(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。
【0011】
本実施形態においては、まず、測定装置の一例であるOTDRを用いて、試験対象である光ファイバ芯線の異常箇所における曲率半径及び光軸の軸ずれ量の少なくとも一方を決定する装置、方法、コンピュータ読み取り可能な媒体及びプログラムについて説明する。その後、波長の異なる2以上の光パルスを出力することができる測定装置の構成について説明する。なお、本実施形態にかかる測定装置の用途は、本実施形態において説明される装置、方法などに限定されない。本実施形態にかかる測定装置は、現在知られているOTDRの他の用途に用いられてもよく、将来的にOTDRが用いられることになる新たな用途に用いられてもよい。
【0012】
図1は、光ファイバ芯線に入射した光の後方散乱光の光損失の波長依存性の一例を概略的に示す。
図1は、光時間領域反射測定器(OTDRと称する場合がある。)を用いて得られた、光ファイバ芯線の各位置からの後方散乱光の光パワーの測定結果を示す。
図1において、横軸は入射端からの距離を示し、縦軸は後方散乱光の光パワーを示す。
【0013】
OTDRは、光ファイバ芯線の一端(入射端と称する場合がある。)から、光ファイバ芯線に試験光を入射し、入射端からの距離が異なる複数の位置から入射端に戻ってくる後方散乱光の光パワーを、入射端において検出する。入射端に試験光を入射させた後、後方散乱光が入射端に戻ってくるまでの時間から、光ファイバ芯線の各位置における後方散乱光の光パワーを測定することができる。これにより、OTDRは、光ファイバ芯線に入射させた試験光の、光ファイバ芯線の各位置における後方散乱光の光パワーに関する情報を取得することができる。
【0014】
OTDRは、複数の波長のそれぞれについて、光ファイバ芯線に入射させた試験光の、光ファイバ芯線の各位置における後方散乱光の光パワーに関する情報を取得することができる。例えば、試験光の波長を変えて複数回の測定を実施することで、複数の波長のそれぞれについて上記の光パワーに関する情報を取得することができる。また、複数の波長の光を含む試験光を用いることで、複数の波長のそれぞれについて上記の光パワーに関する情報を取得してもよい。
【0015】
図1において、グラフ101は、異常が発生している箇所(a)を含む光ファイバ芯線に、波長が1550nmの試験光を入射させた場合における、入射端に戻ってきた後方散乱光の光パワーの測定結果の一例を示す。グラフ102は、グラフ101と同一の光ファイバ芯線に、波長が1625nmの試験光を入射させた場合における、入射端に戻ってきた後方散乱光の光パワーの測定結果の一例を示す。
【0016】
グラフ101及びグラフ102に示すように、後方散乱光の光パワーは、(a)の位置において急激に減少している。一方、(a)以外の位置において、後方散乱光の光パワーは、入射端からの距離に応じて減少している。光パワーの減少具合は、光ファイバ芯線の光損失の大きさを表す。
図1において、L
1及びL
2は、それぞれの波長における位置(a)での光パワーの変化量(光損失量と称する場合がある。)を表す。
【0017】
図1に示すとおり、後方散乱光の光パワーを測定することで、単位距離当りの光パワーの変化量の絶対値が急激に増加している位置(a)において、何らかの異常が発生していることが分かる。光パワーの急激な変化(異常な光損失と称する場合がある。)の原因として、典型的には、光ファイバ芯線の曲げと光ファイバ芯線の融着接続不良による軸ずれとを例示することができる。光ファイバ芯線に異常な曲げが生じる原因として、クリーピングを例示することができる。クリーピングとは、振動等により光ファイバ芯線が収容部内で移動して、光ファイバ芯線に曲率半径の小さな曲げが生じる現象をいう。そのため、異常な光損失は、光ファイバ芯線の光接続部及び光ファイバ芯線の余長を収容する収容部(クロージャー部と称する場合がある。)において発生することが多い。
【0018】
グラフ101及びグラフ102を用いることで、例えば、位置(a)の近傍にある収容部において何らかの異常が発生していると推測することができる。しかし、グラフ101及びグラフ102からは、位置(a)における異常の原因又は異常の種類を特定することはできない。また、位置(a)における異常の程度を把握することはできない。
【0019】
一方、特許文献1には、曲げによる光損失量の波長依存性が、軸ずれによる光損失量の波長依存性よりも大きいことを利用して、光ファイバ芯線において異常な曲げが発生している箇所を特定する方法が記載されている。具体的には、まず、波長の異なる2つの光のそれぞれについて、OTDRを用いて後方散乱光の光パワーを測定して、異常な光損失が発生している箇所を特定する。次に、異常な光損失が発生している箇所におけるマクロベンディング指数k
macroを算出する。そして、マクロベンディング指数k
macroが予め定められた基準値よりも大きい場合に、当該箇所における異常な光損失は異常な曲げによると判断することで、光ファイバ芯線において異常な曲げが発生している箇所を特定している。
【0020】
ここで、マクロベンディング指数k
macroは、下記の式(1)により算出することができる。
k
macro={Loss(λ
2)−Loss(λ
1)}/(λ
2−λ
1) (式1)
式1において、λ
1及びλ
2は、光ファイバ芯線に入射され、後方散乱光の光パワーを測定された試験光の波長[nm]を表す。なお、λ
2>λ
1であることが好ましい。Loss(λ
1)は、試験光の波長がλ
1である場合の、光ファイバ芯線の特定箇所における光損失量[dB]を表す。Loss(λ
2)は、試験光の波長がλ
2である場合の、光ファイバ芯線の特定箇所における光損失量[dB]を表す。
【0021】
マクロベンディング指数k
macroは、波長対損失特性の傾きを表す。波長対損失特性は、複数の波長と、複数の波長のそれぞれにおける光ファイバ芯線の特定箇所における光パワーの変化量との関係を示す。波長対損失特性は、光ファイバ芯線の特定箇所における光パワーの変化量の波長依存性を表す。波長対損失特性は、例えば、波長を横軸とし、光ファイバ芯線の特定位置における光パワーの変化量を縦軸として、後方散乱光の光パワーを測定した波長の値と、当該波長における光パワーの変化量との関係をプロットすることで決定することができる。なお、波長対損失特性の決定方法は、複数の波長のそれぞれと、それぞれの波長における光パワーの変化量との対応関係を取得できる方法であれば特に限定されない。また、上記の特定箇所は、第1の箇所の一例であってよい。
【0022】
特許文献1に記載の方法によれば、位置(a)において光ファイバ芯線に異常な曲げが発生しているか否かを判断することができる。しかし、位置(a)における異常の程度を直観的に把握することは難しい。
【0023】
その後の研究により、マクロベンディング指数k
macroの値が正である場合には、光ファイバ芯線に異常な曲げが発生していると判断してよく、マクロベンディング指数k
macroの値が負である場合には、融着接続不良による軸ずれが発生していると判断してよいことがわかってきた。そこで、本研究者らは、波長対損失特性を用いて、位置(a)における異常の程度を把握する装置、方法及びプログラムについて検討した。
【0024】
波長対損失特性を用いて、位置(a)における光ファイバ芯線の曲げの程度を把握する方法としては、測定対象となる光ファイバ芯線のそれぞれについて、マクロベンディング指数k
macroと曲げの曲率半径との関係を予め求めておくことが考えられる。また、波長対損失特性を用いて、位置(a)における光ファイバ芯線の軸ずれの程度を把握する方法としては、測定対象となる光ファイバ芯線のそれぞれについて、マクロベンディング指数k
macroと軸ずれ量との関係を予め求めておくことが考えられる。
【0025】
これにより、マクロベンディング指数k
macroを決定することで、予め求めておいた関係に基づいて、曲率半径及び軸ずれ量を決定することができる。特に、マクロベンディング指数k
macroは、光ファイバ芯線の一方の端部における測定により決定することができるので、光ファイバ芯線の異常の解析が容易になる。
【0026】
しかし、実際のOTDRに搭載されている半導体レーザの波長は、OTDRによる個体差が大きく、約±20%程度の個体差が生じる場合もある。マクロベンディング指数k
macroは測定波長に依存するので、上記の方法によれば、OTDRを変更するたびに、光ファイバ芯線のそれぞれについて上記の関係を決定することになり、非常に煩雑な作業を伴う。
【0027】
そこで、本発明者らは、現実に光ファイバ芯線に異常な曲げが発生している事例において、光ファイバ芯線が何回も巻きつけられるような事例は少ないことに着目した。その結果、光ファイバの巻き数が第1の規定値であると仮定して、光ファイバ芯線の巻き数が第1の規定値である場合における光ファイバ芯線の第1の箇所の曲率半径(仮想的な曲率半径と称する場合がある。)を決定することで、光ファイバ芯線の曲げの程度を把握するという技術的思想に想到した。
【0028】
また、現実には、接続される2つの光ファイバ芯線のスポットサイズがほぼ等しいことに着目して、光ファイバ芯線の第1の箇所において接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズの比が第2の規定値であると仮定して、当該比が第2の規定値である場合における光ファイバ芯線の第1の箇所の軸ずれ量(仮想的な軸ずれ量と称する場合がある。)を決定することで、光ファイバ芯線の軸ずれの程度を把握するという技術的思想に想到した。
【0029】
(仮想的な曲率半径)
図2は、巻き数が1回転であると仮定した場合の曲率半径R[mm]とマクロベンディング指数k
macro[dB/nm]との関係の波長依存性を表すグラフの一例を示す。
図2を用いて、仮想的な曲率半径を用いて光ファイバ芯線の曲げの程度を把握する実施形態の一例について説明する。本実施形態においては、OTDRにおける測定波長λ
1及びλ
2と、マクロベンディング指数k
macroと、仮想的な曲率半径Rとの関係を予め算出しておく場合について説明する。
