぎ込むステップと、マシンを作動させて、飲料製品または食料製品を作るために、液体がチャンバに供給されることを可能にするステップと、を含む、飲料製品または食料製品を調製する方法をさらに提供する。
【0022】
マシンは、画像センサによって生成される適切な信号により作動することが好ましい。
【0023】
チャンバは、画像センサによって生成される適切な信号によってのみ開かれる。
【発明の効果】
【0024】
したがって、パウチ配置装置は、影のない照明を可能にしかつ読取りの信頼性を大いに向上させる読取り窓の下面にコードを当てて、コードを拘束し、配置し、平らにする。結果として得られるばね支援作用は自然で直覚的な感触を与え、ユーザに正の力フィードバックをもたらし、可撓性パウチを一次的に硬化させてユーザの操作を支援する。
【0025】
この装置は配置の片手操作を可能にしかつ走査行程の間にパウチを一次的に拘束するので、特に便利である。また、当該装置は、外部光源レベルの影響を除去し、制御された照明を可能にする。
【0026】
ばね荷重プラテンを使用する利点は、配置装置を、様々な充填重量および充填圧力を有するパウチに耐えるようにする。また、当該利点は、ユーザに触覚フィードバックをもたらし、ユーザが端部に当てて強く押圧し過ぎた場合に自動的に補償するようにする。
【0027】
低コスト線形バーコードリーダを使用する場合、スキャナ設計を簡略化しかつ確実な走査を保証するために、バーコードをその長さに沿って既知の公差で固定位置に拘束することが必要である。これは、上述のカートリッジと同様に、淹れている間クランプ留めされている剛性パック形態では簡単であるが、可撓性パウチではより難しい。2次元バーコードでは、2つの軸が走査されるので、バーコードパターンの正確な配置および拘束がいっそう重要である。したがって、配置装置の使用により、スロット内のスキャナ窓の下にバーコードを正確に配置することに因り、かつバーコード領域内でパウチ材料を平らにしてその凹み、波紋または皺を実質的に無くすことにより、バーコードリーダの信頼性が高まる。
【0028】
したがって、パウチ配置装置は、
‐ 簡単で低コストの2次元バーコードスキャナが使用されることを可能にするスキャナ窓の下に、パウチバーコードを正確に確実に配置し、位置合わせすること、
‐ パックがスロット内に徐々に進入するにつれてそれを部分的に硬化させ、走査領域内でバーコードを窓に当てて平らにして、読取りの信頼性を向上させること、
‐ パックの体積、充填重量、およびガスヘッドスペースの変化を補償すること、
‐ 柔軟なパウチをブラインドスロット内に端部まで挿入する時に、ユーザに正のフィードバックをもたらすこと、
‐ ユーザがパウチを配置端部に押し付け過ぎてパウチを歪めることを補償すること、
という利益をもたらす配置機構である。
【0029】
本開示のパウチ配置装置の一実施形態が、ここで、添付図面を参照して、単に例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】パウチ配置装置を組み込んでいる飲料調製マシンの斜視図である。
【
図2】パウチ配置装置を組み込んでいる飲料調製マシンの斜視図である。
【
図3a】パウチが挿入された状態のパウチ配置装置の一実施形態の側面図である。
【
図3b】パウチが挿入された状態のパウチ配置装置の一実施形態の側面図である。
【
図3c】飲料調製マシンの内部においてある角度にセットされた、
図3aおよび
図3bのパウチ配置装置の側面図である。
【
図4a】ある挿入段階にあるパウチを示す、
図3aおよび
図3bのパウチ配置装置の斜視図である。
【
図4b】ある挿入段階にあるパウチを示す、
図3aおよび
図3bのパウチ配置装置の斜視図である。
【
図4c】ある挿入段階にあるパウチを示す、
図3aおよび
図3bのパウチ配置装置の斜視図である。
【
図4d】ある挿入段階にあるパウチを示す、
図3aおよび
図3bのパウチ配置装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、飲料または食料を分配するマシン内にある、バーコードスキャナなどの画像センサと共に使用するためのパウチ配置装置に関する。当該装置により、パウチ配置装置内に挿入された場合、食料材料または飲料材料とパウチ上の機械可読コードとを含む可撓性パウチの正確な位置合わせが可能になる。
【0032】
図1および
