(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項9記載の方法であって、更に、全ての前記支持プレートが前記ツールから除去されるまで更なる層をモールドすることで前記モールド多層プラスチック部品を製造するステップを有する方法。
請求項12記載のツールであって、前記可動内コアがアンダーカットを有し、射出されたプラスチック素材が前記アンダーカット上に直に堆積することで前記アンダーカット上にモールド層が直に形成されるツール。
請求項12又は13記載のツールであって、インジェクションロッドの使用及びそれに続く前記インジェクションロッドの引き出しで前記支持プレートを除去することにより、可動な前記支持プレートをイジェクトさせるツール。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、別紙図面を参照しつつ本発明の諸実施形態について説明する。以下の説明は限定を旨とするものではない。
【0014】
発明者が提案するシーケンシャル多層モールドプロセス及びツールでは、例えば、窪み、気泡乃至孔を発生させることなく肉厚のモールド部品を製造することができる。同ツールを使用することで、層の上に層を重ねるかたちで、複数個の層を段階的にモールドするプロセスを実現できる。除去可能な支持プレートをそのツールに設けることで、対応する部品内層の厚みを制御することができる。
【0015】
発明者が提案する構成では、例えば、可動な支持プレート複数枚がイジェクタプレートの後方に配置される。動くのは型ではなくイジェクタプレートに連結された内コア、即ち部品内諸層がその上に形成される部分である。この内コアを動かすと支持プレートが除去され、その支持プレート除去を通じキャビティ内にギャップが発生する。従って、内コア上に更なる層を射出することにより、大きなサイズを有する多層プラスチック部品を製造することができる。発明者が提案する構成では、例えば、キャビティ側の表面を粗い面、即ちテキスチャ付の面とする。これにより、隣り合う層間の接着力が増すので、好適な層間接着を実現することができる。発明者が示す実施形態では、例えば、アンダーカットを有する内コアを使用することで、堆積で形成された諸層乃至部品を可動内コアに好適に接着させることができる。即ち、内コアが動くと、形成された諸層乃至部品が、キャビティ側に張り付くのではなく、その内コアと共に動くようにすることができる。成形機及びモールドプロセスに備わるこうした諸特徴は、発明者の知見によれば、以下に説明する通り、本件技術分野での未充足需要を満たすものである。
【0016】
図1に、一実施形態に係るモールドツール10における主要部材配置を示す。このツール10は多層モールド部品12の製造に適したものである。説明の簡便化のため、以下、製造する部品12が
図2に示す如く且つ後述の如く大きなブロック状のものであるとする。
【0017】
図1に示す通り、ツール10にはホットノズル(インジェクションノズル)16が備わっている。必要な素材例えば熱可塑性樹脂は、このノズル16を介し、外コア18付のキャビティ20内、ひいては可動内コア22上に送られる。同図中のロケーションリング14は、ツール10を成形機内で位置決めするための部材である。樹脂は、その成形機からノズル16内へと直に流れてくる。
【0018】
本実施形態では、ツール10のうち可動内コア22がある側をコア側(可動側)と称している。最終製品に必要とされる素材はこの内コア22上に送られてくる。他方のキャビティ側乃至型は動かさない。注記すべきことに、従来のプロセスでは、コアインサートが動かないのが普通である。これに対し、本実施形態では、発明者が定めた動かし方に従い内コア22を動かすようにしているため、素材堆積による各層の形成後にスペース乃至ギャップが生じることとなる。
【0019】
可動内コア22は更にアンダーカット24を備えている。
図1、
図3A及び