【0030】
図2は、第1の波長λ
1及び巻き数をそれぞれ1310nm及び1回転に固定して、曲率半径R及び第2の波長λ
2を様々に変化させた場合におけるマクロベンディング指数k
macroの計算結果を示す。マクロベンディング指数k
macroは、後述の式(9)により決定したKの値を用いて算出した。
図2において、グラフ201、グラフ202、グラフ203、グラフ204、グラフ205、グラフ206、グラフ207、グラフ208、グラフ209、グラフ210及びグラフ211は、それぞれ、曲率半径Rが5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm及び15mmの場合の計算結果を示す。
【0031】
本実施形態において、光ファイバ芯線の曲げの程度は、以下の手順により把握することができる。まず、例えば、OTDRを用いて1310nm及び1500nmの波長における後方散乱光の光パワーを測定する。次に、測定結果と測定波長の値とを用いてマクロベンディング指数k
macroを決定する。決定されたマクロベンディング指数k
macroの値が正である場合には、光ファイバ芯線に曲げによる異常が発生していると判断する。決定されたマクロベンディング指数k
macroの値が、例えば0.005[dB/nm]であった場合、
図2から、巻き数が1回転であると仮定した場合の仮想的な曲率半径は8mmであると決定することができる。また、マクロベンディング指数k
macroの値が0.010[dB/nm]であった場合には、巻き数が1回転であると仮定した場合の仮想的な曲率半径は7mmから8mmの間であると決定することができる。
【0032】
マクロベンディング指数k
macroは波長対損失特性の傾きの一例であるから、
図2に示すように、光ファイバ芯線の巻き数nが第1の規定値であると仮定することで、波長対損失特性を用いて、仮想的な曲率半径を決定することができる。仮想的な曲率半径の値を決定することで、光ファイバ芯線の曲げの程度を直観的に把握することができ、光ファイバ芯線の異常を容易に評価できるようになる。なお、光ファイバの巻き数nは1に限定されない。光ファイバの巻き数nは0以上1以下の値であってもよい。
【0033】
本実施形態によれば、OTDRを変更した場合であっても、当該OTDRによる測定波長λ
1及びλ
2と、測定波長λ
1及びλ
2のそれぞれの場合における後方散乱光の光パワーに関する情報とを用いて、光ファイバ芯線の曲げの程度を決定することができる。なお、OTDRの個体差により、実際の測定波長λ
1と、
図2の関係の計算に用いた第1の波長とが異なる場合であっても、おおよその曲げの程度を決定することができる。また、
図2に示すとおり、2つの測定波長λ
1及びλ
2の波長差が大きいほど、仮想的な曲率半径を精度よく決定することができる。
【0034】
本実施形態において、OTDRにおける測定波長λ
1及びλ
2と、マクロベンディング指数k
macroと、仮想的な曲率半径Rとを予め算出しておく場合について説明した。しかし、仮想的な曲率半径を用いて、光ファイバ芯線の曲げの程度を把握する方法はこれに限定されない。OTDRにおける測定波長λ
1及びλ
2と、OTDRの測定結果とを用いて、例えば、以下の手順により仮想的な曲率半径を算出してもよい。
【0035】
本実施形態においては、まず、波長λの光の光損失量Loss
bend(λ)と、光ファイバ芯線の曲げの曲率半径Rとの関係を決定する。例えば、光ファイバ芯線がシングルモード光ファイバである場合、光ファイバ芯線が曲率半径Rの曲線を描いてn回転している場合における、波長λの光の光損失量Loss
bend(λ)は、下記の式(2)を用いて決定することができる。
【数1】
【0036】
式(2)において、α(λ)、A(λ)及びB(λ)は、Marcuseの式より、それぞれ、下記の式(3)、式(4)及び式(5)を用いて表すことができる(詳細については、D. Marcuse, "Curvature loss formula for optical fibers," Journal of Optical Society of America, Vol. 66, No. 3, pp. 216-220, 1976.を参照。)。
【数2】
【数3】
【数4】
【0037】
式(3)〜式(5)において、β
gは伝搬定数を表し、K
1は変形ベッセル関数を表す。また、к、γ及びVは、それぞれ、下記の式(6)、式(7)及び式(8)を用いて表すことができる。なお、к、γ及びVはλの関数であるが、表現を簡素化する目的で、к(λ)をк、γ(λ)をγ、V(λ)をVとして表す場合がある。
【数5】
【数6】
【数7】
【0038】
式(6)〜式(8)において、n
1は光ファイバ芯線のコアの屈折率を表し、n
2は光ファイバ芯線のクラッドの屈折率を表す。kは波数を表し、k=2π/λである。aは光ファイバ芯線のコア半径を表す。
【0039】
次に、波長がλ
2である場合の光損失量Loss
bend(λ
2)と、波長がλ
1である場合の光損失量Loss
bend(λ
1)との差Kと、曲率半径Rとの関係を決定する。本実施形態において、波長がλ
2である場合の光損失量Loss
bend(λ
2)と、波長がλ
1である場合の光損失量Loss
bend(λ
1)との差Kは、下記の式(9)によって決定することができる。
【数8】
【0040】
次に、KとRとの関係式に含まれる要素のうち、OTDRを用いた測定の測定条件及び測定結果から一義的に決定することができない要素のうち、曲率半径R以外の要素が、特定の値(規定値と称する場合がある。)であると仮定して、曲率半径Rを決定する。本実施形態において、式(9)に含まれる要素のうち、巻き数n及び曲率半径R以外の要素は、OTDRを用いた測定の測定条件及び測定結果から一義的に決定することができる。そこで、巻き数nが規定値であると仮定することで、曲率半径Rを決定することができる。これにより、仮想的な曲率半径Rを決定することができる。
【0041】
本実施形態においては、シングルモード光ファイバにおける波長λの光の光損失量Loss
bend(λ)と、曲率半径Rとの関係を、Marcuseの式を利用して導出する場合について説明した。しかし、光損失量Loss
bend(λ)と曲率半径Rとの関係を導出する方法はこれに限定されない。他の例として、他の理論式、実験式及び経験式の少なくとも1つに基づいて、当該関係を導出してもよい。
【0042】
本実施形態においては、光ファイバ芯線の巻き数が第1の規定値であると仮定して、異常の評価に利用することができる仮想的な曲率半径を決定する場合について説明した。しかし、仮想的な曲率半径を決定する方法はこれに限定されない。上記の他の例における他の理論式、実験式又は経験式に含まれる要素のうち、測定条件及び測定結果から一義的に決定することができない要素のうち、曲率半径R以外の1以上の要素が、それぞれ対応する規定値であると仮定して、仮想的な曲率半径を決定してもよい。曲率半径R以外の1以上の要素の値を適切な値に設定することで、決定された仮想的な曲率半径の値から、光ファイバ芯線の曲げの程度を直観的に把握することができる。
【0043】
(仮想的な軸ずれ量)
図3は、軸ずれ量d[μm]とマクロベンディング指数[dB/nm]との関係の波長依存性を表すグラフの一例を示す。
図3を用いて、仮想的な軸ずれ量を用いて光ファイバ芯線の軸ずれの程度を把握する実施形態の一例について説明する。本実施形態においては、OTDRにおける測定波長λ
1及びλ
2と、マクロベンディング指数k
macroと、仮想的な軸ずれ量dとの関係を予め算出しておく場合について説明する。
【0044】
図3は、第1の波長λ1を1310nmに固定して、軸ずれ量d及び第2の波長λ2を様々に変化させた場合における、式(1)及び式(15)によるマクロベンディング指数k
macroの計算結果を示す。マクロベンディング指数k
macroは、接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズw
1及びw
2の比が1であると仮定して、後述の式(16)により決定したKの値を用いて算出した。
図3において、グラフ301、グラフ302、グラフ303、グラフ304及びグラフ305は、それぞれ、軸ずれ量dが1μm、2μm、3μm、4μm及び5μmの場合の計算結果を示す。
【0045】
本実施形態において、光ファイバ芯線の軸ずれの程度は、以下の手順により把握することができる。まず、例えば、OTDRを用いて1310nm及び1500nmの波長における後方散乱光の光パワーの測定を測定する。次に、測定結果と測定波長の値とを用いてマクロベンディング指数k
macroを決定する。決定されたマクロベンディング指数k
macroの値が負である場合には、光ファイバ芯線に軸ずれによる異常が発生していると判断する。決定されたマクロベンディング指数k
macroの値が、例えば−0.005[dB/nm]であった場合、
図3から、接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズw
1及びw
2の比が1であると仮定した場合の仮想的な軸ずれ量は5μmであると決定することができる。
【0046】
マクロベンディング指数k
macroは波長対損失特性の傾きの一例であるから、
図3に示すように、接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズw
1及びw
2の比が第2の規定値であると仮定することで、波長対損失特性を用いて、仮想的な軸ずれ量を決定することができる。仮想的な軸ずれ量の値を決定することで、光ファイバ芯線の軸ずれの程度を直観的に把握することができ、光ファイバ芯線の異常を容易に評価できるようになる。
【0047】
なお、接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズw
1及びw
2の比は1に限定されない。接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズw
1及びw