図2は、装置と共に使用されるのに適している飲料分配マシン10の1つのタイプを示す。飲料分配マシン10は、一般に、ハウジング11と、タンク12と、湯沸かし器と、飲料調製チャンバと、水をタンク12から沸かし器経由でチャンバへ送るポンプと、を含む。ハウジング11の正面は、飲料の分配が行われる分配ステーション13を画成している。当該分配ステーションは、カップスタンド14を含む。カップスタンド14は、それよりも下方に配置されているドリップトレイ15を備えている。分配ステーション13は飲料出口16を含み、当該飲料出口は飲料調製チャンバと連通しており、調製された飲料が当該飲料出口を通って分配される。
【0033】
また、ハウジング11の正面に、凹型のパウチ進入スロット17の入口開口部32が配置されており、パウチ31の先端部がその中に挿入される。
【0034】
開口部19はハウジング11の上部に配置されており、当該開口部はチャンバと連通している。開口部19は、開口部19を開閉するアクセス手段を含むことが好ましい。
【0035】
パウチ配置装置18の一実施形態が
図3および
図4に示されている。パウチ配置装置18は、パウチ進入スロット17の上部を画成する走査窓30が設けられている十分に透明な剛性板を含む。当該板は、強化ガラス、パースペクス、または磨耗に耐性のある別の適切な材料で作製されていてもよい。スロット17の幅は、パウチ31の寸法に適合するように選択され、スロット17への入口開口部32は先細縁部を有し、パウチ31のスロット17内への容易な挿入を促進することが好ましい。スロット17は、パウチ31の最大幅より1から3mm広いことが好ましい。パウチ配置装置18の端壁34はスロット17の端部を画成する。パウチ配置装置18の基部には、軽量ばね付きプラテン33がある。当該プラテン33はスロット17の底部を画成しており、入口開口部32から端壁34に向かって上向き方向に先細になっている。プラテン33は、折り曲げられてばね付き肩持ち梁を作り出すポリカーボネートなどの弾性材料の薄板から作製されていてもよい。あるいは、プラテンは、プラテン33の下に取り付けられている螺旋ばねまたは板ばねなどのばねを用いてスロット17への入口の所に蝶番で動くようにされる、金属板またはプラスチック板であってもよい。
【0036】
パウチ配置装置18は、水平に対して30から60度までの範囲の、好ましくは45度の角度で、マシン10内に取り付けられていることが好ましい。角度は、パウチ31の内容物がパウチ31の後端部(すなわち開口部32内に挿入された先端部の反対側端部)に向かって落ちることを促すのに十分に急勾配である一方、依然として装置18の上方に画像センサ37を取り付ける余地があるように選択される。
【0037】
画像センサ37の焦点は走査窓30に置かれている。画像センサ37は、従来の2次元バーコードスキャナ、または通常は25mm未満の短焦点距離を有する小型CMOS(complementary metal−oxide−semiconductor)センサであってもよい。適した画像センサ37が、オムニビジョン・テクノロジーズ社(Omnivision Technologies Inc.)によって製造されている。
【0038】
パウチ配置装置18には、パウチ31が走査に対して正しい位置にある場合に検出して、プラテン33が過剰に押し下げられないことを確実にする検出スイッチまたは検出センサが設けられていることが好ましい。プラテン33が過剰に押し下げられていないかどうかを検出することにより、マシン10の制御システムがユーザにその握持を緩めるように警報を出すことが可能になり、したがって反復走査を減らすことに役立つ。
【0039】
パウチ配置装置18は、先端部に少なくとも一つの端部閉じ目35(通常は適切な溶接または封止方法により形成されている)を有しかつ乾燥状態または液体状態であり得る飲料材料および食料材料を含むパウチ31と共に使用することが意図されている。パウチ31に適切な材料は、ポリエステル層、アルミニウム層、およびポリプロピレン層を含む可撓性プラスチックラミネートを含む。パウチ31の幅は、15mmから75mmまでの範囲内、好ましくは25mmから50mmまでの範囲内であってもよく、長さは、75mmから200mmまでの範囲内、好ましくは120mmから160mmまでの範囲内であってもよい。しかし、パウチ31の寸法は、パウチ31が保持する必要がある材料量によって決まる。
【0040】
パウチ31の一つの面には機械可読コード36が付いている。当該コード36は、暗号化された2次元バーコードを使用してパウチ31上に印刷されたバーコードであることが好ましい。しかし、コード36は、コード化された情報を有しかつ機械可読である任意のモノクロ印刷コードまたはカラー印刷コードであってもよい。コード36は公然または非公然であってもよい。公然画像は、例えば赤外線インクまたは紫外線インクを使用して印刷されていてもよい。
【0041】