図3Bにその一例構成を示す。このアンダーカット24は内コア22の一形状要素となっている。より具体的には、堆積で形成された層乃至部品が内コア22に接着するような形態にて、内コア22にアンダーカット24が設けられている。即ち、内コア22が動いたときに、それらの層乃至部品は、キャビティ側に張り付くのではなく、内コア22及びアンダーカット24と共に動く。このように、本実施形態におけるアンダーカット24は内コア22の表面上に位置する物体であり、内コア22上に堆積した素材をその内コア22に接着させて内コア22と一緒に動くようにする、という働きを有している。こうしたアンダーカット24は、製造したいモールド部品12のサイズに応じ、様々な素材、形状及びサイズで形成することができる。例えば、アンダーカット24に0.3mm〜0.5mm厚の抵触部乃至断面部25を設けることで、アンダーカット24が内コア22に引っかかる構成にすることができる。
図3Aに示すアンダーカット24は、製造したい部品12と同一の素材で形成されているが、別の素材で形成してもよい。このアンダーカット24はその製造後に部品12から分離させることができる。例えば、引っ張り力乃至剪断力をアンダーカット24に加え、部品12からそれを分離させればよい。更に、
図3Aに示す例ではアンダーカット24が部品12の底面上にある。その形状は半環状であり、底面の二辺に位置している。これに代え、内コア22の四隅に位置することとなるよう4部分乃至4断面を設けるようにしてもよい。そのアンダーカットのサイズは、製造したい部品のサイズに応じ定めればよい。
図3Bに、
図1に示したアンダーカット24を拡大して示す。同図に示すアンダーカット24は、例えば、0.5mm以上の抵触部乃至断面部25、1mm以上の幅27、2.5mm以上の高さ29というサイズを有するものである。これ以外のサイズにすることも可能である。
【0020】
ツール10は、更に、
図1の如くイジェクタプレート26を備えている。このプレート26はネジ28によって可動内コア22に連結されている。同プレート26にはリターンピン51も連結されている。本実施形態では、ツール10が閉じているとき、このリターンピン51がアーリーリターンピン52によって駆動される。
図4にこれらのピン51及び52を示す。
【0021】
そのイジェクタプレート26の後方には、好適にも、可動な支持プレート30が複数枚配置されている。この例ではイジェクタプレート26がネジ28によって可動内コア22に連結されているので、イジェクタプレート26後方にある支持プレート30を除去すると、イジェクタプレート26の後方にスペース乃至ギャップが生じ、イジェクタプレート26が下降しうる状態になる。この状態では、内コア22がイジェクタプレート26と共に動く(下降する)。その下降により、次層素材の堆積乃至ショットが可能なスペース乃至ギャップが発生する。
【0022】
支持プレート30の枚数及び厚みは、例えば、最終的に得たいモールド部品12のサイズ及び厚みに応じ変わってくる。例えば、後掲の
図5A及び
図5Bには支持プレート30が10枚示されているが、支持プレート30の使用枚数を10枚未満とすることや10枚超にすることもできる。
【0023】
支持プレート30の厚みは、欠陥無しで層をモールドできる厚みにすべきである。各支持プレート30が採りうる厚みは、典型的には0.2mm〜10mmの範囲内である。最終的にどのような厚みを合成したいかにより、各支持プレート30の厚みは変わってくる。各支持プレート30の厚みは、互いに同一でもよいし異なっていてもよい。後述する通り、除去される支持プレート30の厚みによって、堆積で形成される層のうち対応する層の厚みが決定、制御される。そのため、モールド部品12は、構成諸層の厚みが互いに等しい構成にも異なる構成にもすることができる。また、支持プレート30は様々な素材で形成することができる。一般的には金属製となろう。
【0024】
図1に示す通り、本実施形態では、ウェアスリーブ32がねじ34によりキャビティプレート53に固定されている。スリーブ32が配置される部位は、可動内コア22の周囲部分即ちツール10内の摩耗しやすい部分である。例えば、使用に伴いその部分に顕著な摩耗が発生すると、ツール10内にギャップが生じることとなる。スリーブ32を使用していれば、そのスリーブ32で摩耗を吸収することや必要に応じそのスリーブ32を交換することができるので、内コア22及びその周囲部分を保護することができる。本実施形態におけるスリーブ32の硬度は内コア(バー)22のそれより低いので、スリーブ32により囲まれているウェアプレートがまず摩耗し、その結果として内コア22が保護される。
【0025】
図4に、
図1に示すツール10の別面を示す。より具体的には、