2の比は、波長ごとに異なる値であってもよい。しかし、現実の伝送路においては、接続される2本の光ファイバ芯線の製造ロットは同一である場合が多い。特に、光ファイバ芯線がシングルモード光ファイバである場合には、一般的に、光ファイバ芯線の特性はほぼ同一である。したがって、接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズw
1及びw
2の比を1と仮定することで、現実の状況をよりよく再現することができる。その結果、決定された仮想的な軸ずれ量の値から、光ファイバ芯線の軸ずれの程度を直観的に把握することが容易になる。
【0048】
本実施形態によれば、OTDRを変更した場合であっても、当該OTDRによる測定波長λ
1及びλ
2と、測定波長λ
1及びλ
2のそれぞれの場合における後方散乱光の光パワーに関する情報とを用いて、光ファイバ芯線の軸ずれの程度を決定することができる。なお、OTDRの個体差により、実際の測定波長λ
1と、
図3の関係の計算に用いた第1の波長とが異なる場合であっても、おおよその軸ずれの程度を決定することができる。また、
図3に示すとおり、
図3におけるマクロベンディング指数k
macroの絶対値は、
図2の場合と比較して小さいことがわかる。
【0049】
本実施形態において、OTDRにおける測定波長λ
1及びλ
2と、マクロベンディング指数k
macroと、仮想的な軸ずれ量dとを予め算出しておく場合について説明した。しかし、仮想的な軸すれ量を用いて、光ファイバ芯線の軸ずれの程度を把握する方法はこれに限定されない。仮想的な曲率半径の場合と同様にして、OTDRにおける測定波長λ
1及びλ
2と、OTDRの測定結果とを用いて、例えば、以下の手順により仮想的な軸ずれ量を算出してもよい。
【0050】
本実施形態においては、まず、波長λの光の光損失量Los
splice(λ)と、光ファイバ芯線の軸ずれ量dとの関係を決定する。例えば、光ファイバ芯線がシングルモード光ファイバである場合、2本の光ファイバ芯線が軸ずれ量dだけ軸ずれしている場合における、波長λの光の光損失量Loss
splice(λ)は、下記の式(10)を用いて決定することができる。
Loss
splice(λ)= −10log
10(Td) …式(10)
【0051】
式(10)において、T
dは、Marcuseの式より、下記の式(11)を用いて表すことができる(詳細については、D. Marcuse, "Loss analysis of single-mode fiber splices," Bell System Technical Journal, Vol. 56, No. 5, pp. 703-718, 1977.を参照。)。
【数9】
【0052】
式(11)において、w
1及びw
2は、接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズである。式(11)において、Dは下記の式(12)を用いて表すことができる。式(11)において、Cは下記の式(13)を用いて表すことができる。式(13)に示すとおり、Cは、λによらず、スポットサイズw
1及びw
2の比に応じた値になることがわかる。なお、Td、w
1、w
2、C及びDはλの関数であるが、表現を簡素化する目的で、Td(λ)をTd、w
1(λ)をw
1、w
2(λ)をw
2、C(λ)をC、D(λ)をDとして表す場合がある。
【数10】
【数11】
【0053】
光ファイバ芯線のスポットサイズは、MFD(Mode Field Diameter)の2分の1として定義される。MFDは、下記の式(14)を用いて表すことができる。式(14)において、aは上記のとおり光ファイバ芯線のコア半径であり、Vは上記の式(8)を用いて表される(詳細については、D. Marcuse, "Loss analysis of single-mode fiber splices," Bell System Technical Journal, Vol. 56, No. 5, pp. 703-718, 1977.を参照。)。
【数12】
【0054】
ここで、スポットサイズw
1及びw
2の比が1であると仮定した場合には、波長λの光の光損失量Loss
splice(λ)は、下記の式(15)を用いて決定することができる。
Loss
splice(λ)= 4.343d
2D(λ) …式(15)
【0055】
したがって、波長がλ
2である場合の光損失量Loss
splice(λ
2)と、波長がλ
1である場合の光損失量Loss
splice(λ
1)との差Kは、下記の式(16)によって決定することができる。式(16)において、軸ずれ量d以外の要素は、OTDRを用いた測定の測定条件及び測定結果から一義的に決定することができる。
【数13】
【0056】
本実施形態においては、シングルモード光ファイバにおける波長λの光の光損失量Loss
splice(λ)と、軸ずれ量dとの関係を、Marcuseの式を利用して導出する場合について説明した。しかし、光損失量Loss
splice(λ)と軸ずれ量dとの関係を導出する方法はこれに限定されない。他の例として、他の理論式、実験式及び経験式の少なくとも1つに基づいて、当該関係を導出してもよい。
【0057】
本実施形態においては、接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズw
1及びw
2の比が第2の規定値であると仮定して、異常の評価に利用することができる仮想的な軸ずれ量を決定する場合について説明した。しかし、仮想的な軸ずれ量を決定する方法はこれに限定されない。接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズw
1及びw
2の比は、波長ごとに異なる値であってよい。つまり、第2の規定値は、波長によらない一定の値であってもよく、波長に応じて定まる値であってもよい。また、式(8)及び式(14)に、接続される2本の光ファイバ芯線のそれぞれの物性値と波長λとを代入して、波長λにおけるスポットサイズw
1及びw
2のそれぞれの値を決定してもよい。
【0058】
さらに、上記の他の例における他の理論式、実験式又は経験式に含まれる要素のうち、測定条件及び測定結果から一義的に決定することができない要素のうち、軸ずれ量d以外の1以上の要素が、それぞれ対応する規定値であると仮定して、仮想的な軸ずれ量を決定してもよい。軸ずれ量d以外の1以上の要素の値を適切な値に設定することで、決定された仮想的な軸ずれ量の値から、光ファイバ芯線の軸ずれの程度を直観的に把握することができる。
【0059】
なお、実験式又は経験式により特定の波長λにおけるスポットサイズw
1及びw
2の値を決定することができる場合には、当該実験式又は経験式から決定されたスポットサイズw
1及びw
2の値を用いて、軸ずれ量dを決定してもよい。また、スポットサイズw
1及びw
2を実際に測定して、実際に測定して得られた値を用いて、軸ずれ量dを決定してもよい。
【0060】
図4は、異常検出装置400の一例を概略的に示す。異常検出装置400は、光ファイバ芯線の複数の位置における光損失量を測定して、当該光ファイバ芯線において異常が発生している箇所を判断する。本実施形態において、異常検出装置400は、光パワー測定部410と、異常箇所特定部420と、異常量決定部430と、光ファイバ芯線データベース440とを備える。異常量決定部430は、特性決定部432と、判断部434と、曲率半径決定部436と、軸ずれ量決定部438とを有する。異常検出装置400及び光パワー測定部410は、測定装置の一例であってよい。異常検出装置400及び異常量決定部430は、装置の一例であってよい。
【0061】
光パワー測定部410は、光ファイバ芯線の少なくとも一部を通過する光の光パワーを測定する。本実施形態において、光パワー測定部410は、光ファイバ芯線の一端から光ファイバ芯線に試験光を入射する。また、光パワー測定部410は、入射端からの距離が異なる複数の位置から入射端にむけて戻る後方散乱光の光パワーを測定する。これにより、光ファイバ芯線の入射端から入射させた光の入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光の光パワーに関する情報を取得することができる。
【0062】
光パワー測定部410は、複数の波長について、後方散乱光の光パワーを測定してよい。これにより、複数の波長のそれぞれについての上記の光パワーに関する情報を取得することができる。後方散乱光の光パワーは、入射端において測定されてよい。光パワー測定部410によって測定された光パワーの変化量は、光ファイバ芯線のそれぞれの箇所における光損失量を示す。光パワー測定部410は、OTDRであってよい。
【0063】
本実施形態において、光パワー測定部410は、光パワーに関する情報を異常箇所特定部420と、異常量決定部430と、曲率半径決定部436と、軸ずれ量決定部438とに出力する。光パワーに関する情報は、測定対象である光ファイバ芯線を識別するための識別情報、測定に用いられた波長に関する情報、及び、当該光ファイバ芯線の複数の位置からの後方散乱光の光パワーの少なくとも1つを含んでよい。
【0064】
異常箇所特定部420は、予め定められた光損失量よりも大きな光損失が発生している異常箇所を特定する。本実施形態において、異常箇所特定部420は、光パワー測定部410から、複数の位置からの後方散乱光の光パワーを受け取る。異常箇所特定部420は、特定した異常箇所を特性決定部432に出力する。
【0065】
本実施形態において、異常箇所特定部420は、受け取った複数の位置のそれぞれにおける光パワーに基づいて、それぞれの位置における単位距離当りの光パワーの変化量を決定する。異常箇所特定部420は、単位距離当りの光パワーの変化量の絶対値が予め定められた値に等しい又は予め定められた値よりも大きい場合に、当該箇所を異常箇所として特定する。これにより、光パワーが急激に変動した箇所を異常箇所として特定することができる。
【0066】