飲料または食料が調製される場合、ユーザはパウチ31(
図4a)を開口部32内に挿入する。パウチ31がスロット17内に入り、当該パウチがばね荷重プラテン33に接して係合すると、パウチ31内の圧力が若干上昇するので、ユーザは最初の抵抗を感じる。ユーザがこの時点でこの抵抗に対してパウチ31を押すのは当然の反応であり、パウチ31をより強く握持することによってそうしようとする試みにより、先端部が膨張し、硬化し、ばね荷重プラテン33がそっと押し下げられ、パウチ31の進入が可能になる。例えば単にパウチ31を後端部から押すことによる進入時の他の試みは、パウチ31が歪むかまたは折れ曲がる傾向があるため成功とはならず、パウチ31を握持し押し込むことが該パウチをスロット17内に入れるのを容易にする最良の方法であることがすぐに分かる。
【0042】
パウチ31がスロット17内にさらに挿入されるにつれて(
図4b)、パウチ31内の圧力がもう少し上昇し、ユーザに正のフィードバックをもたらし、この状態では、パウチは若干硬くなりかつ操作し易くなる。この反応の結果として、コード36は走査窓30に平らに押し付けられ、それにより、この重要な領域内の任意の表面の凸凹または皺を都合良く除去する。
【0043】
最後に、パウチ31がプラテン33をさらに押し下げると(
図3aおよび
図4c)、パウチ31の先端部の端部閉じ目35はスロット17の端壁34にぶつかり、当該端壁はさらなる進入に対する物理的障壁として作用する。支持されていないパウチ31が壁に押し付けられた場合、端部閉じ目35は、位置合わせされずに単に折り重なると考えられる。しかし、パウチ配置装置18内に押し込まれた場合、端部閉じ目35は、先細プラテン33、スロット側壁、およびパウチ31の自己硬化(self−stieffening)の組合せにより支持される。これによって、ユーザは、パウチ31がパウチ配置装置18内で端壁34に突き当たって配置されておりかつ力をかけるのをやめるべきだという明確な指示を受け取る。しかし、パウチ31が端壁34にぶつかった後にユーザが過剰な力をかけ続けた場合、プラテン33は下方に押し下げられ(
図3bおよび
図4d)、貯蔵されたエネルギーは、ユーザがパウチを解放した後にパウチの形状を回復させるのに役立つ。
【0044】
パウチ31が正しく配置されると、スキャナが窓30を通してコード36を走査し、コード36から読み取られた情報に基づいて信号を生成する。この信号は、例えばマシン10をオンにすること、パウチ31内の材料の性質に基づいて最適な飲料調製プログラムを選択すること、開口部19を閉鎖しているアクセス手段を開いて、ユーザがパウチ31内の内容物を飲料調製チャンバに注ぎ込むことを可能にすること、など、複数の異なることに使用されてもよい。また、マシン10は、「認可された」パウチ31すなわち認識されたコードを有するもののみに対して動作するようにプログラムすることができる。
【0045】
スロット17への開口部32は、スロット17が水平に対して45から65度までで動作している状態で、水平位置に配向されていることが好ましい。これは、スロット17内での異物の蓄積を防ぎかつ進入の直前にパウチ31の内容物がその後端部に落ちることに役立つ。これにより、パウチ31を挿入することがより容易になり、以下の段落に記載されている特徴が用いられることが可能になる。
【0046】
次いで、パウチの内容物はマシン10内の適切なチャンバに注ぎ込まれ、マシンが作動して水がチャンバに進入することを可能にし、飲料製品または食料製品を調製する。
【0047】
また、パウチ配置装置18には、バーコードリーダによって適切な信号が生成されると作動して、パウチ31から端部閉じ目35を切り取る裁断機または他の切断手段が設けられていてもよい。これによって、ユーザがパウチの内容物をマシン10内のチャンバに注ぎ込み易くなる。
【0048】
また、パウチ配置装置18には、制御された照明を提供して読取り行程を最適化するLEDなどの照明源が設けられていてもよい。照明源は窓30の近傍に配置される。
【0049】
水がコーヒーなどの飲料の調製で使用される最も一般的な液体であるが、マシン10は、飲料材料と混合するために、ミルクまたはミルク調製品などの他の液体を扱うことができる。また、本明細書における水への任意の言及は、飲料の調製に使用される任意の種類の液体を含むと見なされるべきである。
【0050】
このシステムは、コーヒー、紅茶、ホットチョコレート等の飲料を調製するマシンに特に適しているが、スープなどの液体食料製品を調製するのにも適している。また、本明細書における飲料への任意の言及は、任意の種類の液体食料製品を含むと見なされるべきである。