図4には、ツール10を構成する部材のうちノズル16のインジェクションチップ36やアーリーリターンピン51の配置が示されている。
【0026】
注記すべきことに、本実施形態では、内コア22部分内に水冷ラインを設けるのが望ましい。内コア22の除熱及び温度制御のためである。内コア22を水冷するラインは、例えばイジェクタプレート26に連結しておく。本件技術分野で習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)にはご理解頂けるように、取水口や排水口はイジェクタプレート26の側で開閉するようにすればよい。
【0027】
次に、本実施形態におけるツール10の動作についてより詳細に説明する。
【0028】
まず、
図1に示した実施形態に係るツール10を動作させる際には、図示しないホッパ内に所要サイズの樹脂ペレットを投入する。注記すべきことに、ホッパ内に投入可能な素材の種類は多岐に亘る。例えば、熱可塑性素材を含むプラスチック素材を投入可能である。その種のプラスチック素材の例としては、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、その混合物等を挙げうる。更に、各層を形成する素材の種類を、ダブルショットモールドプロセス向けのものにしてもよい。各層形成素材は互いに同一でもよいし異なっていてもよい。
【0029】
同様に、ホッパ内に投入可能なペレットのサイズも多岐に亘る。投入された樹脂ペレットは、ホッパからホットノズル16へと送られていく。送られてきた樹脂は、そこからノズル16を介し可動内コア22へと射出される。
【0030】
上述したホットノズル16で、モールドされた樹脂を加熱することもできる(ホットスプルー)。ただ、素材の種類によってはホットスプルーを好適に使用できない場合がある。例えば、その熱膨張係数が高い素材を使用する場合や、異なる色の素材層を交互に堆積、形成したい場合である。こうした場合には、注記すべきことに、本実施形態におけるホットノズル16をコールドスプルー、即ちそこから素材が流れ出る開口に置き換えればよい。コールドスプルーを使用する場合には、固化した不要な素材の開口内残留物を各ショット終了後に断つようにする。そうした素材が、最終的なモールド部品の構成部分にそぐわないからである。
【0031】
樹脂の流れは、インジェクションノズル16内のねじを回すことによって開始及び停止させることができる。そのための装置は、成形機内コンピュータ制御で稼働させることができる。
【0032】
本発明の一実施形態は、こうした構成を使用し多層モールド部品12、例えば
図2に示した肉厚プラスチックブロックを製造する方法である。本方法は、まず、ツール10を準備するステップを有する。上述した通り、ツール10は、外コア18及びキャビティ20、アンダーカット24を有する可動内コア22、インジェクションノズル16、所要厚を有する複数枚の可動支持プレート30、並びに内コア22に連結されたイジェクタプレート26を備えている。この例では、イジェクタプレート26の後方に全ての支持プレート30が配置されている。
【0033】
図5Aに示すように、まずは全ての支持プレート30をツール10内に装着しておく。
図6に示すように、第1素材を既存のスペース乃至キャビティ内に注入する(射出成形する)と第1層40が形成される。モールド後に収縮が生じないようパッキングを施してもよい。例えば、注入後、部品12が完全に注型されるまで、ゲート上に圧力を印加してもよい。高圧の印加や低速の採用は、堆積された樹脂でキャビティ内をタイトに満たす上で有益である。
【0034】
第1ショットが終了したら、成形機内のイジェクションロッド35(
図1)で支持プレート30をイジェクトさせそれを引き出す。イジェクトさせるには、その除去に十分な距離(例えば1mm)に亘り支持プレートを動かせばよい。支持プレート30間の連結が緩めば第1支持プレートを除去することができる。内コア22がイジェクタプレート26に連結されているので、第1支持プレート38を除去すると、そのイジェクタプレート26の後方にスペース乃至ギャップが発生する。次いで、残りの支持プレート30がツール10内に残るようツール10を閉じる。すると、アーリーリターンピン52がリターンピン51に作用しそれをキックする。そのリターンピン51はイジェクタプレート26に連結されている。イジェクタプレート26を例えば下降させると内コア22及びアンダーカット24がそれと一体に動くため、キャビティ20内に第1ギャップが発生する。第1ギャップの大きさ(厚み方向)は、除去された可動な第1支持プレート38の厚みによって決まる。即ち、第1ギャップの大きさは、除去された第1支持プレート38の厚みと同一になる。この第1ギャップへの第2素材の注入によって、第2層44をモールドすることができる。そのプロセスとしては、