異常箇所特定部420は、光パワーの変化量の絶対値が急激に変動した箇所を異常箇所として特定してもよい。異常箇所特定部420は、光パワーの変化量の絶対値が急激に増加した箇所を検出して、当該箇所を異常箇所として特定してもよい。異常箇所特定部420は、公知の方法により、後方散乱光が発生した位置までの距離を補正してよい。例えば、異常箇所特定部420は、複数の波長の少なくとも1つの波長の波長分散値又は群遅延を用いて、複数の波長の少なくとも1つの波長の後方散乱光が発生した位置までの距離を補正することができる。
【0067】
異常量決定部430は、光ファイバ芯線の特定箇所における異常の程度を示す指標である異常量を決定する。異常量としては、光ファイバ芯線の曲げの程度を示す曲率半径もしくはそれに類似する量、又は、光ファイバ芯線の軸ずれの程度を示す軸ずれ量もしくはそれに類似する量を例示することができる。
【0068】
本実施形態において、異常量決定部430は、光パワー測定部410から、測定対象の光ファイバ芯線の後方散乱光の光パワーに関する情報を取得する。異常量決定部430は、異常箇所特定部420から、異常箇所の位置に関する情報を取得する。異常量決定部430は、光ファイバ芯線データベースから、異常量の決定に用いる情報を取得する。異常量の決定に用いる情報は、光ファイバ芯線の種類、伝搬定数β
g、光ファイバ芯線のコアの屈折率n
1、光ファイバ芯線のクラッドの屈折率n
2、光ファイバ芯線のコア半径a、ならびに、1以上の波長におけるスポットサイズw
1及びw
2の値の少なくとも1つを含んでよい。
【0069】
本実施形態において、異常量決定部430が、曲率半径決定部436及び軸ずれ量決定部438を有し、
図2及び
図3に関連して説明した仮想的な曲率半径及び仮想的な軸ずれ量を決定する場合について説明する。しかし、異常量決定部430はこれに限定されない。異常量決定部430は、曲率半径決定部436及び軸ずれ量決定部438の一方を有して、仮想的な曲率半径及び仮想的な軸ずれ量の一方を決定してもよい。
【0070】
特性決定部432は、複数の波長について、光ファイバ芯線の入射端から入射させた光の入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光の光パワーを測定して得られる複数の波長のそれぞれについての光パワーに関する情報と、複数の波長の値とを用いて、光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定する。特性決定部432は、波長対損失特性の傾きを決定してもよい。
【0071】
本実施形態において、特性決定部432は、光パワー測定部410から、測定対象の光ファイバ芯線の後方散乱光の光パワーに関する情報を取得する。特性決定部432は、異常箇所特定部420から、異常箇所の位置に関する情報を取得する。特性決定部432は、判断部434に、異常箇所における光ファイバ芯線の波長対損失特性を出力する。特性決定部432は、判断部434に、異常箇所における光ファイバ芯線の波長対損失特性の傾きを出力してよい。
【0072】
本実施形態において、特性決定部432は、光パワー測定部410が測定した複数の波長のそれぞれについての光パワーと、測定に用いられた複数の波長の値とを用いて、光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定する。具体的には、特性決定部432は、複数の波長の値と、複数の波長のそれぞれについての異常箇所での光パワーの変化量との関係に基づいて、異常箇所における波長対損失特性を決定する。
【0073】
特性決定部432は、異常箇所が複数ある場合は、それぞれの異常箇所における波長対損失特性を決定してよい。特性決定部432は、2つの波長の値と、2つの波長のそれぞれについての異常箇所での光パワーの変化量とを用いて、式(1)に基づいて、異常箇所における波長対損失特性の傾きを決定してよい。特性決定部432は、3以上の波長と、3以上の波長のそれぞれについての異常箇所での光パワーの変化量とに基づいて、適切な近似法(例えば、最小二乗法。)を用いて、波長対損失特性の傾きを決定してもよい。
【0074】
判断部434は、波長対損失特性の傾きが、第3の規定値に等しいか否か又は第3の規定値よりも大きいか否かを判断する。本実施形態において、判断部434は、波長対損失特性の傾きが、第3の規定値に等しいか否か又は第3の規定値よりも大きいか否かを判断して、異常量決定部430において決定する異常量の種類を決定する。
【0075】
本実施形態において、判断部434は、特性決定部432から、異常箇所における波長対損失特性と波長対損失特性の傾きとを取得する。判断部434は、曲率半径決定部436及び軸ずれ量決定部438のいずれか一方に対して、異常量を決定させるための指示を出力する。判断部434は、上記の指示とともに、異常箇所における波長対損失特性を出力してよい。
【0076】
本実施形態において、判断部434は、式(1)を用いて求められたマクロベンディング指数k
macroが0より大きいか否かを判断する。判断部434は、式(1)を用いて求められたマクロベンディング指数k
macroが0より大きい場合には、判断部434は、曲率半径決定部436に対して、
図2に関連して説明した仮想的な曲率半径を決定させるための指示を出力する。本実施形態において、判断部434は、式(1)を用いて求められたマクロベンディング指数が0より小さいか否かを判断する。判断部434は、式(1)を用いて求められたマクロベンディング指数k
macroが0より小さい場合には、判断部434は、軸ずれ量決定部438に対して、
図3に関連して説明した仮想的な軸ずれ量を決定させるための指示を出力する。
【0077】
曲率半径決定部436は、光ファイバ芯線の異常箇所における曲げの程度を決定する。曲率半径決定部436は、光ファイバ芯線の巻き数が第1の規定値であると仮定して、波長対損失特性及び第1の規定値を用いて、光ファイバ芯線の巻き数が第1の規定値である場合における曲率半径を決定する。
【0078】
本実施形態において、曲率半径決定部436は、判断部434から、曲率半径を決定すべき旨の指示を受け取る。これにより、曲率半径決定部436は、波長対損失特性の傾きが第3の規定値に等しい又は第3の規定値よりも大きい場合に、曲率半径を決定する。このとき、曲率半径決定部436は、判断部434から、異常箇所における波長対損失特性を受け取ってよい。
【0079】
本実施形態において、曲率半径決定部436は、光パワー測定部410から、光パワーに関する情報を受け取る。光パワーに関する情報は、測定対象である光ファイバ芯線を識別するための識別情報と、測定に用いられた波長に関する情報と含んでよい。曲率半径決定部436は、光ファイバ芯線データベース440に、光ファイバ芯線を識別するための識別情報を出力する。曲率半径決定部436は、光ファイバ芯線データベース440から、当該識別情報に対応付けられており、上記の曲率半径の決定に用いられる情報を取得する。
【0080】
例えば、曲率半径決定部436は、光ファイバ芯線データベース440から、伝搬定数β
g、光ファイバ芯線のコアの屈折率n
1、光ファイバ芯線のクラッドの屈折率n
2及び光ファイバ芯線のコア半径aを取得する。次に、取得した情報を用いて、式(9)に基づいて、巻き数を特定の回数に仮定した場合における曲率半径を決定する。曲率半径決定部436は、上記巻き数が1であると仮定して、曲率半径を決定してよい。曲率半径決定部436は、決定した曲率半径を、曲げの程度を把握するための指標として出力する。巻き数の値を適切に設定することで、直観的に理解しやすい指標を提供することができる。
【0081】
軸ずれ量決定部438は、光ファイバ芯線の異常箇所における軸ずれの程度を決定する。軸ずれ量決定部438は、接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズの比が第2の規定値であると仮定して、波長対損失特性及び第2の規定値を用いて、比が第2の規定値である場合における光ファイバ芯線の第1の箇所の軸ずれ量を決定する。
【0082】
本実施形態において、軸ずれ量決定部438は、判断部434から、軸ずれ量を決定すべき旨の指示を受け取る。これにより、軸ずれ量決定部438は、波長対損失特性の傾きが第3の規定値に等しい又は第3の規定値よりも小さい場合に、軸ずれ量を決定する。このとき、軸ずれ量決定部438は、判断部434から、異常箇所における波長対損失特性を受け取ってよい。
【0083】
本実施形態において、軸ずれ量決定部438は、光パワー測定部410から、光パワーに関する情報を受け取る。光パワーに関する情報は、測定対象である光ファイバ芯線を識別するための識別情報と、測定に用いられた波長に関する情報と含んでよい。曲率半径決定部436は、光ファイバ芯線データベース440に、光ファイバ芯線を識別するための識別情報を出力する。軸ずれ量決定部438は、光ファイバ芯線データベース440から、当該識別情報に対応付けられており、上記の軸ずれ量の決定に用いられる情報を取得する。
【0084】
例えば、軸ずれ量決定部438は、光ファイバ芯線データベース440から、光ファイバ芯線のコアの屈折率n
1、光ファイバ芯線のクラッドの屈折率n
2及び光ファイバ芯線のコア半径aを取得して、式(15)に基づいて、接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズの比が特定の値であると仮定した場合における軸ずれ量を決定する。軸ずれ量決定部438は、上記比が1であると仮定して軸ずれ量を決定してよい。軸ずれ量決定部438は、決定した軸ずれ量を、軸ずれの程度を把握するための指標として出力する。上記の比の値を適切に設定することで、直観的に理解しやすい指標を提供することができる。
【0085】
光ファイバ芯線データベース440は、光ファイバ芯線の識別情報と、異常量の決定に用いる情報とを対応付けて格納する。異常量の決定に用いる情報は、光ファイバ芯線の種類、伝搬定数β
g、光ファイバ芯線のコアの屈折率n
1、光ファイバ芯線のクラッドの屈折率n
2、光ファイバ芯線のコア半径a、ならびに、1以上の波長におけるスポットサイズw
1及びw
2の値の少なくとも1つを含んでよい。
【0086】