図6に模式的に示したものを使用する。注入された第2素材は例えばアンダーカット24上に堆積し、除去された第1支持プレート38と同一の厚みを有する第2層44を発生させる。そして、このプロセスを所望回数に亘り反復することによって、狙いとする厚みを実現することができる。
【0035】
注記すべきことに、本実施形態では、第1素材を堆積させて第1層40を形成した後、その層40を必要に応じ除熱することができる。例えば、後述の次層堆積に先立ち、その形成素材を推奨ツール温度まで除熱することができる。上述した通り、内コア22内に在来の除熱ライン乃至システムを配し、製品の温度を維持することが可能である。更に注記すべきことに、各層の除熱は、その層を堆積させた後更にその上に次層が堆積されるのに先立ち実行するようにするとよい。モールド部品の表面に冷気を流し、除熱を促進してサイクルタイム短縮を図ってもよい。こうして各層が十分に除熱され、次層堆積前に固化していれば、各層間の接着により好適な多層構造を得ることができる。
【0036】
ツール10を開いたら、イジェクションロッド35を用い支持プレート30をイジェクトさせる。それによって第2支持プレート42、即ち
図5B及び
図5Cに示されている所要厚のそれを除去することができる。
【0037】
注記すべきことに、本実施形態では、発明者の知見に従い、イジェクタプレート26後方の支持プレート30を例えば1mmに亘りイジェクトさせている。この距離値は、イジェクションロッド35が引き出された後支持プレートが十分に緩む限り、他の値にすることもできる。ただ、この距離値は、第1層40の厚みから例えば0.5mmを減じた値を超過しないようにするのが望ましい。距離値の超過が起こると部品がツール10から脱落する可能性が生じるからである。例えば、このイジェクト距離を2mm以下とすることで、支持プレート30を好適に除去すること及びイジェクト圧で一体に圧縮され続けないようにすることができる。即ち、支持プレート30同士の圧縮度合いが緩く、支持プレート30を容易に除去可能な状態にすることができる。
【0038】
その上でツール10を閉じた後も、残りの支持プレート30はツール10に保持され続ける。この状態では、イジェクタプレート26を下降させること、また内コア22、アンダーカット24、第1層40及び第2層44をイジェクタプレート26と共に動かすことができる。それによりキャビティ20内に生じる第2ギャップの大きさは、除去された可動な第2支持プレート42の厚みで決まる。
【0039】
更に、除熱を経て第2ギャップ内に更なる素材を射出すると、第2層44の上に第3層46がモールドされる。第2層44の厚みは、上述の通り、除去された可動な第1支持プレート38の厚みと等しい。第3層46の厚みは、除去された第2支持プレート42の厚みに等しい。
【0040】
その後、上述したプロセスを所要回数に亘り反復すると、例えば全ての支持プレート30が除去される。これにより多層モールド部品12ができあがる。
【0041】
本実施形態では、全ての支持プレート30がイジェクタプレート26の後方に配置される。第1層40のモールド先は内コア22上であり、支持プレート30がまだ除去されていないのでアンダーカット24の直上となる。第1層40の厚みは、支持プレート30がまだ1枚も除去されていない状態で既に生じている初期的且つ設計的なスペースによって決まってくる。上述した処理はこの状態から実行される。そのスペースは、支持プレート30を追加することや一部省略することで変化させることができる。それにより、様々な厚みのプラークを得ることができる。
【0042】
図6に、本実施形態に係るモールドプロセスを模式的に示す。ここでは支持プレート30がそれぞれ2.5mm厚であるとしている。図示の通り、まずは第1素材からなる第1層30をアンダーカット24上に堆積させ、更に2.5mm厚の支持プレート30を1枚除去することで内コア22を2.5mm動かす。次に、第2素材からなる第2層44を(第1層40が除熱された後に)第1層40上に堆積させ、更に2.5mm厚の支持プレート30をもう1枚除去することで内コア22を2.5mm動かす。図示しない第3層46も、こうした処理を所要の如く反復することで堆積させることができる。従って、本プロセスでは、除去された支持プレート30の厚みによって対応する堆積層の厚みが決まる。支持プレート30の厚みは必要に応じ変化・設定することができる。
【0043】
同様に、本実施形態では、最終的に得たい製品の各堆積層毎にその形成素材を異ならせることも同一にすることも可能である。層の個数も任意に設定することができる。例えば、3個、4個又はそれ以上の個数の層を3種、4種又はそれ以上の種数の素材で形成することができる。注記すべきことに、層毎に異なる素材を使用する場合、層間の接着性が十分となり層間剥離が生じないよう素材を選定すべきである。接着性の面では、例えば、PC(polycarbonate)及びABS(acrylonitrile butadiene styrene)が好適である。また、ダブルショットプロセスやトリプルショットプロセスに適した素材であることが判明している素材は、互いに接着性がよいため、本実施形態に係るプロセスで好適に使用することができる。各堆積層の形成素材は互いに同じ色でも異なる色でもかまわない。同じく、各堆積層の形成素材を透明なものとしてもよい。
【0044】
図2に例示した多層モールド部品12は、長さ×幅が100mm×100mmの透明な65mm厚プラスチックブロックである。本実施形態によれば、他の形状乃至サイズの部品12を製造することもできる。
図7に、
図2に示したモールド部品12の一部を示す。この図の部品12は、リッジを伴う複数個の層48を有している。
【0045】
本実施形態で製造される部品は大きなブロックに限らない。例えば、本実施形態に係るツール10を使用し様々な厚みのプラークを製造することができる。具体的には、発明者が確認したところによれば、0.5mm〜65mmの厚みを0.5mmで好適に実現することができる。支持プレート30の厚みを適宜設定すればこれ以外の厚みも実現可能である。更に、個別の層乃至プラークの厚みを、0.6mm厚、0.8mm厚、2mm厚、2.5mm厚等、最大約5mmまで任意に拡げることができる。
【0046】
本実施形態は、また、素材及びその特性の研究に有用である。例えば、様々な厚みのプラークを形成することができるので、様々な厚みの素材に関しその透明度を研究するのに有用である。テスト向けに、一定厚みの素材単層を形成することも可能である。形成した単層は、例えば、他の一定肉厚単層との比較を通じた素材特性対比研究、例えば透明度、接着性の研究に使用することができる。
【0047】
本実施形態には、更に、層が逐次的に追加されるため処理が連続的になる、という長所がある。キャビティ内にありイジェクタプレート26の後方を占める空間を拡げれば、最大の厚みを増すことができる。
【0048】
水圧・油圧シリンダを使用してイジェクタプレート26を動かすこと、即ち支持プレート30を使用せずに内コア22を動かすことも可能である。その場合、位置センサを付加し、各ショットにおけるイジェクタプレート26の位置をそれにより制御することで、システムを更に自動化することができる。
【0049】
更に、本実施形態では、キャビティ20の側にテキスチャ50を設けることで(
図8B参照)、表面を(滑らかにではなく)粗くし、層間接着力を高めることができる。即ち、粗さのある面を層間に配することでその接着性を高めることができる。より具体的には、
図8Aに示すように、ケミカルエッチングによるMT(Mold Tech)11050仕上げでテキスチャを付加すればよい。これは、SPI(Society of Plastics Industry)パターンなるテキスチャ乃至仕上げの一例である。SPIパターンは、既知の通り、コンピュータ生成パターンの一種である。
【0050】
本実施形態の更なる長所としては、最終的に得たいモールド部品を首尾よく製造できる点がある。例えば、上述した65mmブロックサンプル(肉厚モールド部品12)についてのCNCマッチングテストにより、層間損傷が見当たらないこと、即ち層間接着が好適であることが判明している。即ち、PC/ABS(polycarbonate/acrylonitrile butadiene)製のブロックを対象とし、2000rpmのスピン速度でCNCマシニングを行うテストによって、そのことが判明している。