光ファイバ芯線データベース440は、ハードディスク、CD−ROM、ICカード、フラッシュメモリなどの記憶装置又は記憶媒体であってもよい。光ファイバ芯線データベース440は、仮想化又はクラウド化された記憶装置又は記憶媒体であってもよい。光ファイバ芯線データベース440は、ROM、RAM、キャッシュメモリなどのメモリであってもよい。
【0087】
異常検出装置400及び異常検出装置400の各部は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。異常検出装置400は、それぞれの用途に特化したシステムであってもよく、パーソナルコンピュータ等の汎用の情報処理装置であってもよい。上記の特化したシステム及び情報処理装置は、単一のコンピュータにより構成されてもよく、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータにより構成されてもよい。
【0088】
プログラムが実行されることにより、コンピュータが、異常検出装置400又は異常検出装置400の一部として機能してもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置と、入力装置と、出力装置と、記憶装置とを備えた一般的な構成の情報処理装置において、異常検出装置400の各部の動作を規定したソフトウエア又はプログラムを起動することにより、異常検出装置400が実現されてよい。コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係る異常検出装置400又は異常検出装置400の一部として機能させるプログラムは、異常検出装置400又は異常検出装置400の各部の動作を規定したモジュールを備える。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、異常検出装置400又は異常検出装置400の各部としてそれぞれ機能させる。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の測定装置を構築することができる。
【0089】
異常検出装置400の各部は、互いの機能の一部を実行してもよい。例えば、曲率半径決定部436及び軸ずれ量決定部438が、本実施形態において説明した判断部434における処理の一部又は全部を実行してもよい。また、光パワー測定部410が、本実施形態において説明した特性決定部432及び異常箇所特定部420の少なくとも一方における処理の一部又は全部を実行してもよい。
【0090】
図5は、異常検出装置400における異常量の決定方法の一例を概略的に示す。本実施形態において、ステップ502(ステップをSと称する場合がある。)において、複数の波長について、光ファイバ芯線の入射端から入射させた光の入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光の光パワーを測定する。光パワーの測定は、光パワー測定部410により実行されてよい。これにより、複数の波長のそれぞれについての光パワーに関する情報を取得することができる。
【0091】
S504において、光パワーに関する情報を用いて、予め定められた光損失量よりも大きな光損失が発生している部位を異常箇所として特定する。例えば、まず、複数の位置のそれぞれにおける光パワーに基づいて、それぞれの位置における単位距離当りの光パワーの変化量を決定する。次に、単位距離当りの光パワーの変化量の絶対値が予め定められた値に等しい又は予め定められた値よりも大きい場合に、当該箇所を異常箇所として特定する。異常箇所の特定は、異常箇所特定部420により実行されてよい。
【0092】
S506において、複数の波長のそれぞれについての光パワーに関する情報と、複数の波長の値とを用いて、光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定する。このとき、異常箇所について、光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定してよい。波長対損失特性は、例えば、波長を横軸とし、光ファイバ芯線の特定位置における光パワーの変化量を縦軸として、後方散乱光の光パワーを測定した波長と、当該波長における光パワーの変化量をプロットすることで決定することができる。波長対損失特性の決定は、特性決定部432により実行されてよい。
【0093】
S508において、光ファイバ芯線の波長対損失特性の傾きが、規定値よりも大きいか否かを判断する。例えば、式(1)を用いて求められたマクロベンディング指数k
macroが0より大きいか否かを判断する。当該判断は、判断部434により実行されてよい。
【0094】
マクロベンディング指数k
macroが0より大きい場合(S508のYes)には、S510において、光ファイバ芯線の異常箇所における曲げの程度を決定する。例えば、式(9)において光ファイバ芯線の巻き数が規定値であると仮定して、波長対損失特性及び当該規定値を用いて、式(9)に基づいて、光ファイバ芯線の巻き数が当該規定値である場合における曲率半径を決定する。曲率半径の決定は、曲率半径決定部436により実行されてよい。曲率半径を決定したら、処理を終了する。
【0095】
マクロベンディング指数k
macroが0より大きくない場合(S508のNO)には、S512において、光ファイバ芯線の異常箇所における軸ずれの程度を決定する。例えば、式(15)において接続される2本の光ファイバ芯線のスポットサイズの比が規定値であると仮定して、波長対損失特性及び当該規定値を用いて、式(15)に基づいて、比が当該規定値である場合における光ファイバ芯線の軸ずれ量を決定する。軸ずれ量の決定は、軸ずれ量決定部438により実行されてよい。軸ずれ量を決定したら、処理を終了する。なお、マクロベンディング指数k
macroが0である場合には、S510において、光ファイバ芯線の異常箇所における曲げの程度を決定してもよく、S512において、光ファイバ芯線の異常箇所における軸ずれの程度を決定してもよい。
【0096】
以上において、光パワー測定部410からの測定結果を用いて、曲率半径及び軸ずれ量の少なくとも一方を決定する装置、方法、コンピュータ読み取り可能な媒体及びプログラムについて説明した。本実施形態において、光パワー測定部410は、試験光の波長を変えて、それぞれの試験光について、順番に一連の試験を実施することで、複数の波長のそれぞれについて光パワーに関する情報を取得してもよい。また、光パワー測定部410は、波長の異なる複数の光パルスを含む試験光を用いて一連の試験を実施することで、複数の波長のそれぞれについて光パワーに関する情報を取得してもよい。なお、一連の試験においては、光パルスの光ファイバ芯線への入射と、後方散乱光の光パワーの測定とが繰り返し実施される。
【0097】
ここで、複数の波長の光パルスを含む試験光を用いて一連の試験を実施する場合には、試験光の波長を変えて、それぞれの試験光について、一連の試験を順番に実施する場合と比較して、試験時間を短縮することができる。また、試験時間が短縮されることにより、光ファイバ芯線の異常箇所及び異常の程度の検出精度が向上する。
【0098】
例えば、波長の異なる複数の試験光のそれぞれについて光ファイバ芯線の試験を実施して、光ファイバ芯線の波長対損失特性を算出する場合、試験光の波長を変えて、それぞれの試験光について一連の試験を実施している間に、光ファイバ芯線の周囲の環境が変化して、上記の検出精度を向上させることが難しい場合がある。これに対して、複数の波長の光パルスを含む試験光を用いて一連の試験を実施した場合には、複数の波長の光パルスを含む試験光は、その繰り返し周期内において、ほぼ同時に又はわずかな時間をおいて光ファイバ芯線に送出される。そのため、繰り返し周期内においては、複数の光パルスを含む試験光が送出される各時間における光ファイバ芯線の周囲の環境条件は、ほぼ同一とみなすことができる。これにより、光ファイバ芯線の周囲の環境の変化が、上記の検出精度に与える影響を低減させることができる。また、複数の波長の光パルスを含む試験光を用いることにより、これまで各波長で行っていた試験に代えて、1回の試験で同様の目的を達成できる。そのため、試験時間を短縮することができる。
【0099】
しかし、波長の異なる複数の光パルスを含む試験光を用いて一連の試験を実施する場合には、2以上の光パルスが重なると、光パルスのピーク光電力が大きくなる。そのため、2以上の光パルスが重なってできた光パルスのピーク光電力の大きさ次第では、異常検出装置400の各部及び光ファイバ網の各部の少なくとも一部が損傷する可能性がある。また、光ファイバの非線形光学効果による測定結果への影響が無視できなくなる可能性がある。2以上の光パルスが重なった場合のピーク光電力がおよそ10mWよりも大きな場合には、上記の課題が特に顕著になる。
【0100】
後方散乱光は非常に微弱なので、光ファイバの長さが長くなるにつれて、試験光としても、ピーク光電力の大きな光パルスが用いられる。そのため、例えば、光ファイバ網を構成する光ファイバ芯線を試験する場合のように、試験対象となる光ファイバの長さが非常に長い場合には、万が一、2以上の光パルスが重なると、その影響も大きくなる。そこで、
図6から
図12を用いて、波長の異なる複数の光パルスを含む試験光を用いて光ファイバ芯線を試験する場合に適した光パワー測定部410について説明する。
【0101】
図6は、光パワー測定部410の一例を概略的に示す。光パワー測定部410は、光ファイバ芯線10の入射端に試験光12を入射し、光ファイバ芯線10からの後方散乱光14であって、入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光14の光パワーを測定する。光ファイバ芯線10は、試験対象の光線路の一例であってよい。後方散乱光14は、試験光12に対する光線路からの反射光の一例であってよい。
【0102】