図9A、
図9B及び
図9Cに、テスト後の肉厚モールド部品12の例を示す。
【0051】
更に注記すべきことに、本実施形態では、支持プレート30を例えば2mm近くまで又はそれ以上に亘り動かすこと(イジェクトすること)によって、支持プレート30間の圧縮を解放するようにしている。従って、支持プレート30のうち1枚を上述の如く取り除いた上で、イジェクションロッド35を引き出しそのままにすることができる。
【0052】
本発明の一実施形態は、ツールを有する成形機を使用し多層プラスチック部品を製造する方法であって、そのツールが、キャビティ、可動内コア、インジェクションノズル、可動内コアに連結されたイジェクタプレート、イジェクションロッド、並びにいずれもイジェクタプレートの後方にありそれぞれある厚みを有する複数枚の可動な支持プレートを備える方法において、順に、a)インジェクションノズルから素材を射出し可動内コア上に層を成長させることでモールド層を発生させるステップと、b)ツールを開き、イジェクションロッドを用い可動な支持プレートをイジェクトさせた後同ロッドを引き出し、そして残りの支持プレートが開いたツール内に保持されるよう1枚の支持プレートを除去するステップと、c)残りの支持プレートがツール内に保たれるようツールを閉じ、イジェクタプレートを下降させ、内コアをイジェクタプレートと共に動かすことでキャビティ内にギャップを発生させるステップと、d)モールド層上に且つギャップ内で更なる層をモールドするステップと、全ての支持プレートがツールから除去されるまでステップb)〜d)を反復することでモールド多層プラスチック部品を製造するステップと、を有し、ステップb)で除去された支持プレートの厚みによりギャップの大きさ及び更なる層の厚みが決まる方法である。
【0053】
本発明の他の実施形態は、ツールを有する成形機を使用しプラスチック部品を製造する方法であって、そのツールが、キャビティ、アンダーカットを有する可動内コア、インジェクションノズル、可動内コアに連結されたイジェクタプレート、イジェクションロッド、並びにいずれもイジェクタプレートの後方にありそれぞれある厚みを有する複数枚の可動な支持プレートを備える方法において、順に、a)インジェクションノズルからツール内の既存スペース内及びアンダーカット上に第1素材を射出することで第1層をモールドするステップと、b)ツールを開き、イジェクションロッドを用い可動な支持プレートをイジェクトさせた後同ロッドを引き出し、そして残りの支持プレートが開いたツール内に保持されるよう可動な第1支持プレートを除去するステップと、c)残りの支持プレートがツール内に保たれるようツールを閉じ、イジェクタプレートを下降させ、第1層、内コア及びアンダーカットをイジェクタプレートと共に動かすことで、キャビティ内に第1ギャップを発生させるステップと、d)第1ギャップ内に第2素材を射出し内コア上に第2層をモールドすることでプラスチック部品を製造するステップと、を有し、可動な第1支持プレートの厚みにより第1ギャップの大きさが決まり、第2層の厚みが可動な第1支持プレートの厚みと等しくなる方法である。
【0054】
本発明の他の実施形態は、多層プラスチック部品を製造する方法であって、a)それぞれある厚みのある複数枚の支持プレートを備えたツールの内コア上に素材を射出することでモールド層を発生させるステップと、b)ツールを開き支持プレートを除去するステップと、c)ツールを閉じてツール内にギャップを発生させるステップと、d)モールド層上に且つギャップ内で更なる層をモールドするステップと、ステップb)〜d)を反復することでモールド多層プラスチック部品を製造するステップと、を有し、ステップb)で除去された支持プレートの厚みによりギャップの大きさ及び更なる層の厚みが決まる方法である。
【0055】
本発明の更なる実施形態は、プラスチック部品を製造する方法であって、a)ツールの内コア上に第1素材を射出することでモールド層を発生させるステップと、b)ツールを開き第1支持プレートを除去するステップと、c)ツールを閉じてツール内にギャップを発生させるステップと、d)形成されている第1層上に且つギャップ内で第2層をモールドすることでプラスチック部品を製造するステップと、を有し、ステップb)で除去された第1支持プレートの厚みによりギャップの大きさ及び第2層の厚みが決まる方法である。
【0056】
本発明の他の実施形態は、射出成形機で使用されるツールであって、ある厚みのあるプラスチック層がその上にモールドされる可動内コアと、可動内コア上にプラスチック素材を射出することでプラスチック層をモールドするインジェクションノズルと、可動内コアに連結されたイジェクタプレートと、それぞれある厚みがあり可動な複数枚の支持プレートと、を備え、可動な支持プレートがイジェクタプレートの後方にあり、モールドされるプラスチック層の厚みがその支持プレートのうち対応する1枚で決まるツールである。
【0057】
本発明の実施形態としては更に次の諸形態がある。i)その内コアが可動であり且つアンダーカットを有し、そのアンダーカット上への直接堆積で層がモールドされる形態。ii)ステップb)が、2mm以内の範囲で支持プレートを動かした後支持プレートを除去するステップを含む形態。iii)粗い面が各層間にある形態。iv)そのモールド多層プラスチック部品が、5mm超の厚みを有する肉厚プラスチック部品である形態。v)その肉厚プラスチック部品が65mm以下の厚みである形態。vi)そのモールド多層プラスチック部品の各層が同じ素材からなる形態。vii)そのモールド多層プラスチック部品の各層が異なる素材からなる形態。viii)その多層プラスチック部品がリッジを有する形態。ix)その上に次の層が堆積されるのに先立ち各層が除熱される形態。x)そのプラスチック部品がテストプラークを有する形態。xi)そのテストプラークが0.5mm〜5mm厚である形態。xii)ステップb)が、最大2mmに亘り第1支持プレートを動かした後その第1支持プレートを除去するステップを含む形態。xiii)ステップb)が、1mm以上に亘り第1支持プレートを動かした後その第1支持プレートを除去するステップを含む形態。xiv)ツールを開き第2支持プレートを除去するステップe)を有する形態。xv)ツールを閉じ、そのツールのイジェクタプレート、それに連結された内コア、第1層及び第2層を一緒に動かすことで、同ツール内に第2ギャップを発生させるステップf)と、第2層を除熱した後第2層上に第3層をモールドするステップg)と、を有し、第2支持プレートの厚みにより第2ギャップの大きさ及び第3層の厚みが決まる形態。xvi)全ての支持プレートがツールから除去されるまで更なる層をモールドすることでモールド多層プラスチック部品を製造するステップを有する方法。xvii)その内コアがアンダーカットを有し、粗い面が各層間にある形態。xviii)上述した方法で製造されその厚みが5mm超の肉厚プラスチック部品。xix)その寸法が65mm×100mm×100mmのブロックである肉厚プラスチック部品。xx)そのブロックが透明である形態。xxi)そのブロックがプロトタイプサンプルである形態。xxii)その可動内コアがアンダーカットを有し、射出されたプラスチック素材がそのアンダーカット上に直に堆積することで同アンダーカット上にモールド層が直に形成される形態。xxiii)インジェクションロッドの使用及びそれに続くインジェクションロッドの引き出しで支持プレートを除去することにより、可動な支持プレートをイジェクトさせるツール。
【0058】
本願で使用している語のうち「ある」「その」等の語は数量を限定するものではないので、単数の場合も複数の場合も(文理上又は文脈上の明示がない限り)その表現に該当するものとする。「本実施形態」「ある実施形態」「他の実施形態」「一実施形態」等の語は、その実施形態との関わりで記述された特定の構成要素(例.形状、構造、特徴)が、本願記載の実施形態のうち少なくとも1個に包含されていること、また他の実施形態への包含の有無を問わないことを表している。更に、ご理解頂けるように、記述されている構成要素は任意の好適な形態で諸実施形態と組み合わせうる。
【0059】
特定の実施形態を参照して説明を行ったが、既存の又は未発見の代替的構成、変形、類型、改良並びに実質的等価物が、本願出願人を含めいわゆる当業者により発見されることもあろう。別紙特許請求の範囲(及びそれを補正したもの)は、そうした代替的構成、変形、類型、改良並びに実質的等価物全てを包含する趣旨のものである。