本実施形態において、光パワー測定部410は、光パルス出力部602と、光結合部604と、光分波部606と、測定部608とを備える。光パルス出力部602は、光源622と、光源624と、光分岐部632と、光分岐部634と、光合波部640と、光パルス制御部650とを有する。光パルス制御部650は、パルス発生部652と、遅延制御部654と、タイミング検出部656とを有する。測定部608は、受光部682と、受光部684と、信号処理部686とを有する。
【0103】
光パルス出力部602は、試験光12を出力する。光パルス出力部602は、第1の波長を有する光パルスと、第2の波長を有す光パルスとを交互に出力してよい。第1の波長及び第2の波長は、異なる値を有してよい。光パルス出力部602は、出力した光パルスを、例えば、光結合部604を介して、光ファイバ芯線10の入射端に入射する。光パルス出力部602が、第1の波長を有する光パルスと、第2の波長を有す光パルスとを交互に出力することで、光損失の測定精度、ファイバ芯線の異常箇所及び異常の程度の検出精度を向上させることができる。また、異常検出装置400の各部及び光ファイバ網の各部の損傷を防止することができる。
【0104】
光結合部604は、光パルス出力部602から出力された試験光12を光ファイバ芯線10の入射端に入射する。光結合部604は、試験光12に対応する光ファイバ芯線10からの後方散乱光14を取り出す。光結合部604は、取り出した後方散乱光14を光分波部606に伝送する。なお、光ファイバ芯線10からの後方散乱光14は、入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光を含む。光結合部604としては、典型的には光サーキュレータが用いられる。
【0105】
光分波部606は、試験光12に含まれる波長の異なる2つの光パルスのそれぞれに対応する後方散乱光14を、第1の波長を有する光と第2の波長を有する光とに分波する。光分波部606は、分波した2つの光のそれぞれを、測定部608に伝送する。測定部608は、光分波部606から伝送された2つの光のそれぞれの光パワーを測定する。
【0106】
光パルス出力部602の各部について説明すると、光源622及び光源624は、光パルスを出力する。本実施形態において、光源622から出力される光パルスの波長は、光源624から出力される光パルスの波長とは異なる。また、光源622から出力される光パルスのピークは、光源624から出力される光パルスのピークとは一致しない。
【0107】
光源622は、パルス発生部652が発生させたパルス信号に基づいて、光パルスを出力してよい。光源624は、遅延制御部654が遅延させたパルス信号φ24に基づいて、光パルスを出力してよい。光源622から出力される光パルスは、第1の光パルスの一例であってよい。光源624から出力される光パルスは、第2の光パルスの一例であってよい。
【0108】
光分岐部632は、光源622から出力される光を分岐する。光分岐部632は、分岐した光の一方を光合波部640に伝送し、分岐した光の他方を光パルス制御部650に伝送する。光分岐部634は、光源624から出力される光を分岐する。光分岐部634は、分岐した光の一方を光合波部640に伝送し、分岐した光の他方を光パルス制御部650に伝送する。
【0109】
光合波部640は、光源622から出力される光パルスと、光源624から出力される光パルスとを合波する。本実施形態において、光合波部640は、光分岐部632から伝送された光と、光分岐部634から伝送された光とを合波して、試験光12を生成する。
【0110】
光パルス制御部650は、光源622が光パルスを出力するタイミング及び光源624が光パルスを出力するタイミングを制御する。光パルス制御部650は、光源622が光パルスを出力するタイミングと、光源624が光パルスを出力するタイミングとが一致しないように、両者のタイミングを制御する。
【0111】
光パルス制御部650の各部について説明すると、パルス発生部652は、パルス信号を発生させる。本実施形態において、パルス発生部652は、パルス信号φ20と、パルス信号φ22と、パルス信号φ46とを発生させる。パルス信号φ20、パルス信号φ22及びパルス信号φ46は、同期された上で出力され、それぞれ、遅延制御部654、光源622及び信号処理部686に送信される。
【0112】
本実施形態において、パルス信号φ20は、光源624における光パルスの発生タイミングを規定するパルス信号φ24の生成に用いられる。パルス信号φ22は、光源622における光パルスの発生タイミングを規定する。パルス信号φ46は、信号処理部686におけるA/D変換のサンプリングタイミングを規定する。
【0113】
遅延制御部654は、パルス発生部652が発生させたパルス信号φ20を遅延させて、パルス信号φ24を生成する。遅延制御部654は、生成したパルス信号φ24を光源624に送信する。遅延制御部654は、光源622が光パルスを出力するタイミングと、光源624が光パルスを出力するタイミングとが一致しないように、パルス信号φ24を生成してよい。
【0114】
遅延制御部654は、タイミング検出部656が検出した、光源622から出力される光パルス及び光源624から出力される光パルスの出力タイミングに基づいて、2つの光パルスが重ならないように、パルス信号φ24を遅延させる時間を調整してよい。例えば、本実施形態において、遅延制御部654は、タイミング検出部656から送信されたタイミング信号φ26に基づいて、パルス信号φ24のパルス信号φ22に対する遅延量を決定する。
【0115】
タイミング検出部656は、光源622から出力される光パルス及び光源624から出力される光パルスの出力タイミングを検出する。タイミング検出部656は、光分岐部632から、光源622から出力された光の一部を受け取る。タイミング検出部656は、光分岐部634から、光源624から出力された光の一部を受け取る。タイミング検出部656は、光分岐部632及び光分岐部634から受け取った光に基づいて、光源622から出力される光パルス及び光源622から出力される光パルスの出力タイミングを検出する。
【0116】
タイミング検出部656は、2つの光パルスのそれぞれが出力されるタイミングそれ自体を検出することで、2つの光パルスの出力タイミングを検出してもよい。タイミング検出部656は、2つの光パルスのピークのタイミング差を検出することで、2つの光パルスの出力タイミングを検出してもよい。タイミング検出部656は、2つの光パルスのピークが一致しているか否かを判断することで、2つの光パルスの出力タイミングを検出してもよい。
【0117】
タイミング検出部656は、上記の2つの光パルスの出力タイミングに基づいて、タイミング信号φ26を生成する。タイミング信号φ26は、光源622が光パルスを出力しているタイミングと、光源624が光パルスを出力しているタイミングとに関する情報を含んでよい。タイミング検出部656は、生成したタイミング信号φ26を遅延制御部654に送信する。
【0118】
本実施形態においては、パルス発生部652が、パルス信号φ20及びパルス信号φ22を発生させ、遅延制御部654が、パルス信号φ20を遅延させてパルス信号φ24を生成する場合について説明した。しかし、パルス信号φ24を生成する方法は、上記の実施形態に限定されない。パルス発生部652が、パルス信号φ22を発生させて、光源622及び遅延制御部654に送信し、遅延制御部654がパルス信号φ22を遅延させてパルス信号φ24を生成してもよい。
【0119】
測定部608の各部について説明すると、受光部682及び受光部684は、受光した光信号を電気信号に変換する。受光部682は、光分波部606で分波された第1の波長を有する光を、受光信号φ42に変換する。受光部682は、受光信号φ42を信号処理部686に送信する。受光部684は、光分波部606で分波された第2の波長を有する光を、受光信号φ44に変換する。受光部684は、受光信号φ44を信号処理部686に送信する。
【0120】
信号処理部686は、パルス信号φ46に従って、受光信号φ42及び受光信号φ44をサンプリングして、受光信号φ42及び受光信号φ44をA/D変換する。信号処理部686は、A/D変換された振幅データに基づいて、後方散乱光14の光パワーを測定する。信号処理部686は、パルス光が光源から出力された後、入射端に戻ってくるまでの時間に基づいて、光ファイバ芯線10内のどの位置からの後方散乱光14であるかを測定する。これにより、光ファイバ芯線10の損失分布を取得することができる。
【0121】
光パワー測定部410における光パワーの測定処理について概略的に説明する。本実施形態において、光パワー測定部410は、第1の波長を有する光パルスと第2の波長を有する光パルスとを交互に出力して、試験対象である光ファイバ芯線10の入射端に、試験光12を入射する。試験光12が光ファイバ芯線10に入射すると、入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光が入射端に戻ってくる。光パワー測定部410は、光ファイバ芯線10からの後方散乱光14を取り出し、後方散乱光14を、第1の波長を有する光と第2の波長を有する光とに分波する。光パワー測定部410は、第1の波長を有する光及び第2の波長を有する光のそれぞれの光パワーを測定する。これにより、光ファイバ芯線10の損失分布を取得することができる。
【0122】
光パワー測定部410は、適切な時間間隔をあけて、試験光12を光ファイバ芯線10に複数回入射してよい。これにより、光ファイバ芯線10に、第1の波長を有する光パルスと第2の波長を有する光パルスとを交互に入射する工程が繰り返される。光パワー測定部410は、複数回の入射によって得られた測定結果を平均化して、光ファイバ芯線10の損失分布を取得してよい。これにより、上記の損失分布に含まれるノイズを低減させることができる。
【0123】
本実施形態においては、光パワー測定部410が、波長の異なる2つの光パルスを含む試験光12を用いて、光ファイバ芯線10を試験する場合について説明した。しかし、光パワー測定部410はこれに限定されない。光パワー測定部410は、波長の異なる2以上の光パルスを含む試験光12を用いて、光ファイバ芯線10を試験してもよい。この場合、光パルス出力部602は、波長の異なる2以上の光パルスが順番に繰り返されるように、波長の異なる2以上の光パルスを出力してよい。また、光パワー測定部410及び光パルス出力部602は、OTDR以外の用途に用いられてもよい。
【0124】
図7は、光パワー測定部410の試験光12の一例を概略的に示す。
図7を用いて、試験光12と、パルス信号φ22及びパルス信号φ24との関係の一例について説明する。試験光12は、第1の波長を有する光パルス712と、第2の波長を有する光パルス714とを含む。パルス信号φ22は、光パルス712の出力タイミングを規定する。パルス信号φ24は、光パルス714の出力タイミングを規定する。
【0125】
パルス信号φ22は、周期T
1及びパルス幅τ
1を有する1以上のパルスを含む。当該パルスは、例えば、時間t
1−1及び時間t
1−2において発生する。パルス信号φ24は、周期T
2及びパルス幅τ
2を有する1以上のパルスを含む。当該パルスは、例えば、時間t
2−1及び時間t
2−2において発生する。周期T
1及び周期T
2は、同一であることが好ましい。パルス幅τ
1及びパルス幅τ
2は、同一であることが好ましい。
【0126】
パルス信号φ24は、パルス信号φ22に対して、t
2−1−t
1−1に相当する時間だけ遅延しており、パルス信号φ22のピークとパルス信号φ24のピークとが一致しないように調整されている。
図7から明らかなとおり、試験光12が光ファイバ芯線10に入射すると、光ファイバ芯線10には、第1の波長を有する光パルス712と、第2の波長を有する光パルス714とが交互に入射する。
【0127】
図8は、タイミング検出部656の一例を概略的に示す。タイミング検出部656は、複数の光パルスのピークが一致しているか否かを示す情報を含むタイミング信号φ26を生成する。タイミング検出部656は、光合波部810と、受光部820と、ピーク検出部830とを備える。
【0128】
光合波部810は、光分岐部632から、光源622から出力された光の一部を受け取る。光合波部810は、光分岐部634から、光源624から出力された光の一部を受け取る。光合波部810は、光分岐部632から伝送される光と、光分岐部634から伝送される光とを合波する。光合波部810は、合波した光を受光部820に伝送する。
【0129】
受光部820は、受光した光信号を電気信号に変換する。受光部820は、光合波部810によって合波された光を、受光信号φ82に変換する。受光部820は、受光信号φ82をピーク検出部830に送信する。
【0130】
ピーク検出部830は、受光信号φ82のピーク成分を検出する。ピーク検出部830は、検出したピーク成分の大きさを示す情報を含むタイミング信号φ26を生成する。ピーク検出部830は、タイミング信号φ26を遅延制御部654に送信する。
【0131】
遅延制御部654は、ピーク検出部830によって検出されたピークの大きさが、予め定められた値よりも小さい場合に、光源622が光パルスを出力するタイミングと、光源624が光パルスを出力するタイミングとが一致していないと判断して、遅延量又は遅延量の変更の要否を決定してよい。遅延制御部654は、ピーク検出部830によって検出されたピークの大きさが、予め定められた値よりも大きい場合に、光源622が光パルスを出力するタイミングと、光源624が光パルスを出力するタイミングとが一致していると判断して、遅延量又は遅延量の変更の要否を決定してよい。
【0132】
他の実施形態によれば、例えば、ピーク検出部830によって検出されたピークの大きさが、予め定められた値よりも小さい場合には、ピーク検出部830が、光源622が光パルスを出力するタイミングと、光源624が光パルスを出力するタイミングとが一致していないことを示す情報を含むタイミング信号φ26を生成する。例えば、ピーク検出部830によって検出されたピークの大きさが、予め定められた値よりも大きい場合には、両者のタイミングが一致していること示す情報を含むタイミング信号φ26を生成する。この場合、遅延制御部654は、タイミング信号φ26に基づいて、遅延量又は遅延量の変更の要否を決定してよい。
【0133】
図9は、タイミング検出部956の一例を概略的に示す。タイミング検出部956は、複数の光パルスの相関を示す情報を含むタイミング信号φ26を生成する。タイミング検出部956は、受光部922と、受光部924と、相関処理部930とを備える。
【0134】
受光部922及び受光部924は、受光した光信号を電気信号に変換する。受光部922は、光分岐部632から、光源622から出力された光の一部を受け取る。受光部922は、光分岐部632から伝送された光を受光信号φ92に変換する。受光部922は、受光信号φ92を相関処理部930に送信する。受光部924は、光分岐部634から、光源624から出力された光の一部を受け取る。受光部924は、光分岐部634から伝送された光を受光信号φ94に変換する。受光部924は、受光信号φ94を相関処理部930に送信する。
【0135】
相関処理部930は、受光信号φ92と受光信号φ94との相関処理演算を実行する。相関処理部930は、演算結果に基づいて、タイミング信号φ26を生成する。遅延制御部654は、タイミング信号φ26に基づいて、遅延量又は遅延量の変更の要否を決定してよい。
【0136】
図10は、タイミング検出部1056の一例を概略的に示す。タイミング検出部1056は、複数の光パルスのピークが一致しているか否かを示す情報を含むタイミング信号φ26を生成する。タイミング検出部1056は、受光部1022と、受光部1024と、加算処理部1032と、ピーク検出部1034とを備える。
【0137】
受光部1022及び受光部1024は、受光した光信号を電気信号に変換する。受光部1022は、光分岐部632から、光源622から出力された光の一部を受け取る。受光部1022は、光分岐部632から伝送された光を受光信号φ103に変換する。受光部1022は、受光信号φ103を加算処理部1032に送信する。受光部1024は、光分岐部634から、光源624から出力された光の一部を受け取る。受光部1024は、光分岐部634から伝送された光を受光信号φ104に変換する。受光部1024は、受光信号φ104を加算処理部1032に送信する。
【0138】
加算処理部1032は、受光信号φ103と受光信号φ104との加算処理演算を実行する。加算処理部1032は、演算結果に基づいて、光分岐部632から伝送された光と光分岐部634から伝送された光とを合波した光の受光信号に相当する加算信号φ106を生成する。加算処理部1032は、加算信号φ106をピーク検出部1034に送信する。
【0139】
ピーク検出部1034は、加算信号φ106に基づいて、光分岐部632から伝送された光と光分岐部634から伝送された光とを合波した光のピーク成分に相当する信号を検出する。ピーク検出部1034は、検出した信号の大きさを示す情報を含むタイミング信号φ26を生成する。ピーク検出部1034は、タイミング信号φ26を遅延制御部654に送信する。遅延制御部654は、タイミング検出部656からのタイミング信号φ26を受信した場合と同様にして、遅延量又は遅延量の変更の要否を決定してよい。
【0140】
他の実施形態によれば、例えば、ピーク検出部1034によって検出されたピークの大きさが、予め定められた値よりも小さい場合には、ピーク検出部1034が、光源622が光パルスを出力するタイミングと、光源624が光パルスを出力するタイミングとが一致していないことを示す情報を含むタイミング信号φ26を生成する。例えば、ピーク検出部1034によって検出されたピークの大きさが、予め定められた値よりも大きい場合には、ピーク検出部1034が、両者のタイミングが一致していること示す情報を含むタイミング信号φ26を生成する。この場合、遅延制御部654は、タイミング信号φ26に基づいて、遅延量又は遅延量の変更の要否を決定してよい。
【0141】
図11は、光パワー測定部1110の一例を概略的に示す。光パルス出力部1102と、光結合部604と、光分波部606と、測定部608とを備える。光パワー測定部1110は、光パルス出力部602に代えて光パルス出力部1102を備える点で、光パワー測定部410と相違する。その他の構成は、光パワー測定部410と同様であってよい。
【0142】
光パルス出力部1102は、光源622、光源624及び光合波部640に代えて波長可変光源1122を備える点と、光パルス制御部650に代えて光パルス制御部1150を備える点と、光分岐部632及び光分岐部634を備えない点とで、光パルス出力部602と相違する。その他の構成については、光パルス出力部602と同様であってよい。
【0143】
波長可変光源1122は、波長の異なる光を発生させることができる。波長可変光源1122は、光を発生させるタイミングを示す変調信号φ112が入力される変調端子と、発生させる光の波長を制御するための波長制御信号φ114が印加される波長可変端子とを備える。変調信号φ112及び波長制御信号φ114を制御することで、光パルス出力部1102は、光パルス出力部602と同様の試験光12を出力することができる。変調信号φ112は、パルス発生部652によって生成される。波長制御信号φ114は、波長制御部1114によって生成される。波長制御部1114は、パルス発生部652によって生成されたパルス信号φ110に従って動作する。パルス信号φ110及び変調信号φ112は、同期されていてもよい。
【0144】
図12は、光パワー測定部1110の試験光12の一例を概略的に示す。
図12を用いて、試験光12と、変調信号φ112及び波長制御信号φ114との関係の一例について説明する。変調信号φ112は、光パルス712及び光パルス714の出力タイミングを規定する。波長制御信号φ114は、光パルス712及び光パルス714の波長を規定する。
【0145】
変調信号φ112は、周期T
1及びパルス幅τ
1を有する1以上のパルスと、周期T
2及びパルス幅τ
2を有する1以上のパルスとを含む。周期T
1及びパルス幅τ
1を有するパルスは、例えば、時間t
1−1及び時間t
1−2において発生する。周期T
2及びパルス幅τ
2を有するパルスは、例えば、時間t
2−1及び時間t
2−2において発生する。変調信号φ112において、周期T
1及びパルス幅τ
1を有するパルスと、周期T
2及びパルス幅τ
2を有するパルスとは、交互に発生する。周期T
1及び周期T
2は、同一であることが好ましい。パルス幅τ
1及びパルス幅τ
2は、同一であることが好ましい。
【0146】
波長制御信号φ114は、周期T
3及びパルス幅τ
3を有する1以上のパルスを含む。周期T
3及びパルス幅τ
3を有するパルスは、変調信号φ112の周期T
1及びパルス幅τ
1を有するパルスが立ち下がった後、変調信号φ112の周期T
2及びパルス幅τ
2を有するパルスが立ち上がるまでの間に、立ち上がる。周期T
3及びパルス幅τ
3を有するパルスは、変調信号φ112の周期T
2及びパルス幅τ
2を有するパルスが立ち下がった後、変調信号φ112の周期T
1及びパルス幅τ
1を有するパルスの次のパルスが立ち上がるまでの間に、立ち下がる。周期T
3及びパルス幅τ
3を有するパルスは、例えば、時間t
3−1及び時間t
3−2において発生する。周期T
1、周期T
2及び周期T
3は、同一であることが好ましい。
【0147】
上記の変調信号φ112及び波長制御信号φ114により、波長可変光源1122は、第1の波長を有する光パルス712と、第2の波長を有する光パルス714とを、両者のピークが一致しないように含む試験光12を生成することができる。なお、上記の実施形態は、変調信号φ112及び波長制御信号φ114の一例であり、変調信号φ112及び波長制御信号φ114は上記の実施形態に限定されない。
【0148】
請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0149】
以上の記載から、本願明細書には、以下の事項が記載されていることが明らかである。
(項目1)
複数の波長について、光ファイバ芯線の入射端から入射させた光の上記入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光の光パワーを測定して得られる上記複数の波長のそれぞれについての上記光パワーに関する情報と、上記複数の波長の値とを用いて、上記光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定する特性決定部と、
上記光ファイバ芯線の巻き数が第1の規定値であると仮定して、上記波長対損失特性及び上記第1の規定値を用いて、上記光ファイバ芯線の巻き数が上記第1の規定値である場合における上記光ファイバ芯線の第1の箇所の曲率半径を決定する曲率半径決定部と、
を備える、装置。
(項目2)
複数の波長について、光ファイバ芯線の入射端から入射させた光の上記入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光の光パワーを測定して得られる上記複数の波長のそれぞれについての上記光パワーに関する情報と、上記複数の波長の値とを用いて、上記光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定する特性決定部と、
接続される2本の上記光ファイバ芯線のスポットサイズの比が第2の規定値であると仮定して、上記波長対損失特性及び上記第2の規定値を用いて、上記比が上記第2の規定値である場合における上記光ファイバ芯線の第1の箇所の軸ずれ量を決定する軸ずれ量決定部と、
を備える、装置。
(項目3)
複数の波長について、光ファイバ芯線の入射端から入射させた光の上記入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光の光パワーを測定して得られた上記複数の波長のそれぞれについての上記光パワーに関する情報と、上記複数の波長の値とを用いて、上記光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定する段階と、
上記光ファイバの巻き数が第1の規定値であると仮定して、上記波長対損失特性及び上記第1の規定値を用いて、上記光ファイバの巻き数が上記第1の規定値である場合における上記光ファイバ芯線の第1の箇所の曲率半径を決定する段階と、
を有する、方法。
(項目4)
複数の波長について、光ファイバ芯線の入射端から入射させた光の上記入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光の光パワーを測定して得られる上記複数の波長のそれぞれについての上記光パワーに関する情報と、上記複数の波長の値とを用いて、上記光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定する段階と、
接続される2本の上記光ファイバ芯線のスポットサイズの比が第2の規定値であると仮定して、上記波長対損失特性及び上記第2の規定値を用いて、上記比が上記第2の規定値である場合における上記光ファイバ芯線の第1の箇所の軸ずれ量を決定する段階と、
を有する、方法。
(項目5)
プログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
上記プログラムは、コンピュータを、項目1または項目2に記載の装置として機能させる、コンピュータ読み取り可能な媒体。
(項目5)
コンピュータを、項目1または項目2に記載の装置として機能させるためのプログラム。
[付記1]
第1の波長を有する第1の光パルスと第2の波長を有する第2の光パルスとを交互に出力し、光ファイバ芯線の入射端に入射する光パルス出力部と、
上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスのそれぞれに対応する上記光ファイバ芯線からの後方散乱光であって、上記入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光を、上記第1の波長を有する光と上記第2の波長を有する光とに分波する光分波部と、
上記第1の波長を有する光及び上記第2の波長を有する光のそれぞれの光パワーを測定する測定部と、
を備える、測定装置。
[付記2]
上記光パルス出力部は、
上記第1の光パルスを出力する第1の光源と、
上記第2の光パルスを出力する第2の光源と、
上記第1の光源が上記第1の光パルスを出力するタイミング及び上記第2の光源が上記第2の光パルスを出力するタイミングを制御する光パルス制御部と、
上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスを合波する光合波部と、
を有する、
付記1に記載の測定装置。
[付記3]
上記光パルス制御部は、
パルス信号を発生させるパルス発生部と、
上記パルス発生部が発生させたパルス信号を遅延させる遅延制御部と、
を備え、
上記第1の光源は、上記パルス発生部が発生させた上記パルス信号に基づいて、上記第1の光パルスを出力し、
上記第2の光源は、上記遅延制御部が遅延させた上記パルス信号に基づいて、上記第2の光パルスを出力する、
付記2に記載の測定装置。
[付記4]
上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスの出力タイミングを検出するタイミング検出部をさらに備え、
上記遅延制御部は、上記タイミング検出部が検出した上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスの出力タイミングに基づいて、上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスが重ならないように、上記パルス信号を遅延させる時間を調整する、
付記3に記載の測定装置。
[付記5]
上記光パルス出力部は、波長可変光源を有する、
付記1に記載の測定装置。
[付記6]
第1の波長を有する第1の光パルスと第2の波長を有する第2の光パルスとを交互に出力し、試験対象の光ファイバ芯線の入射端に入射する光パルス出力段階と、
上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスのそれぞれに対応する上記光ファイバ芯線からの後方散乱光であって、上記入射端からの距離が異なる複数の位置からの後方散乱光を、上記第1の波長を有する光と上記第2の波長を有する光とに分波する光分波段階と、
上記第1の波長を有する光及び上記第2の波長を有する光のそれぞれの光パワーを測定する測定段階と、
を有する、測定方法。
[付記7]
付記1から付記5までの何れか一項に記載の測定装置と、
上記測定装置によって測定された上記光パワーに関する情報であって、上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスのそれぞれに対応する上記後方散乱光のそれぞれについての上記光パワーに関する情報と、上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスの波長の値とを用いて、上記光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定する特性決定部と、
上記光ファイバ芯線の巻き数が第1の規定値であると仮定して、上記波長対損失特性および上記第1の規定値を用いて、上記光ファイバ芯線の巻き数が上記第1の規定値である場合における上記光ファイバ芯線の第1の箇所の曲率半径を決定する曲率半径決定部と、
を備える、装置。
[付記8]
付記1から付記5までの何れか一項に記載の測定装置と、
上記測定装置によって測定された上記光パワーに関する情報であって、上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスのそれぞれに対応する上記後方散乱光のそれぞれについての上記光パワーに関する情報と、上記第1の光パルス及び上記第2の光パルスの波長の値とを用いて、上記光ファイバ芯線の波長対損失特性を決定する特性決定部と、
接続される2本の上記光ファイバ芯線のスポットサイズの比が第2の規定値であると仮定して、上記波長対損失特性および上記第2の規定値を用いて、上記比が上記第2の規定値である場合における上記光ファイバ芯線の第1の箇所の軸ずれ量を決定する軸ずれ量決定部と、
を備える、装置。